特許第6137603号(P6137603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137603掘削機の通過部施工用型枠および掘削機の通過部施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137603
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】掘削機の通過部施工用型枠および掘削機の通過部施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   E21D9/06 301E
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-34222(P2013-34222)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-163088(P2014-163088A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】513045079
【氏名又は名称】株式会社宏大
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】紙永 政弘
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−117198(JP,A)
【文献】 特開平09−324417(JP,A)
【文献】 特開平02−020796(JP,A)
【文献】 特開平10−152840(JP,A)
【文献】 特開平10−252380(JP,A)
【文献】 特開平04−174130(JP,A)
【文献】 特開平11−152761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部と連通される所定の開口部が形成され、外周面の所定の位置に第1の伸縮棒受け部を有する第1の継手部と、
前記第1の穴部と対向する前記中間立坑の土留壁部の位置に形成された第2の穴部と連通される所定の開口部が形成され、外周面の所定の位置に第2の伸縮棒受け部を有する第2の継手部と、
一方の端部が前記第1の継手部とスライド可能に係合され、他方の端部が前記第2の継手部とスライド可能に係合され、前記一方の端部側の外周面に前記第1の伸縮棒受け部と対応する位置に設けられた第1のネジ棒螺子着部、および前記他方の端部側の外周面に前記第2の伸縮棒受け部と対応する位置に設けられた第2のネジ棒螺子着部を有するとともに、前記第1の継手部の開口部および前記第2の継手部の開口部と連通状とされた所定の空間部が形成された掘削機通過部と
前記第1のネジ棒螺子着部に貫通挿通され、先端が前記第1の伸縮棒受け部に当接する第1のネジ棒部材と、
前記第2のネジ棒螺子着部に貫通挿通され、先端が前記第2の伸縮棒受け部に当接する第2のネジ棒部材と、を備える
掘削機の通過部施工用型枠。
【請求項2】
前記第1の継手部は、前記掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有する
請求項1に記載の掘削機の通過部施工用型枠。
【請求項3】
前記第2の継手部は、前記掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有する
請求項1または請求項2に記載の掘削機の通過部施工用型枠。
【請求項4】
前記掘削機通過部は、同掘削機通過部の前記一方の端部から前記他方の端部に向かう方向に分割可能な構成とされた
請求項1、請求項2または請求項3に記載の掘削機の通過部施工用型枠。
【請求項5】
前記掘削機通過部は、同掘削機通過部の空間部と連通状とされた貫通部を有する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の掘削機の通過部施工用型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機の通過部施工用型枠および掘削機の通過部施工方法に関する。詳しくは、中間立坑内に掘削機の通過部を施工するための型枠およびその型枠を用いた掘削機の通過部の施工方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
下水道等のために小口径管を地中に敷設するにあたり、発進立坑に元押装置を設置して到達立坑に向って掘削機で地中を掘削しながら推進する小口径推進工法がある。
【0003】
この小口径推進工法では、近年の技術進化により長距離の推進が可能となり、発進立坑と到達立坑の間に中間人孔(例えば、マンホール等)を設けるために中間立坑を築造するケースが増えている。
