(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137735
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ケーブル接続用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-216949(P2014-216949)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-85825(P2016-85825A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 厚
(72)【発明者】
【氏名】高木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋洋
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−130462(JP,A)
【文献】
米国特許第5485673(US,A)
【文献】
特開昭60−216477(JP,A)
【文献】
特開平05−144499(JP,A)
【文献】
米国特許第4304455(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52〜13/527
H01R 13/56〜13/595
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水型のケーブル接続用のコネクタであって、
コネクタは、ターミナルを接続したケーブルを装着するための筒状部を有するハウジングと防水性のブッシュとカバー部材とクランプ部材とを備え、
前記ブッシュはケーブルを前記筒状部経由によりハウジングに装着した状態で当該ブッシュの前部側を筒状部の外周部に弾性装着し、後部側をケーブルの外周部に弾性装着してあり、
前記カバー部材はクランプ部材の装着部を有し、
前記装着部に装着したクランプ部材でケーブルをクランプするものであり、
前記クランプ部材は第1クランプ部材と第2クランプ部材との相互嵌合により前記ケーブルをクランプするものであり、
前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とはプレ嵌合部と嵌合部との二段嵌合構造であり、
前記プレ嵌合部は、前記第1クランプ部材及び第2クランプ部材にそれぞれ有する1対の嵌合片のうち一方の嵌合片にそれぞれ形成した突部と、前記突部に対応して設けた前記カバー部材の装着部内側に形成した規制突部からなり、
前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とは前記嵌合片の突部が前記装着部の規制突部を乗り越えたプレ嵌合状態で前記カバー部材の前記装着部に装着してあり、
前記ハウジングにケーブルを挿入装着した後に前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とを嵌合部にて相互に嵌合しケーブルをクランプするものであることを特徴とするケーブル接続用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型のケーブル接続用のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のソーラーパネルを現地で接続するのに防水性があるケーブル接続用コネクタが使用されている。
例えば、特許文献1には、ダブルナット,ラチエット機構によりケーブルを接続するケーブルの締め付け接続固定構造を開示する。
しかし、このようなねじ込みによるケーブルの接続固定構造にあっては、締め付け作業に大きな工数が必要となり、作業性に劣っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−18463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接続作業性に優れたケーブル接続用コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るケーブル接続用コネクタは、防水型のケーブル接続用のコネクタであって、コネクタは、ターミナルを接続したケーブルを装着するための筒状部を有するハウジングと防水性のブッシュとカバー部材とクランプ部材とを備え、前記ブッシュはケーブルを前記筒状部経由によりハウジングに装着した状態で当該ブッシュの前部側を筒状部の外周部に弾性装着し、後部側をケーブルの外周部に弾性装着してあり、前記カバー部材はクランプ部材の装着部を有し、前記装着部に装着したクランプ部材でケーブルをクランプするもので
