(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機層が第一の有機層であり、前記デバイスが、さらに、非発光層である第二の有機層を含み、かつ式Iを有する前記化合物が前記第二の有機層中の物質である、請求項19に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0036】
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
【0037】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0038】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含みうる。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0039】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F
4−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0040】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。
図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0041】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば
図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0042】
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、
図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0043】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0044】
本発明の態様にしたがって作製したデバイスは、任意選択により、さらにバリア層を含んでいてもよい。バリア層の一つの目的は、湿気、蒸気、及び/又は気体などを含む環境中の有害なものへの、障害を引き起こす曝露から保護することである。バリア層は、基板、電極の、上、下、又は隣、あるいは端部を含めたデバイスの任意のその他の部分の上に堆積させることができる。バリア層は、単層又は複数層からなることができる。バリア層は様々な公知の化学蒸着法によって形成させることができ、単一相を有する組成物並びに複数相を有する組成物を含むことができる。任意の好適な物質又は複数の物質の組み合わせをバリア層のために用いることができる。バリア層は、無機又は有機化合物あるいはその両方を含むことができる。好ましいバリア層は、米国特許第7,968,146号明細書、PCT出願番号PCT/US2007/023098号及びPCT/US2009/042829号に記載されているように、ポリマー物質と非ポリマー物質の混合物を含み、これらの文献はその全体を参照により本明細書に援用する。「混合物」と考えられるためには、バリア層を構成する前述のポリマー及び非ポリマー物質は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積させられるべきである。ポリマー物質と非ポリマー物質の質量比は、95:5〜5:95の範囲内であってよい。ポリマー物質と非ポリマー物質は、同じ前駆体物質から作ってもよい。一つの例では、ポリマー物質と非ポリマー物質の混合物は、本質的に高分子シリコン及び無機シリコンのみからなる。
【0045】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニター、医療モニター、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、劇場またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0046】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0047】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
【0048】
一つの側面では、下記式:
【化11】
を有する化合物を提供する。式Iの化合物中、L
1は、カルバゾール、アザカルバゾール、トリフェニレン、アザ−トリフェニレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、L
2は、フェニル、ピリジン、ピラジン、トリアジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、L
3は、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、アザジベンゾセレノフェン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。L
1〜L
3のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのSiAr
1Ar
2Ar
3基で置換されており、式中、Ar
1〜Ar
3は独立に、アリール又はヘテロアリール基から選択される。L
1〜L
3のそれぞれは、任意選択により、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される基で置換されていてもよい。L
1及びL
3上のいずれかの任意に存在していてもよい置換基は、それぞれL
1及びL
3と縮合していることができるのに対し、L
2上の任意選択で存在していてもよい置換基は縮合していない。
【0049】
L
2では、上に挙げた断片は一度より多く且つ任意の組み合わせで出現することができ、それによって、例えば、L
2は2つのフェニル単位(すなわちビフェニル)、3つのフェニル単位(すなわちターフェニル)、2つのピリジン(すなわちビピリジン)、フェニル及びピリジンなどを含むことができる。L
1、L
2、及びL
3中の基は、それ以外の断片に対してそれらを結合させる複数の結合点を有していることができる。
【0050】
上述した断片中の「アザ」の名称、すなわち、アザ−ジベンゾフラン、アザ−ジベンゾチオフェンなどは、対応する断片中のC−H基の1つ以上が窒素原子で置き換えられていることを意味し、例えば、何ら限定されることなく、アザトリフェニレンはジベンゾ[f,h]キノキサリン及びジベンゾ[f,h]キノリンの両方を包含する。当業者は上述したアザ誘導体のその他の窒素類縁体(窒素アナログ)を容易に想定することができ、そのような全ての類縁体はここで説明した用語に包含されることが意図されている。
【0051】
