(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プロジェクタなどの画像表示装置では、フレアの発生により画質が低下することが知られている。フレアとは、例えば、投射光学系または投射面での光の反射や散乱のために、表示画像内の明るい部分の光が暗い部分へ漏れる現象である。フレアが生じると、表示画像の輝度差の大きいエッジ部分(例えば、白領域と黒領域の境界部分)がぼやけて、エッジ部分の輝度差が小さくなる。
【0003】
特許文献1には、フレアに起因する画質の低下を抑制可能な画質改善装置が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の画質改善装置は、例えば、映像信号において白領域と黒領域の境界部分での輝度差が大きくなるように映像信号に対して補正(以下「フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正」とも称する)を行う。このため、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が行われた映像信号に応じた画像では、白領域と黒領域の境界部分でフレアに起因して輝度差が小さくなっても、フレアに起因する画質の低下が抑制される。
【0005】
図1は、特許文献1に記載の画質改善装置100を示した図である。
【0006】
図1において、画質改善装置100は、2次元LPF(ローパスフィルタ)1と、遅延補償部2および3と、減算部4と、増幅部5と、加算部6と、を含む。
【0007】
画質改善装置100では、輝度信号aが2次元LPF1および遅延補償部2に供給され、色差信号が遅延補償部3に供給される。以下、輝度信号を「Y信号」とも称し、色差信号を「C信号」とも称する。
【0008】
2次元LPF1は、Y信号aから高域周波数成分(エッジ成分)を除去する。このため、2次元LPF1の出力は、エッジ部分がなまったY信号b、つまり、Y信号aの低域周波数成分となる。
【0009】
遅延補償部2は、2次元LPF1でのフィルタ処理に要する時間だけY信号aを遅延する。また、遅延補償部3は、画質改善装置100におけるY信号の信号処理に要する時間だけC信号を遅延する。
【0010】
減算部4は、遅延補償部2の出力(Y信号a)から、2次元LPF1の出力(エッジ部分がなまったY信号b)を差し引く。減算部4の出力は、Y信号aの高域周波数成分を表すエッジ成分信号cとなる。
【0011】
増幅部5は、減算部4からのエッジ成分信号cの振幅を調整する。
【0012】
加算部6は、遅延補償部2の出力(Y信号a)に、増幅部5で調整されたエッジ成分信号dを加算する。このため、加算部6の出力は、Y信号aのエッジを強調した信号e、つまり、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施されたY信号となる。
【0013】
画質改善装置100では、2次元LPF1を、巡回型フィルタを用いて構成することができる(特許文献1参照)。
【0014】
図2は、2次元LPF1にて用いられる巡回型フィルタ10の一例を示した図である。
【0015】
図2において、巡回型フィルタ10は、水平巡回型フィルタ10aと、垂直巡回型フィルタ10bと、を含む。
【0016】
水平巡回型フィルタ10aは、映像信号から、映像信号にて表される画像の水平方向の高域周波数成分(エッジ成分)を除去する。
【0017】
垂直巡回型フィルタ10bは、映像信号から、映像信号にて表される画像の垂直方向の高域周波数成分(エッジ成分)を除去する。
【0018】
図3は、水平巡回型フィルタ10aを示した図である。
【0019】
図3において、水平巡回型フィルタ10aは、増幅部10a1と、加算部10a2と、1ピクセル期間遅延部10a3と、増幅部10a4と、帰還ライン10a5と、を含む。
【0020】
増幅部10a1は、映像信号(例えば、輝度信号)Sの振幅を調整する。
【0021】
なお、映像信号Sは、映像信号Sにて表される画像を構成するラインごとに、ライン内の画像データ(例えば、輝度データ)を順番に表す。
【0022】
図4は、映像信号Sにて表される画像の1ライン内の画像データの一例を示した図である。
【0023】
図4において、映像信号Sは、1ラインに対応するn個の画素の各々に対応するn個の画像データS
1〜S
nをS
1〜S
nの順番で表す。なお、画像データの切り替えタイミングは、ドットクロックにて規定される。
【0024】
図3に示した加算部10a2の一方の入力には、増幅部10a1の出力が供給され、加算部10a2の他方の入力には、増幅部10a4の出力が供給される。加算部10a2は、増幅部10a1の出力に増幅部10a4の出力を加算する。
【0025】
1ピクセル期間遅延部10a3は、加算部10a2の出力を加算部10a2の他方の入力に帰還する帰還ライン10a5に設けられている。1ピクセル期間遅延部10a3は、加算部10a2の出力に対して映像信号の1ピクセル(画素)期間(1画像データ期間)に対応する時間だけ遅延を与える。なお、1ピクセル期間は、所定時間の一例である。
【0026】
増幅部10a4は、帰還ライン10a5に設けられている。増幅部10a4は、1ピクセル期間遅延部10a3の出力に重み付けを行うために、1ピクセル期間遅延部10a3の出力の振幅を調整する。
