特許第6137925号(P6137925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137925
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】継手、特に急速継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 39/00 20060101AFI20170522BHJP
   F16L 53/00 20060101ALI20170522BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20170522BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F16L39/00
   F16L53/00 C
   F01N3/08 B
   B01D53/38 100
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-87344(P2013-87344)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-224738(P2013-224738A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】12164969.3
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504117534
【氏名又は名称】テーイー・アウトモティーフェ(ハイデルベルク)ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イーリス・バーテル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・イェンゼン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル・ボル
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0241333(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03815608(DE,A1)
【文献】 特開2007−211979(JP,A)
【文献】 特開2009−068348(JP,A)
【文献】 特開昭62−113984(JP,A)
【文献】 特表2010−503817(JP,A)
【文献】 特開平04−115520(JP,A)
【文献】 特開2007−285693(JP,A)
【文献】 実開昭58−132280(JP,U)
【文献】 米国特許第4315408(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0056332(US,A1)
【文献】 米国特許第5611373(US,A)
【文献】 実開昭58−1886(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L39/00
F16L53/00
F16L 9/00−11/26
F01N 3/08
F01N 3/10
B01D53/38
B01D53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節すべき流動性媒体、特に温度調節すべき尿素溶液を案内する少なくとも1本の導管(2)を連結するための継手(1)、特に急速継手において、
前記継手(1)の少なくとも一端に配置された少なくとも1個の差込み要素(4)および/またはスリーブ要素が設けられ、前記継手(1)が温度調節すべき媒体または流動性の温度調節媒体のための内管(3)を備え、前記内管(3)がその長さの少なくとも一部にわたって外管(7)によって取り囲まれているかまたは完全に取り囲まれ、前記内管(3)が前記外管に対して平行にまたはほぼ平行に延在し、前記内管(3)と前記外管(7)との間に、温度調節媒体または温度調節すべき媒体のための少なくとも1つの案内通路(11)が配置され、前記外管(7)の内壁が多数のウェブ(10)を介して前記内管(3)の外壁に連結され、
少なくとも1本の外側の管(8)が設けられ、前記外側の管(8)の内壁が多数の外側ウェブ(12)を介して前記外管(7)の外壁に連結され、
そして、前記ウェブ(10)および/または前記外側ウェブ(12)が台形の横断面を有することを特徴とする継手(1)。
【請求項2】
記ウェブ(10)が好ましくは前記内管(3)の縦中心軸線Mに対して平行に延在していることを特徴とする請求項1に記載の継手。
【請求項3】
記内管(3)と前記外管(7)からなる集合体が前記外側の管(8)内に配置されているかまたは前記外側の管(8)によって取り囲まれ、特に集合体の全周にわたって取り囲まれ、前記外側の管(8)が前記内管(3)の縦中心軸線Mに対して平行にまたほぼ平行に延在し、前記外管(7)と前記外側の管(8)との間に少なくとも1つの外側案内通路(13)が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の継手。
