特許第6137432号(P6137432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137432ボイラ管の補強装置、ボイラ管の補強方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6137432
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ボイラ管の補強装置、ボイラ管の補強方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/10 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   F22B37/10 602C
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-502915(P2017-502915)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2016059589
【審査請求日】2017年1月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松村 栄郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀高
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5579943(JP,B1)
【文献】 特開2014−114882(JP,A)
【文献】 特開2014−25493(JP,A)
【文献】 特開2014−5862(JP,A)
【文献】 実開平1−76823(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接部を含むボイラ管を補強する補強装置であって、
帯形状を呈し、前記ボイラ管の前記溶接部を含む領域に巻き付けられて溶接により固定される第1鋼板と、
前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の一方の半周分に亘る外周面に対して面接触する形状を呈する第1補強部材と、
前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の他方の半周分に亘る外周面に対して面接触をする形状を呈し、前記第1補強部材とともに前記第1鋼板の外周面を覆う第2補強部材と、
前記ボイラ管を挟んで前記第1補強部材及び前記第2補強部材を結合する結合部材と、
を備えることを特徴とするボイラ管の補強装置。
【請求項2】
前記第1補強部材及び前記第2補強部材の夫々の肉厚は、前記ボイラ管の長手方向に沿う方向の両端に向かうに従って一定の割合で薄くなる
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の補強装置。
【請求項3】
前記第1補強部材及び前記第2補強部材で前記配管のエルボー部を補強する場合、前記第1補強部材及び前記第2補強部材における前記ボイラ管の長手方向に沿う方向の夫々の長さは、前記エルボー部の長さよりも長く設定される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボイラ管の補強装置。
【請求項4】
前記結合部材は、
前記第1補強部材における前記ボイラ管の長手方向に沿う方向の両側に設けられ、複数の第1孔を有する第1フランジと、
前記第2補強部材における前記ボイラ管の長手方向に沿う方向の両側に設けられ、複数の第2孔を有する第2フランジと、
前記第1フランジ及び前記第2フランジが重なり合った状態で前記複数の第1孔及び前記複数の第2孔に挿入される複数のボルトと、
前記複数のボルトに螺号される複数のナットと、
を含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のボイラ管の補強装置。
【請求項5】
板形状を呈し、前記第1鋼板と前記第1補強部材及び第2補強部材との間に介在し、前記ボイラ管に巻き付けられる第2鋼板を備え、
第2鋼板は、前記ボイラ管に巻き付け易くなるように、前記ボイラ管の長手方向に沿って形成されるとともに、前記ボイラ管の周方向に沿って一定の間隔で形成される複数の折曲部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のボイラ管の補強装置。
【請求項6】
前記第2鋼板は、前記折曲部が、夫々、前記ボイラ管の長手方向に沿って一定の間隔で形成される複数の孔部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のボイラ管の補強装置
【請求項7】
溶接部を含むボイラ管を補強する補強方法であって
帯形状を呈する第1鋼板を、前記ボイラ管の前記溶接部を含む領域に巻き付けて溶接により固定する第1ステップと、
前記ボイラ管の一方の半周分に亘る前記第1鋼板の第1外周面に対して面接触する形状を呈する第1補強部材を用いて、前記第1外周面を覆う第2ステップと、
前記ボイラ管の他方の半周分に亘る前記第1鋼板の第2外周面に対して面接触する形状を呈する第2補強部材を用いて、前記第2外周面を覆う第3ステップと、
結合部材を用いて、前記第1補強部材及び前記第2補強部材を結合させる第4ステップと、
を特徴とするボイラ管の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ管の補強装置、ボイラ管の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所においてタービンを回転させるために設けられる発電用ボイラは、ボイラ給水を予熱する節炭器、ボイラのハウジングを形成しボイラ給水を飽和蒸気にする水冷壁、飽和蒸気を更に加熱して過熱蒸気にする過熱器、タービンからの蒸気を再加熱してタービンに再度供給する再熱器、過熱器および再熱器からタービンに蒸気を導く配管等を含んで構成されている。また、上記の過熱器および再熱器から蒸気タービンに蒸気を導く配管は、耐熱鋼(例えば低合金鋼)を材料とするボイラ管で構成されている。発電用ボイラの起動時、ボイラ管には高温高圧の蒸気が流れ、発電用ボイラの停止時、ボイラ管を流れる高温高圧の蒸気の流れが停止する。つまり、発電用ボイラの起動及び停止に伴って、ボイラ管には熱応力が発生する。発電用ボイラが長期間に亘って使用され続けると、ボイラ管には熱応力に従ってクリープ疲労損傷が発生し、ボイラ管の外径が膨らむか或いはボイラ管の溶接部にひずみが生じる等の変形を生じる虞がある。そこで、ボイラ管の劣化に起因する事故を未然に防止するために、ボイラ管の劣化状態を定期的に点検し、上記の膨出や減肉等の傾向管理を行っている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−122411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイラ管の劣化状態を点検した結果、ボイラ管のクリープ疲労損傷が進行し、ボイラ管の余寿命が予め定められた一定時間よりも短いと診断された場合、ボイラ管の該当部分を新品のボイラ管に交換する必要がある。しかし、ボイラ管を交換する場合、ボイラ管の切断作業や溶接作業が必要になることから、発電用ボイラの運休時間が長引いてしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、クリープ疲労損傷に伴う配管の寿命を延伸させることが可能なボイラ管の補強装置及びボイラ管の補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、溶接部を含むボイラ管を補強する補強装置であって帯形状を呈し、前記ボイラ管の前記溶接部を含む領域に巻き付けられて溶接により固定される第1鋼板と、前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の一方の半周分に亘る外周面に対して面接触する形状を呈する第1補強部材と、前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の他方の半周分に亘る外周面に対して面接触をする形状を呈し、前記第1補強部材とともに前記第1鋼板の外周面を覆う第2補強部材と、前記ボイラ管を挟んで前記第1補強部材及び前記第2補強部材を結合する結合部材と、を備えたことを特徴とする。