(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムアミド、及びリチウムアミド、並びにこれらの組合せから選択される請求項9に記載の方法。
グリシドールの開環重合が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN−メチルピロリドン、並びにこれらの混合物から選択される溶媒中で実施される、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の実施形態によるブロックコポリマーから製造された多孔質膜の横断面のSEM写真である。
【
図2】親水性多孔質膜のミクロ構造を概略的に示す図である。1は、芳香族疎水性ポリマーを表し、2は、本発明の実施形態によるブロックコポリマーの芳香族疎水性ポリマーセグメントを表し、3は、ブロックコポリマーの親水性セグメントを表す。
【
図3A】本発明の実施形態による膜の横断面のSEM写真である。
【
図3B】
図3Aに示される写真の、より高倍率のSEM写真である。
【0009】
[発明の詳細な説明]
[0012]一実施形態によれば、本発明は、ブロックA及びBを含み、ブロックAが、ポリグリセロール(ポリグリシドールとしてもまた知られている)を含む親水性ポリマーセグメントであり、ブロックBが芳香族疎水性ポリマーセグメントである、式A−B−A(I)又はA−B(II)のブロックコポリマーを提供する。本発明のブロックコポリマーと芳香族疎水性ポリマーを含む多孔質膜は、親水性である。
【0010】
[0013]一実施形態によれば、ポリグリセロールは、次の繰返し単位:
【化1】
の1つ又は複数を有する。
【0011】
[0014]一実施形態において、ブロックAは、次の構造:
【化2】
の1つ又は複数を含む。
【0012】
[0015]一実施形態によれば、ブロックコポリマーの芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリアミド−イミドから選択され、好ましくはポリエーテルスルホンである。
【0013】
[0016]芳香族疎水性ポリマーセグメントの実施形態には、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)(PPESK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びポリエーテル−イミド(PEI)が含まれ、これらは、次の構造を有する。
【化3】
【化4】
【0014】
[0017]上記の芳香族疎水性セグメントの各々の中の、繰返し単位の数(n)は、約10〜約1000、好ましくは約30〜約300、より好ましくは約50〜約250であり得る。
【0015】
[0018]一実施形態によれば、本発明のブロックコポリマーは、ポリエーテルスルホンが芳香族疎水性セグメントである場合、次の構造:
【化5】
を有し、式中、nは、約10〜約1000、好ましくは約50〜175、より好ましくは約60〜約100である。
【0016】
[0019]ポリスルホンが芳香族疎水性ポリマーセグメントである場合、nは、約10〜約1000、好ましくは約30〜約225、より好ましくは約45〜約130である。
【0017】
[0020]一実施形態によれば、ブロックAは、コポリマーに、約20%〜約60mol%の量で存在し、ブロックBは、約30%〜約80mol%の量で存在する。ブロックAは、約40%〜約55mol%の量で存在し、ブロックBは、約40%〜約60mol%の量で存在することが好ましい。
【0018】
[0021]一実施形態によれば、本発明は、また、上記のブロックコポリマーを製造する方法であって、
(i)ヒドロキシ、メルカプト、及びアミノ基から選択される1つ又は複数の末端官能基を有する芳香族疎水性ポリマーセグメントを用意するステップ;
(ii)芳香族疎水性ポリマーセグメントにグリシドールの開環重合を実施するステップ;
を含む、方法も提供する。
【0019】
[0022]一実施形態によれば、芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリアミド−イミドから選択され、好ましくはポリエーテルスルホンである。芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ヒドロキシ、メルカプト、又はアミノ基から選択される、1つ又は複数の、好ましくは1つ又は2つの、末端官能基を含む。
【0020】
[0023]官能基は、当業者に知られている方法によって芳香族疎水性セグメントに持たせることができる。例えば、ヒドロキシ−末端ポリエーテルイミドの合成が、米国特許第4611048号及び米国特許第7230066号に記載されている。こうして、例えば、ヒドロキシ−末端ポリエーテルイミドは、ビス−エーテル無水物及びジアミンの反応と、その後のアミノアルコールとの反応によって製造できる。例示すると、ヒドロキシ−末端ポリエーテルイミドは、ビス(4−(3,4−ジカルボキシ−フェノキシ)フェニル)プロパン二無水物及びm−フェニレンジアミンの反応と、その後のp−アミノフェノールとの反応によって製造できる。
【0021】
[0024]アミン−末端ポリエーテルイミドは、ビス−エーテル無水物とジアミンの反応によって製造できる。こうして、例えば、ビス(4−(3,4−ジカルボキシ−フェノキシ)フェニル)プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンを反応させて、アミン末端ポリエーテルイミドが製造できる。例えば、米国特許第3847867号を参照。
【0022】
[0025]ヒドロキシ−末端PEEKが、Journal of Polymer Science Part B 2006, 44, 541、及び、Journal of Applied Science 2007, 106, 2936に記載されている。こうして、例えば、tert−ブチルペンダント基を有するヒドロキシ−末端PEEKは、触媒として炭酸カリウムを用いる、tert−ブチルヒドロキノンによる4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの求核置換反応によって製造できる。