【請求項4】
記外側ウェブ(12)が好ましくは前記内管(3)の縦中心軸線Mに対して平行に延在していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の継手。
【請求項5】
前記内管(3)および/または前記外管(7)および/または前記外側の管(8)の壁厚が0.6〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mm、さらに好ましくは0.9〜2.2mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項6】
前記内管(3)および/または前記外管(7)および/または前記外側の管(8)が円筒形にまたはほぼ円筒形に形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項7】
前記内管(3)が前記外管(7)内に同心的に配置され、および/または前記外管(7)または前記内管(3)と前記外管(7)の集合体が前記外側の管(8)内に同心的に配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項8】
前記内管(3)と前記外管(7)との間の案内通路(11)の半径方向の幅rおよび/または前記外管(7)と前記外側の管(8)との間の外側案内通路(13)の半径方向の幅rに対する、前記内管(3)の内径dの比が、3〜15、好ましくは4〜14、さらに好ましくは4〜12であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項9】
前記内管(3)の内径dが1〜10mm、好ましくは1.5〜8mm、さらに好ましくは2〜6mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項10】
前記案内通路(11)の半径方向の幅rおよび/または前記外側案内通路(13)の半径方向の幅rが0.5〜3.5mm、好ましくは0.6〜2.0mm、さらに好ましくは0.8〜1.5mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の継手。
【請求項11】
前記継手(1)が自動車の部品であり、温度調節媒体が好ましくは温められた冷却液または温められた冷却水および/または燃料または戻された燃料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の継手。
【請求項12】
前記温度調節媒体が先ず最初に前記内管(3)と前記外管(7)との間の少なくとも1つの前記案内通路(11)を通って前記継手または継手部分に沿って第1方向に流れ、前記温度調節媒体を、前記外管(7)と前記外側の管(8)との間の少なくとも1つの外側案内通路(13)内に方向変換させるための方向変換領域が設けられ、前記温度調節媒体が少なくとも1つの外側案内通路(13)を通って、前記継手(1)または継手部分に沿って、前記第1方向とは反対の第2方向に流れることを特徴とする請求項3〜11のいずれか一項に記載の継手。
【請求項13】
前記継手(1)が前記流動性温度調節媒体を供給するための少なくとも1本の接続管(5)および/または前記流動性温度調節媒体を排出するための少なくとも1本の接続管(6)を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の継手。
【請求項14】
前記継手または前記外側の管、外管、内管、外側ウェブおよびウェブからなる集合体が、射出成形によって製作されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節すべき流動性媒体、特に温度調節すべき尿素溶液を案内する少なくとも1本の導管を連結するための継手、特に急速継手に関する。この継手によって、導管を他の導管に、あるいは他の部品、例えば流動性媒体用タンク等に接続することができる。本発明に係る継手または急速継手は、きわめて有利な実施形では、他の部品または導管に取り外し可能に連結するために設計されている。用語「温度調節すべき流動性媒体」は特に温度調節すべき液状媒体を意味する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた種類の継手または急速継手はいろいろな実施形が実際に知られている。SCRシステムの分野において温度調節すべき尿素溶液をこのような継手または急速継手を通して案内することが既に知られている。自動車、特にディーゼルエンジンを備えた自動車では一般的に、排ガスを処理するためにSCR触媒を備えたSCRシステムが設けられている(SCR:Selective Catalytic Reduction 選択触媒還元)。