本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱応力を抑制するようにボイラ管を補強できるため、ボイラ管の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る補強装置が用いられる火力発電所の全体構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るボイラ管の直管部及び熱応力の一例を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けるときの一例を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る帯鋼のXZ断面の一例を示す断面図である。
図6】第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。
図7】第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す平面図である。
図8】第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す平面図である。
図10】第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す平面図である。
図11】第2実施形態に係るボイラ管のエルボー部及び熱応力の一例を示す斜視図である。
図12】第2実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けるときの一例を示す斜視図である。
図13】第2実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。
図14】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。
図15】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着される前の状態を示す平面図である。
図16】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す斜視図である。
図17】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す平面図である。
図18】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す別の平面図である。
図19】第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す更に別の平面図である。
図20】第3実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。
図21】第3実施形態に係る補強鋼板の一例を示す平面図である。
図22】第3実施形態に係る補強鋼板を帯鋼の上から巻き付けるときの一例を示す斜視図である。
図23】第3実施形態に係る補強鋼板を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。
図24】第3実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。
図25】第3実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。尚、図1図25において、同一の部材については同一の数字を付して説明する。
【0010】
===発電所の全体構成===
図1は、本実施形態に係る補強装置が用いられる火力発電所の全体構成を示す図である。尚、図1に示す火力発電所の全体構成は、本実施形態に係るボイラ管の補強装置の説明を容易に理解するための一例である。本実施形態に係るボイラ管の補強装置を用いて、図1の火力発電所とは異なる構成の火力発電所内のボイラ管を補強することも可能である。但し、本実施形態に係る配管の補強装置は、各火力発電所内に設置されるボイラ管の外径に応じて予め設計されている必要がある。
【0011】
火力発電所501は、例えば、ボイラ502、蒸気発生器503、水冷壁504、蒸気弁505、高圧タービン506、中圧タービン507、低圧タービン508、再熱器509、復水器510、給水ポンプ511、発電機512を含んで構成されている。
【0012】
ボイラ502は、外部から供給される燃料(例えば微粉炭の状態の石炭)と空気を混合して燃焼ガスを生成し、燃焼ガスの熱(燃焼熱)を用いて水を水蒸気に換える熱交換装置である。ボイラ502には、蒸気発生器503、水冷壁504、再熱器509が収容されている。蒸気発生器503は、復水器510から供給される水を予熱する節炭器(不図示)と、水冷壁504から供給される飽和蒸気を更に加熱して過熱蒸気にする過熱器(不図示)と、を含んで構成されている。水冷壁504は、ボイラ502のハウジングを形成し、余熱された水を飽和蒸気にして過熱器に供給する。蒸気弁505は、蒸気発生器503で生成される過熱蒸気の流量を制御する調整弁である。
【0013】
高圧タービン506、中圧タービン507、低圧タービン508の回転軸513は同一であって、発電機512の回転軸514と結合されている。高圧タービン506には、蒸気発生器503で生成される過熱蒸気(第1蒸気)が蒸気弁505を介して供給される。高圧タービン506は、第1蒸気を膨張させ、膨張後の蒸気(第2蒸気)をボイラ502内の再熱器509に供給する。再熱器509は、第2蒸気を再熱し、再熱蒸気(第3蒸気)として中圧タービン507に供給する。中圧タービン507は、第3蒸気を膨張させ、膨張後の蒸気(第4蒸気)を低圧タービン508に供給する。低圧タービン508は、第4蒸気を膨張させる。
【0014】
復水器510は、低圧タービン508が第4蒸気を膨張させた後の排気を凝縮して復水に換える。給水ポンプ511は、復水器510で生成される復水を昇圧して給水としてボイラ502内の蒸気発生器503に戻している。
【0015】
そして、発電機512は、電力が発電されるように、第4蒸気が膨張した際に発生する動力で駆動される。蒸気発生器503で生成された過熱蒸気(第1蒸気)及び再熱器509で再加熱された再熱蒸気はボイラ管によりタービンに導かれる。
【0016】
上述した発電の過程において、ボイラ管には、高温高圧の流体あるいは気体(以下、「熱流体」と称する。)が流通する。ボイラ管は、熱流体により熱応力が生じるため、クリープ損傷を引き起す虞がある。熱応力とは、例えばボイラ管に流通する熱流体から得られる熱によって、ボイラ管が膨張あるいは収縮しようとする力に応じてボイラ管に作用する力をいう。具体的には、例えば、ボイラ管の両端部が固定されている場合、ボイラ管が加熱されるとボイラ管の自由膨張が制限されるため、ボイラ管には熱応力による膨張力が働く。又、ボイラ管の両端部が固定され、ボイラ管に曲がりある場合、ボイラ管が加熱されるとボイラ管の自由膨張により、特に曲がりの部分あるいはその周辺では、熱応力による曲がり力あるいは捻り力が働く。クリープ損傷とは、ボイラ管のクリープ変形による損傷をいう。クリープ変形とは、例えば高温環境下において、ボイラ管に一定の応力を加えると、時間とともにボイラ管が変形していく現象をいう。つまり、ボイラ管は、発電所の高温環境下において上述した熱応力によって、クリープ損傷を引き起こす虞がある。
