特許第6137311号(P6137311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137311走行車システム、および、走行車システムの省電力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137311
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】走行車システム、および、走行車システムの省電力方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170522BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170522BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170522BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 X
   H02J50/10
   B60L11/18 C
   B60M7/00 X
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-523824(P2015-523824)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2014001736
(87)【国際公開番号】WO2014207970
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-134340(P2013-134340)
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】幸本 誉
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−092529(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/153807(WO,A1)
【文献】 特開2009−284695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H02J 50/00−50/90
B60L 11/00−11/18
B60M 7/00
B65G 1/00− 1/20
G05D 1/00− 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路を走行する走行車と、前記走行車に搭載されて前記走行車に走行用の電力を供給する蓄電装置と、複数の前記走行車にそれぞれ搭載された前記蓄電装置に非接触で同時に充電することができる、前記経路の一部に沿って設けられる給電線を有する充電装置とを備えた走行車システムであって、
前記蓄電装置を充電するために前記給電線の存在する充電領域に複数の前記走行車を配置する充電指示部と、
前記充電領域で充電されている前記蓄電装置の蓄電状態を監視し、全ての前記走行車の前記蓄電装置の蓄電状態が満状態である場合に前記充電装置を停止させ、複数の前記走行車のいずれかの前記蓄電装置の蓄電状態が欠乏状態である場合に前記充電装置を稼働させる省電力制御部と、
前記経路上の複数の前記走行車の走行状態を監視し、所定の期間内において全ての前記走行車が走行状態にない場合、省エネ充電モードを行うために、前記充電領域に複数の前記走行車を配置するように前記充電指示部に指示する走行監視部と
を備える走行車システム。
【請求項2】
前記充電装置はさらに、前記充電領域を通過する前記走行車に搭載される前記蓄電装置に対し充電することができる
請求項1に記載の走行車システム。
【請求項3】
前記充電指示部は、
前記充電領域に向かい、かつ、前記充電領域内で待機する旨を示す情報を全ての前記走行車に対し送信する
請求項1または請求項2に記載の走行車システム。
【請求項4】
所定の経路を走行する走行車と、前記走行車に搭載されて前記走行車に走行用の電力を供給する蓄電装置と、複数の前記走行車にそれぞれ搭載された前記蓄電装置に非接触で同時に充電することができる、前記経路の一部に沿って設けられる給電線を有する充電装置とを備えた走行車システムに適用する省電力方法であって、
前記蓄電装置を充電するために前記給電線の存在する充電領域に複数の前記走行車を充電指示部が配置し、
前記充電領域で充電されている前記蓄電装置の蓄電状態を省電力制御部が監視し、
全ての前記走行車の前記蓄電装置の蓄電状態が満状態である場合に前記省電力制御部が前記充電装置を停止させ、
複数の前記走行車のいずれかの前記蓄電装置の蓄電状態が欠乏状態である場合に前記省電力制御部が前記充電装置を稼働させ、
前記経路上の複数の前記走行車の走行状態を監視し、所定の期間内において全ての前記走行車が走行状態にない場合、省エネ充電モードを行うために、前記充電領域に複数の前記走行車を配置するように前記充電指示部に走行監視部が指示する