【0023】
[0026]ヒドロキシ−末端ポリカーボネートが、Journal of Polymer Science: Polymer Chemistry Edition 1982, 20, 2289に記載されている。こうして、例えば、ヒドロキシ−末端ポリカーボネートは、ビスフェノールAとホスゲンの反応によって、ホスゲン化の前か又はその間かのいずれかに、フェノール基のいくつかを元の位置でブロッキングして、製造できる。トリメチルクロロシラン、トリフルオロ酢酸無水物、又はトリフルオロ酢酸が、ブロッキングのために使用され得る。ブロッキング基は、重合の最後に除去できる。
【0024】
[0027]ヒドロキシ−末端PPOは、米国特許第3318959号に記載されているようにして製造できる。こうして、例えば、ポリ−2,6−ジメチルフェニレンエーテルを、水酸化ナトリウムと反応させて、2.3〜3個のヒドロキシル基/1分子のヒドロキシル含有量を有するPPOを得ることができる。
【0025】
[0028]一実施形態において、1つ又は複数のヒドロキシ基を有する芳香族疎水性ポリマーセグメントは、次の式:
【化6】
のものであり、式中、nは、約10〜約1000、好ましくは約50〜175、より好ましくは約60〜約100である。
【0026】
[0029]ポリエーテルスルホンは、例えば、Solvayから、式
【化7】
を有する、VIRANTAGE(商標)VW−10700として市販されており、これは、21000g/molのGPC分子量及び210μeq/gのOH末端基を有し;Solvayから、式
【化8】
を有する、VIRANTAGE(商標)VW−10200として市販されており、これは、44,200g/molのGPC分子量及び80μeq/gのOH末端基を有し;また、Sumitomoから、式
【化9】
を有する、スミカエクセル(SUMIKAEXCEL)(商標)5003PSとして市販されており、これは、0.50の還元粘度[DMFに溶解した1%PES]及び0.6〜1.4個/1分子の範囲のOH末端基を有する。
【0027】
[0030]グリシドール又は2,3−エポキシ−1−プロパノールは、末端官能基として、1つのエポキシド環及び1つのヒドロキシル基を含む。2つの末端官能基は互いに反応することができて、グリセロール誘導体である巨大分子を生成する。得られる巨大分子は、反応し続けて、ポリグルセロールを形成する。グリシドールのエポキシドの開環は、求核剤、すなわち、芳香族疎水性ポリマーセグメントのオキシドアニオン、アミノ基、又はスルフィドアニオンによって開始され、これは、末端官能基として存在する(アミノ基)か、又は、芳香族疎水性ポリマーセグメントの末端基(terminal group)(OH若しくはSH)と反応に用いられる塩基との反応によって生成される。一実施形態において、SHが求核剤として働く場合、塩基の使用は任意選択である。アミノ基が求核剤である場合、塩基は必要でない。
【0028】
[0031]適切な任意の塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムアミド、及びリチウムアミドから選択される塩基、並びにこれらの組合せが用いられ得る。
【0029】
[0032]一実施形態によれば、開環重合は、適切な溶媒、特に非プロトン性極性溶媒中で実施され得る。適切な溶媒の例には、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN−メチルピロリドン、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0030】
[0033]芳香族疎水性ポリマー又はグリシドールの総量は、適切な任意の濃度で、例えば、約5重量%〜約60重量%以上、好ましくは約10重量%〜約50重量%、より好ましくは約20重量%〜約40重量%の濃度で、重合媒体中に存在し得る。一実施形態において、濃度は、約30重量%である。
【0031】
[0034]開環重合は、反応混合物における疎水性ポリマーセグメントとグリシドールの比が、好ましくは約1:0.1〜約1:1.1、より好ましくは約1:0.7〜約1:0.9、より一層好ましくは約1:0.8であるようにして実施される。
【0032】
[0035]開環重合は、適切な温度で、例えば、25℃〜約120℃、好ましくは約50℃〜約110℃、より好ましくは約90℃〜100℃で実施される。
【0033】
[0036]重合は、適切な任意の時間、例えば、約1時間〜約100時間以上、好ましくは約2時間〜約20時間、より好ましくは約3時間〜約10時間、実施され得る。重合時間は、とりわけ、望まれる重合度、及び反応混合物の温度に応じて変わり得る。
【0034】
[0037]重合は、反応混合物を酸によりクエンチすることによって停止できる。ブロックコポリマーは、非溶媒、例えば、イソプロパノール又は水による析出によって、反応混合物から単離できる。得られるポリマーは、何らかの残留溶媒又は非溶媒を除去するために、乾燥される。
【0035】
[0038]ブロックコポリマーは、適切な分析技法のいずれかによって評価され得る。例えば、疎水性ポリマーセグメントの量、及びグリシドールブロック(ポリグリシドール)の量は、プロトンNMR分光法によって求めることができる。
【0036】
[0039]本発明は、上述の芳香族疎水性ポリマー及びブロックコポリマーを含む多孔質膜をさらに提供する。本発明は、芳香族疎水性ポリマー及びブロックコポリマーを含む多孔質膜を製造する方法であって、
(i)溶媒、前記芳香族疎水性ポリマー、及び前記ブロックコポリマーを含むポリマー溶液を用意するステップ;
(ii)ポリマー溶液を薄いフィルムとしてキャストするステップ;
(iii)薄いフィルムを転相させて、多孔質膜を得るステップ;及び、任意選択で
(iv)多孔質膜を洗うステップ;
を含む、方法もさらに提供する。
【0037】