【0017】
本実施形態に係る補強装置は、上述したボイラ管のクリープ疲労損傷を抑制するために、熱応力による膨張力、曲がり力、及び捻り力を抑制するようにボイラ管の溶接部を含む外周面に設置され、ボイラ管を補強することを目的とする。
【0018】
===第1実施形態===
図2は、第1実施形態に係るボイラ管の直管部及び熱応力の一例を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けるときの一例を示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係る帯鋼のXZ断面の一例を示す断面図である。図6は、第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。図7は、第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す平面図である。図8は、第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す斜視図である。図9は、第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す平面図である。図10は、第1実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着された後の状態を示す平面図である。尚、X軸はボイラ管の長手方向に沿う軸であり、Y軸及びZ軸で形成されるYZ平面はボイラ管の断面と並行な面である。
【0019】
以下、図2図10を参照しつつ、第1実施形態に係る補強装置10について説明する。
【0020】
第1実施形態に係る補強装置10は、図1に示す蒸気発生器503や再熱器509に含まれるボイラ管100の直管部101を補強する装置である。尚、ボイラ管100は、耐熱鋼(例えば低合金綱、高合金綱、炭素鋼、ステンレス鋼)を材料として形成され、直管部101は、例えば円筒形状を呈していることとする。又、補強装置10が装着されるボイラ管100の部位として、直管部101と、隣接するボイラ管100の断面開口同士を溶接加工した結果生じる溶接部102と、が含まれていることとする。又、図2に示すように、ボイラ管には、熱応力による膨張力、曲がり力、及び捻り力がかかる。熱応力による膨張力とは、ボイラ管100の中心軸からボイラ管の周面方向への力をいい、曲がり力とは、ボイラ管100の長手方向(X方向)に対して垂直に交わる何れかの方向にボイラ管100が折れ曲がろうとする力をいい、捻り力とは、周面方向への力をいう。そして、図3図10に示すように、補強装置10は、帯鋼11、補強部材12を含んで構成されている。補強装置10は、ボイラ管100に対して帯鋼11を巻き付けて、さらに帯鋼11の上から補強部材12でボイラ管100を覆うように設置される。ここで、巻き付けるとは、ボイラ管100の断面(YZ平面)における中心軸から最も遠い周面に対して、周面の1周分(中心軸を中心とした360度)の領域に巻き付けることをいい、以下説明においても同様とする。
【0021】
<<帯鋼11>>
図3図4図5を参照しつつ、第1実施形態に係る帯鋼11について説明する。
【0022】
帯鋼11は、ボイラ管100に巻き付けられて、例えば熱応力から溶接部102を補強するための部材である。帯鋼11は、例えば、ボイラ管100の外周面に巻き付けられた状態で、ボイラ管100に生じる熱応力に起因する力のうち、特に膨張力、捻り力を抑制する役割を果たす部材である。帯鋼11は、例えば幅が3cm程度、厚さが0,3mm程度の帯形状を呈し、耐熱鋼(例えばステンレス材料SUS316、SUS304)で形成される。
【0023】
帯鋼11は、図3及び図4に示すように、ボイラ管100の溶接部102を跨ぐように、ボイラ管100の外周面に巻き付けられる。帯鋼11は、図5に示すように、例えば、段差ができないようにボイラ管100の長手方向(X方向)へずらしながら、夫々が並列するように巻き付けられる。さらに、帯鋼11は、ボイラ管100の中心軸から遠ざかる方向に向かって積層される。つまり、帯鋼11は、ボイラ管100の外周面に対して面接触し、夫々が並行して多重に巻き付けられる。さらに、帯鋼11は、積層した状態を固定するために、夫々が溶接点11Aでスポット溶接されて固定される。尚、図5は、図4におけるボイラ管100を、XZ平面で切ったときの帯鋼11の断面を示した図である。
【0024】
帯鋼11は、上述したように、ボイラ管100の外周面に面接触し、夫々が並行して巻き付けられるため、熱応力による膨張力を抑制することができ、又、帯鋼11がボイラ管100に溶接され、夫々の帯鋼11同士も積層される上下間で溶接されるため、熱応力による捻り力を抑制することができる。しかし、熱応力による曲がり力に対しては、図5に示すように、X軸に沿う方向では夫々の帯鋼11が溶接されていないため、曲がり力を抑制することができない虞があり、帯鋼11のみではボイラ管100の補強を十分に行うことが困難であった。そこで、補強装置10では、さらに後述する補強部材12を帯鋼11の上から覆うように設置して、帯鋼11では補強が十分ではなかった熱応力による曲がり力をも抑制できるように構成される。
【0025】
尚、上記において、帯鋼11は段差ができないように並行に巻き付けられるとして説明したが、これに限定されない。例えば、X軸に沿って隣り合う夫々の帯鋼11の一部が重なり合うように並行して巻き付けられてもよいし、夫々の帯鋼11同士に少し隙間を設けて並行して巻き付けられても良い。又、上記において、帯鋼11は積層するように多重に巻き付けられるとして説明したが、これに限定されない。例えば、一層で巻かれてもよい。又、上記において、帯鋼11は幅が3cm程度、厚さが0,3mm程度であるとして記載したが、これに限定されない。帯鋼11の幅及び厚さは限定されるものではなく、当該数値は設計した結果に基づいて好ましい数値を記載したものである。又、上記において、帯鋼11はステンレス材料で形成されているとして記載したが、これに限定されない。例えば、ボイラ管100の材質よりも応力に対して強度が高く、腐食に対して安定している材質であればよい。
【0026】
<<補強部材12>>
図6図7図8図9図10を参照しつつ、第1実施形態に係る補強部材12について説明する。
【0027】
補強部材12は、帯鋼11が巻き付けられているボイラ管100に対して、帯鋼11を含む領域を覆うように配置してボイラ管100を補強する部材である。補強部材12は、第1補強部材12A、第2補強部材12Bを含んで構成されている。
【0028】
第1補強部材12Aは、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成されている。又、第1補強部材12Aは、X軸及びY軸で形成されるXY平面が直管部101の中心軸を通るように直管部101が切断された場合の、直管部101の上側(+Z側)の半周分に配置されている帯鋼11に対して面接触するように、半円筒形状を呈している。又、第1補強部材12AのX軸に沿う方向の長さは、直管部101が熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れSCC(Stress Corrosion Cracking)を発生し難くなるように、例えば直管部101の直径の2倍〜7倍程度の長さに設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。又、第1補強部材12Aの肉厚は、X軸に沿う方向の両端に熱応力が集中しないように、X軸に沿う方向において第1補強部材12Aの中央から両端に向かうにつれて薄くなっている。特に、第1補強部材12Aの肉厚は、X軸に沿う方向において、第1補強部材12Aの中央付近では一定であるが、第1補強部材12Aの中央から遠ざかった位置から両端に向かうにつれて、円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、例えば、X軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。又、第1補強部材12Aの両端の肉厚は、例えば、5mm程度に設定されることとする。さらに、第1補強部材12Aの中央付近の肉厚は、例えば、ボイラ配管の肉厚の1/4以上に設定されることとする。
