(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステータ内径側加熱装置と前記支持機構により支持された前記ステータとは、前記ステータ内径側加熱装置が前記空洞部の内側と外側との何れかに配置されるように相対移動可能であることを特徴とする請求項1記載のワニス含浸装置。
前記支持機構により支持された前記ステータが、前記空洞部に前記ステータ内径側加熱装置が配置される加熱位置と前記空洞部に前記ステータ内径側加熱装置が配置されない退避位置との間で進退可能であることを特徴とする請求項2記載のワニス含浸装置。
前記ワニス滴下装置と前記支持機構により支持された前記ステータとは、前記ワニス滴下装置が該ステータの前記コイルエンド部近傍の滴下位置と退避位置との何れかに配置されるように相対移動可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のワニス含浸装置。
前記支持機構により支持された前記ステータの前記コイルエンド部近傍に配置され、該コイルエンド部を加熱するコイルエンド部加熱装置を備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項記載のワニス含浸装置。
前記予備加熱工程は、前記支持機構により支持された前記ステータの前記コイルエンド部近傍に配置されたコイルエンド部加熱装置により、該コイルエンド部を加熱する工程を含み、
前記ワニス滴下工程は、前記支持機構により支持された前記ステータの前記コイルエンド部に向けたワニスの滴下を、前記コイルエンド部加熱装置が該コイルエンド部近傍から退避された状態で実行し、
前記加熱硬化工程は、前記ステータ内径側加熱装置及び前記コイルエンド部加熱装置により、前記ステータ内径側加熱装置が前記空洞部に配置されかつ前記コイルエンド部加熱装置が前記コイルエンド部近傍に配置された状態で、前記コイルエンド部に滴下されたワニスの加熱硬化を実行することを特徴とする請求項13又は14記載のワニス含浸方法。
前記ワニス滴下工程は、前記ステータ内径側加熱装置が前記空洞部から退避され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置が前記コイルエンド部近傍から退避されつつ、前記ワニス滴下装置が該コイルエンド部近傍に配置された状態で、前記コイルエンド部に向けてワニスを滴下することを特徴とする請求項15記載のワニス含浸方法。
前記予備加熱工程は、前記ステータ内径側加熱装置が前記空洞部に配置され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置が前記コイルエンド部近傍に配置されつつ、前記ワニス滴下装置が該コイルエンド部近傍から退避された状態で、前記ステータを加熱し、
前記加熱硬化工程は、前記ステータ内径側加熱装置が前記空洞部に配置され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置が前記コイルエンド部近傍に配置されつつ、前記ワニス滴下装置が該コイルエンド部近傍から退避された状態で、前記コイルエンド部に滴下されたワニスを加熱硬化させることを特徴とする請求項16記載のワニス含浸方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明に係るワニス含浸装置及びワニス含浸方法の具体的な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例であるワニス含浸装置10の構成図を示す。尚、
図1(A)にはワニス含浸装置10の正面図を、また、
図1(B)にはワニス含浸装置10の側面図(部位によっては断面図)を、それぞれ示す。
図2は、本実施例のワニス含浸装置10の要部断面図を示す。また、
図3は、本実施例のワニス含浸装置10がワニスを滴下するステータコイルを有するステータ及びそのステータを支持する支持機構の構造並びにそのステータをその支持機構に取り付ける手法を説明するための図を示す。
【0016】
本実施例のワニス含浸装置10は、例えば三相交流モータなどの回転電機に用いられるステータ12の有するステータコイル14にワニスを含浸させる装置である。ワニスは、ステータコイル14の電気絶縁性や耐震性,耐油性,耐薬品性,放熱性などを確保するために用いられる。ステータ12は、回転子であるロータに対して径方向外側に所定のエアギャップを介して対向配置される固定子であって、ステータコイル14への通電によってロータを回転させる磁界を発生する。ステータ12は、ステータコイル14と、ステータコア16と、を備えている。
【0017】
ステータコア16は、中空円筒状に形成された部材であって、円環状に形成されるヨーク18と、軸中心に円柱状に空いた空洞部20と、ヨーク18の内周面から径方向内側(すなわち、軸中心側)に向けて突出するティース22と、を有している。ティース22は、ヨーク18の内周面に周方向に等間隔で複数設けられている。ステータコア16は、絶縁コーティングされた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されている。
【0018】
また、ステータコア16は、ヨーク18の外周面から径方向外側に向けて山型に突出する固定用耳部24を有している。固定用耳部24は、ステータコア16に周方向に複数(例えば、3つ)設けられている。固定用耳部24には、軸方向に貫通する貫通穴26が設けられている。ステータ12は、製造後、ステータコア16の固定用耳部24の貫通穴26に挿入されたボルトが固定対象に締結されることによりその固定対象に取り付け固定される。
【0019】
ステータコイル14は、上記のステータコア16に装着されている。具体的には、ステータコイル14は、周方向に隣接する2つのティース22の間に形成されたスロット内に収容されつつ、ティース22に巻回されている。上記のスロットは、ステータコア16において径方向内側へ向けて開口している。尚、ステータコイル14は、回転電機が例えば三相交流モータに適用される場合は、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの何れかを構成し、この場合、ステータコイル14であるU相コイル、V相コイル、及びW相コイルは、周方向にその順でティース22に巻回される。ステータコイル14は、ステータコア16のスロット内から軸方向両側に向けて突出するコイルエンド部14a,14bを有している。
【0020】
ワニス含浸装置10は、ステータコア16にステータコイル14が装着されたステータ12を支持する支持機構30を備えている。支持機構30は、ステータ12のステータコア16(具体的には、ヨーク18)の外面に接してそのステータ12をそのステータ12の外径側で把持する外径把持リングである。以下、支持機構30を外径把持リング30と称す。
【0021】
外径把持リング30は、支持すべきステータ12のステータコア16の外周側の軸方向両端面の間に配置されており、径方向内側(軸中心側)に向けて突出する部材によりそのステータ12を支持する。外径把持リング30は、ステータ12をその軸方向を水平方向に向けた状態で支持する。外径把持リング30は、円環状に形成されたリング部32と、ステータコア16を支持するクランプ部34と、を有している。
【0022】
リング部32は、地面に固定された枠型36に対して回転自在に支持されている。リング部32の軸中心には、円柱状に空いた空洞部38が形成されている。空洞部38は、全周に亘ってステータコア16を収容するのに必要な大きさに形成されている。具体的には、空洞部38の径すなわちリング部32の内径は、ステータコア16の固定用耳部24を含む部位の外径よりも大きくなるように設定されている。尚、リング部32の大きさを変えることで、広範囲な外径を有するステータ12に対応することが可能である。
【0023】
また、クランプ部34は、リング部32の内周面から径方向内側(軸中心側)に向けて突出する突出部34aと、リング部32の空洞部38内における径方向位置を可変できるチャック部34bと、を有している。尚、クランプ部34を構成する各部34a,34bの大きさを変えることで、様々な外径を有するステータ12に対応することが可能である。