【0027】
水平巡回型フィルタ10aは、1水平期間内の1ピクセル期間ごとに、映像信号が表す画像データを、その画像データとその1水平期間内で既に入力された画像データとの加重加算値とすることで、映像信号から、映像信号が表す映像の水平方向での高域周波数成分(エッジ成分)を除去する。
【0028】
図5は、垂直巡回型フィルタ10bを示した図である。
【0029】
図5において、垂直巡回型フィルタ10bは、増幅部10b1と、加算部10b2と、1水平期間遅延部10b3と、増幅部10b4と、帰還ライン10b5と、を含む。
【0030】
増幅部10b1は、映像信号(例えば、輝度信号)Sの振幅を調整する。
【0031】
加算部10b2の一方の入力には、増幅部10b1の出力が供給され、加算部10b2の他方の入力には、増幅部10b4の出力が供給される。加算部10b2は、増幅部10b1の出力に増幅部10b4の出力を加算する。
【0032】
1水平期間遅延部10b3は、加算部10b2の出力を加算部10b2の他方の入力に帰還する帰還ライン10b5に設けられている。1水平期間遅延部10b3は、加算部10b2の出力に対して映像信号が表す映像の1水平期間だけ遅延を与える。
【0033】
増幅部10b4は、帰還ライン10b5に設けられている。増幅部10b4は、1水平期間遅延部10b3の出力に重み付けを行うために、1水平期間遅延部10b3の出力の振幅を調整する。
【0034】
垂直巡回型フィルタ10bは、1垂直期間内の1ピクセル期間ごとに、映像信号が表す画像データを、その画像データと、その1垂直期間内で該画像データの入力タイミングよりも水平期間の倍数となる期間だけ前に既に入力された画像データと、の加重加算値とすることで、映像信号から、映像信号が表す映像の垂直方向での高域周波数成分(エッジ成分)を除去する。
【0035】
また、プロジェクタ等の画像表示装置には、2つの映像ソース(例えば、2台のPC)の各々から異なる映像信号を受け付け、各映像信号が表す画像を1つの画面内に表示するマルチ画像表示機能を有するものがある(特許文献2参照)。
【0036】
マルチ画像表示機能を有する画像表示装置は、例えば、2つの映像を横方向(水平方向)に並べたマルチ表示画像を表示する場合、2つの映像が横方向に並べられた状態を表すマルチ画像表示用の映像信号を生成し、そのマルチ画像表示用の映像信号に応じた画像を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0048】
(第1実施形態)
図6は、本発明の第1実施形態の画質改善装置100Aを示した図である。画質改善装置100Aは、例えば、プロジェクタやモニタ等の画像表示装置に搭載される。
【0049】
図6において、
図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。本実施形態の画質改善装置100Aは、
図1に示した2次元LPF1の代わりに2次元LPF7を含む点において、
図1に示した画質改善装置100と異なる。以下、本実施形態の画質改善装置100Aについて、
図1に示した画質改善装置100と異なる点を中心に説明する。
【0050】
図6において、画質改善装置100Aは、遅延補償部2および3と、減算部4と、増幅部5と、加算部6と、2次元LPF7と、を含む。
【0051】
以下では、画質改善装置100Aに、複数の画像を表すマルチ画像の映像信号が入力された状況での説明を行う。具体的には、画質改善装置100Aに入力される映像信号(入力映像信号)として、複数の画像をマルチ画像の水平方向(横方向)に並べた画像を表す映像信号が用いられる。なお、画質改善装置100Aに、1つの画像を表す映像信号が入力された場合の動作は、
図1に示した画質改善装置100と同様となる。
【0052】
図7は、2次元LPF7を示した図である。
【0053】
図7において、2次元LPF7は、巡回型フィルタ71および72と、時間軸反転部73および74と、を含む。
【0054】
2次元LPF7では、巡回型フィルタ71が、入力信号(映像信号)を2次元ローパスフィルタ処理した後、時間軸反転部73が、2次元ローパスフィルタ処理された入力信号を時間軸反転する。そして、巡回型フィルタ72が、時間軸反転された信号をさらに2次元ローパスフィルタ処理し、その後、時間軸反転部74が、巡回型フィルタ72の出力をさらに時間軸反転する。
【0055】
このため、時間軸反転部73による時間軸反転の後、巡回型フィルタ72には、水平および垂直の両方向ともに、巡回型フィルタ71に供給された映像信号(画像データ)の順番とは逆の順番で映像信号(画像データ)が入力される。
【0056】
例えば、巡回型フィルタ71には、画像の一番上のライン内の左端の画像データから同ラインの右端の画像データまで1つずつ画像データが入力され、その後、1つ下のライン内の左端の画像データから同ラインの右端の画像データまで1つずつ画像データが入力されることが、画像の一番下のラインまで繰り返される。
【0057】
一方、巡回型フィルタ72には、画像の一番下のライン内の右端の画像データから同ラインの左端の画像データまで1つずつ画像データが入力され、その後、1つ上のライン内の右端の画像データから同ラインの左端の画像データまで1つずつ画像データが入力されることが、画像の一番上のラインまで繰り返される。
【0058】
