(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137462
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20170522BHJP
F24F 11/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F25B47/02 570M
F24F11/02 101F
F24F11/02 101G
F24F11/02 101Q
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-71007(P2013-71007)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-194311(P2014-194311A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光将
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−038545(JP,A)
【文献】
特開2000−039238(JP,A)
【文献】
特開2012−078065(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/013382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器を冷媒配管を介して接続してなる冷凍サイクルと、上記四方弁により上記冷凍サイクルを暖房運転と冷房運転とに可逆的に切り替える制御部とを含み、
上記制御部は、上記暖房運転中において、所定の除霜運転開始条件下で上記四方弁を暖房運転から冷房運転側に切り替えて上記室外熱交換器に付着した霜を取り除く除霜運転を開始する除霜運転開始手段と、上記除霜運転開始後において所定の除霜運転解除条件下で上記除霜運転を解除する除霜運転解除手段と、少なくとも除霜運転時間を計時するタイマとを備えている空気調和機において、
上記制御部に、除霜運転を解除する判定要因として、第1解除温度Th1および第2解除温度Th2(Th2<Th1で、Th2>0℃)と、除霜運転のタイムアップ時間TUと、所定の時間間隔で検出される上記室外熱交換器の室外熱交温度Tcのうちの前回検出時の室外熱交温度TcFと今回検出時の室外熱交温度TcRとの温度差Tα(=TcR−TcF)が所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Txと、上記室外熱交温度Tcが所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Ty(Ty>Tx)とが設定され、
上記制御部は、除霜運転の開始に伴って、上記タイマにより除霜運転時間RTを計時するとともに、逐次上記温度差Tα(=TcR−TcF)を算出し、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達する前に、上記室外熱交温度Tcが、上記第1解除温度Th1よりも低いが上記第2解除温度Th2以上で、かつ、上記温度差Tαが上記閾値Txよりも小さい場合には、上記室外熱交温度Tcと上記閾値Tyとを比較して、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更するかどうかの判定を行って除霜運転を解除することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
上記制御部は、上記室外熱交温度Tcが上記第2解除温度Th2よりも低く、かつ、上記温度差Tαが上記閾値Txよりも大きい状態が継続し、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達した場合にも、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する上記除霜運転開始条件を変更するかどうかの判定を行って、除霜運転を解除することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
上記制御部は、上記室外熱交温度Tcが上記閾値Tyよりも大きい場合には、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更せずに前回の暖房運転時のままとし、上記熱交温度Tcが上記閾値Tyよりも小さい場合には、次回の暖房運転時には、前回の暖房運転時よりも短いサイクルで除霜運転が行われるように除霜運転開始条件を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
