特許第6137624号(P6137624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137624
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-53998(P2014-53998)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-173911(P2015-173911A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】松下 睦孝
【審査官】 吉田 綾子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−009732(JP,A)
【文献】 特開2010−268965(JP,A)
【文献】 特開2009−160229(JP,A)
【文献】 特開2007−075325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作により演出を行う可動演出装置を備えた遊技機において、
前記可動演出装置は、
駆動手段と、
前記駆動手段の駆動に伴い作動する作動機構と、
前記作動機構に連繋され、該作動機構の作動に伴い初期位置と作動位置との間を往復移動する可動体とを備え、
前記可動体は、
前記作動機構の作動に伴い上方の前記初期位置と該初期位置から作動位置に至る下方の中間位置との間を往復移動する第1可動部材と、
前記第1可動部材に設けられ、記中間位置と作動位置との間を、前記第1可動部材が初期位置と中間位置との間を移動する移動面と交差する方向へ移動可能な第2可動部材とを備え、
前記作動機構は、前記第1可動部材を初期位置から中間位置へ移動させた後に、前記第2可動部材を前記第1可動部材の移動面と交差する方向へ移動させるよう構成され
前記作動機構は、
前記駆動手段に連繋接続した切替手段と、
前記駆動手段の駆動に伴い切替手段との係合状態が切り替わる切替用係合部が設けられた作動部材と、
前記作動部材に設けられ、該作動部材が前記切替手段と切替用係合部との係合状態で保持位置に保持された状態で、前記第1可動部材に設けた第1係合部が摺動自在に係合して該第1可動部材を初期位置に保持するガイド部とを備え、
前記第1可動部材は、前記切替手段の移動に伴って作動部材が保持位置から下方の第1下降位置へ移動するのに伴い初期位置から中間位置に移動するよう構成され、
前記作動部材には、前記切替用係合部に対して切替手段が非係合状態から係合状態に切り替わることで該作動部材が第1下降位置と該第1下降位置より下方の第2下降位置との間で移動する間に、前記第2可動部材に設けた第2係合部に係合して該第2可動部材を前記移動面との交差方向に移動する作動部が設けられ、
前記作動部材が前記切替手段の切替用係合部に対する係合状態で第1下降位置から保持位置に移動することで、前記ガイド部に第1係合部が案内されて第1可動部材が中間位置から初期位置へ持ち上げられるよう構成され
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動体を複数方向に動作させる可動演出装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の枠状装飾体(所謂センター役物)が配設されて、該枠状装飾体の窓口を介して複数の図柄を変動表示する液晶式やドラム式等の図柄表示装置を後方から臨ませると共に、該遊技盤における枠状装飾体の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での図柄変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている。この種のパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら次第に自重により流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置に入賞することにより、所定数の賞球が払い出されると共に、前記図柄表示装置での図柄変動演出に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組合わせで停止することにより所謂大当りが発生し、前記特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るよう構成される。
【0003】
前記パチンコ機では、前記枠状装飾体等に、所要の動作を行う複数の可動体を備えた可動演出装置を配設し、前記図柄表示装置で行われる遊技演出に合わせて複数の可動体を動作させることにより、視覚的な演出効果を向上させ、遊技の興趣を高めるようにしたパチンコ機も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−233209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された可動演出装置は、異なる動きをする各可動体(回転装飾部材,回転体)毎に専用の駆動手段を備えており、各駆動手段を個別に駆動制御することで各々の可動体を動作させるよう構成されている。すなわち、異なる動きをする可動体を備える場合には、動きが異なる可動体と同数の駆動手段が必要となり、コストが嵩むと共に、複数の駆動手段の設置スペースを確保するために他の遊技部品の設置スペースを圧迫する難点が指摘される。そこで、1つの駆動手段で可動体に異なる動きをさせるよう構成した可動演出装置が提案されているが、従来の当該タイプの可動演出装置は、可動体を平面的に異なる方向に動作するだけであり、インパクトに欠けて高い演出効果が得られるものではなかった。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、単一の駆動手段で可動体に立体的な動作を行わせて興趣を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
動作により演出を行う可動演出装置(44)を備えた遊技機において、
前記可動演出装置(44)は、
駆動手段(85)と、
前記駆動手段(85)の駆動に伴い作動する作動機構(86)と、
前記作動機構(86)に連繋され、該作動機構(86)の作動に伴い初期位置と作動位置との間を往復移動する可動体(45)とを備え、
前記可動体(45)は、
前記作動機構(86)の作動に伴い上方の前記初期位置と該初期位置から作動位置に至る下方の中間位置との間を往復移動する第1可動部材(47)と、
前記第1可動部材(47)に設けられ、記中間位置と作動位置との間を、前記第1可動部材(47)が初期位置と中間位置との間を移動する移動面と交差する方向へ移動可能な第2可動部材(48)とを備え、
前記作動機構(86)は、前記第1可動部材(47)を初期位置から中間位置へ移動させた後に、前記第2可動部材(48)を前記第1可動部材(47)の移動面と交差する方向へ移動させるよう構成され
前記作動機構(86)は、
前記駆動手段(85)に連繋接続した切替手段(88b)と、
前記駆動手段(85)の駆動に伴い切替手段(88b)との係合状態が切り替わる切替用係合部(96d,96e)が設けられた作動部材(89)と、
前記作動部材(89)に設けられ、該作動部材(89)が前記切替手段(88b)と切替用係合部(96d,96e)との係合状態で保持位置に保持された状態で、前記第1可動部材(47)に設けた第1係合部(72)が摺動自在に係合して該第1可動部材(47)を初期位置に保持するガイド部(95)とを備え、
前記第1可動部材(47)は、前記切替手段(88b)の移動に伴って作動部材(89)が保持位置から下方の第1下降位置へ移動するのに伴い初期位置から中間位置に移動するよう構成され、
前記作動部材(89)には、前記切替用係合部(96d,96e)に対して切替手段(88b)が非係合状態から係合状態に切り替わることで該作動部材(89)が第1下降位置と該第1下降位置より下方の第2下降位置との間で移動する間に、前記第2可動部材(48)に設けた第2係合部(101a)に係合して該第2可動部材(48)を前記移動面との交差方向に移動する作動部(89c)が設けられ、
前記作動部材(89)が前記切替手段(88b)の切替用係合部(96d,96e)に対する係合状態で第1下降位置から保持位置に移動することで、前記ガイド部(95)に第1係合部(72)が案内されて第1可動部材(47)が中間位置から初期位置へ持ち上げられるよう構成されたことを要旨とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、単一の駆動手段によって可動体を立体的に動作させ得るよう構成したので、インパクトのある動作演出によって興趣を向上し得る。
また、第1可動部材を中間位置に移動した後に第2可動部材を移動するよう構成したので、メリハリのある動作演出ができ、興趣を向上し得る。
更に、作動部材によって第1可動部材および第2可動部材を移動させ得るので、作動機構が簡単になる。
【0011】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
遊技球が流下可能な遊技領域(24)が前側に設けられる遊技盤(20)を備え、
前記可動演出装置(44)は、
前記遊技盤(20)の盤面に平行な移動面に沿って前記第1可動部材(47)が初期位置と中間位置との間を上下方向に移動可能に支持され、
前記第2可動部材(48)は、前記第1可動部材(47)の移動面と交差する前後方向に移動するように第1可動部材(47)に配設され、
前記作動部材(89)は支軸部(92)を介して揺動自在に支持され、該作動部材(89)の支軸部(92)から離間する端部側に前記ガイド部(95)が設けられると共に、該作動部材(89)における支軸部(92)での支持部位とガイド部(95)との間に、前記切替用係合部(96d,96e)が設けられたことを要旨とする。
この構成によれば、遊技盤の盤面に沿って落下した第1可動部材に配設された第2可動部材が前後方向に移動するので、遊技者に対してよりインパクトを与えることができ、興趣をより向上し得る。また、作動部材における支軸部での支持部とガイド部との間に切替用係合部を設けたので、切替手段との係合作用下に作動部材および可動体を持ち上げる際に駆動手段に加わる負荷を小さくし得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る遊技機によれば、可動体を立体的に動作させて興趣を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例に係る遊技盤の正面図であって、可動体が初期位置の状態で示している。
図3】実施例に係る可動演出装置を可動体が初期位置の状態で示す概略斜視図である。
図4】実施例に係る可動演出装置の装置本体からベース部材を取り外して作動機構を示す背面図であって、作動部材が保持位置の状態で示している。
図5】実施例に係る設置部材を配設した遊技盤の要部縦断側面図であって、可動体が初期位置の状態で示している。
図6】実施例に係る可動演出装置における装置本体と作動機構とを分解して前側から見た概略斜視図である。
図7】実施例に係る可動演出装置における装置本体と作動機構とを分解して後側から見た概略斜視図である。