このため、巡回型フィルタ71では、画像に対して、左から右へ向かって水平方向におけるフレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施され、上から下へ向かって垂直方向におけるフレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施される。一方、巡回型フィルタ72では、画像に対して、右から左へ向かって水平方向におけるフレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施され、下から上へ向かって垂直方向におけるフレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施されることになる。
【0059】
なお、時間軸反転部73および74が行う時間軸反転処理は、公知技術であるため、詳細な説明は割愛する。
【0060】
本実施形態では、巡回型フィルタ71と巡回型フィルタ72とを同一構成とする。
【0061】
図8は、巡回型フィルタ71、72に適用される巡回型フィルタ700を示した図である。
図8において、
図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0062】
図8において、巡回型フィルタ700は、水平巡回型フィルタ700aと、垂直巡回型フィルタ10bと、を含む。なお、
図8に示した例では、水平巡回型フィルタ700aの出力が垂直巡回型フィルタ10bに供給されているが、垂直巡回型フィルタ10bの出力が水平巡回型フィルタ700aに供給されるように、順番を入れ替えてもよい。
【0063】
図9は、水平巡回型フィルタ700aを示した図である。
図9において、
図3に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0064】
以下、水平巡回型フィルタ700aについて、
図3に示した水平巡回型フィルタ10aと異なる点を中心に説明する。
【0065】
図9において、水平巡回型フィルタ700aは、増幅部10a1と、加算部10a2と、増幅部10a4と、帰還ライン10a5と、1ピクセル期間遅延部700a1と、を含み、検出部700a2と接続される。以下、検出部700a2を、水平巡回型フィルタ700a内の検出部700a2とも称する。
【0066】
検出部700a2は、ドットカウンタ700a21と、比較部700a22と、を含む。
【0067】
1ピクセル期間遅延部700a1は、遅延部の一例である。
【0068】
1ピクセル期間遅延部700a1は、加算部10a2の出力を加算部10a2の他方の入力に帰還する帰還ライン10a5に設けられている。
【0069】
1ピクセル期間遅延部700a1は、加算部10a2の出力に対して1ピクセル期間(1画像データ期間)だけ遅延を与えて遅延信号を生成し、その遅延信号を出力する。
【0070】
1ピクセル期間遅延部700a1は、比較部700a22からの出力が“H”であるとき、リセットがかかる。以下、比較部700a22からの“H”の出力を「リセット信号R」とも称する。なお、通常動作時には、比較部700a22からの“L”の出力が、1ピクセル期間遅延部700a1に入力されている。つまり、通常動作時には、リセット信号Rは出力されない。
【0071】
水平巡回型フィルタ700aは、1水平期間内の1ピクセル期間ごとに、入力される映像信号が表す画像データを、その画像データとその1水平期間内で既に入力された画像データとの加重加算値とすることで、入力された映像信号から、その映像信号が表す画像の水平方向での高域周波数成分(エッジ成分)を除去するフィルタ処理を行う。
【0072】
また、1ピクセル期間遅延部700a1は、リセット信号R(比較部700a22からの“H”の出力)を受けている間、リセットがかかり遅延信号の出力を一旦停止して出力を“L”にする。このため、リセット信号Rを受けている間、水平巡回型フィルタ700aは巡回型フィルタとして機能しなくなり、その後の水平巡回型フィルタ700aの出力において、リセット信号Rを受ける前までに入力された映像信号の影響はなくなる。
【0073】
その後、比較部700a22からの出力が“L”になると、その時点から改めて水平巡回型フィルタ700aが巡回型フィルタとして機能し、映像信号から高域周波数成分が除去される。
【0074】
よって、マルチ画像内の複数の画像の境界となる画像データを映像信号が表したタイミング(以下「境界タイミング」と称する)で、リセット信号Rが1ピクセル期間遅延部700a1に入力されれば、マルチ画像内の各画像が隣の画像の影響を受けることなく、各画像について、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正を行うことが可能になる。
【0075】
検出部700a2は、制御部として機能し、境界タイミングでリセット信号R(“H”の出力)を出力する。
【0076】
ドットカウンタ700a21には、水平方向のデータイネーブル信号(以下「水平DE信号」と称する)とドットクロックが入力される。
【0077】
水平DE信号は、水平方向の映像期間を表す信号である。例えば、画質改善装置100Aに入力される映像信号が、表示領域の水平方向の全領域に2つの画像が左右に並んだマルチ画像の投射画像を表す場合、水平DE信号は、投射画像内の水平方向の全映像期間、つまり、左右に2つ並んだ画像の両期間を有効表示期間として表す。また、水平DE信号は、有効表示期間以外を無効表示期間として表す。
