(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源からのレーザー光を前記複数の拡散板のうちの一の拡散板に入射させ、前記一の拡散板から出射された拡散光を前記複数の拡散板のうちの他の拡散板に入射させる誘導光学系を有することを特徴とする請求項1に記載した光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。プロジェクタ10は、光源装置としての光源ユニット60と、表示素子51と、光源ユニット60からの光を表示素子51に導光する光源側光学系170と、表示素子51から出射された画像をスクリーンに投影する投影側光学系220と、光源ユニット60や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段と、を備えている。
【0014】
そして、この光源ユニット60は、青色光源となるレーザー発光器を用いた励起光照射装置70と、このレーザー光により蛍光を発する蛍光発光装置100である緑色光源装置と、赤色光源装置120と、導光光学系140と、を備える。
【0015】
この励起光照射装置70は、回転体とした蛍光ホイール101の蛍光体層102に青色波長帯域のレーザー光を励起光として照射すると共に、蛍光ホイール101に設けた拡散板による拡散透過部を透過した拡散光を青色波長帯域光として光源ユニット60から出射する光源71を備えて青色光源装置とされるものである。また、緑色光源装置とする蛍光発光装置100の蛍光ホイール101は、円板状の金属基材に緑色蛍光体による蛍光体層102が形成される円弧状の緑色波長帯域光を発する蛍光発光領域と、光を拡散して透過させる拡散板104a,104bによる拡散透過部とを有する。
【0016】
更に、この蛍光発光装置100は、蛍光ホイール101の拡散透過部とする第1拡散板104aを透過したレーザー光を蛍光ホイール101の第2拡散板104bによる拡散透過部に向けて照射し、第2拡散板104bによる拡散透過部を再度透過させるためのミラー108,109や集光レンズ105,106,107による誘導光学系を有し、励起光照射装置70を点灯させるとき、蛍光ホイール101を回転させるものである。
【0017】
したがって、励起光照射装置70からの青色波長帯域光であるレーザー光が、蛍光ホイール101の拡散透過部とする第1拡散板104a及び第2拡散板104bを透過して光源ユニット60から出射される。
【0018】
また、この蛍光発光装置100は、励起光照射装置70からの青色波長帯域光であるレーザー光が蛍光ホイール101の蛍光体層102に入射されると、このレーザー光を励起光として吸収した緑色蛍光体の蛍光体層102から緑色波長帯域の光が出射され、この緑色波長帯域の蛍光光は、導光光学系140を介して光源ユニット60から出射される。
【0019】
更に、赤色光源装置120は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子である赤色発光ダイオードを赤色光源121として有する。導光光学系140は、蛍光ホイール101及び赤色光源装置120から発せられる各色光の光軸を一致させて、各色の光線束をライトトンネル175の入射口に集光する構成とされ、複数のダイクロイックミラーや集光レンズ等を有するものである。
【0020】
そして、光源ユニット60は、プロジェクタ制御手段における光源制御手段が、励起光照射装置70及び赤色光源装置120の発光を個別に制御することで、当該光源ユニット60から合成光又は単色光を出射することができるものである。
【0021】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0022】
そして、プロジェクタ10は、
図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0023】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0024】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔18が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、
図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。さらに、図示しない下面パネルにおける正面、背面、左側及び右側パネルの近傍にも、吸気孔あるいは排気孔が複数形成されている。
【0025】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について
図2のブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成され、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0026】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0027】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。
