特許第6137540号(P6137540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137540
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   G01C21/36
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-157969(P2013-157969)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-28444(P2015-28444A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸夫
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−042225(JP,A)
【文献】 特開2004−132798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G07C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアのうち利用可能なエリアが制限されているETC機器を備えた車両に搭載され、該車両の現在位置から目的地までの経路を探索し、その探索された経路に従って当該車両を誘導案内するナビゲーション装置であって、
エリア毎に、前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するETC利用可否設定手段と、
ETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件で経路探索を行う第1経路探索手段と、
ETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件で経路探索する第2経路探索手段と、
前記ETC利用可否設定手段によるエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態に基づいて、前記第1経路探索手段及び前記第2経路探索手段のいずれにて経路探索を行うかを制御する制御手段とを有するナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ETC利用可否設定手段は、探索された経路に従って誘導案内される車両が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がされていないエリアに進入する際に、当該エリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するエリア進入時設定手段を有する請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記エリア進入時設定手段は、前記第1経路探索手段にて探索された経路に従って誘導案内される車両が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアに進入する際に、前記経路の当該エリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていれば、当該エリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定する請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ETC利用可否設定手段は、前記複数のエリアからエリアを選択し、該選択されたエリアについて少なくとも前記ETC機器の利用が可能であることを設定する選択設定手段を有する請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ETC利用可否設定手段は、前記第2経路探索手段にて探索された経路に従って誘導案内される前記車両が、その経路に含まれるETC機器非利用経路に代えてETC機器利用経路を走行する場合、そのETC機器利用経路を含むエリアを前記ETC機器の利用が可能であるエリアとして設定するエリア走行時設定手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記エリア走行時設定手段は、前記車両の走行経路に応じて前記第2経路探索手段にて再探索された経路に含まれるETC機器利用経路に従って当該車両が誘導案内される場合、そのETC機器利用経路を含むエリアを前記ETC機器の利用が可能であるエリアとして設定する請求項5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記ETC利用可否設定手段は、前記第1経路探索手段及び前記第2経路探索手段のいずれかによって経路が探索された際に、その探索された経路が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアを通ると、そのエリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定する経路探索時設定手段を有する請求項1乃至6のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記第1経路探索手段によって探索された経路に従って誘導案内される前記車両が、前記ETC利用可否設定手段によって前記ETC機器の利用が可能でないとの設定がなされたエリアに進入する際に、前記経路の当該エリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていると、前記制御手段は、前記第2経路探索手段に当該車両の現在位置から前記目的地までの新たな経路を探索させ、