【0024】
突出部34aは、ステータコア16の固定用耳部24を周方向両側で挟み込むことにより、そのステータコア16ひいてはステータ12をそのステータ12の外径側で把持してリング部32に対して回転不能とする役割を有している。突出部34aは、リング部32に固定されている。突出部34aは、ステータコア16の固定用耳部24を周方向で挟むように一対の突起からなり、固定用耳部24の形状に合わせて両突起がリング部32における周方向に離間した位置においてそれぞれの突起が適切な形状に形成されるように構成される。
【0025】
また、チャック部34bは、外径把持リング30へのステータ12の着脱を容易にするための役割、及び、そのステータ12を外径把持リング30に支持する役割を有している。チャック部34bは、リング部32に対して回動可能に支持される回動部34b−1と、リング部32に固定される固定部34b−2と、を有している。回動部34b−1は、湾曲した棒状に延びた部材であり、一端側がリング部32に支持固定されている。
【0026】
回動部34b−1は、リング部32に固定された一端側の支点を中心にして他端側が空洞部38内の比較的径方向内側に位置するクランプ位置(
図3において「クランプ時」に示す位置)と、その他端側が空洞部38内の比較的径方向外側に位置するアンクランプ位置(
図3において「アンクランプ時」に示す位置)と、の間で回動可能である。固定部34b−2は、回動部34b−1の回動を上記のクランプ位置と上記のアンクランプ位置との間に規制する役割を有している。
【0027】
チャック部34bは、リング部32の周方向に2箇所設けられている。各チャック部34bはそれぞれ、上記のクランプ位置において回動部34b−1の先端がリング部32の空洞部38内に収容されたステータ12のステータコア16の外周面に接触してそのステータ12を支持し、一方、上記のアンクランプ位置において回動部34b−1の先端とリング部32の空洞部38内に収容されたステータ12のステータコア16の外周面との接触が解消されてそのステータ12の支持を解除させる。リング部32の周方向に離間して設けられた2つのチャック部34bは、同期して作動される。尚、リング部32の周方向に離間して設けられた2つのチャック部34bの回動部34b−1は、バネ力などによりクランプ位置とアンクランプ位置との間で回動されるものとしてもよい。
【0028】
ワニス含浸装置10は、また、外径把持リング30を回転駆動させる回転モータ40と、外径把持リング30を支持する回転支持部材42と、を備えている。回転モータ40のハウジング及び回転支持部材42は共に、枠型36に固定されている。尚、上記の如く、リング部32の大きさを変えることで、広範囲な外径を有するステータ12に対応しようとする場合、回転支持部材42の位置を変更しなくてもある程度の範囲の外径に対応できるが、回転支持部材42の位置を変更することで広範囲な外径まで対応しつつ外径把持リング30のリング部32の回転支持を確実に行うことが可能となる。
【0029】
回転モータ40は、マイクロコンピュータを主体に構成されるコントローラからの電気的指令により回転されるものである。回転支持部材42は、外径把持リング30の下方かつ外周側に2箇所設けられており、外径把持リング30をその軸中心で回転可能に支持する部材である。回転モータ40の回転軸は、ベアリング44を介して外径把持リング30のリング部32に接続されている。
【0030】
回転モータ40の回転は、ベアリング44を介して外径把持リング30のリング部32に伝達される。外径把持リング30は、回転支持部材42により支持されつつ回転モータ40の回転により回転される。外径把持リング30が回転すると、その回転に伴ってその外径把持リング30が支持するステータ12が軸回りに回転する。外径把持リング30は、回転モータ40により回転駆動されることによって、支持するステータ12を回転させる。従って、ワニス含浸装置10において、ステータコア16にステータコイル14が装着されたステータ12は、外径把持リング30によりその外径側で把持されて支持されつつ、回転モータ40の回転により回転される。
【0031】
ワニス含浸装置10は、また、ワニス滴下装置50を備えている。ワニス滴下装置50は、外径把持リング30により支持されつつ回転モータ40により回転されたステータ12のコイルエンド部14a,14bに向けてワニスを滴下する装置である。ワニス滴下装置50は、ワニスが貯蔵されたタンクに連通する滴下ノズル52を有している。ワニス滴下装置50は、コントローラからの電気的指令によりタンク内のワニスをポンプなどで汲み上げて滴下ノズル52に供給することで、その滴下ノズル52からワニスを滴下させる。
【0032】
滴下ノズル52は、ステータ12の軸方向両端のコイルエンド部14a,14bそれぞれに2つずつ設けられている。具体的には、ワニス滴下装置50は、滴下ノズル52として、コイルエンド部14aに対応した、第1外径側滴下ノズル52a−out及び第1内径側滴下ノズル52a−inと、コイルエンド部14bに対応した、第2外径側滴下ノズル52b−out及び第2内径側滴下ノズル52b−inと、を有している。
【0033】
第1外径側滴下ノズル52a−outは、コイルエンド部14aの外径側に向けてワニスを滴下するためのものである。第1内径側滴下ノズル52a−inは、コイルエンド部14aの内径側に向けてワニスを滴下するためのものである。第2外径側滴下ノズル52b−outは、コイルエンド部14bの外径側に向けてワニスを滴下するためのものである。また、第2内径側滴下ノズル52b−inは、コイルエンド部14bの内径側に向けてワニスを滴下するためのものである。
【0034】
ワニス滴下装置50の各滴下ノズル52と外径把持リング30に支持されたステータ12とは、滴下ノズル52がそのステータ12のコイルエンド部14a,14b近傍の滴下位置とそのコイルエンド部14a,14bから外れた退避位置との何れかに配置されるように相対移動可能である。
【0035】
具体的には、各滴下ノズル52はそれぞれ、移動機構54により、枠型36に対して上下方向及び水平方向(具体的には、支持されたステータ12の軸方向)に移動可能である。移動機構54は、コントローラからの電気的指令により滴下ノズル52の移動を制御する。移動機構54は、枠型36に対して滴下ノズル52を上下方向及び水平方向に移動させることで、その滴下ノズル52を、ワニス滴下時に位置すべき滴下位置と、ワニス非滴下時に位置すべき退避位置と、の間で進退させることが可能である。
【0036】
第1及び第2外径側滴下ノズル52a−out,52b−outの滴下位置は、そのノズル先端が、外径把持リング30に支持されたステータ12のコイルエンド部14a,14bの径方向外側の、円環上部のコイルエンド部14a,14bに対する上方の領域内において、重力により降下したワニスがコイルエンド部14a,14bの外径側に滴下される位置である。
【0037】
また、第1及び第2内径側滴下ノズル52a−in,52b−inの滴下位置は、そのノズル先端が、外径把持リング30に支持されたステータ12のコイルエンド部14a,14bの径方向内側(軸中心側)の、円環下部のコイルエンド部14a,14bに対する上方の領域内において、重力により降下したワニスがコイルエンド部14a,14bの内径側に滴下される位置である。
【0038】
更に、各滴下ノズル52の退避位置は、例えば、そのノズル先端が、外径把持リング30に支持されたステータ12のコイルエンド部14a,14bの上方領域においてそのコイルエンド部14a,14bの位置から水平方向(具体的には、軸方向外側)にオフセットした領域にある位置である。
【0039】
尚、同じコイルエンド部14aにワニスを滴下するための第1外径側滴下ノズル52a−out及び第1内径側滴下ノズル52a−inは、一体化された移動機構54により同期して移動されるものであってもよい。
【0040】