【0028】
そして、このプロジェクタ10は、光源装置としての光源ユニット60から出射された光線束を、後述する光源側光学系170を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、後述する投影側光学系220を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0029】
また、画像圧縮伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
【0030】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0031】
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0032】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0033】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から出射されるように、光源ユニット60の励起光照射装置70、赤色光源装置120及び青色光源装置130の発光を個別に制御する。
【0034】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0035】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。
図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、
図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源装置としての
図4に示す如き光源ユニット60を備えている。
【0036】
さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光源側光学系170及び投影側光学系220を備え、投影側光学系220を左側パネル15に沿って配置し、投影側光学系220の後方の背面パネル13近傍にDMDである表示素子51を有し、光源ユニット60の出射光を光源側光学系170により表示素子51に導くものである。
【0037】
光源ユニット60は、
図3及び
図4に示すようにプロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分に配置され、青色光源装置としてのレーザー発光器を用いた励起光照射装置70と緑色光源装置としての蛍光発光装置100とを有し、励起光照射装置70を背面パネル13近傍に配置し、蛍光発光装置100を正面パネル12の近傍に配置し、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置されて蛍光発光装置100から出射される光線束と交わるように光を出射する赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの出射光である青色波長帯域光及び緑色波長帯域光や赤色光源装置120からの出射光である赤色波長帯域光の光軸が夫々同一の光軸となるように変換して各色光をライトトンネル175の入射口に集光する導光光学系140と、を備える。
【0038】
そして、青色光源装置とする励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置されたレーザー発光器である光源71と、光源71からの出射光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75と、反射ミラー群75で反射した光源71からの出射光を集光する集光レンズ78と、光源71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81と、を備える。
【0039】
光源71は、複数の青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されてなり、各青色レーザーダイオードの光軸上には、各青色レーザーダイオードからの出射光を平行光に変換するコリメータレンズ73が夫々配置されている。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配列されてなり、光源71から出射される光線束の断面積を一方向に縮小して集光レンズ78に出射する。
【0040】
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって光源71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75や集光レンズ78が冷却される。