【0078】
一方、ドットクロックは、各画素(各画像データ)に同期したクロック信号である。
【0079】
ドットカウンタ700a21は、水平DE信号が有効表示期間を表す期間に入力されるドットクロックの数をカウントし、水平DE信号が有効表示期間となってからの画素数を表す。また、ドットカウンタ700a21は、水平DE信号が無効表示期間となるとカウント値を0に戻す。ドットカウンタ700a21のカウント値は、比較部700a22へ出力される。
【0080】
比較部700a22は、ドットカウンタ700a21からのカウント値と、画像情報が表す画像水平幅と、を比較する。
【0081】
なお、画像情報は、各画像の画像水平幅および画像垂直幅を表してもよく、各画像の水平方向および垂直方向の画像開始位置および画像終了位置を表す情報でもよい。
【0082】
本実施形態では、画像情報として、マルチ画像内の各画像の画像水平幅を表す画像水平幅情報が用いられる。
【0083】
画像水平幅情報は、例えば、マルチ画像を表す映像信号を作成した機器(例えば、プロジェクタ内の画像処理部)から供給される。
【0084】
ここで、
図7に示した時間軸反転部73を介して接続されている、巡回型フィルタ71内の水平巡回型フィルタ700aと、巡回型フィルタ72内の水平巡回型フィルタ700aでは、入力される映像信号が表す画像データの順序が変わるため、必要となる画像水平幅も、時間軸反転部73の前後で値が変わる。
【0085】
巡回型フィルタ71内の水平巡回型フィルタ700aでは、画像水平幅は、左右に並べて表示される画像のうちの左側の画像の水平幅(ドット数)になる。
【0086】
一方、巡回型フィルタ72内の水平巡回型フィルタ700aでは、画像水平幅は、左右に並べて表示される画像のうちの右側の画像の水平幅(ドット数)になる。
【0087】
つまり、巡回型フィルタで使用される画像水平幅は、巡回型フィルタに先に入力される画像の水平幅(ドット数)になる。
【0088】
図9に示した比較部700a22は、ドットカウンタ700a21からのカウント値と画像水平幅を比較し、これらが一致したときのみ、出力を“H”にする(つまり、リセット信号Rを出力する)。
【0089】
図10は、巡回型フィルタ71内の水平巡回型フィルタ700aに含まれる検出部700a2(以下「検出部700a2a」と称する)の動作を説明するための図である。
【0090】
図10に示したように、検出部700a2aでは、比較部700a22は、ドットカウンタ700a21のカウント値が左側画像の画像水平幅Lに対応する値mLになると、リセット信号Rを出力する。なお、
図10において、画像水平幅LおよびRにて規定される期間は、入力画像の水平期間を右側画像および左側画像の水平期間に基づいて分割した分割期間の一例である。
【0091】
図11は、巡回型フィルタ72内の水平巡回型フィルタ700aに含まれる検出部700a2(以下「検出部700a2b」と称する)の動作を説明するための図である。
【0092】
なお、巡回型フィルタ72は、時間軸反転部73の後段にあるため、巡回型フィルタ72に入力する画像信号が表す画像は、上下、左右が巡回型フィルタ71に入力する画像信号が表す画像とは逆になって入力される。
【0093】
図11に示したように、検出部700a2bでは、比較部700a22は、ドットカウンタ700a21のカウント値が右側画像の画像水平幅Rに対応する値mRになると、リセット信号Rを出力する。
【0094】
このため、巡回型フィルタ71、72内の各比較部700a22からのリセット信号Rは、いずれも、左右に並べて表示される画像の境目で出力されることになる。
【0095】
以上説明したように、水平巡回型フィルタの帰還信号を、左右に並べて表示される画像の境目のタイミングで毎回リセットかけることで、左右それぞれの画像において、隣り合う画像の影響を受けずに、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正をかけることができ、画像の高画質化を図ることが可能になる。
【0096】
なお、上記実施形態では、マルチ画像内の画像数を2としたが、マルチ画像内の画像数は2より多くてもよい。この場合、それぞれの画像の境目のタイミングでリセットをかける。
【0097】
本実施形態によれば、2次元LPF7は、入力映像信号から低域周波数成分を抽出する。減算部4は、2次元LPF7にて抽出された低域周波数成分を入力映像信号から差し引いて高域周波数成分を取得する。加算部6は、減算部4にて取得された高域周波数成分を入力映像信号に加算することで、入力映像信号に対して画質補正を行う。2次元LPF7は、巡回型フィルタ71を含む。
【0098】
巡回型フィルタ71は、入力映像信号と、巡回型フィルタ71の出力に所定時間の遅延を与えた遅延信号と、を加重加算する加重加算処理を実行し、その加重加算処理の結果を、入力映像信号の低域周波数成分として出力する。
【0099】
そして、検出部700a2は、入力映像信号が複数の画像を表すマルチ画像の映像信号である場合に、巡回型フィルタ71を用いて、マルチ画像内の画像ごとに加重加算処理を実行する。
【0100】
