【実施例】
【0023】
つぎに本発明の実施例によるバッテリーカバーの開閉装置を
図1ないし
図10にもとづき説明する。
図1は、上記バッテリーカバーの開閉装置を任意の機器たとえばプリンター、とくに携帯式プリンター1に装備した場合の当該携帯式プリンター1の斜視図、
図2は、携帯式プリンター1を上側から見た平面図、
図3は、その使用状態における携帯式プリンター1を側面から見た側面図である。
携帯式プリンター1は、サーマルプリンターとしてこれを構成してあり、プリンターハウジング2(機器ハウジング)と、開閉カバー3と、ラベル連続体4(印字用紙、
図3)の供給部5と、印字部6と、充電バッテリー7(バッテリー)のバッテリー収納室8と、バッテリーカバー9と、アダプター接続端子10(
図2)と、入力部11と、表示部12と、電源スイッチ13と、制御部14と、バッテリーカバー9の開閉装置15と、を有する。
【0024】
プリンターハウジング2は、作業者が携帯可能な大きさを有し、
図1中、上方にベルト掛け部16を設けて、肩掛けベルト(図示せず)により携帯式プリンター1全体を作業者の肩から吊り下げ可能としている。もちろん、作業者の腰に装着可能とする構成とすることもできる。
さらにプリンターハウジング2には、
図1中、下方隅部に位置した開閉カバー軸17のまわりに上記開閉カバー3を開閉可能に設けて、供給部5へのラベル連続体4の収納および携帯式プリンター1への装填を可能としている。
【0025】
ラベル連続体4は、帯状の台紙上に複数枚のラベル片を仮着した構成である。ラベル片は、いわゆるサーマルラベルであって、その表面に感熱発色層を塗工して、印字可能としてある。
供給部5は、ラベル連続体4をロール状に巻いてその内部に収納し、印字部6方向に帯状に繰り出し可能としている。
【0026】
印字部6は、プリンターハウジング2側に取り付けたサーマルヘッド18(印字ヘッド)と、開閉カバー3側に取り付けたプラテンローラー19と、を有する。
サーマルヘッド18およびプラテンローラー19の間にラベル連続体4を挟持して、プラテンローラー19を回転駆動するとともに、制御部14からサーマルヘッド18に供給した印字データに応じてサーマルヘッド18の発熱素子(図示せず)を発熱させ、ラベル連続体4(ラベル片)にサーマル印字を行い、発行口20から排出してラベル連続体4を取り出し可能とする。
【0027】
プリンターハウジング2には開放用押しボタン21を設けて、開放用押しボタン21をプリンターハウジング2の内方に押し込むように操作することにより、サーマルヘッド18をプラテンローラー19から離反させ、サーマルヘッド18とプラテンローラー19との間にラベル連続体4を挿通装填可能とする。
【0028】
充電バッテリー7は、プリンターハウジング2に形成しているバッテリー収納室8に収納取出し可能であって、上述の印字部6(サーマルヘッド18)はもちろん、携帯式プリンター1全体に電力を供給する。
【0029】
アダプター接続端子10は、プリンターハウジング2にこれを設け、外部電源(図示せず)に接続して充電バッテリー7に充電するためのACアダプター22を接続可能とする。
【0030】
入力部11は、携帯式プリンター1に必要なデータないしコマンドを入力可能とする。
表示部12は、入力部11により入力された情報およびその他必要な情報を表示可能とする。
【0031】
制御部14は、電子基板などにこれを設けてあり、上述の印字部6、充電バッテリー7、アダプター接続端子10、入力部11、表示部12および電源スイッチ13との間でデータおよびコマンドの授受を行うとともに、これらを適宜制御する。
【0032】
なお、携帯式プリンター1においては、落下などによる衝撃に対する耐性を確保するために、とくにプリンターハウジング2の表面側に位置している入力部11、表示部12、電源スイッチ13、バッテリーカバー9の開閉装置15、開閉カバー3などを配置している領域面をプリンターハウジング2の他の領域面(図示の例では、プリンターハウジング2の稜縁部)から凹ませるとともに、当該他の領域面にエラストマーその他の衝撃吸収性材料によるクッション材23を設けている。
