特許第6137598号(P6137598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137598
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】偏光子および偏光子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   G02B5/30
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-14202(P2013-14202)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2013-218294(P2013-218294A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/425,865
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501218636
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マーク アラン デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】バーン バンガーター
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル アール.ラーセン
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−248284(JP,A)
【文献】 特表2003−502708(JP,A)
【文献】 特開2013−020182(JP,A)
【文献】 特開2013−225088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子であって、
(a)端部で境を隔てられた第1の表面を有する基板と、
(b)前記基板の前記第1の表面の大部分の上に設けられた、平行且つ細長い複数のリブのアレイと、
(c)標準領域とリブ修正領域とを有する前記リブのアレイと、
(d)標準的な特性を持つ複数のリブを含み、入射光を偏光するよう構成されている前記標準領域と、
(e)(i)前記端部と前記標準領域の少なくとも一部分との間に、前記基板の前記端部の少なくとも一部沿いに設けられ、(ii)前記リブ修正領域の毛細作用が前記標準領域の毛細作用より実質的に小さくなるように、前記標準的な特性とは異なる特性を有するように修正された複数の修正リブを含む前記リブ修正領域と
(f)前記リブ修正領域と前記標準領域との間に推移領域と
を備え、
前記推移領域における複数のリブは、前記リブ修正領域と前記標準領域との間の過渡的特性を有する、偏光子。
【請求項2】
前記リブ修正領域は、互いに溶合された隣接するリブを含む、請求項1に記載の偏光子。
【請求項3】
(a)前記リブ修正領域の複数のリブと前記標準領域の複数のリブは、(i)前記基板に形成されて、前記基板から延びる複数の基板リブと、(ii)前記複数の基板リブの上に設けられた複数の金属線と分割された複数の誘電リブとを含み、
(b)前記標準領域の複数の金属線は、隣接する基板リブの上に設けられた隣接する線同士が物理的に分離されている複数の分離した線を含み、
(c)前記リブ修正領域の複数の金属線は、互いに溶合された隣接する複数の金属線を含む、請求項1に記載の偏光子。
【請求項4】
(a)前記標準領域の複数のリブは、複数の金属線、複数の誘電リブ、またはこれらの組み合わせを、複数の基板リブの上に含み、
(b)前記リブ修正領域の複数のリブは、側面および上面に他のリブ材料が実質的に存在しない複数の基板リブを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の偏光子。
【請求項5】
(a)前記リブ修正領域の偏光コントラストは10未満であり、前記標準領域の偏光コントラストは40を超えており、
(b)コントラストは、所望の偏光透過率(T)を望ましくない偏光透過率(T)で除算して得られる値として定義される、請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光子。
【請求項6】
(a)前記標準領域の複数のリブ間の間隙は空気を含み、前記間隙には実質的にポリマーが含まれておらず、
(b)前記リブ修正領域の複数のリブ間の間隙はポリマーを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の偏光子。
【請求項7】
偏光子の製造方法であって、
基板の表面の実質的な部分の上に、平行且つ細長い複数のリブのアレイを含む偏光子を提供する段階と、