走行車システムの省電力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、搭載された蓄電装置に蓄えられた電力に基づき所定の経路を走行する走行車と、前記蓄電装置に非接触で電力を供給する充電装置とを備える走行車システム、および、当該走行車システムにおける省電力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発塵をできる限り抑制したい場所等に設定される経路を走行する走行車として、自らが二次電池を搭載し、当該二次電池に蓄えられた電力により走行する走行車が考えられている。このような走行車を有する走行車システムは、走行車に電力を供給する電力線を経路全域にわたって敷設する必要が無く、走行車システムを構築する際の工程を簡易化し、短縮することができると考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、走行車に搭載された二次電池に対し、経路に沿った一部の区間において非接触で電力を供給する充電装置を備えた走行車システムが開示されている。このような走行車システムでは、走行中の走行車に対して充電することができ、走行車の渋滞を回避することが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−38134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従前の走行車システムは、走行車が走行をしていない停止状態でも搭載しているコンピュータなどにより電力が消費されるため、夜間などにおいて一定期間走行しない場合でも、充電装置を稼働させておき、必要に応じて走行車を走行させて充電させている。
【0006】
このような走行車システムの運用では、走行車に充電していない状態の充電装置であっても給電線などからの発熱により電力の損失が発生する。
【0007】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、充電に寄与していない充電装置の電力損失を抑制し、効率的に電力を消費することができる走行車システム、および、走行車システムの省電力方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる走行車システムは、所定の経路を走行する走行車と、前記走行車に搭載されて前記走行車に走行用の電力を供給する蓄電装置と、複数の前記走行車にそれぞれ搭載された前記蓄電装置に非接触で同時に充電することができる、前記経路の一部に沿って設けられる給電線を有する充電装置とを備えた走行車システムであって、前記蓄電装置を充電するために前記給電線の存在する充電領域に複数の前記走行車を配置する充電指示部と、前記充電領域で充電されている前記蓄電装置の蓄電状態を監視し、全ての前記走行車の前記蓄電装置の蓄電状態が満状態である場合に前記充電装置を停止させ、複数の前記走行車のいずれかの前記蓄電装置の蓄電状態が欠乏状態である場合に前記充電装置を稼働させる省電力制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
これによれば、走行車システムに備えられる複数台(例えば全台)の走行車を充電領域に配置し、これらの走行車に搭載されている蓄電装置の全ての蓄電状態が満状態になると充電装置を停止させることで、不本意な電力消費を削減することができる。また、蓄電装置の蓄電状態を一定の水準で維持することができ、走行車システムの稼働再開に即座に対応させることが可能となる。従って、走行車システム全体として効率的に電力を使用することが可能となる。
【0010】
前記充電装置はさらに、前記充電領域を通過する前記走行車に搭載される前記蓄電装置に対し充電することができるものであってもよい。
【0011】
これによれば、走行車が通常走行する経路に充電領域を設けることができ、充電領域のためだけに別途場所を確保する必要がなくなり、走行車システム全体としてコンパクト化を図ることが可能となる。
【0012】
さらに、前記経路上の複数の前記走行車の走行状態を監視し、所定の期間内において前記走行車が走行状態にない場合、前記充電領域に複数の前記走行車を配置するように前記充電指示部に指示する走行監視部を備えてもかまわない。
【0013】
これによれば、夜間など時間で管理するばかりで無く、一定期間搬送要求がない場合などにより突発的に走行車が走行しなくなる状態が続く場合でも柔軟に対応し、走行車システム全体の電力消費を抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる走行車システムの省電力方法は、所定の経路を走行する走行車と、前記走行車に搭載されて前記走行車に走行用の電力を供給する蓄電装置と、複数の前記走行車にそれぞれ搭載された前記蓄電装置に非接触で同時に充電することができる、前記経路の一部に沿って設けられる給電線を有する充電装置とを備えた走行車システムに適用する省電力方法であって、前記蓄電装置を充電するために前記給電線の存在する充電領域に複数の前記走行車を充電指示部が配置し、前記充電領域で充電されている前記蓄電装置の蓄電状態を省電力制御部が監視し、全ての前記走行車の前記蓄電装置の蓄電状態が満状態である場合に省電力制御部が前記充電装置を停止させ、複数の前記走行車のいずれかの前記蓄電装置の蓄電状態が欠乏状態である場合に省電力制御部が前記充電装置を稼働させることを特徴とする。