自動車の排ガスに含まれる窒素酸化物を効果的に低減するために、SCR触媒の手前で排ガスに尿素溶液が配量供給される。このような尿素溶液または尿素水溶液は、−11°C以下の温度で尿素が凍り、部分的に晶出するという欠点がある。それによって、尿素溶液のそれ以降の確実な供給が妨げられるかまたは完全に阻止され、排ガス中の窒素酸化物の効果的な低減が損なわれるかまたは阻止される。このような不具合を回避するために、尿素溶液用の供給管または導管が加熱される。さらに、このような導管に接続された継手または急速継手を加熱することが知られている。その際、加熱は電気的な加熱として行われ、そのために1本または複数本の抵抗線が継手または急速継手内に配置される。さらに、温められた液状媒体によって、流体を案内するシステムの加熱を行うことが知られている。大抵の公知手段は、実現するのに多くの手間やコストがかかり、および/または温度調節すべき流動性媒体または温度調節すべき尿素溶液の十分に効果的な温度調節または加熱が保証されないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案登録出願第202007015036U1号明細書
【特許文献2】独国特許出願第3815608A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の根底をなす技術的問題は、簡単かつ少ないコストで製作可能であり同時に、流動性媒体または尿素溶液のきわめて効果的な温度調節を可能にする、冒頭に述べた種類の継手および特に急速継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的問題を解決するために、本発明は、温度調節すべき流動性媒体、特に温度調節すべき尿素溶液を案内する少なくとも1本の導管を連結するための継手、特に急速継手であって、この継手の少なくとも一端または端面側端部に配置された少なくとも1個の差込み要素および/またはスリーブ要素が設けられ、継手が温度調節すべき媒体または流動性の温度調節媒体のための内管を備え、内管がその長さの少なくとも一部にわたって外管によって取り囲まれているかまたは完全に取り囲まれ、内管が外管に対して平行にまたはほぼ平行に延在し、内管と外管との間に、温度調節媒体または温度調節すべき媒体のための少なくとも1つの案内通路が配置されている、継手、特に急速継手を教示する。
【0006】
本発明の実施形では、本発明に係る継手または急速継手が導管または他の導管に連結され、合目的には2本の導管または少なくとも2本の導管を連結する働きをする。本発明に係る継手または急速継手が他の継手に連結されることは本発明の範囲に含まれる。本発明に係る継手の差込み要素を他の継手のスリーブ要素に差込むことができるし、その逆も可能である。本発明に係る継手は導管を他の部品、例えばタンクまたは噴射ノズル等に接続するために使用することが可能である。ここでおよび次に継手について述べる場合、好ましくは、特に他の部品に取り外し可能に連結するために使用可能な急速継手を指す。
【0007】
温度調節すべき流動性媒体は好ましくは、温度調節すべき液状媒体であり、しかも特に温めるべき液状媒体である。温度調節すべき流動性媒体が尿素溶液または尿素水溶液であることは、本発明の範囲に含まれる。温度調節すべきまたは温めるべき尿素溶液を通過案内するための本発明に係る継手が自動車のSCRシステムの構成部材であると合目的である。
【0008】
流動性の温度調節媒体は、温度調節すべき流動性媒体を温度調節する働きまたは温める働きをする。流動性の温度調節媒体が温められる液状の温度調節媒体であることは本発明の範囲に含まれる。本発明の推奨される実施形は、温度調節すべき流動性媒体が内管内に収容されているかまたはこの内管内を流れ、流動性の温度調節媒体が内管と外管との間の少なくとも1つの案内通路内に収容されているかまたはこの案内通路内を流れることを特徴とする。
【0009】
本発明の有利な実施形は、外管の内壁が多数のウェブを介して内管の外壁に連結されていることと、ウェブが好ましくは内管の縦中心軸線Mに対して平行に延在していることを特徴とする。ウェブが外管の内壁と内管の外壁に一体に形成されていることは本発明の範囲に含まれる。ウェブが内管と外管の集合体の全長にわたって延在し、しかも好ましくは内管と外管の集合体の全長にわたって中断しないでまたは隙間なしに延在していることが推奨される。内管と外管との間の空間がこのウェブによって多数の案内通路に分割されていると有利である。ウェブが内管の外周にわたってまたは外管の外周にわたって均一に分配されて配置されていると合目的である。ウェブが導管に沿って互いに平行に延在していることは本発明の範囲に含まれる。内管と外管とウェブによって画成される案内通路の横断面は好ましくは同じ大きさであるかまたはほぼ同じ大きさである。すべての案内通路が同じ断面形状またはほぼ同じ断面形状を有することが推奨される。外管の内壁が少なくとも2個のウェブを介して、好ましくは少なくとも3個のウェブを介して内管の外壁に連結されていると合目的である。ウェブは好ましくは熱可塑性合成樹脂からなっているかまたは実質的に熱可塑性合成樹脂からなっている。内管と外管とウェブの集合体が射出成形によって製作されることあるいは射出成形品として製作されることは本発明の範囲に含まれる。
