特許第6137409号(P6137409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137409
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20170522BHJP
   F24F 13/24 20060101ALI20170522BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20170522BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F24F7/007 B
   F24F13/24 245
   F24F7/00 A
   F24F11/02 S
   F24F11/02 102H
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-528805(P2016-528805)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2014066816
(87)【国際公開番号】WO2015198418
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩志郎
(72)【発明者】
【氏名】小前 草太
(72)【発明者】
【氏名】斎木 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】志賀 彰
(72)【発明者】
【氏名】久下 洋介
(72)【発明者】
【氏名】明里 好孝
(72)【発明者】
【氏名】乳井 一夫
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−296524(JP,A)
【文献】 特開2010−249385(JP,A)
【文献】 特開2006−314365(JP,A)
【文献】 特開2012−032047(JP,A)
【文献】 特開2000−233109(JP,A)
【文献】 特開昭63−286629(JP,A)
【文献】 特開2009−000589(JP,A)
【文献】 特開2010−286125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0215516(US,A1)
【文献】 特開2011−118068(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02209111(EP,A1)
【文献】 米国特許第06633646(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
F24F 11/02
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸込む吸込口と当該空気を吹出す第一吹出口及び第二吹出口とを有するケーシングと、
前記吸込口から前記ケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を前記第一吹出口から吹出す第一送風手段と、
前記吸込口から前記ケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を前記第二吹出口から吹出す第二送風手段と、
前記ケーシングの内部を流れる空気を清浄化する清浄化手段と、
前記第一吹出口及び第二吹出口から吹出す空気の風向を変更することが可能な風向可変機構と、
室内に存在する人を検出する人検出手段と、
前記第一送風手段、前記第二送風手段、及び前記風向可変機構を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記人検出手段により人が検出されたときに、前記風向を人がいる方向に向ける風向制御を実行し、前記第一送風手段と前記第二送風手段の回転数に回転数差を設ける回転数制御を実行し、
前記風向可変機構は、
前記第一吹出口から吹出す空気の第一風向を変更することが可能な第一風向可変機構と、
前記第二吹出口から吹出す空気の第二風向を変更することが可能な第二風向可変機構と、を含み、
前記制御手段は、前記人検出手段により第一人及び第二人を含む複数の人が検出されたときに、前記風向制御において、前記第一風向を前記第一人がいる方向に向け、且つ前記第二風向を前記第二人がいる方向に向ける構成とした空気清浄機。
【請求項2】
室内の空気を吸込む吸込口と当該空気を吹出す第一吹出口及び第二吹出口とを有するケーシングと、
前記吸込口から前記ケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を前記第一吹出口から吹出す第一送風手段と、
前記吸込口から前記ケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を前記第二吹出口から吹出す第二送風手段と、
前記ケーシングの内部を流れる空気を清浄化する清浄化手段と、
前記第一吹出口及び第二吹出口から吹出す空気の風向を変更することが可能な風向可変機構と、
室内に存在する人を検出する人検出手段と、
前記第一送風手段、前記第二送風手段、及び前記風向可変機構を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記人検出手段により人が検出されたときに、前記風向を人がいる方向に向ける風向制御を実行し、前記第一送風手段と前記第二送風手段の回転数に回転数差を設ける回転数制御を実行し、
