(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
様々な場所で充放電可能な電池モジュールにより電力供給を行うシステムにおける電池モジュールの使用履歴情報を収集するシステムに用いられる電池モジュール使用履歴情報収集装置が実行する処理方法であって、
電池モジュールに設けられたログ記録用メモリおよび電池モジュールを充放電する装置に設けられたログ記録用メモリから、個々の電池モジュールの使用履歴情報を含むログ情報を取得する工程と、
取得したログ情報に基づいて電池モジュール毎の使用履歴情報をデータベースに保持して管理する工程と
を備え、
前記電池モジュールに設けられたログ記録用メモリには、当該電池モジュールのログ情報以外に、前記装置に同時に収容された他の電池モジュールのログ情報を記録する
ことを特徴とする電池モジュール使用履歴情報収集方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0014】
<システム構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる電力供給システムの構成例を示す図である。
【0015】
図1において、電力供給システムを運営する事業者X、Y、・・の事業者施設1X、1Y、・・には、単一もしくは複数のコンピュータ装置から構成される、いわゆるクラウドサービスを提供する情報処理装置11が設けられている。情報処理装置11には、通信部111と管理部112と電池モジュール使用履歴データベース113とが設けられ、通信部111はインターネット等のネットワーク2に接続されている。ネットワーク2は有線・無線に限られない。
【0016】
通信部111は、ネットワーク2を介して対向する端末装置等とデータ通信を行う機能を有している。管理部112は、通信部111を介して取得したデータのうち電池モジュールのログ情報から使用履歴情報を集計して電池モジュール使用履歴データベース113に格納するとともに、使用履歴情報に基づいた電力使用の課金や電池モジュールの充放電制御や回収等に関する各種の制御情報を通信部111を介して送信する機能を有している。管理部112は、ある電池モジュールについてのログ情報そのものからその電池モジュールについての使用履歴情報を取得するだけでなく、他の取得済のログ情報を用い、欠落した電池モジュールのログ情報を再生し、全ての電池モジュールについての使用履歴情報を得るように処理を行う。
【0017】
電池モジュール使用履歴データベース113の保持するデータ項目は、取得するログ情報に含まれる項目と略同一であり、個々の電池モジュールのIDに対応付けて、充放電の行われた日時、充放電装置ID、被給電装置ID、使用者ID、場所(GPS(Global Positioning System)情報)、充放電電力量、充放電状況(電圧、電流、温度等)等が含まれている。
【0018】
充放電施設3は個人や団体の施設であり、ソーラーパネル等の発電装置31と充放電装置32とを備えている。充放電装置32は、発電装置31からの電力により複数の電池モジュールMを充電するとともに、充電と並行してAC電源コンセント33に交流電源を供給する機能を有している。充電の完了した電池モジュールMは取り出して充電済電池モジュールプール34に保管しておき、随時に持ち出し、電池パックに挿入して被給電装置への給電に用いることができる。
【0019】
また、充放電装置32は、ログ記録部321とログ保持部322と通信部323とを備えている。ログ記録部321は、充電の状況等を示すログ情報を電池モジュールMに取り付けられたメモリデバイスMDと充放電装置32内のログ保持部322に記録する機能を有している。メモリデバイスMDとログ保持部322は、いずれも上書きや消去が行われるまで内容を保持する記憶媒体であり、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信機能により至近距離から記憶内容の読み出しや書き込みが行えるようになっている。
【0020】
通信部323は、ネットワーク2を介してデータ通信を行う機能を有しており、充放電施設3の環境によっては存在しない場合もある。充放電施設3において、ユーザの所持するスマートフォン等の携帯端末35により、ログ保持部322や電池モジュールMのメモリデバイスMDからログ情報を取得し、ネットワーク2を介して事業者施設1X等にログ情報を送信することができる。
【0021】
利用環境4では、電動アシスト自転車等の被給電装置41に適合する電池パック42を介して電池モジュールMが取り付けられた状態を示している。電池パック42は被給電装置41に内蔵されているものでもよいし、外付けのものでもよい。電池モジュールMは充放電施設3における充電済電池モジュールプール34から入手したものである。同様な施設から入手したものでもよい。