その新たな経路に従って当該車両を誘導案内する請求項1乃至7のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記車両の出発時の現在位置が前記ETC利用可否設定手段により前記ETC機器の利用が可能であるエリアに含まれる場合、前記現在位置から前記目的地までの経路を前記第1経路探索手段に探索させる第1初期制御手段を有する請求項1乃至8のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記車両の出発時の現在位置が前記ETC利用可否設定手段により前記ETC機器の利用が可能でないエリアに含まれる場合、前記現在位置から前記目的地までの経路を前記第2経路探索手段に探索させる第2初期制御手段を有する請求項1乃至9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置から目的地まで経路を探索し、その探索された経路に従って当該車両を誘導案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された通常のナビゲーション装置は、その車両の現在位置から目的地までの経路を探索し、その探索された経路に従って当該車両を誘導案内する。このようなナビゲーション装置では、従来、種々の工夫が提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2に開示されるナビゲーション装置では、当初、高速道路優先での経路探索によって得られた経路に従って走行する車両が、渋滞等の理由によりその経路中の高速道路からその経路外の一般道路に移った場合、高速道路優先ではなく、一般道路優先にて再経路探索(リルート)が行われ、その再経路探索にて得られた経路に従って車両の経路案内が継続して行われる。このようなナビゲーション装置によれば、渋滞等の理由により、利用者(運転者)が運転操作を行って、車両がその経路中の高速道路からその経路外の一般道に移った場合に、再び、渋滞が予想される高速道路を含む経路を探索してしまう(再経路探索)という事態を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−56230号公報
【特許文献2】特開2002−116038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、米国では、ETC(Electronic Toll Collection System)を提供する企業が複数存在し、その企業ごとにETC機器を利用することができる州が異なる。ある企業が提供するETC機器は、米国の全ての州で利用可能ではなく、その全州のうち利用可能な州が制限されている。このようなETC機器を搭載している車両が、そのETC機器の利用可能でない州のETC機器利用道路を走行すると、罰金を徴収される場合がある。
【0005】
上述したような複数のエリア(例えば、米国の全ての州)のうち利用可能なエリア(例えば、州)が制限されているETC機器を備えた車両に搭載されたナビゲーション装置では、車両の現在位置から目的地までの経路を探索したときに、複数のエリアを通る経路が探索される場合がある。この場合、その経路に従って経路案内される車両が、搭載したETC機器が利用できないエリアにおいて、ETC機器利用道路を走行してしまうという事態が起こり得る。このような事態を防止するナビゲーション装置について従来何ら提案されていない。
【0006】
本発明は、このよう事情に鑑みてなされたもので、車両が、当該車両に備えられたETC機器の利用が可能でないエリアを走行する際に、その車両がETC機器利用経路に従って誘導案内されることを防止することのできるナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーション装置は、複数のエリアのうち利用可能なエリアが制限されているETC機器を備えた車両に搭載され、該車両の現在位置から目的地までの経路を探索し、その探索された経路に従って当該車両を誘導案内するナビゲーション装置であって、エリア毎に、前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するETC利用可否設定手段と、ETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件で経路探索を行う第1経路探索手段と、ETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件で経路探索する第2経路探索手段と、前記ETC利用可否設定手段によるエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態に基づいて、前記第1経路探索手段及び前記第2経路探索手段のいずれにて経路探索を行うかを制御する制御手段とを有する構成となる。
【0008】
このような構成により、エリア毎に、車両に備えられたETC機器の利用が可能であるか否かを設定することができる。そして、そのエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態に基づいて、車両の現在位置から目的地までの経路探索が、ETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件、及びETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件のいずれかにて行われる。これにより、ETC機器の利用が可能でないエリアでは、ETC機器利用経路の経路コストが第1コスト条件のものより高い第2コスト条件にて経路探索を行うことができるようになり、その結果、ETC機器の利用が可能でないエリアでは、ETC機器利用経路が探索される経路に含まれ難くすることができる。
【0009】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記ETC利用可否設定手段は、探索された経路に従って誘導案内される車両が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がされていないエリアに進入する際に、当該エリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するエリア進入時設定手段を有する。
【0010】
