(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸方向に長い円筒状のプリフォーム本体とこのプリフォーム本体の長手方向両側に形成された2つの口部とを有し、ブロー成形法によって当該プリフォーム本体が2軸延伸されて樹脂製容器に成形されるプリフォームであって、
前記プリフォーム本体の同じ内径で形成された部分の軸方向中央部分の肉厚をt1とし、当該プリフォーム本体の軸方向両端部分の肉厚をそれぞれt2、t3としたときに以下の関係式を満たし、当該中央部分から当該両端部分間の肉厚が当該各端部分に向かうに従って次第に減少し、
前記樹脂製容器に使用される樹脂はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とするプリフォーム。
1.5<t1/t2<2.5
1.2<t1/t3<3.0
前記プリフォーム本体は前記一方の口部直下に首部を有しており、前記軸方向中央部分の肉厚t1と、前記首部側の軸方向一端部分の肉厚t2とが、更に以下の関係式を満たしていることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
1.5<t1/t2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、輸液容器では、容器胴部を出来るだけ均等に変形させて輸液を良好に排出させる必要があり、より均一な肉厚で形成された容器が求められる。特許文献1のプリフォームでは、ブロー成形時、口部を除くプリフォーム本体は長手方向及び短手方向に向けて2軸延伸されるが、成形条件によっては長手方向に沿った部位の違いによって延伸度合いが変わってしまう。長手方向で延伸度合いが異なると、容器胴部の部位によって肉厚が変わってしまい、高い要求性能を満足させることができないといった問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、極めて均一な肉厚の胴部を有する樹脂製容器を得ることができるプリフォーム及び、これにより成形され
る樹脂製容器
の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明のプリフォームは、2つの口部と軸方向に長い円筒状のプリフォーム本体とを有し、ブロー成形法によって当該プリフォーム本体が2軸延伸されて樹脂製容器に成形されるプリフォームであって、前記プリフォーム本体の同じ内径で形成された部分の軸方向中央部分の肉厚をt1とし、当該プリフォーム本体の軸方向両端部分の肉厚をそれぞれt2、t3としたときに以下の関係式を満たし、当該中央部分から当該両端部分間の肉厚が当該各端部分に向かうに従って次第に減少し、前記樹脂製容器に使用される樹脂はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする。
1.5<t1/t2<2.5
1.2<t1/t3<3.0
【0008】
上記本発明のとおり、プリフォーム本体の軸方向略中央部分の肉厚をt1とし、プリフォーム本体の軸方向両端部分の肉厚をそれぞれt2、t3としたときに上記の関係式を満たし、当該中央部分から当該両端部分間の肉厚が当該各端部分に向かうに従って次第に減少していることにより、プリフォーム本体が2軸延伸される際、長手方向に沿った部位の違いによる延伸度合いの変化を防ぐことができる。そのため、極めて均一な肉厚の樹脂製容器を得ることができる。
【0009】
前記プリフォーム本体は、前記一方の口部直下に首部を有しており、前記軸方向中央部分の肉厚t1と、前記首部側の軸方向一端部分の肉厚t2とが更に以下の関係式を満たすものとすれば、樹脂製容器の首部に繋がる肩部の肉厚を、薄くかつ均一なものとすることができる。
1.5<t1/t2
【0010】
前記プリフォーム本体の軸方向両端部分の一方又は双方から前記中央部分間の外面を、内方へ向けて湾曲させれば、肩部や胴部の重量を軽減することができ、かつ肩部や胴部の肉厚をより均一にすることができる。
【0011】
プリフォームをブロー成形法によって2軸延伸して
樹脂製容器を成形する樹脂製容器の成形方法であって、前記プリフォームが上記の各プリフォームとされ、前記プリフォーム本体の縦延伸倍率が1.7〜2.1であり、長辺側横延伸倍率が3.3〜3.9であり、短辺側横延伸倍率が2.1〜2.8であることが好ましい。この場合、樹脂の分子配向が適切に調節され、高強度の樹脂製容器を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り本発明によれば、プリフォーム本体が2軸延伸される際、長手方向に沿った部位の違いによる延伸度合いの変化を防ぐことができるため、極めて均一な肉厚の樹脂製容器を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るプリフォーム1の断面図である。以下の説明において、