前記制御手段は、前記回転数制御において、前記第一送風手段及び第二送風手段の何れか一方の回転を停止させる構成とした空気清浄機。
【請求項3】
前記人検出手段は、室内に存在する人の位置を検出可能に構成され、
前記制御手段は、前記第一人が前記第二人よりも遠くに位置する場合に、前記回転数制御において、前記第一送風手段の回転数が前記第二送風手段の回転数よりも高くなるように前記回転数差を設ける構成とした請求項に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ケーシングを水平方向に回転可能な水平回転機構を備えて成る請求項1から請求項3の何れか1項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第一送風手段を前記ケーシングの内部において支持するための第一支持部材と、
前記第二送風手段を前記ケーシングの内部において支持するための第二支持部材と、
を備え、
前記第一支持部材は前記第二支持部材と別体に構成されて成る請求項1から請求項の何れか1項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記第一送風手段と第一支持部材との間、及び前記第二送風手段と第二支持部材との間に、それぞれ防振部材を介在させて成る請求項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記吸込口から前記第一送風手段に至る第一吸込風路と、
前記吸込口から前記第二送風手段に至る第二吸込風路と、
前記第一送風手段から前記第一吹出口に至る第一排気風路と、
前記第二送風手段から前記第二吹出口に至る第二排気風路と、
を備え、
前記第一吸込風路の風路長が前記第二吸込風路の風路長の整数倍となるか、又は前記第一排気風路の風路長が前記第二排気風路の風路長の整数倍となるように構成されて成る請求項1から請求項の何れか1項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のファンを備えた空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、複数のファンを用いたファンフィルター装置において、各ファンのモータの回転数を制御することでうなり音の発生を抑える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2004−205095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の空気清浄機では、うなり音の抑制のためにファン回転数を制御している。しかしながら、ファン回転数を変化させると風量及び風速も変化する。このため、風量又は風速を考慮せずにファン回転数を変化させると、送風対象領域である在室する人の周囲等への送風が不十分となり、本来の目的である空気の清浄化が非効率となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、運転音を抑制しつつ在室する人の周囲の空気を効率的に清浄化することが可能な空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る空気清浄機は、室内の空気を吸込む吸込口と当該空気を吹出す第一吹出口及び第二吹出口とを有するケーシングと、吸込口からケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を第一吹出口から吹出す第一送風手段と、吸込口からケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を第二吹出口から吹出す第二送風手段と、ケーシングの内部を流れる空気を清浄化する清浄化手段と、第一吹出口及び第二吹出口から吹出す空気の風向を変更することが可能な風向可変機構と、室内に存在する人を検出する人検出手段と、第一送風手段、第二送風手段、及び風向可変機構を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、人検出手段により人が検出されたときに、風向を人がいる方向に向ける風向制御を実行し、第一送風手段と第二送風手段の回転数に回転数差を設ける回転数制御を実行し、風向可変機構は、第一吹出口から吹出す空気の第一風向を変更することが可能な第一風向可変機構と、第二吹出口から吹出す空気の第二風向を変更することが可能な第二風向可変機構と、を含み、制御手段は、人検出手段により第一人及び第二人を含む複数の人が検出されたときに、風向制御において、第一風向を第一人がいる方向に向け、且つ第二風向を第二人がいる方向に向ける構成としたものである。