このような構成により、探索された経路に従って誘導案内される車両がETC機器の利用が可能であるか否かが設定されていないエリアに進入する際に、当該エリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かが設定される。
【0011】
車両がETC機器の利用が可能であるか否かが設定されていないエリアに進入する際とは、前記車両が、そのエリアに実際に進入する直前からそのエリアに実際に進入した直後までのある距離範囲に進入する場合を含み得る。
【0012】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記エリア進入時設定手段は、前記第1経路探索手段にて探索された経路に従って誘導案内される車両が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアに進入する際に、前記経路の当該エリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていれば、当該エリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、ETC機器利用経路の経路コストが第2コスト条件のものより低い第1コスト条件にて探索された経路、即ち、第2コスト条件よりETC機器利用経路を含み易いという条件で探索された経路に従って誘導案内される車両が、ETC機器の利用が可能であるか否かが設定されていないエリアに進入する際に、前記経路のそのエリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていれば、当該エリアについてETC機器の利用が可能であるか否かの設定がされる。例えば、当該エリアについてETC機器の利用が可能でないとの設定がなされると、その後、そのエリアに対するETC機器の利用が可能でないとの設定に基づいて、例えば、前記第2コスト条件、即ち、前記第1コスト条件よりETC機器利用経路を含みにくいという条件にて経路の再探索を行うことができる。また、例えば、当該エリアについてETC機器の利用が可能であるとの設定がなされると、その後、当該エリアに対するETC機器の利用が可能であるとの設定に基づいて、前記第1コスト条件での探索により得られた経路に従った経路誘導を維持させることができる。
【0014】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記ETC利用可否設定手段は、前記複数のエリアからエリアを選択し、該選択されたエリアについて少なくとも前記ETC機器の利用が可能であることを設定する選択設定手段を有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、当該ナビゲーション装置が起動した後の適当なタイミングにおいて、複数のエリアから選択されたエリアに対して少なくともETC機器の利用が可能であるとの設定を行うことができる。
【0016】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記ETC利用可否設定手段は、前記第2経路探索手段にて探索された経路に従って誘導案内される前記車両が、その経路に含まれるETC機器非利用経路に代えてETC機器利用経路を走行する場合、そのETC機器利用経路を含むエリアを前記ETC機器の利用が可能であるエリアとして設定するエリア走行時設定手段を有する構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、ETC機器利用経路の経路コストが第1コスト条件のものより高い第2コスト条件にて探索された経路に従って誘導案内される車両が、利用者(運転者)の運転操作により、その経路に含まれるETC機器非利用経路に代えてETC機器利用経路を走行する場合、そのETC機器利用経路を含むエリアがETC機器の利用が可能なエリアとして設定される。
【0018】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記エリア走行時設定手段は、前記車両の走行経路に応じて前記第2経路探索手段にて再探索された経路に含まれるETC機器利用経路に従って当該車両が誘導案内される場合、そのETC機器利用経路を含むエリアを前記ETC機器の利用が可能であるエリアとして設定する構成とすることができる。
【0019】
このような構成により、ETC機器利用経路の経路コストが第1コスト条件のものより高い第2コスト条件にて探索された経路に従って誘導案内される車両がその経路から外れて走行する際に、その走行経路に応じて前記第2コスト条件にて再探索された経路にETC機器利用経路が含まれ、そのETC機器利用経路を含む経路に従って車両が誘導案内されるようになると、そのETC機器利用経路を含むエリアが前記ETC機器の利用が可能なエリアとして設定される。
【0020】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記ETC利用可否設定手段は、前記第1経路探索手段及び前記第2経路探索手段のいずれかによって経路が探索された際に、その探索された経路が前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアを通ると、そのエリアについて前記ETC機器の利用が可能であるか否かを設定する経路探索時設定手段を有する構成とすることができる。
【0021】
このような構成により、ETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件及びETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い第2コスト条件のいずれかにて経路探索された際に、例えば、該経路探索により得られた経路に従った車両の誘導案内が開始する前に、探索された経路が通るエリアについてETC機器の利用が可能であるか否かが設定される。