【0022】
電池パック42は、ユーザ認証部421と機器認証部422とログ記録部423とログ保持部424とを備えている。ユーザ認証部421は、ユーザが予めスマートフォン等の携帯端末43により事業者施設1X等から入手したプリペイド式等の使用権のコード等により認証を行ない、電池モジュールMの利用の許否を判断する機能を有している。機器認証部422は、被給電装置41が通信機能を備えている場合には機種や給電条件等を読み出し、給電可能な装置であるか否かを確認し、給電可能な装置である場合、その装置の給電条件に従って給電が行われるように設定する機能を有している。電池パック42が被給電装置41にしか装着できない専用のものである場合には、機器認証部422は省略することができる。
【0023】
ログ記録部423は、給電の状況等を示すログ情報を電池モジュールMに取り付けられたメモリデバイスMDと電池パック42内のログ保持部424に記録する機能を有している。ログ保持部424は、上書きや消去が行われるまで内容を保持する記憶媒体であり、NFC等の近距離無線通信機能により至近距離から記憶内容の読み出しや書き込みが行えるようになっている。利用環境4において、ユーザの所持する携帯端末43により、ログ保持部424や電池モジュールMのメモリデバイスMDからログ情報を取得し、ネットワーク2を介して事業者施設1X等にログ情報を送信することができる。
【0024】
利用環境5では、パーソナルコンピュータ等の被給電装置51に、ケーブル52を介し、電池モジュールMを収容した電池パック53が接続された状態を示している。電池モジュールMは充放電施設3における充電済電池モジュールプール34から入手したものである。同様な施設から入手したものでもよい。なお、この被給電装置51は、本電力供給システムにより供給される電池モジュールMから給電されるように特別に設計されていないことを想定している。
【0025】
ケーブル52は、NFC等の近距離無線通信機能により至近距離から記憶内容の読み出しや書き込みが可能な機器情報保持部521を備えている。機器情報保持部521は、被給電装置51の給電条件および認証情報を保持しており、ユーザは予めスマートフォン等の携帯端末54により、ケーブル52の機器情報保持部521に被給電装置51のID、給電条件、認証情報等の情報を記憶しておく。
【0026】
電池パック53は、ユーザ認証部531と機器認証部532とログ記録部533とログ保持部534とを備えている。ユーザ認証部531は、ユーザが予めスマートフォン等の携帯端末54により事業者施設1X等から入手したプリペイド式等の使用権のコード等により認証を行ない、電池モジュールMの利用の許否を判断する機能を有している。機器認証部532は、ケーブル52の機器情報保持部521と通信を行って、被給電装置51の給電条件および認証情報を読み出し、給電可能な装置であるか否かを確認し、給電可能な装置である場合、その装置の給電条件に従って給電が行われるように設定する機能を有している。
【0027】
ログ記録部533は、給電の状況等を示すログ情報を電池モジュールMに取り付けられたメモリデバイスMDと電池パック53内のログ保持部534に記録する機能を有している。ログ保持部534は、上書きや消去が行われるまで内容を保持する記憶媒体であり、NFC等の近距離無線通信機能により至近距離から記憶内容の読み出しや書き込みが行えるようになっている。なお、電池パック53の機能は被給電装置51との接続に用いられるケーブル52に分散して設けてもよい。
【0028】
利用環境5において、ユーザの所持する携帯端末54により、ログ保持部534や電池モジュールMのメモリデバイスMDからログ情報を取得し、ネットワーク2を介して事業者施設1X等にログ情報を送信することができる。パーソナルコンピュータ等の被給電装置51は通信機能を有している場合が多いため、その場合は、ログ保持部534や電池モジュールMのメモリデバイスMDからログ情報を取得し、ネットワーク2を介して被給電装置51から事業者施設1X等にログ情報を送信してもよい。
【0029】
<全体的動作>
図1において、事業者施設1X、1Y、・・は、電池モジュールM(メモリデバイスMDを内蔵)、充放電装置32、電池パック42、53等を準備し、デポジット等の支払を条件に希望者に貸与する。
図1は貸与された後の状態を示している。
【0030】
