特許第6137631号(P6137631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6137631-2次電池パックおよび認証方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137631
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】2次電池パックおよび認証方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20170522BHJP
【FI】
   H02J7/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-536626(P2014-536626)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2013067317
(87)【国際公開番号】WO2014045659
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-204150(P2012-204150)
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310010081
【氏名又は名称】NECエナジーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】向野 誠
【審査官】 竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/095292(WO,A1)
【文献】 特開2005−110347(JP,A)
【文献】 特開2012−165525(JP,A)
【文献】 特開2011−233470(JP,A)
【文献】 特開2006−164547(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1796243(EP,A2)
【文献】 米国特許第5656917(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池部と、
前記2次電池部との電力の授受を行う外部装置と接続可能な接続端子と、
前記接続端子に接続された外部装置を認証する複数の認証方式に対応し、前記複数の認証方式による認証を順番に実行して、前記認証のいずれかが成功した場合、前記外部装置と前記2次電池部との電力の授受を許可する認証部と、を有する2次電池パック。
【請求項2】
各認証方式における認証の可否を判断するまでにかかる認証時間がそれぞれ異なる、請求項1に記載の2次電池パック。
【請求項3】
前記認証部は、前記認証時間が短い認証方式から順番に、前記複数の認証方式を実行する、請求項2に記載の2次電池パック。
【請求項4】
前記複数の認証方式のいずれかは、前記外部装置から入力される、当該外部装置の認証を行うための外部信号に基づいて、前記外部装置の認証を行う第1の認証方式である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の2次電池パック。
【請求項5】
前記認証部は、前記第1の認証方式を最初に実行する、請求項4に記載の2次電池パック。
【請求項6】
前記第1の認証方式は、前記外部信号がHレベルかLレベルかに基づいて、前記外部装置の認証を行う、請求項4または5に記載の2次電池パック。
【請求項7】
前記外部装置は、前記2次電池部の充電を行う充電器であり、
前記複数の認証方式のいずれかは、前記外部装置から前記2次電池部へ供給される電流の値に基づいて、前記外部装置の認証を行う第2の認証方式である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の2次電池パック。
【請求項8】
前記外部装置は、前記2次電池部の充電を行う充電器であり、
前記複数の認証方式のいずれかは、前記外部装置から前記2次電池部へ供給される電流の値に基づいて、前記外部装置の認証を行う第2の認証方式であり、
前記認証部は、前記第2の認証方式を2番目に実行する、請求項5に記載の2次電池パック。
【請求項9】
前記第2の認証方式は、前記電流の値が所定の電流値範囲に含まれるか否かに基づいて、前記外部装置の認証を行う、請求項7または8に記載の2次電池パック。
【請求項10】
2次電池部と、前記2次電池部との電力の授受を行う外部装置と接続可能な接続端子とを有し、前記接続端子に接続された外部装置を認証する複数の認証方式に対応する2次電池パックによる認証方法であって、
前記複数の認証方式による認証を順番に実行し、
前記認証のいずれかが成功した場合、前記外部装置と前記2次電池との電力の授受を許可する、認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置の認証を行う2次電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