上記制御部は、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達する前に、上記室外熱交温度Tcが上記第1解除温度Th1よりも高くなった場合には、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更せず、前回の暖房運転時のままとして、除霜運転を解除することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四方弁により冷房運転と暖房運転とが切替可能な冷凍サイクルを有する空気調和機に関し、さらに詳しく言えば、暖房運転時に室外熱交換器に付着する霜を取り除く除霜技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷房/暖房兼用の空気調和機は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器を冷媒配管を介して接続してなる冷凍サイクルを有し、冷房運転時には、冷媒が圧縮機→四方弁→室外熱交換器→膨張弁→室内熱交換器→四方弁→圧縮機へと流されて、室外熱交換器が凝縮器、室内熱交換器が蒸発器として作用する。
【0003】
これに対して、暖房運転時には、冷媒が圧縮機→四方弁→室内熱交換器→膨張弁→室外熱交換器→四方弁→圧縮機へと流されて、室内熱交換器が凝縮器、室外熱交換器が蒸発器として作用する。
【0004】
このように、暖房運転時には、室外熱交換器が蒸発器として作用することから、外気温が低い環境下で、暖房運転を続けると、室外熱交換器に付着した凝縮水が結氷して霜付き現象が発生する。そうすると、室外熱交換器の熱交換率が低下する。
【0005】
そこで、暖房運転中、所定の除霜条件が成立したかどうかを判定し、除霜条件が成立した場合には、除霜運転を行うようにしている。除霜条件には、外気温、室外熱交換器の室外熱交温度、暖房運転時間等が含まれる。
【0006】
通常、除霜運転は、リバース除霜として、四方弁を冷房運転側に切り換えて行う。すなわち、除霜運転時は、冷房運転と同じく、冷媒が圧縮機→四方弁→室外熱交換器→膨張弁→室内熱交換器→四方弁→圧縮機へと流されるが、このとき、室内温度が下がらないようにするため、室内機側では、室内送風機を停止させている。
【0007】
そして、除霜運転を解除して終了させるにあたって、従来では、室外熱交温度と、除霜運転時間(タイムアップ)とを解除の判定要因として、除霜運転終了時を判断するようにしている。
【0008】
ここで、
図3のフローチャートにより、従来行われている暖房運転と除霜運転について説明する。ステップST101で、暖房運転が開始されると、ステップST102で、除霜運転を開始するかどうかの除霜運転開始判定が行われる。
【0009】
この判定には、外気温、室外熱交温度、暖房運転時間等が用いられる。一例として、外気温が−5℃以下、室外熱交温度が−15℃以下、暖房運転時間が3時間、等として設定される。
【0010】
そして、これらの条件が例えばすべて満たされた場合に、ステップST103で、除霜運転が開始される。なお、除霜運転の解除条件として、この例では、室外熱交温度Tcが15℃以上、除霜運転時間RTが15分間の2条件としている。除霜運転時間RTは、除霜運転の開始時にタイマをスタートさせることにより計時される。
【0011】
除霜運転開始後、ステップST104で、所定のX時間が経過するのを待って、除霜運転を解除するかどうかの判定が行われる。このX時間は、霜の溶け残りを極力少なくするうえで、最小限必要とされる除霜運転時間を確保する時間で、例えば4〜5分程度に設定される。
【0012】
X時間(4〜5分)経過後に、除霜運転の解除判定が行われるが、まず、ステップST105で、温度による解除判定として、室外熱交温度Tc≧15℃であるかどうかが判定され、その判定結果がYes(Tc≧15℃)であれば、ステップST107で除霜運転を終了し、ステップST108で暖房運転を再開する。
【0013】
ステップST105での判定結果がNo(室外熱交温度Tc<15℃)のときには、ステップST106で、時間による解除判定として、除霜運転時間RT≧15分であるかどうかの判定が行われる。
【0014】
その判定結果がNo(RT<15分)であれば、ステップST105に戻り、依然として室外熱交温度Tc<15℃のときには、除霜運転時間RTが15分経過するまで除霜運転を継続し、除霜運転時間RTが15分経過してタイムアップ(ステップST106の判定結果がYes)になると、ステップST107で除霜運転を終了し、ステップST108で暖房運転を再開する。
【0015】
このように、上記従来例では、
