特許第6137452号(P6137452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137452
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】電動車両用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 1/00 20060101AFI20170522BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B60L1/00 L
   B60L3/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-13685(P2013-13685)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-147193(P2014-147193A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】浦野 徹
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−151975(JP,A)
【文献】 特開平6−121402(JP,A)
【文献】 特開平7−143615(JP,A)
【文献】 特開2003−284289(JP,A)
【文献】 特開平11−285106(JP,A)
【文献】 特開2008−72818(JP,A)
【文献】 特開2010−213461(JP,A)
【文献】 特開2005−117819(JP,A)
【文献】 特開2007−166804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−1/16
B60L 3/00−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給を受けて駆動される冷却対象を、電力供給を受けて冷却する冷却手段を備え、該冷却手段の駆動を制御する電動車両用冷却装置であって、
前記冷却対象の温度を検出する温度検出手段と、
前記冷却手段の駆動の要否を判断するための所定の第1電流値を前記冷却対象の温度に基づいて設定する設定手段と、
前記冷却対象に流入する電流を検出する電流検出手段と、
前記検出された電流値と前記第1電流値とを比較して、前記検出された電流値が前記第1電流値よりも大きい場合に前記冷却手段を駆動させる制御部とを備え
前記第1電流値は、前記冷却対象の温度が高くなるに従って小さくなるよう設定されることを特徴とする
電動車両用冷却装置。
【請求項2】
前記冷却対象が電動車両に搭載された二次電池から電力供給を受けて作動するモーター又はインバータであることを特徴とする
請求項1記載の電動車両用冷却装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出された電流値と前記第1電流値との差に応じて前記冷却手段の駆動状態を変更することを特徴とする
請求項1又は2に記載の電動車両用冷却装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、冷媒が通過する流路と、前記流路に冷媒を循環させる駆動手段とを有し、
前記制御部は、前記検出された電流値が前記第1電流値よりも大きい場合に前記駆動手段を駆動させることを特徴とする
請求項1から3のいずれか一項に記載の電動車両用冷却装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、さらに冷媒を冷却するラジエータを有し、
前記設定手段は、前記冷却対象の温度に基づいて前記第1電流値よりも高い所定の第2電流値を設定し、
前記制御部は、前記検出された電流値と前記第2電流値とを比較して、前記検出された電流値が前記第2電流値よりも大きい場合に前記ラジエータを駆動させることを特徴とする
請求項4記載の電動車両用冷却装置。
【請求項6】
電動車両周辺の外気温を検出する外気温検出手段をさらに備え、
前記設定手段は、検出された前記外気温に応じて前記第1電流値を変動させることを特徴とする
請求項1から5のいずれか一項に記載の電動車両用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動車両用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド車等のモーターにより車両が駆動される電動車両が注目されている。これらの電動車両では、高電圧出力を得るために複数の二次電池が直列接続されてなる電池ユニットから電力がモーターに供給される。このモーターの作動によるモーター自身の発熱を抑制すべく冷却手段が設けられている。
【0003】
冷却手段としては、例えば駆動手段により冷媒を供給する冷却手段等がある。このような冷却手段では、冷媒温度を検出して駆動手段の出力を制御する。
【0004】
電動車両では、このような駆動手段の出力も全てバッテリーからの電力の供給により行われることから、必要時のみ応答良く冷却量を増大させて冷却性能を確保しつつ、消費電力を低下させることが求められている。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、駆動負荷が高負荷である場合に駆動手段としての冷却ポンプの出力を高出力側に移行制御し、必要時のみ応答良く冷却量を増大させて冷却性能を確保しつつ、消費電力を低下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−261197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、駆動負荷が高負荷でない場合についても冷却ポンプ等の駆動手段の出力を制御してより消費電力の抑制をすることが求められている。