例えば、この場合、移動機構54は、第1外径側滴下ノズル52a−out及び第1内径側滴下ノズル52a−inを退避位置から滴下位置へ移動させる際、その滴下ノズル52a−out,52a−inを、まず退避位置から降下移動させると共にその後に水平方向(
図1(B)において右方)に移動させる。かかる移動が行われると、第1外径側滴下ノズル52a−out及び第1内径側滴下ノズル52a−inが共に滴下位置に到達する。また、移動機構54は、滴下ノズル52a−out,52a−inを滴下位置から退避位置へ移動させる際は、上記の滴下位置への移動とは逆の順序で、その滴下ノズル52a−out,52a−inを、まず滴下位置から水平方向(
図1(B)において左方)に移動させると共にその後に上昇移動させる。かかる移動が行われると、第1外径側滴下ノズル52a−out及び第1内径側滴下ノズル52a−inが共に退避位置に到達する。
【0041】
また同様に、同じコイルエンド部14bにワニスを滴下するための第2外径側滴下ノズル52b−out及び第2内径側滴下ノズル52b−inは、一体化された移動機構54により同期して移動されるものであってもよい。
【0042】
例えば、この場合、移動機構54は、第2外径側滴下ノズル52b−out及び第2内径側滴下ノズル52b−inを退避位置から滴下位置へ移動させる際、その滴下ノズル52b−out,52b−inを、まず退避位置から降下移動させると共にその後に水平方向(
図1(B)において左方)に移動させる。かかる移動が行われると、第2外径側滴下ノズル52b−out及び第2内径側滴下ノズル52b−inが共に滴下位置に到達する。また、移動機構54は、滴下ノズル52b−out,52b−inを滴下位置から退避位置へ移動させる際は、上記の滴下位置への移動とは逆の順序で、その滴下ノズル52b−out,52b−inを、まず滴下位置から水平方向(
図1(B)において右方)に移動させると共にその後に上昇移動させる。かかる移動が行われると、第2外径側滴下ノズル52b−out及び第2内径側滴下ノズル52b−inが共に退避位置に到達する。
【0043】
ワニス含浸装置10は、また、ステータ12を加熱する2種類の加熱装置60,62を備えている。加熱装置60は、ステータ12をそのステータ12の内径側から加熱する装置である。また、加熱装置62は、ステータ12をそのステータ12の外径側及び/又は軸方向外側から加熱する装置である。以下、加熱装置60を第1の加熱装置60と、また、加熱装置62を第2の加熱装置62と、それぞれ称す。
【0044】
第1の加熱装置60は、螺旋状に延びる誘導コイル64を有している。誘導コイル64は、ステータ12の加熱時にステータコア16の空洞部20内に配置される。誘導コイル64の外径は、空洞部20の径に比べて小さい。誘導コイル64は、コントローラに電気的に接続されている。誘導コイル64は、空洞部20に挿入されている際にコントローラからの指令により流れる電流が変化することで、電磁誘導によりステータ12に渦電流が発生してそのステータ12を誘導加熱(IH)する。
【0045】
第1の加熱装置60と外径把持リング30に支持されたステータ12とは、第1の加熱装置60がそのステータ12のステータコア16の空洞部20の内側と外側との何れかに配置されるように相対移動可能である。具体的には、第1の加熱装置60は、移動機構66により、枠型36に対して水平方向(具体的には、支持されたステータ12の軸方向)に移動可能である。
【0046】
移動機構66は、コントローラからの電気的指令により第1の加熱装置60の移動を制御する。移動機構66は、第1の加熱装置60を枠型36に対して水平方向に移動させることで、誘導コイル64を、支持されたステータ12の空洞部20の内側の所定位置(誘導加熱位置)と外側の所定位置(退避位置)との間で進退させることが可能である。誘導コイル64は、支持されたステータ12の空洞部20の内側に位置する際にそのステータ12を誘導加熱することができ、一方、支持されたステータ12の空洞部20の外側に位置する際にそのステータ12の誘導加熱が不可となる。
【0047】
また、第2の加熱装置62は、熱風発生器(図示せず)に連通する熱風ノズル70を有している。熱風ノズル70は、ステータ12の軸方向両端のコイルエンド部14a,14bそれぞれに対応して設けられている。具体的には、第2の加熱装置62は、熱風ノズル70として、コイルエンド部14aに対応した熱風ノズル70aと、コイルエンド部14bに対応した熱風ノズル70bと、を有する。熱風ノズル70aは、コイルエンド部14aの周囲(外面)に向けて熱風を吹き付けるためのものである。また、熱風ノズル70bは、コイルエンド部14bの周囲(外面)に向けて熱風を吹き付けるためのものである。第2の加熱装置62は、コントローラからの指令により熱風発生器において発生した熱風を熱風ノズル70の先端からコイルエンド部14a,14bに向けて送り出すことでステータ12を熱風加熱する。
【0048】
熱風ノズル70は、ステータ12の加熱時にコイルエンド部14a,14b近傍に配置される。具体的には、その熱風ノズル70の先端がコイルエンド部14a,14bの外径端と軸方向外側端との角部に対して径方向外側かつ軸方向外側に位置するように配置される。ステータ12の加熱時、熱風ノズル70の先端は、コイルエンド部14a,14bの外径端と軸方向外側端との角部に向く。熱風ノズル70aは、コイルエンド部14aの周囲に等間隔で複数(例えば、8個)設けられている。また、熱風ノズル70bは、コイルエンド部14bの周囲に等間隔で複数(例えば、8個)設けられている。
【0049】
熱風ノズル70aの外周側には、円筒状のカバー72aが取り付けられている。カバー72aは、すべての熱風ノズル70aを外周側から囲うように形成されている。具体的には、すべての熱風ノズル70aは、カバー72aの軸方向端面を軸方向に貫通しつつカバー72aの側面の内側においてその先端がコイルエンド部14aの上記角部に向くように構成される。カバー72aは、ステータ12の加熱時にコイルエンド部14aを外周側から覆うように配置され、熱風ノズル70aからの熱風を外部に逃がし難くしてステータ12(特にコイルエンド部14a)を加熱し易くする機能を有する。
【0050】
また同様に、熱風ノズル70bの外周側には、円筒状のカバー72bが取り付けられている。カバー72bは、すべての熱風ノズル70bを外周側から囲うように形成されている。具体的には、すべての熱風ノズル70bは、カバー72bの軸方向端面を軸方向に貫通しつつカバー72bの側面の内側においてコイルエンド部14bの上記角部に向くように構成される。カバー72bは、ステータ12の加熱時にコイルエンド部14bを外周側から覆うように配置され、熱風ノズル70bからの熱風を外部に逃がし難くしてステータ12(特にコイルエンド部14b)を加熱し易くする機能を有する。
【0051】
第2の加熱装置62の熱風ノズル70aと外径把持リング30に支持されたステータ12とは、熱風ノズル70aがそのステータ12のステータコア16のコイルエンド部14a近傍の位置とそのコイルエンド部14aから外れた位置との何れかに配置されるように相対移動可能である。具体的には、第2の加熱装置62の熱風ノズル70aは、リンク部74を介して枠型36に対して回動可能かつ移動可能に支持されている。リンク部74の一端側には熱風ノズル70aが取り付けられており、リンク部74の他端側は枠型36に支持固定されている。熱風ノズル70a及びリンク部74は、移動機構76により、枠型36に対して支点Cを中心にして回動可能であると共に水平方向(具体的には、支持されたステータ12の軸方向)に移動可能である。支点Cの軸方向は、外径把持リング30に支持されるステータ12の軸方向と同じである。移動機構76は、コントローラからの電気的指令により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aの移動を制御する。
【0052】
移動機構76は、枠型36に対してリンク部74を回動させると共に水平方向に移動させることで、熱風ノズル70aを、コイルエンド部14aの外面への熱風吹き付け時に位置すべき熱風加熱位置と、熱風非吹き付け時に位置すべき退避位置(
