(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、圧縮機からの圧縮空気の一部が混合器で混合器駆動用水蒸気と混合されて加湿空気となり、この加湿空気が熱交換器(再生器)で予熱されて燃焼器に供給される。混合器駆動用水蒸気量を多くするほど混合器に吸引される圧縮空気量も多くなるので、熱交換器においてガスタービン排ガスからガスタービンへ回収される熱量が増加し、発電効率は向上する。このとき、混合器駆動用水蒸気によりガスタービンの作動流体が増加するので、発電出力が増加する。
【0006】
一方、混合器駆動用水蒸気を多くするほど熱交換器での回収熱量が増加して排熱ボイラへ流入するガスタービン排ガスの温度が低下するので、排熱ボイラで生成される水蒸気量が減少する。そのため、他システムへの送出蒸気量は減少する。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載のシステムでは、ガスタービン発電出力を増加させると送出蒸気量が減少し、送出蒸気量を増加させると発電出力が減少するので、発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整することが困難であるという実用上の課題がある。
【0008】
本発明の目的は、ガスタービン排ガス系統に再生器を備えた高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムにおいて、発電出力と送出蒸気量を所定の範囲内でそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムは、空気圧縮機と燃焼器とタービンとから構成されるガスタービンと、蒸気を駆動源として圧縮機からの圧縮空気を吸引して昇圧しかつ圧縮空気を蒸気と混合して加湿空気とする混合器と、タービンの下流に設けられ、タービン排ガスを熱源として混合器からの加湿空気を加熱する再生器と、再生器の下流に設けられ、タービン排ガスを熱源として水を蒸発させる排熱ボイラと、空気圧縮機からの圧縮空気の一部を燃焼器へ直接導く圧縮空気ラインと、その残部を混合器に導く圧縮空気分岐ラインと、排熱ボイラで発生した蒸気の一部を混合器に導く混合器駆動用蒸気ラインと、残りの蒸気を他の蒸気利用システムへ送出する蒸気送出ラインと、混合器からの加湿空気を再生器へ導く加湿空気ラインと、再生器からの高温の加湿空気を燃焼器に導く高温加湿空気ラインと、混合器と再生器との間の加湿空気ラインから加湿空気の一部を分岐して高温加湿空気ラインに合流させる再生器バイパスラインを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の構成に加え、混合器からの加湿空気と水を直接接触させ、水の蒸発潜熱により加湿空気の温度を下げ、かつ、蒸発した水が加わることにより加湿空気量を増加させる補助加湿装置を再生器の加湿空気入口側に設けることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明は、上記の構成に加え、空気温度を低下させて比容積を下げることにより圧縮機動力を減少させる空気冷却装置を空気圧縮機の吸気側に設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスタービン排ガス系統に再生器を備えた高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムにおいて、発電出力と送出蒸気量をシステムの運転特性の範囲内でそれぞれ任意の発電出力と送出蒸気量に調整可能となる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための好ましい形態を説明する。なお、各図において共通する部分には、原則として同じ符号を使用する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明による高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムの実施例1の全体構成図である。
【0017】
