特許第6137617号(P6137617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137617鞘管用掘削リング及び鞘管並びに鞘管の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137617
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】鞘管用掘削リング及び鞘管並びに鞘管の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   E21D9/06 301C
   E21D9/06 301E
   E21D9/06 311Z
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-169084(P2013-169084)
(22)【出願日】2013年8月16日
(65)【公開番号】特開2015-36505(P2015-36505A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】513045079
【氏名又は名称】株式会社宏大
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】紙永 政弘
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−202588(JP,A)
【文献】 特開平09−158678(JP,A)
【文献】 特開2000−345791(JP,A)
【文献】 特開2007−198080(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3007986(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に第1の連結部を有する鞘管本体と、
該鞘管本体の内周面に沿って周設された挟持板に挟持され、外径が前記鞘管本体の内径と略同じで、内径が前記鞘管本体内に収納される掘進機の外径よりも所定に小さい坑口パッキンと、
前記鞘管本体の開口端の外径と略同径とされ、かつ同開口端の円周方向に回転自在に取り付けられるとともに、前記第1の連結部と連結する第2の連結部を有する第1の開口端、および該第1の開口端に対向する位置であり、円周縁に沿って前記掘進機の回転刃部に係留可能とされる係留部が配置された第2の開口端を有する鞘管用掘削リングと、を備える
鞘管。
【請求項2】
立坑土留壁に、穴部を設ける工程と、
該穴部に、掘進機の外周面と所定の間隔を保持し、同掘進機の回転刃部に係留して回転する掘削刃が設けられた鞘管用掘削リングを有する鞘管を挿通して土中を掘削する工程と、
前記鞘管用掘削リングと前記掘進機の回転刃部との係留を解除して鞘管を土中に残置する工程とを備える
鞘管の施工方法。
【請求項3】
前記鞘管は、同鞘管の先端側の内周面の円周方向に沿って掘進機の外周面が密接状となるように取り付けられた坑口パッキンを有する
請求項2に記載の鞘管の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞘管用掘削リング及び鞘管並びに鞘管の施工方法に関する。詳しくは、立坑における坑口を施工するための鞘管用掘削リング及び鞘管並びに鞘管の施工方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水道管を敷設する場合には、発進立坑内に元押装置を設置して到達立坑に向って掘進機で地中を掘削しながら、順次敷設管を押し込んで行く推進工法がある。
【0003】
この場合の立坑の寸法は、推進方向で敷設管の長さ、元押ジャッキの長さ、支圧壁の厚みに余裕長さをプラスした約6〜8mとなる。
【0004】
しかし、地上部の道路事情や地理的条件等で推進方向の寸法が確保できない場合があり、立坑の推進位置に、敷設管外径より大きい鞘管を推進方向に敷設することが行われている。
【0005】
このような鞘管の設置では、敷設管の外径より30〜50cmほど大きい外径の鋼管を前面開放式の手掘り推進にて2mほど推進したのち、鋼管の先端に発進坑口を取り付けるものであるが、地盤が脆く、薬液注入等で地盤改良しても手掘り推進ができない場合がある。
【0006】
このような場合には、伸縮自在なカッターアームを備える掘進機の外周に発進坑口付の鞘管を装着する。そして、カッターアームを伸長して鞘管の外径に合せた状態で推進した後、掘進機と鞘管を分離し、掘進機のカッターアームを収縮させて本来の掘削径に合せた状態での掘削をする方法が行われている。
【0007】
ここで、伸縮自在なカッターアームを備える掘進機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。具体的には、図12に示すように、カッタースポーク101の固定側カッタースポーク102に移動可能に装着される可動スポーク103と、可動スポーク103を進退駆動するための油圧シリンダ104と、固定側カッタースポーク102に可動スポーク103を支承する軸受け構造105とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−297596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載された発明では、カッターアームに内蔵した油圧ジャッキでカッターアームを伸縮するので硬質地盤や転石のある土質等ではカッターアームに大きな負担を受けて油圧装置が破損することがある。また、カッターアームが歪んで伸縮動作ができなくなることがある。