図8】実施例に係る可動演出装置におけるガイド手段および第1可動部材を分解して前側から見た概略斜視図である。
図9】実施例に係る可動演出装置におけるガイド手段および第1可動部材を分解して後側から見た概略斜視図である。
図10】実施例に係る可動演出装置における第2可動部材および該第2可動部材を動作させる機構部分を分解して前側から見た概略斜視図である。
図11】実施例に係る可動演出装置における第2可動部材および該第2可動部材を動作させる機構部分を分解して後側から見た概略斜視図である。
図12】実施例に係る遊技盤の正面図であって、可動体が中間位置の状態で示している。
図13】実施例に係る可動演出装置の装置本体からベース部材を取り外して作動機構を示す背面図であって、作動部材が第1下降位置の状態で示している。
図14】実施例に係る設置部材を配設した遊技盤の要部縦断側面図であって、可動体が中間位置の状態で示している。
図15】実施例に係る遊技盤の正面図であって、可動体が作動位置の状態で示している。
図16】実施例に係る可動演出装置を可動体が作動位置の状態で示す概略斜視図である。
図17】実施例に係る可動演出装置の装置本体からベース部材を取り外して作動機構を示す背面図であって、作動部材が第2下降位置の状態で示している。
図18】実施例に係る設置部材を配設した遊技盤の要部縦断側面図であって、可動体が作動位置の状態で示している。
図19】実施例に係る可動演出装置の装置本体からベース部材を取り外して作動機構を示す背面図であって、作動部材が第1下降位置から保持位置へ移動する途中の状態で示している。
図20】実施例に係る回転作動体の切替用被係合部と作動部材の作動壁との関係を示す説明図であって、(a)は作動部材が第1下降位置に位置する状態を示し、(b)は切替用被係合部が作動壁に当接して作動部材を第1下降位置から第2下降位置に移動した状態を示している。
図21】実施例に係る第2可動部材と連繋部材との関係を示す概略斜視図であって、(a)は第2可動部材が第1姿勢の状態を示し、(b)は第2可動部材の第2姿勢の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0015】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤20の後側に、図柄を変動表示可能な表示装置17が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明板13aで前後に開口する窓口13bを覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
前記前枠13には、図1に示す如く、下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。なお、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に形成された遊技領域24(後述)への打ち込み位置を変えられるようになっている。
【0017】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板部材であって、該遊技盤20の裏側に、前記表示装置17や後述する各種の可動演出装置44や発光演出装置42等が配設される設置部材22が配設されている。設置部材22は、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さい形状に形成された略矩形状の背面板18と、該背面板18の外周縁部から前方に突出する画壁部19とから前方に開口した箱状に形成されて(図5に一部のみ図示)、該画壁部19の開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材22とがネジ止め固定される。そして、前記設置部材22において前記遊技盤20との間に画成される空間に、動作により演出を行う可動演出装置44や発光により演出を行う発光演出装置42等が設置されて、設置部材22を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、設置部材22の背面板18には、後述する枠状装飾体26の窓口26aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部22aが前後に開口するよう開設されて、背面板18の裏面に配設した前記表示装置17の表示部17aが、前記開口部22aおよび窓口26aを介して遊技盤20の前側に臨むよう構成される。なお、遊技盤20は、木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート等を貼付けて装飾したものであってもよい。
【0018】
前記遊技盤20の前面には、図2に示す如く、略円形状に湾曲形成した案内レール23が配設されると共に、該案内レール23により画成される略円形の領域内の下部側に該領域を上下に仕切る仕切部材21が配設されており、該仕切部材21の上側で案内レール23により画成される遊技領域24に、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が適宜位置に開設されており、各装着口に対して各種の遊技部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域24の最下部位置には、該遊技領域24に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口25が開設されている。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に取り付けられる各種遊技部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0019】
実施例の前記遊技盤20には、図2に示すように、前記案内レール23で囲まれた遊技領域24の略中央で開口する装着口に、前後に開口する窓口(開口部)26aが形成されたセンター役とも称される枠状装飾体26が取り付けられ、該枠状装飾体26の窓口26aを介して前記表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。なお、前記遊技盤20には、前記遊技領域24内に多数の遊技釘27が設けられると共に、前記枠状装飾体26の左側方に、遊技領域24を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する所謂「風車」とも称される回転案内部材28が回転自在に支持されており、遊技領域24を流下するパチンコ球が遊技釘27や回転案内部材28に接触することで、流下方向が不規則に変化するよう構成されている。
【0020】
前記遊技盤20における第1装着口(枠状装飾体26)の下方に開設された第2装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口29aを有する始動入賞部29が取り付けられている。また、遊技盤20には、第2装着口の左上方に開設された第3装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口30aが設けられたサイド飾り30が取り付けられる。更に、遊技盤20における第2装着口の右上方の遊技領域24に、上側から第4装着口、第5装着口、第6装着口および第7装着口が開設される。そして、第4装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート31が取り付けられ、第5装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口32aが設けられた普通入賞口部材32が取り付けられ、第6装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口33aを有する第2始動入賞装置33が取り付けられ、第6装着口に、遊技領域24を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口34aを有する特別入賞装置34が取り付けられている。
【0021】
(枠状装飾体26について)
前記枠状装飾体26は、前記第1装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部35(図5に一部図示)と、該枠状基部35に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域24と表示装置17の表示部17aを区切る庇状部36と、該庇状部36の後縁から外方に延出する薄板状の台板部37とを備える(図2参照)。そして、前記枠状基部35を第1装着口に挿入すると共に台板部37を遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部37をネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体26が遊技盤20に取り付けられて、該枠状装飾体26の外側、具体的には庇状部36と案内レール23との間にパチンコ球が流下する遊技領域24が画成されるようになっている。なお、枠状装飾体26を遊技盤20に取り付けた状態で、庇状部36の後端縁から外方に延出する台板部37が遊技盤20の前面に沿って延在して、該台板部37の前側をパチンコ球が通り得るようになっている。
【0022】
前記枠状装飾体26の庇状部36は、枠状装飾体26(台板部37)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、前記表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また庇状部36は、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域24に打ち出されたパチンコ球が庇状部36上で滞ることなく枠状装飾体26の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。すなわち、前記打球発射装置により遊技領域24内に向けて発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて枠状装飾体26の左側の領域か、或いは右側の領域の何れかを流下するよう構成される。なお、実施例では、遊技盤20における枠状装飾体26の左側の領域の最下部および右側の領域の最下部に前記アウト口25が夫々設けられており、各領域を最下部まで流下したパチンコ球を対応するアウト口25を介して機裏側に排出するよう構成してある。
【0023】
前記枠状装飾体26には、図2に示す如く、窓口26aの下側(枠状装飾体26の内周下縁部)に、ステージ38が配設されると共に、窓口26aの左側に、前記遊技領域24に開口して該遊技領域24を流下するパチンコ球を枠状装飾体26の内側(ステージ38)に取り込む球導入部39が設けられ、該球導入部39がステージ38に連通するよう構成される。そして、球導入部39からステージ38に通出されたパチンコ球は、ステージ38上を左右に転動した後に、前記各入賞口29a,30aが設けられている遊技領域24に排出される。また、ステージ38の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁40が設けられ、ステージ38上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁40で防止している。