図1において、本発明による高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムは主要設備として、ガスタービンと、混合器9と、再生器7と、排熱ボイラ4と、給水加熱器6と、煙突11を有している。ガスタービンは、空気Aを圧縮する空気圧縮機1と、空気を支燃剤として燃料Fを燃焼させる燃焼器2と、燃焼ガスにより駆動され、空気圧縮機1と発電機5を駆動するタービン3とから構成される。混合器9は、排熱ボイラ4からの蒸気Sを駆動源として空気圧縮機1からの圧縮空気を吸引して昇圧し、かつ圧縮空気を蒸気と混合して加湿空気とする。混合器9としては、機械的な可動部がなく高い信頼性を期待できる蒸気エジェクターを適用するのが望ましい。再生器7は、タービン3の下流に設けられ、タービン排ガスEを熱源として混合器9からの加湿空気を加熱する。排熱ボイラ4は、再生器7の下流に設けられ、タービン排ガスEを熱源として給水加熱器6で加熱された給水を蒸発させる。給水加熱器6は、排熱ボイラ4の下流に設けられ、タービン排ガスEを熱源として給水ポンプ10を介して供給される給水Wを加熱する。
【0018】
また、各主要設備間の主要配管ラインとして、空気圧縮機1からの圧縮空気の一部を燃焼器2へ直接導くための圧縮空気ライン21と、その残部を混合器9に導くための圧縮空気分岐ライン27と、排熱ボイラ4で発生した蒸気Sの一部を混合器駆動用蒸気として混合器9に導く混合器駆動用蒸気ライン22と、残りの蒸気Sを他の蒸気利用システムへ送出するための蒸気送出ライン25と、混合器9からの加湿空気HAを再生器7へ導くための加湿空気ライン23と、再生器7からの高温の加湿空気HAを燃焼器2に導くための高温加湿空気ライン24と、加湿空気ライン23を流れる加湿空気HAの一部を再生器7をバイパスして高温加湿空気ライン24に合流させるための再生器バイパスライン26を有している。
【0019】
混合器駆動用蒸気ライン22には、排熱ボイラ4で発生した蒸気を混合器9への混合器駆動用蒸気と他プロセスへの送気蒸気とに分配して供給するための混合器駆動用蒸気流量制御弁42が設けられている。また、加湿空気ライン23には、混合器9からの加湿空気の再生器バイパス割合を制御するための再生器バイパス流量制御弁43が設けられている。再生器バイパス流量制御弁43は、再生器バイパスライン26に設けても良い。混合器駆動用蒸気流量制御弁42と再生器バイパス流量制御弁43は、制御装置(図示省略)により弁開度が制御される。
【0020】
本実施例では、再生器バイパスライン26により混合器9からの加湿空気の一部を再生器7をバイパスさせて燃焼器2に導くことができるよう構成されている。
【0021】
このようなシステム構成において、例えば、送出蒸気量を変えずに発電出力を増加させたい場合、混合器9からの加湿空気の再生器バイパス割合を大きくする。再生器バイパス割合を大きくすることにより再生器7での回収熱量が減少し、排熱ボイラ4での蒸発量は増加する。送出蒸気量は同じなので、この蒸発量の増加により混合器9への混合器駆動用蒸気(=排熱ボイラ蒸発量−送出蒸気量)が増加する。結果として燃焼器2に導かれる加湿空気が増加して発電出力が増加する。すなわち、本実施例は、このような作用効果を利用するものであり、再生器バイパス割合を調整することにより、送出蒸気量は一定のまま発電出力を調整することができる。
【0022】
また、発電出力を変えずに送出蒸気量を増加させたい場合は、送出蒸気量を増加させるとそのままでは混合器9への混合器駆動用蒸気が減少して発電出力は低下するので、送出蒸気量を目標値まで増加させると同時に再生器バイパス割合を増加させることにより、必要な発電出力を維持することができる。
【0023】
すなわち、本実施例によれば、再生器バイパス割合を調整することにより、発電出力と送出蒸気量を一定の範囲内(システムの運転特性の範囲内)でそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整できるという効果がある。
【0024】
図4を用いて本実施例の効果を説明する。
【0025】
図4は、本発明の実施例1における発電出力と送出蒸気量の関係を比較例の運転特性と比較して示した説明図である。比較例は、
図1の構成において再生器バイパスライン26と再生器バイパス流量制御弁43が設けられていないシステム構成を有するものとした(後述の実施例2及び実施例3における比較例も同じ。)。
【0026】