【0010】
また、鞘管を敷設するのに敷設管の外径に合せたカッターアームを備えた掘進機を使用することができず、略2m長さの鞘管を敷設するのに、伸縮自在なカッターアームを備えた掘進機を使用するには効率の悪い作業となる。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、鞘管の開口端に取り付けることで既存の掘進機で鞘管の敷設を可能とした鞘管用掘削リング及び鞘管並びに鞘管の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る鞘管用掘削リングは、鞘管の開口端の外径と略同径とされ、かつ同開口端の円周方向に回転自在に取り付けられる第1の開口端と、該第1の開口端に対向する位置に形成された第2の開口端を有する筒状のリング本体と、該リング本体の前記第2の開口端に配置された、前記鞘管内に収納される掘進機の回転刃部に係留可能とされる係留部と、前記第2の開口端に、前記鞘管の推進方向に向けて突設された掘削刃とを備える。
【0013】
ここで、第1の開口端が鞘管の開口端の外径と略同径とされることによって、鞘管の開口端に、一体的に取付けることが可能となる。
更に、第1の開口端が鞘管の開口端の円周方向に回転自在に取り付けられることによって、第1の開口端を鞘管の開口端の円周方向に回転可能とすることができる。
【0014】
また、リング本体が第1の開口端に対向する位置に形成された第2の開口端を有する筒状であることによって、リング本体を鞘管と同軸線上に一体的に配置することができる。
【0015】
また、リング本体の第2の開口端に配置された、鞘管内に収納される掘進機の回転刃部に係留可能とされる係留部によって、掘進機の回転刃部に追従させてリング本体を回転させることが可能となる。
【0016】
また、第2の開口端に、鞘管の推進方向に向けて突設された掘削刃を設けることによって、鞘管と略同径の穴を掘進することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る鞘管用掘削リングにおいて、係留部が、回転刃部の先端が挿入可能とされ、かつ第1の開口端側が開放状に形成された凹部を有する場合には、掘進機を後退させることで鞘管用掘削リングと掘進機との係留を解除することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る鞘管用掘削リングにおいて、第1の開口端に取り付けられ、かつ鞘管の先端開口端に沿って周回可能とされる回転ローラーを備える場合には、掘進機を推進させるときに、鞘管の先端開口端に対してスムーズに鞘管用掘削リングを回転させることが可能となる。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る鞘管は、掘進機の外周面と所定の間隔を保持し、かつ開口端近傍の内周面の円周方向に沿って掘進機の外周面が密接状となるように取り付けられた坑口パッキンを有する鞘管本体と、該鞘管本体の開口端の外径と略同径とされ、かつ同開口端の円周方向に回転自在に取り付けられる第1の開口端と、該第1の開口端に対向する位置に形成された第2の開口端を有する筒状のリング本体と、該リング本体の前記第2の開口端に沿って配置された、前記鞘管本体内に収納される掘進機の回転刃部に係留可能とされる係留部と、前記第2の開口端に、前記鞘管本体の推進方向に向けて突設された掘削刃とを有する鞘管用掘削リングを備える。
【0020】
ここで、掘進機の外周面と所定の間隔を保持し、かつ開口端近傍の内周面の円周方向に沿って掘進機の外周面が密接状となるように取り付けられた坑口パッキンを有する鞘管本体によって、掘進のときに掘進機と鞘管本体との間に掘削土が流入するのを防止しながら鞘管本体を掘進機に保持することが可能となる。
【0021】
また、第1の開口端が鞘管本体の開口端の外径と略同径とされることによって、鞘管本体の開口端に、一体的に取付けることが可能となる。
【0022】
また、第1の開口端が鞘管本体の開口端の円周方向に回転自在に取り付けられることによって、第1の開口端を鞘管本体の開口端の円周方向に回転可能とすることができる。
【0023】
また、リング本体が第1の開口端に対向する位置に形成された第2の開口端を有する筒状であることによって、リング本体を鞘管本体と同軸線上に一体的に配置することができる。
【0024】
また、リング本体の第2の開口端に沿って配置された、鞘管内に収納される掘進機の回転刃部に係留可能とされる係留部によって、掘進機の回転刃部に追従させてリング本体を回転させることが可能となる。
【0025】
また、第2の開口端に、鞘管の推進方向に向けて突設された掘削刃を設けることによって、鞘管と略同径の穴を掘進することが可能となる。
【0026】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る鞘管の施工方法は、立坑土留壁に、穴部を設ける工程と、該穴部に、掘進機の外周面と所定の間隔を保持し、該掘進機の回転刃部に係留して回転する掘削刃が設けられた鞘管用掘削リングを有する鞘管を挿通して土中を掘削する工程と、前記鞘管用掘削リングと前記掘進機の回転刃部との係留を解除して鞘管を土中に残置する工程とを備える。
【0027】
