(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出手段(27a)は、アクセルペダル(11)が所定振幅を越えて所定時間内に所定回数を越えて繰り返し操作されたときに、アクセルペダル(11)の操作頻度が所定の条件を越えたと判断する請求項1記載のブレーキ制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の大型車両では、主ブレーキ装置の補助として、アクセルオフ時や主ブレーキオン時に作動する排気ブレーキなどの補助ブレーキを備えている。この排気ブレーキなどの補助ブレーキは、運転者のスイッチ操作により補助ブレーキが有効な状態に設定されているときに、
図4に示すように、運転者がアクセルペダルを解放(OFF)すると作動し、逆に、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、自動的にその補助ブレーキ状態を一時的に解除(OFF)し、車両を加速することができるように構成される。そして、この状態のまま運転者が再びアクセルペダルを解放(OFF)すると、自動的に補助ブレーキを再び作動させるように構成される。
【0003】
一方、排気ブレーキなどの補助ブレーキは、高速道路などを走行中で変速機(トランスミッション)が高い段数にシフトアップされていると、ギヤ比の関係から、あまり減速作用を得られないことがある。そこで、近年普及してきた機械式自動変速機を備えた車両では、
図4に示すように、補助ブレーキの作動にあたって、変速機を高い段数から低い段数に自動的に変速するシフトダウンを行い、補助ブレーキによる制動力を高めるシフトダウン制御が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シフトダウン制御により補助ブレーキの作動時における制動力を高めると、運転者がアクセルペダルを解放したときの減速作用により、運転者が目標としている車速を直ちに下回り、再び運転者がアクセルペダルを踏み込んで再加速させるという動作が繰り返される、いわゆる波状運転になり易い傾向にあった。このように、シフトダウン制御を行うスイッチを動作状態に操作設定したまま、アクセルペダルを使って急な加速および急な減速を繰り返す、いわゆる「波状運転」は、走行距離あたりの燃料消費量がきわめて大きくなる不具合があった。
【0006】
この点を解消するために、波状運転になった場合に、シフトダウン制御を禁止して、補助ブレーキの減速作用を弱めることも考えられる。しかし、このシフトダウン制御は、運転者の意志により、そのスイッチ操作により行われるものであり、そのシフトダウン制御を欲する運転者がそのスイッチを操作したのにもかかわらず、シフトダウン制御が行われないとすると、運転者に大きな違和感を生じさせる不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、アクセルペダルを使って急加速および急減速を繰り返す運転操作について、運転者に違和感を生じさせることなく、実質的な急加速および急減速を禁止して、走行距離あたりの燃料消費量を抑制し得るブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
アクセルオフの間に補助ブレーキの作動に伴うシフトダウンを実行可能な自動変速機を備えた車両のブレーキ制御装置の改良である。
【0009】
その特徴ある構成は、アクセルペダルの操作頻度が所定条件を越えたことを検出する検出手段と、
アクセルペダルの操作頻度が所定条件を越えたことを検出手段が検出するとシフトダウンとともに作動する補助ブレーキが発生する制動力を減少させる作動強度変更制御手段とを備えたところにある。
【0010】
ここで、検出手段は、アクセルペダルが所定振幅を越えて所定時間内に所定回数を越えて繰り返し操作されたときに、アクセルペダルの操作頻度が所定の条件を越えたと判断することが好ましい。
【0011】
また、前方車両との車間距離を測定する距離センサと、距離センサが検出する車間距離をしきい値と比較する車間距離判断手段とを更に備え、作動強度変更制御手段は、車間距離がしきい値を越えている場合に補助ブレーキ
が発生する制動力の減少を許容し、車間距離がしきい値以下であった場合に補助ブレーキ