図1(A)において破線で示す領域)と、の間で進退させることが可能である。この熱風加熱位置は、すべての熱風ノズル70aの先端がコイルエンド部14aの外径端と軸方向外側端との角部に対して径方向外側かつ軸方向外側に位置するものである。また、この退避位置は、例えば、上記の熱風加熱位置に対して径方向外側かつ軸方向外側にオフセットした位置である。
【0053】
例えば、移動機構76は、熱風ノズル70aを退避位置から熱風加熱位置へ移動させる際、リンク部74を、まず退避位置から支点Cを中心にして所定方向(
図1(A)において右回り方向)へ回動させると共にその後に水平方向(
図1(B)において右方)に移動させる。かかる回動及び移動が行われると、熱風ノズル70aが熱風加熱位置に到達する。また、移動機構76は、熱風ノズル70aを熱風加熱位置から退避位置へ移動させる際は、上記の熱風加熱位置への回動及び移動とは逆の順序で、リンク部74を、まず熱風加熱位置から水平方向(
図1(B)において左方)に移動させると共にその後に支点Cを中心にして所定方向(
図1(A)において左回り方向)へ回動させる。
【0054】
また、第2の加熱装置62の熱風ノズル70bは、上記の第1の加熱装置60に一体に取り付けられている。熱風ノズル70bは、上記した移動機構66により、第1の加熱装置60と共に、枠型36に対して水平方向(具体的には、支持されたステータ12の軸方向)に移動可能である。移動機構66は、コントローラからの電気的指令により第1の加熱装置60の移動を制御する際に同時に第2の加熱装置62の熱風ノズル70bの移動を制御する。
【0055】
移動機構66は、第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを枠型36に対して水平方向に移動させることで、その熱風ノズル70bを、コイルエンド部14bの外面への熱風吹き付け時に位置すべき熱風加熱位置と、熱風非吹き付け時に位置すべき退避位置と、の間で進退させることが可能である。この熱風加熱位置は、すべての熱風ノズル70bの先端がコイルエンド部14bの外径端と軸方向外側端との角部に対して径方向外側かつ軸方向外側に位置するものである。また、この退避位置は、例えば、上記の熱風加熱位置に対して径方向外側かつ軸方向外側にオフセットした位置である。
【0056】
熱風ノズル70が退避位置に位置するときは、コイルエンド部14a,14bに熱風が吹き付けられないので、ステータ12の加熱は行われない。一方、熱風ノズル70が熱風加熱位置に位置するときは、コイルエンド部14a,14bの外面に熱風ノズル70からの熱風が吹き付けられるので、ステータ12が加熱される。
【0057】
尚、ワニス含浸装置10の、外径把持リング30、ワニス滴下装置50、第1及び第2の加熱装置60,62、並びに枠型36は、一つの箱体の内部に設置されている。
【0058】
次に、
図4〜
図7を参照して、本実施例のワニス含浸装置10によるステータコイル14へのワニス含浸手法について説明する。
図4は、本実施例のワニス含浸装置10の、ステータ12の取り付け時における動作図を示す。
図5は、本実施例のワニス含浸装置10の、支持されたステータ12の予備加熱時における動作図を示す。
図6は、本実施例のワニス含浸装置10の、支持されたステータ12のコイルエンド部14a,14bへのワニス滴下時における動作図を示す。また、
図7は、本実施例のワニス含浸装置10の、コイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスの加熱硬化時における動作図を示す。尚、
図4(A)、
図5(A)、
図6(A)、及び
図7(A)には正面図を、また、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)、及び
図7(B)には側面図(部位によっては断面図)を、それぞれ示す。
【0059】
本実施例において、ワニス含浸装置10は、ステータ12の有するステータコイル14にワニスを含浸させるのに、(1)外径把持リング30によりステータ12を外径側で支持させるステータ取付工程と、(2)支持されたステータ12を予備加熱する予備加熱工程と、(3)予備加熱されたステータ12のコイルエンド部14a,14bにワニスを滴下するワニス滴下工程と、(4)コイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスを加熱硬化する加熱硬化工程と、の各工程をその順に実施する。
【0060】
ワニス含浸装置10は、ステータ取付工程では、まず、
図4に示す如く、移動機構54によりワニス滴下装置50の各滴下ノズル52を退避位置に位置させ、移動機構66により第1の加熱装置60及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを退避位置に位置させると共に、移動機構76により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを退避位置に位置させる。そして、外径把持リング30のチャック部34bの回動部34b−1をアンクランプ位置に回動させたうえで、ワークであるステータ12が、そのステータコア16の固定用耳部24が一対の突起部34aで周方向に挟まれるように軸方向外側(
図4(B)において左側)からその外径把持リング30にセットされた後に、その回動部34b−1をクランプ位置に回動させる。
【0061】
かかる状態が実現されると、外径把持リング30のリング部32の空洞部38内に収容されたステータ12は、ステータコア16の固定用耳部24が一対の突起部34aで周方向に挟まれつつ、ステータコア16の外周面が回動部34b−1の先端に接して支持されることで、その外径把持リング30によりステータ12の外径側で把持されて支持される状態となる。
【0062】
ワニス含浸装置10のコントローラは、上記ステータ取付工程においてステータ12が外径把持リング30により外径側で支持されると、次に、予備加熱工程を実施する。予備加熱工程では、まず、
図5に示す如く、ワニス滴下装置50の各滴下ノズル52を退避位置に位置させたまま、移動機構66により第1の加熱装置60及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを誘導加熱位置又は熱風加熱位置へ移動させ、かつ、移動機構76により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを熱風加熱位置へ移動させると共に、回転モータ40を回転させる。
【0063】
かかる位置移動が実現されると、外径把持リング30に支持されているステータ12の空洞部20内に、第1の加熱装置60の誘導コイル64が挿入されると共に、そのステータ12のコイルエンド部14a,14bの外周側(具体的には、そのコイルエンド部14a,14の外径端と軸方向外側端との角部に対して径方向外側かつ軸方向外側)に、第2の加熱装置62の熱風ノズル70がその先端をコイルエンド部14a,14bの上記角部に向けた状態で配置される。また、回転モータ40が回転されると、ステータ12を支持する外径把持リング30が回転支持部材42に支持されながら枠型36に対して回転されるので、ステータ12も枠型36に対して回転される。
【0064】
そして、予備加熱工程では、次に、第1の加熱装置60の誘導コイル64に電流を供給すると共に、第2の加熱装置62の熱風発生器を作動させる。かかる状態が実現されると、外径把持リング30に支持されているステータ12が誘導コイル64により誘導加熱されると共に、そのステータ12(主に、コイルエンド部14a,14b)がコイルエンド部14a,14bの外面(具体的には、上記角部)に熱風ノズル70からの熱風が直接に吹き付けられること或いは熱風ノズル70からの熱風によってカバー72a,72b内の空間が温度上昇することにより熱風加熱される。
【0065】
かかるステータ12の予備加熱が行われると、その後にそのステータ12のステータコイル14にワニスが滴下された場合にそのステータコイル14に付着するワニスの粘性を下げることができ、その結果として、ステータコイル14へのワニスの浸透を促進することが可能となる。
