(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137592
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】プリンタヘッド制御装置、プリンタ装置及びヘッドクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/32 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-216452(P2012-216452)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69393(P2014-69393A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一明
(72)【発明者】
【氏名】角館 学
【審査官】
大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−313658(JP,A)
【文献】
特開2004−167751(JP,A)
【文献】
特開2009−269394(JP,A)
【文献】
特開2013−025518(JP,A)
【文献】
特開2013−075500(JP,A)
【文献】
特開2008−246905(JP,A)
【文献】
特開2003−341120(JP,A)
【文献】
特開平10−000839(JP,A)
【文献】
特開平11−058901(JP,A)
【文献】
特開平10−100454(JP,A)
【文献】
特開2007−230206(JP,A)
【文献】
特開平10−058721(JP,A)
【文献】
特開平01−178466(JP,A)
【文献】
特開2006−192644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32
B41J 2/35
B41J 17/00
B41J 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンローラとの間にインクリボンと用紙とを挟み、該インクリボンへ熱エネルギーを供給して該用紙へ印刷するサーマルヘッドに駆動電流を供給するヘッド駆動部と、
前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに対して昇降させる昇降部と、
前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値に基づき、前記サーマルヘッドのクリーニング用の上昇を実行させる駆動制御部と、を具備し、
前記駆動制御部は、前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値が、予め設定した設定値を越えた場合に、
全ページの印刷終了後に、前記サーマルヘッドの上昇、または、ダミー印刷を含むオートクリーニングを行なうとともに、
全ページの印刷終了前に、装置温度値又はヘッド温度値又はこれら両方の温度値が所定の値を越えている場合に、前記サーマルヘッドの上昇により背面剤溜まりを除去した後、次のページの印刷を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より高い場合、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われなかったことを条件にダミー印刷を含むオートクリーニングを実行し、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われたことを条件に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より低い場合、前記ダミー印刷を含むオートクリーニングを行う
ことを特徴とするプリンタヘッド制御装置。
【請求項2】
前記熱エネルギーは、印刷データに含まれる濃淡を示す階調データに基づき算出されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド制御装置。
【請求項3】
前記熱エネルギーは、前記サーマルヘッドに対する前記インクリボンの送り量に基づき算出されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド制御装置。
【請求項4】
前記熱エネルギーは、印刷された用紙の枚数に基づき算出されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド制御装置。
【請求項5】