【0004】
このように中間立坑を設ける場合では、中間立坑内に掘削機が通過する時に、中間立坑内に地山水や地山の土砂が流入しないように、掘削機の通過部を施工する必要性がある。
【0005】
ここで、この種の掘削機の通過部施工方法として、例えば特許文献1に記載されたものがある。具体的には、図10(A)に示すように、中間立坑101の前後土留壁部102に設けられた入口103および出口104に短筒体105を連通状に連結する。
更に、短筒体105の対向する開口端を鉄板106で閉塞した後に、短筒体105内にモルタルよりなる中詰め材107を充填する。
【0006】
次に、図10(B)に示すように、短筒体105内に充填した中詰め材107が固化すると、鉄板106を取り外し、これらの短筒体105間に中間筒体108を溶接等によって連結固着する。このようにして形成された中間筒体108内にモルタルよりなる中詰め材107を充填する。これにより、筒体109内に中詰め材107で形成された掘削機の通過部を施工することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3208085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載された掘削機の通過部施工方法では、まず、短筒体に中詰め材を充填し、中詰め材が固化した後に、中間筒体を対向する短筒体間に介在させて中詰め材を充填する工程を経て通過部を施工するために、非常な手間と時間とを要することになる。
【0009】
また、中間立坑では、その内径が推進工事の種類、あるいは状況に応じて異なるために、中間立坑内に作業者が入って内径に応じた掘削機の通過部の型枠を作成しなければならないのが現状である。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、中間立坑の内径に応じて調整が可能な通過部を施工することができる掘削機の通過部施工用型枠および掘削機の通過部施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る掘削機の通過部施工用型枠は、中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部と連通される所定の開口部が形成された第1の継手部と、前記第1の穴部と対向する前記中間立坑の土留壁部の位置に形成された第2の穴部と連通される所定の開口部が形成された第2の継手部と、一方の端部が前記第1の継手部とスライド可能に係合され、他方の端部が前記第2の継手部とスライド可能に係合され、前記第1の継手部の開口部および前記第2の継手部の開口部と同第1の継手部の開口部および前記第2の継手部の開口部と連通状とされた所定の空間部が形成された掘削機通過部とを備える。
【0012】
ここで、掘削機通過部の一方の端部が第1の継手部とスライド可能に係合され、掘削機通過部の他方の端部が第2の継手部とスライド可能に係合されたことによって、第1の継手部および第2の継手部と掘削機通過部から構成される型枠全長の長さを調整することが可能となる。
【0013】
また、第1の穴部と連通される所定の開口部が第1の継手部に形成され、第2の穴部と連通される所定の開口部が第2の継手部に形成され、更には、掘削機通過部に形成された所定の空間部が第1の継手部の開口部および第2の継手部の開口部と連通状とされたことによって、第1の穴部と所定の空間部と第2の穴部とを連通状に配置することが可能となる。
【0014】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、第1の継手部が、掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有する場合には、フランジ部を中間立坑の内面に取り付けることで、第1の継手部を容易に所望の位置に配置することができる。
【0015】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、第2の継手部が、掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有する場合には、フランジ部を中間立坑の内面に取り付けることで、第2の継手部を容易に所望の位置に配置することができる。
【0016】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、掘削機通過部が、掘削機通過部の一方の端部から他方の端部に向かう方向に分割可能な構成とされた場合には、掘削機の通過部が施工された後に、掘削機通過部を取り外すことが可能となる。
