(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137586
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ブッシュ材料およびその構成方法
(51)【国際特許分類】
B22F 5/00 20060101AFI20170522BHJP
B22F 3/11 20060101ALI20170522BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20170522BHJP
B22F 7/00 20060101ALI20170522BHJP
F16C 33/12 20060101ALI20170522BHJP
F16C 33/14 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
B22F5/00 C
B22F3/11 A
B22F3/16
B22F7/00 E
F16C33/12 B
F16C33/14 A
【請求項の数】12
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-542357(P2010-542357)
(86)(22)【出願日】2009年1月9日
(65)【公表番号】特表2011-510170(P2011-510170A)
(43)【公表日】2011年3月31日
(86)【国際出願番号】US2009030518
(87)【国際公開番号】WO2009089402
(87)【国際公開日】20090716
【審査請求日】2011年12月8日
【審判番号】不服2015-9261(P2015-9261/J1)
【審判請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】61/020,058
(32)【優先日】2008年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/350,364
(32)【優先日】2009年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599058372
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スターク,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サックストン,デイビッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】コニッツニー,エリック
【合議体】
【審判長】
鈴木 正紀
【審判官】
河野 一夫
【審判官】
板谷 一弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−285262(JP,A)
【文献】
特開2000−027851(JP,A)
【文献】
特開2003−194061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00 - 8/00
C22C 1/00 - 49/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2%〜10%の範囲の気孔率を有し、予め合金化されたCu−Sn−Bi粉末と不可避的不純物のみからなり、焼結されたCu−Sn−Bi合金層を備え、半分を超える気孔が分離され、互いに直接連絡せず、それによって前記気孔は互いに接続されていない、ブッシュ材料。
【請求項2】
前記合金層に付けられた金属基材層をさらに備えた、請求項1に記載のブッシュ材料。
【請求項3】
前記合金は、大きさの異なる個々の粒を備えている、請求項1に記載のブッシュ材料。
【請求項4】
金属基材層を提供する工程と、
基材層上にCu−Sn−Biの予め合金化された粉末材料層を広げる工程と、
第1の焼結工程において粉末材料層を焼結する工程と、
焼結された粉末材料層を圧縮する工程と、
第2の焼結工程において、圧縮された材料層を焼結して2%〜10%の範囲の気孔を含み予め合金化されたCu−Sn−Bi粉末と不可避的不純物のみからなり、半分を超える気孔が分離され、互いに直接連絡せず、それによって前記気孔は互いに接続されていない、焼結されたCu−Sn−Bi合金粉末材料層を提供する工程とを備えた、ブッシュ材料の構成方法。
【請求項5】
第1の焼結工程は、粉末材料層を予め圧縮することなく実施される、請求項4の方法。
【請求項6】
さらに、第2の焼結工程完了時に半分を超える気孔が分離され、互いに直接連絡しないことにより、気孔は互いに接続されないようにする、請求項4の方法。
【請求項7】
第2の焼結工程は、焼結されたCu−Sn−Bi合金材料層を提供するための最終処理工程である、請求項4の方法。
【請求項8】
第1の焼結工程において予め合金化されたCu−Sn−Biと不可避的不純物のみからなる合金粉末材料層を焼結する工程と、
焼結された合金材料層を圧縮する工程と、
第2の焼結工程において、圧縮された材料層を焼結する工程とを備え、得られた焼結材料層は2%〜10%の範囲の気孔率を有し、半分を超える気孔が互いに接続されていない、ブッシュ材料の構成方法。
【請求項9】
金属基材層を提供する工程と、基材層上に合金粉末材料を広げる工程とを第1の焼結工程よりも前にさらに備えた、請求項8の方法。
【請求項10】
第2の焼結工程は、焼結材料層を提供するための最終処理工程である、請求項8の方法。
【請求項11】
第1の焼結工程は、粉末材料層を予め圧縮することなく実施される、請求項8の方法。
【請求項12】
異なった粒子の大きさを有する、焼結された合金材料層を提供する工程をさらに含む、請求項8の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により組み込まれる2008年1月9日付け出願の米国仮出願No.61/020,058の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は一般に滑り軸受材料に関し、より特定的には金属基材に固定された合金を有する滑り軸受材料およびその構成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