図4のグラフに示すように、ts時点で除霜を開始し上記X時間を経てタイムアップのte時点に至るまでの間で、室外熱交温度Tcが解除温度の15℃にまで上昇しないときには、除霜運転時間RTがタイムアップするまでの15分間除霜運転が継続されることになる。
【0016】
しかしながら、室外熱交温度Tcが例えば10℃にまで上昇したのち、それ以上温度が上がらずに10℃近辺を推移する場合、その10℃近辺での推移が始まってからタイムアップするまでの期間の除霜運転は無駄になる(この例では、除霜運転開始後の10分〜タイムアップとなる15分までの5分間)。
【0017】
このように、除霜運転を続けても、室外熱交温度Tcが、例えば10℃以上に上昇しないのは、上記したように、除霜運転時、室内機側では、室内温度が下がらないように、室内送風機を停止させているため、室外熱交換器にて凝縮された液冷媒は、室内熱交換器にて殆ど熱交換されることなく、冷たい状態で圧縮機に戻されることによる。
【0018】
なお、特許文献1には、除霜運転時に室内熱交換器の温度(室内熱交温度)を複数回検出し、前回温度と今回温度との差が所定値以下のときには、タイムアップを待つことなく、除霜運転を解除して終了させることが提案されている。
【0019】
しかしながら、室内熱交温度と室外熱交温度は、直接的な関係がないため、特許文献1による方法では、除霜運転を終了させるタイミングが必ずしも適切とは言えない。また、霜の溶け残りが起こることもあり得る。そうした場合、除霜解除後に行われる暖房運転で、霜の成長が早くなり、また、霜の付着量も増えるため、頻繁に除霜運転が行われる、という問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2000−39238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の課題は、除霜運転をタイムアップするまで継続しても、室外熱交換器の温度が解除値に達しないと判定された場合には、その判定がなされた時点で除霜運転を解除して終了させ、それ以後の無駄な除霜運転をなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記した課題を解決するため、本発明は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器を冷媒配管を介して接続してなる冷凍サイクルと、上記四方弁により上記冷凍サイクルを暖房運転と冷房運転とに可逆的に切り替える制御部とを含み、上記制御部は、上記暖房運転中において、所定の除霜運転開始条件下で上記四方弁を暖房運転から冷房運転側に切り替えて上記室外熱交換器に付着した霜を取り除く除霜運転を開始する除霜運転開始手段と、上記除霜運転開始後において所定の除霜運転解除条件下で上記除霜運転を解除する除霜運転解除手段と、少なくとも除霜運転時間を計時するタイマとを備えている空気調和機において、
上記制御部に、除霜運転を解除する判定要因として、第1解除温度Th1および第2解除温度Th2(Th2<Th1で、Th2>0℃)と、除霜運転のタイムアップ時間TUと、所定の時間間隔で検出される上記室外熱交換器の室外熱交温度Tcのうちの前回検出時の室外熱交温度TcFと、今回検出時の室外熱交温度TcRとの温度差Tα(=TcR−TcF)が所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Txとが設定され、
上記制御部は、除霜運転の開始に伴って、上記タイマにより除霜運転時間RTを計時するとともに、逐次上記温度差Tα(=TcR−TcF)を算出し、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達する前に、上記室外熱交温度Tcが上記第1解除温度Th1よりも低いが上記第2解除温度Th2以上で、かつ、上記温度差Tαが上記閾値Txよりも小さい場合には、除霜運転を解除することを特徴としている。
【0023】
本発明の好ましい態様によると、上記制御部には、上記室外熱交温度Tcが所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Ty(Ty>Tx)がさらに設定されており、上記制御部は、除霜運転を解除するにあたって、上記室外熱交温度Tcと上記閾値Tyとを比較して、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更するかどうかを判定する。
【0024】
また、上記制御部は、上記室外熱交温度Tcが上記第2解除温度Th2よりも低く、かつ、上記温度差Tαが上記閾値Txよりも大きい状態が継続し、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達した場合にも、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する上記除霜運転開始条件を変更するかどうかの判定を行ってから、除霜運転を解除する。