[0040]膜を製造するためのポリマー溶液は、ポリマーと、湿潤剤としてのブロックコポリマーとを含む。典型的なポリマー溶液は、少なくとも1種の溶媒を含み、少なくとも1種の非溶媒をさらに含み得る。適切な溶媒には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC);N−メチルピロリドン(NMP);ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルスルホキシド、テトラメチルウレア;ジオキサン;コハク酸ジエチル;クロロホルム;及びテトラクロロエタン;並びにこれらの混合物が含まれる。適切な非溶媒には、例えば、水;様々なポリエチレングリコール(PEG;例えば、PEG−200、PEG−300、PEG−400、PEG−1000);様々なポリプロピレングリコール;様々なアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノール;アルカン、例えば、ヘキサン、プロパン、ニトロプロパン、ヘプタン、及びオクタン;並びに、ケトン、エーテル及びエステル、例えば、アセトン、ブチルエーテル、酢酸エチル、及び酢酸アミル;酸、例えば、酢酸、クエン酸、及び乳酸;並びに様々な塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び塩化リチウム;並びにこれらの混合物が含まれる。
【0038】
[0041]典型的なキャスト溶液は、約10wt%〜約35wt%の樹脂の範囲のポリマー、約0.1〜約10wt%、好ましくは約0.2wt%〜約2wt%、より好ましくは約0.3wt%〜約1wt%の範囲の親水性ブロックコポリマー、約0〜約90wt%の範囲のNMP、約0〜約90wt%の範囲のDMF、及び、約0〜約90wt%の範囲のDMACを含む。
【0039】
[0042]キャスト溶液の適切な成分は、当技術分野において知られており、望まれるように使用され得る。ポリマーを含む例示的な溶液、及び例示的な溶媒と非溶媒には、例えば、米国特許第4629563号;米国特許第4900449号;米国特許第4964990号、米国特許第5444097号;米国特許第5846422号;米国特許第5906742号;米国特許第5928774号;米国特許第6045899号;及び米国特許第7208200号に開示されているものが含まれる。
【0040】
[0043]例えば、膜試料は、水蒸気拡散又は水中での直接クエンチのいずれかによる、非溶媒により誘発されるポリマーの析出を含む溶液法を通じて製造され得る。通常、ポリマー(例えば、PES又はPPESK)の溶液が、溶媒のDMAC又はDMAC/NMP、細孔形成剤のPEG400及び他の添加剤を用い、最初に製造される。この溶液は、10〜15ミルの間隙を有するドクターブレードを用い、ガラス板に塗布されて、ポリマードープのフィルムを一様に形成する。次いで、フィルムは、温度、風速、及び湿度の制御されたチャンバに入れられるか、又は、予め設定された温度を有する水浴に直接、浸漬されるかのいずれかで、ドープが固体フィルムに変換される時間、放置される。得られる固体フィルム試料は、50〜70%エタノール/水、50℃〜80℃の温度範囲の高温水中で、浸出され、次いで、50℃〜70℃の温度範囲のオーブン中で乾燥されて、多孔質ポリマー膜のシートを与える。
【0041】
[0044]例として、典型的な配合は、約15〜25wt%のPPESKポリマー樹脂、約200〜300phrの溶媒(NMP/DMAC)、通常の範囲は5〜25phrで、50phrまでのポリマー湿潤剤から構成される。細孔形成剤PEG400は、50phr〜100phrの範囲の濃度で導入される。それぞれの個々の配合に対して必要に応じて、0.5〜3.0%の低パーセンテージの他の添加剤が使用され得る。
【0042】
[0045]キャスト溶液は、ガラス板上、又は移動式ベルトのような移動基材上に、平坦なシートとしてキャストされる。別法として、キャスト溶液は中空繊維としてキャストされる。
【0043】
[0046]転相は、知られている方法のいずれによって実施されてもよい。転相は、溶媒及び非溶媒の蒸発(ドライプロセス);露出した表面に吸収される非溶媒蒸気、例えば水蒸気への曝露(蒸気相に誘発される析出プロセス);通常は水である非溶媒液体中でのクエンチ(ウェットプロセス);又は、ポリマーの溶解性が突然大きく低下する、高温フィルムの熱的クエンチ(熱プロセス);を含む。
【0044】
[0047]一実施形態において、転相は、キャスト溶液を、非溶媒蒸気、例えば、制御された湿度の大気に曝すことによって実施され、その後、キャスト溶液は、水浴のような非溶媒浴に浸漬される。
【0045】
[0048]代わりに、疎水性膜が、親水性ブロックポリマーによりコーティングされてもよい。こうして、例えば、ブロックコポリマーの溶液が、芳香族疎水性ポリマーにより形成された多孔質膜にコーティングされる、又は、多孔質膜がブロックコポリマーの溶液にディッピングされ、任意選択で加熱されて、親水性に改質された多孔質膜が得られる。
【0046】
[0049]
図2に示されるように、本発明の実施形態による多孔質膜のミクロ構造は、膜の細孔表面に親水性セグメント3を含み、このため、膜の親水性が向上する。ブロックコポリマーの疎水性ポリマーセグメント2は、芳香族疎水性ポリマー1に沿って配向する。
【0047】
[0050]本発明の実施形態による多孔質膜は、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、ガス分離、浸透気化又は蒸気透過、透析、膜蒸留、クロマトグラフィー膜、並びに/又は正浸透及び圧力浸透において用途がある。
【0048】
[0051]本発明の実施形態による多孔質膜は、約0.05μm〜約10μmの細孔径(pore size)を有し、精密濾過膜としての用途がある。本発明の特定の実施形態による多孔質膜は、約1nm〜約0.5μmの細孔径を有し、ナノ濾過膜としての用途がある。
【0049】
[0052]本発明の実施形態による多孔質膜は、約70〜約90ダイン/cm以上、例えば、72、74、76、78、80、82、84、又は86ダイン/cmの臨界濡れ表面張力(CWST)を有する。
【0050】