よって、巡回型フィルタ71は、入力映像信号が複数の画像を表すマルチ画像の映像信号である場合に、マルチ画像内の画像ごとに加重加算処理を実行する。
【0101】
このため、マルチ画像では、画像単位でフィルタ処理(加重加算処理)が行われ、マルチ画像内の画像がマルチ画像内の他の画像の影響を受けてマルチ画像内の各画像において画像全体の画質の低下することを抑制可能となる。
【0102】
また、本実施形態では、水平巡回型フィルタ700aは、複数の画像が水平方向に並べられたマルチ画像を表す入力映像信号の水平期間について、水平期間内で入力映像信号が複数の画像の境界となる画像データを表した境界タイミングを基点にして水平期間を分割した複数の分割期間ごとに、加重加算処理を実行して、入力映像信号の水平方向の低域周波数成分を抽出する。
【0103】
このため、複数の画像が水平方向に並べられたマルチ画像において、マルチ画像内の画像がマルチ画像内の他の画像の影響を受けて画質が低減することを抑制可能となる。
【0104】
また、本実施形態では、帰還ライン10a5は、水平巡回型フィルタ700aの出力を加算部10a2に供給する。1ピクセル遅延部700a1は、帰還ライン10a5に設けられ、水平巡回型フィルタ700aの出力に1ピクセル時間(所定時間)の遅延を与えて遅延信号を生成し、その遅延信号を出力する。加算部10a2は、入力映像信号と、帰還ライン10a5を通じて受け付けた遅延信号と、の加重加算を実行し、その加重加算の結果を、水平巡回型フィルタ700aの出力として出力する。そして、1ピクセル遅延部700a1は、境界タイミングで、遅延信号の出力を一旦停止して出力を“L”にする。
【0105】
このため、水平巡回型フィルタ700aでは、帰還ライン10a5からの加算部10a2に入力する信号が境界タイミングで一旦停止し、よって、それ以降、加算部10a2の出力(加重加算の結果)に対する境界タイミング以前の入力映像信号の影響がなくなる。したがって、マルチ画像内の画像がマルチ画像内の他の画像の影響を受けて画質が低減することを抑制可能となる。
【0106】
また、本実施形態では、検出部700a2は、水平期間での複数の画像の各々の期間を表す分割期間と、水平期間で受け付けた画像データの数と、に基づいて、境界タイミングを検出する。1ピクセル遅延部700a1は、検出部700a2が境界タイミングを検出すると、遅延信号の出力を一旦停止して出力を“L”にする。
【0107】
このため、水平期間での複数の画像の各々の期間を表す分割期間と、水平期間で受け付けた画像データの数と、に基づいて、境界タイミングを自動的に検出可能になる。
【0108】
図12は、画質改善装置100Aを搭載したプロジェクタ1000を示した図である。
図12において、
図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0109】
図12において、プロジェクタ1000は、画質改善装置100Aと、画像処理部8と、投射部9と、を含む。
【0110】
画像処理部8は、PC(パーソナルコンピュータ)2000および3000から互いに独立した映像信号を受け付ける。なお、映像信号の供給元はPCに限らず適宜変更可能である。また、映像信号の供給元の数も2に限らない。例えば、画像処理部8は、1つの映像信号を受け付け、受け付けられた映像信号から新映像信号(例えば、受け付けられた映像信号のコピー、または受け付けられた映像信号を遅延させた映像信号)を生成し、受け付けられた映像信号と新映像信号とを、PC2000および3000からの各映像信号の代わりに用いてもよい。なお、画像処理部8と検出部700a2とで制御部を構成する。
【0111】
画像処理部8は、PC2000および3000からの各映像信号を用いて、各映像信号が表す画像を水平方向に並べたマルチ画像を表す映像信号(以下「マルチ画像映像信号」と称する)を生成する。
【0112】
例えば、画像処理部8は、各映像信号が表す画像の水平幅が等しくなるように、各映像信号が表す画像を水平方向に並べたマルチ画像を表すマルチ画像映像信号を生成する。
【0113】
なお、マルチ画像内での各画像の水平幅は、例えば、ユーザからの指示に応じて設定されてもよい。
【0114】
また、画像処理部8は、マルチ画像内の各画像の画像水平幅を表す画像水平幅情報を生成する。画像処理部8は、マルチ画像映像信号と各画像水平幅情報とを、画質改善装置100Aに出力する。
【0115】
画質改善装置100Aは、マルチ画像映像信号を入力映像信号として受け付け、また、各画像水平幅情報を受け付け、マルチ画像映像信号に対して、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正を行う。画質改善装置100Aは、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施されたマルチ画像映像信号を投射部9に出力する。
【0116】
投射部9は、表示部の一例である。投射部9は、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施されたマルチ画像映像信号を受け付け、そのマルチ画像映像信号が表すマルチ画像をスクリーン(不図示)等の投射面に投射し、投射面にマルチ画像を表示する。
【0117】