【0029】
第1補強部材12AのY軸に沿う方向の両側(±Y側)には、第1フランジ13がX軸に沿う方向に設けられている。又、第1フランジ13は、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成され、例えば長尺の平板形状を呈している。又、第1フランジ13には、X軸に沿う方向に複数の第1孔14が実質的に等間隔で穿設されている。又、第1フランジ13は、第1補強部材12Aに対して、溶接加工によって一体的に設けられている。
【0030】
第2補強部材12Bは、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成されている。又、第2補強部材12Bは、X軸及びY軸で形成されるXY平面が直管部101の中心軸を通るように直管部101が切断された場合の、直管部101の下側(−Z側)の半周分に配置されている帯鋼11に対して面接触するように、半円筒形状を呈している。又、第2補強部材12BのX軸に沿う方向の長さは、直管部101が熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れを発生し難くなるように、例えば直管部101の直径の2倍〜7倍程度の長さに設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。又、第2補強部材12Bの肉厚は、X軸に沿う方向の両端に熱応力が集中しないように、第2補強部材12BのX軸に沿う方向の中央から両端に向かうにつれて薄くなっている。特に、第2補強部材12Bの肉厚は、X軸に沿う方向において、第2補強部材12B中央付近では一定であるが、第2補強部材12Bの中央から遠ざかった位置から両端に向かうにつれて、円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、X軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。又、第2補強部材12Bの両端の肉厚は、例えば、5mm程度に設定されることとする。さらに、第2補強部材12Bの中央付近の肉厚は、例えば、ボイラ配管の肉厚の1/4以上に設定されることとする。
【0031】
第2補強部材12BのY軸に沿う方向の両側(±Y側)には、第2フランジ15がX軸に沿う方向に設けられている。又、第2フランジ15は、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成され、長尺の平板形状を呈している。又、第2フランジ15には、X軸に沿う方向に複数の第2孔16が実質的に等間隔で穿設されている。又、第2フランジ15は、第2補強部材12Bに対して、溶接加工によって一体的に設けられている。
【0032】
上記の説明から明らかなように、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bは、両部材12A,12Bの間に直管部101を挟むように配置したときに対称な形状を呈することとなる。よって、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bが直管部101を境に対称となるように配置された状態において、第1フランジ13及び第2フランジ15を重ね合わせると、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bの内周面(窪んでいる側の面)が直管部101に巻き付けられている帯鋼11に対して面接触し、複数の第1孔14及び複数の第2孔16同士がずれることなく重なり合った状態になる。そして、複数の第1孔14及び複数の第2孔16に複数のボルト17を挿入した後、複数のボルト17に複数のナット18を螺合させて締め付けると、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bは帯鋼11に対して密着して装着された状態になる。尚、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bが重なり合うことによって形成される内径は、一定のままである。
【0033】
ボイラ502の起動時、直管部101には高温高圧の蒸気が流れ、ボイラ502の停止時、直管部101を流れる高温高圧の蒸気の流れは停止する。ボイラ502の起動及び停止が行われると、直管部101には熱応力が発生し、更に、ボイラ502の起動及び停止が継続して長期間行われると、直管部101には熱応力による膨張力、曲がり力、捻り力に応じてクリープ疲労損傷が発生したり溶接部102付近に応力腐食割れが発生したりする虞がある。しかし、第1実施形態に係る補強装置10を採用することによって、直管部101に対するクリープ疲労損傷や応力腐食割れの発生を抑制できるため、ボイラ管100の余寿命を延伸させることが可能になる。又、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bはボルト17及びナット18を用いて直管部101に装着されるため、補強装置10を直管部101に容易に装着することが可能になる。又、ボイラ管100の種類(材料)や使用環境に応じて、ボルト17及びナット18の締め付け強度を調整することによって、直管部101に対するクリープ疲労損傷や応力腐食割れの発生を適切に抑制できるため、ボイラ管100の余寿命を延伸させることが可能になる。
【0034】
尚、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bを直管部101に装着させる手段として、第1フランジ13、第2フランジ15、ボルト17、ナット18を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、第1フランジ13、第2フランジ15、ボルト17、ナット18に代わる手段として銅製の帯棒(不図示)を用意し、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bの周囲全体に亘って帯棒を巻回することによって、第1補強部材12A及び第2補強部材12Bを直管部101に装着させることも可能である。
【0035】
===第2実施形態===
図11は、第2実施形態に係るボイラ管のエルボー部及び熱応力の一例を示す斜視図である。図12は、第2実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けるときの一例を示す斜視図である。図13は、第2実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。図14は、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。図15はあ、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着される前の状態を示す平面図である。図16は、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す斜視図である。図17は、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す平面図である。図18は、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す別の平面図である。図19は、第2実施形態に係る補強部材をボイラ管のエルボー部に装着された後の状態を示す更に別の平面図である。尚、X軸は溶接加工でエルボー部に結合される一方の直管部の長手方向に沿う軸であり、Z軸は溶接加工でエルボー部に結合される他方の直管部の長手方向に沿う軸であり、Y軸はX軸及びZ軸で形成されるXZ平面に直交する軸である。