[0053]本発明の実施形態による多孔質膜は、例えば、診断用途(例えば、試料調製及び/又は診断用ラテラルフローデバイスが含まれる)、インクジェット用途、医薬品業界のための流体の濾過、医療用途のための流体の濾過(在宅及び/又は患者使用のためを含めて、例えば、静脈内用途、また、例えば、血液のような生体流体の濾過(例えば、白血球を除去するため)が含まれる)、エレクトロニクス業界のための流体の濾過(例えば、マイクロエレクトロニクス業界におけるフォトレジスト流体の濾過)、食品及び飲料業界のための流体の濾過、清澄化、抗体−及び/又はタンパク質−含有流体の濾過、核酸含有流体の濾過、細胞検出(原位置でのものが含まれる)、細胞採取、並びに/或いは、細胞培養流体の濾過を含めて、様々な用途に使用できる。代わりに、又は追加として、本発明の実施形態による膜は、空気及び/又はガスを濾過するために使用できる、並びに/或いは、排出用途(例えば、膜を通して空気及び/又はガスは通過させるが、液体は通過させない)に使用できる。本発明の実施形態による膜は、外科用デバイス及び製品、例えば、眼科用外科製品を含めて、様々なデバイスに使用できる。
【0051】
[0054]本発明の実施形態によれば、多孔質膜は、平面状、平坦なシート状、プリーツ状、チューブ状、スパイラル状、及び中空繊維状を含めて、様々な構造形態を有し得る。
【0052】
[0055]本発明の実施形態による多孔質膜は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、また入口と出口の間に少なくとも1つの流体流路を定めるハウジングに、通常は配置され、ここで、本発明の少なくとも1つの膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を含むフィルターが、流体流路に交差していて、フィルターデバイス又はフィルターモデュールが形成されている。一実施形態において、入口及び第1出口を備え、また入口と第1出口の間に第1流体流路を定めるハウジング;並びに、本発明の少なくとも1つの膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を備えるフィルター;を備えるフィルターデバイスであって、本発明の膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を備えるフィルターは、第1流体流路に交差してハウジングに配置される、フィルターデバイスが提供される。
【0053】
[0056]クロスフロー用途では、本発明の少なくとも1つの膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を備えるフィルターは、少なくとも1つの入口と少なくとも2つの出口とを備え、また入口と第1出口の間の第1流体流路と、入口と第2出口の間の第2流体流路とを少なくとも定めるハウジングに配置され、ここで、本発明の膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を備えるフィルターは、第1流体流路に交差していて、フィルターデバイス又はフィルターモデュールが形成されていることが好ましい。例示的な一実施形態において、フィルターデバイスは、クロスフローフィルターモデュールと、入口、濃縮物出口を備える第1出口、及び浸透物出口を備える第2出口を備え、また入口及び第1出口の間に第1流体流路を、入口及び第2出口の間に第2流体流路を定めるハウジングとを備え、ここで、本発明の少なくとも1つの膜、又は本発明の少なくとも1つの膜を備えるフィルターは、第1流体流路に交差してハウジングに配置される。
【0054】
[0057]フィルターデバイス又はモデュールは、滅菌可能であり得る。適切な形状で、入口と1つ又は複数の出口とがある任意のハウジングが用いられ得る。
【0055】
[0058]ハウジングは、不浸透性熱可塑性材料のいずれかを含めて、処理される流体に適合する任意の適切な堅い不浸透性材料から作成できる。例えば、ハウジングは、金属、例えば、ステンレス鋼、又はポリマー、例えば、透明若しくは不透明ポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、若しくはポリカーボネート樹脂から作成できる。
【0056】
[0059]以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、言うまでもなく、決してその範囲を限定していると解釈されるべきではない。
【0057】
実施例1
[0060]この実施例は、本発明の実施形態によるブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0058】
[0061]100gのE6020グレード(BASF)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(250mL)に、100℃で溶かした。激しい撹拌下に、2時間で完全な溶解が達成された。混合物に、炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を30分間混合し、その後、グリシドール(70mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPA:水(90:10 v/v)にゆっくりと加えることによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルター(fritted Buchner filter)により濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。次いで、得られた白色固体粉末を乾燥して、プロトンNMRによって求めて40mol%のPES及び60mol%のグリシジルを含む、140gの所望の生成物を得た。
【0059】
実施例2
[0062]この実施例は、本発明の実施形態による別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0060】