前記熱エネルギーは、印刷時間に基づき算出されることを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド制御装置。
【請求項6】
前記駆動制御部は、印刷終了時に測定した装置温度値および又はヘッド温度値又はこれら両方の温度値に基づき、オートクリーニングを行うことを特徴とする請求項1に記載のプリンタヘッド制御装置。
【請求項7】
プラテンローラとの間にインクリボンと用紙とを挟み、該インクリボンへ熱エネルギーを供給して該用紙へ印刷するサーマルヘッドを有するプリンタ装置であって、
サーマルヘッドに駆動電流を供給するヘッド駆動部と、
前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに対して昇降する昇降部と、
前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値に基づき、前記サーマルヘッドのクリーニング用の上昇を実行させる駆動制御部と、を有するプンタヘッド制御装置とを有し、
前記駆動制御部は、前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値が、予め設定した設定値を越えた場合に、
全ページの印刷終了後に、クリーニングを行なうとともに、
全ページの印刷終了前に、装置温度値又はヘッド温度値又はこれら両方の温度値が所定の値を越えている場合に、前記サーマルヘッドの上昇により背面剤溜まりを除去した後、次のページの印刷を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より高い場合、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われなかったことを条件にダミー印刷を含むオートクリーニングを実行し、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われたことを条件に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より低い場合、前記ダミー印刷を含むオートクリーニングを行う
ことを特徴とするプリンタ装置。
【請求項8】
前記サーマルヘッドは、前記用紙の送り経路に沿って配置された複数のヘッド部からなり、
前記インクリボンは、イエロー用、マゼンタ用、シアン用及びオーバープリント用のインクリボンからなり、
これら各インクリボンが前記ヘッド部にそれぞれ供給されることを特徴とする請求項7に記載のプリンタ装置。
【請求項9】
プラテンローラとの間にインクリボンと用紙とを挟み、該インクリボンへ熱エネルギーを供給して該用紙へ印刷するサーマルヘッドから、前記インクリボンに供給した熱エネルギー量を計算し、該熱エネルギー量の積算値に基づき、前記サーマルヘッドをクリーニングするために上昇させる方法であって、
前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値が、予め設定した設定値を越えた場合に、
全ページの印刷終了後に、クリーニングを行なうとともに、
全ページの印刷終了前に、装置温度値又はヘッド温度値又はこれら両方の温度値が所定の値を越えている場合に、前記サーマルヘッドの上昇により背面剤溜まりを除去した後、次のページの印刷を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より高い場合、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われなかったことを条件にダミー印刷を含むオートクリーニングを実行し、全ページの印刷終了前に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去が行われたことを条件に前記サーマルヘッドの上昇による背面剤溜まりの除去を行い、
前記全ページの印刷終了後、装置温度が所定値より低い場合、前記ダミー印刷を含むオートクリーニングを行う
ことを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタヘッド制御装置、プリンタ装置及びヘッドクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー昇華型プリンタとしては、特許文献1に示される技術が知られている。
この特許文献1に示されるフルカラー昇華型プリンタでは、
図9に示すように、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びオーバープリント(OP)の順で並んだインクリボン50を用いて、印刷処理を行っている。
【0003】