【0036】
以下、図11図19を参照しつつ、第2実施形態に係る補強装置22について説明する。
【0037】
第2実施形態に係る補強装置20は、図1に示す蒸気発生器503や再熱器509に含まれるボイラ管200のエルボー部201を主として補強する装置である。尚、ボイラ管200は、耐熱鋼(例えば低合金綱、高合金綱、炭素鋼、ステンレス鋼)を材料として形成され、エルボー部201は、例えば円筒がL字型に屈曲した形状を呈していることとする。又、補強装置20が装着されるボイラ管200の部位として、エルボー部201と、エルボー部201に近い側の直管部202の一部と、エルボー部201に近い側の直管部203の一部と、X軸及びZ軸で形成されるXZ平面がエルボー部201の中心軸を通るようにエルボー部201が切断された場合の、一方の半片(−Y側)及び他方の半片(+Y側)を溶接加工した結果生じる溶接部204,205と、エルボー部201及び直管部202の断面開口同士を溶接加工した結果生じる溶接部206と、エルボー部201及び直管部203の断面開口同士を溶接加工した結果生じる溶接部207と、が含まれていることとする。そして、補強装置20は、エルボー管201及び直管部202,203の外周面に対して密着するように装着される帯鋼21、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bを含んで構成されている。尚、図11に示すように、ボイラ管には、熱応力による膨張力、曲がり力、及び捻り力がかかる。熱応力による膨張力とは、ボイラ管200の中心軸からボイラ管の周面方向への力をいい、曲がり力とは、ボイラ管200の長手方向(X方向)に対して垂直に交わる何れかの方向にボイラ管200が折れ曲がろうとする力をいい、捻り力とは、周面方向への力をいう。
【0038】
<<帯鋼21>>
図12図13を参照しつつ、第2実施形態に係る帯鋼21について説明する。尚、第2実施形態に係る帯鋼21の説明においては、第1実施形態に係る帯鋼11と異なる部分のみを記載することし、記載の無い事項は、第1実施形態に係る帯鋼11と同様であるものとしてその説明を省略する。
【0039】
帯鋼21は、図12及び図13に示すように、ボイラ管200の溶接部206,207を跨ぐように、かつ溶接部204,205と交わるようにボイラ管200の外周面に巻き付けられる。帯鋼21は、例えば、直管部202,203においては、段差ができないようにボイラ管200の長手方向へずらしながら夫々が並列するように巻き付けられる(図5を参照)。一方、エルボー部201における、エルボー部201の曲がりの内側部分(紙面の下方向)では、隣り合う夫々の帯鋼21の一部が重なるように巻き付けられる。又、エルボー部の201の曲がりの外側部分(紙面の上方向)では、隣り合う夫々の帯鋼21に段差ができないように夫々が並列して巻き付けられるか、あるいは内側部分(紙面の下方向)の重なり幅よりも狭く重なるように巻き付けられる。帯鋼21とボイラ管200との接触面積を出来るだけ大きくして補強強度を高めるためである。さらに、帯鋼21は、ボイラ管200の中心軸から遠ざかる方向に向かって積層される。つまり、帯鋼21は、ボイラ管200に対して面接触し、夫々が並行して多重に巻き付けられる。さらに、帯鋼21は、積層した状態を固定するために、夫々がスポット溶接され、溶接点11Aで固定される(図5を参照)。
【0040】
帯鋼21は、上述したように、ボイラ管200に面接触し、夫々が並行して巻き付けられているため、熱応力による膨張力を抑制することができ、又、帯鋼21がボイラ管200に溶接され、夫々の帯鋼21同士も積層される上下間で溶接されているため、熱応力による捻り力を抑制することができる。しかし、ボイラ管200の曲がり力に対しては、X軸に沿う方向では夫々の帯鋼21が溶接されていないため(図5を参照)、曲がり力を抑制することができない虞があり、帯鋼21のみではボイラ管200の補強を十分に行うことが困難であった。そこで、補強装置20は、帯鋼21の外周面に後述する補強部材22を設置して、曲がり力に対しても熱応力を抑制することができるように構成されている。
【0041】
<<補強部材22>>
図14図15図16図17図18図19を参照しつつ、第2実施形態に係る補強部材22について説明する。
【0042】
補強部材22は、帯鋼21が巻き付けられているボイラ管200に対して、帯鋼21を含む領域を覆うように配置されて、ボイラ管200を補強する部材である。補強部材22は、第1補強部材22A、第2補強部材22Bを含んで構成されている。
【0043】
第1補強部材22Aは、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成されている。又、第1補強部材22Aは、エルボー部201及び直管部202,203に巻き付けられている帯鋼21の一方(+X側〜+Z側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈している。又、図17に示すように、直管部202の帯鋼21と面接触している第1補強部材22AのX軸に沿う方向の長さL1は、エルボー部201に連続する直管部202が曲がり力や熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れを発生し難くなるように、例えば直管部202の直径の2倍〜7倍程度の長さに設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。同様に、直管部203の帯鋼21と面接触している第1補強部材22AのZ軸に沿う方向の長さL2は、エルボー部201に連続する直管部203が曲がり力や熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れを発生し難くなるように、例えば直管部203の直径の2倍〜7倍程度の長さに設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。又、直管部202の帯鋼21と面接触している第1補強部材22Aの肉厚は、X軸に沿う方向の端(−X側)に熱応力が集中しないように、エルボー部201から遠ざかるにつれて薄くなっている。特に、直管部202の帯鋼21と面接触する第1補強部材22Aの肉厚は、X軸に沿う方向において、エルボー部201から遠ざかるにつれて円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、例えば、X軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。同様に、直管部203の帯鋼21と面接触している第1補強部材22Aの肉厚は、Z軸に沿う方向の端(−Z側)に熱応力が集中しないように、エルボー部201から遠ざかるにつれて薄くなっている。特に、直管部203の帯鋼21と面接触している第1補強部材22Aの肉厚は、Z軸に沿う方向において、エルボー部201から遠ざかるにつれて円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、Z軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。又、第1補強部材22Aの両端の肉厚は、5mm程度に設定されることとする。
【0044】