また、この発明に係る空気清浄機は、室内の空気を吸込む吸込口と当該空気を吹出す第一吹出口及び第二吹出口とを有するケーシングと、吸込口からケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を第一吹出口から吹出す第一送風手段と、吸込口からケーシングの内部に空気を吸込み、当該空気を第二吹出口から吹出す第二送風手段と、ケーシングの内部を流れる空気を清浄化する清浄化手段と、第一吹出口及び第二吹出口から吹出す空気の風向を変更することが可能な風向可変機構と、室内に存在する人を検出する人検出手段と、第一送風手段、第二送風手段、及び風向可変機構を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、人検出手段により人が検出されたときに、風向を人がいる方向に向ける風向制御を実行し、第一送風手段と第二送風手段の回転数に回転数差を設ける回転数制御を実行し、制御手段は、回転数制御において、第一送風手段及び第二送風手段の何れか一方の回転を停止させる構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、室内に人が検出された場合に、風向が人の居る方向に向けられるとともに第一送風手段と第二送風手段の回転数に回転数差が設けられる。これにより、運転音を抑制しつつ在室する人の周囲の空気を効率的に清浄化することが可能な空気清浄機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1による空気清浄機を示す斜視図である。
図2図1中の空気清浄機を示す縦断面図である。
図3】可動ルーバ及び整流機構の作動状態(a),(b)を示す図1中の要部拡大図である。
図4】本発明の実施の形態1による空気清浄機の制御系統を示す構成図である。
図5】本発明の実施の形態2による空気清浄機を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。なお、各図中において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化ないし省略する。また、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1による空気清浄機を示す斜視図である。また、図2は、図1中の空気清浄機を示す縦断面図である。これらの図に示すように、本実施の形態の空気清浄機1は、床面設置型の空気清浄機として構成されている。空気清浄機1は、ケーシング2、台座3、吸込口4、第一吹出口5A,第二吹出口5B、第一送風手段6A,第二送風手段6B、風路7A,7B、清浄化手段8、可動ルーバ9A,9B、ルーバ駆動部10A,10B、開口可変機構11、開口駆動部12、整流機構13A,13B、整流駆動部14、水平回転機構15、及び制御手段23等を備えている。なお、以下の説明において、第一吹出口5A,第二吹出口5B、第一送風手段6A,第二送風手段6B、風路7A,7B、可動ルーバ9A,9B、ルーバ駆動部10A,10B、及び整流機構13A,13Bのそれぞれを特に区別しないときには、それぞれ吹出口5、送風手段6、風路7、可動ルーバ9、ルーバ駆動部10、及び整流機構13と表記する場合がある。
【0011】
ケーシング2は、例えば略四角形の角筒状に形成され、部屋の床面に設置される台座3により水平方向に回転可能な状態で支持されている。ケーシング2の内部空間のうち、吸込口4から吹出口5に至る空間には、図2に示すように、清浄化手段8、送風手段6及び風路7が上流から下流に向けて順に配置されている。なお、以下の説明では、ケーシング2の側面部のうち、主として室内の空間に面して配置される部分を正面部と表記し、正面部と対向する部分を背面部と表記する。また、ケーシング2の正面部が面した方向を前方と表記し、前方からみたケーシング2の左右両側に対応する方向を左右方向と表記し、更に、場合によっては鉛直方向を上下方向と表記する。空気清浄機1は、例えば部屋の何れかの壁に近い位置で床面上に設置され、ケーシング2の背面部を当該壁面に向けると共にケーシング2の正面部を室内の空間に向けた状態で使用される。
【0012】
吸込口4は、室内の空気をケーシング2の内部に吸込むための開口部であり、例えばケーシング2の正面部に設けられている。吹出口5は、ケーシング2の内部に吸込まれた空気を外部に吹出すための開口部であり、例えばケーシング2の上面部に開口した2個の第一吹出口5A,第二吹出口5Bにより構成されている。2個の第一吹出口5A,第二吹出口5Bは、ケーシング2の左右方向に沿って互いに並行に延びている。なお、吹出口5から吹出す空気は「吹出し空気」と表記する場合がある。また、本発明では、吸込口4を、ケーシング2の背面部、側面部、下面部等に配置してもよいし、吹出口5を、ケーシング2の正面部、側面部等に配置してもよい。さらに、ケーシング2には3個以上の吹出口5を配置してもよい。
【0013】
送風手段6は、吸込口4からケーシング2の内部に空気を吸込んで当該空気を吹出口5から吹出すもので、2個の第一送風手段6A,第二送風手段6Bにより構成されている。第一送風手段6A,第二送風手段6Bは、当該送風手段の本体部分であるファン61A,61Bと、ファン61A,61Bを回転させる電動式のモータ62A,62Bと、モータ62A,62Bの回転数を検知する回転数センサ63A,63Bをそれぞれ備えている。ファン61A,61Bの回転数は、制御手段23により制御されるもので、当該回転数に応じて吹出し空気の風量が変更される。ケーシング2の内部には、図2に示すように、例えば2個の第一送風手段6A,第二送風手段6Bが前後方向に位置をずらした状態で、上下方向に並べて配置されている。この際、第一送風手段6A,第二送風手段6Bのモータ62A,62Bは、別体として構成された個別の第一支持部材,第二支持部材(何れも図示せず)に防振部材を介して取り付けられている。第一送風手段6A,第二送風手段6Bが駆動されると、モータ62A,62Bで発生する電磁振動、及びファン61A,61Bの回転に伴い発生する風によってファンケーシングで生じる振動が発生する。上述した第一送風手段6A,第二送風手段6Bの取り付け構造によれば、防振部材によって第一送風手段6A,第二送風手段6Bの個々の振動が抑制されるとともに、各第一送風手段6A,第二送風手段6Bにおいて発生した上記振動が互いに伝播することが抑制される。