図1の上下に対応する側を単に上下とする。
図1に示すプリフォーム1は、図示しない射出成形機によって成形されたポリプロピレン製のものであり、ブロー成形法によって2軸延伸されて輸液容器(樹脂製容器)に成形される。このプリフォーム1は、軸方向に長い円筒状のプリフォーム本体2と、このプリフォーム本体2の上側に形成された円筒状の第1の口部3と、プリフォーム本体2の下側に形成された円筒状の第2の口部4とを有し、プリフォーム本体2における第1の口部3の直下に首部5が形成されている。
【0015】
第1の口部3はプリフォーム本体2と同じ内径を有しており、当該第1の口部3には、プリフォーム1の上端に位置する上鍔部6と、この上鍔部6の下側に所定間隔を空けて位置する中鍔部7が形成されている。第2の口部4は、プリフォーム本体2から縮径されるようにして形成されている。第2の口部4には、下端に位置する下鍔部8と、当該第2の口部4を閉塞する薄膜部9が形成されている。なお、第2の口部にこのような薄膜部を設けずに、第2の口部が貫通しているものであってもよい。
【0016】
プリフォーム本体2は、軸方向上端部分10(以下、上端部分という)から軸方向中央部分11(以下、中央部分という)を経て軸方向下端部分12(以下、下端部分という)へ同じ内径で長く形成されており、その肉厚が中央部分11から上端部分10に向かうに従って次第に減少していると共に、中央部分11から下端部分12に向かうに従って次第に減少している。
【0017】
本実施形態のプリフォーム本体2の軸方向寸法h1は44mmであり、首部5の軸方向寸法h2は8mmである。プリフォーム本体2の軸方向中央から首部5の下端までの軸方向寸法h3は21mmであり、プリフォーム本体2の軸方向中央から下端までの軸方向寸法h4は15mmである。プリフォーム本体2の中央部分11の厚み中央径(直径)n1は18.7mmであり、当該中央部分11の肉厚t1は3.4mmである。首部5の下端ともなるプリフォーム本体2の上端部分10の肉厚t2は1.74mmであり、プリフォーム本体2の下端部分12の肉厚t3は1.49mmである。プリフォーム本体2の首部5を除く周面2aは、中央部分11から上端部分10へかけて外側へ膨らむように湾曲し、かつ中央部分11から下端部分12へかけて外側へ膨らむように湾曲している。なお、以上の各部位の寸法は適宜変更することができる。
【0018】
プリフォーム本体2の中央部分11の肉厚t1と、プリフォーム本体2の上端部分10の肉厚t2と、プリフォーム本体2の下端部分12の肉厚t3とが以下の関係式を満たしている。
1.5<t1/t2<2.5
1.2<t1/t3<3.0
【0019】
プリフォーム本体2の中央部分11の肉厚t1と、プリフォーム本体2の両端部分10、12のそれぞれの肉厚t2、t3が上記の関係式を満たし、かつ中央部分11から両端部分10、12間の肉厚が、当該各端部分10、12に向かうに従って次第に減少していることにより、プリフォーム本体2が2軸延伸される際、長手方向に沿った部位の違いによる延伸度合いの変化を防ぐことができる。
【0020】
図2(a)はプリフォーム1を用いて輸液容器を成形するための成形機15の概略横断面図であり、(b)はその概略縦断面図である。
図2に示す成形機15は、ブロー成形法を実施するための機器構成を備えており、ブロー成形金型16と、このブロー成形金型16の上方に位置されるストレッチロッド装置17と、ブローエアー50を供給するためのブローエアー装置18と、これらストレッチロッド装置17及びブローエアー装置18を制御する制御部19とで主に構成されている。
【0021】
ブロー成形金型16は、2つ割の胴型20、及び底型21で構成されている。胴型20にはプリフォーム1の第1の口部3が挿嵌される第1挿嵌部22と、本体部23とが構成されており、横長で上下方向に伸びた筒状のキャビティ24が形成されている。底型21は、プリフォーム1から成形された成形体の第2の口部4が挿嵌され、かつ当該第2の口部4の近傍を成形する型であり、基型25とこの基型上側の受け型26で構成されている。底型21の中央には、第2の口部4を挿嵌する第2挿嵌部27が形成されており、受け型26には、第2の口部4の根元部分が型取られる環状の口型28が形成されている。
【0022】
底型21の内部には、冷却水を流すための水路29が形成されている。この水路29は、第2挿嵌部27の周りを周回する環状路30と、第2挿嵌部27の先端底に近づけられた凸状路31とからなる。これら環状路30と凸状路31に冷却水が流されることによって、底型21が冷やされ、第2挿嵌部27や口型28が胴型20より低い温度に保たれるようになっている。