【0015】
これによれば、走行車システムに備えられる複数台(例えば全台)の走行車を充電領域に配置し、これらの走行車に搭載されている蓄電装置の全ての蓄電状態が満状態になると充電装置を停止させることで、不本意な電力消費を削減することができる。また、蓄電装置の蓄電状態を一定の水準で維持することができ、走行車システムの稼働再開に即座に対応させることが可能となる。従って、走行車システム全体として効率的に電力を使用することが可能となる。
【0016】
なお、前記走行車システムの省電力方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを実施することも本願発明の実施に該当する。無論、そのプログラムが記録された記録媒体を実施することも本願発明の実施に該当する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によれば、走行車の充電に寄与しない時間帯においては、給電線の発熱などによる電力の消費を抑えつつ、走行車システムの再稼働に即座に対応できるように走行車が備える蓄電装置の蓄電状態を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、走行車システムの機構構成を模式的に示す平面図である。
図2図2は、走行車システムの機能構成などを模式的に示すブロック図である。
図3図3は、省エネ充電モードとなっている走行車システムの機構構成を模式的に示す平面図である。
図4図4は、走行車システムの省電力方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本願発明に係る走行車システム、および、走行車システムの省電力方法の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る走行車システム、および、走行車システムの省電力方法の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0020】
図1は、走行車システムの機構構成を模式的に示す平面図である。
【0021】
図2は、走行車システムの機能構成などを模式的に示すブロック図である。
【0022】
これらの図に示すように、走行車システム100は、経路110に沿って走行する走行車101と、充電装置102と、中央制御装置103とを備えている。
【0023】
経路110は、走行車101が走行する進路を決定するものである。具体的には経路110は、床面や天井などに敷設されるレールや、走行車101を誘導するために床面に断続的に設けられる磁石などによって決定される軌道である。また、走行車101がレーザー光線による三角測量や電波などの位置認識システムを備え自立的に走行する場合、経路110は、具体的なものでは無くプログラムなどによって仮想的に設けられるものとなる。なお、図1中では経路110を単純な形状として記載しているが、実際に経路110は、工場建屋や生産設備の配置などによって複雑な形状となる。また、分岐部を備えて他の経路と一部分を共有するような場合もある。
【0024】
走行車101は、蓄電装置111を備え、蓄電装置111に蓄えられた電力に基づき自走することができる車両である。本実施の形態の場合、走行車システム100は、経路110に沿って複数箇所にステーション104を備えており、走行車101は、ステーション104から渡された荷物を他のステーション104まで搬送する搬送車である。また、走行車101は、蓄電装置111に蓄えられた電力に基づき稼働し、ステーション104との間で荷物を移載する移載装置(図示せず)を備えていてもよい。
【0025】
また、走行車101は、蓄電装置111の蓄電状態に関する情報である蓄電情報を作成し、当該蓄電情報について中央制御装置103と通信を行う蓄電情報通知部112を備えている。
【0026】
なお、走行車101は、経路110上のどの部分で停止、または、走行しているか、例えば、充電領域121(後述)やどのステーション104で停止しているかや、どのステーション104とどのステーション104との間を走行しているかを認識することができ、また、停止位置や走行位置を示す情報や荷物を保持しているか否かの情報を中央制御装置103に送信し、どのステーション104で荷物を受け取りどのステーション104で荷物を渡すかを示す搬送計画などを受信することができるものとなっている。
【0027】
蓄電情報通知部112は、例えば、蓄電装置111の蓄電状態を蓄電装置111の出力電圧により把握し、出力電圧が第一閾値以上の場合、蓄電状態が満状態であるとして満状態を示す蓄電情報を送信し、出力電圧が第一閾値よりも低い第二閾値以下の場合、蓄電状態が欠乏状態であるとして欠乏状態を示す蓄電情報を送信する処理部である。
【0028】
なお、図中において蓄電情報通知部112は、無線により通信するものとして描かれているが、有線により通信するものでもかまわない。また、蓄電情報通知部112は、閾値判断等をすることなく、蓄電装置111の蓄電状態そのものを示す情報(例えば出力電圧)を通信するものでもかまわない。
【0029】