【0066】
ワニス含浸装置10のコントローラは、上記予備加熱工程においてステータ12が予備加熱されると、次に、ワニス滴下工程を実施する。ワニス滴下工程では、まず、
図6に示す如く、移動機構66により第1の加熱装置60及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを退避位置へ移動させ、かつ、移動機構76により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを退避位置へ移動させると共に、その後、移動機構54によりワニス滴下装置50の各滴下ノズル52を滴下位置へ移動させる。
【0067】
かかる位置移動が実現されると、第1の加熱装置60の誘導コイル64が外径把持リング30に支持されているステータ12の空洞部20の内側から外側へ退避され、第2の加熱装置62の熱風ノズル70がそのステータ12のコイルエンド部14a,14bの近傍から退避されると共に、各滴下ノズル52それぞれがそのコイルエンド部14a,14bの上方の滴下位置に配置される。
【0068】
そして、ワニス滴下工程では、次に、ポンプなどを作動させてタンク内のワニスを滴下ノズル52に向けて供給する。かかる状態が実現されると、外径把持リング30に支持されているステータ12のコイルエンド部14a,14bに向けて滴下ノズル52からワニスが滴下される。この際、ステータ12は外径把持リング30の回転に伴って枠型36に対して回転されているので、ワニスの滴下はコイルエンド部14a,14bの全周に亘って均等に行われる。またこの際、ステータ12は予備加熱工程において予備加熱されているので、コイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスは、ステータコイル14に浸透し易くなる。
【0069】
尚、ワニス滴下時におけるステータ12の回転は、その回転方向がステータ12の機種に応じて変更されるものであってもよく、また、順回転と逆回転とを繰り返し揺動運動させるものであってもよい。この場合、分布巻や集中巻などの巻線の種類や、細丸線、平角線などのコイル種類などに応じて様々なステータ12に対応可能である。
【0070】
ワニス含浸装置10のコントローラは、上記ワニス滴下工程においてステータコイル14のコイルエンド部14a,14bにワニスが滴下されると、次に、加熱硬化工程を実施する。加熱硬化工程では、まず、
図7に示す如く、移動機構54によりワニス滴下装置50の各滴下ノズル52を退避位置へ移動させると共に、その後、移動機構66により第1の加熱装置60及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを誘導加熱位置又は熱風加熱位置へ移動させ、かつ、移動機構76により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを熱風加熱位置へ移動させる。
【0071】
かかる位置移動が実現されると、各滴下ノズル52それぞれがコイルエンド部14a,14bの上方の滴下位置から退避されると共に、外径把持リング30に支持されているステータ12の空洞部20内に、第1の加熱装置60の誘導コイル64が挿入され、かつ、そのステータ12のコイルエンド部14a,14bの外周側(具体的には、そのコイルエンド部14a,14の外径端と軸方向外側端との角部に対して径方向外側かつ軸方向外側)に、第2の加熱装置62の熱風ノズル70がその先端をコイルエンド部14a,14bの上記角部に向けた状態で配置される。
【0072】
そして、加熱硬化工程では、次に、第1の加熱装置60の誘導コイル64に電流を供給すると共に、第2の加熱装置62の熱風発生器を作動させる。かかる状態が実現されると、外径把持リング30に支持されているステータ12が誘導コイル64により誘導加熱されると共に、そのステータ12(主に、コイルエンド部14a,14b)がコイルエンド部14a,14bの外面(具体的には、上記角部)に熱風ノズル70からの熱風が直接に吹き付けられること或いは熱風ノズル70からの熱風によってカバー72a,72b内の空間が温度上昇することにより熱風加熱される。かかるステータ12の加熱が行われると、コイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスが加熱されて硬化される。
【0073】
ワニス含浸装置10のコントローラは、上記加熱硬化工程においてステータ12のコイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスが加熱硬化されると、次に、移動機構66により第1の加熱装置60及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを退避位置へ移動させると共に、移動機構76により第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを退避位置へ移動させる。かかる位置移動が実現されると、ワニス滴下装置50の各滴下ノズル52が退避位置に位置したまま、第1の加熱装置60の誘導コイル64及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70が退避位置へ退避される。
【0074】
そして、かかる状況から外径把持リング30のチャック部34bの回動部34b−1をアンクランプ位置に回動させる。かかる状態が実現されると、回動部34b−1の先端と外径把持リング30のリング部32の空洞部38内に収容されたステータ12のステータコア16の外周面との接触が解消されるので、ステータ12の外径側での支持が解除される。この場合は、外径把持リング30のリング部32の空洞部38内から、ワニスが含浸したステータ12を取り出すことができる。尚、このステータ12の取り出しはそのステータ12の冷却後のタイミングで行われるのが好適である。
【0075】
このように、本実施例のワニス含浸装置10においては、リング部32が地面に固定された枠型36に対して回転自在に支持された外径把持リング30によりステータ12をそのステータ12の外径側で支持させると共に回転させつつ、その支持されたステータ12をワニス滴下前に予備加熱させ、その後、その予備加熱されたステータ12のコイルエンド部14a,14bにワニスを滴下させ、そして、そのコイルエンド部14a,14bに滴下されたワニスを加熱硬化させることができる。
【0076】
すなわち、ステータコイル14にワニスを含浸させるうえで必要な予備加熱工程→ワニス滴下工程→加熱硬化工程の一連の工程を、ステータ12を同じ位置で外径把持リング30に支持させかつ回転させながら実施することができる。この点、本実施例によれば、ステータコイル14にワニスを含浸させるすべての工程を同一箇所で実施することができるので、各工程間を繋ぐ搬送機構を設けることは不要であり、設備の簡素化・省スペース化・低コスト化を図ることができる。
【0077】
また、本実施例のワニス含浸装置10において、軸中心に空洞部20が形成されたステータ12は、その空洞部20側(内径側)で支持されるものではなく、その外径側で外径把持リング30により把持されるものであって、ステータコア16の軸方向両端面の間において支持される。かかる構造においては、ステータ12を支持するうえで、ステータ12の内径側の空洞部20内に支持部材や支持機構を配置することは不要である。
【0078】
このため、ワニス含浸装置10においては、ステータ12の加熱時にステータ12の内径側の空洞部20内に第1の加熱装置60の誘導コイル64を挿入配置することができるので、ステータ12をそのステータ12の内径側から加熱することが可能である。従って、ステータ12を効率的・効果的に加熱することができる。
【0079】
また、ワニス含浸装置10においては、ステータ12の加熱時にステータ12のコイルエンド部14a,14bの外周側に第2の加熱装置62を配置することができるので、ステータ12を外径側から加熱することが可能である。従って、ステータ12の加熱をそのステータ12の内径側及び外径側の双方から行うことができるので、ステータ12全体を効率的・効果的に加熱することができる。