電池モジュールMは充電する環境がなければ使用することができないため、充放電施設3等において充電を行なう。この際、充放電装置32のログ記録部321は充放電におけるログ情報を各電池モジュールMのメモリデバイスMDに記録するとともに、ログ保持部322にも記録する。記録する情報は、データベースに時間順に記録されなくとも、あるいは、一部が記録されなくとも、電池モジュールの完全なログ情報を再生できるように調整したデータを作成して、双方の内蔵メモリに記録する。詳細は後述する。
【0031】
電池モジュールMの使用を欲するユーザは、充電の完了した電池モジュールMを充放電施設3等において入手する。この場合、自分で持ち込んだ電池モジュールMでない場合はデポジット等の支払を条件にすることができる。
【0032】
充電された電池モジュールMを入手したユーザは、被給電装置41、51に電池パック42、53を介して電池モジュールMをセットし、携帯端末43、54による認証を経て利用を開始する。また、機器認証部422、532は給電条件の設定を行う。給電が行われる際、電池パック42、53のログ記録部423、533は給電におけるログ情報を各電池モジュールMのメモリデバイスMDに記録するとともに、ログ保持部424、534にも記録する。
【0033】
電池モジュールMのメモリデバイスMD、ログ保持部322、424、534のログ情報には、個々の電池モジュールのIDに対応付けて、充放電の行われた日時、充放電装置ID、被給電装置ID、使用者ID、場所、充放電電力量、充放電状況(電圧、電流、温度等)等が含まれている。そして、これらのログ情報は、
・充放電装置32のログ保持部322から通信部323を介したルート
・充放電装置32のログ保持部322から携帯端末35を介したルート
・充電済電池モジュールプール34の電池モジュールMのメモリデバイスMDから携帯端末35を介したルート
・電池パック42のログ保持部424から携帯端末43を介したルート
・電池パック42の電池モジュールMのメモリデバイスMDから携帯端末43を介したルート
・電池パック53のログ保持部534から携帯端末54を介したルート
・電池パック53の電池モジュールMのメモリデバイスMDから携帯端末54を介したルート
等により事業者施設1X等に収集され、電池モジュール使用履歴データベース113にて集計される。
【0034】
なお、充放電装置32の通信部323は、予め設定されたロジック(送信アドレス、プロトコル等)と、別途記録したログ情報のデータベース送信状況に基づいて、ログ保持部322に記録されたログ情報を事業者施設1X等に送信する。
【0035】
また、電池モジュールMのメモリデバイスMD、充放電装置32のログ保持部322、電池パック42のログ保持部424、電池パック53のログ保持部534は、携帯端末35、43、54に対し、予め設定されたロジックと、別途記録したログ情報のデータベース送信状況に基づいて、データベースへのログ情報送信の実行を判断させ、送信が必要であれば、ユーザにログ情報の読み出しと事業者施設1X等への送信を要請する。なお、ユーザへの要請だけでなく、ユーザに意識させずに自動的にデータ送信が行われるようにしてもよい。
【0036】
なお、クラウド上の電池モジュール使用履歴データベース113は、電池モジュールを管理する事業者ごとに存在し、事業者が管理対象とする電池モジュールのログ情報を蓄積する。充放電装置32や電池パック42、53は特定の事業者と対応しており、事業者が異なる電池モジュールを収容していたとしても、対応する事業者の管理する電池モジュール使用履歴データベース113にログ情報を送信する。管理部112で動作する電池モジュール管理支援アプリケーションは、他事業者の電池モジュール使用履歴データベース113にも適宜にアクセスすることにより、電池モジュールのログ情報を推定・再生する。
【0037】
多様なルートからログ情報が事業者施設1X等の電池モジュール使用履歴データベース113に登録されることで、一部の充放電装置や電池パックや電池モジュールから電池モジュール使用履歴データベース113にログ情報を登録できなかったり、登録が遅れたりした場合にも、着目する電池モジュールを収容したことのある他の充放電装置や電池パックが登録したログ情報には、登録できなかったログ情報が含まれているため、より完全なログ情報を再生することができる。
【0038】
また、装置内に同時期に収納されて同時に充放電が行われた他の電池モジュールのログ情報からも、着目する電池モジュールが同時に用いられたことを検出することにより、着目する電池モジュールのログ情報の一部を収集でき、完全なログ情報の再生のために用いることができる。
【0039】
このように、情報処理装置11の管理部112は、ログ情報が時間順に取得されなくても、また、一部が取得されなくても、取得されたログ情報を展開した上で、重複分を省き、不足分を他のログ情報(必要に応じて他事業者のデータベースにアクセスして取得)から補って、できるだけ完全なログ情報となるように集計する。