【0025】
上記除霜運転開始条件を変更するかどうかの判定を行うにあたって、上記制御部は、上記室外熱交温度Tcが上記閾値Tyよりも大きい場合には、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更せずに前回の暖房運転時のままとし、上記熱交温度Tcが上記閾値Tyよりも小さい場合には、次回の暖房運転時には、前回の暖房運転時よりも短いサイクルで除霜運転が行われるように除霜運転開始条件を変更する。
【0026】
また、上記制御部は、上記除霜運転時間RTが上記タイムアップ時間TUに達する前に、上記室外熱交温度Tcが上記第1解除温度Th1よりも高くなった場合には、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更せず、前回の暖房運転時のままとして、除霜運転を解除する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、除霜運転を解除する判定要因として、第1解除温度Th1および第2解除温度Th2(Th2<Th1で、Th2>0℃)と、除霜運転のタイムアップ時間TUと、所定の時間間隔で検出される室外熱交温度Tcのうちの前回検出時の室外熱交温度TcFと今回検出時の室外熱交温度TcRとの温度差Tα(=TcR−TcF)が所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Txとを設定し、
除霜運転時に、逐次温度差Tα(=TcR−TcF)を算出し、除霜運転時間RTがタイムアップ時間TUに達する前に、第2解除温度Th2≦室外熱交温度Tc<第1解除温度Th1、かつ、温度差Tα<閾値Txであると判定された場合には、タイムアップ時間TUまで除霜運転を続けても、室外熱交温度Tcがそれ以上上昇せず第1解除温度Th1まで到達することが見込めないため、その判定がなされた時点で除霜運転を解除して、タイムアップするまで待つことなく除霜運転を終了させることにより、無駄な除霜運転をなくすことができる。
【0028】
第2解除温度Th2≦室外熱交温度Tc<第1解除温度Th1で、かつ、温度差Tα<閾値Txの条件で除霜運転を解除すると、室外熱交換器に付着している霜が溶けきらない状態で除霜運転が終了する可能性があるため、室外熱交温度Tcが所定値を超えているかどうかを判定するための閾値Ty(Ty>Tx)をさらに設定し、除霜運転を終了する際、室外熱交温度Tc<閾値Tyである場合には、除霜運転解除後に行われる次回の暖房運転に対する除霜運転開始条件を変更して、前回の暖房運転時よりも短いサイクルで除霜運転が行われるようにすることにより、次回の暖房運転には、霜が多量に付着する前に除霜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の空気調和機が備える冷凍サイクルを示す模式図。
【
図2】本発明で行われる除霜運転の動作を説明するためのフローチャート。
【
図3】従来の除霜運転の動作を説明するためのフローチャート。
【
図4】除霜運転時における室外熱交温度の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、
図1および
図2により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
図1に示すように、この実施形態に係る空気調和機は、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14、室内熱交換器16およびアキュムレータ17を冷媒配管を介して接続してなる冷凍サイクルと、この冷凍サイクルを制御する制御部20とを備えている。
【0032】
圧縮機11は、ロータリー式、スクロール式、一定速型、インバータによる可変速型のいずれであってもよいが、圧縮機11の冷媒吐出管11aには、吐出冷媒の温度を検出する吐出温度センサ111が設けられている。
【0033】
室外熱交換器13は、室外送風機131を備えるとともに、室外熱交換器13には、外気温度を検出する外気温センサ132と、室外熱交換器の温度(室外熱交温度)Tcを検出する室外熱交温度センサ133とが設けられている。なお、この室外熱交温度センサ133は、室外熱交換器13の着霜状態を検出するセンサも兼ねている。
【0034】
この室外熱交温度センサ133は、室外熱交換器13に通されているパス(冷媒配管)のうち、室外熱交換器13の着霜状態を検出し得る位置に配置されているが、このほか、室外熱交換器13には、熱交換の状態を検出するための図示しないセンサが設けられてよい。膨張弁14には、例えばパルスモータにより弁開度が制御される電子膨張弁が用いられている。