前記基板を切断せずに前記複数のリブの金属部分を溶融することにより、または、除去を行いリブ無し領域を形成することにより、前記基板の端部の少なくとも一部に沿って前記複数のリブを修正し、修正領域の毛細作用が標準領域の毛細作用より実質的に小さくなるように、前記標準領域とは異なる特性を有する前記修正領域を形成する段階と
を備える、偏光子の製造方法。
【請求項8】
前記複数のリブを修正する段階は、前記修正領域と前記標準領域との間に推移領域を形成する段階を更に有し、
前記推移領域における複数のリブは、前記修正領域と前記標準領域との間の過渡的特性を有する、請求項7に記載の偏光子の製造方法。
【請求項9】
前記複数のリブを修正する段階が、熱エネルギーを使用する段階を有する、請求項7または8に記載の偏光子の製造方法。
【請求項10】
前記熱エネルギーを使用する段階がレーザを使用する段階を含む、請求項9に記載の偏光子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して偏光子に係る。
【背景技術】
【0002】
ワイヤグリッド偏光子をはじめとする偏光子は、通常、基板上に長細いリブを有している。通常、リブおよびリブ間の間隔は、入射光の波長より格段に短い。例えば、可視光用の偏光子のリブの幅、および、リブ間の間隔は、70ナノメートル程度である。しかし通常のリブの長さは、数ミリメートルまたは数センチメートルというように非常に長い。
【0003】
従ってこれら偏光子は、長く、幅の狭いチャネルを有する。流体は、毛細作用を利用してこれらチャネルへと運ばれる。流体は、偏光子の性能の実質的な劣化を引き起こす場合がある。流体は、通常、実は人間の手により運ばれる。処理中に、人間の手に普通に存在している脂が偏光子のチャネルに侵入して、偏光子の性能を劣化させうるのである。このほかにも、ホルダの端部沿いに流体が溜まることで(または、格納中に凝縮することで)、流体が侵入する場合もある。この凝縮物は、偏光子の性能を劣化させる可能性がある。脂、水、またはその他の流体が偏光子のチャネルに侵入しないように、偏光子の処理、固定、または格納を行うことができると好適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脂、水、またはその他の流体を偏光子のチャネルに進入させない、処理、格納、固定等が容易な偏光子を提供すると好適であると認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、有用性の向上を達成した偏光子を提供する。偏光子は、端部で境を隔てられた第1の表面を有する基板と、基板の第1の表面の大部分の上に設けられ、標準領域とリブ修正領域とに分けられる、平行且つ細長いリブのアレイとを含む。標準領域は、標準的な特性を有するリブを含んでよい。標準領域は、入射光を偏光するよう構成されている。リブ修正領域は、端部と標準領域の少なくとも一部分との間に、基板の端部の少なくとも一部沿いに設けられている。リブ修正領域は、標準的な特性とは異なる特性を有するように修正された修正リブを含む。
【0006】
本発明の別の実施形態は、有用性の向上を達成した偏光子の製造方法を提供する。製造方法は、基板の表面の実質的な部分の上に、平行且つ細長いリブのアレイを含む偏光子を提供する段階と、基板の端部の少なくとも一部に沿っているリブを修正する段階とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11aとを含む偏光子の平面概略図である。
図2】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11b−cとを含む偏光子の平面概略図である。
図3】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11dとを含む偏光子の平面概略図である。
図4】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11e−fとを含む偏光子の平面概略図である。
図5】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図である。
図6】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図である。
図7】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図である。
図8】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11と推移領域84とを含む偏光子の断面概略図である。
図9】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93、金属配線92、および、分割された誘電リブ94を含むリブを含み、リブ修正領域11は、基板リブ93、金属配線91、および、分割された誘電リブ94を含むリブを含む。