【0023】
ポリプロピレン製の輸液ボトルを成形する場合には、口型28の温度を10℃〜20℃とすることが好ましい。この場合の冷却水の水温は、底型21の大きさや形状にもよるが、例えば15℃前後に調節される。それと共に、成形体の胴部が型取られる胴型20の温度は、成形体の適切な冷却速度を保つために80℃〜130℃に調節される。
【0024】
このように、本実施形態のブロー成形金型16においては、口型28の温度が10℃〜20℃に調節され、それと共に胴型20の温度が80℃〜130℃に調節されて、口型28が胴型20よりも低い温度に保たれるようになっている。即ち、口型28に型取られる成形体の第2の口部4の根元部分が、成形体の胴部よりも低い温度で冷却されるようになっている。
【0025】
第2の口部4が挿嵌される第2挿嵌部27の内径r1は、当該第2の口部4の最大外径r2に対して寸法差で0.5mm〜3.0mmの範囲となっていればよい。第2挿嵌部27の内径r1を、第2の口部4の最大外径r2に対してこのような寸法差を有するものとすれば、第2の口部4が第2挿嵌部27へ挿嵌され始め、下方へ進行していく際に、軸芯からずれようとする動きを当該第2挿嵌部27で規制して、上記寸法差の範囲内に収めることができる。第2の口部4の軸芯からずれようとする動きを規制できれば、当該第2の口部4が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
【0026】
ストレッチロッド装置17は、円柱状のストレッチロッド32と、このストレッチロッド32を上下駆動可能に支持するブローノズル33と、ストレッチロッド32を上下駆動させる駆動部34とを備えている。ストレッチロッド装置17は、図示しない固定部材でストレッチロッド32の軸芯をブロー成形金型16のキャビティ24の軸芯と一致させるようにして固定されている。上下方向に制御駆動させられるストレッチロッド32は、所定速度で所定量だけブローノズル33から下方へ突出されて、ブロー成形金型16のキャビティ24へ進入するようになっている。
【0027】
ストレッチロッド32の直径r3は、第2の口部4の内径r4よりも大きくなっている。これにより、ストレッチロッド32が下方へ向けて駆動され、その先端がプリフォーム本体2へ当接すると、第2の口部4がストレッチロッド32によって内側から閉塞される。第2の口部4がストレッチロッド32によって閉塞されると、当該第2の口部4は内側からエアシールされる。
【0028】
成形機15を用いて輸液容器を成形する方法を説明する。
図3はプリフォーム1をブロー成形金型16へ装填した状態の図であり、
図4はプリフォーム1の延伸が進行した状態の図である。本実施形態の成形方法は、プリフォーム1をブロー成形金型16に装填する装填工程と、このプリフォーム1を2軸延伸する延伸工程と、ブロー成形金型16内で成形体を冷却する保持工程とを含んでいる。
【0029】
まず、装填工程において、
図3のようにブロー成形金型16に、プリフォーム1に進入させるストレッチロッド32の進行方向前方に第2の口部4が位置するように、当該プリフォーム1を装填する。その際、プリフォーム1の第1の口部3の中鍔部7を、第1挿嵌部22の上側に引っ掛けて、当該プリフォーム1の軸芯とキャビティ24の軸芯とが一致するように固定する。
【0030】
ストレッチロッド32を駆動させ、第1の口部3を通じてプリフォーム1の内部へ進入させる。ストレッチロッド32を、その先端がプリフォーム本体2へ当接するまで下げていく。そして、第2の口部4を閉塞するようにして内側からエアシールする。続いて、ブローエアー50を吹き込むと共に、ストレッチロッド32を下方へさらに駆動させ、ストレッチロッド32での縦延伸とブローエアー50での横延伸とで、プリフォーム本体2を2軸延伸する。
【0031】
その際、これらの動作で第2の口部4のエアシール状態が保てるように、ストレッチロッド装置17の駆動部34及びブローエアー装置18を、制御部19で制御する。制御部19は、エアシール状態を保てるようにするために、ストレッチロッド32による縦延伸をブローエアー50による横延伸に通常よりも先行させるように、ストレッチロッド32の下方への駆動とブローエアー50の吹き込み圧を制御する。ストレッチロッド32による縦延伸がブローエアー50による横延伸よりも先行することで、ストレッチロッド32の先端が常にプリフォーム本体2へ当接した状態となり、エアシール状態を保てるようになる。
【0032】