【0024】
ここで、実施例では、前記枠状装飾体26の枠状基部35や庇状部36の前側に、各種の意匠が施された複数の装飾部品41が配設され、該装飾部品41および透明壁40によって前記表示装置17の表示部17aを前側に臨ませる窓口26aが画成されている。
【0025】
(始動入賞部29について)
前記遊技盤20に配設された前記始動入賞部29の第1始動入賞口29aは、遊技領域24内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該第1始動入賞口29aは、前記遊技領域24を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。また始動入賞部29は、前記第1始動入賞口29aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第1始動入賞検出センサ(図示せず)を備えている。第1始動入賞検出センサは、パチンコ機10の裏側に配設された制御手段(図示せず)に配線接続されており、該第1始動入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0026】
(始動入賞装置33について)
前記始動入賞装置33の第2始動入賞口33aは、開閉部材33bによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド(図示せず)の駆動に伴って開閉部材33bが第2始動入賞口33aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口33aは、始動入賞ソレノイドを駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。なお、開閉部材33bを閉鎖位置から開放位置に変位して第2始動入賞口33aを開放する開放条件および開閉部材33bを開放位置から閉鎖位置に変位して第2始動入賞口33aを閉鎖する閉鎖条件としては、開閉部材33bが開放位置に変位している継続時間(第2始動入賞口33aの開放時間)が挙げられるが、その他の条件を設定してもよい。
【0027】
前記始動入賞装置33は、前記第2始動入賞口33aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第2始動入賞検出センサ(図示せず)を備えている。第2始動入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、該第2始動入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0028】
ここで、パチンコ機10では、第1および第2始動入賞検出スイッチによるパチンコ球の検出に伴って各種情報(乱数等)が取得され、この取得した情報に基づいて制御手段によって特図当り抽選(大当り判定)が行われるよう構成されている。そして、特図当り抽選の結果に基づいて前記表示装置17の表示部17aにおいて図柄変動演出が実行され、該表示装置17の表示部17aでの図柄変動演出の結果、該表示部17aに所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な大当り遊技状態が付与され、大当り遊技状態の発生に伴って前記特別入賞装置34を所定の開放条件で開放する大当り遊技(当り遊技)が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。
【0029】
(特別入賞装置34について)
前記特別入賞装置34の特別入賞口34aは、開閉体(開閉部材)34bによって開閉されるよう構成される。開閉体34bは、駆動手段としての特別入賞ソレノイド(図示せず)に連繋されて、該特別入賞ソレノイドを駆動することで、開閉体34bが特別入賞口34aへのパチンコ球の入賞を阻止する閉位置と該特別入賞口34aへのパチンコ球の入賞を許容する開位置との間を進退移動するよう構成される。また特別入賞装置34には、前記特別入賞口34aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞検出センサ(図示せず)が配設されている。特別入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、特別入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。なお、特別入賞装置34は、開閉体34bにより特別入賞口34aを常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、前記大当り遊技(当り遊技)の発生に伴って特別入賞口34aを開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。
【0030】
(球通過ゲート31について)
前記球通過ゲート31は、該ゲート31を通過するパチンコ球を検出する球通過検出センサ(図示せず)が設けられている。この球通過検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、該球通過検出センサから制御手段への球検出信号の入力に伴って各種情報(乱数等)が取得され、この取得した情報に基づいて制御手段によって普図当り抽選が行われ、該普図当り抽選の結果に応じて前記始動入賞装置33の始動入賞ソレノイドが駆動制御されて開閉部材33bが開閉動作するようになっている。
【0031】
(普通入賞口30a,32aについて)
前記サイド飾り30には、図2に示す如く、2つの普通入賞口30aが設けられている。これに対し、前記普通入賞部材32には、前記球通過ゲート31の下方に1つの普通入賞口32aが設けられている。普通入賞口30a,32aは、前記遊技領域24内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、遊技領域24を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。パチンコ機10は、普通入賞口30a,32aに入賞したパチンコ球を検出する普通入賞検出手段としての普通入賞検出センサ(図示せず)を備えている。普通入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、普通入賞検出センサによるパチンコ球の検出を契機として制御手段が所定数の賞球を払い出す制御を行うようになっている。
【0032】
(装飾可動体43について)
前記設置部材22には、図5に示す如く、前記開口部22aより上側位置に、前記枠状装飾体26の窓口26aの上縁を画成する前記装飾部品41の後側に重なって発光演出装置42が配設されている。この発光演出装置42は、発光基板の前面にLED等の複数の発光体を実装して構成され、該発光体を発光することで前側に位置する装飾部品41を明輝させ得るようになっている。また、設置部材22には、図示しない駆動機構によって前記発光演出装置42の後側に重なる第1位置と、前記枠状装飾体26における窓口26aの中央側の第2位置との間を往復移動される装飾可動体43が配設されている。なお、装飾可動体43は、本体内部に発光体を備えると共に、本体前面にはパチンコ機10のモチーフとなる意匠が施されており、第2位置に移動した装飾可動体43が窓口26aから前側に露出した状態において発光体を発光して意匠を明輝する発光演出を行い得るよう構成されている。
【0033】
(可動演出装置44について)
前記設置部材22の背面板18には、前記遊技盤20に対して変位可能な可動体45を備えて、該可動体45を動作することで演出を行う可動演出装置44が配設される。可動演出装置44は、前記可動体45を動作させる駆動機構46を備え、該駆動機構46によって可動体45は、初期位置(図5)と作動位置(図18)との間を往復移動するよう構成されると共に、該可動体45は、初期位置から作動位置に至る中間位置までの移動方向と、中間位置から作動位置までの移動方向とが異なるよう構成される。
【0034】
前記可動体45は、図3に示す如く、駆動機構46の駆動に伴い初期位置と中間位置との間を往復移動する第1可動部材47と、該第1可動部材47に設けられ、第1可動部材47と共に初期位置と中間位置との間を移動すると共に該第1可動部材47が初期位置と中間位置との間を移動する移動面と交差する方向へ移動可能な第2可動部材48とを備えている。具体的には、第1可動部材47は、駆動機構46によって前記枠状装飾体26における窓口26aの上縁部側の初期位置と、該初期位置より下方で窓口中央側の中間位置との間を上下方向に往復移動されるよう構成される。また、第2可動部材48は、第1可動部材47の前側に配設されて、駆動機構46によって第1可動部材47が移動する移動面に略沿う第1姿勢と該移動面と交差する第2姿勢とに変化し得るように移動される。実施例では、第1可動部材47が中間位置に位置する状態で、第2可動部材48が第2姿勢に移動した位置が可動体45の作動位置となっている。すなわち、可動体45は、第1可動部材47と第2可動部材48とが一体で初期位置と中間位置との間を移動する第1動作と、中間位置において第2可動部材48のみが中間位置と作動位置との間を移動する第2動作とを行い得るよう構成してある。
【0035】
前記第1可動部材47の初期位置では、図5に示す如く、可動体45が前記第1位置の装飾可動体43の後側に重なって前側から視認されない状態となり、第1可動部材47を中間位置(図12,図14)に移動することで、可動体45は窓口26aに臨んで前側から視認可能な状態となるよう構成される。また、前記第2可動部材48は、第1可動部材47の中間位置において第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化することで、図15,図16,図18に示す如く、該第2可動部材48の自由端部が第1位置の装飾可動体43より前側に延出するようになっている。なお、第1可動部材47の中間位置は、第1位置の装飾可動体43に対して第1姿勢と第2姿勢との間を移動する第2可動部材48が干渉しない位置に設定される。
【0036】
(装置本体49について)
前記可動演出装置44は、図5,図6,図7に示す如く、前記設置部材22の背面板18側に位置するベース部材50と、該ベース部材50の前側に配設されるカバー部材51とから装置本体49が構成され、該装置本体49が背面板18にネジ止め固定されている。カバー部材51は、ベース部材50と外形形状が略同じ横長矩形状の板部と、該板部の外周縁から後側に突出する側壁とからトレー状に形成された部材であって、該側壁の後端をベース部材50の前面に当接した状態で該カバー部材51をベース部材50に取り付けることで、両部材50,51の間に作動機構収容空間52が画成されるように構成される。そして、この作動機構収容空間52に、後述する作動機構86が収容されるようになっている。