蓄電装置111は、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ等の二次電池や、これら二次電池を制御する回路や、充電装置102から供給される電力を受電する受電コア、供給された交流の電力を直流に変換する装置などを備えた装置である。
【0030】
充電装置102は、走行車101に搭載された蓄電装置111に非接触で充電することができる装置であり、経路110の一部に沿って設けられる給電線122と給電線122に交流電流を供給する給電装置123とを備えている。本実施の形態の場合、給電線122としては、充電領域121において往道用の導線(例えばリッツ線)と復道用の導線とが平行になるように配置し、前記往道用の電線と前記復道用の電線との端部どうしを電気的に接続し、電流の導通経路として1本の導通経路をU字状に曲げた状態のものが用いられる。また、給電線122は、図3に示すように、充電領域121内に停車している複数台の走行車101の各蓄電装置111を一度に充電できる長さを備えている。
【0031】
なお、充電装置102は、走行車システム100が備える全ての走行車101に対して充電できるものが好ましい。この場合、一つの充電領域121に全ての走行車101を配置し、走行車101の列の長さと同等、または、ほぼ同等の長さの倍の長さの給電線122を充電装置102が備えてもよく、また、経路110に沿って複数の充電領域121が分散状態で配置され、それぞれの充電領域121に充電装置102を配置してもかまわない。
【0032】
また、充電装置102は、充電領域121を通過する走行車101に搭載される蓄電装置111に対し充電することができるものとなっている。具体的に例えば、荷物を搭載した走行車101が通常走行する速度で充電領域121を通過する際に、少なくとも次の充電領域121(同じ充電領域121もあり得る)に到達するまでに走行車101に必要な電力(走行ばかりで無く、荷物を移載する電力も含む)を充電することができる長さの給電線122を充電装置102は備えている。
【0033】
中央制御装置103は、走行車システム100の制御を司るコンピュータなどであって、充電指示部131と、省電力制御部132とを備えている。本実施の形態の場合、中央制御装置103はさらに、走行監視部133と通信部139とを備えている。具体的には、中央制御装置103は、中央演算装置と、メモリと、インターフェースとを備えたコンピュータに特定のプログラムを実行させることにより実現されている。
【0034】
なお、中央制御装置103が備える各処理部は、コンピュータにソフトウエアを実行させることにより実現されるものを例示することができるが、これに限定されるものではなく、一部にハードウエアを含むものや全部がハードウエアにより実現されるものでもかまわない。
【0035】
また、本実施の形態の場合、中央制御装置103として1台のコンピュータのように記載しているが、複数のコンピュータが役割を分担していてもかまわない。
【0036】
充電指示部131は、走行車101に搭載される蓄電装置111を充電するために給電線122の存在する充電領域121に複数の走行車101を配置する処理部である。充電指示部131は、走行車システム100が通常操業している際には動作することは無く、例えば、走行車システム100の操業が中断する夜間の始めに動作する。また、例えば搬送要求が存在しないために一定期間に走行車101が走行しない旨の情報を操業計画情報などから入手した場合、充電指示部131が動作してもかまわない。
【0037】
具体的に例えば充電指示部131は、走行車101(例えば全ての走行車101)が一定の期間において荷物の移載や走行などを行わない場合に、図3に示す状態となるように、充電領域121に向かい、かつ、充電領域121内で待機する旨を示す情報を対象となる走行車101に対し送信する。なお、当該通信は、通信部139を介して各走行車101と通信する。
【0038】
省電力制御部132は、充電領域121で充電されている蓄電装置111の蓄電状態を監視し、充電領域121において充電状態となっている全ての走行車101の蓄電装置111の蓄電状態が満状態である場合に充電装置102を停止させ、充電領域121において充電状態となっている走行車101のいずれかの蓄電装置111の蓄電状態が欠乏状態である場合に充電装置102を稼働させる処理部である。
【0039】
具体的に例えば省電力制御部132は、充電領域121内で停止している各走行車101と通信部139を介して通信し、各走行車101の蓄電情報通知部112から送信される情報の全てが満状態を示している場合は、充電装置102を停止させる命令を充電装置102に送信し、各走行車101の蓄電情報通知部112から送信される情報のいずれかが欠乏状態を示している場合は、充電装置102を稼働させる命令を充電装置102に送信する。
【0040】
なお、蓄電情報通知部112が蓄電装置111の出力電圧などを示す情報を送信する場合、省電力制御部132は、通信部139を介して受信した各走行車101の情報に基づき、蓄電装置111の出力電圧などの蓄電状態を示す情報が全ての走行車101について第一閾値以上の場合、蓄電状態が満状態であるとして充電装置102を停止させる命令を充電装置102に送信し、出力電圧などの蓄電状態を示す情報が第一閾値よりも低い第二閾値以下である走行車101がある場合、充電装置102を稼働させる命令を充電装置102に送信するものでもよい。
