特許第6137714号(P6137714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137714押圧の度合いに応じて異なる触覚応答を付与可能なユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137714
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】押圧の度合いに応じて異なる触覚応答を付与可能なユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20170522BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170522BHJP
   G06F 3/0487 20130101ALI20170522BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G06F3/0488
   G06F3/0487
   G06F3/041 480
   G06F3/041 602
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-207225(P2015-207225)
(22)【出願日】2015年10月21日
(62)【分割の表示】特願2012-63839(P2012-63839)の分割
【原出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2016-12376(P2016-12376A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】松木 友明
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−033739(JP,A)
【文献】 特開2009−020759(JP,A)
【文献】 特開2010−238222(JP,A)
【文献】 特開2002−149312(JP,A)
【文献】 特開2004−110388(JP,A)
【文献】 特開2010−152737(JP,A)
【文献】 特開2010−266997(JP,A)
【文献】 特開2010−097326(JP,A)
【文献】 特開2011−129091(JP,A)
【文献】 特開2011−048606(JP,A)
【文献】 特開2010−009321(JP,A)
【文献】 特表2010−503127(JP,A)
【文献】 特表2011−528826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048−3/0489
G06F 3/041−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置であって、
前記タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、
前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったか否かを判定する接触位置判定手段と、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われた際において、前記押圧力判定手段が偽の判定を行った場合には当該指に対して所定の触覚応答を付与すべく前記触覚応答機構部を制御し、一方、前記押圧力判定手段が真の判定を行った場合には当該指に対して前記所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与すべく前記触覚応答機構部を制御し、当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われた際において、前記押圧力判定手段が真の判定を行った場合に、触覚応答の付与停止を維持すべく前記触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
を有することを特徴とするユーザインタフェース装置。
【請求項2】
前記接触位置判定手段によって、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内から該表示位置範囲外に出たと判定された際、前記触覚応答制御手段は、触覚応答の付与停止を維持すべく前記触覚応答機構部を制御することを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項3】
前記接触位置判定手段によって、当該指の接触位置が、接触した当初から当該オブジェクトの表示位置範囲内にあると判定されている間、前記触覚応答制御手段は、触覚応答の付与停止を維持すべく前記触覚応答機構部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項4】
前記操作判定制御手段は、前記接触位置判定手段によって当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力判定手段によって偽の判定が行われた際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、当該オブジェクトの強調表示を行わせることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項5】
前記触覚応答制御手段は、前記所定の触覚応答として、当該オブジェクトの表示位置範囲内の点に予め付与された高さ情報に基づいて決定された振動を付与すべく前記触覚応答機構部を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項6】
当該指の接触位置が、所定時間以上継続して変化しなかったか否かを判定する接触時間判定手段と、
前記接触時間判定手段が真の判定を行った際、当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない前記状態を発動させるモード動作手段と
を更に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項7】
前記画像表示部に表示された画像は、操作対象であるオブジェクトとしての複数のリンクを含むブラウザの表示画像であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項8】
前記触覚応答制御手段は、
当該指を当該オブジェクトの表示位置範囲内に接触させた際、触覚応答を当該指に付与せず、
次いで、当該指を接触させたまま移動させて、当該指の接触位置を当該オブジェクトの表示位置範囲外に離脱させ、その後、当該指の接触位置が当該オブジェクト又は別のオブジェクトの表示位置範囲内に入った際、触覚応答を付与すべく前記触覚応答機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のユーザインタフェース装置。
【請求項9】
操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
前記ユーザインタフェース装置は、前記タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを更に備えており、
前記プログラムは、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったか否かを判定する接触位置判定手段と、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われた際において、前記押圧力判定手段が偽の判定を行った場合には当該指に対して所定の触覚応答を付与すべく前記触覚応答機構部を制御し、一方、前記押圧力判定手段が真の判定を行った場合には当該指に対して前記所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与すべく前記触覚応答機構部を制御し、当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われた際において、前記押圧力判定手段が真の判定を行った場合に、触覚応答の付与停止を維持すべく前記触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするユーザインタフェース装置用のプログラム。