【0035】
室内熱交換器16は、室内送風機161を備えている。また、室内熱交換器16には、室温を検出する室温センサ162、室内熱交換器16の温度を検出する室内熱交温度センサ163が設けられている。
【0036】
アキュムレータ17は気液分離器で、室外熱交換器13もしくは室内熱交換器16から低圧側の冷媒戻り配管171を介して圧縮機11側に戻される冷媒内に含まれている液冷媒を分離する。液冷媒と分離された気相冷媒は、冷媒吸入管11bを介して圧縮機11に吸入される。
【0037】
四方弁12は、吐出冷媒が供給される第1ポート121と、室外熱交換器13が接続される第2ポート122と、室内熱交換器16が接続される第2ポート123と、アキュムレータ17に至る冷媒戻り配管171が接続される第4ポート124の4つのポートを備えている。
【0038】
冷房運転時には、四方弁12が図示実線に示すように切り替えられ、第1ポート121と第2ポート122とが接続されるとともに、第3ポート123と第4ポート124とが接続される。
【0039】
これにより、圧縮機11からの吐出冷媒は、室外熱交換器13→膨張弁14→室内熱交換器16→冷媒戻り配管171→アキュムレータ17→圧縮機11へと循環し、室外熱交換器13が凝縮器、室内熱交換器16が蒸発器として作用する。
【0040】
暖房運転時には、四方弁130が図示鎖線に示すように切り替えられ、第1ポート121と第3ポート123とが接続されるとともに、第2ポート122と第4ポート124とが接続される。
【0041】
これにより、圧縮機11からの吐出冷媒は、室内熱交換器16→膨張弁14→室外熱交換器13→冷媒戻り配管171→アキュムレータ17→圧縮機11へと循環し、室内熱交換器210が凝縮器、室外熱交換器140が蒸発器として作用する。
【0042】
制御部20には、好ましくはマイクロコンピュータが用いられる。制御部20は、暖房運転や冷房運転、除霜運転等の運転時間を計時するタイマ210を備えている。
【0043】
制御部20には、少なくとも吐出温度センサ111と、外気温センサ132と、室外熱交温度センサ133とから信号が入力され、制御部20は、これらの各信号に基づいて、冷房運転、暖房運転および除霜運転に必要な制御を行う。
【0044】
次に、
図2のフローチャートを参照して、この実施形態で行う除霜運転の制御について説明する。
【0045】
前準備として、制御部20に除霜運転開始条件と、除霜運転を解除する判定要因とを設定する。この実施形態において、除霜運転開始条件には、変数Def=0で指定される第1除霜モードAと、変数Def=1で指定される第2除霜モードBの2つの除霜モードが含まれる。
【0046】
この実施形態において、第1除霜モードAの除霜運転開始条件は、外気温が−5℃以下、室外熱交温度Tcが−15℃以下、暖房運転時間が3時間で、第2除霜モードBの除霜運転開始条件は、外気温が−5℃以下、室外熱交温度Tcが−10℃以下、暖房運転時間が1時間であり、第2除霜モードBの方が第1除霜モードAよりも短いサイクルで除霜運転が開始される。
【0047】
また、除霜運転を解除する判定要因として、この実施形態においては、第1解除温度Th1を15℃、第2解除温度Th2を2℃、除霜運転時間のタイムアップ時間TUを15分とし、制御部20にて所定時間間隔(例えば1分間隔)でサンプリングされる室外熱交温度Tcのうち、前回検出時の室外熱交温度TcFと今回検出時の室外熱交温度TcRとの温度差Tα(=TcR−TcF)に対する閾値Txを0℃、室外熱交温度Tcに対する閾値Tyを5℃に設定する(これらの数値はいずれも一例である)。
【0048】
なお、この実施形態では、第2解除温度Th2を2℃としているが、氷点温度(0℃)よりも高い温度、すなわち、霜を溶かすことができる温度であればよい(ただし、Th2<Th1)。また、閾値Tyは、除霜運転終了時における霜の溶け残りの有無を判定する目安となる温度として設定される。
【0049】
上記のように、制御部20に、除霜運転開始条件および除霜運転を解除する判定要因を設定したのち、まず、ステップST201で、初期設定として除霜運転開始条件をDef=0の第1除霜モードAに設定して、ステップST202で、暖房運転を開始する。
【0050】
暖房運転が開始されると、ステップST203で、除霜運転開始条件がDef=0であるかどうかが判定され、この場合、ステップST201の初期設定でDef=0が設定されているため、ステップST203aが実行され、第1除霜モードAの条件「外気温が−5℃以下、室外熱交温度Tcが−15℃以下、暖房運転時間が3時間」が満たされたかどうかが判定される。
【0051】