投射部9は、例えば、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正が施されたマルチ画像映像信号が表すマルチ画像を形成する液晶パネルと、その液晶パネルを照射してマルチ画像の投写画像を生成する光源と、光源にて生成された投写画像を投写面に結像する投射用光学系と、を備える。
【0118】
このため、プロジェクタ1000が投射面に表示するマルチ画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
【0119】
なお、液晶パネルの代わりに、DMD(Digital Micromirror Device)や他の表示素子が用いられてもよい。
【0120】
また、画質改善装置100Aは、表示部を有するモニタに搭載されてもよい。この場合、
図12において投射部9の代わりに、表示部(例えば、液晶パネル、プラズマパネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネル)が用いられる。
【0121】
(第2実施形態)
第1実施形態では、画質改善装置に入力される映像信号として、複数の画像をマルチ画像の水平方向(横方向)に並べた画像を表す映像信号が用いられた。
【0122】
一方、第2実施形態では、画質改善装置に入力される映像信号として、複数の画像をマルチ画像の垂直方向(縦方向)に並べた画像を表す映像信号が用いられる。
【0123】
第2実施形態の画質改善装置と第1実施形態の画質改善装置との相違点は、第2実施形態の画質改善装置では、
図7に示された巡回型フィルタ71、72に適用される巡回型フィルタが、第1実施形態で用いられた巡回型フィルタ(
図8に示された巡回型フィルタ700)と異なる点である。
【0124】
以下、第2実施形態の画質改善装置について、第1実施形態の画質改善装置と異なる点を中心に説明する。
【0125】
図13は、
図7に示した巡回型フィルタ71、72に適用される巡回型フィルタ701を示した図である。
図13において、
図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0126】
図13において、巡回型フィルタ701は、水平巡回型フィルタ10aと、垂直巡回型フィルタ701bと、を含む。なお、
図13に示した例では、水平巡回型フィルタ10aの出力が垂直巡回型フィルタ701bに供給されているが、垂直巡回型フィルタ701bの出力が水平巡回型フィルタ10aに供給されるように、順番を入れ替えてもよい。
【0127】
図14は、垂直巡回型フィルタ701bを示した図である。
図14において、
図5に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0128】
以下、垂直巡回型フィルタ701bについて、
図5に示した垂直巡回型フィルタ10bと異なる点を中心に説明する。
【0129】
図14において、垂直巡回型フィルタ701bは、増幅部10b1と、加算部10b2と、増幅部10b4と、帰還ライン10b5と、1水平期間遅延部701b1と、を含み、検出部701b2と接続される。以下、検出部701b2を、垂直巡回型フィルタ701b内の検出部701b2とも称する。
【0130】
検出部701b2は、ラインカウンタ701b21と、比較部701b22と、を含む。
【0131】
1水平期間遅延部701b1は、遅延部の一例である。
【0132】
1水平期間遅延部701b1は、加算部10b2の出力を加算部10b2の他方の入力に帰還する帰還ライン10b5に設けられている。
【0133】
1水平期間遅延部701b1は、加算部10b2の出力に対して1水平期間だけ遅延を与えて遅延信号を生成し、その遅延信号を出力する。
【0134】
1水平期間遅延部701b1は、比較部701b22からの出力が“H”であるとき、リセットがかかる。以下、比較部700a22からの“H”の出力を「リセット信号R1」とも称する。なお、通常動作時には、比較部701b22からの“L”の出力が、1水平期間遅延部701b1に入力されている。つまり、通常動作時には、リセット信号R1は出力されない。
【0135】
垂直巡回型フィルタ701bは、1垂直期間内の1ピクセル期間ごとに、映像信号が表す画像データを、その画像データと、その1垂直期間内で該画像データの入力タイミングよりも水平期間の倍数となる期間だけ前に既に入力された画像データと、の加重加算値とすることで、映像信号から、映像信号が表す映像の垂直方向での高域周波数成分(エッジ成分)を除去するフィルタ処理を行う。
【0136】
また、1水平期間遅延部701b1は、リセット信号R1(比較部701b22からの“H”の出力)を受けている間、リセットがかかり遅延信号の出力を一旦停止して出力を“L”にする。このため、リセット信号R1を受けている間、垂直巡回型フィルタ701bは巡回型フィルタとして機能しなくなり、その後の垂直巡回型フィルタ701bの出力において、リセット信号R1を受ける前までに入力された映像信号の影響はなくなる。
【0137】
その後、比較部701b22からの出力が“L”になると、その時点から改めて垂直巡回型フィルタ701bが巡回型フィルタとして機能し、映像信号から高域周波数成分が除去される。
【0138】