図10】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93、金属配線92、および、分割された誘電リブ94を含むリブを含み、リブ修正領域11は、基板リブ93、金属配線101、および、分割された誘電リブ94を含むリブを含む。
図11】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93および金属配線92を含むリブを含み、リブ修正領域11は、基板リブ93および金属配線101を含むリブを含む。
図12】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93および金属配線92を含むリブを含み、リブ修正領域11は、他のリブ材料を実質的に含まない上部面121および側面122を持つ基板リブ93を含むリブを含む。
図13】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93および誘電リブ94を含むリブを含み、リブ修正領域11は、他のリブ材料を実質的に含まない上部面121および側面122を持つ基板リブ93を含むリブを含む。
図14】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、基板リブ93、金属配線92、および、誘電リブ94を含むリブを含み、リブ修正領域11は、他のリブ材料を実質的に含まない上部面121および側面122を持つ基板リブ93を含むリブを含む。
図15】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、標準領域12は、実質的に矩形の断面形状を有するリブを含み、リブ修正領域11は、不規則な断面形状を有するリブを含む。
図16】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、リブ修正領域11においては、溶融したリブが隣接するリブと接着されて、基板から離れている状態を示す。
図17】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、リブ修正領域11においては、リブの間173に材料171が設けられている。
図18】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ修正領域11とを含む偏光子の断面概略図であり、リブ修正領域11においては、リブの間173とリブの上部181とに材料171が設けられている。
図19】本発明の一実施形態における偏光子の断面概略図であり、標準領域の手前にリブ修正領域が設けられている。
図20】本発明の一実施形態における、リブを修正する前の偏光子の断面概略図である。
図21】本発明の一実施形態における、標準領域12とリブ無し領域211とを含む偏光子の断面概略図であり、リブ無し領域211全体にわたりリブの全体リブ構造を除去したものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<定義>
本明細書において「リブ修正領域」という用語は、偏光子の、リブが修正されている領域のことを指す。修正方法の例には、隣接するリブ動詞を溶融する、リブの高さを低くする、リブの幅を広くする、リブの形状を変更する、一部のリブを除去する、リブ間に材料を設けることで、「リブ修正領域」のリブが、標準領域のリブと実質的に異なるようにする、などがある。本明細書において「リブ無し領域」という用語は、偏光子の、リブが実質的に除去された領域のことを指す。本明細書において「実質的に」という用語は、動作、特性、特徴、状態、構造、物品、または結果の程度が完全であるか、または略完全であることを意味している。例えば、物体が「実質的に」封じ込まれている、という記載は、物体が、完全に封じ込まれている、または略完全に封じ込まれていることを意味する。場合によっては、絶対的に完全なレベルから逸脱してよい許容範囲が、個々の具体例に応じて変化しうる。しかし、一般的にいうと、完全にどの程度近いかは、絶対的な完全のレベルが得られる場合と大体同じのレベルである。「実質的に」という表現は、動作、特性、特徴、状態、構造、物品、または結果の程度が完全に欠如している、または略完全に欠如している、という否定的な文脈でも同様に利用可能である。
【0009】
以下で図面に示される例示的な実施形態について説明を行うが、ここで利用される具体的な言語は、同じものを記載するために利用される。しかし、本発明の範囲は、意図されているものに限定はされない点を理解されたい。ここに例示する本発明の特性の変更例およびさらなる変形例、並びに、ここに例示する本発明の原理の追加的用途は、本開示を読んだ当業者であれば想到するものであり、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0010】