が発生する制動力の減少を禁止するように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブレーキ制御装置では、補助ブレーキの作動に伴うシフトダウンの実行を許容する。このため、アクセルペダルを使って急加速および急減速を繰り返す運転操作にあっても、その減速時には、シフトダウンが実行される。このシフトダウン制御は、運転者の意志により、そのスイッチ操作により行われるものであるので、運転者に大きな違和感を生じさせるようなことはない。
【0013】
その一方、本発明では、急加速および急減速を繰り返す運転操作により、検出手段がアクセルペダルの操作頻度が所定条件を越えたことを検出すると、作動強度変更制御手段が、それ以降の補助ブレーキ
が発生する制動力を減少させる。すると、減速度は下がり、実質的な急加速および急減速は禁止され、走行距離あたりの燃料消費量を従来より抑制することができる。
【0014】
ここで、
車両の制動力の減少を、前方車両との車間距離が少ない状態で行うことは好ましくない。このため、前方車両との車間距離がしきい値を越えている場合に補助ブレーキ
が発生する制動力の減少を許容し、車間距離がしきい値以下であった場合に補助ブレーキ
が発生する制動力の減少を禁止することにより、前方車両との車間距離が少ない状態で実行されるようなことを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に、本発明のブレーキ制御装置を適用した車両10の要部構成を示す。この車両10はトラック等の大型車両であって、この車両10には、図示しないが、前輪17a及び後輪17bの回転を直接的に制動可能な主ブレーキ装置と、その主ブレーキ装置を運転者の意志により稼働させるブレーキペダルが設けられる。そして、この車両10には、主ブレーキ装置の補助として、アクセルペダル11が踏み込まれていないアクセルオフ時や、その主ブレーキ装置が稼働したときに作動する、補助ブレーキとしての排気ブレーキ13が設けられる。
【0018】
この補助ブレーキとしての排気ブレーキ13は、エンジン12の排気通路に配設され、その排気ブレーキ13の制御装置である補助ブレーキECU(電子制御ユニット)14が備えられる。エンジン12には変速機15が連結され、シャフト16を介して後輪17bが更に連結される。エンジン12の出力を車輪に伝達する変速機15は、自動変速の制御装置である自動変速ECU18により制御される機械式自動変速機15であって、車速等の条件に応じて排気ブレーキ13の作動に伴うシフトダウンを実行することが可能なように構成される。
【0019】
また、この車両10には、エンジン12の制御装置であるエンジンECU19が設けられ、このエンジンECU19からはエンジン12における燃料噴射装置12aにその制御出力が接続される。また、この車両10には、更に、オートクルーズコントロール(ACC)機能を実行するオートクルーズECU21が備えられる。このオートクルーズ用に、前方を走行する前方車両等の前方障害物を検出し、前方車両との車間距離や相対速度、方位を検知するミリ波レーダ等の距離センサ22が車両10の前部に設けられる。
【0020】
また、車両10には、アクセルペダル11の踏み込み量を検出するアクセルセンサ24と、補助ブレーキである排気ブレーキ13や、その排気ブレーキが稼働したときにシフトダウンを可能にする操作スイッチ26が設けられる。そして、上述した補助ブレーキECU14,自動変速ECU18,エンジンECU19,距離センサ22,アクセルセンサ24及び操作スイッチ26等は、図示しない他の機器と共にCAN(Controller Area Network)23を介して連結され、互いに交信可能に構成される。
【0021】
そして、運転者がアクセルペダル11の踏み込みを解除して、そのアクセルペダル11が解放された事実をアクセルセンサ24が検出して出力すると、エンジンECU19は、エンジン12に供給される燃料流量を、エンジン12の回転がアイドリング速度で維持するために必要な最小量にするように構成される。このため、変速機15において走行ギヤが選択され、相応の速度で車両10が走行中に、アクセルペダル11が解放された事実をアクセルセンサ24が検出して出力すると、アイドリング速度で維持されようとするエンジン12が後輪17bの回転を制動する、いわゆるエンジンブレーキの状態になる。
【0022】
この実施の形態における排気ブレーキ13は、エンジン12の排気通路に開閉弁を設ける構造のものであり、このエンジンブレーキの状態のときに、運転者が操作スイッチ26を操作することにより、補助ブレーキECU14はエンジン12の排気通路に設けられた開閉弁を閉じるように構成される。そして、開閉弁が閉じられると、エンジン12は回転速度をさらに減速させ、これにより排気ブレーキ13は、車両10に対して実質的にブレーキとして作用することになる。そして、この実施の形態における開閉弁は、エンジン12の排気通路の閉じる量を可変可能に構成されたものが用いられるものとする。