2次電池に対して電力の授受を行う外部装置として非正規の外部装置が使用されると、2次電池の仕様に適合しない電流が2次電池に流れてしまい、2次電池が故障する恐れがある。このため、2次電池を備えた2次電池パックと外部装置との認証を行うことで、2次電池の故障を防止する技術が使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2次電池パックを認証する情報処理装置が記載されている。この情報処理装置は、2次電池パックに記憶された第1の認証IDを用いる第1の認証と、2次電池パックに記憶された第2および第3の認証IDを用いる第2の認証とを行い、それらの認証が両方とも成功した場合に、2次電池パックの充電を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−195014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、認証IDを用いて認証を行うため、充電器として使用できる外部装置が2次電池パックに対して専用のものになってしまい、2次電池の仕様に適合した汎用の充電器が存在しても、その充電器を使用することができず、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
これに対して認証IDを用いる認証を行う代わりに、2次電池に流れる電流の値に基づいて認証を行うことが考えられる。具体的には、2次電池に流れる電流の値が2次電池の仕様に応じた所定範囲に含まれる場合に、認証を成功とすることで、2次電池の仕様に適合した汎用の充電器を使用可能にすることができる。
【0007】
しかしながら、2次電池パックが電動アシスト自転車などの外部装置に接続され、その外部装置から回生電流が2次電池パックに供給された場合、回生電流の値は、状況に応じて異なるため、所定の電流範囲に含まれるとは限らない。このため、2次電池に流れる電流の値に基づいた認証では、外部装置が非正規の充電器と判断されてしまい、回生電流による充電が行うことができないことがある。
【0008】
本発明の目的は、回生電流による充電を可能にしつつ、仕様に適合した汎用の充電器を使用することが可能な2次電池パックおよび認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による2次電池パックは、2次電池部と、前記2次電池部との電力の授受を行う外部装置と接続可能な接続端子と、前記接続端子に接続された外部装置を認証する複数の認証方式に対応し、前記複数の認証方式による認証を順番に実行して、前記認証のいずれかが成功した場合、前記外部装置と前記2次電池部との電力の授受を許可する認証部と、を有する。
【0010】
本発明による認証方法は、2次電池部と、前記2次電池との電力の授受を行う外部装置と接続可能な接続端子とを有し、前記接続端子に接続された外部装置を認証する複数の認証方式に対応する2次電池パックによる認証方法であって、前記複数の認証方式による認証を順番に実行し、前記認証のいずれかが成功した場合、前記外部装置と前記2次電池との電力の授受を許可する、認証方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回生電流による充電を可能にしつつ、仕様に適合した汎用の充電器を使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の2次電池パックの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の2次電池パックの動作を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態の2次電池パックの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態の2次電池パックの構成を示す図である。図1において、2次電池パック50は、2次電池部1と、放電FET(Field effect transistor)2と、充電FET3と、センス抵抗4と、保護IC5と、ID認証抵抗6〜8と、スイッチ9および10と、MCU(Micro Control Unit)11と、接地端子GNDとを有する。
【0015】
さらに、2次電池パック50は、外部装置と接続可能な接続端子として、出力端子OUTと、送信端子TXと、受信端子RXと、認証端子IDと、認証キャンセル端子ID−Cとを有する。出力端子OUTおよび認証端子IDは、外部装置と電力の授受を行うための端子であり、送信端子TX、受信端子RXおよび認証キャンセル端子は、外部装置と通信を行うための端子である。
【0016】