【0017】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、第1の継手部と、掘削機通過部とを伸縮自在に連結する伸縮装置を備える場合には、伸縮装置を利用することによって、第1の継手部を中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部の方向にスライドさせることが可能となる。
【0018】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、第2の継手部と、掘削機通過部とを伸縮自在に連結する伸縮装置を備える場合には、伸縮装置を利用することによって、第2の継手部を中間立坑の土留壁部に形成された第2の穴部の方向にスライドさせることが可能となる。
【0019】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、掘削機通過部が、掘削機通過部の空間部と連通状とされた貫通部を有する場合には、貫通部を利用することによって、掘削機通過部内への中込材の充填を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明の掘削機の通過部施工用型枠において、掘削機通過部が、吊環部を有する
場合には、中間立坑内への掘削機通過部の配置、あるいは回収をクレーン等で行うことが可能となる。
【0021】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る掘削機の通過部施工方法は、掘削機通過部の一方の端部と係合した第1の継手部を、中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部の方向にスライドさせて、前記第1の継手部に設けられた開口部と前記第1の穴部とを連通状に配置せしめる工程と、掘削機通過部の他方の端部と係合した第2の継手部を、前記第1の穴部と対向する前記中間立坑の土留壁部の位置に形成された第2の穴部の方向にスライドさせて、前記第2の継手部に設けられた開口部と前記第2の穴部とを連通状に配置せしめる工程と、前記第1の継手部の開口部、前記第2の継手部の開口部、並びに、前記第1の継手部の開口部および前記第2の継手部の開口部と連通状に設けられた前記掘削機通過部の所定の空間部に、中込材を充填する工程とを備える。
【0022】
ここで、掘削機通過部の一方の端部と係合した第1の継手部を、中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部の方向にスライドさせて、第1の継手部に設けられた開口部と第1の穴部とを連通状に配置せしめることによって、中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部に、掘削機通過部を連通状に取り付けることができる。
【0023】
また、掘削機通過部の他方の端部と係合した第2の継手部を、第1の穴部と対向する中間立坑の土留壁部の位置に形成された第2の穴部の方向にスライドさせて、第2の継手部に設けられた開口部と第2の穴部とを連通状に配置せしめることによって、中間立坑の土留壁部に形成された第2の穴部に、掘削機通過部を連通状に取り付けることができる。
【0024】
更に、第1の継手部の開口部、第2の継手部の開口部、並びに、第1の継手部の開口部および第2の継手部の開口部と連通状に設けられた掘削機通過部の所定の空間部に、中込材を充填することによって、掘削機が中間立坑内を通過する通過部の施工が可能となる。
【0025】
また、本発明の掘削機の通過部施工方法において、第1の継手部の、掘削機通過部と係合した端部の反対側に形成されたフランジ部を、中間立坑の土留壁部に取り付ける場合には、第1の継手部を容易に所望の位置に配置することができる。
【0026】
また、本発明の掘削機の通過部施工方法において、第2の継手部の、掘削機通過部と係合した端部の反対側に形成されたフランジ部を、中間立坑の土留壁部に取り付ける場合には、第2の継手部を容易に所望の位置に配置することができる。
【0027】
また、本発明の掘削機の通過部施工方法において、中間立坑の土留壁部に、第1の継手部が載置可能な第1の受台を配置する工程と、第1の受台に、第1の継手部のフランジ部を載置する工程を備える場合には、中間立坑の土留壁部に形成された第1の穴部に、第1の継手部の開口部の位置決めを行い易くなる。
【0028】