【0041】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光の光軸と平行な回転軸を有して励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置された回転体としての蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するための駆動装置としてのホイールモータである回転モータ110と、蛍光ホイール101を透過して蛍光ホイール101の拡散透過部から出射する光を当該蛍光ホイール101の他の拡散透過部に照射する誘導光学系として第1ミラー108や第2ミラー109、及び、第1集光レンズ105、第2集光レンズ106、中間集光レンズ107を有する。
【0042】
そして、この蛍光ホイール101には、
図5に示すように、拡散透過部としての第1拡散板104a及び第2拡散板104bが設けられ、この拡散透過部に並設し且つこの該蛍光ホイール101の背面パネル13側の面即ち励起光照射装置70側の面に設置された蛍光体層102を有す。そして、この蛍光ホイール101においては、励起光照射装置70からの出射光が入射する拡散板の入射位置が変化するように、複数の拡散板を移動させることとなる。
【0043】
この誘導光学系の第1ミラー108は、励起光照射装置70からの出射光の光軸上であって、蛍光ホイール101よりも正面パネル12側に配置され、蛍光ホイール101の拡散透過部とする第1拡散板104aを透過したレーザー光を正面パネル12と略平行な光軸に変換するように反射するものであり、第1集光レンズ105は蛍光ホイール101の第1拡散板104aを透過した拡散レーザー光を集光して第1ミラー108に照射し、中間集光レンズ107により第1ミラー108で反射されたレーザー光を集光して第2ミラー109に照射し、第2ミラー109でレーザー光を反射し、この反射光を第2集光レンズ106により集光して蛍光ホイール101の第2拡散板104bに照射し、第1拡散板104aと対向する位置に配置した第2拡散板104bを透過し背面パネル13側に出射された拡散レーザー光を集光レンズ113で集光するものである。
【0044】
尚、蛍光ホイール101が半回転した状態のときは、励起光照射装置70からのレーザー光が第2拡散板104bに入射され、第2拡散板104bを透過したレーザー光を誘導光学系を介して第1拡散板104aに入射し、第1拡散板104aを透過させて背面パネル13側に出射するように拡散透過部を2度透過させ、拡散透過部を透過する拡散光は集光レンズ113により集光させるものである。
【0045】
このように、誘導光学系により蛍光ホイール101の拡散透過部を透過したレーザー光は、他の拡散透過部にも入射されて蛍光ホイール101の他の拡散透過部を透過して拡散されるものであり、この蛍光ホイール101から背面パネル13方向に出射される光線束を集光する集光レンズ113を青色光源装置として更に備えるものである。
【0046】
また、蛍光体層102は蛍光ホイール101の励起光照射装置70側の面に形成され、励起光照射装置70から出射されたレーザー光が導光光学系140の第一ダイクロイックミラー141及び緑色光源装置に組み込まれた集光レンズ111を介して蛍光体層102に入射され、レーザー光が入射された蛍光体はレーザー光により励起されて緑色波長帯域光を出射する。
【0047】
この蛍光ホイール101は、
図5に示すように、円板状の金属基材であって、光源71からの出射光を励起光として緑色波長帯域の蛍光発光光を出射する円弧状の蛍光発光領域が凹部として形成され、この凹部に蛍光体層102を形成するように緑色蛍光体が塗布されている。尚、この蛍光体層102は、蛍光ホイール101をプロジェクタ10に設置した際に、蛍光ホイール101の面のうちプロジェクタ10の背面パネル13側となる面に形成される。そして、この蛍光発光領域とした蛍光体層102と並設するように光を拡散させて透過させる拡散透過部としての第1拡散板104a及び第2拡散板104bが配置されるものである。尚、
図5では、点線で第1集光レンズ105及び集光レンズ111の配置対応位置と、第2集光レンズ106及び集光レンズ113の配置対応位置を示す。また、
図5のIV−IV線から見たカラーホイールの断面図に相当する図面が
図4に示した光源ユニット60の概要を示す平面図である。
【0048】
そして、この第1拡散板104a及び第2拡散板104bは、透光性を有する透明基材の表面にサンドブラスト等によって微細凹凸がランダムに形成され、拡散板とされるものであり、第1拡散板104a及び第2拡散板104bは、同一大きさの同一円弧形状として蛍光ホイール101の回転中心に対して対称の位置に配置され、この蛍光ホイール101の周縁であって第1拡散板104a及び第2拡散板104bの間には、蛍光ホイール101の回転中心を円弧中心とする円弧状の蛍光体層102が形成されるものである。
【0049】
尚、蛍光発光領域とする蛍光ホイール101の正面パネル12側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成され、この反射面上に緑色蛍光体の蛍光体層102が敷設される。
【0050】