【0040】
管理部112は、集計された使用履歴情報に基づいて、電力の売買電の課金(充電サービスを提供した利用者への支払等)等の処理を行うとともに、最適な充放電制御のための情報提供や、電池モジュールMの故障、寿命、安全性を判断して回収のための情報提供等を行う。
【0041】
<ログ情報の記録>
上述したように、各電池モジュールMは自己のログ情報をメモリデバイスMDに保持するとともに、充放電装置32のログ保持部322や、電池パック42、53のログ保持部424、534が自己に収容された電池モジュールMについての同内容のログ情報を保持している。そして、これらのログ情報は充放電装置32の通信部323や、携帯端末35、43、54等を介して、多様なルートで事業者施設1X等の電池モジュール使用履歴データベース113に収集されるため、重複した収集はあるものの、情報の欠落を大幅に減らすことができる。
【0042】
本実施形態では、更に、各電池モジュールMのメモリデバイスMDに、同じ電池パックに収容された他の電池モジュールのログ情報を重複して保存することにより、情報の欠落を更に減らすようにしている。
【0043】
図2はメモリデバイスMDに相当するログ記録用メモリの記録領域の例を示す図である。
図2において、記録領域#1〜#3のそれぞれは1回のデータ記録に用いられる記録領域である。各記録領域には、後述するように、複数の電池モジュールMにつき生のログ情報を記録する場合と、複数の電池モジュールMについてのログ情報をコーディングして記録する場合とがある。
【0044】
図3は電池モジュール間でのログ情報重複保存の例を示す図であり、ログ情報の重複が電池パック内に限定される場合の例である。
【0045】
図3(a)は電池パックP1に3個の電池モジュールM1、M2、M3が収納されている状態を示している。この状態で、電池パックP1においてログ情報をログ記録用メモリに書き込む処理を
図3(c)により説明する。処理の主体は
図1におけるログ記録部321、423、533等である。
【0046】
図3(c)において、処理を開始すると、ログ記録部は、電池パックP1内の電池モジュールM1、M2、M3についてデータベース登録したいログ情報E1、E2、E3を取得する(ステップS11)。
【0047】
次いで、ログ記録部は、各電池モジュールM1、M2、M3について、各電池モジュールのログ情報E1、E2、E3と、所定の順序(末尾の次は先頭)で次の電池モジュールのログ情報とを記録する(ステップS12)。
【0048】
図3(b)はログ情報が記録された状態を示しており、電池モジュールM1については、自分のログ情報E1と次の電池モジュールM2のログ情報E2が記録され、電池モジュールM2については、自分のログ情報E2と次の電池モジュールM3のログ情報E3が記録され、電池モジュールM3については、自分のログ情報E3と次の電池モジュールM1のログ情報E1が記録されている。
【0049】
この場合、3個の電池モジュールM1、M2、M3のうち2個以上の電池モジュールからログ情報が事業者施設1X等(
図1)側で回収されれば、全ての電池モジュールM1、M2、M3のログ情報E1、E2、E3を登録することができる。
【0050】
なお、各電池モジュールに3個すべてのログ情報を記録すれば、1個以上の電池モジュールからログ情報が回収されれば、全ての電池モジュールのログ情報を登録することができる。ただし、ログ情報のデータサイズが大きくなり、大きなメモリ容量が必要となって電池モジュールのコストを上昇させる。そのため、ログ情報を失わないで収集するメリットとデータサイズの増大によるコストアップを考慮し、ログ情報の重複による冗長性を調整することになる。
【0051】
なお、電池モジュールが3個の場合について説明したが、同様の考え方により4個以上に適用できることは言うまでもない。
【0052】
図4は電池モジュール間でのログ情報重複保存の他の例を示す図であり、生のログ情報を記録するのではなく、コーディングしたパケットを記録するようにしたものである。
【0053】
図4(a)は電池パックP1に5個の電池モジュールM1、M2、M3、M4、M5が収納されている状態を示している。この状態で、電池パックP1においてログ情報をログ記録用メモリに書き込む処理を
図4(c)により説明する。処理の主体は
図1におけるログ記録部321、423、533等である。
【0054】
図4(c)において、処理を開始すると、ログ記録部は、電池パックP1内の電池モジュールM1、M2、M3についてデータベース登録したいログ情報E1、E2、E3を取得する(ステップS21)。
【0055】