また、直方体形状のプリンターハウジング2における他の稜縁部にも同様に、クッション材23を設けて携帯式プリンター1全体の耐衝撃性を確保している。
【0033】
本発明によるバッテリーカバー9の開閉装置15は、バッテリー収納室8を開閉するバッテリーカバー9と、バッテリーカバー9をそのまわりに開閉可能とするバッテリーカバー軸24と、スライドロック片25と、を有する。
【0034】
とくに
図1および
図3に示すように、バッテリーカバー軸24は、スライドロック片25とは反対側であって、この携帯式プリンター1の使用状態における下方側に水平方向にこれを設けている。すなわち、スライドロック片25がバッテリーカバー9の上方側に位置し、バッテリーカバー軸24は、下方側に位置している。
したがって、バッテリーカバー軸24のまわりに開閉するバッテリーカバー9は、携帯式プリンター1の使用状態において、鉛直面内を回動することになる。
さらに、後述するように、スライドロック片25は、携帯式プリンター1の使用状態において、鉛直面内で往復動することにより、バッテリーカバー9の開閉を行う。
【0035】
図4は、
図3のIV−IV線要部断面図、
図5は、
図3のV−V線要部断面図である。
バッテリーカバー9は、バッテリーカバー軸24に開閉可能に取り付けたカバー本体26と、カバー本体26に形成したロック片嵌合部27と、を有する。
とくに
図1、
図3および
図5に示すように、バッテリーカバー9は、プリンターハウジング2の側面から背面側にかけてこれを配置するとともに、側面から背面にかけて位置する曲面状の稜縁部には、上記クッション材23(
図5)を配置している。
【0036】
図6は、バッテリーカバー9の開閉装置15を裏面側(充電バッテリー7側)から見た斜視図、
図7は、バッテリーカバー9を裏面側(充電バッテリー7側)から見た斜視図、
図8は、バッテリーカバー9を表面側(プリンターハウジング2の外側)から見た斜視図、
図9は、スライドロック片25を表面側(プリンターハウジング2の外側)から見た斜視図、
図10は、スライドロック片25を裏面側(充電バッテリー7側)から見た裏面図である。
とくに
図5に示すように、カバー本体26は、携帯式プリンター1においては、プリンターハウジング2の裏面側(背面側)が、プリンターハウジング2の表面側(すなわち、入力部11、表示部12、電源スイッチ13などを設けている領域面側)に対して、やや幅狭に形成し、できるだけ小型軽量化を図っているため、そのバッテリーカバー軸24側からクッション材23を配置しているその端部側(背面側)にかけてその幅が漸減する構成、すなわち、概略細長三角形状の断面形状を呈している。
さらに、カバー本体26は、スライドロック片25を設けた位置からプリンターハウジング2の背面側にかけてやや弧状を呈する端部領域を有するとともに、この端部領域にクッション材23を配置し、バッテリーカバー9がカバー閉鎖位置はもちろん、カバー開放位置にある時に外部からの衝突ないし衝撃に対してバッテリーカバー9を保護可能である。
【0037】
とくに
図7および
図8に示すように、ロック片嵌合部27は、カバー本体26が充電バッテリー7に対向する裏面側にこれを形成するとともに、スライドロック片25が往復動する方向に沿ってその内部にスライド空間28を有する。
【0038】
とくに
図9および
図10に示すように、スライドロック片25は、カバー本体26に対して、カバー閉鎖位置とカバー開放位置とにそれぞれ切替え(往復動)操作可能である。
このスライドロック片25は、板状のロック片本体29と、係脱突起部30と、開閉切替え突起部31と、左右一対のストッパー突起部32と、開閉操作部33と、を有する。
【0039】
ロック片本体29は、バッテリーカバー9におけるロック片嵌合部27のスライド空間28(
図7、
図8)内において往復動可能である。
ロック片本体29の上方側端部(
図9中、左側端部)を係脱突起部30として形成してあり、プリンターハウジング2に凹状に形成した係脱孔34(