ここで、上記インクリボン50を用いた「イエロー印刷からマゼンタ印刷まで」の動作について
図10〜
図15を参照して説明する。なお、以下の図面において、符号51はサーマルヘッド、符号52はプラテンローラ、符号Pは用紙を示している。
まず、
図10に示すようにサーマルヘッド51を降下させて、該サーマルヘッド51とプラテンローラ52との間に、用紙Pの前端部と、インクリボン50のY(イエロー)の前端部とを一致させた状態で位置させる。
その後、
図11に示すようにプラテンローラ52の駆動により、用紙P上にイエロー印刷を行う。
【0004】
その後、
図12に示すようにサーマルヘッド51を上昇させて、インクリボン50の弛み分を巻き取った後、
図13に示すように、用紙Pを後退させて、サーマルヘッド51とプラテンローラ52との間に、該用紙Pの前端部と、インクリボン50M(マゼンタ)の前端部を一致させた状態で位置させる。
その後、
図14に示すようにサーマルヘッド51を降下させた後、
図15に示すようにプラテンローラ52を駆動して、用紙P上にマゼンタ印刷を行う。
【0005】
なお、上記動作は、「イエロー印刷からマゼンタ印刷まで」であるが、それ以降のシアン及びオーバープリントについても、同様の処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−144693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のようなフルカラー昇華型プリンタで使用されるインクリボン50は、背面にサーマルヘッド51との滑性を良くする背面剤が塗布されているが、印刷を続けるうちに、インクリボン50から剥がれた背面剤がサーマルヘッド51に溜まってしまうという問題がある。ここで背面剤溜まりを符号Hで示す。
一方、
図9〜
図15に示されるように、用紙Pを戻すためにサーマルヘッド51を上昇させた場合、該サーマルヘッド51に溜まった背面剤溜まりHは、インクリボン50に貼り付く性質がある。このため、用紙戻し動作時にサーマルヘッド51を上昇させることで、背面剤溜まりHがインクリボン50に貼り付きサーマルヘッド51に溜ることを防止できるようになっている。
しかしながら、場合によっては、背面剤溜まりHがサーマルヘッド51に残留することもあり、これが原因で、傷や、ボイド(白抜け)といった印画不良が発生する。そして、このような不具合を防止するためにオートクリーニングを行えば良いのだが、クリーニングを頻繁に行っていたのでは、印刷処理の効率が悪くなるという問題がある。
【0008】
現行機は、連続で大量枚数印刷したときに、インクリボン50の背面剤溜まりHがサーマルヘッド51に大量に溜まることを考慮されていない構造になっている。その結果、サーマルヘッド51に溜まった背面剤溜まりHが自らの重みや何らかの衝撃により装置内のサーマルヘッド51やインクリボン50、用紙P上に落ちることでキズやボイド、印刷不良が発生するという問題がある。
【0009】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、効率的な印刷処理を実行することができ、かつ良好な印刷品質を確保し得る、プリンタヘッド制御装置、プリンタ装置及びヘッドクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プラテンローラとの間にインクリボンと用紙とを挟み、該インクリボンへ熱エネルギーを供給して該用紙へ印刷するサーマルヘッドに駆動電流を供給するヘッド駆動部と、前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに対して昇降させる昇降部と、前記サーマルヘッドから前記インクリボンに供給した熱エネルギー量の積算値に基づき、前記サーマルヘッドのクリーニング用の上昇を実行させる駆動制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オートクリーニングのタイミングを明確に定めることができ、その結果、効率的な印刷処理を行うことができ、かつ良好な印刷品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るプリンタヘッド制御装置の概略構成図である。
【
図2】
図1とは異なるプリンタ装置に適用したプリンタヘッド制御装置を示す概略構成図である。
【
図3】
図2に示されるプリンタ装置による印画処理を示す説明図である。
【
図8】本発明に係るプリンタヘッド制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【