図1から図19に示すように、偏光子は、第1の表面54が端部13で境を隔てられた基板53を含み、基板53の第1の表面54の一部に、平行な細長いリブ51のアレイが設けられ、中央の標準領域12とリブ修正領域11とが含まれている。標準領域12は、標準的な特性を有するリブ51a−eを含み、入射光を偏光するよう構成されていてよい。標準領域のリブ51a−eは、基板の第1の面54の大部分をカバーしていてよい。標準領域12は、単一の分割されていない領域であってよい。
【0011】
リブ修正領域11は、端部13と標準領域12の少なくとも一部との間に、基板53の端部13の少なくとも一部に沿って設けられてよい。リブ修正領域11は、標準的な特性を修正された結果、異なる特性を有するリブ51g−rを含んでよい。
【0012】
リブ修正領域11の異なる特性によって、リブ修正領域11の毛細作用は、標準領域12の毛細作用より実質的に低いものとなる。例えばリブ修正領域11のリブ51g−rは、標準領域12のリブ51a−eよりも丸く、幅が広く、短くてよい。リブ修正領域11のリブ51g−rは、互いに溶合されたり、部分的に除去されたり、不規則な形状に形成されたりしてよい。リブ修正領域11のリブ51g−rは、リブ間に材料が設けられていてよい。これらの修正を施すことで、毛細作用が低下する。
【0013】
図1に示すように、偏光子10の端部13は、偏光子10の周囲の回りに4つの部分13a−dを含んでよい。各部分は、端部の2つの隅で隔てられた、端部13の実質的にまっすぐな部分であってよい。リブ修正領域11aは、端部13全体に沿ったものであってよく、または、偏光子10の周囲全体に沿ったものであってよい。別の実施形態では、リブ修正領域11は、例えば端部13の20%から60%の間といった、端部13の一部のみに設けられてもよい。別の実施形態では、リブ修正領域によって、基板の端部13の少なくとも50%から標準領域12が引き離されていてもよい。リブ修正領域11は、端部の単一の部分沿いに設けられてもよいし、端部の複数の部分沿いに設けられていてもよい。
【0014】
図2に示すように、偏光子20のリブ修正領域11は、偏光子20のそれぞれ反対側に位置する、端部13の2つの別の部分13aおよび13cに沿って延びる2つのリブ修正流域11b−cを含んでよい。2つの部分13aおよび13cは、標準領域のリブのアレイに垂直であってよい。
【0015】
リブ修正領域11は、一実施形態では少なくとも1マイクロメートルである距離De、別の実施形態では少なくとも10マイクロメートルである距離De、別の実施形態では少なくとも100マイクロメートルである距離De、別の実施形態では少なくとも1ミリメートルである距離De、または、別の実施形態では少なくとも5ミリメートルである距離De分だけ、端部13から実質的に端部に垂直な方向に延びていてよい。リブ修正領域は、別の実施形態では、端部に実質的に垂直な方向に、内部へと端部から1マイクロメートルから1ミリメートルの間の距離De分延びていてよい。この距離Deの長さは、偏光子の処理方法および偏光領域の有用な用途に応じて変化させることができる。
【0016】
図2では、偏光子20のそれぞれ反対側であって、端部13の2つの異なる部分13aおよび13c沿いに設けられた2つのリブ修正領域11b−cの距離Deが示されているが、この距離に関する上述した説明は、本明細書で記載するどの実施形態にも適用可能であることを理解されたい。例えばこの距離Deは、図1に示すような、リブ修正領域が偏光子10の端部13の周り全体に延びているような場合にも適用可能であるし、図3から図4に示すような、1つの端部の1つの部分の一部についてのみリブ修正領域が設けられている場合にも適用可能である。
【0017】
図3に示すように、偏光子30のリブ修正領域11は、端部13の部分13eの一部に対して設けられていてもよく、この部分は、端部の2つの隅の間の端部13の実質的にまっすぐな部分として定義される。リブ修正領域11は、一実施形態では、部分の少なくとも50%に相当してよく、
【数1】
別の実施形態では、部分の少なくとも70%に相当してよく、
【数2】
別の実施形態では部分の少なくとも90%に相当してよく、
【数3】
または、別の実施形態では部分の50%および90%の間に相当してよい。
【数4】
図4に示すように、偏光子40のリブ修正領域11e−fは、端部13の複数の部分の一部のみに沿って設けられてもよい。
【0018】
図1から図4に示すように、標準領域12は、基板53の第1の表面54のリブ修正領域11を実質的に超える領域をカバーしてもよい。標準領域12は、一実施形態では、基板53の第1の表面54のリブ修正領域11の少なくとも10倍の領域をカバーしてもよいし、別の実施形態では、基板53の第1の表面54のリブ修正領域11の少なくとも100倍の領域をカバーしてもよい。
【0019】