また、本発明の掘削機の通過部施工方法において、中間立坑の土留壁部に、第2の継手部が載置可能な第2の受台を配置する工程と、第2の受台に、第2の継手部のフランジ部を載置する工程を備える場合には、中間立坑の土留壁部に形成された第2の穴部に、第2の継手部の開口部の位置決めを行い易くなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の掘削機の通過部施工用型枠によれば、中間立坑の内径に応じて調整が可能となる。
また、本発明の掘削機の通過部施工方法によれば、中間立坑の内径に応じた掘削機が通過可能な通過部を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠の一例を説明するための模式図である。
図2】本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠における第1の継手部および第2の継手部の一例を説明するための模式図である。
図3】本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠における掘削機通過部の要部の切断端面を説明するための模式図である。
図4】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法における第1の受台および第2の受台の一例を説明するための模式図である。
図5】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第1の工程における第1の受台および第2の受台の配置状態を説明するための模式図(A)および第1の穴部および第2の穴部の施工状態を説明するための模式図(B)である。
図6】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第2の工程における通過部施工用型枠の吊下げ状態を説明するための模式図(A)および通過部施工用型枠の載置状態を説明するための模式図(B)である。
図7】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第3の工程を説明するための模式図である。
図8】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第4の工程における掘削機通過部の施工状態を説明するための模式図(A)および掘削機通過部の解体状態を説明するための模式図(B)である。
図9】本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第5の工程を説明するための模式図である。
図10】従来の掘削機の通過部施工方法の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明する。
【0032】
図1は本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠の一例を説明するための模式図である。
また、図2(A)は本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠における第1の継手部および第2の継手部の一例を説明するための断面模式図、図2(B)は本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠における第1の継手部および第2の継手部の一例を説明するための側面模式図である。
【0033】
また、図3(A)は図1A−A線における切断端面を説明するための模式図、図3(B)は図1B−B線における切断端面を説明するための模式図である。
【0034】
先ず、中間立坑Aには、掘削機(図示せず。)が通過するために土留壁部3に形成された第1の穴部4と第2の穴部5が対向して配置されている。
【0035】
ここで、通過部施工用型枠1は、第1の穴部4に配置された第1の継手部2と、第2の穴部5に配置された第2の継手部6と、これらの第1の継手部2と第2の継手部6との間に配置された掘削機通過部7とから構成されている。
【0036】
また、第1の継手部2は、第1の穴部4内に挿入可能な開口部10が形成された筒体8と、この筒体8の掘削機通過部7とスライド可能に係合された端部の反対側の開口端に形成された四角形状のフランジ部9とから構成されている。
【0037】
また、第2の継手部6は、第2の穴部5内に挿入可能な開口部10が形成された筒体8と、この筒体8の掘削機通過部7とスライド可能に係合された端部の反対側の開口端に形成された四角形状のフランジ部9とから構成されている。
【0038】
更に、第1の継手部2および第2の継手部6の筒体8の外周面には、2個の伸縮棒受け部11が取り付けられている。
【0039】
ここで、これらの伸縮棒受け部11は、第1の継手部2および第2の継手部6の筒体8の中心軸線を挟んで互いに対向した位置に配置されている。