従来の滑り軸受およびブッシュは2つの基本的なカテゴリーに分けられることが知られている。比較的柔らかい軸受材料が鋼の硬い基材に固定された本質的に十分に緻密な製品と、焼結された青銅合金粉末からなり、油を吸収し、あるいはPTFEのような他の材料を包含するように開口し高度に連結した空孔構造を有する高度にポーラスな製品とである。
【0004】
高度に連結した空孔を有する高い気孔率の軸受は必ずしも好ましいとは限らない。というのは、このような軸受は、ある環境では吸収性が高すぎるからである。開口し互いに連結したポーラスな構造は、青銅粒子の大きさを注意深く制御することにより得られる。焼結した粒子の間の互いに連結した内部空間が最大となるように、この粒子は理想的には同じ大きさである。単一の大きさの青銅粒子を用いることはコストが高い。これは、1回に製造される粒子の比較的小さい割合が、本質的に同じ大きさになるからである。より小さい粒子を含むことは、それらが隙間に移動し、互いに接続された気孔のレベルを低減するため好ましい。
【0005】
また、本質的に鉛を含まない焼結された粉末金属の軸受材料が知られている。鉛に代えて所定量のビスマスを含む青銅合金の軸受がこれに含まれる。このような材料は、米国特許6,746,154から知ることができる。これらの軸受は、鋼の基材上に予め合金化されたCuSnBi粉末を広げ、その材料を圧延圧縮し、圧縮された材料を焼結し、その後第2の圧延および焼結工程を実施することにより、本質的にポーラスフリーな(すなわち気孔率が1%未満の)材料を得ることができる。これらの材料は、材料の緻密化を最大化するために、単一の大きさの粒子から作製されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
滑り軸受(またはブッシュ)は、2%〜約10%の範囲の気孔率を有するCu−Sn−Bi合金を備えている。少なくとも半分を超える気孔が互いに接続されていない。換言すれば、当該材料はCu−Sn−Bi合金としては比較的高い気孔率を示す一方、気孔は従来の青銅ブッシュのようには互いに接続されておらず、むしろ気孔がポケットとして機能するように分離しており、開口する気孔がネットワークとなるように繋がっていない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のこれらの、および他の局面、特徴および利点は、以下の好ましい実施の形態および最良の形態の詳細な説明、添えられた請求の範囲および添付の図面を考慮して、当業者にとって容易に明らかとなるであろう。
【
図1】本発明の一の局面にしたがって構成された軸受材料の概略部分側面断面図である。
【
図2】
図1の軸受材料を構成するための本発明の他の局面に従ったプロセスの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施の形態の詳細な説明
図面を詳細に参照して、
図1は、以下軸受10と称する滑り軸受材料を示しており、軸受10は、本発明の好ましい一の局面に従って構成されている。軸受10は、鋼であり得る金属基材層12と、Cu−Sn−Bi合金材料の滑り合金粉末層14とを含んでいる。本発明に従って、滑り層14は、実質的に互いに結合しない気孔16を有している。そのため、焼結合金層14内の大多数の気孔16は、互いに間隔を有し、それらは分離され互いに連絡せず、それによって吸収性が高くなりすぎることが避けられている。
【0009】
本発明に従ってこのように制御され、接続されない気孔の合金化された粉末の軸受層14の製造方法は、
図2に概略的に示される。従来の合金化された軸受層の形成方法とは異なり、本発明の方法では、上記背景において説明したように焼結された青銅の油含有軸受のような従来の、コストの高い、単一の大きさの粒子を選択するものではなく、合金化された滑り軸受材料層14が加工される。具体的には、Cu−Sn−Bi粉末が予め合金化された粉末として採用され、このとき粉末混合物の粒子の個々の大きさは異なっており、そのため製造において経済的である。粉末層14は、鋼基材帯層12上に広げられ、第1の焼結段階において焼結部24にて焼結される。そのため、当該焼結工程は、粉末層14の第1の圧縮無しで実施され、その結果、滑り軸受の合金化材料層の公知の構成方法に比較して、背景で説明した工程を廃止し、この段階における材料の低い相対的圧縮と硬度とに寄与する。当該第1の焼結段階に続いて、そしてまだ熱い間に、背景で上述したような十分に緻密なCu−Sn−Bi軸受に比べて低減された荷重の下で、材料は圧縮部28にて圧延され、それによって、この段階において焼結された材料のより低い相対的な圧縮および硬度が得られる。当該材料は、次に、第2の焼結段階において焼結部30にて再度焼結される。第2の焼結工程が完了すると、軸受材料10はさらなる圧縮無しに使用することができる。
【0010】
驚いたことに、出願人は、予め合金化されたCu−Sn−Bi粉末の粒子の大きさの標準的な混合物は、圧延工程を調整し、焼結工程すなわち第2の焼結よりも後の工程を廃止することにより、比較的気孔率が高く互いに接続した気孔の割合が低いCu−Sn−Bi軸受層の作製に使用可能であることを見出した。合金軸受材料層14は、当該層全体の体積の約2%〜約10%の気孔率であり、半分を超える、つまり50%を超える気孔が互いに結合していないという好ましい特性を有している。合金軸受材料層14は、個々の気孔16内に油を保持し、それらの気孔は、連絡路によって互いに接続されない状態のように、互いに直接連絡しない状態が維持され、互いに接続された気孔を有する従来の焼結青銅軸受のようにはそれを吸収しない。
【0011】
圧縮とその結果得られる互いに接続されない多孔質構造16とは、圧延の速度に影響を受け得るものであって、ラインの速度を下げると好ましい高い気孔率と気孔の低い接続率とが得られることがさらに見出された。
【0012】
このような軸受材料は、鋼の基材に付けられ、油が含まれる環境下において滑り軸受またはブッシュの軸受材料としての役割を果たす。
【0013】
ビスマスの存在は、油が枯渇する運転環境が発生した場合における更なる潤滑という有益な効果を有し、軸受に準備される油がどれほど少くてもそれを補う。
【0014】
明らかに、本発明の多くの改良と変形が上記教示によって可能である。したがって、添付の請求の範囲の範囲内において、本発明は特定的に説明された態様以外の態様でも実施できることが理解されるであろう。