[0063]100gの5003PSグレード(Sumitomo)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(250mL)に、100℃で溶かした。激しい撹拌下に、2時間で完全な溶解が達成された。混合物に、炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(100mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で5時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPA:水(90:10 v/v)にゆっくりと加えることによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた白色固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて40mol%のPES及び60mol%のグリシジルを含む、130gの所望の生成物を得た。
【0061】
実施例3
[0064]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0062】
[0065]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(20mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(4mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて90mol%のPES及び10mol%のグリシジルを含む、105gの所望の生成物を得た。
【0063】
実施例4
[0066]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0064】
[0067]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(15mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(4mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、IPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて90mol%のPES及び10mol%のグリシジルを含む、107gの所望の生成物を得た。
【0065】
実施例5
[0068]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0066】
[0069]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(25mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(5mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、IPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて85mol%のPES及び15mol%のグリシジルを含む、107gの所望の生成物を得た。
【0067】
実施例6
[0070]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0068】
[0071]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(35mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で5時間保った。反応混合物を、酢酸(5mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。次いで、反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、IPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて80mol%のPES及び20mol%のグリシジルを含む、110gの所望の生成物を得た。
【0069】
実施例7
[0072]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0070】
[0073]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(50mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(8mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、IPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて67mol%のPES及び33mol%のグリシジルを含む、110gの所望の生成物を得た。
【0071】
実施例8
[0074]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0072】
[0075]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(60mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応を、酢酸(10mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水:IPA(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、DI水(250mL)及びIPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて53mol%のPES及び47mol%のグリシジルを含む、110gの所望の生成物を得た。
【0073】
実施例9