【0041】
走行監視部133は、経路110上の複数の走行車101の走行状態(例えば全台数の走行状態)を監視し、所定の期間内において走行車101が走行状態にない場合、充電領域121に対象となる複数の走行車101を配置するように充電指示部131に指示する処理部である。
【0042】
具体的に例えば、走行監視部133は、走行車システム100の走行車101の走行状態をリアルタイムで監視し、全ての走行車101が所定の期間内において走行していない場合、さらに一定期間は走行車101が走行しないことを予測して、充電指示部131を動作させる情報を送信する。
【0043】
次に、走行車システムの省電力方法について説明する。
【0044】
図4は、走行車システムの省電力方法を示すフローチャートである。
【0045】
同図に示すように、中央制御装置103は、走行車システム100において稼働している全ての走行車101が所定の期間走行するか否かを判断する(S101、走行監視ステップ)。
【0046】
具体的に例えば、走行車システム100が設置されている工場において、22時から翌朝の4時までは操業しないという場合などは、走行監視ステップでは、22時になれば走行車101が所定の期間走行しないと判断する。また、走行監視ステップにおいては、操業計画などから走行車101が所定の期間走行するか否かを判断してもよく、走行監視部133からの情報に基づいてもかまわない。
【0047】
次に、走行監視ステップにおいて全ての走行車101が所定の期間走行しないと判断されると(S101:N)、充電指示部131は、充電領域121に向かい、充電領域121内で停止させる命令を全走行車101に対し送信する(S102、充電指示ステップ)。
【0048】
以上により、走行車101は、図3に示すように充電領域121内に並んだ状態で停止する。
【0049】
ここで、走行車システム100の通常操業時においては、走行車101は、充電領域121を通過することにより蓄電装置111が充電されるものとなっており、充電装置102は、稼働状態が維持されている。従って、充電指示ステップにより充電領域121に集まった停止状態の走行車101の蓄電装置111は、稼働状態の充電装置102により非接触で充電される(省エネ充電モード)。
【0050】
次に、省電力制御部132は、充電領域121内で停止している走行車101と通信して、蓄電装置111の蓄電情報を監視し、対象の走行車101の全ての蓄電装置111が満状態か否かを判断する(S103、満状態判断ステップ)。
【0051】
状態判断ステップにおいて、対象の走行車101の全ての蓄電装置111が満状態であると判断されると(S103:Y)、省電力制御部132は、充電装置102を停止させる(S104、充電装置停止ステップ)。
【0052】
以上によって、給電線122に電流が流れることにより給電線122が発熱することを回避することができ、発熱による電力の消費を抑制することができる。
【0053】
次に、走行車101には、制御装置や通信装置などが搭載されており、走行車101が走行していない間でも制御装置や通信装置などにより蓄電装置111に蓄えられた電力は消費される。省電力制御部132は、充電装置102が停止状態であっても、走行車101と通信して、蓄電装置111の蓄電情報を監視し、対象となる走行車101の蓄電装置111のいずれかが欠乏状態であるか否かを判断する(S105、欠乏状態判断ステップ)。
【0054】
欠乏状態判断ステップにおいて、対象の走行車101のいずれかの蓄電装置111が欠乏状態であると判断されると(S105:Y)、省電力制御部132は、充電装置102の稼働を再開させる(S106、稼働ステップ)。
【0055】
以上のフローは、走行車システム100の通常操業が再開されるまでは繰り返し実施され、省エネ充電モードが実現される。
【0056】
以上の走行車システム100、および、走行車システム100の省電力方法によれば、走行車101への充電に一定期間寄与しない状態の充電装置102の稼働を停止して給電線122の発熱による電力の消費を回避しつつ、複数の走行車101の充電状態を監視し、一つでも蓄電装置111に欠乏状態が発生すると、充電装置102の稼働を再開して蓄電装置111に充電を行うことが可能となる。従って、走行車システム100全体の省電力化を図りつつ、即座に走行車システム100の操業を再開することが可能となる。
【0057】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は、予め定められた軌道に沿って走行し、ある場所から他の場所へ荷物を搬送する搬送車システム等に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
100 走行車システム
101 走行車
102 充電装置
103 中央制御装置
104 ステーション
110 経路
111 蓄電装置
112 蓄電情報通知部
121 充電領域
122 給電線
123 給電装置
131 充電指示部
132 省電力制御部
133 走行監視部
139 通信部
図1
図2
図3
図4