本実施形態では、ブロー成形金型16の加熱によって、プリフォーム温度が123℃となるようにし、ストレッチロッド32のストレッチスピードを1m/sとした。ブローエアー装置18によるプリブロー圧を、このストレッチスピードでエアシール状態を保てるように制御部19により逐次制御した。ストレッチロッド32による縦延伸を、ブローエアー50による横延伸に先行させながら、これらによる2軸延伸を、
図4のように第2の口部4が底型21の第2挿嵌部27へ挿嵌されるまで進行させる。
【0033】
プリフォーム1の第1の口部3と第2の口部4の形状はほぼ不変であり、プリフォーム本体2のみが2軸延伸されて序々に薄くなっていく。プリフォーム本体2がキャビティ24の形状まで2軸延伸され、成形体35となる。この成形体35では、第2の口部4は、底型21の第2挿嵌部27に挿嵌された状態となる。その際、成形体35の第2の口部4の根元部分35aは、受け型26の口型28で型取られる。
【0034】
保持工程では、2軸延伸された成形体35をブロー成形金型16に接触させた状態で、所定時間保持して冷却する。上述のとおり口型28の温度は水路29によって10℃〜20℃に調節されると共に、胴型20の温度は80℃〜130℃に調節されており、当該口型28の温度がより低く保たれている。これにより、口型28に接触している第2の口部4の根元部分35aが、周方向に沿って均等に、成形体35の胴部35bよりも早く冷却される。成形体35の第2の口部4の根元部分35aが胴部35bよりも早く硬化するため、第2の口部4が偏芯状態となるのを防ぐことができる。
【0035】
それに加え、第2の口部4が挿嵌される第2挿嵌部27の内径r1は、当該第2の口部4の最大外径r2に対して寸法差で0.5mm〜3.0mmとなっているため、第2の口部4の軸芯からずれようとする動きが、第2挿嵌部27で規制される。第2の口部4の根元部分35aがより低い温度で冷却されることと、第2の口部4の軸芯からずれようとする動きが規制されることによって、第2の口部4の偏芯防止効果が高められている。
【0036】
図5(a)は成形された輸液容器40の正面図であり、(b)はその平面図である。この輸液容器40は、プリフォーム本体2を2軸延伸させた容器本体41、及びこの容器本体41に形成された互いに対向する第1、第2の口部3、4を備えている。第1、第2の口部3、4の寸法はプリフォーム1のものと変わらず、胴径(長辺)d1は68mmであり、胴径(短辺)d2は42mmであり、首部5の下端から第2の口部4の根元までの寸法h5は100mmである。従って、軸方向の延伸倍率である縦延伸倍率は、100/51=1.96であり、軸方向と直交方向かつ長辺側の延伸倍率である長辺側横延伸倍率は、68/19.1=3.56であり、軸方向と直交方向かつ短辺側の延伸倍率である短辺側横延伸倍率は、42/19.1=2.20となる。
【0037】
プリフォーム本体2の縦延伸倍率が1.7〜2.1であり、かつ長辺側横延伸倍率が3.3〜3.9であり、短辺側横延伸倍率が2.1〜2.8とされていることが好ましい。縦延伸倍率と横延伸倍率をかかる範囲とすれば、プリフォーム本体2を2軸延伸する際の分子配向が適切に調節されることになり、成形体35である輸液容器40の高い機械的強度を得ることができる。
【0038】
本実施形態のプリフォーム1によれば、プリフォーム本体2の中央部分11の肉厚t1と、プリフォーム本体2の両端部分10、12の肉厚t2、t3とが所定の関係式を満たし、当該中央部分11から当該両端部分10、12間の肉厚が当該各端部分10、12に向かうに従って次第に減少していることにより、プリフォーム本体2が2軸延伸される際、長手方向に沿った部位の違いによる延伸度合いの変化を防ぐことができる。そのため、極めて均一な肉厚の容器本体41を有する輸液容器40を得ることができる。
【0039】
本実施形態の輸液容器40は、ストレッチロッド32による縦延伸をブローエアー50による横延伸に通常よりも先行させて成形された2軸延伸状態の容器本体41を有しており、当該縦延伸と横延伸の比率をより安定させた状態で成形された当該容器本体41が得られているため、輸液容器40としての要求特性を確実に満たし、高い品質を維持することができる。
【0040】
図6は本発明の第2実施形態に係るプリフォーム43の断面図である。本実施形態が上記実施形態と異なる主な点は、プリフォーム本体44の上端部分45の肉厚がより薄くなっている点である。プリフォーム本体44は、上端部分45から中央部分46を経て下端部分47へ同じ内径で長く形成されており、中央部分46から両端部分45、47間の肉厚が当該中央部分46から当該上端部分45に向かうに従って次第に減少していると共に、当該中央部分46から当該下端部分47に向かうに従って次第に減少している。
【0041】