図1から図4に示すように、リブ修正領域11および標準領域12は、あわせると、基板53の第1の表面の実質的全体をカバーしてよい。または、基板53の第1の表面54に別の領域が存在してもよい。
【0020】
図5の偏光子50に示すように、異なる特性としてリブの高さが含まれてもよい。リブ修正領域11は、標準領域12のリブ51aより実質的に短いリブ51gを有している(h1<h2)。一実施形態では、リブ修正領域11の全てのリブ51gは、標準領域12の全てのリブ51aより短くてよく、
【数5】
または、別の実施形態では、少なくとも50%短くてよい。
【数6】
図5に示されていない推移領域84(図8を参照して後述する)が、リブ修正領域11と標準領域12との間に設けられてもよい。推移領域84のリブ51fは、リブ修正領域11のリブ51gよりも高いが、標準領域12のリブ51aよりは低くてよい。
【0021】
図6の偏光子60に示すように、別の特性としてリブの幅wが含まれてもよい。リブ修正領域11のリブ51hは、標準領域12のリブ51aより実質的に広い幅を有してよい(w1>w2)。リブ修正領域11の全てのリブ51hは、一実施形態では、標準領域12の全てのリブ51aより少なくとも25%幅が広くてよく、
【数7】
別の実施形態では、少なくとも50%幅が広くてよい。
【数8】
図6に示されていない推移領域84(図8を参照して後述する)が、リブ修正領域11と標準領域12との間に設けられてもよい。推移領域84のリブ51fは、リブ修正領域11のリブ51hよりも狭いが、標準領域12のリブ51aよりは広い幅を有してよい。リブの幅は、リブの高さhに垂直な方向における測定値として定義される。
【0022】
図7の偏光子70に示されているように、リブ修正領域11は、互いに溶合された隣接するリブ51iを含んでよい。リブ51iは、熱エネルギー(熱)により溶融または溶合することができる。これは、偏光子70の端部13にレーザまたは熱線を向けることで行うことができる。溶融または溶合処理は、図16の偏光子160に示されるように、溶合されたリブ51qを、隣接するリブと接着させる(例としては、標準領域12内の隣接するリブ、または、移領域84における隣接するリブであってよい)。溶合または溶融されたリブ51iは、図16を参照して後述するように基板53から分離されてよい。
【0023】
図8の偏光子80に示すように、推移領域84は、リブ修正領域11と標準領域12との間に存在していてよい。推移領域84のリブ51fは、リブ修正領域11と標準領域12との間の過渡的特性を有していてよい。リブ修正領域11の異なる特性が幅である場合には、推移領域84のリブ51fが、リブ修正領域11のリブ51jと標準領域12のリブ51aとの間の中間の幅を有していてよい。リブ修正領域11の異なる特性が高さである場合には、推移領域84のリブ51fが、リブ修正領域11のリブ51jと標準領域12のリブ51aとの間の中間の高さを有していてよい。リブ修正領域11の異なる特性が形状である場合には、推移領域84のリブ51fが、リブ修正領域11のリブ51jと標準領域12のリブ51aとの間の中間の形状を有していてよい。標準領域12のリブ51aとリブ修正領域11との間の様々な異なる特性を組み合わせることができ、推移領域84が、これらの組み合わせられた異なる特性の全てに基づいた、中間的な特性を有するリブ51を含んでもよい。
【0024】
図9から図14の偏光子に示されているように、リブ修正領域11および標準領域12両方のリブ51は、基板53に形成され、基板53から延びる基板リブ93を含んでよい。図9から図10に示すように、偏光子90および100は、金属線91または101および92を含んでよい。分割された誘電リブ94が、基板リブ93の上に設けられてよい。図9から図10は、金属線91の上に誘電リブ94を設ける場合を示しているが、この順序を逆にして、金属線91を誘電リブ94の上に設けてもよい。基板リブ93は、米国特許第6、122、103号明細書に詳述されており、誘電リブ94は、米国特許出願第13/075、470号明細書に詳述されているので、これらの文献を両方ともここに参照として組み込む。
【0025】
異なる特性とは、リブの幅wの差(w3>w4)、および、高さの差(h4>h3)のうち少なくともいずれかであってよい。リブの幅は、リブの最大幅として定義されてよく、この最大値は、基板リブ93、金属線91または101および92、または、分割された誘電リブ94のものである。リブ修正領域11の金属線91は、部分的または全体的に溶融され、異なる特性を生じさせてよい。図10の偏光子100は、リブ修正領域11の互いに溶合された金属線101を含んでよく、標準領域12の金属線92は、別々の金属線92を含んでよい(物理的に互いに分離している隣接する基板リブ93上に設けられている隣接している金属線92、ということ)。金属線101は、図16に示す構造のように、隣接する線またはリブに接着されて、基板から分離する場合がある。
