特許第6137543号(P6137543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137543
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】熱加工方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/18 20060101AFI20170522BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B29C65/18
   B29C65/56
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-186199(P2013-186199)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-51603(P2015-51603A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082223
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094282
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 洋資
(72)【発明者】
【氏名】岩月 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 貴司
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−110574(JP,A)
【文献】 特開平10−146897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/18 − 65/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しかつ瞬時に発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工方法であって、
a)前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップのワークに対する押圧力が所定圧に到達すると前記ヒータチップの下降を停止させ、前記ワークを熱加工し、
b)前記ワークの熱加工中に前記ヒータチップの下降により前記ワークに対する押圧力が所定圧以下になると前記昇降ヘッドを下降させ押圧力を所定圧幅内にして熱加工を行う、
c)前記a)〜b)を繰り返す、
ことを特徴とする熱加工方法。
【請求項2】
工程b)において、前記ワークの熱加工に伴う前記ヒータチップの下降により押圧力が所定圧以下にならない時に熱加工を終了する請求項1の熱加工方法。
【請求項3】
ヒータチップのワークに対する押圧力は、昇降ヘッドに収容され、前記ヒータチップを押下するばねのばね力を検出することにより求める請求項1の熱加工方法。
【請求項4】
昇降ヘッドに対するヒータチップの変位は、前記昇降ヘッドに固定された発光体および受光体で構成されたフォトセンサと、前記ヒータチップを昇降可能に保持するロッドに固定され前記発光体および受光体の間に進入/退出する遮光板との相対位置変化により検出され、前記フォトセンサは、前記ヒータチップの押圧力が所定圧幅内になるとオンし、所定圧以下になるとオフする請求項1の熱加工方法。
【請求項5】
ワークは熱カシメ部を有する樹脂部品であり、ヒータチップは前記熱カシメ部を熱加工する請求項1の熱加工方法。
【請求項6】
基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しつつ瞬時に発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工装置であって;
ヒータチップをワークに対してばねを介して押圧するばね加圧式昇降ヘッドと;
ヒータチップのワークに対するばね加圧力を検出するばね力検出センサーと;
前記昇降ヘッドを昇降駆動するモータと;
このモータを制御するモータ駆動制御部と;
ヒータチップ温度を検出する温度センサーと;
ヒータチップに供給する加熱電流を制御する温度制御手段と;
昇降ヘッドの昇降およびヒータチップ温度を制御すると共に前記昇降ヘッドの下降により前記ばね力検出センサーが検出するばね力が所定圧になるとヒータチップを瞬時に発熱させ、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降によりばね力が所定圧以下になると昇降ヘッドを下降させてばね力を所定圧幅内に保持するように昇降ヘッドを間欠的に下降させ、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降によりばね力が所定圧以下にならない時に熱加工を終了する主制御手段と;