図4において、縦軸は発電出力、横軸は送出蒸気量を示す。なお、送出蒸気量は、排熱ボイラ4で発生した蒸気のうち他のプロセスへ送出する蒸気量であり、残りの蒸気は混合器駆動用蒸気として混合器9に導かれる(後述の実施例2及び実施例3の効果を説明する
図5及び
図6も同じ。)。
【0027】
図4中の特性曲線(1)は比較例の運転特性であり、本発明の実施例1で再生器バイパス割合を0%にして運転した場合に相当する。特性曲線(2)と(3)は本発明の実施例1の運転特性であり、(2)は再生器バイパス割合を30%にして運転した場合の運転特性、(3)は再生器バイパス割合を50%にして運転した場合の運転特性である。
【0028】
図4より、本発明の実施例1は、再生器バイパス割合を大きくするほど同一送出蒸気量における発電出力を大きくできるという運転特性を持つことが分かる。また、この運転特性は、例えば、再生器バイパス割合を増加させることにより、発電出力を一定に保持したまま送出蒸気量を増加させることが可能であることを示している。
【0029】
したがって、本発明の実施例1によれば、再生器バイパス割合を制御することにより、システムの運転特性の範囲内で発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整できる。
【実施例2】
【0030】
図2は、本発明による高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムの実施例2を示す全体構成図である。
図1に示す実施例1と重複する部分については説明を省略する。本実施例では、
図1に示した実施例1の構成に加えて、補助加湿装置12と補助加湿水供給ライン29を有している。補助加湿装置12は、混合器9の下流で再生器7の加湿空気入口側に設けられ、加湿空気と水を直接接触させ、水の蒸発潜熱により加湿空気の温度を下げ、かつ、蒸発した水が加わることにより加湿空気量を増加させる。補助加湿水供給ラインは、給水加熱器6で加熱された給水の一部を補助加湿装置12に導く。補助加湿水供給ライン29には、補助加湿水ポンプ13と、補助加湿水制御弁41が設けられており、これらにより、給水加熱器6からの補助加湿水を昇圧し、必要な補助加湿水を補助加湿装置12に導くことができるようにしている。補助加湿水制御弁41は、混合器駆動用蒸気流量制御弁42と再生器バイパス流量制御弁43と同様に、制御装置(図示省略)により弁開度が制御される。
【0031】
本実施例における補助加湿装置12としては、特許第4285781号公報で開示されている増湿塔や特許第4167989号公報で開示されている噴霧式加湿装置の適用が可能である。
【0032】
増湿塔は、冷却塔に類似した構造を持ち、内部に充填材が設置された縦型容器の下部から導入された空気と、その容器の上部から導入された水が充填材を伝わって流下する過程で水と空気が直接熱交換し、水が蒸発することにより流量が増加し、かつ、蒸発潜熱により温度が低下した加湿空気が増湿塔上部から取り出される。この増湿塔方式では、上部から導入する水量を調整することにより出口加湿空気の相対湿度を100%以下の任意の値に制御できる。ただし、増湿塔は比較的大型で、かつ、充填材が内蔵されているので熱容量が大きく、相対湿度変化の応答時間が比較的長くなる。
【0033】
噴霧式加湿装置では、空気流路に噴霧ノズルが設置されており、この噴霧ノズルに高圧水を供給することにより微細な水滴が噴霧され、この水滴が空気の流れに乗って下流に移動する間に蒸発する。この噴霧式加湿装置では、複数個の噴霧ノズルを設け、供給する高圧水の圧力及び/又は作動させる噴霧ノズルの個数を制御することにより、出口加湿空気の相対湿度を100%以下の任意の値に比較的容易に制御することができる。また、構造がシンプルで内部充填材などが不要であるため増湿塔に比べて熱容量が小さく、相対湿度変化の応答時間が比較的短い。
【0034】
したがって、本実施例における補助加湿装置12としては、噴霧式加湿装置を適用するのが望ましい。
【0035】
本実施例では、実施例1の構成に加えて、補助加湿装置12を設置し、補助加湿装置12は混合器9からの加湿空気に直接水を接触させて蒸発させ、蒸発潜熱により補助加湿装置出口の加湿空気温度を下げると同時に加湿空気の流量を増加させることができるよう構成されている。本実施例では実施例1の効果に加えて次の作用効果を有する。
【0036】