ここで、立坑土留壁に設けた穴部に、掘進機の外周面と所定の間隔を保持し、掘進機の回転刃部に係留して回転する掘削刃が設けられた鞘管用掘削リングを有する鞘管を挿通して土中を掘削する工程によって、掘進機の回転刃部の駆動回転を利用して鞘管と略同径の穴を掘削しながら鞘管を推進させることが可能となる。
【0028】
また、鞘管用掘削リングと掘進機の回転刃部との係留を解除して鞘管を土中に残置する工程によって、掘進機による通常の掘進を続行することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る鞘管の施工方法において、鞘管が、鞘管の先端側の内周面の円周方向に沿って掘進機の外周面が密接状となるように取り付けられた坑口パッキンを有する場合には、掘進機と鞘管本体との間に掘削土が流入するのを防止しながら鞘管を敷設することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の鞘管用掘削リングによれば、鞘管の開口端に取り付けることで既存の掘進機で鞘管を敷設することができる。
また、本発明の鞘管によれば、既存の掘進機に取り付けることで鞘管を敷設可能とすることができる
また、本発明の鞘管の施工方法では、既存の掘進機で鞘管の敷設を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明を適用した鞘管用掘削リングの一例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管用掘削リングの一例を説明するための断面模式図(B)である。
図2】本発明を適用した鞘管用掘削リングの他の例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管用掘削リングの他の例を説明するための断面模式図(B)である。
図3】本発明を適用した鞘管の一例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の一例を説明するための断面模式図(B)である。
図4】本発明を適用した鞘管の他の例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の他の例を説明するための断面模式図(B)である。
図5】本発明を適用した鞘管の使用状態の一例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の使用状態の一例を説明するための断面模式図(B)である。
図6】本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の一例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の一例を説明するための断面模式図(B)である。
図7】本発明を適用した鞘管の使用状態の他の例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の使用状態の他の例を説明するための断面模式図(B)である。
図8】本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の他の例を説明するための正面模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の他の例を説明するための断面模式図(B)である。
図9】本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第1の工程における掘進機と鞘管との取付け状態を説明するための模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第1の工程における掘進機と鞘管との掘削状態を説明するための模式図(B)である。
図10】本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第2の工程における掘進機と鞘管との取外し状態を説明するための模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第2の工程における掘進機の取外し状態の他の例を説明するための模式図(B)である。
図11】本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第3の工程における鞘管の設置状態を説明するための模式図(A)及び、本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第3の工程における掘進機により敷設管の敷設状態を説明するための模式図(B)である。
図12】従来の掘進機の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明する。
【0033】
<第1の実施の形態>
図1(A)は本発明を適用した鞘管用掘削リングの一例を説明するための正面模式図、図1(B)は本発明を適用した鞘管用掘削リングの一例を説明するための断面模式図である。
【0034】
ここで示す鞘管用掘削リング1は、鞘管(図示せず。)と略同径とされた第1の開口端2と、この第1の開口端2に対向する位置に形成された第2の開口端3を有する鋼製である筒状のリング本体7から構成されている。
【0035】
ここで、第2の開口端3の円周縁には、リング本体7の中心軸線から90度毎に4個の係留部4が配置されている。
【0036】