【0014】
また、ケーシング2の内部には、送風手段6と吹出口5とを接続し、送風手段6から吹出された空気を吹出口5に案内する風路7が設けられている。風路7は、ケーシング2の内部に設けられた隔壁2Aにより、正面側の風路7Aと背面側の風路7Bとに分割されている。2つの風路7A,7Bは、ケーシング2の内部で上下方向に伸長し、例えば水平断面で見ると、前後方向に並列に配置されている。
【0015】
風路7A,7Bの下部側は、それぞれ異なる送風手段6に接続され、風路7A,7Bの上部側は、それぞれ第一吹出口5A,第二吹出口5Bに接続されている。即ち、空気清浄機1は、一方の送風手段6から風路7Aを介して第一吹出口5Aに到達する第1の送風系統と、他方の送風手段6から風路7Bを介して第二吹出口5Bに到達する第2の送風系統とを備えており、これらの送風系統では、風量、風向及び風速を別々に制御することができる。
【0016】
このように、実施の形態1では、ケーシング2の内部に隔壁2Aを配置し、2個の風路7A,7Bを前後方向に並列に形成している。また、2個の第一送風手段6A,第二送風手段6Bのうち、少なくとも図2中の上側に位置する一方の第一送風手段6Aは、ファン61Aの内部にモータ62Bの一部が埋込まれたモータ内蔵型の送風手段により構成されている。これにより、ケーシング2の内部に2つの送風系統を効率よく形成しながら、空気清浄機1の設置面積を小型化することができ、小型で高性能な空気清浄機1を実現することができる。
【0017】
清浄化手段8は、ケーシング2の内部を通過する空気を清浄化するもので、例えば吸込口4と送風手段6との間に設けられている。ここで、「清浄化」とは、例えば空気中に浮遊する塵埃、煙、花粉、ウイルス、カビ、菌、アレルゲン、臭気分子等からなる汚染物質を除去することを意味するもので、具体的には、これらの汚染物質を捕集、不活性化、吸着又は分解する動作を意味している。本実施の形態の清浄化手段8は、このような清浄化が可能な手段として、例えば空気中の塵埃等を捕集する集塵フィルタ、臭気成分を吸着する脱臭フィルタ、電極に高電圧を印加することで汚染物質を除去及び分解する電圧印加デバイス等により構成されるか、またはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0018】
空気の流れ方向において清浄化手段8の上流側には、ケーシング2の内部に吸込んだ汚染物質の量を検知する汚れ検出手段20が設けられている。汚れ検出手段20は、例えば埃センサ、ガスセンサ、風速センサ等により構成されるか、または、これらのセンサを組合わせた複合型センサにより構成されている。汚れ検出手段20によれば、空気清浄機1により特定の方向に空気を吹出し、この方向から還流してくる空気中の汚染物質の量を検出することにより、特定の方向における空気の汚れ度合を検出することができる。
【0019】
図3は、可動ルーバ及び整流機構の作動状態(a),(b)を示す図1中の要部拡大図である。可動ルーバ9A,9Bは、図2及び図3に示すように、吹出し空気の風向を上下方向に揺動させるもので、ケーシング2の個々の第一吹出口5A,第二吹出口5Bに設けられている。詳しく述べると、可動ルーバ9A,9Bは、例えばケーシング2の左右方向に延在する細長い平板等により形成されている。そして、可動ルーバ9A,9Bの基端側は、第一吹出口5A,第二吹出口5Bにそれぞれ設けられたルーバ駆動部10A,10Bを介して個々の第一吹出口5A,第二吹出口5Bに取付けられ、可動ルーバ9A,9Bの先端側は、ルーバ駆動部10A,10Bにより上下方向に揺動可能となっている。また、2個の可動ルーバ9A,9Bは、第一吹出口5A,第二吹出口5Bから吹出す空気のそれぞれの風向である第一風向,第二風向を個別に変更可能に構成されている。なお、本実施の形態では、2個の可動ルーバ9A,9Bを備える場合を例示したが、本発明は、吹出口5の個数に応じて3個以上の可動ルーバ9を備える構成としてもよい。
【0020】
可動ルーバ9A,9Bは、上下方向に揺動することにより、当該揺動角に応じて吹出し空気の風向を前方と上方との間で上下方向にスイングさせる。風向の仰角は、可動ルーバ9の仰角とほぼ等しい角度に変更される。なお、本明細書において、「仰角」とは、床面と平行な水平方向を基準として、上方に傾斜した角度を意味している。即ち、仰角=0°は水平方向を表し、仰角=90°は鉛直方向の真上を表している。
【0021】