【請求項10】
操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置における触覚応答付与方法であって、
前記ユーザインタフェース装置は、前記タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを更に備えており、
前記触覚応答付与方法は、
前記押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定するステップと、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったか否かを判定するステップと、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力が所定閾値以上ではないとの判定が行われた際、当該指に対して所定の触覚応答を付与するステップと、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、当該指に対して前記所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与するステップと、
当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われ、且つ前記押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、触覚応答の付与停止を維持するステップと、
当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ前記押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させるステップと、
を有することを特徴とする触覚応答付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示するディスプレイと、指による操作を可能とするタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルを搭載したユーザインタフェース装置が広く普及している。特に、近年、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、電子書籍、PDA(Personal Digital Assistant)のようなユーザインタフェース装置、いわゆる携帯型情報機器では、指の接触による操作を受け入れるユーザインタフェースとしてタッチパネルが積極的に採用されている。
【0003】
タッチパネルを採用すると、機器の多機能化に対応した様々な入力操作が可能となる。しかしながらその一方で、物理キーと比較すると、誤った入力操作が生じやすい傾向にある。具体的には、ユーザが意図せずにタッチパネルに触れた場合でも入力操作が発生したり、ユーザが入力操作を行った積もりでも所望の機能が発動せずやり直しの操作が必要となったりする。
【0004】
この誤操作の問題に対処する方策として、操作を行った指に対して振動等による触覚応答を付与する技術が存在する。ユーザは、自ら行う操作に対する応答(フィードバック)を得ることを目安として操作を行うことができ、また、この応答を指で得て、操作の完了を確認することができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、同時に生じる複数の接触を検出可能なマルチタッチパネルを振動させ、タッチ確認のフィードバックを行うタッチパネル装置が開示されている。この装置では、1本目の指がタッチした際、第1の振動が指に付与され、1本目の指がタッチ継続中に2本目の指がタッチした際、第1の振動よりも振動レベルの大きい第2の振動を付与する。
【0006】
また、特許文献2には、タッチパネルの検出面上に割り当てられた複数のボタン領域の1つに触れた際に、このボタン領域に設定された報知形態で報知を行う入力装置が開示されている。ここで、この報知形態は、振動、音、色及び明るさのいずれか1つ又はこれらの組合せとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−55282号公報
【特許文献2】特開2010−9321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような従来技術を用いても、尚、タッチパネルに対する指での操作性を高めて誤操作を抑制する課題が十分に解決されていない。
【0009】
特に、携帯型情報機器では、その携帯性から機器サイズ、更にはディスプレイの画面サイズが限定される。その結果、この画面に、操作対象である多数のオブジェクト(アイコン、リンク等)が密集して表示される場合も希ではない。このような状況では、密集したオブジェクトの1つに指で接触して選択し分ける必要が生じる。
【0010】
例えば、ウェブブラウザが起動しており、リンクの多数配列した画面が表示される場合、指を1つのリンクの表示位置範囲内に接触させてリンクを選択し、このリンクの機能を発動させる(このリンク先の文書又は画像等を閲覧する)。しかしながら、リンクが密集しているため、指が実際にいずれのリンクを選択しているかが非常に分かり難い。従って、意図しないリンクを選択し発動させてしまう誤操作が生じがちとなる。
【0011】
ここで、単に上述したような触覚応答(振動)を指に付与しても、このような誤操作の解決にはならない。例えば、当初、指が所望のリンクではないリンクに接触し、この段階で、指に触覚応答が付与されるのであれば、所望のリンクの選択に成功したか否かが全く不明確となる。また、リンクの選択時だけでなく、リンクの発動時にも触覚応答を付与する場合、指がリンクに接触してそのままリンクを発動させる際、2回の触覚応答が発生してしまい、指の操作感覚に適合しない。その結果、操作が確実に行われたか否かの判断がつき難くなる。
【0012】
そこで、本発明は、指の操作感覚に適合しており、誤操作を抑制可能な触覚応答を指に付与するユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置であって、
タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、
タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定する接触位置判定手段と、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われた際において、押圧力判定手段が偽の判定を行った場合には当該指に対して所定の触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御し、一方、押圧力判定手段が真の判定を行った場合には当該指に対して上記の所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御し、当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われた際において、押圧力判定手段が真の判定を行った場合に、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
を有するユーザインタフェース装置が提供される。
【0014】
この本発明によるユーザインタフェース装置においては、接触位置判定手段によって、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内からこの表示位置範囲外に出たと判定された際、触覚応答制御手段は、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部を制御することも好ましい。