【0037】
(第1可動部材47について)
前記第1可動部材47は、図8,図9に示す如く、該第1可動部材47の往復移動方向(上下方向)と交差する左右方向に長尺な基体53と、該基体53の前端に配設された意匠体54と、基体53と意匠体54との間に配設された複数の発光基板55,56,56とを備える。基体53は、横長矩形状の板部と、該板部の外周縁から前側に突出する側壁とからトレー状に形成された部材であって、該側壁の前端に意匠体54を取り付けることで基体53と意匠体54との間に画成される収容空間に、前記発光基板55,56,56が収容されている。
【0038】
前記意匠体54は光透過性の部材で形成されると共に、該部材の表面に非光透過性のメッキ等を施すことで、左右方向の中央部に中央意匠部54aが形成されている。この中央意匠部54aは、実施例では前記第2可動部材48の動作に関連する擬音を表わす文字(「ドーン」)が表示されている。また、意匠体54には、図8に示す如く、中央意匠部54aを挟む左右両側に、前後方向に貫通する取付孔54bが夫々設けられており、各取付孔54bに後側から意匠部品57が嵌め込まれている。意匠部品57は光透過性の部材で形成されると共に、取付孔54bから前側に臨む前面に、非光透過性のメッキ等を施すことで所要の意匠を表わした意匠部57aが設けられている。なお、図面では意匠部品57の意匠部57aが表わす意匠については省略している。
【0039】
前記第1可動部材47の収容空間には、前記意匠体54における中央意匠部54aの後側に位置するように中央発光基板55が収容されると共に、前記各意匠部品57の後側に位置するように各側部発光基板56が収容されている。各発光基板55,56,56の前面には、LED等の発光体55a,56a,56aが複数実装されており、各発光体55a,56a,56aを発光することで対応する意匠体54の中央意匠部54aおよび意匠部品57,57の意匠部57a,57aを明輝し得るよう構成される。また、各側部発光基板56と対応する意匠部品57との間には、光透過性で光拡散処理が施された光拡散部材58が配設されており、前記発光体56aからの光を該光拡散部材58によって広範囲に拡散することで意匠部品57における意匠部57aの全体を明輝させ得るようになっている。
【0040】
前記意匠体54には、図18等に示す如く、前記中央意匠部54aの下側で、前記第2可動部材48が第2姿勢となった状態で該第2可動部材48の後端(後述する導光体83の後端)に対向する位置に、前後方向に貫通する導光孔54cが穿設されている。また、前記中央発光基板55には、該導光孔54cに対応する位置に特定発光体55bが配置されており、該特定発光体55bからの光が導光孔54cを通って第2可動部材48の導光体83に入射可能に構成されている。
【0041】
(第1ガイド手段59について)
次に、前記装置本体49に対する第1可動部材47の支持構造について説明する。装置本体49の前側に、左右方向に離間する第1ガイド手段59および第2ガイド手段63を介して前記第1可動部材47が上下方向に平行移動するように支持されている。装置本体49の前記カバー部材51における左右方向の中央より右側に偏った位置に配置される第1ガイド手段59は、該カバー部材51の前面に配設されて上下方向に延在する第1固定レール60と、第1可動部材47(基体53)の裏面に配設されて上下方向に延在する第2固定レール61と、両固定レール60,61の間に配置されて各固定レール60,61に対して相対的に移動自在に支持された第1スライド体62とから構成される。第1スライド体62は、第1固定レール60に対して所定長さ範囲で上下方向に移動自在に支持されると共に、第2固定レール61に対しても所定長さ範囲で上下方向に移動自在に支持されており、第1可動部材47は、第1固定レール60に対して第1スライド体62が移動する長さと、該第1スライド体62に対して第2固定レール61が移動する長さとを足した長さの範囲で上下方向に移動可能に構成されている。すなわち、第1固定レール60,第1スライド体62および第2固定レール61の略全体が前後方向に重なった第1ガイド手段59の最も縮まった状態で、第1可動部材47(可動体45)が装置本体49の前側に重なった初期位置に位置し、第1固定レール60,第1スライド体62および第2固定レール61が相対的に移動して上下方向に連なった第1ガイド手段59の最も伸びた状態で、第1可動部材47(可動体45)が中間位置に位置するようになっている。
【0042】
前記第1ガイド手段59は、第1可動部材47が初期位置から中間位置へ移動する初期には第1スライド体62が第2固定レール61と一体的に移動し、中間位置に至る前に第1固定レール60に設けた図示しない第1ストッパに第1スライド体62が当接することで該第1スライド体62の移動が規制された後は、第1スライド体62に対して第2固定レール61(第1可動部材47)が単独で移動する。そして、第1スライド体62に設けた図示しない第2ストッパに第2固定レール61が当接することで該第2固定レール61の移動が規制された位置が、第1可動部材47の中間位置となる。また、第1可動部材47が中間位置から初期位置へ移動する初期には第1スライド体62に対して第2固定レール61(第1可動部材47)が単独で移動し、初期位置に至る前に第1スライド体62に設けた図示しない当接部に第2固定レール61が当接することで該第2固定レール61が第1スライド体62と一体的に移動(上方移動)して、第1可動部材47の中間位置に至るように構成される。なお、第1ガイド手段59は、第1スライド体62と各固定レール60,61とに当接して転動する転動体として金属球を用いた所謂ボール軸受構造が採用され、第1可動部材47の円滑な移動を図り得るよう構成してある。
【0043】
(第2ガイド手段63について)
前記カバー部材51における左右方向の中央より左側に偏った位置に配置される前記第2ガイド手段63は、該カバー部材51および第1可動部材47の夫々に対して相互に上下方向に移動自在に支持された第2スライド体64を備える。すなわち、図8,図9に示す如く、カバー部材51には、前後方向に貫通して上下方向に延在する一対の第1ガイド孔51a,51aが左右方向に離間して平行に形成されると共に、第2スライド体64の裏面上部位置に、各第1ガイド孔51aと対応する位置で後方に突出する第1ガイドボス64aが設けられており、各第1ガイドボス64aを対応する第1ガイド孔51aに夫々移動自在に挿通することで、カバー部材51に対して第2スライド体64が上下方向に移動自在に支持される。実施例では、第1ガイドボス64aに摺動性に優れた材料(摩擦係数が小さい材料)から形成された環状体65が外嵌されており、該環状体65が第1ガイド孔51a内に摺動自在に臨んでいる。また実施例では、各第1ガイド孔51aに対応して上下に離間する2つの第1ガイドボス64a,64aが第2スライド体64に突設されており、各第1ガイド孔51aに対して上下に離間する2つの第1ガイドボス64a,64aを挿通することで、第2スライド体64が移動する際に傾くのを抑制し得るようになっている。なお、第1ガイド孔51aに前側から挿通されて該第1ガイド孔51aから後方に突出する2つの第1ガイドボス64a,64aの後端に、該第1ガイドボス64a,64aが第1ガイド孔51aから抜けるのを防ぐ抜け止め部材66が取り付けられている(図4参照)。
【0044】
前記第2スライド体64には、図8,図9に示す如く、左右方向の中央に、前後方向に貫通する第2ガイド孔64bが上下方向に延在するように形成されている。また、第1可動部材47(基体53)の裏面には、矩形状の規制突部67が突設されると共に、該規制突部67から後方に突出する複数(実施例では2つ)の第2ガイドボス67aが上下方向に離間して設けられている。そして、2つの第2ガイドボス67a,67aを第2スライド体64の第2ガイド孔64bに移動自在に挿通することで、第2スライド体64および第1可動部材47は上下方向に相対的に移動可能に構成される。なお、第2ガイド孔64bに前側から挿通されて該第2ガイド孔64bから後方に突出する2つの第2ガイドボス67a,67aの後端に、該第2ガイドボス67a,67aが第2ガイド孔64bから抜けるのを防ぐ抜け止め部材66が取り付けられている(図13参照)。第2ガイド孔64bに上下に離間する2つの第2ガイドボス67a,67aを挿通することで、第2スライド体64に対して第1可動部材47が移動する際に傾くのを抑制し得るようになっている。
【0045】
前記第2スライド体64には、図8,図9に示す如く、左右両側面の上端部から外側方に延出する延出部64c,64cが設けられている。また、第2スライド体64の前面には、左右両側に金属板からなる第1補強材68が配設されている。第1補強材68には、図5に示す如く、対応する延出部64cの下面に当接する補強片68aが後方に延出するように設けられている。また、前記カバー部材51の前面には、図8に示す如く、一対の第1ガイド孔51a,51aを挟む左右両側に取付受部51bが夫々設けられると共に、各取付受部51bにはゴム等からなる第1緩衝部材69が配設されている。そして、前記可動体45(第1可動部材47)が初期位置から中間位置に落下する途中において、該可動体45(第1可動部材47)と共に落下する第2スライド体64の両延出部64c,64cが補強片68a,68aを介してカバー部材51に配設された第1緩衝部材69,69の上面に当接することで、該第2スライド体64の下方移動が規制されるよう構成してある(図14参照)。第1緩衝部材69は、第2スライド体64の下方移動(落下)を規制するストッパとして機能すると共に、自重落下する可動体45(第1可動部材47)が中間位置で止まる際に加わる衝撃を緩和するべく機能する。
【0046】
前記第2スライド体64の前面には、図8に示す如く、前記第2ガイド孔64bの下端より下側に、前方に延出する受部64dが設けられると共に、該受部64dの上側に第2緩衝部材70が配設されている。また、前記第1可動部材47の規制突部67には、下面および左右両側面を覆うように凹状に形成された金属板からなる第2補強材71が配設されている。そして、前記第1緩衝部材69,69の上面に補強片68a,68aを介して延出部64c,64cが当接して下方移動(落下)が規制された第2スライド体64に対して可動体45(第1可動部材47)が下方移動(落下)して中間位置に至った際に、該規制突部67が第2補強材71を介して第2緩衝部材70の上面に当接することで、該可動体45(第1可動部材47)の下方移動(落下)が規制されるよう構成してある(図14参照)。第2緩衝部材70は、可動体45(第1可動部材47)の下方移動(落下)を規制するストッパとして機能すると共に、自重落下する可動体45(第1可動部材47)が中間位置で止まる際に加わる衝撃を緩和するべく機能する。
【0047】