ルーバ駆動部10A,10Bは、可動ルーバ9A,9Bを揺動可能に支持する支軸と、この支軸を回転させるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。可動ルーバ9A,9B及びルーバ駆動部10A,10Bは、吹出し空気の風向を上下方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。開口可変機構11は、図2に示すように、例えば片方の可動ルーバ9と前後方向で対向する位置に設けられ、当該可動ルーバ9と協働して第一吹出口5Aの開口面積を変更するものである。なお、図1及び図3では、後述の整流機構13を明示するために、開口可変機構11の図示を省略している。また、図2では、一方の第一吹出口5Aのみに開口可変機構11を配置する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、他方の第二吹出口5Bのみ、または第一吹出口5A及び第二吹出口5Bの両方に開口可変機構11を配置する構成としてもよい。
【0022】
開口可変機構11は、例えばケーシング2の左右方向に延在する細長い平板等により形成されている。開口可変機構11の基端部は、ルーバ駆動部10とほぼ同様の構成を有する開口駆動部12を介して第一吹出口5Aに取付けられている。開口可変機構11の先端部は、開口駆動部12により前後方向に揺動され、可動ルーバ9に対して近接及び離間するように変位する。これにより、開口可変機構11は、第一吹出口5Aの開口面積を増減させ、当該開口面積に応じて吹出し空気の風速を変更することができる。なお、開口可変機構11は、吹出口5ではなく風路7A,7Bの一方または両方に配置し、風路7の開口面積(つまり流路面積)を変更する機構としてもよい。
【0023】
整流機構13A(第一風向可変機構),整流機構13B(第二風向可変機構)は、可動ルーバ9により設定された風向の仰角を保持した状態で、第一吹出口5A,第二吹出口5Bから吹出す空気の風向を左右方向に独立して調整する風向可変機構である。整流機構13A,13Bは、図2及び図3に示すように、例えば略三角形状(又は扇形状)のフィンにより形成され、各可動ルーバ9の受風面側から突出すると共に、左右方向に間隔をもって複数個配置されている。そして、個々の整流機構13A,13Bは、図3(a),(b)に示すように、左右方向に揺動し、当該揺動角に応じて吹出し空気の風向を左右方向に変化させる。
【0024】
また、整流機構13A,13Bの揺動動作は、例えば可動ルーバ9に設けられた整流駆動部14(図4にのみ図示)により実行される。すなわち、整流機構13及び整流駆動部14は、吹出し空気の風向を左右方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。
【0025】
水平回転機構15は、図1及び図2に示すように、ケーシング2と台座3との間に設けられ、ケーシング2を台座3上で少なくとも左右方向に回転させるものである。吹出口5の向きは、ケーシング2と共に水平方向に変化するので、水平回転機構15は、吹出し空気の風向を左右方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。
【0026】
また、ケーシング2の正面上部側には人検出手段21が設けられている。人検出手段21は、室内に存在する人を検出する手段として機能するものである。人検出手段21は、赤外線を利用して人を検出する人検出センサとしての赤外線センサ40と、当該赤外線センサ40の向きをケーシング2に対して水平方向(つまり左右方向の両側)に回転駆動させるセンサ水平回転機構としてのセンサ稼動部44とを備えている。なお、人検出手段21の詳細については後述する。
【0027】
(制御系統)
次に、図4等を参照して、空気清浄機1の制御系統について説明する。図4は、本発明の実施の形態1による空気清浄機の制御系統を示す構成図である。空気清浄機1は、赤外線センサ40、回転数センサ63及び汚れ検出手段20を含むセンサ系統と、空気清浄機1を操作するための操作部22と、空気清浄機1の運転状態を制御する制御手段23とを備えている。
【0028】
一方、操作部22は、空気清浄機1のユーザが各種の設定及び運転の切換を行うときに操作するもので、空気清浄機1を起動及び停止するための電源スイッチと、空気清浄機1の運転状態等を表示する表示部とを備えている。また、操作部22は、制御手段23に対して双方向の通信が可能な状態で接続されている。
【0029】
制御手段23は、空気清浄機1の運転状態を制御するもので、図示しない演算処理装置、入出力ポート及び記憶回路等を備えている。制御手段23の入力側には、図4に示すように、赤外線センサ40、回転数センサ63及び汚れ検出手段20を含むセンサ系統が接続されている。制御手段23の出力側には、送風手段6、清浄化手段8、ルーバ駆動部10、開口駆動部12、整流駆動部14、水平回転機構15、センサ稼動部44等を含むアクチュエータが接続されている。そして、制御手段23は、センサ系統の出力に基いてアクチュエータを制御することにより、空気清浄機1を作動させる。
【0030】
次に、空気清浄機1の基本的な動作について説明する。空気清浄機1の作動時には、まず、制御手段23により送風手段6及び清浄化手段8が駆動される。これにより、ケーシング2の吸込口4から内部に空気が吸込まれ、この空気は、清浄化手段8により清浄化される。そして、清浄化された空気は、各送風手段6及び風路7A,7Bを経由して第一吹出口5A,第二吹出口5Bに到達し、第一吹出口5A,第二吹出口5Bからそれぞれ外部に送風される。このとき、本実施の形態の空気清浄機1の制御手段23は、人検出手段21を用いて室内に居る人の方向を検出する人検出制御、及び検出された人の頭上のエリアに吹出風が送風されるように可動ルーバ9、整流機構13、水平回転機構15、送風手段6等を駆動する風向制御を行う。以下、人検出手段21の構成、人検出制御、及び風向制御について順に説明する。