【0022】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記第1経路探索手段によって探索された経路に従って誘導案内される前記車両が、前記ETC利用可否設定手段によって前記ETC機器の利用が可能でないとの設定がなされたエリアに進入する際に、前記経路の当該エリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていると、前記制御手段は、前記第2経路探索手段に当該車両の現在位置から前記目的地までの新たな経路を探索させ、その新たな経路に従って当該車両を誘導案内する構成とすることができる。
【0023】
このような構成により、ETC機器利用経路の経路コストが第2コスト条件のものより低い第1コスト条件にて探索された経路に従って誘導案内される車両が、ETC機器の利用が可能でないとの設定がなされたエリアに進入する際に、前記経路の当該エリア内の部分にETC機器利用経路が含まれていると、そのETC機器利用経路に従って車両が誘導案内されないようにするため、ETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い前記第2コスト条件にて車両の現在位置から目的地までの新たな経路が探索され、その新たな経路に従って当該車両が誘導案内される。
【0024】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記車両の出発時の現在位置が前記ETC利用可否設定手段により前記ETC機器の利用が可能であるエリアに含まれる場合、前記現在位置から前記目的地までの経路を前記第1経路探索手段に探索させる第1初期制御手段を有する構成とすることができる。
【0025】
このような構成により、車両の出発時の現在位置がETC機器の利用が可能なエリアに含まれている場合、ETC機器利用経路の経路コストが第2コスト条件のものより低い第1コスト条件にて当該現在位置から目的地までの経路が探索される。
【0026】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記車両の出発時の現在位置が前記ETC利用可否設定手段により前記ETC機器の利用が可能でないエリアに含まれる場合、前記現在位置から前記目的地までの経路を前記第2経路探索手段に探索させる第2初期制御手段を有する構成とすることができる。
【0027】
このような構成により、車両の出発時の現在位置がETC機器の利用が可能でないエリアに含まれている場合、ETC機器利用経路の経路コストが第1コスト条件のものより高い第2コスト条件にて当該現在位置から目的地までの経路が探索される。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、エリア毎に、車両に備えられたETC機器の利用が可能であるか否かを設定することができ、そのエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態に基づいて、車両の現在位置から目的地までの経路探索が、ETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件及びETC機器利用経路の経路コストが前記第1コスト条件のものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件のいずれかにて行われるので、ETC機器の利用が可能でないエリアについては、ETC機器利用経路の経路コストが第1コスト条件の場合より高い第2コスト条件にて経路探索を行うことができるようになる。その結果、ETC機器の利用が可能でないエリアでは、ETC機器利用経路が探索される経路に含まれ難くすることができ、車両が、当該車両に備えられたETC機器の利用が可能でないエリアを走行する際に、その車両がETC機器利用経路に従って誘導案内されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図2】ETC機器利用可否設定画面の一例を示す図である。
図3】EC機器利用可否設定テーブルの一例を示す図である。
図4A】経路探索及び経路案内についての制御に係る処理の流れ(その1)を示すフローチャートである。
図4B】経路探索及び経路案内についての制御に係る処理の流れ(その2)を示すフローチャートである。
図5】経路探索により得られた経路の一例を示す図である。
図6図5に示す経路従って誘導案内される車両が、ETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアに進入する状況を示す図である。
図7図6に示す状況において、ETC機器の利用が可能であるか否かの設定を行うための表示画面の一例を示す図である。
図8図6に示す状況において、車両が進入するエリアに対してETC機器の利用が可能でないと設定された際のETC機器利用可否設定テーブルの一例を示す図である。
図9図6に示す状況において、再探索により得られた経路の一例を示す図である。
図10】ETC機器利用経路を含まない経路に従って車両を誘導案内するための表示画面の一例を示す図である。
図11図10に示すETC機器利用経路を含まない経路から車両が外れてETC機器利用経路を走行する際に再探索された経路に従って誘導案内するための表示画面の一例を示す図である。
図12A】経路探索及び経路案内についての制御に係る他の処理の流れ(その1)を示すフローチャートである。
図12B】経路探索及び経路案内についての制御に係る他の処理の流れ(その2)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0031】
本発明の実施の一形態に係るナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。このナビゲーション装置100は、ETC機器を備えた車両に搭載される。このETC機器は、米国の全州のうち利用可能な州が制限されるもののように、複数のエリアのうち利用可能なエリアが制限されるものである。
【0032】