図9】従来のプリンタ装置に使用されるインクリボンを示す図である。
【
図10】従来のプリンタ装置による印画処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るプリンタヘッド制御装置、及びプリンタヘッド制御装置を具備するプリンタ装置の実施形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。
【0014】
図1はプリンタヘッド制御装置1の概略構成を示す図であって、ヘッド駆動部10と、昇降部11と、駆動制御部12とを主な構成要素とし、プラテンローラ2、インクリボン3、サーマルヘッド4により構成されるプリンタ機構部の駆動を制御する。
ここで、ヘッド駆動部10は、プラテンローラ2との間にインクリボン3と用紙Pとを挟み、該インクリボン3へ熱エネルギーを供給して該用紙Pへ印刷するサーマルヘッド4に駆動電流を供給する。
昇降部11は、サーマルヘッド4をプラテンローラ2に対して昇降させるものである。また、駆動制御部12は、サーマルヘッド4からインクリボン3に供給した熱エネルギー量(後述する)の積算値に基づき、サーマルヘッド4のクリーニング用の上昇を実行させるものである。
【0015】
図1に示されるプリンタヘッド制御装置1は、
図10〜
図15で示したY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びオーバープリント(OP)の順で並んだインクリボン50を用いたプリンタ装置(
図9〜
図15参照)にも適用されるが、本例では、
図2に示されるプリンタ装置100に適用されるものとする。
【0016】
図2に示される本例のプリンタ装置100は、用紙Pの送り経路に沿って複数のヘッド部5〜8からなるサーマルヘッド4を有し、これらヘッド部5〜8に、各色のインクリボン3が供給されるプリンタ機構部20を有している。
インクリボン3は、Y(イエロー)用、M(マゼンタ)用、C(シアン)用及びオーバープリント(OP)用のインクリボン(符号Y,M,C,OPで示す)からなり、各インクリボン3がヘッド部5〜8にそれぞれ供給される。
そして、
図2に示されるように、このプリンタ装置100のプリンタ機構部20には、前述したヘッド駆動部10と、昇降部11と、駆動制御部12とを具備するプリンタヘッド制御装置1が設置される。
【0017】
次に、プリンタ装置100のプリンタ機構部20の動作について
図3〜
図7を参照して説明する。
【0018】
まず、
図3に示すように1枚目の用紙P1が供給されると、ヘッド部5が降下し、イエロー用のインクリボン3(Y)により1枚目の用紙P1にイエロー印刷が行われる。
【0019】
次に、
図4に示すように、ヘッド部6が降下し、マゼンタ用のインクリボン3(M)により、イエロー印刷が行われた1枚目の用紙P1に、マゼンタ印刷が行われる。
【0020】
次に、
図5に示すように、ヘッド部7が降下し、シアン用のインクリボン3(C)により、マゼンタ印刷が行われた1枚目の用紙P1に、マゼンタ印刷が行われる。これと同時に、イエロー用のインクリボン3(Y)により2枚目の用紙P2にイエロー印刷が行われる。
【0021】
次に、
図6に示すように、ヘッド部8が降下し、オーバープリント用のインクリボン3(OP)により、シアン印刷が行われた1枚目の用紙P1に、オーバープリント印刷が行われる。これと同時に、イエロー用のインクリボン3(Y)により3枚目の用紙P3にイエロー印刷が行われ、マゼンタ用のインクリボン3(M)により2枚目の用紙P2にマゼンタ印刷が行われる。
【0022】
その後、
図7に示すように、1枚目の用紙P1のオーバープリント印刷が終了すると、イエロー用のインクリボン3(Y)により4枚目の用紙P4にイエロー印刷が行われる。これと同時に、マゼンタ用のインクリボン3(M)により3枚目の用紙P3にマゼンタ印刷が行われ、シアン用のインクリボン3(C)により2枚目の用紙P2にシアン印刷が行われる。
以上のような工程を繰り返し行うことで、用紙Pを逆走させずかつサーマルヘッド4を上昇させることなく、多数枚の用紙Pへの連続かつ高速印刷が可能となる。
【0023】
ところで、上記
図2〜
図7に示されるような、用紙Pの送り経路に沿って複数のヘッド部5〜8が一列に配置される本例のプリンタ装置100では、
図10〜
図15に示されるようなサーマルヘッド4の昇降が行われない。
このため、該プリンタ装置100では、連続で大量枚数を印刷すると、サーマルヘッド4に背面剤溜まりHが大量に生じ、印刷不良が発生する恐れがあり、これを防止するために、プリンタヘッド制御装置1の駆動制御部12において、以下の
図8に示す制御フローのステップ(SP)を実行する。