【0026】
図9から図10のリブ中央線C11−12が示すように、分割された誘電リブ94の大部分は、リブ修正領域11および標準領域12の両方において、下にある基板リブ93と実質的に位置合わせされていてよい。図10に示すように、誘電リブ94の材料を選択して(例えば、融点の高い材料を選択して)、リブ修正領域11の金属線101を溶かすべく注意深く加熱することで、金属線101が溶けて互いに溶合された後にも、分割された誘電リブ94は基板リブ93と実質的に位置合わせされた状態とすることができる(C11)。
【0027】
図11の偏光子110に示すように、リブ修正領域11のリブ51nには、基板リブ93の上の金属線101が含まれてよい。標準領域12のリブ51cには、基板リブ93の上の金属線92が含まれてよい。金属線101および92の上面および側面は、他の材料層は形成されておらず、せいぜい耐食材料からなる非常に薄い被膜が設けられているだけである(非常に薄いとは、例えば、1nm未満、5nm未満、または、10nm未満の薄層を意味する)。リブ修正領域の金属線101は、隣接する金属線またはリブに接着されて、図16を参照して後述するように基板53から分離されてよい。
【0028】
図12から図14に示す偏光子120、130、および140に示すように、リブ修正領域11のリブ51oは、実質的に他のリブ材料がない側面122と上面121とを有する基板リブ93を含んでいてよい。図12に示すように、標準領域12のリブ51cは、基板リブ93の上部に設けられた金属線92を含んでよい。図13に示すように、標準領域12のリブ51dは、基板リブ93の上に設けられた誘電リブ94を含んでいてよい。図14に示すように、標準領域12のリブ51bは、基板リブ93の上にいずれかの順序で設けられた金属線92と誘電リブ94とを含んでよい。
【0029】
図15の1つの偏光子150に示すように、異なる特性がリブの形状であってもよい。リブ修正領域11のリブ51pは、不規則な断面形状を有してよく(正方形、矩形、円形、楕円系、三角形等の規則的な形状ではなく)、標準領域12のリブ51eは、実質的に矩形の断面形状を有してよい。
【0030】
図16の偏光子160に示すように、リブ修正領域のリブ51qは、互いに溶合されたリブ51qを含んでもよい。溶解されたリブ51qは、隣接するリブに付着して(例えば標準領域のリブ51aまたは推移領域84のリブ51fと)、基板から分離されてもよい。熱処理によって、リブ修正領域11のリブ51qが、基板から剥がすことができる。
【0031】
図17から図18の偏光子170および180に示すように、標準領域12のリブ51aの間の間隙172は、空気を含んでよく、実質的に材料(例えばレジストまたはポリマー)がない状態であってよい。リブ修正領域11のリブ51rの間の間隙173は、ポリマーまたはレジスト172といった材料を含んでよい。ポリマーまたはレジスト172は、光または熱に晒されると溶解される、または溶解されない材料であってよい。材料171は、図17に示すように、リブ修正領域11のリブ51rの間の間隙173を部分的に充填してもよい。材料171は、図18に示すように、リブ修正領域11のリブ51rの間の間隙173を完全に充填してもよい。材料171は、図18に示すように、リブ修正領域のリブ51rの上面181を部分的にまたは完全にカバーしてもよい。
【0032】
リブ修正領域11のリブを修正することで、リブ修正領域11の偏光力は、低減したり、なくなったりする場合がある。所望の偏光透過率(T)を望ましくない偏光透過率(T)で除算した結果として定義される偏光コントラストは、偏光子の有効偏光力の指標である。リブ修正領域11の偏光コントラストは、一実施形態では10に満たない。標準領域12の偏光コントラストは、一実施形態では40を超えていてもよく、別の実施形態では100を超えていてもよく、別の実施形態では1000を超えていてもよく、別の実施形態では10,000を超えていてもよい。
【0033】
ここで記載した様々な偏光子は、クランプ等のマウントに固定されてもよい。クランプは、リブ修正領域11全てまたはその一部をカバーしていてよい。クランプは、標準領域12をカバーしたり固定してしまったりすることを防ぐために設けられてよく、これにより、標準領域全体を偏光に利用可能とすることができる。リブ修正領域11を設けることで、クランプの端部沿いに溜まった凝縮物が、標準領域12の金属線の間から出ないようにすることができる。
【0034】