を備えることを特徴とする熱加工装置。
【請求項7】
主制御手段は、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降によりばね力が所定圧以下にならない時に熱加工を終了する請求項6の熱加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂部品の熱カシメなどに適する熱加工方法と、この方法に用いる熱加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より広く用いられているリフローハンダ付け装置においては、ヒータチップをワーク(ハンダ付けする対象)に対してばねを介して押圧しながら加熱し、ハンダを溶融させる。そして所定の加熱終了時点になると加熱を停止し(あるいは温度を下げ)ハンダの凝固を待ってヒータチップを上昇させるものである(特許文献1)。
【0003】
またヒータチップを昇降ヘッドに昇降可能に保持し、ヒータチップを押下するばねのばね力がワークを押し潰すのを防ぐため、ヒータチップの下降を制限するストッパを昇降ヘッドに設けることが、提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−110574号公報
【特許文献2】特開2007−173522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにばねによってヒータチップを押下するばね式昇降ヘッドを有する従来装置は、リフローハンダ付けに用いることを前提としていた。リフローハンダ付けではヒータチップがワークに押圧されて、ハンダの溶融に伴う下降量が少ないため、ヒータチップの押下力(ばねの復元力)の変化は極めて少なくなる。このためハンダ付けにおいては問題はないと考えられていた。
【0006】
しかし樹脂部品の熱カシメなどにおいては、樹脂の軟化や溶融による変形が大きいためヒータチップの変位(下降量)が大きく、ヒータチップを押下する際のばね力の変化が大きくなる。このため熱カシメなどの熱加工の仕上がりが不均一になり、仕上がりが安定しないという問題が有った。ハンダ付けにおいてもワークによってはヒータチップの変位が大きいことがあり、この場合には同様な問題が有ることが解った。
【0007】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、樹脂部品の熱カシメやハンダ付けなどの熱加工で、ヒータチップの変位量が大きい場合に、ヒータチップのワークに対する押圧力の変化量を少なくして、仕上がりを均一化することが可能になり、仕上がりを安定させることができる熱加工方法を提供することを第1の目的とする。またこの方法の実施に直接使用する熱加工装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば第1の目的は、
基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しつつ瞬時に発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工方法であって、
a)前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップのワークに対する押圧力が所定圧に到達すると前記ヒータチップの下降を停止させ、前記ワークを熱加工し、
b)前記ワークの熱加工中に前記ヒータチップの下降により前記ワークに対する押圧力が所定圧以下になると前記昇降ヘッドを下降させ押圧力を所定圧幅内にして熱加工を行う、
c)前記a)〜b)を繰り返す、
ことを特徴とする熱加工方法、
により達成される。
【0009】
また第2の目的は、
基台に対して昇降可能かつ位置固定可能な昇降ヘッドに、下向きにばね付勢されたヒータチップを上下動可能に保持し、前記昇降ヘッドを下降させて前記ヒータチップをワークに押圧しつつ瞬時に発熱させて前記ワークを加熱加工する熱加工装置において;
ヒータチップをワークに対してばねを介して押圧するばね加圧式昇降ヘッドと;
ヒータチップのワークに対するばね加圧力を検出するばね力検出センサーと;
前記昇降ヘッドを昇降駆動するモータと;
このモータを制御するモータ駆動制御部と;
ヒータチップ温度を検出する温度センサーと;
ヒータチップに供給する加熱電流を制御する温度制御手段と;
昇降ヘッドの昇降およびヒータチップ温度を制御すると共に前記昇降ヘッドの下降により前記ばね力検出センサーが検出するばね力が所定圧になるとヒータチップを瞬時に発熱させ、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降によりばね力が所定圧以下になると昇降ヘッドを下降させてばね力を所定圧幅内に保持するように昇降ヘッドを間欠的に下降させ、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降によりばね力が所定圧以下にならない時に熱加工を終了する主制御手段と;