【0023】
この実施の形態における操作スイッチ26は、その操作レバー26aを運転者が傾倒させるように構成され、
図1の点線で示す基本状態がオフ状態を示し、このオフ状態ではエンジンブレーキ状態であっても、排気通路に設けられた開閉弁を閉じないように構成される。そして、その操作レバー26aをオフ状態から一段階傾倒させて、破線で示す第一傾倒状態にすると、エンジンブレーキ状態において排気通路に設けられた開閉弁を僅かに閉じるように構成され、その操作レバー26aを破線で示す第一傾倒状態から更に一段階傾倒させて一点鎖線で示す第二傾倒状態にすると、エンジンブレーキ状態において排気通路に設けられた開閉弁を更に閉じるように構成される。即ち、この実施の形態における排気ブレーキ13は、開閉弁を僅かに閉じる「弱作動」と、その開閉弁を更に閉じる「強作動」の2段階において制動可能に構成され、「強作動」時の作動強度を100%とすると、「弱作動」時の作動強度は、その30〜70%に減少させるように構成される。
【0024】
そして、この実施の形態における操作スイッチ26は、その操作レバー26aを一点鎖線で示す第二傾倒状態から更に一段階傾倒させて実線で示す第三傾倒状態にすると、エンジンブレーキ状態において排気ブレーキ13を「強作動」の状態に維持しつつ、更に変速機15におけるシフトダウンを行うように構成される。変速機15におけるシフトダウンは自動変速ECU18が変速機15を制御することにより実現される。即ち、自動変速ECU18は、操作スイッチ26の操作レバー26aが実線で示す第三傾倒状態になるように傾倒操作されている状態において、エンジンブレーキ状態になると、変速機15におけるシフトダウンを行うように構成される。
【0025】
また、上述したCAN23には、補助ブレーキECU14に指令を出して補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動強度を変更し得る作動強度変更制御手段である作動強度変更制御ECU27が接続され、補助ブレーキECU14,自動変速ECU18,エンジンECU19,距離センサ22,アクセルセンサ24及び操作スイッチ26等と互いに交信可能に構成される。そして、この作動強度変更制御ECU27には、アクセルペダル11の操作頻度が所定条件を越えたことを検出する検出手段であるペダル頻度演算回路27aと、距離センサ22が検出する前方車両との車間距離をしきい値と比較する車間距離判断手段である車間距離演算回路27bが設けられる。
【0026】
そして、この作動強度変更制御ECU27は、ペダル頻度演算回路27aのアクセルペダル11の操作頻度が所定条件を越えたとする出力により、それ以降の排気ブレーキ13の作動強度を減少させるように構成される。また、この作動強度変更制御手段である作動強度変更制御ECU27は、車間距離演算回路27bの出力により、車間距離がしきい値を越えている場合に補助ブレーキの作動強度の減少を許容し、車間距離が前記しきい値以下であった場合に補助ブレーキの作動強度の減少を禁止するように構成される。
【0027】
次に、このように構成されたブレーキ制御装置の動作を説明する。
【0028】
図2に示すように、まず、変速機15において走行ギヤが選択され、相応の速度で車両10が走行中に、運転者がアクセルペダル11の踏み込みを解除してエンジンブレーキの状態にすると、そのアクセルペダル11が解放された事実はアクセルセンサ24により検出されて出力される。この検出出力によりエンジンブレーキ状態である(S1)ことを検知した作動強度変更制御ECU27は、次に、運転席にある操作スイッチ26が操作されて、その操作レバー26aが
図1の点線で示すオフ状態以外の状態になっているか否か確認する(S2)。即ち、補助ブレーキである排気ブレーキ13は、運転者により使用するかどうかを選択できるようになっている。その結果、操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の点線で示すオフ状態であった場合は、補助ブレーキを解除(S6)、即ち排気ブレーキ13の図示しない開閉弁を開制御して、リターンする。
【0029】