【0040】
また、掘削機通過部7は、掘削機通過部7の一方の端部および他方の端部に、掘削機(図示せず。)が通過可能な空間部26が形成された構成とされている。更に、掘削機通過部7の一方の端部から他方の端部までの長さが中間立坑Aの内径よりも短く、かつ掘削機通過部7の空間部26の内径が第1の継手部2および第2の継手部6の筒体8の外径よりも大とされている。
【0041】
このような構成とされることで、掘削機通過部7の一方の端部の空間部26内に第1の継手部2の筒体8がスライド可能な状態で挿入され、掘削機通過部7の他方の端部の空間部26内に第2の継手部6の筒体がスライド可能な状態で挿入される。
【0042】
ここで、掘削機通過部7の外周面は、その掘削機通過部7の一方の端部から他方の端部の方向に沿って4つの分割部(12、12A、12B、12C)から構成されている。
【0043】
これらの分割部(12、12A、12B、12C)は、その長手方向の両側端に段部13が形成され、互いの段部13を重ね合せた状態でボルト等による締結部材25で貫通し、締結結合された構成とされている(図3(A)、(B)参照)。
【0044】
また、掘削機通過部7には、その内部の空間部26と連通状とされた貫通部14が突設され、この貫通部14から掘削機通過部7内にモルタル等の中込材(図示せず。)が注入可能な構成とされている(図3(B)参照)。
【0045】
また、掘削機通過部7の外周面には第1の継手部2および第2の継手部6の伸縮棒受け部11と対向する位置に、伸縮装置15が配置されている。この伸縮装置15は、掘削機通過部7の外周面に固着された筒状のネジ棒螺着部16にネジ棒部材17が螺着され、このネジ棒部材17の先端が伸縮棒受け部11に当接可能な構成とされている(図1参照)。
【0046】
ここで、ネジ棒部材17を回転させて、ネジ棒部材17の先端を移動させ、伸縮棒受け部11に当接させることで、掘削機通過部7の両側より第1の継手部2および第2の継手部6がスライドし、通過部施工用型枠1の全長が調整可能な構成とされる。
【0047】
また、掘削機通過部7の両側上端にはクレーン(図示せず。)等で吊り下げが可能なように吊環部18が取り付けられている。
【0048】
次に、図4は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法における第1の受台および第2の受台の一例を説明するための模式図である。
この第1の受台および第2の受台は、通過部施工用型枠の第1の継手部を第1の穴部に、第2の継手部を第2の穴部に取り付けるときの受台とされる。
【0049】
ここで、第1の受台20が、土留壁部3の第1の穴部(図示せず。)の下部に取り付けられ、第2の受台20Aが、土留壁部3の第2の穴部(図示せず。)の下部に取り付けられている。
【0050】
更に、第1の受台20および第2の受台20Aは、フランジ部(図示せず。)の下端長さを有すると共に、土留壁部3の内周面に接する奥側端21は、土留壁部3の内周面に沿った形状とされている。
【0051】
また、第1の受台20および第2の受台20Aの両側端に沿ってガイドレール23が直角状に立設されている。
【0052】
また、第1の継手部2のフランジ部9を第1の受台20上に載せ、第2の継手部6のフランジ部9を第2の受台20A上に載せた場合に、土留壁部3の第1の穴部4および第2の穴部5と第1の継手部2および第2の継手部6の開口部10が同一軸線上となるように構成されている(図1参照)。
【0053】
この第1の受台20および第2の受台20Aは、土留壁部3の内周面に沿って奥側端21を溶接等で固着し、第1の受台20および第2の受台20Aの下側面に複数の支持用リブ24を土留壁部3の内周面との間に配置することで水平に取り付け可能な構成とされている。
【0054】
なお、本実施の形態では、第1の継手部が、掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有するものであるが、必ずしもフランジ部を有する必要性はない。
【0055】
しかし、土留壁部に開口された第1の穴部に、第1の継手部を容易に配置することができるという点においてフランジ部を有することが望ましい。
【0056】
また、本実施の形態では、第2の継手部が、掘削機通過部と係合された端部の反対側に形成されたフランジ部を有するものであるが、必ずしもフランジ部を有する必要性はない。
【0057】
しかし、土留壁部に開口された第2の穴部に、第2の継手部を容易に配置することができるという点においてフランジ部を有することが望ましい。
【0058】
また、本実施の形態では、掘削機通過部が、掘削機通過部の一方の端部から他方の端部に向かう方向に分割可能な構成とされるものであるが、必ずしも、分割可能な構成とする必要性はない。