次いで、ログ記録部は、所定の行列(要素α11〜α53)を用いてパケットp1、p2、p3、p4、p5を計算する(ステップS22)。各パケットは元のログ情報E1、E2、E3を含んでいるが、係数がかかることにより、各ログ情報と同じデータサイズとすることができる。
【0056】
次いで、ログ記録部は、各電池モジュールM1、M2、M3、M4、M5にパケットp1、p2、p3、p4、p5をそれぞれ記録する(ステップS23)。
図4(b)はログ情報が記録された状態を示している。
【0057】
この場合、5つのパケットのうちの任意の3個の電池モジュールから3つのパケットを回収すれば、ログ情報E1、E2、E3を求めることができる。5個のうちの3個のログ記録用メモリの内容が回収されるまでの時間は、3個の電池モジュールから3個のログ記録用メモリの内容が回収されるまでの時間よりも小さくなると想定されるため、ログ情報を回収する時間を短縮することができる。
【0058】
なお、電池モジュールが5個の場合について説明したが、同様の考え方により6個以上に適用できることは言うまでもない。
【0059】
また、行列を用いてパケットを計算する例について説明したが、計算手法としては他にも種々のものが想定される。
【0060】
図5および
図6は電池モジュール間でのログ情報重複保存の他の例を示す図であり、ログ情報の重複が異なる電池パックに拡張される場合の例である。
【0061】
図5(a)は電池パックP1に3個の電池モジュールM1、M2、M3が収納されている状態を示している。この状態で、既に
図4で説明した処理により、
図5(b)のようにパケットが記録されたものとする。
【0062】
この状態で
図5(b)の電池パックP1の電池モジュールM1が、
図5(c)のように他の電池パックP2に移動したとする。電池パックP2における他の電池モジュールはM4、M5であるとする。この状態で、電池パックP2においてログ情報をログ記録用メモリに書き込む処理を
図6により説明する。処理の主体は
図1におけるログ記録部321、423、533等である。
【0063】
図6において、処理を開始すると、ログ記録部は、電池パックP2に追加された電池モジュールM1に記録されているパケットp1と電池モジュールM4、M5のログ情報E4、E5から所定の行列(要素β11〜β33)を用いてパケットp4、p5、p6を計算する(ステップS31)。
【0064】
次いで、ログ記録部は、各電池モジュールM1、M4、M5について、パケットp4、p5と、パケットp5、p6と、パケットp6、p4をそれぞれ記録する(ステップS32)。
図5(d)はログ情報が記録された状態を示している。
【0065】
この場合、電池モジュールM2と電池パックP2内の2個の電池モジュールからパケットの形式のログ情報が事業者施設1X等(
図1)側で回収されれば、パケットp2、p3、p4、p5、p6が判明するので、ログ情報E1、E2、E3、E4、E5を復号登録できる。すなわち、電池モジュール3個の回収で5つの電池モジュールのログ情報を登録することができる。
【0066】
なお、ログ情報を失わないで収集するメリットとデータサイズの増大によるコストアップを考慮し、ログ情報の重複による冗長性を調整できる点は前述したのと同様である。
【0067】
また、電池モジュールが3個の電池パックの間での電池モジュールの移動について説明したが、同様の考え方により4個以上の電池パックの間での電池モジュールの移動に適用できることは言うまでもない。
【0068】
また、行列を用いてパケットを計算する例について説明したが、計算手法としては他にも種々のものが想定される。
【0069】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば、多様なルートで使用履歴情報を含むログ情報を収集可能とすることにより、ログ情報を喪失しにくくし、より確実に電池モジュールの使用履歴情報を収集することができる。
【0070】
また、ある電池モジュールのログ情報としてその電池モジュールのログ情報以外に、充放電を行う装置に同時に収容された他の電池モジュールのログ情報を記録することで、データベースに登録された複数の情報から、情報を抽出あるいは補完することができる。例えば、ある電池モジュールの情報が一部欠落していても、同時収容されていた他の電池モジュールの情報から、欠落情報をある程度、復元することができる。
【0071】
また、ログ情報に含める他の電池モジュールのログ情報の範囲を調整することで、ログ情報のデータサイズを調整し、電池モジュールや電池モジュール収容装置内蔵メモリの量的制約を克服しつつ、情報収集の信頼性(確実性)を高めることができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。