一方、操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の点線で示すオフ状態以外の位置である場合は、運転者により排気ブレーキ13を使用する意思が表されたものであり、この場合、作動強度変更制御ECU27は、次に、運転席にある操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の実線で示す第三傾倒状態になっているか否か確認する(S3)。即ち、補助ブレーキ作動時のシフトダウンを行う意思表示がなされているか否か確認する。その結果、操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の実線で示す第三傾倒状態になっていない場合には、シフトダウンすることなく、補助ブレーキECU14に指令を出して、操作レバー26aの操作位置に基づいて、排気ブレーキ13を強作動又は弱作動させ(S7)、リターンする。
【0030】
即ち、操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の破線で示す第一傾倒状態であると、排気通路に設けられた開閉弁を僅かに閉じて排気ブレーキ13を弱作動させ、その操作レバー26aが
図1の一点鎖線で示す第二傾倒状態であると、排気通路に設けられた開閉弁を弱作動の場合よりも更に閉じて排気ブレーキ13を強作動させる。よって、運転者が補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動に伴うシフトダウンを好まない場合には、シフトダウンが実行されないように選択することができる。
【0031】
逆に、操作スイッチ26の操作レバー26aが
図1の実線で示す第三傾倒状態になっているときには、次に、作動強度変更制御ECU27は、車両10が、いわゆる波状運転であるか否かを判断する(S4)。この波状運転であるか否かの判断は、アクセルセンサ24の検出出力によりペダル頻度演算回路17aにより行われ、アクセルペダル11が所定振幅を越えて所定時間内に所定回数を越えて繰り返し操作されたときに、アクセルペダル11の操作頻度が所定の条件を越えたとして、波状運転であると判断する。
【0032】
即ち、現時点のアクセル開度から「所定振幅」である開度α%までの間を、「所定時間内」であるt秒間に、「所定回数」であるn回にわたりアクセルペダル11の操作が繰り返されると、アクセルペダル11の操作頻度が所定の条件を越えたとして、波状運転であると判断される。ここで、この「開度α」は例えば80〜100%であり、「所定回数n」は1〜5回程度であり、「所定時間t」は1〜20秒程度に設定することが適当である。具体的に例示すると、たとえば、現時点のアクセル開度から開度100%までの間を20秒間に少なくとも2回にわたり開閉制御を繰り返す操作が行われると、波状運転であると判断することができる。
【0033】
その結果、波状運転でないと判断されると、作動強度変更制御ECU27は、自動変速ECU18に指令を出して変速機15をシフトダウンさせ、それとともに補助ブレーキECU14に指令を出して、排気ブレーキ13を強作動させ(S9)、リターンする。
【0034】
一方、波状運転であると判断されると、次に、作動強度変更制御ECU27は、別のシフトダウン条件が成立するか否かを判断する(S5)。この実施の形態における別のシフトダウン条件とは、前方を走行する車両10との車間距離との関係である。そして、前方車両10との車間距離は距離センサ22により測定され、車間距離判断手段である車間距離演算回路27bは、距離センサ22が検出する車間距離を所定のしきい値と比較する。ここで、「しきい値」としては、例えば40〜60mを設定することができる。
【0035】
その結果、前方車両との車間距離がしきい値以下であった場合、前方車両との車間距離が比較的短いことになり、この場合、作動強度変更制御ECU27は、自動変速ECU18に指令を出して変速機15をシフトダウンさせ、それとともに補助ブレーキECU14に指令を出して、排気ブレーキ13を強作動させ(S9)、リターンする。即ち、車間距離がしきい値以下であった場合に補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動強度の減少を禁止する。これにより、車両10を減速させる制動力の低下は防止され、前方車両との車間距離が、運転者の意志に反してそれ以上近づくようなことを回避することができる。
【0036】