【0059】
しかし、中間立坑内に敷設管施工後に掘削機通過部を解体、撤収できるという点において分割可能な構成とすることが望ましい。
【0060】
また、本実施の形態では、第1の継手部と掘削機通過部とを伸縮自在に連結する伸縮装置を備えるものであるが、例えば、第1の継手部を、第1の穴部の方向にスライドさせることが可能であれば必ずしも伸縮装置を備える必要性はない。
【0061】
しかし、伸縮装置によって第1の継手部を、第1の穴部の方向にスライドさせて土留壁部に圧接するように取り付けることができるという点において伸縮装置を備えることが望ましい。
【0062】
また、本実施の形態では、第2の継手部と掘削機通過部とを伸縮自在に連結する伸縮装置を備えるものであるが、例えば、第2の継手部を、第2の穴部の方向にスライドさせることが可能であれば必ずしも伸縮装置を備える必要性はない。
【0063】
しかし、伸縮装置によって第2の継手部を、第2の穴部の方向にスライドさせて土留壁部に圧接するように取り付けることができるという点において伸縮装置を備えることが望ましい。
【0064】
また、本実施の形態では、中込材を注入するために掘削機通過部に貫通部を有するものであるが、必ずしも貫通部を有する必要性はない。
【0065】
例えば、第1の継手部および第2の継手部と土留壁部との間から中込材を注入するものであっても構わないが、中込材を掘削機通過部内に確実に充填できるという点において貫通部を有することが望ましい。
【0066】
また、本実施の形態では、掘削機通過部に吊環部を有するものであるが、必ずしも吊環部を有する必要性はない。
【0067】
しかし、クレーン等のフックで容易に吊下げることができるという点において吊環部を有することが望ましい。
【0068】
以上の構成よりなる本発明の掘削機の通過部施工用型枠では前記図1図3に示すように、第1の継手部2の筒体8および第2の継手部6の筒体8を、掘削機通過部7の両側の空間部26内に挿入することでスライド可能な状態で連結可能となる。
【0069】
また、掘削機通過部7に取り付けられた伸縮装置15のネジ棒螺着部16に、貫通螺着されたネジ棒部材17の先端を、第1の継手部2の筒体8および第2の継手部6の筒体8の伸縮棒受け部11に当接させる。
【0070】
この状態からネジ棒部材17を回転させることで第1の継手部2の筒体8および第2の継手部6がスライドして中間立坑Aの内径に応じての通過部施工用型枠1の長さ調整を行うことが可能となる。
【0071】
更に、ネジ棒部材17先端で第1の継手部2および第2の継手部6の伸縮棒受け部11を押圧することで、第1の継手部2および第2の継手部6のフランジ部9の両側端を中間立坑Aの土留壁部3に圧接させることが可能となる。これにより中間立坑A内における通過部施工用型枠1の設置を容易に行うことが可能となる。
【0072】
次に、本発明を適用した掘削機の通過部施工用型枠を用いての掘削機の通過部施工方法の一例を以下に詳述する。
図5(A)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第1の工程における第1の受台および第2の受台の配置状態を説明するための模式図、図5(B)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第1の工程における第1の穴部および第2の穴部の施工状態を説明するための模式図である。
【0073】
[第1の工程]
先ず、図5(A)に示すように、中間立坑Aの土留壁部3に掘削機Bの通過中心線を測量して第1の穴部4となる領域Gの下側端に第1の受台20を取り付ける。また、第2の穴部5となる領域Hの下側端に第2の受台20Aを取り付け、この第1の受台20と第2の受台20Aとの間の略中央位置に載置台Cを配置する。
【0074】
次に、土留壁部3の第1の穴部となる領域Gおよび第2の穴部となる領域Hに、掘削機Bの通過中心線から前記図2における第1の継手部2および第2の継手部6の開口部10の内径よりもやや大きめとなるようにマーキングをする。
【0075】
更に、図5(B)に示すように、マーキングに沿って溶断で鏡切をして土留壁3に第1の穴部4および第2の穴部5を開口する。
【0076】
図6(A)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第2の工程における通過部施工用型枠の吊下げ状態を説明するための模式図、図6(B)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第2の工程における通過部施工用型枠の載置状態を説明するための模式図である。