【0080】
このため、本実施例によれば、ステータ12の予備加熱を行ううえでの加熱時間及びワニスの加熱硬化を行ううえでの加熱時間を短縮させることができるので、ステータ12を製造するうえでの生産性を向上させることができる。
【0081】
また、ワニス含浸装置10においては、ステータ12の加熱時にステータ12の内径側の空洞部20内に挿入配置する第1の加熱装置60の誘導コイル64を、そのステータコア16の内径面にできるだけ接近させることができる。このため、本実施例によれば、誘導コイルによる誘導加熱を、ヨーク18の外周面に径方向外側に向けて突出する固定用耳部24が存在するステータ12の外径側から行うものに比べて、ステータ12の誘導加熱を効率的・効果的に行うことができるので、上記加熱時間を短縮させ或いはステータ12を所望温度まで加熱するうえでのエネルギを低減させることができる。
【0082】
また、ワニス含浸装置10において、ワニス滴下装置50を用いたステータコイル14へのワニス含浸は、ステータ12が外径把持リング30によりステータ12の外径側で把持されてステータコア16の軸方向両端面の間において支持された状態で行われる。かかる構造においては、ワニス滴下装置50によるワニス含浸時に、ステータ12の内径側の空洞部20内に支持部材や支持機構を挿入配置することは不要であり、また、その空洞部20内にステータ12を加熱する加熱装置を挿入配置したままとすることは不要である。このため、本実施例によれば、外径把持リング30に支持されたステータ12から溢れて垂れたワニスがその外径把持リング30を含む支持機構や加熱装置などに付着するのを防止することができる。
【0083】
また、ワニス含浸装置10において、ワニス滴下装置50を用いたステータコイル14へのワニス含浸及びそのワニス含浸後のワニス加熱硬化は、枠型36に対してステータ12を回転させた状態で行われる。このため、本実施例によれば、ステータ12に滴下されたワニスをそのステータ12内に浸透し易くすることができ、そのワニスが溢れて直下に垂れて例えば誘導コイル64に付着するのを防止することができる。
【0084】
尚、上記の実施例においては、回転モータ40が特許請求の範囲に記載した「回転装置」に、外径把持リング30が特許請求の範囲に記載した「支持機構」に、第1の加熱装置60が特許請求の範囲に記載した「ステータ内径側加熱装置」に、第2の加熱装置62が特許請求の範囲に記載した「コイルエンド部加熱装置」に、それぞれ相当している。
【0085】
ところで、上記の実施例においては、ステータ12の予備加熱工程、ワニス滴下工程、及び加熱硬化工程の何れの工程でも、ワークであるステータ12を枠型36に対して回転させることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともワニス滴下工程においてステータ12を枠型36に対して回転させることとすればよい。
【0086】
また、上記の実施例においては、ワニス滴下工程においてワニス滴下装置50の滴下ノズル52をステータ12のコイルエンド部14a,14bの内径側及び外径側の双方に配置する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、コイルエンド部14a,14bの外径側上方のみに配置することとしてもよいし、また、コイルエンド部14a,14bの内径側のみに配置することとしてもよい。
【0087】
また、上記の実施例においては、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52を移動機構54により枠型36に対して上下方向及び水平方向に移動可能とすることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、滴下ノズル52を枠型36に対して上下方向のみに移動可能とすることとしてもよい。また、コイルエンド部14a,14bの外径側上方のみに滴下ノズル52を配置する変形例においては、その滴下ノズル52を枠型36に対して上下方向のみに移動可能とすることとしてもよいし、また、その滴下ノズル52を枠型36に対して固定して上下方向に移動不可能とすることとしてもよい。
【0088】
また、上記の実施例においては、第1の加熱装置60の誘導コイル64及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bを移動機構66により枠型36に対して水平方向のみに移動可能とすることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、誘導コイル64及び熱風ノズル70bを枠型36に対して水平方向及び上下方向の双方に移動可能とすることとしてもよい。
【0089】
また、上記の実施例においては、第2の加熱装置62の熱風ノズル70aを移動機構76により枠型36に対して回動可能かつ水平方向に移動可能とすることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、熱風ノズル70aを枠型36に対して水平方向のみに移動可能とすることとしてもよい。
【0090】
また、上記の実施例においては、第1の加熱装置60の誘導コイル64及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bの双方を共通の移動機構66により枠型36に対して移動可能とすることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の加熱装置60の誘導コイル64及び第2の加熱装置62の熱風ノズル70bをそれぞれ独立して枠型36に対して移動可能とすることとしてもよい。
【0091】
また、上記の実施例においては、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52を移動機構54により、退避位置から滴下位置への移動時にステータ12の上方から降下移動させて滴下位置へ進入させると共に、また、滴下位置から退避位置への移動時にその滴下位置から上昇移動させることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、逆に、
図8に示す如く、滴下ノズル52を退避位置から滴下位置への移動時にステータ12の下方から上昇移動させて滴下位置へ進入させると共に、また、滴下位置から退避位置への移動時にその滴下位置から降下移動させることとしてもよい。
【0092】
また、上記の実施例においては、外径把持リング30を地面に固定された枠型36に対して回転可能に保持しつつ、第1の加熱装置60を移動機構66により誘導加熱位置と退避位置との間で進退させることにより、第1の加熱装置60と外径把持リング30に支持されたステータ12とを、第1の加熱装置60がそのステータコア16の空洞部20の内側と外側との何れかに配置されるように相対移動可能とすることとしている。
【0093】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の加熱装置60と外径把持リング30に支持されたステータ12とを相対移動させる構造として、第1の加熱装置60を固定しつつ、外径把持リング30及びその外径把持リング30に支持されたステータ12を移動機構により、空洞部20に第1の加熱装置60が配置される誘導加熱位置と空洞部20に第1の加熱装置60が配置されない退避位置との間で進退させるものを用いることとしてもよい。
【0094】
例えば、
図9〜
図11に示す如く、第1の加熱装置60を固定しつつ、外径把持リング30及びその外径把持リング30に支持されたステータ12を移動機構100により、空洞部20に第1の加熱装置60が配置される誘導加熱位置と空洞部20に第1の加熱装置60が配置されない退避位置との間で進退させることとしてもよい。かかる変形例においても、上記の実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0095】