すなわち、このようなシステム構成において、例えば、再生器バイパス割合が一定の状態で補助加湿装置12での補助加湿量を多くすると、再生器7での回収熱量が増加し、排熱ボイラ4での蒸発量は減少する。この補助加湿による排熱ボイラ4での蒸発量の減少は、送出蒸気量が一定の場合には混合器駆動用蒸気量を減少させるので混合器9出口の加湿空気量を減少させる方向に作用するが、補助加湿での水の蒸発による加湿空気量の増加の方が大きい。そのため、補助加湿は、補助加湿装置12出口の加湿空気量を増加させ、燃焼器2に導かれる加湿空気量を増加させるので、発電出力を増加させるように作用する。
【0037】
上記した補助加湿装置12の作用により、再生器バイパスに加えて補助加湿装置12を設けた本実施例では、発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整可能な範囲を広くできる効果がある。
【0038】
図5を用いて本実施例の効果を説明する。
【0039】
図5は、本発明の実施例2における発電出力と送出蒸気量の関係を比較例及び実施例1の運転特性と比較して示した説明図である。
【0040】
図5中の特性曲線(1)は比較例の運転特性である。特性曲線(2)は本発明の実施例1において再生器バイパス割合30%時の運転特性である。特性曲線(3)、(4)は本発明の実施例2の運転特性であり、それぞれ再生器バイパス割合30%、再生器バイパス割合50%で補助加湿を実施した場合の運転特性である。
【0041】
図5において、同じ再生器バイパス割合である特性曲線(2)と(3)を比較すると、補助加湿を実施した場合の特性曲線(3)は、再生器バイパスのみの場合の特性曲線(2)に比べて同じ送出蒸気量における発電出力が大きくなっている。
【0042】
また、どちらも補助加湿を実施している特性曲線(3)と(4)を比較すると、再生器バイパス割合が大きいほど同じ送出蒸気量における発電出力が大きくなっている。
【0043】
したがって、再生器バイパスに加えて補助加湿装置12を設けることにより、発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整可能な範囲を実施例1より広くできる効果があることが分かる。
【0044】
なお、本発明の実施例2において、再生器バイパス割合を0%、かつ、補助加湿なしで運転することも可能であり、その場合には、比較例の特性曲線(1)と同じ特性となる。
【実施例3】
【0045】
図3は、本発明による高湿分空気利用ガスタービンコージェネレーションシステムの実施例3を示す全体構成図である。
図1に示す実施例1及び
図2に示す実施例2と重複する部分については説明を省略する。本実施例では、
図2に示した実施例2の構成に加えて、空気冷却装置15と、空気冷却給水ポンプ16と、空気冷却水制御弁44を有している。空気冷却装置15は、空気圧縮機1の吸気口上流側(空気吸込口近傍)に設けられ、空気温度を低下させて比容積を下げることにより圧縮機動力を減少させる。空気冷却給水ポンプ16は、空気冷却装置15に水を供給する。空気冷却水制御弁44は、混合器駆動用蒸気流量制御弁42、再生器バイパス流量制御弁43、補助加湿水制御弁41と同様に、制御装置(図示省略)により弁開度が制御される。
【0046】
空気冷却装置15としては、エバボレイティブクーラー方式、チラー方式、フォギング方式、オーバーフォギング方式などを適用可能である。
【0047】
エバボレイティブクーラー方式は、圧縮機の吸気フィルタ室の後流に水を流下させるエレメントを設け、水の蒸発潜熱により圧縮機入口(空気吸込口)の空気温度を下げる方式であり、湿球温度以下には下がらない。
【0048】
チラー方式は、圧縮機の吸気フィルタ室の後流に空気冷却コイルを設け、そこへターボ冷凍機などのチラーから冷水を供給して、圧縮機入口の空気を冷やす方式であり、湿度に余り関係なく吸気温度を下げられるが、チラーを設置する分、初期投資が高くなる。
【0049】
フォギング方式は、圧縮機入口までに全量が蒸発する程度の量の微細水滴を圧縮機の吸気フィルタ室の後流に噴霧し、その蒸発潜熱により圧縮機入口空気温度を下げる方式であり、エバボレイティブクーラー方式と同様に湿球温度以下には下がらないので高湿度時には効果が低い。
【0050】