前記第2ガイド手段63においては、可動体45(第1可動部材47)が初期位置から中間位置へ移動する初期には第2スライド体64が可動体45(第1可動部材47)と一体的に移動し、中間位置に至る前に第2スライド体64の延出部64c,64cが補強片68a,68aを介して第1緩衝部材69,69が当接することで該第2スライド体64の移動が規制された後は、第2スライド体64に対して可動体45(第1可動部材47)が単独で移動する。そして、第2スライド体64に設けた第2緩衝部材70に規制突部67が第2補強材71を介して当接することで該可動体45(第1可動部材47)の移動が規制された位置が中間位置となる。また、可動体45(第1可動部材47)が中間位置から初期位置へ移動する初期には第2スライド体64に対して可動体45(第1可動部材47)が単独で移動し、初期位置に至る前に第2スライド体64に設けた上側の第2ガイドボス67aが第2ガイド孔64bの上端を画成する壁に下方から当接することで該可動体45(第1可動部材47)が第2スライド体64と一体的に移動(上方移動)して初期位置に至るように構成される。なお、第1ガイド手段59および第2ガイド手段63において、前記カバー部材51(第1固定レール60)に対してスライド体62,64の下方移動が規制される位置、該スライド体62,64に対して可動体45(第1可動部材47,第2固定レール61)の下方移動が規制される位置、およびスライド体62,64と可動体45(第1可動部材47,第2固定レール61)とが一体的に上方移動を開始する位置は同じとなるよう設定されており、可動体45(第1可動部材47)は左右方向に離間して配置される一対のガイド手段59,63によって初期位置と中間位置との間を平行移動するよう構成される。
【0048】
ここで、前記第1ガイド手段59および第2ガイド手段63は、前記遊技盤20の盤面に対して平行に延在するように設けられており、両ガイド手段59,63によって装置本体49に対して移動自在に支持された可動体45(第1可動部材47)は、該遊技盤20の盤面に平行な移動面に沿って初期位置と中間位置との間を平行な状態を保ったまま移動するよう構成される。また、ガイド手段59,63として、装置本体49および可動体45(第1可動部材47)に対して相対的に移動するスライド体62,64を設けているので、可動体45(第1可動部材47)と装置本体49とが前後に重なった初期位置と、該可動体45(第1可動部材47)が下方移動した中間位置との間の距離をスライド体62,64によって長く設定することができるようになっている。
【0049】
前記第1可動部材47の基体53には、長手方向の略中央において後方に向けて第1係合部72が突出するように設けられており、該第1係合部72が、後述する作動部材89に設けたガイド用係合孔94に摺動自在に挿通支持される。この第1係合部72は、前記基体53に突設した筒受部73に設けられて後方に突出する軸体であって、該第1係合部72が、ガイド用係合孔94に摺動自在に挿通されるようになっている。実施例では、第1可動部材47に設けられた第1係合部としての軸体について、第1軸体72と指称するものとする。また実施例では、第1軸体72に鍔付きスリーブ74が外嵌されており、第1軸体72は鍔付きスリーブ74のスリーブ部を介してガイド用係合孔94に対して摺動自在に構成してある。なお、第1軸体72には、鍔付きスリーブ74より前側に、ガイド用係合孔94より大径のリング体75が外嵌されており、該リング体75と鍔付きスリーブ74の鍔部とによって作動部材89を前後から挟むことで、第1軸体72(鍔付きスリーブ74)のガイド用係合孔94からの抜け止めが図られている。図6,図7に示す如く、前記装置本体49のカバー部材51には、第1可動部材47から後方に突出する第1軸体72の上下移動を許容する前後方向に貫通する切欠部51cが、下方に開放するように設けられている。また、装置本体49のベース部材50に、カバー部材51の切欠部51cと対応する位置において前後方向に貫通すると共に下方に開放する切欠部50aが形成されており、前記作動部材89の後側に突出する前記第1軸体72の突出端がベース部材50と干渉するのを防ぐようになっている。
【0050】
(第2可動部材48について)
前記第1可動部材47を構成する前記意匠体54の前面に、前記第2可動部材48が移動自在に配設されている。この第2可動部材48は、図10,図11に示す如く、支持体76と、該支持体76を挟んで組み付けられる第1半体77および第2半体78を備え、該第2可動部材48は、実施例では「指」を模した形状に形成されている。支持体76には左右方向に延在する筒状部76aが設けられると共に、該筒状部76aの左右両端部には動作支軸79が外方に延出する状態で夫々配設されている。また、前記意匠体54における前記中央意匠部54aの下側に、左右方向に離間して前方および対向側に開放する受溝80aが形成された一対の軸受部80,80が設けられており、前記支持体76の両動作支軸79,79を軸受部80,80に回動自在に支持することで、第2可動部材48は、左右方向に延在する動作支軸79,79の軸線を中心として、前記第1可動部材47の前記移動面と交差する前後方向に揺動可能に支持される。実施例では、第1可動部材47に対して第2可動部材48は、第1可動部材47に対する枢支部側である基端部から動作支軸79の径方向に延出する自由端部を上方に向けた第1姿勢(図5参照)と、該自由端部を前方に向けた第2姿勢(図18参照)との間を揺動可能に構成されている。なお、意匠体54には、左右の軸受部80,80の前側開口を前側から塞いで動作支軸79,79の脱落を防ぐ前側意匠部品81が着脱自在に配設されている。この前側意匠部品81は、第2可動部材48で表される「指」に関連する「手」を模した形状に形成されており、第2可動部材48および前側意匠部材81によって、第2可動部材48の第1姿勢では手の指を上向き立てた意匠を形成すると共に、第2可動部材48の第2姿勢では指で前方を指し示す意匠を形成するようになっている(図3,図16参照)。また、第2可動部材48の第1姿勢では、前記中央意匠部54aが該第2可動部材48によって部分的に隠され、第2可動部材48を第2姿勢に移動することで、中央意匠部54aの全体が前側から視認可能に露出するよう構成される。
【0051】
前記支持体76から右方に延出する筒状部76aに、径方向(実施例では第1姿勢において後方)に延出するレバー部82が設けられると共に、該レバー部82の延出端に、動作支軸79と平行に延在する作動片82aが右方に向けて突設されている。そして、作動片82aに後述する連繋部材97が連繋されて、該連繋部材97の作動に伴って第2可動部材48が第1姿勢と第2姿勢との間を移動するよう構成される(図21参照)。
【0052】
前記第2可動部材48の内部には、基端部から自由端部までの間に亘って延在する導光体83が配設されている。この導光体83の長手方向の一端(第2可動部材48の第2姿勢での後端)は、第2可動部材48の基端部で外方に露出すると共に、該導光体83の長手方向の他端(第2可動部材48の第2姿勢での前端)は、第2可動部材48の自由端部外方で露出する発光部84に接続されている。そして、第2可動部材48の第2姿勢では、図18に示す如く、導光体83の後端が意匠体54に設けた前記導光孔54cの前側に位置し、前記中央発光基板55に設けた特定発光体55bからの光を導光体83を介して発光部84に導びくことができるよう構成してある。
【0053】
(駆動機構46について)
前記装置本体49に、可動体45(可動部材47,48)を動作する前記駆動機構46が配設されている。この駆動機構46は、図6,図7に示す如く、駆動手段としての駆動モータ85と、該駆動モータ85と可動体45(可動部材47,48)とを連繋し、該駆動モータ85の駆動に伴い作動して可動体45(可動部材47,48)を動作させる作動機構86とを備える。駆動モータ85は、前記カバー部材51の右端部前面に後向きに配設されて、該モータ85の出力軸を前記作動機構収容空間52内に臨ませている。カバー部材51には、作動機構収容空間52に収容された状態で作動機構86が配設される。この作動機構86は、駆動モータ85の出力軸に一体回転するよう連結された駆動歯車87に連繋接続された回転作動体88と、該回転作動体88および前記可動体45(可動部材47,48)に連繋する作動部材89とを備える。
【0054】
前記作動機構86の構成を具体的に説明すると、前記カバー部材51の裏面における右端部に、前記駆動モータ85の出力軸に連結された駆動歯車87が配置され、該駆動歯車87の左側(図4では右側)には、該駆動歯車87に噛合する従動歯車90がカバー部材51に回転自在に枢支されている。また、従動歯車90を挟んで駆動歯車87と反対側の位置に、前記回転作動体88がカバー部材51に回転自在に枢支されている。この回転作動体88は円盤状の部材であって、外周面の前部側に形成された歯車部88aが前記従動歯車90に噛合しており、駆動モータ85を所定方向に回転駆動することで、従動歯車90を介して回転作動体88が一定方向に回転するよう構成される。回転作動体88には、回転中心から径方向に離間した位置に、後方に向けて突出する切替手段としての切替用被係合部88bが設けられており、該切替用被係合部88bが前記作動部材89に設けた後述する切替用係合部96d,96eに係脱自在に係合するよう構成される(図4,図13,図17参照)。また、回転作動体88には、径方向の外方に延出する検出片88cが設けられており、該検出片88cは、前記ベース部材50に設けた検出手段91によって検出可能に構成されている。検出手段91は、前記制御手段に配線接続されており、該検出手段91からの検出信号の入力に基づいて制御手段が前記駆動モータ85を駆動制御し得るよう構成される。前記検出片88cは、可動体45(第1可動部材47)の初期位置(図4,図5参照)において検出手段91で検出されて、該検出手段91の検出信号の入力に基づいて駆動モータ85を制御手段が停止制御することで、可動体45(第1可動部材47)を初期位置に停止保持し得るよう構成される。実施例では、駆動モータ85の駆動によって回転作動体88は、正面視において時計方向に回転することで第1可動部材47および第2可動部材48に異なる方向の動作を行わせ得るよう構成してある。実施例では、回転作動体88の回転方向について、正面視における時計方向を正転方向と指称すると共に、反時計方向を逆転方向と指称する場合がある。
【0055】
(作動部材89について)
前記カバー部材51の裏面には、前記駆動歯車87の配設位置より上側に、後方に突出するように支持ボス51dが設けられ、該支持ボス51dの後端から後方に延出するように設けられた第1支軸(支軸部)92が、前記作動部材89の長手方向の一端部に設けた支持孔89aに回動自在に挿通されている。すなわち、作動部材89は、長手方向の一端部が第1支軸92を介してカバー部材51に回動自在に枢支されて、該作動部材89は、第1支軸92を中心として長手方向の他端側(自由端側)が上下方向に揺動するよう構成される。なお、前記第1支軸92における支持ボス51dと作動部材89との間に臨む部位に、一端がカバー部材51に設けたバネ用係止部51e(図7参照)に係止されると共に他端が作動部材89に設けたバネ用係止部89b(図6参照)に係止される付勢手段としてのねじりコイルバネ93が巻かれており、該ねじりコイルバネ93によって作動部材89は、常には第1支軸92による枢支部側(支軸部側)から離間する自由端部側が上方に向けて回転するように付勢される。
【0056】
(ガイド部95について)