よって、マルチ画像内の複数の画像の境界となる画像データを映像信号が表したタイミング(境界タイミング)で、リセット信号R1が1水平期間遅延部701b1に入力されれば、マルチ画像内の各画像が隣接する画像の影響を受けることなく、各画像について、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正を行うことが可能になる。
【0139】
検出部701b2は、制御部として機能し、境界タイミングでリセット信号R1(“H”の出力)を出力する。
【0140】
ラインカウンタ701b21には、垂直方向のデータイネーブル信号(以下「垂直DE信号」と称する)と水平同期信号が入力される。
【0141】
垂直DE信号は、垂直方向での映像期間を表す信号である。例えば、入力される映像信号が、表示領域の垂直方向の全領域に2つの画像が上下に並んだマルチ画像の投射画像を表す場合、垂直DE信号は、投射画像内の垂直方向の全映像期間、つまり、上下に2つ並んだ画像の両期間を有効表示期間として表す。また、垂直DE信号は、有効表示期間以外を無効表示期間として表す。
【0142】
一方、水平同期信号は、各ラインに同期した信号である。
【0143】
ラインカウンタ701b21は、垂直DE信号が有効表示期間を表す期間に入力される水平同期信号の数をカウントし、垂直DE信号が有効表示期間となってからのライン数を表す。また、ラインカウンタ701b21は、垂直DE信号が無効表示期間となるとカウント値を0に戻す。ラインカウンタ701b21のカウント値は、比較部701b22へ出力される。
【0144】
比較部701b22は、ラインカウンタ701b21からのカウント値と、画像情報が表す画像垂直幅(画像垂直ライン数)と、を比較する。
【0145】
なお、画像情報は、第1実施形態で説明したように、各画像の画像水平幅および画像垂直幅を表してもよく、各画像の水平方向および垂直方向の画像開始位置および画像終了位置を表す情報でもよい。
【0146】
本実施形態では、画像情報として、マルチ画像内の各画像の画像垂直幅を表す画像垂直ライン数情報が用いられる。
【0147】
画像垂直ライン数情報は、例えば、マルチ画像を表す映像信号を作成した機器(例えば、プロジェクタ内の画像処理部)から供給される。
【0148】
ここで、
図7に示した時間軸反転部73を介して接続されている、巡回型フィルタ71内の垂直巡回型フィルタ701bと、巡回型フィルタ72内の垂直巡回型フィルタ701bでは、入力される映像信号が表す画像データの順序が変わるため、必要となる画像垂直ライン数も、時間軸反転部73の前後で値が変わる。
【0149】
巡回型フィルタ71内の垂直巡回型フィルタ701bでは、画像垂直ライン数として、上下に並べて表示される画像のうちの上側の画像の画像垂直ライン数が用いられる。
【0150】
一方、巡回型フィルタ72内の垂直巡回型フィルタ701bでは、画像垂直ライン数として、上下に並べて表示される画像のうちの下側の画像の画像垂直ライン数が用いられる。
【0151】
つまり、巡回型フィルタで使用される画像垂直ライン数は、巡回型フィルタに先に入力される画像の垂直幅(垂直ライン数)になる。
【0152】
図14に示した比較部701b22は、ラインカウンタ701b21からのカウント値と画像垂直ライン数を比較し、これらが一致したときのみ、出力を“H”にする(つまり、リセット信号R1を出力する)。リセット信号R1の幅は、1ライン分となる。なお、1ラインのうち、映像信号が有効となる期間を含む幅であればよい。
【0153】
図15は、巡回型フィルタ71内の垂直巡回型フィルタ701bに含まれる検出部701b2(以下「検出部701b2a」と称する)の動作を説明するための図である。
【0154】
図15に示したように、検出部701b2aでは、比較部701b22は、ラインカウンタ701b21のカウント値が上側画像の画像ライン数(画像垂直幅)Uに対応する値nUになると、リセット信号R1を出力する。なお、
図15において、画像垂直幅UおよびDにて規定される期間は、入力画像の垂直期間を各画像の垂直期間に基づいて分割した分割期間の一例である。
【0155】
図16は、巡回型フィルタ72内の垂直巡回型フィルタ701bに含まれる検出部701b2(以下「検出部701b2b」と称する)の動作を説明するための図である。
【0156】
なお、巡回型フィルタ72は、時間軸反転部73の後段にあるため、巡回型フィルタ72に入力する画像信号が表す画像は、上下、左右が巡回型フィルタ71に入力する画像信号が表す画像とは逆になって入力される。
【0157】
図16に示したように、検出部701b2bでは、比較部701b22は、ラインカウンタ701b21のカウント値が下側画像の画像ライン数(画像垂直幅)Dに対応する値nDになると、リセット信号R1を出力する。
【0158】
このため、巡回型フィルタ71、72内の各比較部701b22からのリセット信号R1は、いずれも、上下に並べて表示される画像の境目で出力されることになる。
【0159】
以上説明したように、垂直巡回型フィルタの帰還信号を、上下に並べて表示される画像の境目のタイミングで毎回リセットかけることで、上下それぞれの画像において、隣り合う画像の影響を受けずに、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正をかけることができ、画像の高画質化を図ることが可能になる。
【0160】
また、上記各実施形態では、マルチ画面内に、入力された映像信号に対応する2つの画像(入力画像)が接するように配置されたが、2つの画像を離して配置してもよい。