【0008】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、より消費電力を抑制することができる電動車両用冷却装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電動車両用冷却装置は、電力供給を受けて駆動される冷却対象を、電力供給を受けて冷却する冷却手段を備え、該冷却手段の駆動を制御する電動車両用冷却装置であって、前記冷却対象の温度を検出する温度検出手段と、前記冷却手段の駆動の要否を判断するための所定の第1電流値を前記冷却対象の温度に基づいて設定する設定手段と、前記冷却対象に流入する電流を検出する電流検出手段と、前記検出された電流値と前記第1電流値とを比較して、前記検出された電流値が前記第1電流値よりも大きい場合に前記冷却手段を駆動させる制御部とを備え、前記第1電流値は、前記冷却対象の温度が高くなるに従って小さくなるよう設定されることを特徴とする。
【0010】
本実施形態では、前記冷却対象の温度に基づいて設定された第1電流値と、前記検出された電流値とを比較して、検出された電流値が第1電流値よりも大きい場合に冷却手段を駆動させることで、消費電力を抑制しつつ、冷却手段を駆動させることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態としては、前記冷却対象が電動車両に搭載された二次電池から電力供給を受けて作動するモーター又はインバータであることが挙げられる。
【0012】
前記制御部は、前記検出された電流値と前記第1電流値との差に応じて冷却手段の駆動状態を変更することが好ましい。前記検出された電流値と前記第1電流値との差に応じて冷却手段の駆動状態を変更することで、より消費電力を抑制しつつ、適切に冷却手段を駆動させることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態としては、前記冷却手段は、冷媒が通過する流路と、前記流路に冷媒を循環させる駆動手段とを有し、前記制御部は、前記検出された電流値が前記第1電流値よりも大きい場合に前記駆動手段を駆動させることが挙げられる。
【0014】
前記冷却手段が、さらに冷媒を冷却するラジエータを有し、前記設定手段は、前記冷却対象の温度に基づいて前記第1電流値よりも高い所定の第2電流値を設定し、前記制御部は、前記検出された電流値と前記第2電流値とを比較して、検出された電流値が前記第2電流値よりも大きい場合に前記ラジエータを駆動させることが好ましい。このように構成することで、消費電力をさらに抑制しつつ、冷却を適切に行うことができる。
【0015】
電動車両周辺の外気温を検出する外気温検出手段をさらに備え、前記設定手段は、検出された前記外気温に応じて前記第1電流値を変動させることが好ましい。このように構成することで、外気温に応じて消費電力をさらに抑制することができ、前記冷却対象の冷却を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動車両用冷却装置によれば、より消費電力を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る冷却装置の構成を説明するための模式図。
図2】モーター温度に対する第1電流値を示すグラフ。
図3】実施形態1に係る冷却装置の作動を説明するためのフローチャート。
図4】実施形態2に係る冷却装置の(1)構成を説明するための模式図、(2)電流値の差に対する駆動度合いを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
電気自動車1は、電気自動車である。電気自動車1には、電気自動車1を駆動する駆動用のバッテリーユニット(バッテリー)2が設けられている。バッテリーユニット2は、複数のバッテリーセルが直列に接続されて電池列を形成し、大電流を流すことが可能であるように構成されている。
【0019】
バッテリーユニット2は、電線であるケーブル3を介してインバータ4に接続されている。インバータ4は、三相線5を介してモーター6に接続されている。これによりバッテリーユニット2によりモーター6に電力が供給される。
【0020】
また、電気自動車1は、冷却装置10を有する。冷却装置10は、冷却手段11と、冷却手段11の作動を制御する制御部12とを有する。冷却手段11は、ウォーターポンプ(駆動手段)13と、ウォーターポンプ13により冷媒が循環する流路14と、ラジエータ15とが設けられている。冷却手段11の流路14は、本実施形態では、インバータ4及びモーター6に近接して設けられている。冷却手段11では、ウォーターポンプ13が作動することにより流路14に冷媒が流れ、ラジエータ15で熱交換して冷却された冷媒によりインバータ4及びモーター6を冷却している。
【0021】
冷却装置10は、バッテリーユニット2からの電力供給によってモーター6が作動することによるモーター6の発熱を、制御部12により冷却手段11のウォーターポンプ13を適切に作動させることで適切に冷却する。
【0022】
制御部12について以下詳細に説明する。
【0023】