なお、以下の制御フローにおいて、プリンタ装置100内で温度測定が行われるが、この温度測定は、装置内温度センサ30と、サーマルヘッド温度センサ31によって行う。装置内温度センサ30は、プリンタ装置100のプリンタ機構部20内に配置されており、プリンタ機構部20内の空気温度を測定する。また、サーマルヘッド温度センサ31は、サーマルヘッド4のヘッド部5〜8にそれぞれ配置されたものであって(
図2ではヘッド部5のみ記載)、各ヘッド部5〜8の温度を直接測定する。
【0024】
(ステップ1)
印刷開始が実行されると、まず、「サーマルヘッドアップ動作実行フラグ」がONになっているか否かを確認し、YESの場合にステップ2に進み、NOの場合にステップ10に進む。なお、この「サーマルヘッドアップ動作実行フラグ」は、サーマルヘッド4からインクリボン2に供給した熱エネルギー量の積算値が予め定めた設定値を越えた場合にONとされる(前回の印刷時のステップ14でONとなる)。詳細は以下のステップ13〜14にて後述する。
【0025】
(ステップ2)
装置内温度センサ30及びサーマルヘッド温度センサ31の現在の測定温度に基づき、これら温度が予め定めた閾値を越えているか否かを判断し、YESの場合にステップ3に進み、NOの場合にステップ4に進む。
なお、これら温度に基づく判定は、装置内温度センサ30及びサーマルヘッド温度センサ31のいずれかの測定温度を用いても良いし、両方の測定温度を用いても良い。また、閾値はそれぞれのセンサ30、31の測定値に対して個別に設定し、いずれかの測定値が1つでも閾値を越えた場合に、YESとする判定を行う。
ここで設定される閾値は、背面剤溜まりHが溶けてインクリボン3に張付き易い温度であり、サーマルヘッド4の上昇だけで、該背面剤溜まりHの除去が可能と判断する基準となる温度である。また、この閾値未満の測定温度であると、背面剤溜まりHは固化し、サーマルヘッド4に溜まった状態にあり、ダミー印刷を含むサーマルヘッド4のオートクリーニングが必要となると判断される。
【0026】
(ステップ3)
昇降部11に対して制御信号を出力し、サーマルヘッド4をプラテンローラ2から上昇させるように動作させ、これによって背面剤溜まりHの除去を行う。
【0027】
(ステップ4)
サーマルヘッド4のオートクリーニングを実行するための「オートクリーニングフラグ」をONとする。なお、この「オートクリーニングフラグ」は後述するステップ21でオートクリーニングを実行するためのフラグである。
【0028】
(ステップ5)
「サーマルヘッドアップ動作実行フラグ」をOFFとして、ステップ10に進む。
なお、「サーマルヘッドアップ動作実行フラグ」はイエロー、マゼンタ、シアン全ての印刷にてセットするが、本プリンタ装置100は必ずイエローから印刷が開始されるため、印刷を停止させるにはイエローの印刷処理に印刷を継続するか、サーマルヘッドアップ動作を実行するかの判断を行う必要がある。
【0029】
(ステップ10〜11)
次に印刷する1ライン分の印画データをメモリ上に展開し(ステップ10)、展開した1ライン分のデータからサーマルヘッド4のヘッド部5〜8の印加に必要な全熱エネルギー量を算出する(ステップ11)。ここで、展開した1ライン分のデータには、濃淡を示す階調データが付随されており、印加に必要な階調データは0〜255で示されている。1ライン中の熱エネルギー量は1ライン中の階調データの合計数で判断することができる。
【0030】
(ステップ12)
インクリボン3の背面剤溜まりHは1ラインだけではできないため、ステップ11で算出した印画データに基づく熱エネルギー量と、印刷開始からの履歴データとに基づき、印刷開始から現在のラインまで印加に使用した熱エネルギー量をカウントして積算する。
【0031】
(ステップ13)
ステップ12で積算した熱エネルギー量が、予め設定した基準閾値を越えたか否かを判断し、YESの場合にステップ14に進み、NOの場合にステップ15に進む。
なお、この基準閾値は、背面剤溜まりHがサーマルヘッド4に残留して、除去が必要となる熱エネルギー量である。
【0032】
(ステップ14)
ステップ12で積算した熱エネルギー量が予め設定した閾値を越え、背面剤溜まりHの除去が必要であることを示す「サーマルヘッドアップ動作実行フラグ」をONにする。ここで、セットしたフラグは次のページの印刷開始時に、ステップ1でチェックされ、フラグON時に印刷を停止してサーマルヘッドアップ動作を実行することになる。
【0033】
(ステップ15)
ステップ10で展開した印画データをサーマルヘッド4に転送し、かつヘッド駆動部10によりサーマルヘッド4のヘッド部5〜8を駆動制御して、該印画データを用紙Pに印画する。
【0034】