あり、前記クランプ部材は第1クランプ部材と第2クランプ部材との相互嵌合により前記ケーブルをクランプするものであり、前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とはプレ嵌合部と嵌合部との二段嵌合構造であり、前記プレ嵌合部は、前記第1クランプ部材及び第2クランプ部材にそれぞれ有する1対の嵌合片のうち一方の嵌合片にそれぞれ形成した突部と、前記突部に対応して設けた前記カバー部材の装着部内側に形成した規制突部からなり、前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とは前記嵌合片の突部が前記装着部の規制突部を乗り越えたプレ嵌合状態で前記カバー部材の前記装着部に装着してあり、前記ハウジングにケーブルを挿入装着した後に前記第1クランプ部材と第2クランプ部材とを嵌合部にて相互に嵌合しケーブルをクランプするものであることを特徴とする。
ここで、コネクタのハウジングとケーブルとの間は、ブッシュで水密性を確保することができるが、ブッシュの内周面とハウジングの筒状部の外周面及びケーブルの外周面との間は弾性密着した状態になっているので、ケーブルが引き抜かれる方向に力が作用すると、ケーブルをハウジングに保持させることが不充分になる恐れがある。
そこで本発明は、ケーブルをクランプ保持するためのクランプ機構をカバー部材に設けたことに特徴がある。
【0007】
ここで、第1クランプ部材と第2クランプ部材とはプレ嵌合部と嵌合部との二段嵌合構造であり、カバー部材の前記装着部に、第1クランプ部材と第2クランプ部材とをプレ嵌合部が嵌合した状態で装着してあり、前記ハウジングにケーブルを挿入装着した後に第1クランプ部材と第2クランプ部材とを嵌合部にて相互に嵌合しケーブルをクランプするものであると、クランプ部材をプレ嵌合状態でカバー部材に取り付けておくことができるので、コネクタのハウジングの筒状部にブッシュの前部側を弾性装着及びこのブッシュの外周部にクランプ部材をプレ嵌合したカバー部材を装着した状態で現地に持ち込むことができる。
現地において、芯線にターミナルを接続したケーブルをコネクタの後方側からハウジング内に挿入装着し、クランプ部材を嵌合状態になるように第1クランプ部材と第2クランプ部材を相互に押し込むだけで、ケーブルの接続固定が完了する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るケーブル接続用コネクタは、ハウジングとケーブルの外周部との間を弾性材からなるブッシュで防水を図るとともに、カバー部材に装着したクランプ部材でケーブルをクランプ保持するので、従来のねじ込み式のコネクタに比較して、現地での接続固定の作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るケーブル接続用コネクタの構造例を示す。(a)はカバー部材の取付構造が分かるようにブッシュにカバー部材を取り付ける前の状態を示し、(b)はカバー部材に第1クランプ部材と第2クランプ部材をプレ嵌合状態にした状態でケーブルをコネクタの後方から挿入した状態を示し、(c)は第1クランプ部材と第2クランプ部材とを相互に挿し込み、ケーブルを嵌合クランプした状態を示す。
【
図2】
図1の(a),(b),(c)にそれぞれ対応する断面図(a),(b),(c)を示す。
【
図3】(a)はカバー部材にクランプ部材を装着する前を示し、(b)は第1クランプ部材と第2クランプ部材とをプレ嵌合状態にカバー部材に装着した状態を示す。
【
図4】(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図を示す。
【
図5】(a)は第1クランプ部材、(b)は第2クランプ部材、(c)は第1クランプ部材と第2クランプ部材との相互の位置関係を示し、(d)は第1クランプ部材と第2クランプ部材との嵌合状態を示し、(e)はその反対側から見た外観図を示す。
【
図6】本発明に係るコネクタ構造をソケットコネクタとプラグコネクタに採用した例を示し、(a)は嵌合前、(b)は嵌合接続後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るコネクタ構造を採用したソケットコネクタ10と、プラグコネクタ20とを相互に接続した状態を
図7に示し、
図1,2はソケットコネクタ10の例を示す。
以下、ソケットコネクタ(以下、単にコネクタと称する)を例に説明する。
コネクタ10は、
図7に示すようにケーブル1の先端部芯線にターミナル1aが圧着され、樹脂製のハウジング11内に装着されている。