第1補強部材22AのY軸に沿う方向の両側(±Y側)には、第1フランジ23が第1補強部材22Aの屈曲形状に沿うように設けられている。又、第1フランジ23は、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成され、例えば第1補強部材22Aの屈曲形状に沿うように長尺の平板がL字型に屈曲した形状を呈している。又、第1フランジ23には、長手方向に沿って複数の第1孔24が実質的に等間隔で穿設されている。又、第1フランジ23は、第1補強部材22Aに対して、溶接加工によって一体的に設けられている。
【0045】
第2補強部材22Bは、同様に、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成されている。又、第2補強部材22Bは、エルボー部201及び直管部202,203に巻き付けられている帯鋼21の他方(−X側〜−Z側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈している。又、直管部202の帯鋼21と面接触している第2補強部材22BのX軸に沿う方向の長さL1’は、エルボー部201に連続する直管部202が曲がり力や熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れを発生し難くなるように、例えば直管部202の直径の2倍〜7倍程度の長さ(L1=L1’)に設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。同様に、直管部203の帯鋼21と面接触している第2補強部材22BのZ軸に沿う方向の長さL2’は、エルボー部201に連続する直管部203が曲がり力や熱応力に応じたクリープ疲労損傷や応力腐食割れを発生し難くなるように、例えば直管部203の直径の2倍〜7倍程度の長さ(L1=L1’)に設定され、特に、6倍〜7倍が好ましい。又、直管部202の帯鋼21と面接触している第2補強部材22Bの肉厚は、X軸に沿う方向の端(−X側)に熱応力が集中しないように、エルボー部201から遠ざかるにつれて薄くなっている。特に、直管部202の帯鋼21と面接触する第2補強部材22Bの肉厚は、X軸に沿う方向において、エルボー部201から遠ざかるにつれて円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、X軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。同様に、直管部203と面接触している第2補強部材22Bの肉厚は、Z軸に沿う方向の端(−Z側)に熱応力が集中しないように、エルボー部201から遠ざかるにつれて薄くなっている。特に、直管部203の帯鋼21と面接触している第2補強部材22Bの肉厚は、Z軸に沿う方向において、エルボー部201から遠ざかるにつれて円錐の外周面のように一定割合で徐々に薄くなっている。尚、一定割合とは、Z軸に沿う方向の長さ100mmに対して肉厚が5mm薄くなる程度の割合に設定されていることとする。又、第2補強部材22Bの両端の肉厚は、5mm程度に設定されることとする。
【0046】
第2補強部材22BのY軸に沿う方向の両側(±Y側)には、第2フランジ25が第2補強部材22Bの屈曲形状に沿うように設けられている。又、第2フランジ25は、耐熱鋼(例えばステンレス鋼SUS316,SUS304)を材料として形成され、例えば第2補強部材22Bの屈曲形状に沿うように長尺の平板がL字型に屈曲した形状を呈している。又、第2フランジ25には、長手方向に沿って複数の第2孔26が実質的に等間隔で穿設されている。又、第2フランジ25は、第2補強部材22Bに対して、溶接加工によって一体的に設けられている。
【0047】
上記の説明から明らかなように、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bは、エルボー部201を介して第1フランジ23及び第2フランジ25が重なり合うと、エルボー部201に巻き付けられている帯鋼21に対して密着して装着される形状を呈することとなる。つまり、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bがエルボー部201及び帯鋼21を挟むように配置された状態において、第1フランジ23及び第2フランジ25を重ね合わせると、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bの内周面(窪んでいる側の面)がエルボー部201に巻き付けられている帯鋼21に対して面接触し、複数の第1孔24及び複数の第2孔26同士がずれることなく重なり合った状態になる。そして、複数の第1孔24及び複数の第2孔26に複数のボルト27を挿入した後、複数のボルト27に複数のナット28を螺合させて締め付けると、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bはエルボー部201の帯鋼21に対して密着して装着された状態になる。尚、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bが重なり合うことによって形成される補強装置20の内径は、一定のままである。
【0048】
第2実施形態に係る補強装置20を採用することによって、エルボー部201と当該エルボー部201に連続する直管部202,203とに対するクリープ疲労損傷や応力腐食割れの発生を抑制できるため、ボイラ管200の余寿命を延伸させることが可能になる。特に、エルボー部201にはクリープ疲労損傷や応力腐食割れが発生し易いとされる溶接部が4箇所(溶接部204〜207)も形成されているため、補強装置20を採用する効果は大である。又、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bはボルト27及びナット28を用いてエルボー部201に装着されるため、補強装置20をエルボー部201に容易に装着することが可能になる。又、ボイラ管200の種類(材料)や使用環境に応じて、ボルト27及びナット28の締め付け強度を調整することによって、エルボー部201に対するクリープ疲労損傷や応力腐食割れの発生を適切に抑制できるため、ボイラ管200の余寿命を延伸させることが可能になる。
【0049】
第1補強部材22A及び第2補強部材22Bをエルボー部201に装着させる手段として、第1フランジ23、第2フランジ25、ボルト27、ナット28を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、第1フランジ23、第2フランジ25、ボルト27、ナット28に代わる手段として銅製の帯棒(不図示)を用意し、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bの周囲全体に亘って帯棒を巻回することによって、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bを主としてエルボー部201に装着させることも可能である。
【0050】
尚、上記において、第1補強部材22Aは帯鋼21の一方(+X側〜+Z側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈しているとして説明し、第2補強部材22Bは帯鋼21の他方(−X側〜−Z側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈しているとして説明したが、これに限定されない。例えば、第1補強部材22Aが、帯鋼21の一方(ボイラ管200の中心軸を通るようにXZ平面で分けられる−Y側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈し、第2補強部材22Bが、帯鋼21の一方(ボイラ管200の中心軸を通るようにXZ平面で分けられる+Y側)の半周分の外周面に対して面接触するように、半円筒がL字型に屈曲した形状を呈していてもよい。この場合、第1補強部材22AのXZ平面に沿う両側には、第1フランジ23が第1補強部材22Aの屈曲形状に沿うように設けられており、第2補強部材22BのXZ平面に沿う両側には、第2フランジ25が第2補強部材22Bの屈曲形状に沿うように設けられていることとする。つまり、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bは、エルボー部201を介して第1フランジ23及び第2フランジ25がXZ平面上で重なり合うように配置される。これにより、第1補強部材22Aと第2補強部材22Bが同形状となるため、製作費用を縮減することができる。