【0015】
さらに、本発明によるユーザインタフェース装置において、前記接触位置判定手段によって、当該指の接触位置が、接触した当初から当該オブジェクトの表示位置範囲内にあると判定されている間、前記触覚応答制御手段は、触覚応答の付与停止を維持すべく前記触覚応答機構部を制御することも好ましい。
【0016】
また、本発明によるユーザインタフェース装置の一実施形態として、操作判定制御手段は、接触位置判定手段によって当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力判定手段によって偽の判定が行われた際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、当該オブジェクトの強調表示を行わせることも好ましい。
【0017】
さらに、本発明によるユーザインタフェース装置の他の実施形態として、触覚応答制御手段は、上記の所定の触覚応答として、当該オブジェクトの表示位置範囲内の点に予め付与された高さ情報に基づいて決定された振動を付与すべく触覚応答機構部を制御することも好ましい。
【0018】
また、本発明によるユーザインタフェース装置の更なる他の実施形態として、本ユーザインタフェース装置は、当該指の接触位置が所定時間以上継続して変化しなかったか否かを判定する接触時間判定手段と、接触時間判定手段が真の判定を行った際、当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態を発動させるモード動作手段とを更に有することも好ましい。
【0020】
また、本発明によるユーザインタフェース装置の更なる他の実施形態として、画像表示部に表示された画像は、操作対象であるオブジェクトとしての複数のリンクを含むブラウザの表示画像であることも好ましい。
【0021】
さらに、本発明によるユーザインタフェース装置において、触覚応答制御手段は、
当該指を当該オブジェクトの表示位置範囲内に接触させた際、触覚応答を当該指に付与せず、
次いで、当該指を接触させたまま移動させて、当該指の接触位置を当該オブジェクトの表示位置範囲外に離脱させ、その後、当該指の接触位置が当該オブジェクト又は別のオブジェクトの表示位置範囲内に入った際、触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する
ことも好ましい。
【0022】
本発明によれば、また、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
ユーザインタフェース装置は、タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを更に備えており、
本プログラムは、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定する接触位置判定手段と、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われた際において、押圧力判定手段が偽の判定を行った場合には当該指に対して所定の触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御し、一方、押圧力判定手段が真の判定を行った場合には当該指に対して上記の所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御し、当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外から該表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われた際において、押圧力判定手段が真の判定を行った場合に、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
してコンピュータを機能させるユーザインタフェース装置用のプログラムが提供される。
【0023】
本発明によれば、さらに、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置における触覚応答付与方法であって、
ユーザインタフェース装置は、タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部とを更に備えており、
本触覚応答付与方法は、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定するステップと、
当該指の接触位置の移動によっても画像全体を移動させない状態が発動された際、当該画像全体が固定された状態での接触位置のモニタを開始し、当該状態において、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲内であるか否か、及び当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定するステップと、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力が所定閾値以上ではないとの判定が行われた際、当該指に対して所定の触覚応答を付与するステップと、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、当該指に対して上記の所定の触覚応答とは異なる触覚応答を付与するステップと、
当該オブジェクトの表示位置範囲内ではなく当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ってもいないとの判定が行われ、且つ押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、触覚応答の付与停止を維持するステップと、
当該表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったとの判定が行われ且つ押圧力が所定閾値以上であるとの判定が行われた際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させるステップと、
を有する触覚応答付与方法が提供される。
【0024】
さらにまた、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた、本発明に関係するユーザインタフェース装置であって、
タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、
当該指の接触位置が、接触した当初、当該オブジェクトの表示位置範囲に重畳しているか否かを判定する第1接触位置判定手段と、
当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定する第2接触位置判定手段と、
第1接触位置判定手段が真の判定を行った際、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
第1接触位置判定手段又は第2接触位置判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
を有しており、
触覚応答制御手段は、第2接触位置判定手段が真の判定を行った際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する
ことを特徴とするユーザインタフェース装置が提供されることも好ましい。
【0025】
この本発明に関係するユーザインタフェース装置の一実施形態によれば、タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
押圧力が所定閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と
を更に有しており、
操作判定制御手段は、第2接触位置判定手段が真の判定を行い且つ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトの機能を発動させる操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させ、