分子の断片が置換基であるかあるいは別の部分に結合していると説明されるときは、その名称はそれが断片(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)であるかのように又はそれが完全な分子(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるかのように記載される。本明細書で用いる場合、置換基又は結合した断片を示すこれら異なる方法は同じであると考えられる。
【0052】
「縮合」の用語は、L
1、L
2、又はL
3上の置換基をいう場合に本明細書で用いられるときは、L
1、L
2、又はL
3上の置換基がさらにその置換基を有する環の少なくとも一つの別の環原子にも結合していることを意味する。「非縮合」の用語は、L
1、L
2、又はL
3上の置換基をいう場合に本明細書で用いられるときは、L
1、L
2、又はL
3上の置換基がその置換基を有する環の他のいずれの環原子にも結合していないことを意味する。
【0053】
電子輸送部分(moiety)及び正孔輸送部分(moiety)を両方とも一つの分子に組み込むことが、そのエネルギー準位を微調整し、隣接する層からの電荷注入を容易にして駆動電圧を抑制し、電子/正孔の流れをバランスさせて発光ドーパントによる電荷捕捉を調節して拡大された再結合ゾーンを達成することが発見されている。L
2スペーサーは、その分子集合体と電荷輸送特性をさらに調節するための置換の一つの追加領域をもたらす。トリアリールシリル基は、望ましくない分子間の重なり合い(スタッキング)を緩和し、このことがその固体状態における高い三重項エネルギーを保たせて、消光を効果的に低減させるだけでなく、結晶化を抑制して膜品質を向上させる。これらの特性の全ての他に類をみない相乗的な組み合わせは、高効率かつ安定なリン光OLEDに用いられるホスト物質にとって非常に有利である。さらに、この提案した化合物は、潜在的に低コスト製造にとって非常に望ましい溶液加工に使いやすい通常の溶媒、例えば、キシレン及びトルエンに可溶である。
【0054】
一つの態様では、L
1〜L
3のそれぞれは、任意選択により、水素、重水素、アリール、ヘテロアリール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される基で置換されていることができる。一つの態様では、L
1〜L
3のそれぞれは、水素で置換されている。
【0055】
一つの態様では、L
1は以下のものからなる群から選択される。
【化12】
式中、X
1〜X
19は独立にCR又はNであり、Rは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
一つの態様では、L
1は以下のものからなる群から選択される。
【化13】
式中、Rは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
本明細書に開示した任意の断片において、破線はその具体的な断片が、空いている原子価を有するその断片上の任意の1つ又は複数の位置で結合することができ、1つ又は複数の結合を形成できることを示している。
【0058】
一つの態様では、L
2は以下のものからなる群から選択される。
【化14】
【0059】
一つの態様では、L
3は以下のものからなる群から選択される。
【化15】
式中、X
1〜X
10は独立にCR又はNであり、Y
1及びY
2は独立にO、S、又はSeであり、Rは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
一つの態様では、L
3は以下のものからなる群から選択される。
【化16】
【0061】
一つの態様では、Ar
1〜Ar
3は、フェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一つの態様では、Ar
1、Ar
2、及びAr
3はフェニルである。
【0062】
一つの態様では、L
3はジベンゾチオフェンを含む。一つの態様では、L
3はジベンゾフランを含む。
【0063】
一つの態様では、L
2はフェニルを含む。一つの態様では、L
2はビフェニルを含む。一つの態様では、L
2はターフェニルを含む。
【0064】
一つの態様では、L
1はカルバゾールを含む。一つの態様ではL1はトリフェニレンを含む。
【0065】
一つの態様では、上記化合物は化合物1〜化合物18からなる群から選択される。
【0069】
一つの態様では、第一のデバイスを提供する。第一のデバイスは、有機発光デバイスを含み、さらには、アノード、カソード、そのアノードとカソードの間に配置され、下記式:
【化20】
を有する化合物を含む有機層を含む。式Iの化合物中、L
1は、カルバゾール、アザカルバゾール、トリフェニレン、アザ−トリフェニレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、L
2は、フェニル、ピリジン、ピラジン、トリアジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、L
3は、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、アザジベンゾセレノフェン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。L
1〜L
3のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのSiAr
1Ar
2Ar
3基で置換されており、式中、Ar
1〜Ar
3は独立に、アリール又はヘテロアリール基から選択される。L
1〜L
3のそれぞれは、任意選択により、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される基で置換されていてもよい。L
1及びL
3上のいずれかの任意に存在していてもよい置換基は、それぞれL
1及びL
3と縮合していることができるのに対し、L
2上の任意選択で存在していてもよい置換基は縮合していない。
【0070】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、式Iの化合物がホストである。
【0071】
一つの側面では、第一のデバイスはさらに、第一のドーパント物質を含み、第一のドーパント物質は、以下のもの:
【化21】
【化22】
からなる群から選択される少なくとも一つの配位子又はその配位子が二座より多座である場合はその配位子の一部を有する遷移金属錯体を含む発光ドーパントであり、上記式中、R
a、R
b、R
c、及びR
dはモノ、ジ、トリ、又はテトラ置換であるかあるいは非置換を表すことができ、R
a、R
b、R
c、及びR
dは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c、及びR
dのうち2つの隣接する置換基は任意選択により結合して縮合環を形成しているか、あるいは多座配位子を形成していてもよい。
【0072】
一つの態様では、上記有機層は非発光層である。一つの側面では、上記有機層は第一の有機層であり、上記デバイスはさらに、非発光層である第二の有機層を含み、かつ式Iを有する化合物は第二の有機層中の物質である。
【0073】