[0076]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0074】
[0077]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(80mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(10mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水:IPA(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、DI水(500mL)及びIPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて35mol%のPES及び65mol%のグリシジルを含む、120gの所望の生成物を得た。
【0075】
実施例10
[0078]この実施例は、水に対して部分溶解性であるブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0076】
[0079]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(100mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPAにゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。次いで、得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、DI水(500mL)及びIPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて25mol%のPES及び75mol%のグリシジルを含む、110gの所望の生成物を得た。
【0077】
実施例11
[0080]この実施例は、水に対して溶解性であるブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0078】
[0081]22K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10700 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(150mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPAにゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、DI水(500mL)及びIPA(500mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて10mol%のPES及び90mol%のグリシジルを含む、130gの所望の生成物を得た。
【0079】
実施例12
[0082]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0080】
[0083]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(40mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(4mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて85mol%のPES及び15mol%のグリシジルを含む、105gの所望の生成物を得た。
【0081】
実施例13
[0084]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0082】
[0085]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(50mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(6mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて80mol%のPES及び20mol%のグリシジルを含む、105gの所望の生成物を得た。
【0083】
実施例14
[0086]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0084】
[0087]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(60mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。次いで、反応混合物を、酢酸(8mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて70mol%のPES及び30mol%のグリシジルを含む、110gの所望の生成物を得た。
【0085】
実施例15
[0088]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0086】
[0089]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(70mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。次いで、反応混合物を、酢酸(10mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水:IPA(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて55mol%のPES及び45mol%のグリシジルを含む、115gの所望の生成物を得た。
【0087】
実施例16
[0090]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0088】
[0091]45K