この係留部4は、第2の開口端3にリング本体7と略直角状にリング本体7の中心軸線方向に向けて突設された方形状の回転板部5が形成され、更に、回転板部5表面には、掘削用としての掘削刃6が取り付けられている。
【0037】
また、係留部4の回転板部5の進行側の裏面に、リング本体7と略平行状となるように一端が取付けられた支持板26の他端側とリング本体7の内周面との間に、回転ローラー8が支持軸9によって回転可能な状態で取り付けられている。
【0038】
更に、支持板26のリング本体7の中心軸線方向の面に、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端が挿入可能とされ、かつ第1の開口端2側が開放状に形成された凹部10が設けられている。
【0039】
これにより、凹部10によって掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端部が係留される構成とされている。
【0040】
また、リング本体7の第1の開口端2の円周縁に沿って、リング本体7中心軸線側に向けて略直角状に折曲形成された係留片13が形成されている。
【0041】
次に、本発明を適用した鞘管用掘削リング1の使用状態の一例を説明する。
図5に示すように、鞘管本体15の先端側の開口端16の円周縁に沿って、鞘管本体15の中心軸線側に向けて断面凹字形状に折り曲げ形成された係留用溝部17が周設されている。
【0042】
この係留用溝部17に、鞘管用掘削リング1の係留片13が挿入された状態で連結された構成とされている。
【0043】
また、鞘管本体15の開口端16の手前の内周面に沿って坑口パッキン18が環状に周設されている。
【0044】
また、掘進機22は、円筒形状の掘進機本体23と、この掘進機本体23の先端に駆動回転可能に取り付けられた十字状の回転刃部24とから構成されている。更に、回転刃部24面には、複数個の掘削刃6Aがそれぞれ取り付けられている。
【0045】
このような構成の掘進機22を、鞘管14の後端側から挿入し、掘進機22の回転刃部24を鞘管14の鞘管用掘削リング1まで押し入れる。
【0046】
ここで、回転刃部24の先端部25を、鞘管用掘削リング1の係留部4に設けられた凹部10に挿入する。
【0047】
これにより、回転刃部24と鞘管用掘削リング1が係留することで、回転刃部24の駆動回転によって鞘管用掘削リング1が回転可能となる。
【0048】
この場合に、鞘管用掘削リング1の回転ローラー8が、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21に押圧されながら回転することで鞘管用掘削リング1は、鞘管本体15に対してスムーズに回転することが可能となる。
【0049】
ここで、図6に示すように、鞘管用掘削リング1と掘進機22の回転刃部24との係留を解除する場合には、掘進機22のみを10cmほど後退させることで回転刃部24の先端部25が、鞘管用掘削リング1の係留部4に設けられた凹部10内から離脱する。
【0050】
このようにして回転刃部24と鞘管用掘削リング1との係留を解除した後に、掘進機本体23内に搭載される駆動モーター(図示せず。)を手で回して回転刃部24を鞘管用掘削リング1の係留部4と係留部4間に位置するように回転させる。
【0051】
更に、掘進機22のみを30cmほど前進させることで回転刃部24が鞘管用掘削リング1に当接することなく鞘管用掘削リング1の前方に移動させることで鞘管14を坑口として掘進機22による掘削が可能となる。
【0052】
なお、本実施の形態では、係留部が、回転刃部の先端が挿入可能とされ、かつ第1の開口端2側が開放状に形成された凹部を有するものであるが、必ずしも第1の開口端2側が開放状に形成された凹部を有する必要性はない。
【0053】
例えば、回転刃部を前後方向に移動させることで鞘管用掘削リングとの係留を解除することができるのであれば、凹部が、第2の開口端側が開放状、あるいは第1の開口端側及び第2の開口端側が開放状であっても構わない。
【0054】
また、本実施の形態では、第1の開口端に取り付けられ、かつ鞘管の先端側の開口端に沿って周回可能とされる回転ローラーを設けるものであるが、必ずしも回転ローラーを設ける必要性はない。
【0055】
しかし、鞘管用掘削リングがスムーズに回転できるという点において、回転ローラーを設けることが望ましい。
【0056】
以上の構成よりなる本発明では、既存の鞘管に鞘管用掘削リングを取り付けることで伸縮機能を備えたカッターアームを使用することなく掘削を行うことが可能となる。
【0057】
また、鞘管用掘削リングと掘進機の回転刃部との係留を解除する場合には、掘進機を後退させて回転刃部を所要角度に回転させることで容易に係留を解除することが可能となる。
【0058】
<第1の実施の他の形態>
図2(A)は本発明を適用した鞘管用掘削リングの他の例を説明するための正面模式図、図2(B)は本発明を適用した鞘管用掘削リングの他の例を説明するための断面模式図である。
【0059】
ここで示す鞘管用掘削リング1Aは、鞘管(図示せず。)と略同径とされた第1の開口端2と、この第1の開口端2に対向する位置に形成された第2の開口端3を有する鋼製である筒状のリング本体7から構成されている。
【0060】
ここで、第2の開口端3の円周縁に、リング本体7の中心軸線から90度毎に4個の係留部4Aが配置されている。
【0061】
この係留部4Aは、第2の開口端3にリング本体7と略直角状にリング本体7の中心軸線方向に向けて突設された方形状の回転板部5が形成され、更に、回転板部5表面には、掘削用としての掘削刃6が取り付けられている。