【0077】
[第2の工程]
先ず、通過部施工用型枠(図示せず。)を中間立坑A内に入れる前の準備として、掘削機通過部7の両側内周面と第1の継手部2および第2の継手部6の筒体8の外周面に水と反応して膨張する滑材(図示せず。)を塗布する。
【0078】
続いて、第1の継手部2を、第1の穴部4の方向にスライドさせて第1の継手部2の開口部10端と、土留壁部3とのクリアランスが5cm程度となるように調整する。
【0079】
更に、第2の継手部6を、第2の穴部5の方向にスライドさせて第2の継手部6の開口部10端と、土留壁部3とのクリアランスが5cm程度となるように調整する。
【0080】
次に、図6(A)に示すように、クレーン等の起重機(図示せず。)を使用して掘削機通過部7の上端に配置された吊環部18に、ワイヤーDの先端に取り付けられたフック(図示せず。)を引っ掛けて通過部施工用型枠1を水平に吊上げる。
【0081】
続いて、図6(B)に示すように、第1の継手部2のフランジ部9の下端を第1の受台20上に、第2の継手部6のフランジ部9の下端を第2の受台20A上に、掘削機通過部7を載置台C上に載せる。
【0082】
図7は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第3の工程を説明するための模式図である。
【0083】
[第3の工程]
ここで、掘削機通過部7の両側外周面に配置された伸縮装置15のネジ棒部材17を回転させて第1の継手部2および第2の継手部6の伸縮棒受け部11を押圧する。
【0084】
これにより、第1の継手部2のフランジ部9が、第1の受台20上を土留壁部3側へスライドしてフランジ部9の両側端が土留壁部3に押し当てられた状態となる。
また、第2の継手部6のフランジ部9が、第2の受台20A上を土留壁部3側へスライドしてフランジ部9の両側端が土留壁部3に押し当てられた状態となる。
【0085】
このときに、第1の継手部2のフランジ部9の下端は、第1の受台20面に圧接し、フランジ部9の両側端は、土留壁部3に圧接した状態で土留壁部3に溶接にて固着する。
また、第2の継手部6のフランジ部9の下端は第2の受台20A面に圧接し、フランジ部9の両側端は、土留壁部3に圧接した状態で土留壁部3に溶接にて固着する。
【0086】
また、フランジ部9の上端と土留壁部3との開口部(図示せず。)は、開口部の形状に合わせて加工した鉄板を開口部に被せて溶接にて固着する。
【0087】
これにより、中間立坑Aの土留壁部3の第1の穴部4および第2の穴部5は通過部施工用型枠1にて連通状に連結された状態となる。
なお、多少の隙間は、シール材にて水密状にする。
【0088】
このようにして、通過部施工用型枠1を中間立坑A内に取り付けた後に、掘削機通過部7の貫通部14から、生コンクリート、モルタル、あるいはソイルセメント等の掘削機Bの掘削能力を超えない強度の中込材Eを掘削機通過部7内に注入する。
【0089】
図8(A)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第4の工程における掘削機通過部の施工状態を説明するための模式図、図8(B)は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第4の工程における掘削機通過部の解体状態を説明するための模式図である。
【0090】
[第4の工程]
ここで、図8(A)に示すように、通過部施工用型枠1内への中込材Eの中込作業が完了したら貫通部14に蓋(図示せず。)をしてボルト等で密封をして中込材Eの養生(5〜20時間)を行う。
【0091】
このようにして中込材Eの養生を行い、中込材Eが固化して適当な強度が出たら、中間立坑A直前で停止していた掘削機Bを再稼働させて通過部施工用型枠1内を通過し、到達立坑(図示せず。)まで通常の推進を行う。これに伴い、到達立坑(図示せず。)まで敷設管Fを敷設する。
【0092】
この場合に、通過部施工用型枠1内の中込材E強度が地盤と同程度であれば支障なく推進することができる。
【0093】
なお、中間立坑内への地下水流入を防止するために、中間立坑内を地下水位の高さまで川水等で満たして、中込材の養生を行うことでより丁寧な施工となる。
【0094】
続いて、図8(B)に示すように、到達立坑(図示せず。)で掘削機の回収後、前記図1における伸縮部材15のネジ棒部材17を緩め、掘削機通過部7を構成する分割部(12、12A、12B、12C)を連結する締結部材25を外して解体し中間立坑A内から撤去する。
【0095】
この場合、第1の継手部2および第2の継手部6は、第1の穴部4および第2の穴部5の坑口補強材として残置する。
【0096】