制御部12は、三相線5を流れる電流、即ちモーター6に流入する電流の電流値を検出する電流検出部21を有する。また、モーター6のコイルの温度、即ちモーター6の温度を検出する温度検出部22を有する。なお、これらの電流検出部21及び温度検出部22の検出結果は、図示しない別の制御部にも入力され、バッテリーユニット2の入出力制御等にも用いられるものである。
【0024】
制御部12は、冷却手段11の駆動の要否を判断するための所定の第1電流値を設定する設定手段23と、この第1電流値と電流検出部21により検出された電流値とを比較して、ウォーターポンプ13の駆動又は停止を判定する判定手段24とを備える。
【0025】
設定手段23は、温度検出部22により検出されたモーター6の温度に基づいて第1電流値を設定する。設定手段23は、図2に示すマップに従って、検出されたモーター6の温度に基づいて第1電流値を設定する。なお、図2に示すマップは、予め制御部12内の記録部に記録されている。図2に示すように、モーター6の検出温度が高くなるに従って第1電流値は小さくなるように設定されている。
【0026】
即ち、設定手段23は、モーター6の温度が高い場合には、冷却手段11をすぐに駆動する必要がないため、第1電流値を低く設定する。また、設定手段23は、モーター6の温度が低い場合には、冷却手段11をすぐに駆動する必要があるため、第1電流値を高く設定している。
【0027】
そして、判定手段24は、電流検出部21により検出された電流値と第1電流値とを比較して、検出された電流値が第1電流値よりも大きい場合に冷却手段11の駆動を判定する。また、判定手段24は、検出された電流値が第1電流値以下である場合には冷却手段11の停止を判定する。制御部12は、これらの判定結果に基づいてウォーターポンプ13の駆動・停止、即ち冷却手段11の駆動・停止を制御する。
【0028】
従って、モーターの温度が低く設定手段23により第1電流値が高く設定されている場合には、検出された電流値は第1電流値よりも大きくなりにくいので冷却手段11が作動しにくい。かつ、モーター6の温度が高く設定手段23により第1電流値が低く設定されている場合には、検出された電流値は第1電流値よりも大きくなりやすいので冷却手段が作動しやすい。
【0029】
本実施形態では、設定手段によりモーター6の温度に応じて第1電流値を設定でき、この第1電流値よりも検出された電流値が大きい場合にのみ冷却手段11を駆動させる。従って、本実施形態では、高負荷状態であるか否かに拘わらず、モーター6の温度が高い場合には冷却手段11の作動閾値が下がって冷却手段11が作動しやすくなり、適切に冷却することができる。即ち、従来は高負荷状態である場合にはモーター6に流入する電流値が高いので、これに併せて冷却手段11の駆動を高く設定していたが、このような場合であってもモーター6自体の温度が低い場合には冷却手段11の駆動が必要ないことも考えられる。本実施形態では、モーター6に流入する電流値が高くても、モーター6の温度が低ければ第1電流値が高く設定されるので、冷却手段11が駆動されにくい。従って、消費電力を適切に抑制できる。
【0030】
他方で、モーター6の温度が低い場合には、冷却手段11の作動閾値が上がって冷却手段11が作動しにくくなり、適切に消費電力を抑制することができる。
【0031】
また、モーター6の検出温度が低く第1電流値が高い場合であっても、モーター6に流入する電流が大きければモーター6の昇温は大きいと考えられるので、このような場合には冷却装置10を駆動させて適切にモーター6の昇温を抑制できる。モーター6の検出温度が高く第1電流値が小さかったとしてもモーター6に流入する電流が小さければモーター6の昇温は小さいと考えられるので、このような場合には冷却装置10を駆動させずに消費電力を抑制できる。
【0032】
このように、本実施形態では、モーター6の検出温度及び流入する電流の電流値から、冷却手段11の作動を制御することができるので、より消費電力を抑制しつつ、適切に冷却を行ってモーター6の高温化を防ぐことができる。
【0033】
この場合に、各検出部は通常別の制御に用いられるセンサであるから、本制御を行うために新たにセンサを追加することなく冷却手段11の駆動を適切に制御することができる。さらに、ウォーターポンプ13の水温を検出するセンサがなくても本実施形態の制御を行うことができるので、水温センサを有していなくてもよく、従来の冷却装置と比較してコストダウンできる。また、ウォーターポンプ13の水温を検出するセンサがなくても本実施形態の制御を行うことができるので、水温センサを有している場合にも、本実施形態の制御を水温センサ異常時における補助制御として用いることも可能である。
【0034】
かかる制御部12の制御について、図3を用いて詳細に説明すると、まず、イグニッションキーがオン状態、即ち電気自動車1の電源が入力されると制御を開始する。制御を開始すると、電流検出部21からモーター温度及びモーター6に流入する電流値が検出される(ステップS1)。
【0035】
次いで、制御部12の設定手段23が、検出されたモーター温度に応じて図2に示すマップにより第1電流値を設定する(ステップS2)。
【0036】
次に、制御部12の判定手段24が、検出された電流値と第1電流値を比較し(ステップS3)、検出された電流値が第1電流値よりも大きいと判断した場合には(ステップS3:YES)、制御部12は冷却手段11を駆動させる(ステップS4)。また、検出された電流値が第1電流値以下であると判断した場合には(ステップS3:NO)、制御部12は冷却手段11を停止させる(ステップS5)。このような制御を、車両が停止されるまで連続して行う。
【0037】