尚、
図9(A)、
図10(A)、及び
図11(A)にはワニス含浸装置10のステータ取り付け時における動作図を、
図9(B)、
図10(B)、及び
図11(B)にはワニス含浸装置10のステータ予備加熱時における動作図を、また、
図9(C)、
図10(C)、及び
図11(C)にはワニス含浸装置10のワニス滴下時における動作図を、それぞれ示す。
【0096】
また、上記した外径把持リング30に支持されたステータ12が移動機構100により誘導加熱位置と退避位置との間で進退される変形例においては、
図9に示す如く、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52が、退避位置から滴下位置への移動時に、そのステータ12が移動機構100により退避位置に退避されている状態でステータ12の上方から降下移動されて滴下位置へ進入されると共に、また、滴下位置から退避位置への移動時にその滴下位置から上昇移動されることとしてもよい。
【0097】
また、上記の変形例においては、
図10に示す如く、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52が、退避位置から滴下位置への移動時に、そのステータ12が移動機構100により誘導加熱位置に配置されている状態でステータ12の上方から降下移動されて滴下位置へ進入されると共に、また、滴下位置から退避位置への移動時にその滴下位置から上昇移動されることとしてもよい。
【0098】
また、上記の変形例においては、
図11に示す如く、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52が、退避位置から滴下位置への移動時に、そのステータ12が移動機構100により誘導加熱位置に配置されている状態でステータ12の下方から上昇移動されて滴下位置へ進入されると共に、また、滴下位置から退避位置への移動時にその滴下位置から降下移動されることとしてもよい。
【0099】
また、上記の実施例においては、外径把持リング30を地面に固定された枠型36に対して回転可能に保持しつつ、ワニス滴下装置50の滴下ノズル52を移動機構54により滴下位置と退避位置との間で進退させることにより、ワニス滴下装置50と外径把持リング30に支持されたステータ12とを、滴下ノズル52がそのステータ12のコイルエンド部14a,14b近傍の滴下位置とそのコイルエンド部14a,14bから外れた退避位置との何れかに配置されるように相対移動可能とすることとしている。
【0100】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ワニス滴下装置50と外径把持リング30に支持されたステータ12とを相対移動させる構造として、ワニス滴下装置50を固定しつつ、外径把持リング30に支持されたステータ12を移動機構により滴下位置と退避位置との間で進退させるものを用いることとしてもよい。
【0101】
更に、上記の実施例は、軸中心に円柱状の空洞部20が空いた、ロータに対して径方向外側に所定のエアギャップを介して対向配置されるステータ12を備えるインナーロータ型の回転電機に適用するものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、軸中心に円柱状の空洞部が空いたステータを備えるものであれば、そのステータがロータに対して径方向内側に所定のエアギャップを介して対向配置されるアウターロータ型の回転電機に適用するものであってもよい。
【0102】
尚、以上の実施例に関し、更に以下を開示する。
【0103】
[1]スロットが径方向内側へ向けて開口してなるステータコア(16)に装着されたステータコイル(14)にワニスを含浸させるワニス含浸装置(10)であって、前記ステータコア(16)に前記ステータコイル(14)が装着されたステータ(12)を、該ステータ(12)の外径側で把持しつつ該ステータ(12)の軸方向を水平方向に向けた状態で支持すると共に、回転装置(40)に回転駆動されることによって該ステータ(12)を回転させる支持機構(30)と、前記支持機構(30)により支持されつつ回転する前記ステータ(12)のコイルエンド部(14a,14b)に向けてワニスを滴下するワニス滴下装置(50)と、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の前記ステータコア(16)の軸中心に空いた空洞部(20)に配置され、該ステータ(12)を該ステータ(12)の内径側から加熱するステータ内径側加熱装置(60)と、を備えるワニス含浸装置(10)。
【0104】
上記[1]記載の構成によれば、ステータ(12)がステータ内径側加熱装置(60)によりそのステータ(12)の内径側から加熱されるので、そのステータ(12)を効率的・効果的に加熱することができる。また、ステータ(12)が支持機構(30)によりそのステータ(12)の外径側で把持されて支持されるので、ワニスがステータ(12)の支持機構(30)に付着するのを防止することができる。
【0105】
[2]上記[1]記載のワニス含浸装置(10)において、前記支持機構(30)は、前記ステータコア(16)の外周側の軸方向両端面の間に配置されるワニス含浸装置(10)。
【0106】
[3]上記[1]又は[2]記載のワニス含浸装置(10)において、前記ステータ内径側加熱装置(60)と前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)とは、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)の内側と外側との何れかに配置されるように相対移動可能であるワニス含浸装置(10)。
【0107】
上記[3]記載の構成によれば、ステータ内径側加熱装置(60)によるステータ(12)の加熱時に、ステータ内径側加熱装置(60)をステータコア(16)の空洞部(20)の内側に配置させると共に、ワニス滴下装置(50)によるワニス含浸時に、ステータ内径側加熱装置(60)をステータコア(16)の空洞部(20)の外側に配置させることができるので、ワニス滴下装置(50)によるワニス含浸後にワニスがステータ内径側加熱装置(60)に付着するのを防止することができる。
【0108】
[4]上記[3]記載のワニス含浸装置(10)において、前記ステータ内径側加熱装置(60)が、前記空洞部(20)の内側と外側との間で進退可能であるワニス含浸装置(10)。
【0109】
[5]上記[3]記載のワニス含浸装置(10)において、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)が、前記空洞部(20)に前記ステータ内径側加熱装置(60)が配置される加熱位置と前記空洞部(20)に前記ステータ内径側加熱装置(60)が配置されない退避位置との間で進退可能であるワニス含浸装置(10)。
【0110】
[6]上記[1]乃至[5]の何れか一項記載のワニス含浸装置(10)において、前記ワニス滴下装置(50)と前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)とは、前記ワニス滴下装置(50)が該ステータ(12)の前記コイルエンド部(14a,14b)近傍の滴下位置と退避位置との何れかに配置されるように相対移動可能であるワニス含浸装置(10)。
【0111】
[7]上記[6]記載のワニス含浸装置(10)において、前記ワニス滴下装置(50)が、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の前記コイルエンド部(14a,14b)近傍の滴下位置と退避位置との間で進退可能であるワニス含浸装置(10)。
【0112】
[8]上記[7]記載のワニス含浸装置(10)において、前記ワニス滴下装置(50)の退避位置は、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の下方であるワニス含浸装置(10)。
【0113】