【0010】
本発明に係る継手の推奨される実施形は、外側の管が設けられていることと、内管と外管からなる集合体が外側の管内に配置されているかまたは外側の管によって取り囲まれ、特に集合体の全周にわたって取り囲まれていることと、外側の管が内管の縦中心軸線Mに対して平行にまたはほぼ平行に延在していることを特徴とする。外管と外側の管との間に少なくとも1つの外側案内通路が配置され、好ましくは流動性の温度調節媒体がこの外側案内通路を通って流れることは、本発明の範囲に含まれる。外側の管、外管および内管からなる集合体全体が場合によってはウェブと共に射出成形によって製作されるかまたは射出成形品として製作されることが推奨される。さらに、この集合体全体が熱可塑性合成樹脂からなっているかまたは実質的に熱可塑性合成樹脂からなっていることは、本発明の範囲に含まれる。
【0011】
本発明の有利な実施形は、温度調節すべき流動性媒体が内管内に収容されているかまたはこの内管内を流れることと、流動性の温度調節媒体が内管と外管との間の少なくとも1つの案内通路内に収容されているかまたはこの案内通路内を流れることと、同様に流動性の温度調節媒体が外管と外側の管との間の少なくとも1つの外側案内通路内に収容されているかまたはこの外側案内通路内を流れることを特徴とする。本発明の他の実施形は、流動性の温度調節媒体が内管内に収容されているかまたはこの内管内を流れることと、温度調節すべき流動性媒体が内管と外管との間の少なくとも1つの案内通路内に収容されているかまたはこの案内通路内を流れることと、流動性の温度調節媒体が外管と外側の管との間の少なくとも1つの外側案内通路内に収容されているかまたはこの外側案内通路内を流れることを特徴とする。
【0012】
本発明の推奨される実施形では、外側の管の内壁が多数の外側ウェブを介して外管の外壁に連結されている。外側ウェブは好ましくは内管の縦中心軸線Mに対して平行に延在している。外側ウェブが継手の縦方向に延在していることは本発明の範囲に含まれる。さらに、外側ウェブが外側の管の内壁および外管の外壁に一体に成形されていることは本発明の範囲に含まれる。外側ウェブが外側の管の全長にわたってまたは外管の全長にわたって中断しないでまたは隙間なしに延在していると合目的である。外側ウェブが外管と外側の管との間の空間を多数の外側案内通路に分割し、好ましくは流動性の温度調節媒体が外側案内通路を通って流れることは本発明の範囲に含まれる。外側ウェブが外側の管の外周にわたってまたは外管の外周にわたって均一に分配配置されていることが推奨される。外側ウェブによって分離された外側案内通路が同じ大きさの横断面またはほぼ同じ大きさの横断面と、好ましくは同じ横断面形状を有すると有利である。外側の管の内壁が少なくとも2個の外側ウェブ、好ましくは少なくとも3個の外側ウェブ、さらに好ましくは少なくとも4個の外側ウェブを介して、外管の外壁に連結されていると合目的である。外側ウェブが熱可塑性合成樹脂からなっているかまたは実質的に熱可塑性合成樹脂からなっていることは本発明の範囲に含まれる。外側の管、外管、内管および外側ウェブの集合体全体は、場合によってはウェブと共に、好ましくは射出成形によって製作されているかまたは射出成形品として製作されている。
【0013】
本発明の有利な発展形態では、ウェブおよび/または外側ウェブが台形の横断面を有する。その際、台形が継手の中心の方へ先細になっていることが推奨される。継手の中心はここでは特に、内管の縦中心軸線Mである。本発明の有利な実施形では、ウェブが外管の周方向において外側ウェブに対してずらして配置されている。ウェブが外管の周方向において2つの外側ウェブの間の中央にまたはほぼ中央に配置されていると合目的である。
【0014】
本発明の推奨される実施形によれば、内管の壁厚および/または外管の壁厚および/または外側の管の壁厚が0.6〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mm、さらに好ましくは0.9〜2.2mmであり、そして1〜2mmであると特に有利である。内管および/または外管および/または外側の管が円筒形にまたはほぼ円筒形に形成されていることは本発明の範囲内である。さらに、内管が外管内に同心的に配置されていることおよび/または外管あるいは内管と外管の集合体が外側の管内に同心的に配置されていることは本発明の範囲内である。内管と外管の同軸配置および/または外管と外側の管の同軸配置は本発明の範囲内であることがわかった。
【0015】