一つの態様では、第二の有機層は阻止層であり、式Iを有する化合物はその第二の有機層中の阻止物質(blocking material)である。一つの態様では、第一のデバイスは消費者製品である。一つの態様では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。一つの態様では、第一のデバイスは発光パネルを含む。
【0074】
[デバイス例]
全ての例示デバイスは高真空(<10
−7Torr)熱蒸着(VTE)によって作製した。アノード電極は800Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFとそれに続く1,000ÅのAlからなる。全てのデバイスは作製後直ちに窒素グローブボックス(<1ppmのH
2O及びO
2)中でエポキシ樹脂で封じたガラス蓋で密封し、吸湿剤をそのパッケージ中に組み込んだ。
【0075】
実施例及び比較デバイス例に用いたOLEDデバイスの有機積層体は以下の構造を有する:ITO表面から、正孔注入層として100ÅのLG101(LGケム社から購入した);正孔輸送層(HTL)として300ÅのNPD;発光層(EML)として20質量%のドーパントでドープした300又は400Åの化合物1、5、又は9、あるいは比較化合物1又は2;阻止層(BL)として50Åの化合物BL;及びETLとして400ÅのAlq。例示デバイスは
図3に概略図が示されている。
【0076】
上記デバイスに用いた物質の構造は以下のとおりである。
【化23】
【0077】
表1には、化合物1、5、及び9と、比較化合物1及び2に基づくリン光OLEDデバイスの性能データをまとめてある。発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)、及び電力効率(PE)は、1000nitsにおいて測定した。トリアリールシラン基なしの化合物(すなわち、比較化合物2)に基づくデバイスと比較して、トリアリールシラン基を含む化合物(すなわち化合物1及び比較化合物1)は向上した効率を示している。これは、トリアリールシラン基を含むホスト化合物の高い三重項エネルギーが保たれていることによって、発光の消光がうまく抑制されていることによる可能性がある(化合物1及び比較化合物1)。化合物1、5、及び9に基づくデバイスの効率は、比較化合物1に基づくデバイスの効率と比較してさらに向上している。化合物1、5、及び9と比較化合物1の両方ともトリアリールシリル基を含むが、化合物1、5、及び9は非対称構造という追加の特徴をもっている。「非対称構造」とは、L
1とL
3基が異なっており、異なる電子的特性をもっていることを意味する。この非対称構造は、OLEDデバイス中で、よりバランスのとれた電子/正孔の流れを達成して、広げられた再結合ゾーンをもたらす機会を提供する。より広い再結合ゾーンは、濃度消光を抑制することによってデバイス効率を向上させる。
【0078】
したがって、式1の化合物は、トリアリールシリル基と非対称構造の両方の利点を一体化し、リン光OLEDのための優れたホスト物質として実証されている。
【0080】
[その他の物質との組み合わせ]
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在するその他の広範囲にわたる物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載乃至言及した物質は、本明細書に記載した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を容易に参考にすることができる。
【0082】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoO
x;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
【0083】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化24】
【0084】
Ar
1〜Ar
9のそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0085】
一つの側面では、Ar
1〜Ar
9は以下のものからなる群から独立に選択される。
【化25】
【0086】
kは1〜20の整数であり;X
1〜X
8はC(CHも含めて)又はNであり;Ar
1は上で定義したものと同じ基を有する。
【0087】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化26】
【0088】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y
1−Y
2)は二座配位子であり、Y
1及びY
2は独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0089】
一つの側面では、(Y
1−Y
2)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0090】
別の側面では、(Y
1−Y
2)はカルベン配位子である。
【0091】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0092】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc
+/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0094】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。後に示す表はさまざまな色を発光するデバイスに対して好ましいホスト物質を分類しているが、上記の三重項の基準を満たす限り、任意のドーパントとともに用いることができる。
【0095】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化27】
【0096】
Mは金属であり;(Y
3−Y
4)は二座配位子であって、Y
3及びY
4は独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0097】
一つの側面では、金属錯体は、
【化28】
である。
【0098】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
【0099】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0100】
さらなる側面では、(Y
3−Y
4)はカルベン配位子である。
【0101】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0102】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化29】
【0103】
R
1〜R
7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0105】