図9は本発明を適用した掘削機の通過部施工方法の一例の第5の工程を説明するための模式図である。
【0097】
[第5の工程]
ここで、第1の継手部2および第2の継手部6の筒体8内の中込材Eを残した状態で、第1の継手部2と第2の継手部6との間の中込材Eを撤去し、第1の継手部2および第2の継手部6側端部の中込材Eと敷設管Fの接する面からの漏水を止水材等で処置する。
【0098】
最後に、敷設管Fに人孔に合せて切断開口し、マンホール(図示せず。)を接続して中間立坑A内へ土砂を埋め戻すことで作業終了となる。
なお、撤去した掘削機通過部は清掃、整備後、新たな中間立坑で再使用する。また、第1の継手部および第2の継手部側端部の中込材は、投入から最低でも20日以上の日数を経過しているので地下水および地山土砂流入を防止する強度は充分に有する。
【0099】
なお、本実施の形態では、第1の継手部の開口部の反対側にフランジ部が形成された第1の継手部を、第1の継手部のフランジ部が中間立坑の土留壁部に接した状態で配置する工程を備えるものであるが、必ずしもこのような状態で配置する必要性はない。
【0100】
しかし、第1の穴部に第1の継手部の開口部を直結することなく連通状に配置することができるという点において第1の継手部に形成されたフランジ部が土留壁部に接した状態で配置することが望ましい。
【0101】
また、本実施の形態では、第2の継手部の開口部の反対側にフランジ部が形成された第2の継手部を、第2の継手部のフランジ部が中間立坑の土留壁部に接した状態で配置する工程を備えるものであるが、必ずしもこのような状態で配置する必要性はない。
【0102】
しかし、第2の穴部に第2の継手部の開口部を直結することなく連通状に配置することができるという点において第2の継手部に形成されたフランジ部が中間立坑の土留壁部に接した状態で配置することが望ましい。
【0103】
また、本実施の形態では、中間立坑の土留壁部に、第1の継手部のフランジ部の下端が載置可能な第1の受台を配置するものであるが、必ずしも第1の受台を土留壁部に配置する必要性はない。
【0104】
しかし、第1の受台上に第1の継手部のフランジ部を載せることで第1の穴部に、第1の継手部の開口部の位置決めを行い易くなる点において、第1の受台を土留壁部に配置すするのが望ましい。
【0105】
また、本実施の形態では、中間立坑の土留壁部に、第2の継手部のフランジ部の下端が載置可能な第2の受台を配置するものであるが、必ずしも第2の受台を土留壁部に配置する必要性はない。
【0106】
しかし、第2の受台上に第2の継手部のフランジ部を載せることで第2の穴部に、第2の継手部の開口部の位置決めを行い易くなる点において、第1の受台を土留壁部に配置すするのが望ましい。
【0107】
以上の構成よりなる本発明の掘削機の通過部施工方法では前記図5図9に示すように、第1の継手部2の筒体8および第2の継手部6の筒体8を、掘削機通過部7の両側の空間部26内に挿入することで中間立坑の内径より縮小することができ、クレーン等による中間立坑内へ搬入が可能となる。
【0108】
また、掘削機通過部7に取り付けられた伸縮装置15で第1の継手部2および第2の継手部6をスライドさせて中間立坑Aの内径に応じての通過部施工用型枠1の長さ調整を行うことが可能となる。
【0109】
これにより、内径の異なる様々な中間立坑Aに応じての通過部を容易に施工することが可能となる。
【0110】
更に、第1の継手部2および第2の継手部6のフランジ部9の両側端を中間立坑Aの土留壁部3に圧接させることが可能となる。これにより中間立坑A内における通過部施工用型枠1の設置が容易に行うことが可能となる。
【0111】
また、中間立坑A内の第1の穴部4の下方に第1の受台20および第2の穴部5の下方に第2の受台20Aを配置することで、第1の継手部の開口部および第2の継手部の開口部の位置決めを行い易くなる。
【0112】
また、通過部施工用型枠1内に中込材Eを充填し、到達立坑(図示せず。)での掘削機Bの回収後に掘削機通過部7を取り外して撤去することで掘削機通過部7の再使用が可能となる。
【符号の説明】
【0113】
1 通過部施工用型枠
2 第1の継手部
3 土留壁部
4 第1の穴部
5 第2の穴部
6 第2の継手部
7 掘削機通過部
8 筒体
9 フランジ部
10 開口部
11 伸縮棒受け部
12、12A、12B、12C 分割部
13 段部
14 貫通部
15 伸縮装置
16 ネジ棒螺着部
17 ネジ棒部材
18 吊環部
20 第1の受台
20A 第2の受台
21 奥側端
23 ガイドレール
24 支持用リブ
25 締結部材
26 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10