を備えることを特徴とする熱加工装置、
により達成される。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、ワークの熱加工中にヒータチップのワークに対する押圧力が所定圧以下にならないように昇降ヘッドを下降させつつ熱加工するから、ヒータチップの加熱によりワークが軟化あるいは溶融してヒータチップが下降し、この下降によりばね力が減少しても、昇降ヘッドを下降させて押圧力が所定圧以下にならないようにすることになる。このためヒータチップのワークに対する押圧力が過少になることが無く、熱加工の仕上がりを均一にすることができ、仕上がりを安定化させることができる。
また、ワークに対するヒータチップの押圧力を監視しながら 昇降ヘッドを下降させ、この押圧力が所定圧以上を保持しながら熱加工することが可能である。この場合に、前記押圧力が所定圧になると前記昇降ヘッドの下降を停止させ、ワークの熱加工に伴うヒータチップの下降により前記押圧力が所定圧以下になると前記昇降ヘッドを下降させることを繰り返すように不連続に下降を制御するので、押圧力を検出して昇降ヘッドを間欠的に降下させることになり、押圧力を高精度に制御できる。
【0011】
このため、熱変形が大きい樹脂の熱カシメ部の加工や、ヒータチップの沈み込みが大きい部位のハンダ付けなどの熱加工に適するものになる。また第2の発明によれば、第1の発明の実施に直接使用する熱加工装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施例である熱加工装置の斜視図
図2】この装置の加圧式昇降ヘッドを示す一部断面側面図
図3】同じくこの装置の機能ブロック図
図4】同じくこの装置の動作の流れ図
図5】この熱加工方法の適用例を示す図
図6】この熱加工方法の他の適用例を示す図
図7】この熱加工方法の他の適用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明では、ヒータチップの加熱ワークの熱加工に伴う前記ヒータチップの下降により押圧力が所定圧以下にならない時に熱加工を終了することができる(請求項2)。ヒータチップのワークに対する押圧力は、昇降ヘッドに収容され前記ヒータチップを押下するばねのばね力を検出することにより求めることができる(請求項3)。この押圧力は、ばねの圧縮量の変化をフォトセンサによって検出し、この圧縮量が所定押圧力に対応する所定量になるとオン・オフするようにすることができる請求項4)。例えば、昇降ヘッドに対するヒータチップの変位は、前記昇降ヘッドに固定された発光体および受光体で構成されたフォトセンサと、前記ヒータチップを昇降可能に保持するロッドに固定され前記発光体および受光体の間に進入/退出する遮光板との相対位置変化により検出され、前記フォトセンサは、前記ヒータチップの押圧力が所定圧幅内になるとオンし、所定圧以下になるとオフするように構成することが出来る。
【0015】
ワークは例えば熱カシメ部を有する樹脂部品とし、ヒータチップは前記熱カシメ部を熱加工するものとすることができる(請求項5)。例えば、樹脂部品を配線板に固定する樹脂製ボスの先端を熱カシメするもの(Staking)、レンズを樹脂部品に組み立てて熱カシメするもの(Swaging)に適用可能である。またカメラモジュール(イメージセンサ)をFPCなどの回路板にリフローハンダ付けするものにも適用可能である。
【実施例1】
【0016】
図1,3において符号10は主制御手段(主コントローラ)、12は電源部、14は溶接機である。16は主制御手段10に設けた電源スイッチである(図1)。主コントローラ10は、図3に示す制御部10A、モータドライバー10B、表示パネル20を持つ。制御部10AはCPUで形成される。表示パネル20は、メニュー画面や、熱加工に伴う種々のデータや設定値(設定値の許容範囲を含む。)などを表示する表示部20Aとしての機能と、その表面に設けた透明なタッチセンサ(図示せず)からなる入力手段である設定部20Bの機能とを持つ(図3)。この設定部20Bから後記する種々の設定値が設定される。
【0017】
溶接機14は図2に詳細に示すように、基台22と、この基台22から垂直に起立する支柱24と、この支柱24に昇降可能に保持されモータ26(図2)によって昇降される昇降ヘッド28と、この昇降ヘッド28に上下動可能に保持されて下方へ突出するロッド30と、このロッド30の下端に固定されたヒータチップ(ツール)32とを持つ。このロッド30は、昇降ヘッド28に固定された筒34内に装填されたコイルばね36によって、下向きに付勢されている。