【0031】
(人検出手段の構成)
人検出手段21は、赤外線センサ40とセンサ稼動部44とを備えている。赤外線センサ40は、検出対象物から発生する赤外線を検出するものである。受光素子の個数は単数でも複数としてもよい。
【0032】
センサ稼動部44は、赤外線センサ40の向きをケーシング2に対して水平方向に回転可能に構成されている。センサ稼動部44は、例えば、赤外線センサ40の回転駆動角度を正確に調整可能なステッピングモータが用いられ、上述した水平回転機構15の動作とは独立して制御可能に構成される。人検出手段21は、センサ稼動部44により赤外線センサ40の向き(検出方向)を左右方向に回転駆動する動作を繰り返し行うことにより、室内の温度検出対象範囲を左右方向に走査して温度を順に検出する。
【0033】
(人検出制御)
次に、制御手段23により実行される人検出制御について説明する。制御手段23は、人検出手段21を用いて室内の壁又は床の熱画像データを取得し、当該熱画像データに基づいて室内に在室する人の検出を行う。
【0034】
このような人検出手段21の構成によれば、赤外線センサ40の左右方向の可動範囲において、熱画像データを時間毎に比較することにより、室内空間内に現れた人の方向及び単独の人か複数の人かを検出することができる。
【0035】
なお、人検出手段21は、必ずしも赤外線センサ40により構成する必要はなく、室内に居る人の方向及びその高さを検出可能なセンサであれば、汚れセンサ、動体センサ、距離センサ、湿度センサ、又は照度センサ等、またはこれらのセンサと赤外線センサ40とを組み合わせることにより構成してもよい。ここで、汚れセンサ(埃センサ)は、半導体素子、光学素子等により構成され、空気中の塵埃、煙、花粉等の濃度を検出する。距離センサは、例えば超音波センサ、光センサ、画像認識センサ等の非接触式センサにより構成され、音波または電磁波を利用して、空気清浄機1と検出対象物との距離を検出する。検出対象物には、室内における壁、天井、家具、人、動物等が含まれる。照度センサは、照度の変化に基づいて、室内における人及び動物の有無、動き等を検出する。また、湿度センサの出力は、上記各センサの感度を湿度に応じて補正するときに用いられる。なお、上記各センサの組合わせは一例に過ぎず、本発明は、上記各センサの組合わせによる人検出手段に限定されるものではない。
【0036】
(風向制御)
次に、制御手段23により実行される風向制御について説明する。本実施の形態の空気清浄機では、人検出手段21によって単独の人が検出されるか複数の人が検出されるかによって、異なる風向制御を実行する。先ず、人検出手段21によって単独の人が検出された場合の風向制御について説明する。制御手段23は、人検出手段21の赤外線センサ40により取得された熱画像データに基づいて、室内に単独の人が存在すると判断した場合に、当該検出された人の方向へ向けた風向制御を実行する。この風向制御では、先ず、空気清浄機1の正面部を人の方向に向けるために必要な水平方向の回転角度θ1を算出する。次に、制御手段23は、水平回転機構15によりケーシング2を回転角度θ1だけ回転させる。これにより、吹出口5は、水平方向において人がいる方向に向いた状態となる。
【0037】
このとき、送風手段6は、回転数センサ63A,63Bによって検知されるモータ62A,62Bの回転数が同回転数となるように制御される。これにより、第一吹出口5A,第二吹出口5Bから室内に在室する人に吹出風が送風される。
【0038】
また、上記風向制御により人の送風エリアに送風が行われている間、制御手段23は、汚れ検出手段20を用いて、吸込口4から吸い込まれる空気の汚れ度合を常に検出している。そして、制御手段23は、検出された汚れ度合が閾値以下となったか否かを判定する。ここで、閾値は、空気が清浄されたことを示す汚れ度合の閾値として予め設定された値が用いられる。その結果、検出された汚れ度合が閾値以下となったと判定された場合には、現在の風向のエリアの空気は十分に清浄化されたと判断できるので、当該風向に対する風向制御を終了する。次に、制御手段23は、他の人が居るか否かを判定する。その結果、室内に他の人が居ると判定された場合には、次に、当該他の人を対象とした風向制御を実行する。これにより、例えば、他の人が途中で入室した場合であっても当該他の人の方向に対して順次送風を行うことができる。
【0039】
一方、室内に他の人が在室していないと判定された場合には、送風を継続しつつ水平回転機構15を駆動させて吹出し空気の風向を変更し、汚れ検出手段20によって閾値よりも大きな汚れ度合が検出される風向があるか否かを確認する。その結果、汚れ度合が閾値よりも大きな値となる風向が存在する場合には、当該風向に向けて重点的に吹出し空気の送風を行う第二風向制御を行う。一方、汚れ度合が閾値よりも大きな値となる風向が存在しない場合には、空気清浄機1の水平回転機構15を初期位置に戻して風量を下げた運転を行う。このような制御を行うことにより、室内に人が居ない場合であっても汚れ度合が大きいエリアの空気を重点的に清浄化することができる。
【0040】