【0051】
===第3実施形態===
図20は、第3実施形態に係る溶接部に帯鋼を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。図21は、第3実施形態に係る補強鋼板の一例を示す平面図である。図22は、第3実施形態に係る補強鋼板を帯鋼の上から巻き付けるときの一例を示す斜視図である。図23は、第3実施形態に係る補強鋼板を巻き付けた状態の一例を示す斜視図である。図24は、第3実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部に装着される前の状態を示す分解斜視図である。図25は、第3実施形態に係る補強部材をボイラ管の直管部301に装着される前の状態を示す平面図である。
【0052】
以下、図20図21図22図23図24図25を参照しつつ、第3実施形態に係る補強装置30について説明する。尚、第1実施形態に係る補強装置10では、帯鋼11の上から補強部材12を設置していることに対して、第3実施形態に係る補強装置30では、帯鋼31(帯鋼11と同じ)と補強部材33(補強部材12と同じ)と、の間に補強鋼板32を介在させて構成しているため、以下において、第3実施形態における帯鋼31及び補強部材33については、第1実施形態における帯鋼11及び補強部材12と同様のものとして、その説明を省略する。
【0053】
第3実施形態に係る補強装置30は、図20に示すように、ボイラ管300の直管部301に設けられる溶接部302に帯鋼31を巻き付けた状態において、図21乃至図23に示すように、帯鋼31の上から後述する補強鋼板32を巻き付けて、図24に示すように、さらに補強鋼板32が覆われるように補強部材33を設置してボイラ管300に装着される。つまり、第1実施形態に係る補強装置10と比較して、第3実施形態に係る補強装置30は、補強鋼板32を設置する分だけ、曲がり力に対して抑制する効果を有する。尚、ボイラ管300に及ぶ熱応力による膨張力、曲がり力、及び捻り力については、図2に示すボイラ管100に及ぶ熱応力による膨張力、曲がり力、及び捻り力と同様として、その説明を省略する。
【0054】
<<補強鋼板32>>
図21図22図23を参照しつつ、補強鋼板32について説明する。尚、説明の便宜上、図21では厚鋼部32Aと薄鋼部32Bとの境界を実線で表現し、図22及び図23では当該境界について実線を用いずに表現しているが、図21乃至図23に示す補強鋼板32は全て同一のものとする。尚、上記の実線は、厚鋼部32Aと薄鋼部32Bとの境界の理解を助けるために示したものであり、実在する線ではない。
【0055】
補強鋼板32は、例えば、ボイラ管300の外周面に巻き付けられた帯鋼31の上から巻き付けて、熱応力から溶接部302を補強するための部材である。補強鋼板32は、例えば、帯鋼31の上からボイラ管300に巻き付けられた状態で、ボイラ管300に生じる熱応力に起因する力のうち、特に曲がり力を抑制する部材である。つまり、補強鋼板32は、帯鋼31の上から巻き付けられて、帯鋼31では抑制が困難であった曲がり力に対して、ボイラ管300を補強する部材である。又、補強鋼板32は、その上からさらに帯鋼31を巻き付けられてもよい。これにより、補強装置30は、補強効果が向上する。さらに、補強装置30は、帯鋼31と補強鋼板32とを交互に積層させて構成してもよい。
【0056】
補強鋼板32は、例えば、板状を呈し、耐熱鋼(例えばステンレス材料SUS316、SUS304)で形成されている。補強鋼板32は、帯鋼31を含んだ領域をカバーできる大きさを有していればよく、その大きさを限定するものではない。図21に示すように、補強鋼板32は、例えば、厚鋼部32A、薄鋼部32B(折曲部)を含んで構成されている。
【0057】
厚鋼部32Aは、例えば、熱応力に対して帯鋼31の補強効果を補完するように、熱応力に起因する曲がり力に対してボイラ管300を補強するための部分である。厚鋼部32Aは、図21に示すように、補強鋼板32がボイラ管300に装着される状態において、ボイラ管300の長手方向(X方向)に沿って形成されるとともに、ボイラ管300の周方向に沿って一定の間隔で形成される。つまり、厚鋼部32Aは、補強鋼板32がボイラ管300に装着された状態において、ボイラ管300の長手方向(X方向)に沿って縞状に形成される。厚鋼部32Aの厚さは、厚すぎると補強鋼板32を帯鋼31に溶接することができなくなる虞があり、又、薄すぎると熱応力に起因する曲がり力に対してボイラ管300を補強することができなくなる虞がある。従って、厚鋼部32Aの厚さは、後述する薄鋼部32Bよりも厚く、例えば0.3mm程度で形成されていることが好ましい。厚鋼部32Aにおける帯鋼31への固定方法は、例えば、補強鋼板32を帯鋼31の上から巻き付けた状態において、帯鋼31に面接触する面と反対側の面から一定間隔でスポット溶接をする方法が採用される。具体的には、図23に示すように、厚鋼部32Aと帯鋼31とは、厚鋼部32Aと帯鋼31とが面接触している溶接点32Dにスポット溶接を施して固定される。溶接点32Dは、熱応力の偏りを少なくするためにX軸及び周面に沿って一定間隔で設けられることが好ましく、又、より強度の大きなところで溶接するために周面方向において孔32Cと重ならずに設けられることが好ましい。上述したように、X方向において溶接されていないために曲がり力を抑制することが難しかった帯鋼31の補強効果を補完すべく、補強鋼板32では、厚鋼部32AがX方向に連続的に設けられることによって、曲がり力を抑制することができる。
【0058】
薄鋼部32Bは、例えば、補強鋼板32をボイラ管300に巻き付ける際に、巻き付け易くするための部分である。薄鋼部32Bは、図21に示すように、補強鋼板32がボイラ管300に装着される状態において、ボイラ管300の長手方向(X方向)に沿って形成されるとともに、ボイラ管300の周方向に沿って一定の間隔で形成される。つまり、薄鋼部32Bは、補強鋼板32がボイラ管300に装着された状態において、ボイラ管300の長手方向(X方向)に沿って縞状に形成される。薄鋼部32Bの厚さは、厚すぎると補強鋼板32をフレキシブルに曲げられず、補強鋼板32をボイラ管300に巻き付けることができなくなる虞がある。そのため、薄鋼部32Bの厚さは、例えば0.3mm以下で形成されていることが好ましい。薄鋼部32Bには、後述する孔32Cが設けられている。
【0059】
孔32Cは、例えば、補強鋼板32をボイラ管300に巻き付ける際に、巻き付け易くするための部分である。孔32Cは、薄鋼部32Bに設けられ、薄鋼部32Bをよりフレキシブルに曲げられるようにするための部分である。孔32Cは、例えば、角に丸みを有する略四角形状を呈する。角に丸みを設けるのは、角の部分で亀裂が生じるのを防止するためである。孔32Cは、図21に示すように、薄鋼部32Bのうちにあって、ボイラ管300の長手方向(X方向)に沿って夫々の孔32Cが一定間隔で連続的に設けられている。尚、夫々の孔32C同士の間隔は、薄鋼部32Bをフレキシブルに曲げ易くするために、出来るだけ狭い方が好ましい。又、孔32Cの大きさは、薄鋼部32Bの範囲内に設けられていればよく、その大きさを限定するものではない。
【0060】