【0062】
また、係留部4Aの回転板部5の進行側の裏面に、リング本体7と略平行状となるように一端が取付けられた支持板26の他端側とリング本体7の内周面との間に、回転ローラー8が支持軸9によって回転可能な状態で取り付けられている。
【0063】
また、係留部4Aの回転板部5のリング本体7の中心軸線側端に、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端が通過可能な切欠開口部12が形成されている。この切欠開口部12に連通するように、支持板26のリング本体7の中心軸線方向の面には、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端が挿入可能とされ、かつ第1の開口端2側が開放状に形成された凹部10が設けられている。
【0064】
また、リング本体7の第1の開口端2の円周縁に沿って、リング本体7の中心軸線側に向けて略直角状に折曲形成された係留片13が形成されている。
【0065】
次に、本発明を適用した鞘管用掘削リング1Aの使用状態の一例を説明する。
図7に示すように、鞘管本体15の先端側の開口端16の円周縁に沿って、鞘管本体15の中心軸線側に向けて断面凹字形状に折り曲げ形成された係留用溝部17が周設されている。
【0066】
この係留用溝部17に、鞘管用掘削リング1Aの係留片13が挿入された状態で連結された構成とされている。
【0067】
また、鞘管本体15の開口端16の手前の内周面に沿って坑口パッキン18が環状に周設されている。
【0068】
また、掘進機22は、円筒形状の掘進機本体23と、この掘進機本体23の先端に駆動回転可能に取り付けられた十字状の回転刃部24とから構成されている。更に、回転刃部24面には、複数個の掘削刃6Aがそれぞれ取り付けられている。
【0069】
このような構成の掘進機22を、鞘管14Aの後端側の開口端(図示せず。)内に挿入し、掘進機22の回転刃部24を鞘管14の鞘管用掘削リング1Aまで押し入れる。
【0070】
ここで、回転刃部24の先端部25を、鞘管用掘削リング1Aの係留部4に設けられた凹部10に挿入する。
【0071】
これにより、回転刃部24と鞘管用掘削リング1が係留することで、回転刃部24の駆動回転によって鞘管用掘削リング1Aが回転可能となる。
【0072】
この場合に、鞘管用掘削リング1の回転ローラー8が、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21に押圧されながら回転することで鞘管用掘削リング1Aは、鞘管本体15に対してスムーズに回転することが可能となる。
【0073】
また、図8(A)は本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の他の例を説明するための正面模式図、図8(B)は本発明を適用した鞘管と掘進機との取外し状態の他の例を説明するための断面模式図である。
【0074】
ここで、図8に示すように、鞘管用掘削リング1Aと掘進機22の回転刃部24との係留を解除する場合には、掘進機22のみを10cmほど前進させる。これにより回転刃部24の先端部25が、係留部4Aの凹部10内から回転板部5の切欠開口部12を通して鞘管用掘削リング1Aの前方に移動する。
【0075】
このようにして回転刃部24と鞘管用掘削リング1Aとの係留を解除することで鞘管14Aを坑口として回転刃部24の駆動回転による掘進機22での掘削が可能となる。
【0076】
なお、本実施の形態では、第1の開口端に取り付けられ、かつ鞘管の先端側の開口端に沿って周回可能とされる回転ローラーを設けるものであるが、必ずしも回転ローラーを設ける必要性はない。
【0077】
しかし、鞘管用掘削リングがスムーズに回転できるという点において、回転ローラーを設けることが望ましい。
【0078】
以上の構成よりなる本発明では、既存の鞘管に鞘管用掘削リングを取り付けることで伸縮機能を備えたカッターアームを使用することなく掘削を行うことが可能となる。
【0079】
また、鞘管用掘削リングと掘進機の回転刃部との係留を解除する場合には、掘進機のみを前進させることで容易に係留を解除することが可能となる。
【0080】
<第2の実施の形態>
図3(A)は本発明を適用した鞘管の一例を説明するための正面模式図、図3(B)は本発明を適用した鞘管の一例を説明するための断面模式図である。
【0081】
ここで示す鞘管14は、全長が略2m、外径が掘進機(図示せず。)の外径よりも20〜50cmほど大きい寸法の鋼管製の鞘管本体15と、この鞘管本体15の先端側に回転自在な状態で連結される鞘管用掘削リング1とから構成されている。
【0082】
ここで、鞘管本体15の先端側の開口端16の円周縁に沿って、鞘管本体15の中心軸線側に向けて断面凹字形状に折り曲げ形成された係留用溝部17が周設されている。
【0083】
この係留用溝部17に、前記<第1の実施の形態>において詳述した鞘管用掘削リング1の係留片13が挿入された状態で連結された構成とされている。
【0084】
また、鞘管本体15の開口端16の手前の内周面に沿って坑口パッキン18が環状に周設されている。
【0085】
この坑口パッキン18は、外径が鞘管本体15の内径と同じ寸法とされ、内径が掘進機(図示せず。)の外径よりも20%ほど小さい環状のゴム製パッキン19の外周縁が鞘管本体15の内周面に沿って周設された挟持板20で固着されている。