図4)にこの係脱突起部30が係脱可能である。
【0040】
開閉切替え突起部31および左右一対のストッパー突起部32は、互いに平行であって、係脱突起部30の反対側(下方側端部、
図9中、右側)に位置してロック片本体29にこれを形成している。ただし、ロック片本体29には、開閉切替え突起部31を中央に位置させるとともに、その左右に一対のストッパー突起部32を位置させている。
さらに、係脱突起部30、開閉切替え突起部31および左右一対のストッパー突起部32は、ロック片本体29と同一板状部材の面内にあって、その構成を簡易とし、かつスライドロック片25の操作にあたっての抵抗を極力低下させ、バッテリーカバー9の開閉操作を円滑化可能としている。
【0041】
開閉操作部33は、ロック片本体29から台状に突出した形状であり、上記スライド空間28からバッテリーカバー9の表面側に位置し、スライドロック片25の係脱突起部30を操作可能であって、バッテリーカバー9をそのカバー開放位置およびカバー閉鎖位置に開閉可能とすることができる。
【0042】
なお、とくに
図10に示すように、スライドロック片25の係脱突起部30の一面に、スライドロック片25の操作方向に沿って延びる左右一対のガイド突起35を形成している。また、開閉操作部33の裏面側には一対の凹部36を形成し、スライドロック片25の自体の軽量化を図っている。
【0043】
とくに
図6および
図7に示すように、上述のスライドロック片25が対向するカバー本体26の裏面側には、左右一対の閉鎖ストッパー面37と、開放ストッパー部38と、を形成している。
左右一対の閉鎖ストッパー面37は、ロック片嵌合部27の端面にこれを形成し、ストッパー突起部32が係脱する。
開放ストッパー部38は、断面半円弧状であって、スライド空間28に臨むようにこれを形成し、開閉切替え突起部31が係脱する。
より詳細には、とくに
図6に示すように、開放ストッパー部38は、その一方側(スライドロック片25の係脱突起部30から遠ざかる方向側)の断面弧状面を開放ストッパー面38Aとし、その反対に位置する他方側の断面弧状面を開閉切替え突起部31の閉鎖時定置面38Bとしている。
さらに、開閉切替え突起部31には、開放ストッパー部38に対向するその先端部において、その基部からより遠い部位に位置して閉鎖傾斜面31Aを形成するとともに、この閉鎖傾斜面31Aに隣接してその基部により近い部位に位置して開放傾斜面31Bを形成している。
スライドロック片25における開閉切替え突起部31の開放傾斜面31Bが開放ストッパー部38の開放ストッパー面38Aに係合している状態がバッテリーカバー9の開放状態であり、開閉切替え突起部31の閉鎖傾斜面31Aが開放ストッパー部38の閉鎖時定置面38Bに当接している状態がバッテリーカバー9の閉鎖状態である。
【0044】
とくに
図5に示すように、ロック片嵌合部27は、バッテリー収納室8内に設けた接続端子39および取出し用スプリング40の方向に充電バッテリー7を押し付け可能なバッテリー押付け面41を有する。
さらに、バッテリー押付け面41と同じ高さのバッテリー押付けリブ42をカバー本体26の裏面側において所定領域面積内に形成し、バッテリー押付け面41およびバッテリー押付けリブ42により充電バッテリー7の側面をバッテリー収納室8の内方に向かって押し付け可能としている。
【0045】
とくに
図6に示すように、バッテリーカバー9のロック片嵌合部27には、左右一対のガイド突起35を案内可能な左右一対のガイド溝43を形成している。
【0046】
カバー本体26には、開閉切替え突起部31が係脱する開放ストッパー部38に対向して、開閉切替え突起部31を保護する切替え突起部保護片44を形成している。
すなわち、とくに
図6に示すように、切替え突起部保護片44は、開閉切替え突起部31と開放ストッパー部38とが互いに係脱する対向面部分を囲むように鈎の手壁状にこれを形成してあり、この対向面部分に細かい異物が侵入して、開閉切替え突起部31と開放ストッパー部38との係脱動作に支障が生じることを防止している。あるいは、使用者が、開閉切替え突起部31の部分を指などで不用意に触ることにより、開閉切替え突起部31を破損してしまうことがないようにしている。