触覚応答制御手段は、第2接触位置判定手段が真の判定を行い且つ押圧力判定手段が真の判定を行った際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する
ことも好ましい。
【0026】
また、本発明に関係するユーザインタフェース装置の他の実施形態によれば、当該指の接触位置が、所定時間以上継続して変化しなかったか否かを判定する接触時間判定手段と、
接触時間判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトを含む画像全体を移動させることなく固定した状態で当該指の接触位置をモニタする「タッチフォーカス」モードを動作させるモード動作手段と
を更に有しており、
触覚応答制御手段は、「タッチフォーカス」モードの動作下で、第2接触位置判定手段が真の判定を行った際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する
ことも好ましい。
【0027】
さらに、本発明に関係するユーザインタフェース装置の他の実施形態によれば、画像表示部に表示された画像は、操作対象であるオブジェクトとしての複数のリンクを含むブラウザの表示画像であることも好ましい。
【0028】
また、本発明に関係するユーザインタフェース装置によれば、
触覚応答制御手段は、ユーザの操作から見て、
当該指を当該オブジェクトの表示位置範囲内に接触させた際、触覚応答を当該指に付与せず、
次いで、当該指を接触させたまま移動させて、当該指の接触位置を当該オブジェクトの表示位置範囲外に離脱させ、その後、当該指の接触位置が当該オブジェクト又は別のオブジェクトの表示位置範囲内に入った際、触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する
ことも好ましい。
【0029】
さらに、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、
タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部と、
当該指の接触位置が、接触した当初、当該オブジェクトの表示位置範囲に重畳しているか否かを判定する第1接触位置判定手段と、
当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定する第2接触位置判定手段と、
第1接触位置判定手段が真の判定を行った際、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部を制御し、第2接触位置判定手段が真の判定を行った際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を付与すべく触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と、
第1接触位置判定手段又は第2接触位置判定手段が真の判定を行った際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる操作判定制御手段と
してコンピュータを機能させるユーザインタフェース装置用のプログラムが提供されることも好ましい。
【0030】
さらにまた、操作対象であるオブジェクトを含む画像を画面に表示する画像表示部と、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えたユーザインタフェース装置における触覚応答付与方法であって、
ユーザインタフェース装置が、タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を付与する触覚応答機構部を備えており、
触覚応答付与方法が、
当該指の接触位置が、接触した当初、当該オブジェクトの表示位置範囲に重畳しているか否かを判定する第1のステップと、
第1のステップで真の判定がなされた際、触覚応答の付与停止を維持する第2のステップと、
第1のステップで真の判定がなされた際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる第3のステップと、
第1のステップで偽の判定がなされた後、当該指の接触位置が、当該オブジェクトの表示位置範囲外からこの表示位置範囲内に入ったか否かを判定する第4のステップと、
第4のステップで真の判定がなされた際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を付与する第5のステップと、
第4のステップで真の判定がなされた際、当該オブジェクトを選択する操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる第6のステップと
を有する触覚応答付与方法が提供されることも好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明のユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラムによれば、指の操作感覚に適合しており、誤操作を抑制可能な触覚応答を指に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】「タッチフォーカス」モードを説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
図2】「クリック」操作を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
図3】本発明による触覚応答に係る一実施形態を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
図4】「ドラッグ」モードを説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
図5】本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
図6】本発明による触覚応答付与方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図7】本発明によるユーザインタフェース装置の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
本発明が対象とするユーザインタフェース装置では、ユーザの指がタッチパネルに接触することによって情報が入力される。そのため、当該装置の多くは、手で携帯して操作可能である、スマートフォンやタブレット型コンピュータのような携帯型情報機器である。従って、以下、本発明の一実施形態として、携帯型情報機器を説明する。
【0035】
本発明による携帯型情報機器では、操作対象であるオブジェクト(アイコン、リンク等)が表示された画面(タッチパネル)に指を接触させ、その接触位置を移動させて、操作を行う。この際、実行可能な操作には、オブジェクトを選択する操作、及びオブジェクトの機能を発動させる操作、が挙げられる。
【0036】
以下、このような操作を実行可能とする入力モードを動作させる携帯型情報機器を用いて、本発明の説明を行う。尚、当然に、本発明は、以下に説明する入力モード(「タッチフォーカス」モード)に限定されるものではない。例えば、指を接触させながらスライドさせても画像全体が移動せず、位置の固定されたオブジェクトに指が接触可能な状態ならば、本発明が適用可能である。
【0037】
本発明による携帯型情報機器の一実施形態では、指のタッチパネルへの接触及びその後の接触したままの移動動作(接触及び移動動作)を受け付けた際、単純にそのままドラッグ操作として認定せずに、種々の操作が可能な入力モードを設定する。具体的には、タッチパネル上での指の接触位置が所定時間以上継続して変化しなかったか否かによって、「タッチフォーカス」モード及び「ドラッグ」モードのいずれかを動作させる。それぞれの入力モードは、以下の通りである。