【0086】
このようなゴム製パッキン19に掘進機(図示せず。)を通過させることで中途より鞘管本体15の先端側方向へ折り曲げられた状態となり立坑内への土砂や地下水の流出を防止する構成とされている。
【0087】
また、鞘管用掘削リング1は、前記<第1の実施の形態>において詳述するように、鞘管(図示せず。)と略同径とされた第1の開口端2と、この第1の開口端2に対向する位置に形成された第2の開口端3を有する鋼製である筒状のリング本体7から構成されている。
【0088】
ここで、第2の開口端3の円周縁に、リング本体7の中心軸線から90度毎に4個の係留部4が配置されている。
【0089】
この係留部4は、第2の開口端3にリング本体7と略直角状にリング本体7の中心軸線方向に向けて突設された方形状の回転板部5が形成され、更に、回転板部5表面には、掘削用としての掘削刃6が取り付けられている。
【0090】
また、係留部4の回転板部5の進行側の裏面に、リング本体7と略平行状となるように一端が取付けられた支持板26の他端側とリング本体7の内周面との間に、回転ローラー8が支持軸9によって回転可能な状態で取り付けられている。
【0091】
この回転ローラー8は、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21の押圧しながら回転することで鞘管用掘削リング1がスムーズに回転することができる構成とされている。
【0092】
また、支持板26のリング本体7の中心軸線方向の面に、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端部が挿入可能とされ、かつ第1の開口端2側が開放状に形成された凹部10が設けられている。
【0093】
これにより、凹部10によって掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端部が係留される構成とされている。
【0094】
次に、本発明を適用した鞘管14の使用状態の一例を説明する。
図5に示すように、掘進機22は、円筒形状の掘進機本体23と、この掘進機本体23の先端に駆動回転可能に取り付けられた十字状の回転刃部24とから構成されている。更に、回転刃部24面には、複数個の掘削刃6Aがそれぞれ取り付けられている。
【0095】
このような構成の掘進機22を、鞘管14の後端側から挿入し、掘進機22の回転刃部24を鞘管14の鞘管用掘削リング1まで押し入れる。
【0096】
ここで、回転刃部24の先端部25を、鞘管用掘削リング1の係留部4に設けられた凹部10に挿入する。
【0097】
これにより、回転刃部24と鞘管用掘削リング1が係留することで、回転刃部24の駆動回転によって鞘管用掘削リング1が回転可能となる。
【0098】
この場合に、鞘管用掘削リング1の回転ローラー8が、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21に押圧されながら回転することで鞘管用掘削リング1は、鞘管本体15に対してスムーズに回転することが可能となる。
【0099】
ここで、図6に示すように、鞘管用掘削リング1と掘進機22の回転刃部24との係留を解除する場合には、掘進機22のみを10cmほど後退させることで回転刃部24の先端部25が、鞘管用掘削リング1の係留部4に設けられた凹部10内から離脱する。
【0100】
このようにして回転刃部24と鞘管用掘削リング1との係留を解除した後に、掘進機本体23内に搭載される駆動モーター(図示せず。)を手で回して回転刃部24を鞘管用掘削リング1の係留部4と係留部4間に位置するように回転させる。
【0101】
更に、掘進機22のみを30cmほど前進させることで回転刃部24が鞘管用掘削リング1に当接することなく鞘管用掘削リング1の前方に移動させることで鞘管14を坑口として掘進機22による掘削が可能となる。
【0102】
以上の構成よりなる本発明では、既存の鞘管に鞘管用掘削リングを取り付けることで伸縮機能を備えたカッターアームを使用することなく掘削を行うことが可能となる。
【0103】
また、鞘管用掘削リングと掘進機の回転刃部との係留を解除する場合には、掘進機を後退させて回転刃部を所要角度に回転させることで容易に係留を解除することで鞘管の設置を行うことができる。
【0104】
また、既存の掘進機の回転刃部の先端に鞘管用掘削リングの凹部に挿入可能な突起部を溶接等で取り付けることで、外径の異なる鞘管にも適用することが可能となる。
【0105】
<第2の実施の他の形態>
図4(A)は本発明を適用した鞘管の他の例を説明するための正面模式図、図4(B)は本発明を適用した鞘管の他の例を説明するための断面模式図である。
【0106】
ここで示す鞘管14Aは、前記<第2の実施の形態>において詳述したように、鋼管製の鞘管本体15と、この鞘管本体15の先端側に回転自在な状態で連結される鞘管用掘削リング1Aとから構成されている。
【0107】
ここで、鞘管本体15の先端側の開口端16の円周縁に沿って、鞘管本体15の中心軸線側に向けて断面凹字形状に折り曲げ形成された係留用溝部17が周設されている。
【0108】
この係留用溝部17に、前記<第1の実施の他の形態>において詳述した鞘管用掘削リング1Aの係留片13が挿入された状態で連結された構成とされている。
【0109】
更に、鞘管本体15の先端側の開口端16の手前の内周面に沿って坑口パッキン18が環状に周設されている。
【0110】