図1において、このナビゲーション装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)によって構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11は、GPS受信器、加速度センサ、車輪速センサ、ジャイロ等のナビゲーション・センサ群17が接続され、また、記憶部14(例えば、ハードディスクドライブ)が接続されている。記憶部14には、処理ユニット11での処理に必要な各種情報、例えば、道路リンクの情報を含む地図情報、施設に関する情報等の地図表示、経路探索、ナビゲーション処理に必要な情報が格納されている。
【0033】
処理ユニット11には、LCD等で構成され、各種情報を表示する表示部13、表示部13上のタッチパネルや操作ボタン等で構成され、処理に対する指示や各種情報を入力するために用いられる操作部12及びスピーカ16に接続される出力回路15が接続されている。処理ユニット11は、記憶部14に格納された地図情報や施設に関する情報等に基づいて表示部13に地図を表示させたり、操作部12の操作により目的地として指定された施設までの経路を探索する処理を行ったり、更に、ナビゲーション・センサ群17からの各種検出信号に基づいて車両の位置を検出し、その検出位置情報や地図情報を用いて、前記探索により得られた経路に従って車両を誘導案内するための経路案内処理を行う。そして、処理ユニット11は、経路案内処理により、表示部13に地図とともに車両の位置を表すマークを表示させ、車両を前記経路に沿って誘導するための音声案内がスピーカ16から出力されるように、音声信号を出力回路15に出力する。
【0034】
操作部12での所定操作に基づいた処理ユニット11の制御のもと、表示部13に、図2に示すような、エリア(例えば、米国の州)毎に当該車両に備えられたETC機器の利用が可能であるか否かを設定するためのETC機器利用可否設定画面(ETC利用可否設定手段・選択設定手段)が表示される。このETC機器利用可否設定画面は、ETC機器の利用が可能であるか否かを設定すべきエリアを選択するためのエリア選択画面部分13aと、ETC機器の利用が可能であるか否かを設定することのできる全エリア(例えば、米国の全州)を表示するエリア表示画面部分13bとを含む。
【0035】
エリア選択画面部分13aに対応した操作部12(タッチパネル)の部分12aには、設定ボタン121及びカーソル移動ボタン(UP、DOWN)が形成されている。また、エリア選択画面部分13aには、エリアを特定する文字列(EA、EB、EC、・・・)が縦方向に並んでおり、選択されているエリアを特定する文字列(例えば、EA)が枠状のカーソルによって囲まれる(指示される)。そして、カーソル移動ボタン(UP、DOWN)を操作することにより、文字列を指示するカーソルが移動して、選択されるエリアを変えることができる。設定ボタン121は、選択されたエリアに対してETC機器の利用が可能か否かを設定するための操作ボタンであり、例えば、設定ボタン121に対して1回タッチ操作されると、その際選択されているエリア(図2に示す場合、エリアEA)がETC機器の利用が可能なエリアとして設定される。また、例えば、設定ボタン121に対して連続して2回タッチ操作されると、その際選択されているエリアがETC機器の利用が可能でないエリアとして設定される。なお、このETC機器利用可否設定画面では、エリア毎にETC機器の利用が可能であることを設定するだけであってもよい。
【0036】
記憶部14または処理ユニット11の内部メモリ(例えば、書き込み可能な不揮発性メモリ)には、図3に示すようなETC機器利用可否設定テーブルが保存されている。このETC機器利用可否設定テーブルには、エリア(EA、EB、EC、・・・)毎に設定されたETC機器の利用が可能であるか否かを表す情報(ETC機器利用可否情報)が記録される。なお、図3に示すETC機器利用可否設定テーブルは、エリアEAに対してETC機器の利用が可能であることを表す情報(○印)が記録され、他のエリアEB、EC、・・・に対して、ETC機器の利用が可能か否かの設定がなされていない(−印)状態である。
【0037】
なお、図2に示すETC機器利用可否設定画面を用いたエリア毎のETC機器の利用が可能か否かの設定は、ナビゲーション装置100が動作中の任意のタイミングにて行うことができる。
【0038】
処理ユニット11は、図4A及び図4Bに示す手順に従って、経路探索及び経路案内についての制御処理を行う。
【0039】
ナビゲーション装置100が起動されて、操作部12にて所定の操作がなされると、処理ユニット11は、経路探索及び経路案内についての制御処理を開始する。図4Aにおいて、処理ユニット11は、ナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて車両の現在位置を取得するとともに、操作部12での操作によって指定される目的地の位置を取得する(S11)。そして、処理ユニット11は、ETC機器利用可否設定テーブル(図3参照)を参照して、現在位置が属するエリアがETC機器の利用が可能なエリアであるか否かを判定する(S12)。処理ユニット11(制御手段・第1初期制御手段を含む)は、車両の現在位置がETC機器の利用が可能なエリアである場合(S12でYES)、ETCmaxモードにて、前記現在位置から前記目的地までの経路検索を行う(S13:第1経路探索手段)。ETCmaxモードでは、ETC機器利用経路が選ばれ易くなるように決められたETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件で経路探索が行われる。
【0040】
上記ETCmaxモードでの経路探索により、例えば、図5に示すように、ETC機器の利用が可能なエリアEA(○)内の現在位置かPpから当該エリアEAに隣接するエリアEB内の目的地Ptまでの経路Rが探索される。この探索された経路Rは、例えば、エリアEA内のETC機器利用経路R1ETCと、エリアEB内のETC機器利用経路R2ETCとを含む。
【0041】