なお、外部装置は、例えば、2次電池パック50に電力を供給する充電器、または、2次電池パック50からの電力で動作する負荷装置である。以下では、外部装置は充電器であるとる。また、充電器は、電動アシスト自転車のような回生電流による電力を2次電池パック50に供給するものを含む。
【0017】
2次電池部1は、充電可能な2次電池セルで構成される。また、2次電池部1の正極は出力端子OUTと接続され、負極は認証端子IDおよび接地端子GNDと接続される。
【0018】
本実施形態では、2次電池部1は、複数の2次電池セル1Aのそれぞれが直列に接続された構成を有するものする。しかしながら、2次電池部1は、単一の2次電池セルで構成されてもよいし、複数の2次電池のそれぞれが並列またはマトリックス状に接続された構成でもよい。また、2次電池セル1Aの種類は特に限定されないが、例えば、リチウムイオン2次電池セルである。
【0019】
放電FET2は、2次電池部1から出力される放電電流を制御するためのスイッチであり、2次電池部1と出力端子OUTとの間に設けられる。充電FET3は、2次電池部1に供給される充電電流を制御するためのスイッチであり、2次電池部1と出力端子OUTとの間に設けられる。本実施形態では、充電FET3は、放電FET2と出力端子OUTとの間に設けられている。また、放電FET2および充電FET3は、p型のFETであるとしている。
【0020】
センス抵抗4は、2次電池部1の充電電流および放電電流を検知するための抵抗であり、2次電池部1と認証端子IDとの間に設けられる。なお、以下では、充電電流および放電電流をまとめて充放電電流と呼ぶこともある。
【0021】
保護IC5は、センス抵抗4の両端間の電圧である抵抗電圧を測定し、その抵抗電圧に基づいて2次電池部1に流れる充放電電流を検知する。そして、保護IC5は、検知した充放電電流の値をMCU11に通知する。また、保護IC5は、各2次電池セル1Aの両端間の電圧である電池電圧を検知する。
【0022】
保護ICは、検知した充放電電流および電池電圧に基づいて、2次電池部1に対する過充電、過放電および過電流などの異常が発生したか否かを判断し、異常が発生した場合、放電FET2および充電FET3を用いて、2次電池部1を保護する。
【0023】
例えば、保護IC5は、各電池電圧の少なくともいずれか1つが過充電閾値以上になると、2次電池セル1Aに対する過充電が発生したと判断し、充電FET3をオフにすることで、過充電から2次電池部1を保護する。
【0024】
また、保護IC5は、各電池電圧の少なくともいずれか1つが過放電閾値以下になると、2次電池部1に過放電が発生したと判断し、放電FET2をオフにすることで、過放電から2次電池部1を保護する。
【0025】
さらに、保護IC5は、充放電電流が過電流閾値以上になると、2次電池部1に対する過電流が発生したと判断し、放電FET2をオフにすることで、過電流から2次電池部1を保護する。
【0026】
ID認証抵抗6〜8およびスイッチ9および10は、認証端子IDから見た抵抗値を変更するための回路である。
【0027】
ID認証抵抗6の一端は、認証端子IDと接続され、他端は、ID認証抵抗7および8とスイッチ9の一端と接続されている。ID認証抵抗8の他端は、スイッチ10の一端と接続されている。ID認証抵抗7とスイッチ9および10の他端は、センス抵抗4と接続されている。なお、スイッチ9および10は、本実施形態では、n型のFETで構成されている。
【0028】
MCU11は、スイッチ9および10のオンオフを切り替えることで、認証端子IDから見た抵抗値(具体的には、認証端子IDからセンス抵抗4までの抵抗値)を切り換える。
【0029】
このとき、MCU11がスイッチ9および10の両方をオフにした場合、認証端子IDから見た抵抗値は、ID認証抵抗6および7の直列抵抗値となる。また、MCU11がスイッチ9をオフにし、スイッチ10をオンにした場合、認証端子IDから見た抵抗値は、ID認証抵抗6と、ID認証抵抗7およびID認証抵抗8の並列抵抗値との直列抵抗値となる。また、MCU11がスイッチ9をオンにした場合、スイッチ10がオンか否かに関わらず、認証端子IDから見た抵抗値は、ID認証抵抗6の抵抗値となる。
【0030】
以上のように本実施形態では、MCU11はスイッチ9および10のオンオフを切り替えることで、認証端子IDから見た抵抗値を3通りに切り換えることができる。
【0031】
MCU11は、スイッチ9をオンにした状態を、2次電池部1の充電を停止する充電停止状態に割り当て、スイッチ9をオフにし、かつ、スイッチ10をオンにした状態を、2次電池部1を通常電流で充電する通常充電状態に割あえて、スイッチ9および10をオフにした状態を、2次電池部1を通常電流より小さいプリチャージ電流で充電するプリチャージ状態に割り当てて、2次電池部1の充電状態を管理する。なお、MCU11は、充電停止状態では、保護IC5を介して充電FET3をオフにし、通常充電状態およびプロチャージ状態では、保護IC5を介して充電FET3をオンにする。