この坑口パッキン18は、外径が鞘管本体15Aの内径と同じ寸法とされ、内径が掘進機(図示せず。)の外径よりも20%ほど小さい環状のゴム製パッキン19の外周縁が鞘管本体15の内周面に沿って周設された挟持板20で固着されている。
【0111】
また、鞘管用掘削リング1Aは、鞘管(図示せず。)と略同径とされた第1の開口端2と、この第1の開口端2に対向する位置に形成された第2の開口端3を有する鋼製である筒状のリング本体7から構成されている。
【0112】
ここで、第2の開口端3の円周縁に、リング本体7の中心軸線から90度毎に4個の係留部4Aが配置されている。
【0113】
この係留部4Aは、第2の開口端3にリング本体7と略直角状にリング本体7の中心軸線方向に向けて突設された方形状の回転板部5が形成され、更に、回転板部5表面には、掘削用としての掘削刃6が取り付けられている。
【0114】
また、係留部4Aの回転板部5の進行側の裏面に、リング本体7と略平行状となるように一端が取付けられた支持板26の他端側とリング本体7の内周面との間に、回転ローラー8が支持軸9によって回転可能な状態で取り付けられている。
【0115】
この回転ローラー8は、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21の押圧しながら回転することで鞘管用掘削リング1Aがスムーズに回転することができる構成とされている。
【0116】
また、係留部4Aの回転板部5のリング本体7の中心軸線側端は、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端が通過可能な切欠開口部12が形成されている。この切欠開口部12に連通するように、支持板26のリング本体7の中心軸線方向の面には、掘進機の回転刃部(図示せず。)の先端が挿入可能とされ、かつ第1の開口端2側が開放状に形成された凹部10が設けられている。
【0117】
次に、本発明を適用した鞘管14Aの使用状態の一例を説明する。
図7に示すように、掘進機22は、円筒形状の掘進機本体23と、この掘進機本体23の先端に駆動回転可能に取り付けられた十字状の回転刃部24とから構成されている。更に、回転刃部24面には、複数個の掘削刃6Aがそれぞれ取り付けられている。
【0118】
このような構成の掘進機22を、鞘管14Aの後端側の開口端(図示せず。)内に挿入し、掘進機22の回転刃部24を鞘管14Aの鞘管用掘削リング1Aまで押し入れる。
【0119】
ここで、回転刃部24の先端部25を、鞘管用掘削リング1Aの係留部4Aに設けられた凹部10内に挿入する。
【0120】
これにより、回転刃部24と鞘管用掘削リング1Aが係留することで、回転刃部24の駆動回転によって鞘管用掘削リング1Aが回転可能となる。
【0121】
この場合に、鞘管用掘削リング1Aの回転ローラー8が、鞘管本体15の係留用溝部17の側壁21に押圧されながら回転することで鞘管用掘削リング1Aは、鞘管本体15に対してスムーズに回転することが可能となる。
【0122】
ここで、図8に示すように、鞘管用掘削リング1Aと掘進機22の回転刃部24との係留を解除する場合には、掘進機22のみを10cmほど前進させることで回転刃部24の先端部25が、係留部4Aの凹部10内から回転板部5の切欠開口部12を通して鞘管用掘削リング1Aの前方に移動する。
【0123】
このようにして回転刃部24と鞘管用掘削リング1Aとの係留を解除することで鞘管14Aを坑口として回転刃部24の駆動回転による掘進機22での掘削が可能となる。
【0124】
以上の構成よりなる本発明では、既存の鞘管に鞘管用掘削リングを取り付けることで伸縮機能を備えたカッターアームを使用することなく掘削を行うことが可能となる。
【0125】
また、鞘管用掘削リングと掘進機の回転刃部との係留を解除する場合には、掘進機のみを前進させることで容易に係留を解除することで鞘管の設置を行うことができる。
【0126】
また、既存の掘進機の回転刃部の先端に鞘管用掘削リングの凹部に挿入可能な突起部を溶接等で取り付けることで、外径の異なる鞘管にも適用することが可能となる。
【0127】
<第3の実施の形態>
次に、本発明を適用した鞘管用掘削リングを用いての鞘管の施工方法の一例を以下に詳述する。
図9(A)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第1の工程における掘進機と鞘管との取付状態を説明するための模式図、図9(B)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第1の工程における掘進機と鞘管との掘削状態を説明するための模式図である。
【0128】
[第1の工程]
先ず、図9(A)に示すように、立坑Aの土留壁Bを鏡切りした後に坑口パッキンCを取付ける。
【0129】
次に、鞘管本体15の先端側の開口端に鞘管用掘削リング1を取付けた鞘管14を、掘進機22の外周面と所定の間隔を保持して取り付ける。この場合に、鞘管本体15の先端側の内周面に沿って坑口パッキン18を取り付け、掘進機22を坑口パッキン18に挿通した状態で掘進機22の回転刃部24と鞘管用掘削リング1の係留部(図示せず。)を係留させる。更に、掘進機22と鞘管本体15との間にスペーサーDを介して締結ボルト(図示せず。)で固定する。
【0130】
このようにして鞘管14を取付けた掘進機22で、回転刃部24及び鞘管用掘削リング1を駆動回転させながら元押ジャッキEを伸ばして鞘管14長さまでの掘削を行う。