(a)「タッチフォーカス」モード:表示された画像全体を移動させることなく固定した状態で指の接触位置をモニタするモード。
(b)「ドラッグ」モード:表示された画像全体を移動させるモード。
本発明の特徴は、このように指が位置を変化させずに接触していた時間を判定し、この判定結果に基づいてそれぞれの入力モードを決定し動作させることにある。
【0038】
ここで、「画像全体」とは、ディスプレイの画面に表示された全画像のうち、(スクロールを含む)移動の対象となる部分である。当然に、表示された全画像でもあり得る。例えば、一画面に収まり切らない情報は、画面外に隠れている(とされる)部分を有している。この部分を表示させる際には、この情報の表示された部分は、移動対象となる。
【0039】
図1は、「タッチフォーカス」モードを説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0040】
図1(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ101の画面に、複数のアイコン(オブジェクト)104を含む画像が表示されている。アイコン104は、ユーザにとって操作対象であり、後述する所定の操作によって選択され、さらにその機能を発動させられる。また、ディスプレイ101の画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル100が配置されている。
【0041】
以下、図1(A)を用いて「タッチフォーカス」モードを説明する。図1(A)によれば、ユーザの指が、タッチパネル100に接触し、所定時間以上接触位置を維持した後、接触を保ちながらタッチパネル100上をなぞるように移動(スライド)している。しかしながら、従来のドラッグ操作とは異なり、アイコン104を含む画像全体は、指の移動にもかかわらず移動せず、固定された状態となっている。
【0042】
従って、ユーザは、指を接触させたまま移動させ、位置が固定されたアイコン104に順次触れていくことができる。また、後述する接触位置判定部122(図5)が、指の移動中も、指の接触位置とアイコン104の表示位置範囲とが重畳したか否かを判定している。このように画像全体を移動させることなく固定した状態で指の接触位置をモニタするモードが、「タッチフォーカス」モードである。
【0043】
「タッチフォーカス」モードは、例えば、表示された画像内に所望のアイコン104が存在する際に、その表示位置範囲の近傍に指を接触させ、その後、指の接触位置を移動させながらこの表示位置範囲に確実に重畳させたい場合に動作する。また、アイコン104の表示位置範囲内に指を接触させ、このアイコン104を直ちに選択したい場合にも動作する。さらに、指でタッチパネル100の表面(表示された画像)をなぞりつつ、表示された画像内に所望のアイコン104が存在するか否かを確かめながら、所望のアイコン104の表示位置範囲まで指を確実に進めたい場合にも動作する。
【0044】
図1(B)は、上述した「タッチフォーカス」モードが動作する条件を説明するための、指による操作の概略図である。この概略図によれば、最初に、指がタッチパネル100に接触する。この時刻をtとする(t=t)。次いで、指は、接触位置を変化させずに接触したままの状態から、同じく接触したまま上側(図1(B)では左側)に移動(スライド)を開始する。この移動を開始する時刻をtS2とする(t=tS2)。この場合、指の接触位置は、時間(tS2−t)だけ継続して変化しなかったことになる。
【0045】
この時間(tS2−t)が所定時間tTH以上の場合、即ち、
(1) (tS2−t)≧tTH
の条件が満たされる場合に、後述するモード動作部124(図5)が、「タッチフォーカス」モードを動作させる。その後、アイコン104を含む画像全体は、指の移動にもかかわらず、移動することなく固定される。尚、上述したtS2−t≧tTHの条件が満たされれば、指の接触位置がその後も継続して移動しない場合でも、「タッチフォーカス」モードは動作する。また、一実施例として、tTH値は、200msecに設定可能である。
【0046】
同じく図1(B)に示すように、ユーザは、表示された画像をなぞりながら、指を移動させている。その後、所望のアイコン104を探し出し、その表示位置範囲内に指を進めている。このように、「タッチフォーカス」モードの動作下、指の接触位置をアイコン104の表示位置範囲に重畳させる操作を、以後、「フォーカス」操作と称する。
【0047】
尚、アイコン104の表示位置範囲内に指を接触させ、所定時間tTH後も継続して指の接触位置をこの表示位置範囲と重畳させておく操作も、「フォーカス」操作に含まれる。「フォーカス」操作は、ユーザがアイコン104を選択する操作であり、その後のアイコン104の機能を発動させる操作を確実に行うための準備動作としての役割を果たす。
【0048】
また、「タッチフォーカス」モード(「フォーカス」操作)は、指をタッチパネル100から離すことによって解除されることも好ましい。
【0049】
以上述べたように、本実施形態では、指の接触位置が所定時間tTH以上継続して変化しなかったか否かを判定して入力モードの決定を行う。その結果、指の接触及び移動動作によっても、ドラッグ操作ではなく、「タッチフォーカス」モードを容易に動作させることができる。また、この「タッチフォーカス」モードでは、画像全体を移動させず、タッチパネル100上をなぞるように指を動かすことができるので、所望のアイコン104を選択する「フォーカス」操作を確実に実行させることができる。
【0050】
ここで、指の接触位置が移動して、アイコン104の表示位置範囲外から表示位置範囲内に入った際、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に触覚応答(振動)を付与する。これにより、ユーザは、「フォーカス」操作が受け入れられたことを確認でき、安定した確実な操作感を得ることができる。
【0051】
この際、触覚応答として、物理的な押下ボタンの存在を感じさせる振動を与えることも可能である。このような振動の例として、以下のものが挙げられる。最初に、アイコン104があたかも高さ(画面に垂直な方向の厚み)を有するかのように、アイコン104の表示位置範囲の各点に高さ情報を付与する。その後、指がアイコン104の表示位置範囲に差し掛かり当該範囲内に入って以降、この高さ情報から算出された勾配の大きさに応じた強度の振動を指に付与する。これにより、指は、飛び出た押下ボタンをなぞったような感触を受ける。
【0052】
図2は、「クリック」操作を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0053】
図2(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、「タッチフォーカス」モードの動作下で、指が、接触したまま、タッチパネル100上をなぞるように移動している。その後、指は所望のアイコン104の位置まで進み、その結果、指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲と重畳する。この状態から、ユーザが指をより強く押し込むと、アイコン104の機能が発動する。このアイコン104の機能を発動させるために指でアイコン104(タッチパネル100)を押圧する操作を、以後、「クリック」操作と称する。
【0054】
図2(B)は、「クリック」操作と判定される条件を説明するための、指による操作の概略図である。この概略図によれば、「タッチフォーカス」モードの動作下で、指が、タッチパネル100上をなぞるように移動し、指の接触位置が、所望のアイコン104の表示位置範囲と重畳する。即ち「フォーカス」操作が行われる。
【0055】
この際、上述したように、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、触覚応答(振動)vを付与する。
【0056】
次いで、この状態から、ユーザが指をより強く押し込み、指による押圧力pが所定の押圧力閾値pTH以上となる場合、即ち、押圧力pが、
(2) p≧pTH