Dの分子量を有する100gのVIRANTAGE VW−10200 RPグレード(Solvay)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(120mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(10mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのDI水:IPA(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた固体を乾燥して、プロトンNMRによって求めて30mol%のPES及び70mol%のグリシジルを含む、140gの所望の生成物を得た。
【0089】
実施例17
[0092]この実施例は、水に対して部分溶解性であるブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0090】
[0093]100gのE6020グレード(BASF)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。激しい撹拌下に、2時間で完全な溶解が達成された。混合物に炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(110mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で8時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPA:水(90:10 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた白色固体粉末を乾燥して、プロトンNMRによって求めて20mol%のPES及び80mol%のグリシジルを含む、150gの所望の生成物を得た。
【0091】
実施例18
[0094]この実施例は、水に対して部分溶解性である別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0092】
[0095]100gのE7020グレード(BASF)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(300mL)に、100℃で溶かした。混合物に炭酸カリウム(2g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(100mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で12時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPA:水(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた白色固体粉末を乾燥して、プロトンNMRによって求めて30mol%のPES及び70mol%のグリシジルを含む、150gの所望の生成物を得た。
【0093】
実施例19
[0096]この実施例は、本発明の実施形態によるさらに別のブロックコポリマーを製造する方法を例示する。
【0094】
[0097]100gの5400Pグレード(Sumitomo)のポリエーテルスルホンを、500mLのフラスコ中で、DMAc(230mL)に、100℃で溶かした。混合物に炭酸カリウム(1.5g)を加え、反応混合物を、30分間混合し、その後、グリシドール(100mL)を加えた。反応混合物を、一定の撹拌下に、100℃で12時間保った。反応混合物を、酢酸(20mL)の添加によってクエンチし、室温まで放冷した。反応混合物を、1.5LのIPA:水(80:20 v/v)にゆっくりと加えることによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターにより濾過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗った。得られた白色固体粉末を乾燥して、プロトンNMRによって求めて35mol%のPES及び65mol%のグリシジルを含む、140gの所望の生成物を得た。
【0095】
実施例20
[0098]この実施例は、本発明の実施形態によるブロックコポリマーの特性のいくつかを例示する。
【0096】
【表1】
【0097】
実施例21
[0099]この実施例は、本発明の実施形態による多孔質膜の製造を例示する。
【0098】
[0100]実施例1及び2で製造されたブロックコポリマー(PES−Pg)を、多孔質PES膜の製造において湿潤剤として用いた。この湿潤剤は、PESの6.9phrで用いた。膜キャスト溶液の組成は、PVP K−90を湿潤剤として用いたコントロール膜の組成と共に、下の表2に記載されている。キャスト溶液は、注記に示されているように、透明であった。
【0099】
【表2】
【0100】
[0101]膜キャスト溶液を、43℃のキャスト温度、75%の相対湿度、及び25℃の乾球で、蒸気に誘発される相分離法を用い、キャストした。配合の欠陥は観察されなかった。SumitomoのPESを用いた。
【0101】
[0102]物理的特性及びCWSTを、乾燥した膜で測定し、表3に記載する。膜の試料は、また、IPA抽出物についても試験した。47mmの直径の6枚のディスクを80℃で1時間乾燥し、IPAにより、3時間ソックスレー抽出し、その後、80℃で最終の1時間の乾燥サイクルを行った。抽出物%を計算した。CWSTを、IPA抽出の後、再び測定し、表3に記載する。
【0102】
【表3】
【0103】
実施例22
[0103]この実施例は、本発明の実施形態によるさらなる多孔質膜の製造を例示する。
【0104】
[0104]実施例2及び7において製造されたブロックコポリマー(PES−Pg)を、多孔質PES膜の製造において湿潤剤として用いた。この湿潤剤は、PESの6.9phrで用いた。膜キャスト溶液の組成は表4に記載されており、膜キャスト条件は表5に記載されている。
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