本発明の推奨される実施形では、内管と外管との間の案内通路の半径方向の幅rおよび/または外管と外側の管との間の外側案内通路の半径方向の幅rに対する、内管の内径dの比が、3〜15、好ましくは4〜14、さらに好ましくは4〜12である。内管の内径dが1〜10mm、好ましくは1.5〜8mm、さらに好ましくは2〜6mmであると有利であることがわかった。案内通路の半径方向の幅rおよび/または外側案内通路の半径方向の幅rが0.5〜3.5mm、好ましくは0.6〜2.0mm、さらに好ましくは0.8〜1.5mmであり、そして0.8〜1.2mmであると特に有利である。
【0016】
本発明による継手が自動車の部品であることと、温度調節媒体が好ましくは温められた冷却液または温められた冷却水および/または燃料または戻された燃料であることは本発明の範囲内である。実施形によれば、自動車の冷却水回路から分岐しかつ温められた冷却水が温度調節媒体として使用される。他の変形実施形では、自動車のエンジンから燃料タンクに戻された燃料が温度調節媒体として使用される。
【0017】
本発明の有利な実施形は、温度調節媒体が先ず最初に内管と外管との間の少なくとも1つの案内通路を通って継手の第1方向に流れることと、温度調節媒体を、外管と外側の管との間の少なくとも1つの外側案内通路内に方向変換させるための方向変換領域が設けられていることと、温度調節媒体が少なくとも1つの外側案内通路を通って、継手に沿った、第1方向とは反対の第2方向に流れることを特徴とする。それによって、温度調節媒体が一方では内管と外管との間で、他方では外管と外側の管との間で、ほとんど向流で案内されると合目的である。その際、温度調節媒体は好ましくは、ウェブによって分離された多数の案内通路を通っておよび外側ウェブによって分離された多数の外側案内通路を通って流れる。
【0018】
本発明に係る継手が流動性温度調節媒体を供給するための少なくとも1本の接続管を備え、および/または流動性温度調節媒体を排出するための少なくとも1本の接続管を備えていることは本発明の範囲内である。継手は好ましくは流動性温度調節媒体を供給するための接続管と、流動性温度調節媒体を排出するための接続管を備えている。このような接続管が、嵌合するスリーブ要素または差込み要素を接続するための差込み要素またはスリーブ要素として形成されていると合目的である。接続管が継手の縦軸線に対して垂直にまたはほぼ垂直に配置されていることが推奨される。実施形による継手が後述するように、曲がった継手として形成されているときには、継手の縦軸線は、1本または複数の接続管を接続した継手部分の縦軸線である。流動性温度調節媒体を供給するための少なくとも1本の接続管が、内管と外管との間の案内通路に接続されていることおよび/または流動性温度調節媒体を排出するための少なくとも1本の接続管が、外管と外側の管との間の外側案内通路に接続されていることは本発明の範囲内である。
【0019】
本発明に係る継手と、外側の管、外管、内管、ウェブおよび外側ウェブからなる集合体が、熱可塑性合成樹脂からなっているかまたは実質的に熱可塑性合成樹脂からなっていると合目的である。実施形によれば、継手または上記の集合体はポリアミドからなっているかまたは実質的にポリアミドからなっている。ポリアミドは特にポリアミド12である。本発明の他の実施形によれば、本発明に係る継手のために、高温に耐える合成樹脂が使用される。本発明に係る継手または外側の管、外管、内管、ウェブおよび外側ウェブからなる集合体が射出成形によって製作されることは本発明の範囲内である。
【0020】
さらに、内管、外管および外側の管からなる集合体が少なくとも1本の他の外側の管によって取り囲まれていることと、内管、外管、外側の管および少なくとも1本の他の外側の管が互いに同心的にまたは同軸に配置されていることは本発明の範囲内である。他の外側の管が他の外側のウェブを介して外側の管に連結されていると合目的である。流動性温度調節媒体が外側の管と他の外側の管との間の空間または通路を通って流れ、しかも好ましくは、外管と外側の管との間の外側案内通路を通って流れる温度調節媒体の流れ方向と反対方向に流れることが推奨される。
【0021】
本発明は、本発明に係る継手によって、流動性媒体、特に尿素溶液の驚くほど効果的な温度調節が可能であるという認識に基づいている。本発明に係る継手を通って案内される尿素溶液は、凍結または晶出を、簡単かつ問題なくそして効果的に防止することができる。さらに、本発明に係る継手は比較的に簡単で低コストの手段で製作することができる。コストのかかる、抵抗線等による電気加熱を省略することができるので有利である。付加的なエネルギー供給を必要とせずに、既存のエネルギー供給部または自動車に既に設けられたエネルギー供給部を用いることができる。本発明に係る継手は比較的に低コストで実現または製作することができる。
【0022】
次に、一実施の形態を示す図面に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る継手の斜視図である。
図2】本発明に係る継手内の流動性媒体の流れ方向を概略的に示す。