上記の説明から明らかなように、補強鋼板32は、第1補強部材33A及び第2補強部材32Bが直管部301を境に対称となるように配置された状態において、第1フランジ34及び第2フランジ36を重ね合わせると、第1補強部材33A及び第2補強部材33Bの内周面(窪んでいる側の面)が直管部301に巻き付けられている帯鋼31又は補強鋼板32に対して面接触し、複数の第1孔35及び複数の第2孔37同士がずれることなく重なり合った状態になる。そして、複数の第1孔35及び複数の第2孔37に複数のボルト38を挿入した後、複数のボルト38に複数のナット39を螺合させて締め付けると、第1補強部材33A及び第2補強部材33Bは帯鋼31に対して密着して装着された状態になる。尚、第1補強部材33A及び第2補強部材33Bが重なり合うことによって形成される内径は、一定のままである。
【0061】
尚、上記において、補強鋼板32は帯鋼31の上から巻きつけて装着されるように記載したが、これに限定されない。例えば、補強鋼板32を直接ボイラ管300に巻き付けて、補強鋼板32の厚鋼部32Aに溶接を施して固定してもよい。又、上記において、補強鋼板32はステンレス材料で形成されているとして記載したが、これに限定されない。例えば、ボイラ管300の材質よりも熱応力に対して強度が高く、腐食に対して安定している材質であればよい。又、上記において、補強鋼板32の厚鋼部32Aの厚さが0.3mm程度で形成されているとして記載したが、これに限定されない。厚鋼部32Aの厚さを限定するものではなく、熱応力に対してボイラ配管を補強するための強度を確保できればよい。又、上記において、厚鋼部32Aにスポット溶接をするように記載したが、これに限定されない。例えば、薄鋼部32Bに溶接してもよい。又、上記において、孔32Cの形状が略四角形状を呈するとして記載したが、これに限定されない。例えば、楕円でもよく、角に丸みを有している形状が好ましい。又、上記において、薄後部には孔32Cが設けられているとして記載したが、これに限定されない。例えば、孔32Cの代わりに該当する部分を周囲よりも薄く形成してもよい。
【0062】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係る補強装置(10,20,30)は、溶接部(102,204〜207,302)を含むボイラ管(100,200,300)を補強する補強装置(10,20,30)であって帯形状を呈し、ボイラ管(100,200,300)の溶接部(102,204〜207,302)を含む領域に巻き付けられて溶接により固定される帯鋼(11,21,31)と、ボイラ管(100,200,300)に巻き付けられた帯鋼(11,21,31)の外周面のうち、ボイラ管(100,200,300)の一方の半周分に亘る外周面に対して面接触する形状を呈する第1補強部材(12A,22A,33A)と、ボイラ管(100,200,300)に巻き付けられた帯鋼(11,21,31)の外周面のうち、ボイラ管(100,200,300)の他方の半周分に亘る外周面に対して面接触をする形状を呈し、第1補強部材(12A,22A,33A)とともに帯鋼(11,21,31)の外周面を覆う第2補強部材(12B,22B,33B)と、ボイラ管(100,200,300)を挟んで第1補強部材(12A,22A,33A)及び第2補強部材(12B,22B,33B)を結合する結合部材(フランジ又は銅製の帯棒等)と、を備えたことを特徴とする。本実施形態によれば、熱応力に対してボイラ管を補強できるため、ボイラ管(100,200,300)のクリープ疲労損傷を抑制できるため、ボイラ管(100,200,300)の寿命を延伸させることができ、火力発電所501の安全性の向上が図れる。
【0063】
又、本実施形態に係る補強装置(10,20,30)において、第1補強部材(12A,22A,33A)及び第2補強部材(12B,22B,33B)の夫々の肉厚は、ボイラ管(100,200,300)の長手方向に沿う方向の両端に向かうに従って一定の割合で薄くなることを特徴とする。本実施形態によれば、両端での亀裂を防止することができる。
【0064】
又、本実施形態に係る補強装置20において、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bでボイラ管200のエルボー部201を補強する場合、第1補強部材22A及び第2補強部材22Bにおけるボイラ管200の長手方向に沿う方向の夫々の長さは、エルボー部201の長さよりも長く設定されることを特徴とする。本実施形態によれば、熱応力に対してボイラ管200のエルボー部201も補強できるため、クリープ疲労損傷を抑制できる範囲を拡げられるため、発電所の安全性の向上が図れる。
【0065】
又、本実施形態に係る補強装置(10,20,30)において、結合部材は、第1補強部材(12A,22A,33A)におけるボイラ管(100,200,300)の長手方向に沿う方向の両側に設けられ、複数の第1孔(14,24,35)を有する第1フランジ(13,23,34)と、第2補強部材(12B,22B,33B)におけるボイラ管(100,200,300)の長手方向に沿う方向の両側に設けられ、複数の第2孔(16,26,37)を有する第2フランジ(15,25,36)と、第1フランジ(13,23,34)及び第2フランジ(15,25,36)が重なり合った状態で複数の第1孔(14,24,35)及び複数の第2孔(16,26,37)に挿入される複数のボルト(17,27,38)と、複数のボルト(17,27,38)に螺号される複数のナット(18,28,39)と、を含むことを特徴とする。本実施形態によれば、補強装置を取り付ける作業が容易になるため、作業効率の向上が図れる。
【0066】
又、本実施形態に係る補強装置30において、板形状を呈し、帯鋼31と第1補強部材33A及び第2補強部材33Bとの間に介在し、ボイラ管300に巻き付けられる補強鋼板32を備え、補強鋼板32は、ボイラ管300に巻き付け易くなるように、ボイラ管300の長手方向に沿って形成されるとともに、ボイラ管300の周方向に沿って一定の間隔で形成される複数の薄鋼部32Bを有することを特徴とする。本実施形態によれば、さらに熱応力による曲がり力に対してボイラ管を補強できるため、ボイラ管のクリープ疲労損傷を抑制してボイラ管の寿命を延伸させることができ、発電所の安全性の向上が図れる。
【0067】
又、本実施形態に係る補強装置30において、補強鋼板32は、薄鋼部32Bが、夫々、ボイラ管300の長手方向に沿って一定の間隔で形成される複数の孔32Cを有することを特徴とする。本実施形態によれば、補強鋼板がフレキシブルになるため、作業効率の向上が図れる。
【0068】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10,20,30 補強装置
11,21,31 帯鋼
12A,22A,33A 第1補強部材
12B,22B,33B 第2補強部材
13,23,34 第1フランジ
14,24,35 第1孔
15,25,36 第2フランジ
16,26,37 第2孔
17,27,38 ボルト
18,28,39 ナット
32 補強鋼板
32B 薄鋼部
32C 孔
100,200,300 ボイラ管
201 エルボー部
102,204〜207,302 溶接部
【要約】
【解決手段】
溶接部を含むボイラ管を補強する補強装置であって、帯形状を呈し、前記ボイラ管の前記溶接部を含む領域に巻き付けられて溶接により固定される第1鋼板と、前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の一方の半周分に亘る外周面に対して面接触する形状を呈する第1補強部材と、前記ボイラ管に巻き付けられた前記第1鋼板の外周面のうち、前記ボイラ管の他方の半周分に亘る外周面に対して面接触をする形状を呈し、前記第1補強部材とともに前記第1鋼板の外周面を覆う第2補強部材と、前記ボイラ管を挟んで前記第1補強部材及び前記第2補強部材を結合する結合部材と、を備えることを特徴とする。
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