【0018】
モータ26はステッピングモータやサーボモータであって、その回転量によって昇降ヘッド28の位置をフィードバック制御できるものである。すなわち、支柱24にラック26Aが固定され、このラック26Aに噛合するウォームギヤ26Bがこのモータ26によって回転駆動される(図2)。ウォームギヤ26Bの正逆転によって、ラック26Aおよびこれと一体の支柱24に対して昇降ヘッド28が上下動する。
【0019】
コイルばね36の上端は、筒34の上端に螺合されたばね力調節手段となるキャップ38に支持されている。コイルばね36の下端は、ロッド30の上端に取り付けられたばね力検出センサーである圧力センサー40に支持されている。この圧力センサー40は、例えば歪みゲージ(ロードセル)、圧電素子、感圧ダイオードなど種々の検出原理のものから適切なものを用いる。ロッド30には下限位置設定部材となるストッパとしての板42が固定され、この板42はロッド30の下降時に昇降ヘッド28の内底壁に当接して位置決めされる(図2の位置)。
【0020】
ヒータチップ32は上方に開くスリットを形成して略U字状とした電気抵抗材料で作られ、両端間に電流を流すことによって瞬時に発熱するものである。このヒータチップ32はウェルドケーブル44(図1)によって、電源部12に収容された溶接トランス12A(図3)の二次側に接続されている。
【0021】
また電源部12は、ヒータチップ32の温度制御手段となる電流制御部12Bを備える。電流制御部12Bは主コントローラ10の制御部10Aが出力する温度指令P1に基づいてヒータチップ32の温度を制御する。すなわちこの電流制御部12Bにはヒータチップ32の先端付近に固定した熱電対46(図3)が検出するヒータチップ温度θがフィードバックされ、このヒータチップ温度θを温度指令P1に一致させるようにパルス幅制御したパルス電流P2を溶接トランス12Aに送る。溶接トランス12Aはこのパルス電流P2を昇圧してヒータチップ32に送り発熱させる。
【0022】
モータドライバー10Bは制御部10Aが出力する回転指令Q1に基づいてモータ26を制御する。すなわちモータドライバー10Bは、この回転指令Q1によって正逆いずれかの回転方向に所定回転量だけモータ26を回転させる。ここにモータ26はステッピングモータあるいはサーボモータでありその回転量によって昇降ヘッド28の高さが正確に制御される。
【0023】
48は被熱加工対象となるワークである。このワーク48は図5に示すように、樹脂製の機器筐体(Chassis)50に一体形成した樹脂製ボス(Plastic Boss)52を、被結合物であるプリント配線板(PWB、Printed Wiring Board)54の取付孔に貫通させたものである。このボス52の突出端(上端)にヒータチップ32を押圧し加熱することによりボス先端を溶融し熱変形させて潰し、リベット状に結合するものである。なおこの場合、ヒータチップ32の押圧面にはボス52を潰す形状に合わせた凹部56が形成されている。図5の(A)は熱加工前を、同(B)は熱加工後を示している。
【0024】
主コントローラ10の制御部10Aには、前記圧力センサ40で検出したばね36の押圧力(圧縮圧力)Rが入力され、この押圧力Rが所定の設定圧(所定圧)R0(あるいはその許容範囲の上限圧)になるようにモータ26を制御する。すなわち、モータドライバ10Bにモータ26の回転方向と回転量を指示し、モータドライバ10Bはこの指示に従ってモータ26を制御する。
【0025】
次に図4を用いて動作を説明する。主コントローラ10の電源スイッチ16をオンにすると、CPUが起動し表示パネル20にメニュー画面が表示される。オペレータはメニュー画面で「データ設定」を選択し、種々のデータ(設定値)を設定する。ここで設定するデータは、主としてワーク48の熱加工の押圧力、加熱温度、熱加工の終了条件などに対応するデータである。この実施例ではこの終了条件は、昇降ヘッド28を固定した状態でヒータチップ32が樹脂ボス52(図5)を溶融しつつ下降する際に、ばね36の押圧力Rが設定値R0まで減少しないこととする。この熱加工の終了条件を検出することにより、ヒータチップ32の加熱を停止し、冷却してから昇降ヘッド28を上昇させる。
【0026】
熱加工の開始前には、ヒータチップ32のロッド30は常にばね36により下方に押圧され、ストッパとなる板42が昇降ヘッド28の内底壁に当接することにより下限位置に保持されている。ここにばね36のばね力(押圧力、圧縮圧力)は、ばね力調節手段となるキャップ38によって初期設定される。すなわちこのキャップ38を回転することによりばね36のばね力を調節し、このばね力を検出する圧力センサ40の検出値が所定値になるように初期設定する。
【0027】