オーバーフォギング方式は、特許第2877098号公報や特許第4285781号公報などで開示されているとおり、フォギング方式に比べて比較的多量の微細水滴を圧縮機の吸気フィルタ室の後流に噴霧する方式である。オーバーフォギング方式では、噴霧した水滴の一部はフォギング方式と同様に空気圧縮機に吸い込まれる前に蒸発して圧縮機入口(空気吸込口)の空気温度を下げて吸い込み空気量を増加させる効果があり、また、残りの水滴(圧縮機入口において未蒸発の水滴)は圧縮過程で蒸発して圧縮機内の空気温度を下げるので、中間冷却器と同様に圧縮機を駆動するための動力を低減する効果がある。
【0051】
したがって、本実施例における空気冷却装置15としては、オーバーフォギング方式の空気冷却装置を適用するのが好ましい。本実施例におけるオーバーフォギング方式の空気冷却装置は、空気流路内に設けられた水噴霧ノズルと、水噴霧ノズルに供給する高圧水の圧力及び/又は作動させる水噴霧ノズルの個数を制御する制御装置を備える。
【0052】
本実施例では、実施例2の構成に加えて、空気冷却装置15を設置し、空気冷却装置15はその運転により空気温度を低下させて空気の比容積を減少させるように構成されている。本実施例では実施例1や実施例2の効果に加えて次の作用効果を有する。
【0053】
すなわち、このようなシステム構成において、空気冷却装置15として、例えば、フォギング方式を採用すると、空気比容積の減少により圧縮機1に吸い込まれる空気量が増加して、ガスタービン出力が増加するので発電出力が増加する。また、空気冷却装置15としてオーバーフォギング方式を採用すると中間冷却の効果により圧縮機動力が低減される効果が加わるので、さらに発電出力が増加する。
【0054】
上記した空気冷却装置15の作用効果により、再生器バイパスと補助加湿装置12に加えて空気冷却装置15を備えた本実施例では、発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に調整可能な範囲をさらに広くできる効果がある。
【0055】
したがって本実施例によれば、ガスタービンをできるだけ高い効率、例えば、燃焼器出口燃焼ガスを定格温度で運転する場合にも、再生器バイパスライン26、補助加湿装置12および空気冷却装置15を組合せて運転することにより、一定の範囲内(システムの運転特性の範囲内)で、発電出力と送出蒸気量をそれぞれ任意の出力と蒸気量に設定することができる。例えば、送出蒸気量を維持した状態で発電出力を増減させたり、必要な発電出力を維持した状態で送出蒸気量を増減させたりすることができるという効果がある。
【0056】
図6を用いて本実施例の効果を説明する。
【0057】
図6は、本発明の実施例3における発電出力と送出蒸気量の関係を比較例及び実施例2の運転特性と比較して示した説明図である。
【0058】
図6中の特性曲線(1)は比較例の特性曲線である。特性曲線(2)は実施例2で再生器バイパス割合30%に加え補助加湿を実施した場合の特性曲線である。特性曲線(3)は本実施例3の特性曲線であり、再生器バイパス割合30%と補助加湿に加えて、圧縮機1の吸込空気流量の2重量%相当の微小水滴が圧縮機入口及び圧縮機内を通過する間に全量蒸発する条件で空気冷却装置15を運転した場合の特性を示している。
【0059】
図6に示すように、空気冷却装置15を運転した場合の特性曲線(3)は、比較例の特性曲線(1)はもとより再生器バイパス割合30%で補助加湿を実施した場合の特性曲線(2)に比べて同じ送出蒸気量における発電出力を大きくできることを示している。
【0060】
したがって、再生器バイパスライン26や補助加湿装置12に加え空気冷却装置15を設けることにより、送出蒸気量を維持した状態で発電出力を増減させたり、必要な発電出力を維持した状態で送出蒸気量を増減させたりすることが可能な範囲をさらに広くできる効果があることが分かる。
【0061】
尚、本実施例では、
図2に示した実施例2の構成に加えて、空気冷却装置15と、空気冷却給水ポンプ16を設けているが、
図1に示した実施例1の構成に加えて、空気冷却装置15と、空気冷却給水ポンプ16を設けるようにしても良い。この場合においても、送出蒸気量を維持した状態で発電出力を増減させたり、必要な発電出力を維持した状態で送出蒸気量を増減させたりすることが可能な範囲を広くできる効果がある。
【0062】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。