第1除霜モードAの条件が満たされると、ステップST204で、四方弁12を暖房運転から冷房運転側に切り替えて除霜運転を開始するとともに、タイマ210をスタートさせて除霜運転時間RTを計時する。
【0052】
また、制御部20は、室外熱交温度センサ133にて検出された室外熱交温度Tcを所定時間間隔(この例では1分間隔)で逐次監視し、前回(1分前)検出時の室外熱交温度TcFと、今回検出時の室外熱交温度TcRとの温度差Tα(=TcR−TcF)を算出する。
【0053】
なお、この除霜運転時、室内機側では、室内温度が下がらないようにするため、室内送風機161を停止させている。これにより、上記したように、吐出温度センサ111にて検出される圧縮機11の吐出温度Tdは徐々に低下する。
【0054】
除霜運転開始後、ステップST205で、霜の溶け残りを極力少なくするうえで、最小限必要とされる除霜運転時間を確保する時間としてのX時間(例えば4〜5分)を待ってから、除霜運転の解除判定を行う。
【0055】
まず、ステップST206で、室外熱交温度Tc≧15℃(第1解除温度Th1)かどうかを判定する。その判定結果がYes(Tc≧15℃)であれば、室外熱交換器13に付着している霜が溶けている状態であるとして、ステップST210aに移行してDef=0を維持したのち、ステップST211で、除霜運転を終了する。
【0056】
ステップST206での判定結果がNo(Tc<15℃)の場合には、ステップST207で、室外熱交温度Tc≧2℃、かつ、温度差Tα(=Tc
R−Tc
F)≦0℃(閾値Tx)かどうかを判定する。
【0057】
その判定結果がYes(Tc≧2℃、かつ、Tα≦0℃)であれば、霜を溶かし得る状態ではあるものの、Tα≦0℃であることから、室外熱交温度Tcが1分前の状態と同じか、もしくは1分前よりも下がっており、それ以上除霜運転を行っても室外熱交温度Tcは上がらないとして、ステップST209に移行し、今度は室外熱交温度Tc≧5℃(閾値Ty)かどうかを判定する。
【0058】
その判定結果がYes(Tc≧5℃)の場合には、除霜運転をX時間継続したのち、室外熱交温度Tcが5℃以上になっているため、室外熱交換器13が十分に暖められて、室外熱交換器13に付着している霜が殆ど溶けていると推測されることから、ステップST210aに移行してDef=0を維持したのち、ステップST211で、除霜運転を終了する。
【0059】
ステップST209での判定結果がNo(Tc<5℃)の場合には、室外熱交換器13に霜の溶け残りがあると推測されることから、ステップST210bで、Def=1として、次回の暖房運転時の除霜運転開始条件を第2除霜モードBに設定したのち、ステップST211で、除霜運転を終了する。
【0060】
一方、ステップST207で、Tc≧2℃,Tα≦0℃のいずれか一方もしくは両方が満たされない場合には、No判定となるが、Tα>0℃であれば、室外熱交温度Tcが上がる見込みがあるとして除霜運転を継続し、ステップST208で、除霜運転時間RT≧15分(タイムアップ時間TU)かどうかを判定する。
【0061】
その判定結果がNo(RT<15分)であれば、ステップST206に戻り、その判定結果が依然としてNo(Tc<15℃)で、かつ、ステップST207の判定結果もNoの状態が続いて、ステップST208での判定結果がYes(RT≧15分)でタイムアップになると、ステップST209で、Tc≧5℃かどうかを判定する。
【0062】
その判定結果がYes(Tc≧5℃)であれば、ステップST209aで、Def=0を維持し、No(Tc<5℃)であれば、ステップST209bで、Def=1としたのち、ステップST211で、除霜運転を終了する。
【0063】
このようにして、除霜運転が終了すると、ステップST212で、四方弁12が暖房運転に切り替えられて、ステップST202に戻り、次回の暖房運転が開始されるが、ステップST210bで、除霜運転開始条件がDef=1に変更された場合には、ステップST203での判定(Def=0かの判定)がNoになるため、ステップST203bに移行し、除霜運転開始条件として第2除霜モードBが採用される。
【0064】
すなわち、除霜運転開始条件が「外気温が−5℃以下、室外熱交温度Tcが−10℃以下、暖房運転時間が1時間」となるため、Def=0の第1除霜モードAよりも短いサイクルで除霜運転に入り、室外熱交換器13に霜が多量に付着する前に除霜が行われることになる。
【0065】
なお、上記実施形態では、除霜運転開始後で、除霜運転の解除判定を行う前のステップST205で、X時間として4〜5分の待ち時間を設定しているが、ステップST205は外してもよい。
【符号の説明】
【0066】
11 圧縮機
111 吐出温度センサ
12 四方弁
13 室外熱交換器
132 外気温センサ
133 室外熱交温度センサ
14 膨張弁
16 室内熱交換器
17 アキュムレータ