前記作動部材89の自由端部側には、前記第1可動部材47に配設した前記第1軸体(第1係合部)72が移動自在に挿通されるガイド用係合孔94が前後方向に貫通して形成されている。このガイド用係合孔94は、図4に示す如く、作動部材89の後述する保持位置において、左右方向に延在する第1係合孔94aと、該第1係合孔94aの左端部側(自由端部側)に連通して上側に延在する第2係合孔94bとから構成される。そして、実施例では、第1係合孔94aを画成する下側の壁が、前記第1軸体72が摺動自在に係合するガイド部として機能するよう構成される。そこで、第1係合孔94aの下側の壁についてガイド部95と指称するものとする。また、第1係合孔94aについて、作動部材89の枢支部側の端部を基端部と指称すると共に、該基端部から離間する端部を自由端部と指称するものとする。
【0057】
(ガイド部95と第1軸体72との関係について)
前記作動部材89は、前記回転作動体88に設けた切替用被係合部88bが後述する係合溝96を構成する上係合壁96dに係合した保持位置(図4参照)と、該保持位置より自由端部側が下方に移動した第1下降位置(図13参照)と、該第1下降位置より自由端部側が更に下方に移動した第2下降位置(図17参照)との間を、前記第1支軸92を中心として揺動するよう構成される。そして、作動部材89の保持位置において、前記第1軸体72が第1係合孔94aにおける基端部側のガイド部95に鍔付きスリーブ74を介して当接することで、前記可動体45(第1可動部材47)を初期位置に保持するようになっている。また、後述するように切替用被係合部88bと上係合壁96dとの係合状態が解除された場合は、可動体45(第1可動部材47)が自重によって落下するのに伴って第1軸体72が鍔付きスリーブ74を介してガイド部95を摺動することで作動部材89が傾動して、第1可動部材47の規制突部67が第2補強材71を介して前記第2スライド体64に設けた第2緩衝部材70に当接して下方移動(落下)が規制されることで、該作動部材89が第1下降位置に位置するよう構成される。そして、作動部材89が切替用被係合部88bと後述する作動壁96eとの係合作用下に第1下降位置から更に下方に向けて押された際には、第1軸体72(鍔付きスリーブ74)が第1係合孔94aから第2係合孔94bに入り込むことで、当該作動部材89の傾動が許容されて第2下降位置に移動可能に構成される。
【0058】
(切替用係合部96d,96eについて)
前記作動部材89は、前記回転作動体88の後側を左右方向に延在しており、該作動部材89における第1支軸92での枢支部(支持部位)とガイド用係合孔(ガイド部95)94の形成位置との間で回転作動体88の後側に臨む部位に、係合溝96が後方に向けて凹設されている。この係合溝96は、図4,図6に示す如く、作動部材89の上端縁で開放すると共に、自由端側に向けて所定長さで延在するように形成される。そして、回転作動体88に設けた前記切替用被係合部88bが、該回転作動体88の回転に伴って係合溝96内を移動すると共に該係合溝96から外部に離脱し得るよう構成される。
【0059】
前記係合溝96は、図4,図6に示す如く、左右方向に離間して作動部材89の上端縁から下方に向けて延在する一対の開口形成壁96a,96bによって、上方に開放する開口部96cが画成される。左側に位置する左開口形成壁96aの下端に、左方(自由端側)に向けて延在する上係合壁96dが連設されると共に、右側に位置する右開口形成壁96bの下端に、下側に向けて弧状に膨出する作動壁96eが連設されている。また、作動壁96eの左端に、上係合壁96dと略平行に自由端側に延在する下壁96fが連設されると共に、該下壁96fおよび上係合壁96dの左端が連結壁96gによって連結されている。そして、図4に示す如く、係合溝96内に臨む回転作動体88の切替用被係合部88bが、上係合壁96dにおける左開口形成壁96aとの連設部に係合した状態で、作動部材89は前記可動体45(第1可動部材47)を初期位置に保持する保持位置に保持されるようになっている。
【0060】
前記回転作動体88が正転方向に回転して切替用被係合部88bが上係合壁96dとの係合が解除される(係合状態から非係合状態に切り替わる)ことで、作動部材89が第1支軸92を中心として第1下降位置に向けて傾動して、切替用被係合部88bが係合溝96に対して開口部96cから外方に離脱するよう構成されている(図13参照)。そして、作動部材89と共に初期位置から自重によって落下(下方移動)する可動体45(第1可動部材47)の落下(下方移動)が前記規制突部67と第2緩衝部材70とによって規制された第1可動部材47の中間位置において、該作動部材89が第1下降位置に保持されると共に、前記第1軸体72(鍔付きスリーブ74)が前記第1係合孔94aの自由端部側に位置して第2係合孔94bに入り込むことができる状態となるよう構成される。
【0061】
ここで、前記作動部材89が第1下降位置に位置する状態で、図20(a)に示す如く、前記作動壁96eは、前記回転作動体88の切替用被係合部88bにおける径方向の最外部が移動する軌道Cより径方向の内側に位置するよう構成される。すなわち、第1下降位置に位置する作動部材89に対し、正転方向に回転する回転作動体88の切替用被係合部88bが作動壁96eに係合当接する(非係合状態から係合状態に切り替わる)と、該作動壁96eを下方に押すようになり、これによって作動部材89が第1下降位置から更に下方の第2下降位置まで傾動されるようになっている。そして、切替用被係合部88bが作動壁96eから離脱し、図19に示す如く、該切替用被係合部88bが上係合壁96dの自由端部側に下方から係合当接する(係合状態が切り替わる)と、該切替用被係合部88bの移動に伴って作動部材89が上方に持ち上げられて、前記保持位置に至るよう構成される。実施例では、上係合壁96dおよび作動壁96eと、回転作動体88に設けた切替用被係合部88bとの係合作用下に作動部材89を第1下降位置と第2下降位置との間を移動させると共に、該作動部材89を第2下降位置から保持位置まで移動させるよう構成されており、該上係合壁96dおよび作動壁96eが切替用係合部として機能している。
【0062】
また、実施例の可動演出装置44では、前記上係合壁96dに係合当接して作動部材89を保持位置に保持している切替用被係合部88bが回転作動体88の正転方向の回転に伴って上係合壁96dから係合解除されて開口部96cから外方に離脱した後、該切替用被係合部88bが前記作動壁96eに係合当接する前に、前記可動体45(第1可動部材47)が初期位置から中間位置まで下方移動(落下)するよう構成されている。また、回転作動体88の正転方向の回転によって前記作動壁96eとの係合状態が解除された切替用被係合部88bが上係合壁96dに係合当接する前に、前記第2可動部材48が第2姿勢から第1姿勢に復帰するように構成されている。すなわち、可動演出装置44は、第1可動部材47が初期位置から中間位置に移動した後に、第2可動部材48が第1姿勢から第2姿勢に移動すると共に、該第2可動部材48が第2姿勢から第1姿勢に移動した後に、第1可動部材47が中間位置から初期位置に移動するよう構成されている。
【0063】
ここで、実施例の可動演出装置44では、前記作動部材89が保持位置に保持されている状態から前記回転作動体88を逆転方向に回転することで、該作動部材89を回転作動体88の逆転方向の回転に伴って第1下降位置および第2下降位置に移動(傾動)し得るよう構成されている。すなわち、前記回転作動体88が逆転方向に回転して切替用被係合部88bが反時計方向に移動(図4で右方に移動)すると、該切替用被係合部88bに上側から上係合壁96dが係合当接した状態で作動部材89が第1支軸92を中心として第1下降位置に向けて傾動すると共に、該作動部材89に対してガイド部95に第1軸体72が支持されている前記可動体45(第1可動部材47)が下方移動し、作動部材89が第1下降位置に至ると共に、可動体45(第1可動部材47)が中間位置に至るようになっている。そして、回転作動体88の逆転方向の回転によって上係合壁96dから下方に離間した切替用被係合部88bが第1下降位置に位置する作動部材89の下壁96fに上側から係合当接することで、該下壁96fを下方に押すようになり、これによって作動部材89が第1下降位置から更に下方の第2下降位置まで傾動される。また、引き続き逆転方向に回転する回転作動体88の切替用被係合部88bが前記作動壁96eに係合当接している間は、該作動部材89を第2下降位置に保持し得るようになっている。そして、作動部材89が第2下降位置まで傾動した後に、前記制御手段の制御下に前記駆動モータ85を逆転駆動することで、回転作動体88を正転方向に回転して作動部材89を保持位置に戻すと共に、可動体45を初期位置に戻すように構成される。すなわち、実施例の可動演出装置44では、回転作動体88の正転方向の回転では、可動体45(第1可動部材47)を自重によって勢いよく中間位置に落下させた後に、前記第2可動部材48を移動(動作)させ得ると共に、回転作動体88の逆転方向の回転では、可動体45(第1可動部材47)を該回転作動体88の回転速度に応じた速度でゆっくり中間位置に下方移動させた後に、前記第2可動部材48を移動(動作)させ得るように構成されている。
【0064】
また、前記回転作動体88が正転方向に回転する場合に切替用被係合部88bが係合当接する作動壁96eが弧状に形成される一方で、回転作動体88が逆転方向に回転する場合に切替用被係合部88bが係合当接する下壁96fは斜面状に形成されており、該作動壁96eに対して正転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度と、該下壁96fに対して逆転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度とが異なるように構成されている。すなわち、駆動モータ85の正転および逆転での回転速度が同じに設定されているもとで、作動壁96eに対して正転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度は、下壁96fに対して逆転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度より遅くなるようになっている。実施例では、前記駆動モータ85としてステッピングモータが採用されており、回転作動体88を逆転方向に回転させた場合は、駆動モータ85の逆転駆動によって保持位置から傾動を開始した作動部材89が第2下降位置まで傾動したことを移動パルス信号により監視し、該移動パルス信号に基づいて駆動モータ85を制御手段で制御して正転駆動することで、該回転作動体88を正転方向に回転させ得るよう構成されている。なお、回転作動体88の逆転方向の回転によって保持位置から第2下降位置まで傾動したことを検出可能な第2の検出手段を設け、該第2の検出手段の検出信号によって駆動モータ85の回転駆動方向を切り替えるようにしてもよい。
【0065】
(第2可動部材48の作動構造について)