現在位置Ppから目的地Ptまでの経路Rが探索されると、処理ユニット11は、その経路を誘導経路として設定する(S14)。そして、車両が走行を開始すると、処理ユニット11は、その経路Rに従って車両を誘導案内する経路案内処理(車両を経路Rに誘導するための音声案内、及び表示部13に表示される地図上での表示案内等に係る処理)を行う(S15)。処理ユニット11は、上記経路案内処理(S15)を行いつつ、車両が現在走行しているエリアEAと次のエリアEBとの境界に達したか否か、即ち、当該車両が次のエリアEBに進入するか否かを、繰り返し判定している(S16)。なお、2つのエリアEA、EBの境界は、その2つのエリアの境界線(例えば、州の境界線)を挟む所定距離範囲として定めることができる。
【0042】
車両が、図6に示すように、エリアEAと次のエリアEBとの境界に達して、当該車両が次のエリアEBに進入すると判定すると(S16でYES)、処理ユニット11は、車両を誘導案内する経路Rの次のエリアEB内の部分にETC機器利用経路が含まれているか否かを判定する(S17)。その経路Rの部分にETC機器利用経路が含まれていなければ(S17でNO)、経路Rに従って車両がエリアEBを走行する際にETC機器を利用する必要がないので、処理ユニット11は、車両が更に次のエリアの境界に達したか否かを確認しつつ(S16)、経路案内処理(S15)を継続して行う。
【0043】
一方、図6に示すように、経路Rの次のエリアEB内の部分にETC機器利用経路R2ETCが含まれていると(S17でYES)、処理ユニット11は、更に、ETC機器利用可否設定テーブル(図3参照)を参照して、次のエリアEBに対して既にETC機器の利用が可能であるか否かが設定されているか否かを判定する(S18)。エリアEBについてETC機器の利用が可能であるか否かが既に設定され(S18でYES)、更に、その設定内容がETC機器の利用が可能であるという場合(S19でYES)、車両に搭載されたETC機器の次のエリアEBでの利用が可能であるので、処理ユニット11は、車両がエリアEBに進入しても、ETC機器利用経路R2ETCを含む経路R(図6参照)に従った車両の経路案内処理(S15)を継続して行う。
【0044】
また、一方、エリアEBについてまだETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていない場合(S18でNO)、処理ユニット11は、図4Bに示す手順に移って、エリアEBについてETC機器の利用が可能か否かを設定するための処理を実行する(S21:ETC利用可否設定手段・エリア進入時設定手段)。
【0045】
このETC機器の利用が可能か否かを設定するための処理(S21)では、まず、表示部13に、図7に示すような画面が表示される。この画面には、経路Rの車両が進入する次のエリアEB内の部分にETC機器利用経路ET2ETCが含まれていること、車両のETC機器がエリアEBでの使用登録がされておらず、利用することができない場合、罰金が徴収される可能性があること、及びエリアEBをETC機器の利用が可能なエリアとして設定することの問い合わせのそれぞれについてのメッセージとともに、3つの操作ボタン「はい」、「いいえ」、「詳細」が表示される。「はい」ボタンは、エリアEBをETC機器の利用が可能なエリアとして設定するための操作部12(タッチパネル)の部分に対応し、「いいえ」ボタンは、エリアEBをETC機器の利用が可能でないエリアとして設定するための操作部12(タッチパネル)の部分に対応し、また、「詳細」ボタンは、図2に示すETC機器利用可否設定画面を表示させるための操作部12(タッチパネル)の部分に対応する。
【0046】
表示部13の前記画面(図7参照)において、利用者が「いいえ」ボタンを操作すると、図8に示すように、ETC機器利用可否設定テーブルにおいて、エリアEBに対してETC機器の利用が可能でないことを表す情報(×印)が記録される。一方、表示部13の前記画面において、利用者が「はい」ボタンを操作すると、ETC機器利用可否設定テーブルにおいて、エリアEBに対してETC機器の利用が可能であることを表す情報が記録される。更に、表示部13の前記画面において、利用者が「詳細」ボタンを操作すると、図2に示すようなETC機器利用可否設定画面が表示部13に表示され、前述したように、全てのエリア(例えば、米国の全州)それぞれに対して、ETC機器の利用が可能か否かの設定が可能になる。
【0047】
例えば、図7に示す表示部13の画面において「いいえ」ボタンが操作され、車両が進入するエリアEB対してETC機器の利用が可能でないことが設定されると(S21:図8に示すETC機器利用可否テーブル参照)、処理ユニット11は、ETC機器利用可否テーブルを参照して、車両が進入するエリアEBがETC機器の利用が可能でないエリアであることを確認する(S22でNO)。この場合、エリアEB(×)が、ETC機器の利用が可能でないエリアであるにもかかわらず、車両が誘導案内される経路RのエリアEB内の部分にETC機器利用経路R2ETCが含まれることになる(図5参照)。このため、処理ユニット11(制御手段を含む)は、ナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて車両の現在位置を取得し(S23)、その現在位置Ppから前記目的地Ptまでの経路検索を、前記ETCmaxモードに代えてETCminモードにて、行う(S24:第2経路探索手段)。ETCminモードでは、ETC機器利用経路が選ばれ難くなるように、ETC利用経路の経路コストが前記ETCmaxモードのものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件で経路探索が行われる。
【0048】
前記ETCminモードにて経路探索が行われる結果、例えば、図9に示すように、ETC機器の利用が可能でないエリアEB(×)において、ETC機器利用経路R2ETCに代えて、ETC機器非利用経路を含む新たな経路Rが探索される。そして、処理ユニット11は、その新たな経路Rを誘導経路として設定し(S25)。その新たな経路Rに従って車両を誘導案内する経路案内処理を行う(S26)。その結果、車両は、ETC機器の利用が可能でないエリアEB(×)において、経路案内される経路Rに従って、ETC機器利用経路R2ETCを通ることなく、目的地Ptまで走行することができる。