【0032】
また、MCU11は、接続端子に接続された外部装置を認証する複数の認証方式に対応し、各認証方式による認証を順番に実行し、複数の認証方式のいずれかが成功した場合、外部装置と2次電池部1との電力の授受を許可する認証部として機能する。なお、各認証方式における認証の可否を判断するまでにかかる認証時間はそれぞれ異なるものとし、認証部は、認証時間が短い認証方式から順番に、複数の認証方式を実行するものとする。
【0033】
次に、MCU11が行う外部装置を認証する認証処理の具体例を説明する。
【0034】
以下では、認証方式は、外部装置から入力される外部信号に基づいて、外部装置の認証を行う第1の認証方式と、外部装置から2次電池部1へ供給される充電電流の値に基づいて、外部装置の認証を行う第2の認証方式とを含むものとする。また、第1の認証方式の認証時間は、第2の認証方式の認証時間より短く、そのため、MCU11は、第1の認証方式を最初に実行し、2番目に第2の認証方式を実行するものとする。
【0035】
なお、外部信号は、外部装置の認証を行うための信号である。本実施形態では、外部装置は、外部信号として、第2の認証方式を実行するか否かを示すIDキャンセル信号を、IDキャンセル端子ID−Cを介してMCU11に入力するものとする。また、IDキャンセル信号は、Hレベルの場合、第2の認証方式の実行を示し、Lレベルの場合、第2の認証処理の不実行を示すものとする。
【0036】
先ず、充電停止状態において、2次電池部1の充電を開始するタイミングになると、MCU11は、第1の認証方式による認証として、外部装置から入力される外部信号がHレベルかLレベルを判断する。
【0037】
IDキャンセル信号がLレベルの場合、MCU11は、第1の認証方式による認証に成功したと判断し、外部装置による2次電池部1への充電を許可する。
【0038】
一方、IDキャンセル信号がHレベルの場合、MCU11は、第1の認証方式による認証が失敗したと判断し、第2の認証方式による認証を実行する。
【0039】
具体的には、MCU11は、スイッチ9および10をオフにするとともに、保護IC5を介して充電FET3をオフにして、プリチャージ充電状態に遷移する。そして、MCU11は、第2の認証方式として、保護IC5から出力された充放電電流の値が所定の電流値範囲である設定値範囲に含まれるか否かを判断する。設定値範囲は、プリチャージ状態における2次電池部1の仕様に適合した電流の値の範囲であり、例えば、0.1ItA以下の範囲である。
【0040】
充放電電流の値が設定値範囲に含まれる場合、MCU11は、第2の認証方式による認証が成功したと判断し、外部装置による2次電池部1への充電を許可する。一方、充放電電流の値が設定値範囲に含まれない場合、MCU11は、第2の認証方式による認証が失敗したと判断し、充電停止状態に遷移して、外部装置による2次電池部1への充電を停止する。
【0041】
次に、2次電池パック50の動作について説明する。
【0042】
図2は、2次電池パック50の動作の一例を説明するためのフローチャートである。以下の動作では、上述した具体例と同様に、認証方式は、第1の認証方式および第2の認証方式を含むものとする。
【0043】
2次電池パック50に外部装置が接続され、外部装置からの充電を開始する充電開始タイミングになると、MCU11は、認証キャンセル端子ID−Cに入力されたIDキャンセル信号がHレベルか否かを判断する(ステップS201)。
【0044】
IDキャンセル信号がHレベルの場合、MCU11は、第1の認証に失敗したと判断して、スイッチ9および10の両方をオフにするとともに、保護IC5を介して充電FET3をオンにして、プリチャージ状態に遷移する(ステップS202)。
【0045】
プリチャージ状態に遷移すると、MCU11は、保護IC5から出力された充電電流の値を確認し、その充電電流の値が設定値範囲に含まれるか否かを判断する(ステップS203)。
【0046】
ステップS201でIDキャンセル信号がLレベルの場合、および、ステップS203で充電電流の値が設定値範囲に含まれる場合、MCU11は、認証に成功したと判断して、スイッチ9をオフにするとともに、スイッチ10をオンにして、通常充電状態に遷移する(ステップS204)。このとき、充電FETがオフの場合(ステップS201でIDキャンセル信号がLレベルの場合)、MCU11は、保護IC5を介して充電FET3をオンにする。
【0047】
これにより、2次電池部1が充電される。その後、MCU11は、2次電池部1の充電を終了する充電終了タイミングか否かを判断する(ステップS205)。例えば、保護IC5は、電池電圧や充放電電流に基づいて、2次電池部1が満充電になったことや、2次電池部1に対する異常を検知すると、その旨の終了信号をMCU11に通知する。そして、MCU11は、終了信号を受信すると、充電終了タイミングと判断し、終了信号を受信していないと、充電終了タイミングでないと判断する。