の条件式を満たす場合、「クリック」操作が行われたと判定され、アイコン104の機能が発動する。このように、押圧力pが押圧力閾値pTH以上であることが、「クリック」操作と判定される条件となる。なお、押圧力pの測定は、後述する押圧力検出部103(図5)で行われる。
【0057】
ここで、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、触覚応答(振動)vを付与する。即ち、ユーザは、接触させた指をアイコン104の表示位置範囲内に入れた際、振動vを受けて「フォーカス」操作が受け入れられたことを確認し、この触覚に基づき確信をもって押し込み操作を行った際に、振動vを受ける。尚、振動vと振動vとは、例えば、周波数、振幅、又は振動時間の点で互いに異なる振動である。その結果、ユーザは、「フォーカス」操作に引き続き「クリック」操作も受け入れられたことを確認でき、安定した確実な操作感を得ることができる。
【0058】
図3は、本発明による触覚応答に係る一実施形態を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0059】
図3(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、指が最初にアイコン104(タッチパネル100)に接触し、「タッチフォーカス」モードの動作下で、このアイコン104を選択する「フォーカス」操作が実行される。
【0060】
ここで、図3(B)に示すように、「フォーカス」操作と判定されたにもかかわらず、この指には触覚応答が付与されない。次いで、指が接触したまま移動し、指の接触位置が、隣のアイコン104の表示位置範囲に重畳した際、再度、「フォーカス」操作との判定がなされる。この際、この指に触覚応答(振動)vが付与される。
【0061】
触覚応答は、これ以降、指が移動して指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲に重畳する毎に、即ち、指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲外から表示域範囲内に入る毎に、付与される。
【0062】
尚、指が最初にアイコン104の表示位置範囲外に接触した場合、当然に、触覚応答は付与されない。この場合でも、その後、指が接触したまま移動し、指の接触位置が最初に遭遇したアイコン104の表示位置範囲内に入った際、触覚応答(振動)vが付与される。
【0063】
以上に述べたような触覚応答は、特に、図3(A)に示したように文字等入力用のキー配列をイメージして、複数のアイコン104が密集して配置されている場合、ユーザの操作感覚に適合する。実際、文字等入力用のキーイメージである複数のアイコン104に対しては、指が直接上から接触し(「フォーカス」操作)、そのまま押し込む(「クリック」操作)場合も多い。この際、最初の「フォーカス」操作においても、その直後の「クリック」操作においても触覚応答(振動v及びv)を付与すると、ユーザの操作から見て1回のキー押下(に相当する)動作で、2度振動してしまう。
【0064】
これに対して、本発明によれば、当初からの「フォーカス」操作では触覚応答(振動)vが付与されず、次いでの「クリック」操作においてのみ触覚応答(振動)vが付与される。その結果、ユーザの操作から見て、自ら行った1回のキー押下という操作感覚に適合した触覚応答が得られる。
【0065】
さらに、「タッチフォーカス」モード下では、所望のアイコン104を選択する際、取り敢えず指をタッチパネル100に接触させ、指でなぞるようにして所望のアイコン104を探す場合も多い。ここで、指の最初の接触位置は、あくまで取り敢えずの位置であり、「フォーカス」操作、即ちアイコン104の選択は意図されていない。従って、指が最初に接触した際の「フォーカス」操作時には触覚応答が付与されないことが、ユーザの操作感覚に非常に適合する。
【0066】
以上、説明したように、本発明によれば、指の操作感覚に適合しており、誤操作を抑制可能な触覚応答を指に付与することができる。
【0067】
図4は、「ドラッグ」モードを説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0068】
図4(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図を用いて「ドラッグ」モードを説明する。図4(A)によれば、ユーザの指が、タッチパネル100に接触した直後、接触を保ちながら上側に移動(スライド)している。この指の移動に伴って、アイコン104を含む画像全体が、指の移動分だけ上側に移動し、幾つかのアイコン104が新たに、下側から画面に現れている。このような指によって画像全体を移動させる操作、いわゆるドラッグ操作を可能にするモードが、「ドラッグ」モードである。
【0069】
「ドラッグ」モードは、例えば、表示された画像内に所望のアイコンが視認されず、所望のアイコンを表示させるべく画像全体を移動させたい場合や、画面にその一部しか表示されていない文書等の情報の続きを閲覧したい場合等に設定される。
【0070】
図4(B)は、上述した「ドラッグ」モードが動作する条件を説明するための、指による操作の概略図である。この概略図によれば、最初に、指がタッチパネル100に接触する。この時刻をtとする(t=t)。次いで、指は、接触位置を変化させずに接触したままの状態から、同じく接触したまま上側(図4(B)では左側)に移動(スライド)を開始する。この移動を開始する時刻をtS1とする(t=tS1)。この場合、指の接触位置は、時間(tS1−t)だけ継続して変化しなかったことになる。この時間(tS1−t)が所定時間tTH未満の場合、即ち、
(3) (tS1−t)<tTH
の条件が満たされる場合に、後述するモード動作部124(図5)が、「ドラッグ」モードを動作させる。その後、指の移動に伴って、アイコン104を含む画像全体が移動する。
【0071】
図5は、本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
【0072】
図5によれば、携帯型情報機器1は、タッチパネル100と、ディスプレイ101と、触覚応答機構部102と、押圧力検出部103と、プロセッサ・メモリとを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、プログラムを実行することによってその機能を実現させる。
【0073】
ディスプレイ101は、操作対象であるアイコン(オブジェクト)104を含む画像を表示する。また、タッチパネル100は、ディスプレイ100の画面上に配置されており、ユーザの指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力する。このタッチパネル100として、投影型静電容量方式タッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、超音波表面弾性波方式タッチパネル、又は赤外線走査方式タッチパネル等を採用することができる。
【0074】
触覚応答機構部102は、タッチパネル100に接触した指に対して、タッチパネル100を振動させることにより、触覚応答を付与する。例えば、タッチパネル100に対して「フォーカス」操作が行われた際に、振動v図2(B))を指に付与する。また、「クリック」操作が行われた際に、振動v図2(B))を指に付与する。触覚応答機構部102は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータとすることができる。
【0075】
押圧力検出部103は、指によってタッチパネル100に与えられる押圧力pを検出する。押圧力検出部103は、例えば、タッチパネル100の四隅下に設置されており、指を押し付けられ僅かに撓んだタッチパネル100が自身に及ぼす押圧の合計を、押圧力pとして検出する。この押圧力検出部103で検出された押圧力pが、所定の押圧力閾値pTH以上となる場合(p≧pTH)、「クリック」操作が行われたと判定される。押圧力検出部103は、例えば、PZT等の圧電材料を用いて形成された圧電センサとすることができる。また、圧電アクチュエータで構成された触覚応答機構部102を設ける代わりに又は設けると共に、押圧力検出部103を触覚応答機構部として利用することも可能である。