そして、蛍光ホイール101の緑色蛍光体層102に照射された励起光照射装置70からの出射光は、緑色蛍光体層102における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、背面パネル13側へ、あるいは、蛍光ホイール101の反射面で反射した後に背面パネル13側へ出射される。また、蛍光体の層102の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層102に入射し、蛍光体層102を励起することとなる。よって、蛍光ホイール101の凹部の表面を反射面とすることにより、光源71から出射される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができ蛍光体層102から出射された光は、集光レンズ111で集光して導光光学系140により光源ユニット60から出射される。
【0051】
尚、第1拡散板104aや第2拡散板104bに入射されるレーザー光は、拡散透過部を透過した後、誘導光学系の集光レンズ等を介して他の拡散透過部に入射されるため、蛍光ホイール101におけるレーザー光が入射される位置に対して蛍光ホイール101の180度ずれた蛍光ホイール101の回転中心を中心とする対称点の位置から背面パネル13側に出射される。
【0052】
赤色光源装置120は、光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ123と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの出射光及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク125を備える。そして、ヒートシンク125と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0053】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせるダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から出射される緑色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0054】
また、励起光照射装置70からのレーザー光が入射される蛍光ホイール101における位置と対称の位置である蛍光ホイール101の位置から出射される青色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色波長帯域光を透過し、緑色及び赤色波長帯域光を反射してこの緑色及び赤色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、第一ダイクロイックミラー141と第二ダイクロイックミラー148との間には、集光レンズ145が配置されている。
【0055】
光源側光学系170としては、光源ユニット60から出射された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175や、このライトトンネル175の入射面に光源光を集光する集光レンズ173、ライトトンネル175から出射された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から出射された光線束の光軸を左側パネル15方向に変換する光軸変換ミラー181、及び、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。
【0056】
従って、光源側光学系170の照射ミラー185により表示素子51とするDMDに光源光を照射し、表示素子51を表示駆動部26で駆動制御してオン光を投影側光学系220に入射することができる。
【0057】
尚、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としての集光レンズ195が配置されている。また、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。
【0058】
そして、このプロジェクタ10は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を左側パネル15に沿って有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0059】
従って、光源制御手段により、励起光照射装置70及び赤色光源装置120の点滅動作を個別に時分割制御することより光源ユニット60から合成光又は単色光を出射することができ、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンに輝度の高いカラー画像を生成することができる。
【0060】
そして、本実施の形態に係る光源装置は、回転体である蛍光ホイール101に配置した第1拡散板104a及び第2拡散板104bを透過した青色波長帯域光を出射するため、このコヒーレントなレーザー光である青色波長帯域光により投影画像光を形成してスクリーンに画像投影を行ったとき、スペックルノイズの無い又はきわめて少ない投影画像を形成するプロジェクタ10とすることができる。
【0061】
更に、光源ユニット60の他の実施の形態としては、