【0049】
一方、図4Aの手順において、車両が進入する次のエリアEBがETC機器の利用が可能でないエリアとして既に設定されている場合(S18でYES、S19でNO)、処理ユニット11は、前述したそのエリアEBが新たにETC機器の利用が可能でないエリアとして設定された場合(S18でNO、図4BにおけるS23〜S26参照)と同様に、ETCminモードにて、ETC機器利用経路を選択し難い第2コスト条件で車両の現在位置Ppから目的地Ptまでの経路Rを探索し(第2経路探索手段:図9参照)、その探索された経路Rに従って車両の経路案内処理(S26)を行う。
【0050】
また、図4Aの手順において、車両の出発時における現在位置(S11にて取得)に属するエリアが、ETC機器の利用が可能であるエリアではない(S12でNO)、具体的には、ETC機器の利用が可能でないエリア、または、ETC機器の利用の可否が設定されていないエリアであると、処理ユニット11(制御手段・第2初期制御手段を含む)は、図4Bに示す手順に移行して、前述したのと同様に、ETCminモードにて、ETC機器利用経路を選択し難い第2コスト条件で車両の現在位置Ppから目的地Ptまでの経路Rを探索する(S24:第2経路探索手段)。そして、処理ユニット11は、その探索された経路を誘導経路として設定し(S25)、その経路に従って車両の経路案内処理(S26)を行う。
【0051】
前記ETCminモードにてETC機器利用経路が選択され難い第2コスト条件で探索された経路に従って車両の経路案内処理を行っている過程で、処理ユニット11は、再経路探索(リルート)の条件が満たされたか否かを繰り返し判定している(S27)。例えば、車両が誘導案内されるべき経路Rから所定距離以上外れた他の経路を走行する場合、再経路探索の条件が満たされたとすることができる。例えば、図10に示すように、当初探索された経路R1(ETC機器利用経路を含まない)に従って誘導案内されつつ走行する車両が、利用者(運転者)の積極的な運転操作によって、その経路R1から外れて、他の経路を走行することにより、前記再経路探索の条件が満たされると(S27でYES)、処理ユニット11は、再度、ETCminモードにて、車両の現在位置Ppから目的地Ptまでの経路を探索する(S28)。そして、処理ユニット11は、車両が、ETC機器利用経路を走行しているか否かを判定する(S29)。
【0052】
利用者の積極的な運転操作により、車両が、図11に示すようにETC機器利用経路R2ETCを走行するようになって、ETCminモードにて探索される経路であっても、その経路にETC機器利用経路R2ETCが含まれると(S29でYES)、処理ユニット11は、車両が走行する前記ETC機器利用経路R2ETCを含むエリアをETC機器の利用が可能なエリアとして設定する(S30:ETC利用可否設定手段・エリア走行時設定手段)。以後、処理ユニット11は、そのETC機器利用経路R2ETCを含む新たな経路を誘導経路として設定し(S25)、その経路に従って車両を誘導案内するための経路案内処理を行う(S26)。
【0053】
このように、車両が利用者の積極的な運転操作によってETC機器利用経路を走行する場合(S29でYES)、ETC機器の利用が可能であるか否かの設定操作を特別に行うことなくても、そのETC機器利用経路を含むエリアは、ETC機器の利用が可能なエリアとして設定される(S30)。このため、ETC機器の利用が可能であることの設定を容易に行うことができる。
【0054】
なお、前記ETCminモードでの再経路探索(S28)にて得られた新たな経路にETC機器利用経路が含まれていない場合(S29でNO)、処理ユニット11は、特に、ETC機器の利用が可能であるか否につての設定を行うことなく、その新たな経路を誘導経路として設定し(S25)、その経路に従って経路案内処理を行う(S26)。
【0055】
上述したナビゲーション装置では、ETC機器利用可否設定画面(図2参照)を利用して、また、探索された経路Rに従って走行する車両が次のエリアに進入する際に、エリア毎に、車両に備えられたETC機器の利用が可能であるか否かを、利用者による操作部12の操作に従って、設定することができる。また、探索された経路Rに従って走行する車両が、利用者の積極的な運転操作によって前記経路Rを外れてETC機器利用経路を走行するようになると、そのETC機器利用経路を含むエリアが自動的にETC機器の利用が可能であるエリアとして設定される。
【0056】
そして、そのエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態(図3及び図8に示すETC機器利用可否設定テーブル参照)に基づいて、車両の現在位置Ppから目的地Ptまでの経路探索が、ETCmaxモード(ETC機器利用経路が選ばれ易くなるように決められたETC機器利用経路の経路コストについての条件を含む第1コスト条件を用いる)及びETCminモード(ETC機器利用経路が選ばれ難くなるように、ETC利用経路の経路コストが前記ETCmaxモードのものより高い経路コストについての条件を含む第2コスト条件)のいずれかにて行われる。例えば、出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能なエリアに属する場合、その現在位置Ppから目的地Ptまでの経路がETCmaxモードにて探索され、一方、その出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能でないエリアに属する場合、その現在位置Ppから目的地ptまでの経路がETCminモードにて探索される。更に、例えば、探索された経路Rに従って誘導案内される車両がETC機器の利用が可能でないエリアEBに進入する際に、その経路RのエリアB内の部分にETC機器利用経路が含まれていると、ETC機器利用経路が選択され難い第2コスト条件を用いるETCminモードで経路の再探索が行われる。