このように、本実施形態では、モーター6の検出温度及び流入する電流の電流値から、冷却手段11の作動を制御することができるので、より消費電力を抑制しつつ、適切に冷却を行ってモーター6の高温化を防ぐことができる。
【0038】
(実施形態2)
上述した実施形態では、モーターの検出温度に応じてウォーターポンプの駆動・停止を制御したが、本実施形態では、さらにウォーターポンプの駆動度合いを変更させる点が異なる。
【0039】
本実施形態では、制御部12はさらに図4(1)に示すように駆動設定手段25を有する。駆動設定手段25は、検出された電流値と設定された第1電流値との差に応じて、駆動手段であるウォーターポンプの駆動度合いを設定するものである。駆動設定手段25は、判定手段24が、検出された電流値と第1電流値を比較し、検出された電流値が第1電流値よりも大きいと判断した場合に作動して、検出された電流値と設定された第1電流値との差を検出する。そして、図4(2)に示す検出された電流値と設定された第1電流値との差に対する駆動度合いを示すマップを用いて、駆動度合いを設定する。図4(2)に示すマップでは、検出された電流値と設定された第1電流値との差が大きくなるほど、駆動度合いが大きくなる。
【0040】
これにより、本実施形態では、モーター6の検出温度及び流入する電流の電流値から、冷却手段11の作動を制御すると共に、適切に冷却手段11の駆動状態を設定することができるので、より消費電力を抑制しつつ、適切に冷却を行ってモーター6の高温化を防ぐことができる。
【0041】
(実施形態3)
上述した実施形態1において、さらに冷却手段11に設けられたラジエータ15のファンの制御を行っても良い。このようなラジエータ15のファンの制御としては、設定手段23が所定の第1電流値よりも大きい所定の第2電流値を設定し、判定手段24が、検出された電流値と第2電流値を比較し、検出された電流値が第2電流値よりも大きいと判定した場合に、ラジエータ15のファンを駆動させることが挙げられる。この場合の第2電流値も、モーターの温度により設定されるものであり、モーターの温度が高いほど、第2電流値は低くなる。かつ、第2電流値は、常に第1電流値よりも高い。つまり、ラジエータの作動に当たっては、駆動手段の作動が前提となっている。従って、ウォーターポンプ13の作動よりもラジエータのファンの作動の方がより作動しにくいので、検出された電流値が第2電流値よりも大きい場合にのみウォーターポンプ13とラジエータのファンとの両方を作動させることになり、消費電力を抑制しつつ、冷却効率を高めることができる。
【0042】
(他の実施形態)
上述した実施形態1から3において、さらに外気温に応じて冷却手段の駆動の要否を判断するための第1電流値を変動させてもよい。本実施形態では、冷却装置10は、電気自動車1の周辺の外気温を検出する図示しない外気温検出手段をさらに備える。設定手段23は、図示しない外気温検出手段によって検出された外気温に応じて第1電流値を変動させる。
【0043】
具体的には、検出された外気温が高いほど、第1電流値を小さく設定し、検出された外気温が低いほど、第1電流値を大きく設定する。即ち、外気温が高く、冷却手段11の冷媒が高温化しやすい環境にあるほど、冷却手段11の駆動閾値が下がり、また、外気温が低く、冷却手段11の冷媒が高温化しにくい環境にあるほど、冷却手段11の駆動閾値が上がることになる。これにより、さらに消費電力を抑制しつつ、適切に冷却を行ってモーター6の高温化を防ぐことができる。
【0044】
上述した実施形態では、冷却手段として水冷式の冷却手段11を用いたが、これに限定されない。空冷式の冷却手段であってもよい。なお、水冷式の冷却手段11について冷媒は液体であれば水に限定されるものではない。また、駆動手段としてウォーターポンプ13を用いたが、これに限定されず、空冷式の冷却手段である場合には、冷却風を送風する冷却ファンを駆動手段として用いてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態1では、インバータもモーターの駆動度合いに応じて冷却されることになるが、インバータ用の回路を別途構成してもよい。
【0046】
本実施形態では、冷却対象としてモーターを示したが、これに限定されない。インバータの温度及びインバータへの電流の流入状態をさらに検出して駆動手段の駆動・停止を制御しても良い。電流が流入して発熱し、これを冷却する必要があるものを対象とすればよい。
【0047】
本実施形態では、モーターに流入する電流を直接検出することでモーターに流入する電流を検出したが、これに限定されない。例えばモーターに印加される電圧に基づいてモーターに流入する電流を検出してもよく、また、バッテリーからの出力電流に基づいてモーターに流入する電流を推定することで電流を検出してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、電気自動車を例として説明したが、これに限定されない。ハイブリッド車等の電動車両でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の電動車両用冷却装置は、より消費電力を抑制することができ、例えば車輌製造業分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 電気自動車
2 バッテリーユニット
3 ケーブル
4 インバータ
5 三相線
6 モーター
10 冷却装置
11 冷却手段
12 制御部
13 ウォーターポンプ
14 流路
15 ラジエータ
21 電流検出部
22 温度検出部
23 設定手段
24 判定手段
25 駆動設定手段
図1
図2
図3
図4