【0047】
とくに
図5および
図9に示すように、スライドロック片25において、ロック片本体29および開閉操作部33の間には、スライドロック片25のスライド方向に沿って左右一対のスライド段部45を形成するとともに、
図5および
図8に示すように、バッテリーカバー9におけるロック片嵌合部27には、このスライド段部45がそれぞれ摺接する左右一対のスライド受け段部46を形成している。
【0048】
こうした構成の携帯式プリンター1およびそのバッテリーカバー9の開閉装置15において、バッテリーカバー9の閉鎖状態(
図6)においては、スライドロック片25の係脱突起部30がプリンターハウジング2の係脱孔34に係合しており、ストッパー突起部32が閉鎖ストッパー面37に当接し、開閉切替え突起部31の閉鎖傾斜面31Aが開放ストッパー部38の閉鎖時定置面38Bに当接している。
したがって、係脱突起部30と係脱孔34との係合、ストッパー突起部32の閉鎖ストッパー面37への当接、さらに閉鎖傾斜面31Aの閉鎖時定置面38Bへの当接状態において、スライドロック片25はバッテリーカバー9の閉鎖姿勢を安定的に保持している。
【0049】
バッテリーカバー9を開放して充電バッテリー7を取り出す際には、スライドロック片25の開閉操作部33をバッテリーカバー軸24の方向に向かってスライドさせることにより、開閉切替え突起部31がわずかに弾性変形して、その閉鎖傾斜面31Aが開放ストッパー部38の閉鎖時定置面38Bを乗りこえるとともに、開放傾斜面31Bが開放ストッパー面38Aに係合し、かつ、ストッパー突起部32は閉鎖ストッパー面37から離反するため、係脱突起部30を係脱孔34から抜き出してその係合を解除することができる。
【0050】
この係脱突起部30の係脱孔34からの係合解除状態で、バッテリーカバー9をバッテリーカバー軸24まわりに回動開放させることができる。
しかも、とくに
図1および
図3さらには
図4に示すように、バッテリーカバー軸24が係脱突起部30に対し、携帯式プリンター1の使用状態において下方に位置しているので、携帯式プリンター1をわずかに傾けるだけで、使用者が無理に開放操作しなくても、バッテリーカバー9はその自重により自然落下してバッテリーカバー軸24まわりに回動してバッテリー収納室8を開放することができる(
図4の仮想線を参照)。
しかも、バッテリーカバー9は、その開放位置に停止保持されるとともに、バッテリー7自体は、取出し用スプリング40の付勢力によりバッテリー収納室8から滑り出してくることになるので、使用者は、片手で充電バッテリー7の取り出すことができるし、あるいは交換することができる。
【0051】
充電バッテリー7をバッテリー収納室8に収納したのちに、バッテリーカバー9をバッテリーカバー軸24のまわりに回動して閉鎖し、バッテリーカバー9の終端部に位置するスライドロック片25の開閉操作部33を鉛直面内において上方(プリンターハウジング2の係脱孔34方向)に押し込めば、スライドロック片25の係脱突起部30が係脱孔34に係合し、かつ、開閉切替え突起部31の開放傾斜面31Bが開放ストッパー部38の開放ストッパー面38Aを乗りこえるとともに、その閉鎖傾斜面31Aが閉鎖時定置面38Bに移動し、かつまたストッパー突起部32が閉鎖ストッパー面37に当接停止して、バッテリーカバー9をその閉鎖位置に安定して固定することができる。
【0052】
かくして、バッテリーカバー9の開閉装置15としては、係脱突起部30、開閉切替え突起部31およびストッパー突起部32を有するスライドロック片25を、バッテリーカバー9のロック片嵌合部27に対して往復動させるという簡単な構成であり、携帯式プリンター1の使用者は、片手でバッテリーカバー9の開放およびバッテリーカバー9の収納ないし取出し、さらにはバッテリーカバー9の閉鎖を簡単に行うことができ、とくに携帯式プリンター1を屋外で使用する際に操作性良好である。