【0057】
このように、上述したナビゲーション装置によれば、エリア毎に、車両に備えられたETC機器の利用が可能であるか否かを設定することができ、そのエリア毎の前記ETC機器の利用が可能であるか否かの設定状態に基づいて、車両の現在位置から目的地までの経路探索が、ETCmaxモード及びETCminモードのいずれかにて行われるので、ETC機器の利用が可能でないエリアについては、ETCminモードにて経路探索を行うことができるようになる。その結果、ETC機器の利用が可能でないエリアでは、ETC機器利用経路が探索さえる経路に含まれ難くすることができ、車両が、当該車両に備えられたETC機器の利用が可能でないエリアを走行する際に、その車両がETC機器利用経路に従って誘導案内されることを防止することができる。
【0058】
なお、前述したナビゲーション装置では、出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能なエリアに属する場合、ETCmaxモードにて経路探索がなされ、その出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能でないエリアに属する場合、ETCminモードにて経路探索がなされたが、これに限定されない。例えば、車両の現在位置から目的地まで順次道路リンクを接続して経路を探索する過程で、道路リンクが新たなエリアに進入する毎に、そのエリアがETC機器の利用が可能であるか否かに応じて、ETCmaxモード及びETCminモードのいずれかにて次の道路リンクを探索するようにすることもできる。
【0059】
また、経路探索及び経路案内についての制御処理は、前述した図4A及び図4Bに示す手順に代えて、図12A及び図12Bに示す手順に従って行うことができる。
【0060】
図12Aに示す手順は、図4Aに示す手順におけるステップS14とステップS15との間に、ステップS17a及びステップS21aが追加された構成になっている。なお、図12Aにおいて、ステップS15以降のステップは、示されていませんが、図4Aに示すもの(S16〜S19)と同じです。
【0061】
図12Aに示す手順に従った制御処理では、出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能なエリアに属する場合に、ETCmaxモードで現在位置Ppから目的地Ptまでの経路が探索され、その探索された経路Rが誘経路として設定される(S11〜S14)。その後、その経路RがETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアを通るか否かが判定され(S17a)、そのようなエリアがある場合(S17aでYES)、ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するための処理(S21a:ETC利用可否設定手段・経路探索時設定手段)が行われる。このETC機器の利用が可能であるか否かを設定するための処理(S21a)は、前述したETC機器利用可否設定画面を表示部13に表示させて行うものであっても、経路Rが通る各エリアについて図7に示すような画面を表示部13に表示させて行うものであっても、更に他の手法に従って行うものであってもよい。
【0062】
図12Bに示す手順は、図4Bの手順において、ステップS25とステップ26との間に、ステップ17b及びステップS21bが追加された構成になっている。なお、図12Bにおいて、ステップS30でエリアに対してETC機器の利用が可能か否かの設定がなされた後、及びステップ29で車両がETC機器利用経路を走行していないとの判定がなされたとき(S29でNO)に、図4Bの手順のように誘導経路設定のステップ25に戻るのではなく、誘導経路設定の新たなステップ31に進むようになっている。このような違いがあっても、実質的な処理の内容は同じである。
【0063】
図12Bに従った制御処理では、出発時の車両の現在位置PpがETC機器の利用が可能でないエリアに属する場合(図12におけるS12でNO)に、ETCminモードで現在位置Ppから目的地Ptまでの経路が探索され、その探索された経路Rが誘経路として設定される(S24、S25)。その後、その経路RがETC機器の利用が可能であるか否かの設定がなされていないエリアを通るか否かが判定され(S17b)、そのようなエリアがある場合(S17bでYES)、ETC機器の利用が可能であるか否かを設定するための処理(S21b:ETC利用可否設定手段・経路探索時設定手段)が行われる。このETC機器の利用が可能であるか否かを設定するための処理(S21b)は、図12Aに示すステップ21aの場合と同様に、種々の手法を取り得る。
【0064】
図12A及び図12Bに示す手順に従った経路探索及び経路案内についての制御処理を行うナビゲーション装置では、車両の出発時に当該車両が誘導案内される経路が通る各エリアについてETC機器の利用が可能であるか否かを設定することができるので、その探索された経路に従って誘導案内されつつ走行する車両が次のエリアに進入する際にそのエリアについてETC機器の利用が可能か否かを設定する必要がない。即ち、運転中に利用者がETC機器の利用が可能か否かを設定するための操作を行う必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るナビゲーション装置は、車両が、当該車両に備えられたETC機器の利用が可能でないエリアを走行する際に、その車両がETC機器利用経路に従って誘導案内されることを防止することができるという効果を有し、車両の現在位置から目的地まで経路を探索し、その探索された経路に従って当該車両を誘導案内するナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0066】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 ナビゲーション・センサ群
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B