(ステップ16)
用紙1ページ分の印刷が完了したか否かを判断し、YESの場合にステップ17に進み、NOの場合にステップ10に進む。
なお、ステップ13において、ステップ12で積算した熱エネルギー量が予め設定した閾値を越えたと判断した場合、直ぐにサーマルヘッドアップ動作を行うべきだが、印刷の途中にサーマルヘッドアップ動作を行うと、印刷結果の途中に線が入るなどの印刷品位障害が発生するため、1枚分の印刷が完了するまで印刷処理を継続する必要がある。
【0035】
(ステップ17)
全ページ分の印刷が完了したか否かを判断し、YESの場合にステップ18に進み、NOの場合にステップ1に進む。
【0036】
(ステップ18)
全ページ分の印刷が完了したならば、装置内温度センサ30及びサーマルヘッド温度センサ31の現在の測定温度に基づき、これら温度が予め定めた閾値を越えているか否かを判断し、YESの場合にステップ19に進み、NOの場合にステップ22に進む。なお、このステップ18はステップ2と同じ処理内容である。
【0037】
(ステップ19)
「オートクリーニングフラグ」がONになっているか否かを確認し、NOの場合にステップ20に進み、YESの場合にステップ21に進む。なお、この「オートクリーニングフラグ」はステップ4でONとされるフラグである。
【0038】
(ステップ20)
昇降部11に対して制御信号を出力し、サーマルヘッド4をプラテンローラ2から上昇させるように動作させ、これによって背面剤溜まりHの除去を行う。
【0039】
(ステップ21)
昇降部11に対して制御信号を出力し、サーマルヘッド4をプラテンローラ2から上昇するように動作させた後、ダミー印刷を含むサーマルヘッド4のオートクリーニングを実行し、これよって背面剤溜まりHの除去を行う。
なお、背面剤除去用のダミー印刷とは、ダストボックスに入る程度の10mm程度の長さの印刷であり、サーマルヘッドアップ動作と交互に行なうことで実行する。また、オートクリーニングとは、ダミー印刷で取り切れなかった背面剤溜まりHの除去を数回繰り返す処理である。
【0040】
(ステップ22)
ヘッド駆動部10及び昇降部11に対して制御信号を出力して、ダミー印刷を含むサーマルヘッド4のオートクリーニングを実行し、これによって背面剤溜まりHの除去を行う。なお、このステップ22はステップ21と同じ処理内容である。
【0041】
以上詳細に説明したように本実施形態に示されるプリンタヘッド制御装置1及びこのプリンタヘッド制御装置1を組み込んだプリンタ装置100では、サーマルヘッド4からインクリボン3に供給した熱エネルギー量の積算値が、予め設定した基準閾値を越えたか否かを判定し(ステップ13〜14)、その判定結果に基づき、次回の印刷開始時にクリーニングを実行するようにした(ステップ2〜5、19〜22)。すなわち、本実施形態では、サーマルヘッド4からインクリボン3に供給した熱エネルギー量の積算値を、オートクリーニングを最適に実行する際の判定に使用することで、オートクリーニングのタイミングを明確に定めることができ、その結果、効率的な印刷処理を行うことができる。また、背面剤溜まりHによる印刷不良を防止でき、良好な印刷品質を確保することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、ステップ13にて印画データに含まれる濃淡を示す階調データに基づき熱エネルギー量に基づきオートクリーニングを実行するか否かを判定したが、この熱エネルギーは印画データに基づくものではなく、以下のように算出しても良い。
例えば、熱エネルギーは、サーマルヘッド4に対するインクリボン3の送り量に基づき算出しても良く、印刷された用紙Pの枚数に基づき算出しても良く、印刷時間に基づき算出しても良く、様々なデータ又はこれらデータの組み合わせにより構成しても良い。
【0043】
また、プリンタヘッド制御装置1は、プラテンローラ2との間にインクリボン3と用紙Pとを挟み、該インクリボン3へ熱エネルギーを供給して該用紙Pへ印刷するサーマルヘッド4から、インクリボン3に供給した熱エネルギー量を計算し、該熱エネルギー量の積算値に基づき、サーマルヘッド4をクリーニングするために上昇させる「ヘッドクリーニング方法」が適用されたものである。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 プリンタヘッド制御装置
2 プラテンローラ
3 インクリボン
4 サーマルヘッド
5 ヘッド部
6 ヘッド部
7 ヘッド部
8 ヘッド部
10 ヘッド駆動部
11 昇降部
12 駆動制御部
20 プリンタ機構部
30 装置内温度センサ
31 サーマルヘッド温度センサ
100 プリンタ装置