ところで、上述した風向制御では、人検出制御によって検出された在室している人の方向に基づいて、風向を調整することとしているが、在室している人が室内を移動することも想定される。そこで、人検出制御は常に動作させて在室している人の動きを常に監視し、在室している人が移動した場合にはそれを受けて風向制御の送風エリアも変更することが望ましい。これにより、在室している人が移動した場合であっても、在室する人に対して不快感を与えることなく、人の周囲の空気を効率的に清浄化することが可能となる。
【0041】
次に、人検出手段21によって複数の人が検出された場合の風向制御について説明する。制御手段23は、人検出手段21の赤外線センサ40により取得された熱画像データに基づいて、室内に複数の人(例えば、第一人及び第二人)が存在すると判断した場合に、複数方向への風向制御を実行する。この風向制御では、先ず、第一吹出口5Aから吹出す空気の水平方向が第一人の方向となり且つ第二吹出口5Bから吹出す空気の水平方向が第二人の方向となるように、空気清浄機1の水平方向の回転角度θ1、および整流機構13A,13Bの揺動角を算出する。なお、このような風向を実現するための回転角度θ1と揺動角との組み合わせは複数存在するが、何れの組み合わせを採用してもよい。但し、整流機構13A,13Bによる風向の調整は人の真上へ精度よく送風することが難しく左右方向にズレが生じ易い。また、整流機構13A,13Bによる風向の調整は、特に左右端へ送風する際の圧力損失が大きいという特徴もある。このため、複数方向への風向制御においては、これらの特性を勘案しつつ第一人及び第二人への水平方向の風向を高精度に実現可能な回転角度θ1及び揺動角を適宜採用すればよい。次に、制御手段23は、水平回転機構15によりケーシング2を回転角度θ1回転させるとともに、整流機構13A,13Bを算出された揺動角に動作させる。これにより、第一吹出口5Aは水平方向において第一人がいる方向に向いた状態となり、且つ、第二吹出口5Bは水平方向において第二人がいる方向に向いた状態となる。
【0042】
このとき、回転数センサ63A,63Bによって検知されるモータ62A,62Bの回転数に差がつくように、送風手段6の回転数制御が実行される。このような回転数差としては、各第一送風手段6A,第二送風手段6Bから発生する流体音の波長又は振幅の合成波による音が人の耳に聞こえづらい周波数帯となるように設定される。例えば、モータ62の回転数Nとファン61の羽根枚数Zから決定されるNZ音が打ち消し合う波長となる回転数差に設定される。これにより、送風手段6から発生する耳障りなうなり音の発生を抑制することができるので、使用者に不快感を与えることなく空気の清浄化を行うことが可能となる。なお、上述した回転数差は、送風手段6から発生する運転音が低減されるのであればNZ音が打ち消し合う波長となる回転数差に限られない。
【0043】
なお、モータ62A,62Bの回転数に回転数差を設ける場合には、第一人と第二人のうち空気清浄機1から遠い場所に位置する人への送風に対応するモータの回転数が他方よりも大きくなるように回転数差を設けることが好ましい。これにより、より遠い場所の人への送風の風量及び風速を増加させることができるので、運転音を低減させるとともに人の周囲の空気の清浄化を効率よく行うことが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態の空気清浄機によれば、吹出口5から吹出される清浄空気を直接人に当てずに且つ人の方向に送風させることができる。この際、吹出風は高速であるため、人の居るエリアから空気清浄機1の吸込口4への誘引気流が発生する。また、吹出風は清浄された空気であるため、周囲との濃度勾配による気流も発生する。これにより、人の居るエリアの埃を吸込口4へ有効に誘引して人の周囲を優先的に浄化することができる。
【0045】
また、本実施の形態の空気清浄機によれば、風向制御において、整流機構13及び水平回転機構15によって左右方向の風向を調整し、可動ルーバ9によって上下方向の風向を調整することとしている。これにより、風向制御を高精度に行うことができるので、在室している人に対して常に同じ効果を安定して提供することが可能となる。
【0046】
また、本実施の形態の空気清浄機によれば、整流機構13を左右別の方向へ向けることで室内の左右方向に広がった気流を発生させることができる。これにより、複数人の人が在室し、人のいるエリアが広い場合にもその頭上への送風を広く網羅することができる。
【0047】
また、本実施の形態の空気清浄機によれば、人検出手段21による人検出制御が風向制御とは個別に動作するように構成されている。このため、風向を変化させずに広い範囲で人を検知することができる。また、風向制御の実行中に常に人を見張ることができるので、人の動作に対して柔軟に対応することができる。
【0048】
また、本実施の形態の空気清浄機によれば、風向制御において、モータ62A,62Bに回転数差が設けられるので、送風手段6の運転音を低減しつつ人の周囲の空気の清浄化を効率よく行うことができる。
【0049】