前記第1可動部材47の内部に、前記第2可動部材48に連繋する連繋部材97が、基体53に設けられた軸支持ボス53bに配設されて前記第1支軸72と平行な第2支軸98を介して回動自在に支持されている。この連繋部材97は、図10,図11,図21に示す如く、第2支軸98に回転自在に支持された支持部99と、該支持部99から径方向に延出する第1アーム部100と、支持部99から第1アーム部100の延出方向とは異なる方向に延出する第2アーム部101とを備える。第1アーム部100には、前記第2可動部材48に設けた作動片82aに連繋する連繋部100aが設けられると共に、第2アーム部101の延出端部には、後方に向けて第2係合部としての第2軸体101aが突設されている。この第2軸体101aは、前記基体53に設けられて前後方向に貫通する挿通孔53aから後方に突出している(図13参照)。なお、基体53の挿通孔53aは、第2支軸98を中心として連繋部材97が揺動する際に、第2軸体101aが干渉しない大きさで開口している。
【0066】
前記作動部材89には、図4に示す如く、前記第1係合孔94aの下側に、前記連繋部材97の第2軸体101aに係合可能な作動部89cが設けられている。この作動部89cは、図20に示す如く、作動部材89が第1下降位置と第2下降位置との間を移動する際に、第2軸体101aに係合するよう構成されており、作動部材89が第1下降位置から第2下降位置に傾動する場合に、作動部89cが第2軸体101aに係合することで、連繋部材97が第2支軸98を中心として傾動し、前記連繋部100aを介して連繋する作動片82aを上方に押し上げることで、図21に示す如く、第2可動部材48を第1姿勢から第2姿勢に移動(傾動)するよう構成される。
【0067】
前記支持部99から前側に突出する前記第2支軸98に、一端が前記基体53に設けたバネ用係止部53cに係止されると共に他端が連繋部材97に設けたバネ用係止部97aに係止される付勢手段としてのねじりコイルバネ102が巻かれており(図10参照)、該ねじりコイルバネ102によって連繋部材97は、連繋部100aを介して連繋する作動片82aを常には下向き(第2可動部材48を第1姿勢とする向き)に回転付勢されるようになっている。すなわち、前記作動部材89が第2下降位置から第1下降位置に移動する際には、ねじりコイルバネ102の付勢力によって連繋部材97が傾動するのに伴って連繋部100aが連繋する作動部82aを引き下げることで、第2可動部材48が第2姿勢から第1姿勢に戻る(移動する)よう構成されている。
【0068】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0069】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20に設けた遊技領域24内に打ち出される。このとき、前記操作レバー16aの回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域24の異なる経路をパチンコ球が流下する。遊技領域24を流下するパチンコ球が第1始動入賞口29aまたは第2始動入賞口33aに入賞すると、前記制御手段の制御に基づいて前記表示装置17での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、表示装置17に所定の図柄組み合わせが表示されると大当りが発生する。大当りが発生すると、表示装置17に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤20に設けられた特別入賞装置34が開放されると共に、前記制御手段の制御に基づいて表示装置17において大当り演出が行われる。
【0070】
前記パチンコ機10では、前記表示装置17で行われる図柄変動演出や大当り演出に応じて、前記発光演出装置42の発光体が発光されたり点滅され、前記枠状装飾体26の窓口26aの外周において行われる装飾部品41を明輝させる発光演出により遊技の興趣が向上される。また、前記装飾可動体43および可動演出装置44の可動体45が動作されると共に、該装飾可動体43や可動体45に内蔵の発光体が発光されたり点滅される発光演出によっても遊技の興趣が向上される。
【0071】
(可動演出装置44の動作演出について)
前記可動演出装置44の可動体45が初期位置に位置する状態において、図4に示す如く、前記回転作動体88の切替用被係合部88bに対し、前記作動部材89の上係合壁96dにおける左開口形成壁96aとの連設部が上方から係合当接することで、作動部材89は保持位置に保持される。また、前記可動体45は、第1可動部材47に設けた第1軸体72が、作動部材89の第1係合孔94aを画成するガイド部95に鍔付きスリーブ74を介して上側から係合当接することで、該可動体45(第1可動部材47)は初期位置に保持される。このとき、前記連繋部材97は、ねじりコイルバネ102によって第2可動部材48を第1姿勢に保持する方向に付勢されており(図5,図21(a)参照)、該第2可動部材48は自由端部を上向きとした第1姿勢に保持される。そして、可動体45が初期位置に位置する状態では、図5に示す如く、前記装飾部品41や第1位置の装飾可動体43の裏側に可動体45の全体が隠れて前側から視認できないようになっている。
【0072】
前記制御手段からの制御信号によって前記駆動モータ85が駆動され、前記駆動歯車87、従動歯車90および歯車部88aを介して連繋された前記回転作動体88が正転方向に回転すると、前記上係合壁96dに係合当接していた切替用被係合部88bが開口部側に移動することで、該上係合壁96dと切替用被係合部88bとの係合状態が解除される(非係合状態となる)。これにより、前記作動部材89が第1支軸92を中心として第1下降位置に向けて傾動すると共に、該作動部材89の自由端部側でガイド部95に第1軸体72が係合当接している前記可動体45(第1可動部材47)も初期位置から中間位置へ自重により落下する。また、作動部材89が保持位置から第1下降位置に傾動することで、図13に示す如く、前記切替用被係合部88bは係合溝96から開口部96cを介して外方に離脱する。
【0073】
前記可動体45が落下する様態を具体的に説明する。該可動体45が初期位置から下方移動(落下)を開始すると、前記第1ガイド手段59および第2ガイド手段63は、前記装置本体49に対して第1スライド体62および第2スライド体64が可動体45と一体的に下方移動する。第1スライド体62が第1固定レール60に設けた第1ストッパに当接すると共に、第2スライド体64の延出部64c,64cが第1補強材68,68を介して装置本体49(カバー部材51)に設けた前記第1緩衝部材69,69に当接して両スライド体62,64の下方移動が規制された後は、該スライド体62,64に対して可動体45のみが下方移動する。そして、第1スライド体62に設けた第2ストッパに第2固定レール61が当接すると共に、前記第1可動部材47の基体53に設けた規制突部67が第2補強材71を介して第2スライド体64に設けた前記第2緩衝部材70に当接することで、該可動体45の下方移動が規制されて、図12に示す如く、可動体45が前記枠状装飾体26の窓口26aから前側に露出する。
【0074】
前記可動体45は、前記装飾部品41の裏側に隠れた初期位置から中間位置まで自重によって落下するので、可動体45が勢いよく落下するインパクトのある演出によって遊技の興趣を向上することができる。また、前記第2可動部材48が第1姿勢に保持されている状態では、前記第1可動部材47の意匠体54に設けた中央意匠部54aは該第2可動部材48で部分的に隠されており、該中央意匠部54aに何が表示されているかは認識できない。すなわち、中央意匠部54aに表示されている意匠に対する遊技者の関心を高めることができ、遊技の興趣を向上し得る。また、可動体45の落下に際し、図14に示す如く、前記第2スライド体64の延出部64c,64cが装置本体49の第1緩衝部材69,69に当接すると共に、可動体45(第1可動部材47)の規制突部67が第2スライド体64の第2緩衝部材70に当接するので、可動体45が落下した際に加わる衝撃を軽減することができ、勢いのある動作演出を行いつつ可動体45が損傷等するのを防ぐことができる。更に、実施例では、前記延出部64c,64cおよび規制突部67を補強材68,68,71で補強しているので、装置本体49に対して可動体45を移動自在に支持する部分の耐久性を向上し得る。
【0075】
前記作動部材89が第1下降位置に保持されている状態で、前記回転作動体88の正転方向の回転によって前記切替用被係合部88bが移動すると、該切替用被係合部88bは前記係合溝96に対して開口部96cから進入する。そして、回転作動体88が更に正転方向に回転することで、図17,図20(b)に示す如く、切替用被係合部88bが係合溝96を画成する前記作動壁96eに係合当接すると、該作動壁96eが下方に押し下げられる。このとき、可動体45(第1可動部材47)の第1軸体72が、作動部材89の第1係合孔94aから第2係合孔94bに入り込むことで、可動体45(第1可動部材47)を中間位置に保持したまま、作動部材89の第1下降位置から第2下降位置への傾動が許容される。
【0076】
前記作動部材89が第1下降位置から第2下降位置に傾動すると、図17,図20(b)に示す如く、前記作動部89cが前記連繋部材97の第2軸体101aに係合して該連繋部材97を第2支軸98を中心として傾動させる。これにより、連繋部材97に連繋部100aおよび作動片82aを介して連繋する前記第2可動部材48が第1姿勢から第2姿勢に移動する。すなわち、図15および図16に示す如く、前記枠状装飾体26の窓口26aに臨んでいる第1可動部材47に対して第2可動部材48が前方に傾動する動作を行う。そして、第2可動部材48が第2姿勢となることで、前記中央意匠部54aの全体が前側に露出するので、該中央意匠部54aに表示されている意匠が露出する演出と、第2可動部材48の動作演出とによって遊技の興趣を向上することができる。
【0077】
前記回転作動体88の正転方向の回転によって前記切替用被係合部88bが前記作動壁96eから離間移動すると、前記作動部材89は前記ねじりコイルバネ93の付勢力によって第2下降位置から第1下降位置に向けて傾動する。これにより、前記可動体45(第1可動部材47)の第1軸体72が、作動部材89の第2係合孔94bから第1係合孔94aに入り込むと共に、前記連繋部材97がねじりコイルバネ102の付勢力によって連繋部100aに連繋する作動片82aを押し下げる方向に傾動し、第2可動部材48は第2姿勢から第1姿勢に復帰する。そして、図19に示す如く、回転作動体88の正転方向の回転によって前記切替用被係合部88bが前記上係合壁96dに下側から係合当接すると、切替用被係合部88bの移動(回転作動体88の回転)に伴って上係合壁96dが押し上げられることで、作動部材89が保持位置に向けて傾動する。すなわち、作動部材89の傾動に伴って前記第1係合孔94aを画成するガイド部95が可動体45(第1可動部材47)の第1軸体72を押し上げる(案内する)ことで、該可動体45(第1可動部材47)は中間位置から初期位置に向けて持ち上げられる。なお、前記作動壁96eに対する係合状態が解除された切替用被係合部88bが上係合壁96dに係合当接する前に、前記第2可動部材48は第1姿勢に復帰するように構成されているので、第2可動部材48が第1姿勢に復帰する前に可動体45(第1可動部材47)が中間位置から上方移動を開始してしまうことはなく、第2可動部材48が前記第1位置の装飾可動体43と接触干渉して可動体45(第1可動部材47)の上方移動が阻害されるのは防止される。
【0078】