【0048】
ステップS203で充電電流の値が設定電流値範囲に含まれない場合、および、ステップS205で充電終了タイミングが検知された場合、MCU11は、スイッチ9をオンにするとともに、保護IC5を介して充電FETをオフにすることで、充電停止状態に遷移する(ステップS206)。
【0049】
その後、MCU11は、充電開始タイミングになったか否かを判断する(ステップS207)。例えば、保護IC5は、電池電圧や充放電電流に基づいて、2次電池部1が満充電でなくなったことや、2次電池部1に対する異常が解消されたことを検知すると、その旨の開始信号をMCU11に通知する。そして、MCU11は、開始信号を受信すると、充電開始タイミングと判断し、終了信号を受信していないと、充電開始タイミングでないと判断する。
【0050】
MCU11は、充電開始タイミングになった場合、ステップS201に戻り、充電開始タイミングになっていない場合、ステップS206に戻る。
【0051】
以上説明したように本実施形態によれば、複数の認証方式による認証を順番に実行して、認証のいずれかが成功した場合、外部装置と2次電池部1との電力の授受が許可される。このため、回生電流による充電を可能にする認証と、仕様に適合した汎用の充電器を使用することを可能にする認証とのいずれかが成功した場合、外部装置と2次電池部1との電力の授受が許可されることとなり、回生電流による充電を可能にしつつ、仕様に適合した汎用の充電器を使用することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、認証時間が短い認証方式から順番に、認証方式による認証が実行されるので、認証に要する時間を短くすることが可能になる。
【0053】
また、認証方式として、外部装置から入力される外部信号に基づく第1の認証方式が実行されるので、回生電流を2次電池部1に供給する充電器に外部信号を出力する機能を設けるだけで、回生電流による充電を可能にする認証を簡単に行うことが可能になる。
【0054】
また、認証方式として、2次電池部1への供給される電流の値に基づいて外部装置の認証を行う第2の認証方式が実行されるので、仕様に適合した汎用の充電器を使用することを可能にする認証を行うことが可能になる。
【0055】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0056】
第1の実施形態では、MCU11は、複数の認証方式による認証を順番で実行していた。本実施形態では、MCU11は、複数の認証方式のうち選択された認証方式による認証を実行する。そして、実行した認証が成功すると、MCU11は、外部装置と2次電池部1との電力の授受を許可する。なお、本実施形態の認証方式は、例えば、第1の実施形態で挙げた第1および第2の認証方式である。
【0057】
図3は、本実施形態の2次電池パック50Aの構成を示す図である。図3に示す2次電池パック50Aは、図1に示した2次電池パック50の構成に加えて、選択信号端子SEをさらに有する。
【0058】
選択信号端子SEには、複数の認証方式のいずれかを選択する選択信号が入力される。例えば、2次電池パック50Aに複数の認証方式のいずれかを選択するスイッチが設けられ、ユーザがそのスイッチを切り替えると、そのスイッチから選択信号が選択信号端子SEに入力される。
【0059】
MCU11は、選択信号端子SEに入力された選択信号に応じて、複数の認証方式のいずれかを選択し、その選択した認証方式による認証を実行する。そして、MCU11は、その実行した認証が成功すると、外部装置と2次電池部1との電力の授受を許可する。
なお、認証方式ごとに、2次電池パック50Aに外部装置と接続する接続端子を設け、MCU11は、外部装置が接続された接続端子を検知し、その検知した接続端子に応じて、複数の認証方式のいずれかを選択してもよい。
【0060】
本実施形態によれば、認証方式を選択する必要があるが、第1の実施形態と同様に、回生電流による充電を可能にしつつ、仕様に適合した汎用の充電器を使用することが可能になる。
【0061】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0062】
例えば、IDキャンセル信号は、Lレベルの場合、第2の認証方式の実行を示し、Hレベルの場合、第2の認証処理の不実行を示すものでもよい。
【0063】
この出願は、2012年9月18日に出願された日本出願特願2012−204150号公報を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0064】
1 2次電池部
1A 2次電池セル
2 放電FET
3 充電FET
4 センス抵抗
5 保護IC
6〜8 ID認証抵抗
9,10 スイッチ
11 MCU
50、50A 2次電池パック
図1
図2
図3