ターミナル1aをハウジング11の後方から挿入すると、ターミナル1aに設けたランス1bがハウジング内の係止部11hにランス係止する。
ハウジング11は、本体部11aと、ゴム製のブッシュ12の前部側を弾性装着する筒状部11e及び対応するプラグコネクタ20と嵌合する嵌合部11iを有する。
図1に示すようにハウジング11は、つば部11cと、後述するカバー部材13に設けた係止孔13bに係止する係止突部11b及び位置決め突部11dを有する。
また、ハウジング11は、プラグコネクタ20と嵌合する嵌合部11iの根元側にOリング11gを装着してあり、プラグコネクタ20との間をシールし、
図6に示すようにフック爪11fにてプラグコネクタ20のハウジング21に設けた係止部21fと係止連結する。
なお、コネクタ10のプラグコネクタ20との連結構造に制限はなく、各種構造を採用することができる。
【0011】
ハウジング11の筒状部11eに前部側12aを弾性装着したブッシュ12の後部側12bは、後方からターミナルが圧着されたケーブル1を挿入すると、このケーブル1の外周部と弾性密着するようになっている。
図1(a)は、説明のためにカバー部材13をハウジング11から取り外してあるが、実際には
図1(b)に示すようにハウジング11にカバー部材13を取り付けた状態で後方からケーブル1を挿入接続する。
ブッシュ12は、ハウジング11の筒状部11eからケーブル1の外周部に跨がって弾性装着され、ケーブルとハウジングとの間がシールされる。
図2に示すようにカバー部材13は、ブッシュ12を覆うように取り付けられ、カバー部材13の後部よりに
図3に示すように第1クランプ部材14と第2クランプ部材15の装着孔13dを有する。
第1,第2クランプ部材14,15の外観図を
図5に示し、断面図を
図3,4に示す。
第1クランプ部材14と第2クランプ部材15は、相互に嵌合する嵌合部を有するが、
図3(b)に示すようにカバー部材13の装着孔13dから上部が突出した状態でカバー部材13に取り付けられたプレ嵌合状態と、
図1(c),
図4(b)に示すようにケーブル1の外周部を挟持するようにクランプする嵌合状態の二段嵌合構造になっている。
第1クランプ部材14と第2クランプ部材15の側面には、
図5(e)に示すようにガイド凹部14h,15hを有し、このガイド凹部をカバー部材13のスライド凸部13eに沿って挿入する。
第1クランプ部材14は、基部14aから一対の嵌合片14b,14eを有し、一方の嵌合片14bには孔部を形成し、孔壁に係止部14cを設け、他方の嵌合片14eには爪状の係止突部14fを有する。
また、嵌合片14bには、カバー部材の本体部13aの内側に形成した規制突部13fを乗り越えて抜け方向が規制される突部14dを有する。
【0012】
第2クランプ部材15は、第1クランプ部材14に対応するように、基部15aから延在させた一対の嵌合片15b,15eを有し、一方の嵌合片15bには、係止突部15cを設け、他方の嵌合片15eには孔の側壁に係止部15fを設け、この嵌合片15eにカバー部材13側の規制突部13gを乗り越え、抜け方向を規制する突部15dを有する。
これにより、第1クランプ14と第2クランプ部材15の突部14d,15dがカバー部材13の内側の規制突部13f,13gを乗り越えた状態で
図4(a)に示すようにプレ嵌合状態になり、カバー部材13に取り付けられている。
この状態では
図4(a)に示すように、ケーブル1の外径よりも大きな空間が内部に形成され、ケーブル1を後方から挿入できる。
ケーブル1をハウジングに装着した状態で、第1クランプ部材14と第2クランプ部材15の基部14a,15aを相互に押し込むと、
図4(b)に示すように第1クランプ部材14の係止突部14fが第2クランプ部材15の係止部15fに係止、第2クランプ部材15の係止突部15cが第1クランプ部材14の係止部14cに相互に係止し、ケーブル1を上下からクランプする。
これにより、第1クランプ部材14のクランプ部14gと、第2クランプ部材のクランプ部15gとがケーブル1の外周部をクランプ挟持し、ケーブル1が抜ける方向に移動するのを防止する。
【0013】
本発明に係るコネクタは、コネクタ10の第1,第2クランプ部材14,15をプレ嵌合の状態で取り付けてあるので、そのまま現地に持ち込むことができ、現地にて先端にターミナルを圧着したケーブル1を後方から挿入及びハウジング11にランス係止させ、そのまま第1,第2クランプ部材を相互に押し込み、クランプできる。
よって、現地でのケーブル接続が容易であり、接続工数も小さくなる。
【符号の説明】
【0014】
1 ケーブル
10 コネクタ
11 ハウジング
12 ブッシュ
13 カバー部材
14 第1クランプ部材
15 第2クランプ部材