図8から図18のリブ修正領域11は、標準領域12のリブ51a−cのアレイに平行な端部13の部分沿いに延びているリブ修正11として描かれている(図1に示す端部13bおよび13dの部分等)。これらの図面は、本発明を簡単に示したものであるが、端部13の部分に沿って延びるリブ修正領域11を、標準領域のリブのアレイに垂直とすることが重要になる場合もある(例えば図2に示すような、端部13aおよび13cの部分に沿って延びるリブ修正領域11b−cのように)。図19に示す偏光子190は、この後者のバージョンを示している。リブ修正領域11を、図2および図19に示すように、標準領域12のリブのアレイに垂直に端部13の部分に沿って設けることで、標準領域12の金属線51の間のチャネルに流体が入り込まないようにする障壁として機能させることができるようになるので好適であると思われる。
【0035】
<製造方法>
本明細書に記載する、標準領域12と修正領域(リブ修正領域11またはリブ無し領域211)とを有する様々な偏光子の製造方法を説明する。先ず、基板の表面の実質的な部分をカバーするよう、平行且つ細長いリブのアレイを含む偏光子を設ける(図20の偏光子200参照のこと)。第2に、基板の端部の少なくとも一部に沿ったリブを修正して、標準領域12とは異なる性質を有する修正領域を形成して(リブ修正領域11またはリブなし領域211)、修正領域の毛細作用を、標準領域12の毛細作用より実質的に低くなるようにする。
【0036】
一実施形態では、修正には、端部に実質的に垂直な方向に、1マイクロメートルから1ミリメートルの間の距離分、内部に向かう方向にリブを修正することが含まれる。別の実施形態では、修正には、基板の端部の距離の少なくとも30%の距離に相当するリブを修正することが含まれてよい。
【0037】
一実施形態では、熱エネルギーを利用して、基板の端部に沿ったリブの一部を溶かすこともできる。熱エネルギーはリブの金属部分を溶かすことができる。熱エネルギーは、レーザまたは熱線であってよい。図7図8図10図11では、リブ修正領域11のリブ51の一部が溶融されていてもよいことが示唆されている。リブ51は、基板53の融点より実質的に低い融点を有する材料を含んでよく、これにより、リブ51、または、リブ51の部分が溶けても、基板53を溶融させないようにする、または溶融を最小限に留めることができるようになる。例えばリブ51にアルミニウムを含ませたり、基板53にガラスを含ませたりしてよい。
【0038】
別の実施形態では、修正に、リブの上に材料を載せて、修正領域11の上の材料のみを活性化して、標準領域12から、活性化されていない材料を除去することが含まれてよい。材料はレジストであってよい。レジストは、熱、および、電磁エネルギー(例えば紫外光等)のうちの少なくとも1つにより活性化することができる。例えば、ネガレジストをリブの上に設けることができる。修正領域11内のレジストの活性化は、レジストの重合、または、架橋であってよい。不活性化領域(標準領域12)のレジストは、現像液により除去することができ、修正領域11の重合されたレジストは維持される。
【0039】
別の実施形態では、修正が、リブの上に材料を載せて、標準領域12の材料を劣化させ、劣化した材料を標準領域12から除去することを含んでよい。材料はレジストであってよい。レジストは、熱、および、電磁エネルギー(例えば紫外光等)のうちの少なくとも1つにより劣化させてよい。例えば、ポジレジストをリブの上に設けることができる。標準領域12のレジストの活性化により、例えば、長鎖高分子の化学結合を断ち切ることで、溶解可能にして、レジストを劣化させることができる。劣化しなかった領域(修正領域11)のレジストは維持され、標準領域12の劣化したレジストは現像液により除去することができる。
【0040】
別の実施形態では、リブの全てまたは一部を、例えば高電力レーザを利用することで、除去してよい。こうすることで、リブの一部を除去することができ(図12から図14参照)、または、リブ構造全体を除去したり、なくしたりすることで、リブ無し領域211を生成することができる(図21の偏光子210参照)。リブ無し領域全体のリブ構造全体を除去してもよいし、リブ無し領域の少なくとも75%を除去してもよい。
【0041】
上述した構成は、本発明の原理の用途の例示にすぎない点に留意されたい。本発明の精神および範囲を逸脱せずに、いくつ物変形例および代替的な構成が可能である点を了承されたい。本発明は、図面に示されており、その詳細を現在のところ最も実践的で好適な本発明の実施形態を参照して示してきたが、当業者であれば、ここで述べた本発明の原理および思想から逸脱せずにいくつもの変形例を想到することができることは明らかである。
図1
図2
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図5
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図7
図8
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図11
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図21