【0161】
このとき、複数の画像の上側、下側、右側、左側、または、画像の間などに、複数の入力画像のそれぞれの領域を明確にする分離画像を表示してもよい。分離画像は、例えば、黒や青色など画像の境目を示す画像で表示される。また、分離画像は、イラストや自然画像などでもよい。
【0162】
この場合、それぞれの画像の境目のタイミングである画像の開始位置および終了位置に応じたタイミング、または、分離画像を表示する全期間に応じたタイミングなどでリセットをかける。
【0163】
なお、分離画像が黒で表示される場合は、分離画像の次に走査される画像の境目のタイミングである開始位置に応じたタイミングでリセットをかけるのみでもよい。これは、この位置でリセットをかけることで、入力画像への分離画像の影響をなくす一方、分離画像の映像レベルは黒レベルなので、分離画像は入力画像の影響を受けないためである。つまり、分離画像が黒であるため、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正がかかっても黒より下の映像信号レベルがないので、実質、黒の映像信号には補正がかからないからである。また、マルチ画像内に配置される画像は、入力画像に限定されず、装置内部で生成される画像(生成画像)でもよい。
【0164】
(第3実施形態)
第3実施形態では、画質改善装置に入力される映像信号として、複数の画像をマルチ画像の水平方向(横方向)および垂直方向(縦方向)に並べた画像を表す映像信号が用いられる。
【0165】
第3実施形態の画質改善装置と第1および第2実施形態の画質改善装置との相違点は、第3実施形態の画質改善装置では、
図7に示された巡回型フィルタ71、72に適用される巡回型フィルタが、第1、第2実施形態で用いられた巡回型フィルタ(
図8に示された巡回型フィルタ700、
図13に示された巡回型フィルタ701)と異なる点である。
【0166】
以下、第3実施形態の画質改善装置について、第1および第2実施形態の画質改善装置と異なる点を中心に説明する。
【0167】
図17は、
図7に示した巡回型フィルタ71、72に適用される巡回型フィルタ702を示した図である。
図17において、
図8、
図9、
図13、
図14に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0168】
図17において、巡回型フィルタ702は、第1実施形態で用いられた水平巡回型フィルタ700aと、第2実施形態で用いられた垂直巡回型フィルタ701bと、を含む。なお、
図17に示した例では、水平巡回型フィルタ700aの出力が垂直巡回型フィルタ701bに供給されているが、垂直巡回型フィルタ701bの出力が水平巡回型フィルタ700aに供給されるように、順番を入れ替えてもよい。
【0169】
図18は、複数の画像をマルチ画像の水平方向(横方向)および垂直方向(縦方向)に並べた画像を表す映像信号の一例と、水平巡回型フィルタ700aでのリセット信号(“H”の信号)と垂直巡回型フィルタ701bでのリセット信号(“H”の信号)との例を示した図である。
【0170】
なお、本実施形態では、画像I1、I2およびI3を含む画像の期間を有効表示期間として表す。また、各画像I1、I2、I3の水平方向および垂直方向の開始位置および終了位置は、画像I1、I2、I3を含む画像を合成する画像合成部や画像処理部から画像情報(境界位置情報)として入力される。なお、画像合成部や画像処理部は、画質改善装置の前段の機器となる。
【0171】
本実施形態では、画像情報に応じて、3種類のリセット信号のいずれかを出力する。
【0172】
リセットRH11、RH21およびRV1は、画像の間の領域が黒の場合に適用され、“H”の信号である。画像の間の領域が黒の場合、フレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正では、黒レベルを、黒レベルよりも低い値に補正するようにするが、黒レベルよりも低い値はないため、黒レベルにクリップされる。
【0173】
リセットRH12、RH22およびRV2は、“H”の信号であり、画像の開始位置と終了位置の境界の位置に合わせてリセットをかける。
【0174】
リセットRH13、RH23およびRV3は、“H”の信号であり、画像の間の領域の幅に合わせてリセットをかける。
【0175】
本実施形態では、リセットのタイミングを決定する画像垂直ライン数情報および画像水平幅情報は、入力される画像データ(映像信号内の画像データの順番)に応じて変更される。
【0176】
例えば、画像I1についてのリセットRH12を出力する場合、画像I1の左端の画像データが入力される直前の状況では、比較部700a22には、画像水平幅情報として画像I1の開始位置を表す「m1」が入力され、画像I1の右端の画像データが入力される状況では、比較部700a22には、画像水平幅情報として画像I1の終了位置を表す「m2」が入力される。
【0177】
なお、本実施形態において、時間軸反転してフレアに起因する画質の低下を抑制するための画質補正を処理する手法は、水平方向については第1実施形態と同様であり、垂直方向については第2実施形態と同様である。
【0178】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。