プリフォーム本体44の軸方向寸法、プリフォーム本体44の軸方向中央から上端までの軸方向寸法、軸方向中央から下端までの軸方向寸法、プリフォーム本体44の中央部分46の厚み中央径、下端部分47の肉厚t3は上記実施形態と同じである。プリフォーム本体44の周面44aは、中央部分46から上端部分45へかけて外側へ膨らむように湾曲し、かつ中央部分46から下端部分47へかけて外側へ膨らむように湾曲している。本実施形態のプリフォーム本体44の中央部分46の肉厚t1は3.68mmであり、上端部分45の肉厚t2は1.41mmである。
【0042】
プリフォーム本体44の中央部分46の肉厚t1と、上端部分45の肉厚t2と、下端部分47の肉厚t3とが、第1実施形態と同様に、1.5<t1/t2<2.5、1.2<t1/t3<3.0の関係式を満たしている。中央部分46の肉厚t1と、両端部分45、47のそれぞれ肉厚t2、t3が上記の関係式を満たし、かつ中央部分46から両端部分45、47間の肉厚が各端部分45、47に向かうに従って次第に減少していることにより、プリフォーム本体44が2軸延伸される際、長手方向に沿った部位の違いによる延伸度合いの変化を防ぐことができる。
【0043】
本実施形態の首部48は、首部上部48aとこれよりも肉厚の小さい首部下部48bとで段差形状となっている。首部上部48aの軸方向寸法h6は5mmであり、肉厚t4は2.23mm であり、首部下部48bの軸方向寸法h7は6.0mmであり、肉厚t5は1.41mmである。このように本実施形態では、首部48を段差形状とし、肉厚の小さい首部下部48bにプリフォーム本体44が繋がっている。首部下部48bに繋がるプリフォーム本体44の上端部分45の肉厚t2は、首部下部48bの肉厚t5と同じである。そして、首部下部48bに繋がるプリフォーム本体44の上端部分45の肉厚t2と、中央部分46の肉厚t1とが、上記関係式に加え更に1.5<t1/t2の関係式を満たしている。以上の構成により、成形体における首部48に繋がる肩部の肉厚を薄くかつ均一なものとすることができる。
【0044】
図7は本発明の第3実施形態に係るプリフォーム53の断面図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、プリフォーム本体54の上端部分55から中央部分56間の外面54aが、内方へ向けて湾曲している点である。この点以外の構成は、第1実施形態と略同様であり、プリフォーム本体54の下端部分57から中央部分56間の外面54bは、第1実施形態と同様に外方へ向けて湾曲している。上端部分55から中央部分56間の外面54aを、内方へ向けて湾曲させることで、樹脂製容器の肩部や胴部の重量を軽減することができ、かつ肩部や胴部の肉厚をより均一にすることができる。なお、プリフォーム本体の上端部分から中央部分間の外面だけでなく、プリフォーム本体の下端部分から中央部分間の外面も、内方へ向けて湾曲させてもよい。
【0045】
図8は本発明の第4実施形態に係るプリフォーム60の断面図である。本実施形態が第1実施形態と異なる主な点は、プリフォーム本体61の軸方向寸法が短くなっている点である。本実施形態のプリフォーム本体61の軸方向寸法h8は44mmである。プリフォーム本体61の中央部分62の厚み中央径n2(中央部分の直径)は19.4mm、中央部分62の肉厚t1は3.38mmであり、上端部分63の肉厚t2は1.83mmであり、下端部分64の肉厚t3は1.74mmである。プリフォーム本体61の周面61aは、第1実施形態と同様に、中央部分62から上端部分63へかけて外側へ膨らむように湾曲し、かつ中央部分62から下端部分64へかけて外側へ膨らむように湾曲している。
【0046】
また、プリフォーム本体2の中央部分62の肉厚t1と、上端部分63の肉厚t2と、下端部分64の肉厚t3とが第1実施形態と同様に、1.5<t1/t2<2.5、1.2<t1/t3<3.0の関係式を満たしている。
【0047】
各実施形態のプリフォームは、本発明を例示したものであり制限的なものではない。本発明の樹脂製容器は、輸液容器に限られず、飲料用、薬品用、工業用等の他の用途に用いる容器であってもよい。輸液容器の場合、互いに対向する2つの口部を有するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、実施形態の輸液容器では、第2の口部を閉塞する底部が設けられているが、底部を設けずに第2の口部が貫通しているものであってもよい。樹脂製容器に使用される樹脂は適宜変更されるものであり、ポリプロピレンの他、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の可撓性を有する公知のものを用いることができる。