図6に示すように、回転体である蛍光ホイール101に第1拡散板104a及び第2拡散板104bの面積を大きくするように形成してもよい。
【0062】
この第1拡散板104aと第2拡散板104bは、同一円弧形状で同一大きさとされ、蛍光ホイール101の回転中心を中心とする点対称に拡散透過部を形成するものである。
【0063】
尚、この蛍光ホイール101の周縁であって2か所に設ける各拡散透過部の間には、拡散透過部と並設するように蛍光ホイール101の回転中心を中心円弧とした円弧状の蛍光体層102を形成するものであり、この蛍光体層102の蛍光体も、前述の蛍光体と同じ緑色波長帯域光を発する蛍光体である。また点線で、後に説明する、第1集光レンズ105及び集光レンズ111の配置対応位置と、第2集光レンズ106及び集光レンズ151と、集光レンズ155と集光レンズ161との配置対応位置を示す。また、
図6のVII−VII線から見た断面図に相当する図面が
図7に示す光源ユニット60の概略平面図である。
【0064】
そして、この蛍光ホイール101を用いたレーザー発光器を光源71とする青色光源装置の蛍光発光装置100では、
図7の概略平面図に示すように、蛍光ホイール101の正面パネル12側に第1集光レンズ105及び第1ミラー108を配置し、励起光照射装置70から出射され、蛍光ホイール101の拡散透過部、即ち第1拡散板104a、を透過した拡散レーザー光を第1集光レンズ105で集光すると共に正面パネル12と略平行な方向に第1ミラー108で反射し、第1ミラー108で反射した光を蛍光ホイール101において180度ずれた位置の拡散透過部、即ち第2拡散板104bに入射する第2ミラー109とこの拡散透過部に照射する光を集光する第2集光レンズ106や第1ミラー108と第2ミラー109の間に配置される中間集光レンズ107を有する。
【0065】
更に、蛍光ホイール101の背面パネル13側には、励起光照射装置70からのレーザー光が入射される拡散透過部から180度ずれた拡散透過部を透過したレーザー光を集光する集光レンズ151及びこの背面パネル13側に出射されたレーザー光を正面パネル12と略平行な方向に反射する第3ミラー152、中間集光レンズ153、正面パネル12と略平行とされたレーザー光を再度正面パネル12側に反射して、
再度、第2拡散板104bに入射する第4ミラー154、及び、集光レンズ155を有する。このとき、レーザー光は、
図6に示したように、第2拡散板104bにおいて最初に入射した位置とは異なる位置に入射されることとなる。
【0066】
また、次いで第2拡散板104bを透過したレーザー光を集光する集光レンズ161、この集光レンズ161を透過したレーザー光を正面パネル12と略平行な方向に反射する第5ミラー162、正面パネル12と略平行とされたレーザー光を集光する中間集光レンズ163、中間集光レンズ163を透過したレーザー光を背面パネル13の方向に反射し、導光光学系140の第二ダイクロイックミラー148に入射させる第6ミラー164と第二ダイクロイックミラー148に入射させる青色波長帯域光の光束を調整するように集光する集光レンズ165を有するものである。
【0067】
なお、ここでは第2集光レンズ106、集光レンズ151、第2ミラー109及び第3ミラー152をまとめて第2拡散板光学系群と呼び、集光レンズ155、集光レンズ161、第5ミラー162及び第4ミラー154とをまとめて第3拡散板光学系群と呼ぶ。
【0068】
このように、誘導光学系として6枚の反射ミラーと適宜の集光レンズを有することにより、蛍光ホイール101の配置した第1拡散板104aに1回レーザー光を透過させ、第2拡散板104bに2回レーザー光を透過させ、合計で3回拡散板をレーザー光が透過することにより、一層スペックルノイズの少ない投影画像を形成することのできる光源光を形成することができる。
【0069】
更に、光源ユニット60の第二の他の実施の形態としては、
図8に示すように、回転体である蛍光ホイール101に第1拡散板104a及び第2拡散板104bのみならず、第3拡散板104cを配置するものである。
【0070】
この第1拡散板104aと第2拡散板104b及び第3拡散板104cは、同一円弧形状で同一大きさとされ、蛍光ホイール101において120度ずれた位置に配置するように蛍光ホイール101の回転中心を中心とする点対称に拡散透過部を形成するものである。
【0071】
尚、この蛍光ホイール101の周縁であって3か所に設ける各拡散透過部の間には、拡散透過部と並設するように蛍光ホイール101の回転中心を中心円弧とした円弧状の蛍光体層102を形成するものであり、この蛍光体層102の蛍光体も、前述の蛍光体と同じ緑色波長帯域光を発する蛍光体である。また点線で、後に説明する、第1集光レンズ105及び集光レンズ111の配置対応位置と、第2集光レンズ106及び集光レンズ151と、集光レンズ155と集光レンズ161との配置対応位置を示す。
【0072】
そして、この蛍光ホイール101を用いたレーザー発光器を光源71とする青色光源装置の蛍光発光装置100を、
図9の概略平面図に示す。尚、
図9のうち
図7と同様の構成については