[9]上記[1]乃至[8]の何れか一項記載のワニス含浸装置(10)において、前記支持機構(30)は、前記ワニス滴下装置(50)によるワニス滴下時と前記ステータ内径側加熱装置(60)によるステータ加熱時とで同じ位置にあるワニス含浸装置(10)。
【0114】
[10]上記[1]乃至[9]の何れか一項記載のワニス含浸装置(10)において、前記ステータ内径側加熱装置(60)は、前記ステータ(12)を誘導加熱する誘導コイル(64)を有するワニス含浸装置(10)。
【0115】
上記[10]記載の構成によれば、ステータ内径側加熱装置(60)を用いたステータ(12)の内径側からの加熱を誘導加熱により実現することができる。
【0116】
[11]上記[1]乃至[10]の何れか一項記載のワニス含浸装置(10)において、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の前記コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置され、該コイルエンド部(14a,14b)を加熱するコイルエンド部加熱装置(62)を備えるワニス含浸装置(10)。
【0117】
上記[11]記載の構成によれば、コイルエンド部(14a,14b)に滴下されたワニスを加熱硬化させることができる。
【0118】
[12]上記[11]記載のワニス含浸装置(10)において、前記コイルエンド部加熱装置(62)は、前記コイルエンド部(14a,14b)の外面に向けて熱風を吹き付けることにより該コイルエンド部(14a,14b)を加熱するワニス含浸装置(10)。
【0119】
[13]上記[1]乃至[12]の何れか一項記載のワニス含浸装置(10)において、前記支持機構(30)は、前記ステータコア(16)に設けられた径方向外側に向けて突出する固定用耳部(24)の両端を挟むことにより前記ステータ(12)を支持するワニス含浸装置(10)。
【0120】
[14]スロットが径方向内側へ向けて開口してなるステータコア(16)に装着されたステータコイル(14)にワニスを含浸させるワニス含浸方法であって、支持機構(30)により外径側で把持されつつ軸方向を水平方向に向けた状態で支持された、前記ステータコア(16)に前記ステータコイル(14)が装着されたステータ(12)を、該ステータコア(16)の軸中心に空いた空洞部(20)に配置されたステータ内径側加熱装置(60)により、該ステータ(12)の内径側から加熱する予備加熱工程と、前記予備加熱工程における加熱後、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)から退避された状態で、前記支持機構(30)により外径側で把持されつつ軸方向を水平方向に向けた状態で支持されると共に、回転装置(40)による前記支持機構(30)の回転駆動に伴って回転する前記ステータ(12)のコイルエンド部(14a,14b)に向けて、ワニス滴下装置(50)によりワニスを滴下するワニス滴下工程と、前記ワニス滴下工程におけるワニス滴下後、前記支持機構(30)により前記ステータ(12)が該ステータ(12)の外径側で把持されつつ軸方向を水平方向に向けた状態で支持され、かつ、該ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)に配置された状態で、前記コイルエンド部(14a,14b)に滴下されたワニスを、前記ステータ内径側加熱装置(60)により加熱硬化させる加熱硬化工程と、を備えるワニス含浸方法。
【0121】
上記[14]記載の構成によれば、ステータ(12)の予備加熱時及びワニスの加熱硬化時、ステータ(12)がステータ内径側加熱装置(60)によりそのステータ(12)の内径側から加熱されるので、そのステータ(12)を効率的・効果的に加熱することができる。また、ステータ(12)が支持機構(30)によりそのステータ(12)の外径側で把持されて支持されるので、ワニスがステータ(12)の支持機構(30)に付着するのを防止することができる。
【0122】
[15]上記[14]記載のワニス含浸方法において、前記支持機構(30)は、前記ワニス滴下装置(50)によるワニス滴下時と前記ステータ内径側加熱装置(60)によるステータ加熱時とで同じ位置にあるワニス含浸方法。
【0123】
[16]上記[14]又は[15]記載のワニス含浸方法において、前記予備加熱工程は、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の前記コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置されたコイルエンド部加熱装置(62)により、該コイルエンド部(14a,14b)を加熱する工程を含み、前記ワニス滴下工程は、前記支持機構(30)により支持された前記ステータ(12)の前記コイルエンド部(14a,14b)に向けたワニスの滴下を、前記コイルエンド部加熱装置(62)が該コイルエンド部(14a,14b)近傍から退避された状態で実行し、前記加熱硬化工程は、前記ステータ内径側加熱装置(60)及び前記コイルエンド部加熱装置(62)により、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)に配置されかつ前記コイルエンド部加熱装置(62)が前記コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置された状態で、前記コイルエンド部(14a,14b)に滴下されたワニスの加熱硬化を実行するワニス含浸方法。
【0124】
上記[16]記載の構成によれば、ステータ内径側加熱装置(60)と共にコイルエンド部加熱装置(62)を用いて、ステータ(12)の予備加熱及びワニスの加熱硬化を行うことができる。
【0125】
[17]上記[14]乃至[16]の何れか一項記載のワニス含浸方法において、前記予備加熱工程及び前記加熱硬化工程は共に、前記回転装置(40)による前記支持機構(30)の回転駆動に伴って回転する前記ステータ(12)を加熱するワニス含浸方法。
【0126】
[18]上記[17]記載のワニス含浸方法において、前記ワニス滴下工程は、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)から退避され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置(62)が前記コイルエンド部(14a,14b)近傍から退避されつつ、前記ワニス滴下装置(50)が該コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置された状態で、前記コイルエンド部(14a,14b)に向けてワニスを滴下するワニス含浸方法。
【0127】
[19]上記[18]記載のワニス含浸方法において、前記予備加熱工程は、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(22)に配置され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置(62)が前記コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置されつつ、前記ワニス滴下装置(50)が該コイルエンド部(14a,14b)近傍から退避された状態で、前記ステータ(12)を加熱し、前記加熱硬化工程は、前記ステータ内径側加熱装置(60)が前記空洞部(20)に配置され、かつ、前記コイルエンド部加熱装置(62)が前記コイルエンド部(14a,14b)近傍に配置されつつ、前記ワニス滴下装置(50)が該コイルエンド部(14a,14b)近傍から退避された状態で、前記コイルエンド部(14a,14b)に滴下されたワニスを加熱硬化させるワニス含浸方法。
【0128】
尚、本国際出願は、2013年(平成25年)7月12日に出願した日本国特許出願2013−146981号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願2013−146981号の全内容を本国際出願に援用する。