【0131】
続いて、図9(B)に示すように、鞘管14の長さまで掘削した後、元押ジャッキEで立坑A側に、鞘管14及び掘進機22を回転刃部24が鞘管用掘削リングの前面に移動するスペースを確保するため20〜30cm引き戻す。この時、掘削孔が崩壊しないよう、掘進機の先端から掘削土を改良した泥状流動土や高濃度泥水を回転刃部24に圧送ポンプ(図示せず。)で圧送する。この場合には、鞘管14及び掘進機22の引戻し速度と圧送量のバランスを取りながら、回転刃部24の圧力を、地下水圧に20〜50kN/mを加えた圧力に保ちながら施工を行う。
【0132】
次に、図10(A)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第2の工程における掘進機と鞘管との取外し状態を説明するための模式図、図10(B)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第2の工程における掘進機の取外し状態の他の例を説明するための模式図である。
【0133】
[第2の工程]
図10(A)に示すように、鞘管14の基端側を土留壁Bに溶接等で固着する。また、立坑A内に引戻された鞘管14は溶断等によって取り除く。
続いて、掘進機22と鞘管本体15との間に締結固定されるスペーサーDとの締結を解除する。
【0134】
ここで、前記図6において詳述したように、掘進機22のみを元押ジャッキEで10cmほど引戻し係留を解除する。この時、掘削孔が崩壊しないよう、掘進機の先端から掘削土を改良した泥状流動土や高濃度泥水を回転刃部24に圧送ポンプ(図示せず。)で圧送する。この場合には、鞘管14及び掘進機22の引戻し速度と圧送量のバランスを取りながら、回転刃部24の圧力を、地下水圧に20〜50kN/mを加えた圧力に保ちながら施工を行う。そして、掘進機22内に搭載される駆動モーター(図示せず。)を手で回し、回転刃部24を鞘管用掘削リング1の係留部4と係留部4の間に位置するよう回転させ、元押ジャッキEで30cm程前進させて回転刃部24を鞘管用掘削リング1の前方に移動させる。この時、掘削孔に充満している泥状流動土や高濃度泥水が地上に噴発しないよう掘進機の排泥口(図示せず)より排泥しながら施工する。掘削孔の圧力は、地下水圧に20〜50kN/mを加えた圧力を保つ必要がある。
【0135】
また、図10(B)に示すように、鞘管14Aの基端側を土留壁Bに溶接等で固着する。また、立坑A内に引戻された鞘管14Aは溶断等によって取り除く。
続いて、掘進機22と鞘管本体15との間に締結固定されるスペーサーDとの締結を解除する。
【0136】
ここで、図8において詳述したように、掘進機22のみを前進させることで回転刃部24と鞘管用掘削リング1Aとの係留が解除されて回転刃部24が鞘管用掘削リング1Aの前方に移動する。この時、掘削孔に充満している泥状流動土や高濃度泥水が地上に噴発しないよう掘進機の排泥口(図示せず)より排泥しながら施工する。掘削孔の圧力は、地下水圧に20〜50kN/mを加えた圧力を保つ必要がある。
【0137】
次に、図11(A)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第3の工程における鞘管の設置状態を説明するための模式図、図11(B)は本発明を適用した鞘管の施工方法の一例の第3の工程における掘進機により敷設管の敷設状態を説明するための模式図である。
【0138】
[第3の工程]
図11(A)に示すように、鞘管用掘削リング1及び鞘管本体15から構成される鞘管14が土中に残置されることで土中に鞘管14が敷設されることになる。
【0139】
ここで、掘進機22の回転刃部24を駆動回転させながら元押ジャッキEを伸ばして掘進機22による通常の推進を行う。
【0140】
続いて、図11(B)に示すように、次の敷設管Fが設置できる長さまで元押ジャッキEが伸びたら、元押ジャッキEを収縮させて、立坑Aの底部まで下げる。そして、敷設管Fを立坑A内より鞘管14内に押し入れて、元押ジャッキEを所定の位置に上昇させたのち、元押ジャッキEと掘進機22による通常の推進を行う。
【0141】
なお、本実施の形態では、鞘管の先端側の内周面の円周方向に沿って掘進機の外周面が密接状となるように取り付けられた坑口パッキンを有するものであるが、必ずしも坑口パッキンを有する必要性はない。
【0142】
しかし、鞘管と掘進機との間からの土石の流入を防ぐことができるという点において坑口パッキンを設けることが望ましい。
【0143】
以上の構成よりなる本発明の鞘管の施工方法では、鞘管の開口端に鞘管用掘削リングを取り付けることで既存の掘進機の回転刃部の回転力を利用して鞘管を推進させることが可能となる。
【0144】
また、鞘管用掘削リング及び鞘管を残置した状態で、掘進機による敷設管の施工を続行することが可能となるために、作業効率が非常に良くなる。
【符号の説明】
【0145】
1、1A 鞘管用掘削リング
2 第1の開口端
3 第2の開口端
4、4A 係留部
5 回転板部
6、6A 掘削刃
7 リング本体
8 回転ローラー
9 支持軸
10 凹部
12 切欠開口部
13 係留片
14、14A 鞘管
15 鞘管本体
16 開口端
17 係留用溝部
18 坑口パッキン
19 ゴム製パッキン
20 挟持板
21 側壁
22 掘進機
23 掘進機本体
24 回転刃部
25 先端部
26 支持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12