一方、前方車両との車間距離がしきい値を越えている場合、前方車両との車間距離が比較的長いことになり、この場合、作動強度変更制御ECU27は、自動変速ECU18に指令を出して変速機15をシフトダウンさせるけれども、それとともに補助ブレーキECU14に指令を出して、操作レバー26aが第三傾倒状態にあるにもかかわらず、排気ブレーキ13を弱作動させ(S8)、リターンする。即ち、作動強度変更制御ECU27は、波状運転であって、かつ車間距離がしきい値を越えている場合にのみ、補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動強度を減少させる。
【0037】
補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動状態及び実行されたシフトダウンは、リターンされた後に、アクセルペダル11が踏み込まれてエンジンブレーキ状態でなくなった場合(S1)、又は操作スイッチ26による操作レバー26aが
図1の点線で示すオフ状態になった場合(S2)に、補助ブレーキ及びシフトダウンは解除されることになる(S6)。
【0038】
以上述べたように、本発明のブレーキ制御装置では、操作レバー26aを
図1の実線で示す第三傾倒状態にすると、
図3に示すように、アクセルペダル11の踏み込みが解除されたエンジンブレーキ状態において、補助ブレーキである排気ブレーキ13は作動し、それとともに変速機15におけるシフトダウンは実行される。このため、アクセルペダル11を使って急加速および急減速を繰り返す運転操作にあっても、その減速時には、シフトダウンが実行される。このシフトダウン制御は、運転者の意志により、そのスイッチ26を操作することにより行われるものであるので、運転者に大きな違和感を生じさせるようなことはない。
【0039】
また、本発明のブレーキ制御装置では、アクセルペダル11の踏み込みと解除が頻繁に繰り返されると波状運転と認識され、それ以降のアクセルペダル11の踏み込みが解除されたエンジンブレーキ状態において、補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動強度は、
図3の破線で示す従来の状態から実線で示すように低下する。すると、アクセルペダル11の踏み込みが解除された時のエンジンブレーキによる減速が緩和される結果、実質的な急加速および急減速は禁止される。これにより、走行距離あたりの燃料消費量を従来より抑制することができる。
【0040】
ここで、補助ブレーキである排気ブレーキ13の作動強度を減少させることは、走行する車両10の制動力を減少させることになるので、前方車両との車間距離が少ない状態で実行させることは好ましくない。このため、前方車両との車間距離がしきい値を越えている場合に補助ブレーキの作動強度の減少を許容し、車間距離がしきい値以下であった場合に補助ブレーキの作動強度の減少を禁止することにより、前方車両との車間距離が少ない状態で排気ブレーキ13の作動強度を減少させるようなことを回避することができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、単一の操作スイッチ26を用いて、排気ブレーキ13と変速機15におけるシフトダウンの双方のスイッチとしたけれども、排気ブレーキ13の操作スイッチと変速機15におけるシフトダウンの操作スイッチを別々に設けるようにしても良い。
【0042】
また、上述した実施の形態では、補助ブレーキが排気ブレーキ13である場合を説明したけれども、補助ブレーキは主ブレーキ装置を補助し得る限り、排気ブレーキ13に限られない。例えば、補助ブレーキはリターダであっても良い。図示しないが、リターダは大型車両などに利用されている電気制動装置である。広く知られた形態では、車軸を駆動するためのプロペラ軸に連結されて回転する発電機を設け、この発電機の電気出力に抵抗器を接続する構造のものである。運転席に設けたスイッチ操作によりリターダを制動状態に操作すると、この発電機の出力電流は抵抗器に流れ、プロペラ軸の機械的な負荷が大きくなり車両は制動状態となる。そして、その抵抗値を変更することにより、補助ブレーキであるリターダを強作動又は弱作動させることが可能になるものである。
【0043】
更に、上述した実施の形態では、作動強度変更制御手段である作動強度変更制御ECU27を独立に形成してCAN23に接続し、補助ブレーキECU14,自動変速ECU18,エンジンECU19,距離センサ22,アクセルセンサ24及び操作スイッチ26等と互いに交信可能にした場合を説明したけれども、補助ブレーキの作動強度を減少させる作動強度変更制御手段は別に独立して設けなくても良い。例えば、補助ブレーキECU14,自動変速ECU18,エンジンECU19,オートクルーズECU21に、補助ブレーキの作動強度を減少させる作動強度変更制御手段としての回路を設けるようにしても良い。