図7で付した図番号を用いて説明する。蛍光ホイール101の正面パネル12側に第1集光レンズ105及び第1ミラー108を配置し、励起光照射装置70から出射され、蛍光ホイール101の拡散透過部を透過した拡散レーザー光を集光すると共に正面パネル12と略平行な方向に反射し、第1ミラー108で反射した光を蛍光ホイール101において120度ずれた位置の拡散透過部に入射する第2ミラー109とこの拡散透過部に照射する光を集光する第2集光レンズ106や第1ミラー108と第2ミラー109の間に配置される中間集光レンズ107を有する。
【0073】
更に、蛍光ホイール101の背面パネル13側には、励起光照射装置70からのレーザー光が入射される拡散透過部から120度ずれた拡散透過部を透過したレーザー光を集光する集光レンズ151及びこの背面パネル13側に出射されたレーザー光を正面パネル12と略平行な方向に反射する第3ミラー152、中間集光レンズ153、正面パネル12と略平行とされたレーザー光を再度正面パネル12側に反射して3番目の拡散透過部に入射するように励起光照射装置70からのレーザー光の蛍光ホイール101への入射位置から120度ずれた蛍光ホイール101の位置に入射する第4ミラー154、及び、集光レンズ155を有する。
【0074】
また、3番目の拡散透過部を透過したレーザー光を集光する集光レンズ161、この集光レンズ161を透過したレーザー光を正面パネル12と略平行な方向に反射する第5ミラー162、正面パネル12と略平行とされたレーザー光を集光する中間集光レンズ163、中間集光レンズ163を透過したレーザー光を背面パネル13の方向に反射し、導光光学系140の第二ダイクロイックミラー148に入射させる第6ミラー164と第二ダイクロイックミラー148に入射させる青色波長帯域光の光束を調整するように集光する集光レンズ165を有するものである。
【0075】
なお、ここでも第2集光レンズ106、集光レンズ151、第2ミラー109及び第3ミラー152をまとめて第2拡散板光学系群と呼び、集光レンズ155、集光レンズ161、第5ミラー162及び第4ミラー154とをまとめて第3拡散板光学系群と呼ぶ。
【0076】
尚、
図9は励起光照射装置70から蛍光ホイール101を通ってライトトンネル175に入射するまでの光路を説明するため、第2拡散板光学系群及び第2拡散板104bと、第3拡散板光学系群及び第3拡散板104cとが
図9における平面上で並ぶように記載されている。また、
図9における平面上で第3ミラーと第4ミラーとの間に中間集光レンズ153が配置され、さらに、種々の複数のミラー等も
図9における奥行き又は手前側に傾けないように描写されている。しかし、本実施形態の構成では実際は、第2拡散板と第3拡散板とが
図9の平面上では重なるように配置され、中間集光レンズ153は
図9の平面上では第3ミラーと第4ミラーと重なるように配置され、第2拡散板光学郡と第3拡散板光学郡とが
図9の平面上で重なるように配置される。また、種々の複数のミラー等は
図9の平面上における奥行き側又は手前側に傾けて配置される。
【0077】
このように、誘導光学系として6枚の反射ミラーと適宜の集光レンズを有することにより、蛍光ホイール101の配置した3枚の拡散板である第1拡散板104aと第2拡散板104b及び第3拡散板104cに順次レーザー光を透過させることにより、一層スペックルノイズの少ない投影画像を形成することのできる光源光を形成することができる。またこのような構成とすればさらに、励起光照射装置70からのレーザー光のON,OFF制御なしで、1フレーム画像中の青色と緑色の発光期間を短い周期で連続的に形成することができるので、光源のON、OFF制御無しでカラーブレーキング現象を抑制することができる、
【0078】
尚、励起光照射装置70から照射されたレーザー光が拡散板を透過し、拡散板を1回透過したレーザー光が、その拡散板のうち既に透過した領域以外の領域を通るようにしてもよい。即ち、レーザー光は、拡散板の第一の領域に入射され、この第一の領域から出射された拡散光が拡散板のうち第一の領域とは異なる第二の領域に入射されてからライトトンネル175に入射されるような構成にしてもよい。
【0079】
尚、誘導光学系の反射ミラーは、反射プリズムとすることもあり、中間集光レンズを省略し、中間集光レンズを挟む2枚のミラーを1つの反射プリズムに置き換えることにより誘導光学系の部品点数を少なくし、誘導光学系の組み立てを容易とすることもある。
【0080】
このように、本実施の形態に係る光源装置は、青色光源とする励起光照射装置70からの青色波長帯域光を円弧状の拡散板による拡散透過部を複数回透過させて光源ユニット60から出射するため、この青色波長帯域光により投影画像光を形成してスクリーンに画像投影を行ったとき、スペックルノイズが無い又はきわめて少ない投影画像を形成するプロジェクタ10とすることができ、プロジェクタ10に適した光源装置とすることができる。
【0081】
そして、拡散透過部を円板形状の蛍光ホイール101に形成し、駆動装置としての回転モータ110で蛍光ホイール101を回転させて全ての拡散板を同時に回転移動させるようにすれば、小型軽量の光源装置として容易に拡散透過部の移動を継続制御することができる。
【0082】