【0076】
プロセッサ・メモリは、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号と、押圧力検出部103から出力される押圧力信号とを入力し、これらの信号に基づいて入力モードを動作させ、さらに入力操作を判定して対応する動作を実行させる。次いで、このプロセッサ・メモリの機能構成を説明する。
【0077】
同じく図5によれば、プロセッサ・メモリは、接触時間判定部121と、接触位置判定部122と、押圧力判定部123と、モード動作部124と、操作判定制御部125と、触覚応答制御部126と、表示制御部111と、アプリケーション処理部112とを有している。
【0078】
接触時間判定部121は、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置が、所定時間tTH以上継続して変化しなかったか否かを判定し、この判定結果をモード動作部124に出力する。
【0079】
接触位置判定部122は、第1接触位置判定部122a及び第2接触位置判定部122bを含む。第1接触位置判定部122aは、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置が、接触した当初(及びその後)、アイコン104の表示位置範囲に重畳しているか否かを判定する。一方、第2接触位置判定部122bは、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置が、アイコン104の表示位置範囲外から表示位置範囲内に入ったか否かを判定する。接触位置判定部122は、これらの判定結果を操作判定制御部125に出力する。
【0080】
押圧力判定部123は、押圧力検出部103から出力される押圧力信号を入力し、指による押圧力が所定の押圧力閾値pTH以上であるか否かを判定し、この判定結果を操作判定制御部125に出力する。
【0081】
モード動作部124は、接触時間判定部121からの判定結果に基づき、入力モードとして「タッチフォーカス」モード及び「ドラッグ」モードのいずれかを決定して動作させる。操作判定制御部125は、「タッチフォーカス」モードの動作時に、接触位置判定部122からの判定結果に基づいて「フォーカス」操作であるか否かの判定を行い、対応した動作を実行させる。さらに、同じく「タッチフォーカス」モードの動作時に、押圧力判定部123からの判定結果に基づいて「クリック」操作であるか否かの判定を行い、対応した動作を実行させる。
【0082】
触覚応答制御部126は、操作判定制御部125から出力された操作の判定結果、及び接触位置判定部122での判定結果、に基づき、対応する触覚応答を指に対して付与するべく触覚応答機構部102を制御する。
【0083】
具体的には、触覚応答制御部126は、第1接触位置判定部122aが真の判定、即ち、指が接触した当初にアイコン104の表示位置範囲に重畳しているとの判定、を行った際、触覚応答の付与停止を維持すべく触覚応答機構部102を制御する。また、第2接触位置判定部122bが真の判定、即ち、指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲外から表示位置範囲内に入ったとの判定、を行った際、指に対してタッチパネル100を介して触覚応答を付与すべく触覚応答機構部102を制御する。
【0084】
表示制御部111は、アプリケーション処理部112からのアプリケーション処理情報を入力して、アプリケーションの実行に応じた画像をディスプレイ101に表示させる。また、表示制御部111は、モード動作部124が出力する、「タッチフォーカス」モード又は「ドラッグ」モードを動作させる指示情報を入力し、指示された入力モードに応じた画像をディスプレイ101に表示させる。さらに、表示制御部111は、操作判定制御部125が出力する、入力操作を実行させる指示情報を入力し、指示された入力操作に応じた画像をディスプレイ101に表示させる。
【0085】
図6は、本発明による触覚応答付与方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0086】
(S601)最初に、指の接触の有無が測定される。
(S602)次いで、指がタッチパネル100に接触しているか否かが判定される。ここで、真の判定がなされた際、次にステップS603に移行する。一方、偽の判定がなされた際、ステップS601に戻り、指の接触の有無がモニタされる。
【0087】
(S603)接触時間判定部121が、所定時間tTH以上継続して指の接触位置が変化しなかったか否かを判定する。ここで、指の接触位置は、タッチパネル100の表面(接触面)に設定されたxy座標系を用いて、1つの座標(x,y)として表される。尚、指の接触を所定の面積を持った接触面として検出する場合もあるが、この場合は、接触面の中心となる位置の座標(中心座標)を接触位置とすることができる。
【0088】
この指の接触位置は、指をタッチパネル100に接触させた際に通常発生する指の震えによって、若干変動してしまうことがある。このような場合でも、接触位置の座標の変動分を、補正により除去することができる。また、他の態様として、押圧時の指の震えによる接触位置の座標の変動範囲を予め予測しておき、この変動範囲内の座標変化を、指の接触位置の変化とはみなさない、とすることもできる。いずれにしても、上述した、指の接触位置が継続して変化しなかったか否かの判定から、この指の震えによる変動の影響を除外することができる。即ち、ユーザの意図に沿った操作を、安定して確実に判定することが可能となる。
【0089】
(S604)接触時間判定部121が真の判定、即ち所定時間tTH以上継続して指の接触位置が変化しなかったとの判定、を行った際には、モード動作部124が、「タッチフォーカス」モードを動作させる。具体的には、アイコン104を含む画像全体を移動させることなく固定した状態とし、指の接触位置(タッチパネル100から出力される指の接触位置信号)をモニタ(監視)する。
【0090】
(S621)一方、接触時間判定部121が偽の判定、即ち所定時間tTH経過前に指の接触位置が変化したとの判定、を行った際には、モード動作部124が、「ドラッグ」モードを動作させる。具体的には、指によるドラッグ操作によって指定された方向に、アイコン104を含む画像全体を移動させ得る状態とする。
【0091】
以上のステップをユーザの操作から見ると、モード動作部124は、指をタッチパネルに接触させた直後にその指を移動させた場合、「ドラッグ」モードを動作させ、指をタッチパネルに接触させ且つ少なくとも所定時間tTHだけその接触位置を維持した場合、「タッチフォーカス」モードを動作させる。
【0092】
(S611)次いで、「タッチフォーカス」モードが動作した際、第1接触位置判定部122aは、指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲に重畳しているか否かを判定する。ここで、真の判定がなされた際、指に触覚応答を付与することなく、ステップS615に移行し、「フォーカス」操作が行われたと判定する。
【0093】
(S612)ステップS611で偽の判定がなされた際、接触位置判定部122(第1接触位置判定部122a)は、指がタッチパネル100に接触しているか否かを判定する。ここで、偽の判定がなされた際、指がタッチパネル100から離脱して指による操作が停止したとして、本触覚応答付与方法を終了する。
【0094】
(S613)ステップS612で真の判定がなされた際、第2接触位置判定部122bは、指の接触位置がアイコン104の表示位置範囲外から表示位置範囲内に入ったか否かを判定する。ここで、偽の判定がなされた際、ステップS612に戻り、指の接触の有無、及び指の接触位置の移動がモニタされる。
【0095】