ところで、人検出手段21では、例えば人が椅子等に座っている場合に、足元を検知することができないことが想定される。また、人検出手段21では、例えば家具に体が隠れてしまう場合には、誤って人が居ないと判断してしまうことが想定される。このような人検出手段21による誤検出があると、意図する風向制御が行われずに空気清浄動作を効率よく行うことができないおそれがある。そこで、本実施の形態1の空気清浄機では、家の間取り又は障害物に関する室内情報を入力する手段を備える構成としてもよい。より詳しくは、例えば室内の家具、窓又は扉の位置、又は部屋の広さ等の室内情報を入力しておく室内情報取得手段を備え、この入力された情報を用いて風向制御における風向を補正することとしてもよい。
【0050】
なお、上述した室内情報取得手段は、データを直接入力する形態に限らず、例えば、人検出手段21に超音波センサ等を合わせて持たせることとし、間取り情報をセンシングする構成でもよい。また、公知の通信手段によって、スマートフォン又はパソコン等の外部機器と連動可能な構成とし、これらの外部機器から通信によって間取り情報を取得する形態でもよい。また、通信手段には、他の製品からのセンシング情報又は動作情報、位置情報を受信可能な機能を持たせることが望ましい。これにより、例えばエアコンにて高い位置から得た人情報を取得し、家具に隠れた人を見つけるような動作が可能となる。また、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、又はTV等の動作情報又は位置情報を取得し、人以外の熱源を予め把握しておくことで、誤検知を防止することも可能となる。
【0051】
また、上述した実施の形態の空気清浄機では、単独の人が検出された場合の風向制御において、回転数センサ63A,63Bによって検知されるモータ62A,62Bの回転数が同回転数となるように送風手段6の回転数制御を行うこととしたが、複数の人が検知された場合の風向制御と同様にモータ62A,62Bの回転数に回転数差を設けることとしてもよい。また、回転数差を設ける構成として、例えば、モータ62A,62Bの何れか一方を停止させることとしてもよい。これにより、単独の人が検出された場合の風向制御においても、運転音を低減させることが可能となる。
【0052】
また、上述した実施の形態の空気清浄機では、風向制御において、風向が人の高さよりも上方の送風エリアに向くように、上下方向における可動ルーバ9の仰角θ2を設定することとしたが、上下方向の風向はこれに限られない。すなわち、左右方向の風向を人に向けるとともに回転数センサ63A,63Bによって検知されるモータ62A,62Bの回転数に回転数差を設けることとすれば、少なくとも送風手段6から発生する耳障りなうなり音の発生を抑制しつつ人の周囲の空気を清浄化する効果を奏することができる。
【0053】
実施の形態2.
図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2による空気清浄機を示す縦断面図である。この図に示すように、本発明の実施の形態2の空気清浄機は、上述した図1に示す空気清浄機1と同様の構成を備えている。但し、本実施の形態2の空気清浄機では、風路7Aと風路7Bとの風路長比率に特徴を有している。
【0054】
風路7Aは、第一送風手段6Aと清浄化手段8との間に構成される第一吸込風路71Aと、第一送風手段6Aと第一吹出口5Aとの間に形成された第一排気風路72Aと、により構成されている。また、風路7Bは、第二送風手段6Bと清浄化手段8との間に構成される第二吸込風路71Bと、第一送風手段6Aと第二吹出口5Bとの間に形成された第二排気風路72Bと、により構成されている。そして、第二排気風路72Bの風路長Hは、第一排気風路72Aの風路長Hの整数倍(例えば2倍)とされる。また、第二吸込風路71Bの風路長Dは、第一吸込風路71Aの風路長Dの整数倍(例えば2倍)とされる。
【0055】
上述した風路構成によれば、第一吸込風路71A,第二吸込風路71B、第一排気風路72A,第二排気風路72Bを流れる空気によって発生する空間共鳴音を、音波位相の関係から互いに打ち消すことができる。これにより、送風手段6の駆動によって発生する音が風路内で共鳴する際に、風路間で増幅せずに抑制しあうので、運転音を効果的に抑制することが可能となる。
【0056】
ところで、上述した実施の形態2の空気清浄機では、第一吸込風路71A,第二吸込風路71Bの風路長及び第一排気風路72A,第二排気風路72Bの風路長の両方を整数倍の関係に構成することとしたが、第一吸込風路71A,第二吸込風路71Bの風路長又は第一排気風路72A,第二排気風路72Bの風路長のみを整数倍にすることでもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態2の空気清浄機の風路構成は、実施の形態1の空気清浄機の制御と組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 空気清浄機、2 ケーシング、2A 隔壁、3 台座、4 吸込口、5 吹出口、5A 第一吹出口、5B 第二吹出口、6 送風手段、6A 第一送風手段、6B 第二送風手段、61,61A,61A ファン、62,62A,62B モータ、7,7A,7B 風路、8 清浄化手段、9,9A,9B 可動ルーバ(風向変更手段)、10,10A,10B ルーバ駆動部、11 開口可変機構、12 開口駆動部、13,13A,13B 整流機構(風向変更手段)、14 整流駆動部、15 水平回転機構(風向変更手段)、20 汚れ検出手段、21 人検出手段、22 操作部、23 制御手段、40 赤外線センサ、44 センサ稼動部
図1
図2
図3
図4
図5