また、集光レンズにより蛍光ホイール101の拡散透過部から出射された拡散レーザー光を集光すれば、光源光を無駄にすることなく効果的に利用することができる。
【0083】
更に、拡散板による拡散透過部にレーザー光を入射するに際しても、集光レンズによりレーザー光を集光して入射するようにすれば、光源光を効果的に利用できると共に拡散板への入射点を小さくし、移動する拡散板の幅を細くして光源装置を小型とすることもできる。
【0084】
そして、この拡散板を円板形状の回転体に設け、拡散板の間に蛍光体層を形成すれば、光源から出射するレーザー光と波長帯域が異なる波長帯域の光も形成することができる。
【0085】
また、回転体を円板形状とし、拡散板及び蛍光体層を回転体の縁周に沿って並設しておけば、回転体の回転により容易に連続して拡散板の移動と拡散板と蛍光体層とへのレーザー光の照射を連続して切り替えることができる。
【0086】
そして、光源71から出射されるレーザー光を青色波長帯域光とし、蛍光体層の蛍光体を緑色波長帯域光の蛍光光を発する蛍光体とすることにより、容易に高輝度の光源とすることができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] レーザー光を出射する光源と、
前記レーザー光が入射され、入射したレーザー光を拡散光として出射する複数の拡散板と、
前記複数の拡散板を移動させる駆動機構と、を有し、
前記光源からのレーザー光は、前記複数の拡散板のうちの一の拡散板に入射され、前記一の拡散板から出射された拡散光が前記複数の拡散板のうちの他の拡散板に入射されることを特徴とする光源装置。
[2] 前記光源からのレーザー光を前記複数の拡散板のうちの一の拡散板に入射させ、前記一の拡散板から出射された拡散光を前記複数の拡散板のうちの他の拡散板に入射させる誘導光学系を有することを特徴とする前記[1]に記載した光源装置。
[3] 前記複数の拡散板は、回転体に設置され、
前記駆動機構は、前記回転体を回転させることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載した光源装置。
[4] 前記回転体の、前記複数の拡散板の間には蛍光体層が設置されていることを特徴とする前記[3]に記載した光源装置。
[5] 前記回転体は円板状であり、前記複数の拡散板は各々円弧形状とされ、前記蛍光体層と前記複数の拡散板とが前記回転体の周縁に沿って並設され、
前記複数の拡散板は入射光を透過拡散し、
前記複数の拡散板のうちの一の拡散板から出射された拡散光を、前記複数の拡散板のうちの他の拡散板に入射させることを特徴とする前記[4]に記載した光源装置。
[6] 前記複数の拡散板に対向し、前記複数の拡散板の夫々から出射する拡散光を集光する集光レンズが設置されていることを特徴とする前記[1]乃至前記[5]の何れかに記載した光源装置。
[7] 前記複数の拡散板に対向し、前記複数の拡散板に入射される光を集光する集光レンズが設置されていることを特徴とする前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載した光源装置。
[8] 前記拡散光は、前記複数の拡散板の一つに複数回入射されることを特徴する前記[1]乃至前記[7]の何れかに記載の光源装置。
[9] 前記複数の拡散板の夫々は、互いに同一間隔に離間した状態で前記回転体の周縁に配置されていることを特徴とする前記[3]乃至前記[8]の何れかに記載の光源装置。
[10] 前記レーザー光は青色波長帯域光であり、前記蛍光体は緑色波長帯域の蛍光光を発することを特徴とする前記[1]乃至前記[9]の何れかに記載した光源装置。
[11] レーザー光を出射する光源と、
前記レーザー光が入射され、入射したレーザー光を拡散光として出射する拡散板と、
前記拡散板を移動させる駆動機構と、を有し、
前記光源からのレーザー光は、前記拡散板の第一の領域に入射され、前記第一の領域から出射された拡散光が前記拡散板のうち第一の領域とは異なる第二の領域に入射されることを特徴とする光源装置。
[12] 光源装置と、
照射される光により光学像を形成する表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導く光源側光学系と、
前記表示素子により形成された光学像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置の光源制御手段や表示素子制御手段を有するプロジェクタ制御手段と、を備え
前記光源装置は、前記[1]乃至前記[10]の何れかに記載した光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
[13] 光源からのレーザー光を移動している複数の拡散板のうちの一の拡散板に入射して拡散光とし、この一の拡散板から出射された拡散光を更に前記複数の拡散板のうちの他の移動している拡散板に入射して再度拡散光とし、前記光源からのレーザー光の波長帯域と異なる波長帯域の光の光軸と、前記複数枚の拡散板により拡散光とされたレーザー光の光軸と、を合わせて表示素子に入射して投影画像光を形成することを特徴とする画像投影方法。