[0105]0.2μmの直径の多孔質膜が生成したが、それらは、膜の欠陥を全く有しておらず、コポリマーと主成分のPESとの相溶性を示していた。膜のいくつかの特性が表6に記載されている。ブロックコポリマー添加剤は、コントロール膜に比べて、本発明の膜のCWSTを増大させた。実施例2によるブロックコポリマーは、実施例7によるものより大きな分子量を有しており、CWSTの著しい増加を生じた。実施例2のブロックコポリマーを用いて製造された膜は、著しく大きな水流量を有していた。
【0108】
【表6】
【0109】
[0106]膜のSEM写真は、PES−Pg膜が、通常のPES膜多孔質構造(これは、膜の流れ、強度、及びフィルター寿命性能に必要である)を有することを示す。
図1Aは、実施例7のブロックコポリマーにより製造された膜の横断面のSEMを示し、
図1Bは、
図1Aの、より高倍率のSEMを示し、膜が、対称で、高度に相互連結した細孔構造を有していたことを示している。
【0110】
実施例23
[0107]この実施例は、本発明の実施形態による多孔質膜の製造に用いられる親水性ブロックコポリマーの量の関数としての、多孔質膜の細孔径を例示する。
【0111】
[0108]NMP溶液中、12.1%のポリエーテルスルホン樹脂、22.5%のt−アミルアルコール、及び次の1つ:0.3%、0.6%、1%、又は2%の親水性ブロックコポリマー、を含むキャスト溶液を製造した。この溶液を、マイラーシート又は織物基材支持体上に、薄いフィルムとして堆積させた。転相は、エアーギャップに基づいて開始した。風速は、ファンの速度を制御することによって、ギャップに渡って制御した。フィルムを非溶媒浴に浸漬することによって、転相を完了させ、その後、RO水ですすぎ洗いし、オーブンで乾燥した。得られた結果は、下に、表7に記載され、非常に低い濃度の親水性ブロックコポリマー、例えば0.3%で、大きなCWSTが得られることを示す。0.3%及び0.6%の濃度の親水性ブロックコポリマーで、得られた細孔径は10nmであった。
【0112】
【表7】
【0113】
実施例24
[0109]この実施例は、PPESK及びPES−ポリグリセロール(PES−Pg)のブレンドを湿潤剤として含む多孔質膜の製造を例示する。
【0114】
[0110]15wt%でPPESK樹脂、300phrで溶媒のNMP/DMAc(v/v)、10phrで実施例のPES−Pgを含むキャスト溶液を製造し、空気温度32℃、相対湿度72%で、28℃で15ミルの厚さのフィルムとしてキャストした。水浴温度を80℃に設定した。ドープを15秒間、環境チャンバに置き、室温で水に浸漬した。膜は、76ダイン/cmのCWSTを有していた。膜のモルホロジーを、SEMによって評価した。
図3Aは、本発明の実施形態による膜の横断面のSEM写真を示す。
図3Bは、
図3Aに示された写真の、より高倍率のSEM写真を示す。膜は、片面から片面へ、非対称な細孔構造分布を有していた。細孔は相互連結が少ないセル状であった。
【0115】
[0111]出版物、特許出願、及び特許を含めて、本明細書において挙げられた全ての参考文献は、これによって、あたかも各参考文献が、参照によって組み込まれると、個々に、明確に指摘され、またその全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照によって組み込まれる。
【0116】
[0112]用語「ある1つの(「a」及び「an」」及び「この」及び「少なくとも1つの」並びに本発明の記載に関連する類似の指示(特に、後の特許請求の範囲に関連して)は、本明細書において特に断らなければ、又は関連を考慮することよって明瞭に矛盾するのでなければ、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ又は複数の項目の列挙を従える用語「少なくとも1つの」(例えば、「少なくとも1つのA及びB」)の使用は、本明細書において特に断らなければ、又は関連を考慮することよって明瞭に矛盾するのでなければ、列挙された項目から選択される1つの項目(A又はB)、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む」、「有する」、「包含する」、及び「含有する」は、特に断らなければ、オープンエンドな用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書において特に断らなければ、その範囲内に入る別個の値の各々を個別に挙げることの速記法として使えることを意図しているにすぎず、別個の値の各々は、本明細書において個別に挙げられたかの如くに、本明細書に組み込まれる。本明細書において記載された方法は、本明細書において特に断らなければ、又は関連を考慮することよって明瞭に矛盾するのでなければ、適切な任意の順序で実施され得る。本明細書に記載された、いずれかの及び全ての例、又は例示の用語(例えば、「例えば」、「のような」)の使用は、単に、本発明をよりよく明らかにしようとするにすぎず、特に断らなければ、本発明の範囲を限定しない。本明細書における如何なる用語も、何らかの非請求要素(non−claimed element)を、本発明の実施にとって本質的であるとして指示していると解釈されるべきではない。
【0117】
[0113]本発明の好ましい実施形態が、本発明の実施にとって本発明者等に知られている最善の様式を含めて、本明細書に記載されている。好ましいこれらの実施形態の変形形態が、上記の記述を読むと、当業者には明らかとなり得る。本発明者等は、当業者が、このような変形形態を適切であるとして用いることを予期し、本発明者等は、本発明が、本明細書において具体的に記載されたものとは別の仕方で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許されているとして、本明細書に添付される特許請求の範囲において挙げられる主題の全ての改変及び同等のものを含む。さらに、上述した要素の、それらの全ての可能な変形形態における、任意の組合せは、本明細書において特に断らなければ、又は関連を考慮することよって明瞭に矛盾するのでなければ、本発明によって包含される。