データの設定と、ばね36のばね力設定が終わると、主コントローラ10のCPUからなる制御部10Aはモータ26により昇降ヘッド28を下降させ、従ってヒータチップ32を下降させる(ステップS100)。ヒータチップ32がワーク48に当接すると、ロッド30のストッパである板42は昇降ヘッド28の内底壁から離れ、ワーク48およびロッド30の位置を固定したまま、昇降ヘッド28が下降を続ける。この昇降ヘッド28の下降により、この昇降ヘッド28と一体の筒34と、この筒34の上端に螺合したキャップ38も下降するから、ばね36は圧縮される。
【0028】
このため、ばね36の圧縮力がヒータチップ32の押下力、すなわちワーク48に対する押圧力Rとなる。この検出した押圧力Rが設定圧R0(あるいはその上限値)に到達するまで昇降ヘッド28を下降させる(S102)。設定圧R0(あるいはその上限値)になるとモータ28を停止し、従って昇降ヘッド28の下降を停止させる(S104)。そして制御部10Aは温度指令P1を電源部12に送り、チータチップ32を発熱させ、その温度を設定温度に保持させる(S106)。
【0029】
ヒータチップ32の発熱によりワーク48の樹脂ボス52が溶融すると、ヒータチップ32は昇降ヘッド28内のばね36によって下降するから、ばね36が伸びて圧力センサー40の検出圧力(押圧力)Rが減少する(S108)。この圧力Rが設定圧R0(あるいは設定圧R0の許容範囲の下限値)以下になることを制御部10Aが検出すると、制御部10Aはモータ26を起動し、昇降ヘッド28を下降させる(S100)。このようにステップS100〜S108の動作を繰り返す。そしてステップS108で、押圧力Rが設定圧R0(あるいはその下限値)以下にならなくなると、制御部10Aはヒータチップ32の加熱を停止させ(S110)、チータチップ32の温度θが樹脂ボス52の硬化温度θ0以下になるまで冷却してから(S112)、昇降ヘッド28を上昇させる(S114)。そして次のワーク48に交換して、以上の動作を繰り返す。
【実施例2】
【0030】
前記の実施例1では、圧力センサー40によりばね36の加圧力を検出するが、これに代えてばね36の圧縮量を検出するようにしてもよい。例えば図2に示すフォトセンサ40Aを用いることができる。このフォトセンサ40Aは、昇降ヘッド28の内壁に固定した発光体(発光ダイオード)と受光体(光センサ)で構成され、ロッド30に固定した遮光板40aを、これら発光体と受光体の間に進入/退出させるものである。
【0031】
これらのフォトセンサ40Aと遮光板40aとの相対取付位置を適切に設定することにより、ばね36の圧縮量が所定の設定圧R0に対応する圧縮量になったことを検出することが可能である。
【実施例3】
【0032】
図6は、樹脂部品にレンズを組立てるワーク48Aに適用する場合を示す。同図の(A)は熱加工前を、(B)は熱加工後を示す。この図において、60は円筒状の樹脂ケース、62はこの樹脂ケース60の開口部に固定するレンズである。樹脂ケース60の開口縁はレンズ60の外周から上方に突出し、この突出部64にヒータチップ32Aを押圧して熱カシメするものである。この場合のヒータチップ32Aには、突出部62に被せる環状の凹部66が形成される。この実施例2では、前記図1〜4で説明した実施例1におけるヒータチップ32に代えてヒータチップ32Aを用いるものであり、実施例1と同様に制御される。
【実施例4】
【0033】
図7はカメラモジュールの組立に適用する場合を示す。この図において、70はイメージセンサであり、ホルダ72に保持されている。イメージセンサ70の出力端子がホルダ72の上面に配列され、これらの出力端をフレキシブル配線板(FPC)74の対応する電極列に位置合わせし、両電極間に挟んだハンダ(クリームハンダやハンダめっきなど)76をリフローソルダリングするものである。
【0034】
この場合には、FPC74の上面にヒータチップ32Bを上方から当てて、ハンダ76を加熱溶融させるが、FPC74の熱変形とハンダ76の溶融によりヒータチップ32Bの沈み込み量が比較的大きくなる。そのためヒータチップ32Bを前記実施例1のヒータチップ32に代えてヒータチップ32Bを用いるものである。この場合も前記実施例1と同様に制御すればよい。
【符号の説明】
【0035】
10 主制御手段(主コントローラ)
10B モータドライバー(モータ駆動制御部)
12 電源部
12B 電流制御部(温度制御手段)
14 溶接機
22 基台
24 支柱
26 モータ
28 昇降ヘッド
30 ロッド
32、32A、32B ヒータチップ
36 ばね
40 圧力センサ(ばね力検出センサー)
40A フォトセンサ
46 熱電対(温度センサー)
48、48A、48B ワーク
R 押圧力
0 設定圧(所定圧)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7