(S614)触覚応答制御部126は、ステップS613で真の判定がなされた際、指に対してタッチパネル100を介して触覚応答(振動)vを付与すべく触覚応答機構部102を制御する。
(S615)操作判定制御部125は、ステップS613で真の判定がなされた際、アイコン104を選択する「フォーカス」操作が行われたと判定し、対応する動作を発動させる。この動作として、操作判定制御部125が、表示制御部111を介して、ディスプレイ101に、選択されたアイコン104の強調表示を行わせることも可能である。
【0096】
(S616)次いで、押圧力検出部103が、タッチパネル100に接触した指によって与えられる押圧力pを測定する。
(S617)押圧力判定部123が、押圧力検出部103の検出した押圧力pが所定の押圧力閾値pTH以上であるか否かを判定する。ここで偽の判定がなされた際、ステップS611に戻り、「タッチフォーカス」モードでの手順を繰り返す。
【0097】
(S618)触覚応答制御部126は、第2接触位置判定部122bが真の判定を行うと共に(ステップ613)、ステップS617で押圧力判定部123が真の判定、即ち押圧力pが押圧力閾値pTH以上であるとの判定、を行った場合、指に対してタッチパネル100を介して触覚応答(振動)vを付与すべく触覚応答機構部102を制御する。
【0098】
(S619)操作判定制御部125は、第2接触位置判定部122bが真の判定を行うと共に(ステップS613)、ステップS617で押圧力判定部123が真の判定、即ち押圧力pが押圧力閾値pTH以上であるとの判定、を行った場合、「クリック」操作が行われたと判定し、対応する動作を実行させる。具体的には、アイコン104の機能、例えばアプリケーションの起動、を発動させる。
【0099】
以上説明したように、本発明によれば、指が最初に接触した際の「フォーカス」操作時には、触覚応答(振動)vが付与されず、次いで実行される「クリック」操作において触覚応答(振動)vが付与される。その結果、ユーザの操作から見て、自ら行った、アイコン104発動の為の1回の押し込みという操作感覚に適合した触覚応答が得られる。さらに、指の接触位置の移動による「フォーカス」操作時には、触覚応答(振動)vが付与される。このように、指の操作感覚に適合しており、誤操作を抑制可能な触覚応答を指に付与することができる。
【0100】
また、本実施形態では、指の接触位置が所定時間tTH以上継続して変化しなかったか否かを判定し、その判定結果に基づいて、「タッチフォーカス」モード及び「ドラッグ」モードのいずれかを動作させる。従って、「タッチフォーカス」モード動作下での「フォーカス」操作、及び「クリック」操作、並びに「ドラッグ」モード動作下でのドラッグ操作が、互いに確実に区別され、且つそれぞれ容易に実行される。即ち、指の接触及び移動動作によっても、種々の操作を確実に区別して実行することが可能となる。
【0101】
図7は、本発明によるユーザインタフェース装置の他の実施形態を示す概略図である。
【0102】
図7には、本発明のユーザインタフェース装置としての携帯型情報機器1又はノート型パーソナルコンピュータ2におけるディスプレイ101又は201の画面が示されている。携帯型情報機器1又はノート型パーソナルコンピュータ2では、ウェブページを閲覧するためのウェブブラウザが起動しており、ディスプレイ101又は201に表示された画像には、複数のリンク(オブジェクト)204が含まれている。
【0103】
ユーザがウェブページの表示されていない部分を閲覧したい場合、指をタッチパネル200に接触させた直後にこの指を移動させれば、「ドラッグ」モードが動作してドラッグ操作が実行される。この際、指が接触して所定時間tTHが経過する前に指を移動させることが、「ドラッグ」モードを動作させるためのポイントとなる。
【0104】
一方、ウェブページの表示された部分に所望のリンク204が存在するか否かを確認する場合、取り敢えず指をタッチパネル200に接触させ、少なくとも所定時間tTHだけその接触位置を維持する。これにより、「タッチフォーカス」モードが動作する。次いで、指を接触させたまま移動させ、指の接触位置を、発見した所望のリンク204の表示位置範囲に重畳させる「フォーカス」操作を行う。その後、所定の押圧力閾値pTH以上の押圧力で指をタッチパネル200に押し込む「クリック」操作を行うことによって、リンク204の機能が発動し、所望のリンク先の文書又は画像等を閲覧することができる。
【0105】
同じく図7によれば、指が最初に複数のリンク204のうちの1つに接触した場合、「フォーカス」操作と判定されるにもかかわらず、この指に触覚応答を付与しない。次いで、指が接触したまま移動し、指の接触位置が、隣のリンク204の表示位置範囲に重畳した際、再度、「フォーカス」操作との判定がなされる。この際、この指に触覚応答(振動)vが付与される。触覚応答は、これ以降、指が移動して指の接触位置がリンク204の表示位置範囲に重畳する毎に付与される。
【0106】
尚、指が最初にリンク204の表示位置範囲外に接触した際、当然に触覚応答は付与されない。この場合でも、その後、指が接触したまま移動し、指の接触位置が最初に遭遇したリンク204の表示位置範囲に重畳した際、触覚応答(振動)vが付与される。言い換えれば、指の接触位置がリンク204の表示位置範囲外から表示位置範囲内に入った場合にのみ、この指に触覚応答が付与されるのである。
【0107】
以上に述べたような触覚応答は、特に、図7(A)に示したように、複数のリンク204が密集して配置されている場合、ユーザの操作感覚に適合する。実際、複数のリンク204に対しては、指が直接上から接触し(「フォーカス」操作)、そのまま押し込む(「クリック」操作)場合が多い。この際、最初の「フォーカス」操作においても、その直後の「クリック」操作においても触覚応答(振動v及びv)を付与すると、ユーザの操作から見て1回の押し込み動作で、2度振動してしまう。
【0108】
これに対して、本実施形態では、最初の「フォーカス」操作では触覚応答(振動)vが付与されず、次いでの「クリック」操作においてのみ触覚応答(振動)vが付与される。その結果、ユーザの操作から見て、自ら行った1回のキー押下という操作感覚に適合した触覚応答が得られる。
【0109】
さらに、「タッチフォーカス」モード下では、所望のリンク204を選択する際、取り敢えず指をタッチパネル100又は200に接触させ、指でなぞるようにして所望のリンク204を探す場合も多い。ここで、指の最初の接触位置は、あくまで取り敢えずの位置であり、「フォーカス」操作、即ちリンク204の選択は意図されていない。従って、指が最初に接触した際の「フォーカス」操作時には触覚応答が付与されないことが、ユーザの操作感覚に適合する。
【0110】
以上、詳細に説明したように、本発明のユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラムによれば、指の操作感覚に適合しており、誤操作を抑制可能な触覚応答を指に付与することができる。
【0111】
また、本発明のユーザインタフェース装置、触覚応答付与方法及びプログラムによれば、指によるタッチパネルへの入力の際、表示された画像を指でなぞりながら所望のオブジェクトを確認しながら的確に選択することができる。
【0112】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0113】
1 携帯型情報機器(ユーザインタフェース装置)
100、200 タッチパネル
101、201 ディスプレイ
102 触覚応答機構部
103 押圧力検出部
104 アイコン(オブジェクト)
111 表示制御部
112 アプリケーション処理部
121 接触時間判定部
122 接触位置判定部
122a 第1接触位置判定部
122b 第2接触位置判定部
123 押圧力判定部
124 モード動作部
125 操作判定制御部
126 触覚応答制御部
2 ノート型パーソナルコンピュータ(ユーザインタフェース装置)
204 リンク(オブジェクト)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7