図3図2の対象の断面A−Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図は、急速継手として形成された本発明に係る継手1を示す。この継手は、温度調節すべき尿素溶液を案内する導管2を、図示していない他の部品、例えば他の継手または他の導管に接続するためのものである。図1図2から、導管2が継手1の左端に接続されていることが分かる。継手1は、他端または図1図2の右端に、他の部品の図示していないスリーブ要素に連結するための差込み要素4を備えている。図1図2の実施の形態では、継手1はさらに、流動性の温度調節媒体を供給するための接続管5と、流動性の温度調節媒体を排出するための接続管6を備えている。図に示す実施の形態のように、接続管5、6が差込み要素4に類似する差込み要素として継手1の一端に形成されていると合目的である。
【0025】
継手1は尿素水溶液を通過案内するための内管3を備えている。この尿素水溶液は自動車の図示していないSCR触媒に供給される。内管3は外管7によって取り囲まれ、内管3と外管7は互いに同心的にまたは同軸に配置されている(特に図3参照)。外管7または内管3と外管7からなる集合体は、外側の管8によって取り囲まれ、内管3、外管7および外側の管8は互いに同心的にまたは同軸に配置されている。
【0026】
図2には、一方では尿素溶液の流れまたは流れ方向が、他方では尿素溶液を温めるための流動性の温度調節媒体の流れまたは流れ方向が、矢印によって示してある。図に示した継手1は実施の形態では好ましくは自動車の部品であり、流動性の温度調節媒体は実施形では自動車の冷却水回路から分岐した温められた冷却水である。
【0027】
図2の実施の形態では、尿素溶液は内管3を通って右から左へ流れる。接続管5を経て供給される流動性の温度調節媒体は尿素溶液と同じ方向に、内管3と外管7との間の空間を通って方向変換領域9まで流れる。この方向変換領域において、内管3と外管7との間の空間は外管7と外側の管8との間の空間に流体接続されている。温度調節媒体は方向変換領域9において外管7と外側の管8との間の空間内に方向変換され、そして図2の実施の形態では反対方向に左から右へ流れる。この実施形に基づいて、内管3内の尿素溶液のきわめて効果的な温度調節が達成される。そして、温度調節媒体は外管7と外側の管8との間の空間を接続管6まで流れ、そこから再び排出される。図に示した実施形では、接続管6は接続管5に対して直角に配置されている。従って、接続管6は図2において継手1に隠れて見えない。
【0028】
図3図2の継手1の断面を示している。外管7の内壁は本実施の形態では4個のウェブ10を介して内管3の外壁に連結されていることがわかる。ウェブ10は好ましくは、内管3と外管7からなる集合体の縦方向にあるいは継手1の縦中心軸線Mに対して平行に中断しないで延在している。これにより、内管3と外管7との間の空間は本実施の形態では、流動性の温度調節媒体のための4つの案内通路11に分割されている。図3からさらに分かるように、外側の管8の内壁は本実施の形態では、4個の外側ウェブ12を介して外管7の外壁に連結されている。外側ウェブ12が、外管7と外側の管8からなる集合体の全長にわたって継手1の縦方向にまたは継手1の縦中心軸線Mに対して平行に中断しないで延在していると合目的である。それによって、外管7と外側の管8との間の空間は4つの外側案内通路13に分割される。本実施の形態において好ましくは、ウェブ10と外側ウェブ12は互いに平行に配置されている。本実施の形態において、ウェブ10と外側ウェブ12は台形の横断面を有する。その際、台形は好ましくは継手1の中心の方へまたは縦中心軸線Mの方へ先細になっている。ある実施形によればおよび図3の実施の形態では、ウェブ10が外管7の周方向において外側ウェブ12に対してずらして配置されている。その際、実施の形態では、ウェブ10は隣接する外側案内通路13の中央領域内に配置され、外側ウェブ12は隣接する案内通路11の中央領域内に配置されている。
【0029】
特に図2図3を比較して観察することによって分かるように、有利な実施形によればおよび本実施の形態では、内管3と外管7と外側の管8が円筒形に形成されて円形横断面を有している。内管3は本実施の形態では外管7内に同心的に配置され、内管3と外管7からなる集合体は本実施の形態では外側の管8内に同心的に配置されている。内管3の内径dは好ましくは2〜6mmである。案内通路11の半径方向幅rが0.8〜1.5mmであると合目的である。さらに、外側案内通路13の半径方向幅rが0.8〜1.5mmであると有利である。内管3の壁厚と外管7の壁厚と外側の管8の壁厚は0.9〜2.2mmであることが推奨される。
【0030】
本発明の代替的な実施形によれば、温度調節すべき流動性媒体または尿素溶液は、内管3と外管7との間の案内通路11を通って流れてもよい。この場合、流動性の温度調節媒体が一方では内管3を通って流れ、他方では外管7と外側の管8との間の外側案内通路13を通って流れると合目的である。
【符号の説明】
【0031】
1 継手
2 導管
3 内管
4 差込み要素
7 外管
11 案内通路
図1
図2
図3