前記可動体45(第1可動部材47)が中間位置から上方移動を開始すると、前記第1ガイド手段59および第2ガイド手段63では、前記第1スライド体62および第2スライド体64に対して可動体45(第1可動部材47)が単独で移動し、初期位置に至る前に第1スライド体62に設けた当接部に第2固定レール61が下方から当接すると共に、第2スライド体64に設けた第2ガイドボス67aが第2ガイド孔64bの上端を画成する壁に下方から当接することで、両スライド体62,64と一体的に可動体45(第1可動部材47)が上方移動する。そして、前記回転作動体88に設けた検出片88cが前記検出手段91で検出され、該検出手段91からの検出信号に基づいて前記制御手段が駆動モータ85を停止制御することで、可動体45(第1可動部材47)は初期位置に保持される(図4参照)。
【0079】
また、前記作動部材89が保持位置に保持されている状態(可動体45が初期位置に保持されている状態)で、前記制御手段の制御下に駆動された前記駆動モータ85によって前記回転作動体88が逆転方向に回転されると、前記切替用被係合部88bに上係合壁96dが上側から係合当接した状態を保ったまま作動部材89が第1支軸92を中心として第1下降位置に向けて傾動する。また、作動部材89に対してガイド部95に第1軸体72が支持されている前記可動体45(第1可動部材47)は、作動部材89の傾動に伴ってゆっくりと下方移動し、前記第1ガイド手段59および第2ガイド手段63において第2ストッパおよび第2緩衝部材70によって可動体45(第1可動部材47)が中間位置に停止保持されることで、作動部材89が第1下降位置に停止保持される。そして、回転作動体88が引き続き逆転方向に回転することによって上係合壁96dから下方に離間した切替用被係合部88bが第1下降位置に位置する作動部材89の下壁96fに上側から係合当接することで、該下壁96fが下方に押し下げられて、前述したように作動部材89が第2下降位置に傾動することで前記第2可動部材48が第1姿勢から第2姿勢に移動する。なお、回転作動体88が逆転方向に回転された場合においても、作動部材89の第1下降位置と第2下降位置との間の傾動は、前記第1軸体72が第1係合孔94aと第2係合孔94bとの間を相対的に移動することで許容される。
【0080】
また、前記回転作動体88の逆転方向の回転によって、作動部材89が第2下降位置まで傾動した後に、前記制御手段の制御下に前記駆動モータ85を逆転駆動することで、回転作動体88を正転方向に回転することで、前述したように前記切替用被係合部88bが前記上係合壁96dに下側から係合当接して作動部材89が保持位置に向けて傾動されると共に、前記可動体45(第1可動部材47)が初期位置に向けて持ち上げられる。
【0081】
実施例のパチンコ機10では、1基の駆動モータ85によって第1可動部材47を上下方向に往復移動すると共に、該第1可動部材47に配設した第2可動部材48を、第1可動部材47の移動面に対して交差する前後方向に移動するよう構成したので、両可動部材47,48にインパクトのある立体的に動作演出を行わせて興趣を向上することができる。また、第1可動部材47の移動と、第2可動部材48の移動とを同時に行わないよう構成してある。すなわち、第1可動部材47の移動が停止した状態で、第2可動部材48が移動すると共に、第2可動部材48の移動が停止した状態で第1可動部材47が移動するよう構成したので、メリハリのある動作演出ができ、興趣を向上し得る。しかも、第1可動部材47が上下方向に移動する間は、第2可動部材48が第1姿勢と第2姿勢との間を移動しないので、当該可動演出装置44の周囲に配設される他の遊技部品に第2可動部材48が干渉して動作が妨げられるのを防ぐことができる。
【0082】
実施例の作動機構86は、1つの作動部材89を揺動することで第1可動部材47および第2可動部材48を動作するよう構成してあるので、作動機構86の構成は簡単であり、製造コストを低廉に抑えることができる。また、作動部材89における枢支部と可動体45(第1可動部材47)の第1軸体72と係合するガイド部95との間に上係合壁96dを設けたので、前記回転作動体88の切替用被係合部88bと上係合壁96dとの係合作用下に作動部材89および可動体45(第1可動部材47)を持ち上げる際に駆動モータ85に加わる負荷を小さくすることができる。
【0083】
また、実施例のパチンコ機10では、前記作動部材89の保持位置(可動体45の初期位置)において前記回転作動体88を正転方向に回転すれば、可動体45(第1可動部材47)を自重によって勢いよく中間位置に落下させた後に、前記第2可動部材48を移動(動作)させることができると共に、該回転作動体88を逆転方向に回転すれば、可動体45(第1可動部材47)を該回転作動体88の回転速度に応じた速度(制御された速度)でゆっくり中間位置に下方移動させた後に、前記第2可動部材48を移動(動作)させることができる。すなわち、1つの駆動機構46を用いて可動体45を異なる速度で移動させ得るので、コストを掛けることなく動作演出の幅を広げることができ、興趣の向上に寄与し得る。しかも、駆動モータ85自体の回転速度を可変するものではないので、駆動モータ85に係る制御負荷が増大することもない。また、前記作動壁96eに対して正転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度が、前記下壁96fに対して逆転方向から切替用被係合部88bが係合当接した場合に第2可動部材48が動作する速度より遅くなるよう構成されているので、第2可動部材48の動作態様に変化を与えて興趣を向上することができる。すなわち、回転作動体88が正転方向に回転する場合は、可動体45(第1可動部材47)が勢いよく(速く)落下するのに対して第2可動部材48の動作速度は遅く、回転作動体88が逆転方向に回転する場合は、可動体45(第1可動部材47)がゆっくり下方移動するのに対して第2可動部材48の動作速度は速くなっているので、第1可動部材47および第2可動部材48が動作する速度の違いによって興趣のある演出ができる。
【0084】
実施例のパチンコ機10では、前記第1可動部材47が遊技盤20の盤面に沿って落下した後に、該第1可動部材47の前側に配設されている第2可動部材48が立った姿勢から前側に倒れるように移動するので(図16,図18参照)、該第2可動部材48が前方に飛び出す動作によって遊技者に対してよりインパクトを与えることができ、興趣をより向上し得る。また、第1可動部材47に配設した第2可動部材48を第2姿勢に移動した状態で、該第1可動部材47に配設した特定発光体55bが第2可動部材48に配設した導光体83の後端に対向するよう構成してあるので(図18参照)、該特定発光体55bからの光を導光体83によって第2可動部材48の前側に位置する発光部84を効果的に明輝させることができ、インパクトのある発光演出を行い得る。第1可動部材47に対して動作可能に配設された第2可動部材48には発光体等の電気部品が配設されていないので、配線処理を不要として構造を簡単化することができる。
【0085】
また、実施例のパチンコ機10では、図5に示す如く、前記可動体45の初期位置において第2可動部材48は第1可動部材47の前面に略沿う立った姿勢となっているので、前記装飾可動体43の後方に可動体45を収容するために必要となる前後方向のスペースを小さく抑えることができる。すなわち、第1可動部材47と第2可動部材48とで立体的でインパクトのある動作を行わせる構成においても、可動体45の収容時(初期位置)に必要となるスペースを小さくでき、パチンコ機10の前後寸法の縮小化に寄与し得る。
【0086】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、枠状装飾体における窓口の上縁側の初期位置から可動体が窓口の中央部側の中間位置に向けて移動(落下)するよう構成したが、該窓口の下縁側または左右両側縁側の初期位置から可動体が窓口の中央部側の中間位置に向けて迫り出すようにしてもよい。
(2) 実施例では、第1可動部材を平行移動するよう構成したが、該第1可動部材を前後方向に延在する軸回りに回転可能に構成し、該第1可動部材に、第1可動部材が初期位置と中間位置との間を揺動する際の移動面と交差する方向に移動可能に第2可動部材を配設する構成を採用し得る。
(3) 実施例では、第1可動部材に設けた第1軸体(第1係合部)に外嵌した鍔付きスリーブを介して該第1軸体(第1係合部)が作動部材のガイド部に係合するよう構成したが、該第1軸体(第1係合部)を直接ガイド部に係合する構成を採用し得る。
(4) 実施例では、第1可動部材に設けた第1軸体(第1係合部)が係合する作動部材のガイド部として、該作動部材に形成したガイド用係合孔を画成する壁を挙げたが、該ガイド部は孔を画成する壁である必要はなく、作動部材の後方に突出する突壁をガイド部として、該ガイド部に第1可動部材に設けた第1軸体(第1係合部)を係合させて、作動部材の移動に伴ってガイド部に第1軸体(第1係合部)を介して係合する第1可動部材(可動体)を動作させる構成を採用し得る。
(5) 実施例では、回転作動体に設けた切替用被係合部(切替手段)の係合状態が切り替わる切替用係合部として、作動部材に設けた係合溝を画成する壁(上係合壁,作動壁)を挙げたが、該切替用係合部は溝を画成する壁である必要はなく、作動部材の後方に突出する突壁を切替用係合部として、該切替用係合部を切替用被係合部(切替手段)が移動する軌道上に配置することで、切替用係合部と切替用被係合部(切替手段)との係合状態で作動部材を保持位置に保持したり、該作動部材の第1下降位置と第2下降位置との間の移動および第1下降位置から保持位置への移動を行わせる構成を採用し得る。
【0087】
(6) 実施例では、第2可動部材とは別体の連繋部材に設けた第2軸体(第2係合部)に作動部材の作動部を係合することで第2可動部材を動作させるよう構成したが、第2可動部材に一体に設けた第2係合部に作動部材の作動部を係合して該第2可動部材を動作させる構成を採用し得る。
(7) 実施例では、回転作動体を一定方向に回転することで第1可動部材および第2可動部材を動作させるよう構成したが、切替用被係合部が係合溝から離脱した後(作動部材が第1下降位置に移動した後)に、回転作動体を逆転方向に回転して切替用被係合部を作動部材の上側の壁に外方から係合当接して該作動部材を第1下降位置から第2下降位置に移動させることができる。
(8) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球やコインを用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
4 可動演出装置
45 可動体
47 第1可動部材
48 第2可動部材
72 第1軸体(第1係合部)
85 駆動モータ(駆動手段)
86 作動機構
88 切替用被係合部(切替手段)
89 作動部材
89c 作動
5 ガイド部
96d 上係合壁(切替用係合部)
96e 作動壁(切替用係合部)
101a 第2軸体(第2係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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