X
1〜X
8はC(CHも含めて)又はNから選択される。Z
1及びZ
2はNR
1、O、又はSから選択される。
【0107】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0108】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストとして用いられるものと同じ分子又は同じ官能基を含む。
【0109】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化30】
【0110】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0112】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0113】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化31】
【0114】
R
1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0115】
Ar
1〜Ar
3は上述したAr類と同様の定義を有する。
【0117】
X
1〜X
8はC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0118】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
【化32】
【0119】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【0120】
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。
【0121】
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表2に列挙している。表2には、非限定的な物質群、各群についての錯体の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
【実施例】
【0148】
本明細書を通して用いる化学の略号は以下のとおりである:dbaはジベンジリデンアセトンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、PPh
3はトリフェニルホスフィンであり、dppfは1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、DCMはジクロロメタンであり、SPhosはジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)ホスフィンであり、THFはテトラヒドロフランである。
【0149】
化合物の合成
〔化合物1〕
【化33】
【0150】
(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシランの合成
ジエチルエーテル(200 mL)中の1,3,5−トリブロモベンゼン(9.0 g, 28.6 mmol)の溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウム溶液(2.5 M, 12 mL, 30.6 mmol)を−78℃で滴下により添加した。この反応物をこの温度で30分撹拌し、その後、ジエチルエーテル(90 mL)中のクロロトリフェニルシラン(9.27 g, 31.4 mmol)の溶液を滴下により添加した。その反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、次に室温まで温め、夜通し撹拌を続け、最後に2時間還流させた。室温まで冷やした後、固体を濾別した。溶媒を蒸発させて、残留物を、溶出液としてヘキサン/DCM(9/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(4.0 g, 28%)を白色固体として得た。
【0151】
(3−ブロモ−5−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)トリフェニルシランの合成
トルエン(150 mL)及び水(25 mL)中の(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(4.66 g, 9.43 mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルボロン酸(1.00 g, 4.72 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.109 g, 0.094 mmol)及び炭酸カリウム(1.304 g, 9.43 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。有機層を単離し、濾過し、蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(4/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(3−ブロモ−5−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)トリフェニルシラン(1.75 g, 64%収率)を白色固体として得た。
【0152】
化合物1の合成
トルエン(100 mL)及び水(5 mL)中の(3−ブロモ−5−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)トリフェニルシラン(3.00 g, 5.16 mmol)、9−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(1.905 g, 5.16 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.094 g, 0.103 mmol)、SPhos(0.085 g, 0.206 mmol)、及びK
3PO
4(3.56 g, 15.48 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、固体を濾別した。溶媒を蒸発させて、残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(4/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、次に溶離液としてヘキサン/DCM(3/1, v/v)を用いるアルミナ上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物1(1.5 g, 39%収率)を白色固体として得た。
【0153】
〔化合物2〕
【化34】
【0154】
(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシランの合成
トルエン(100 mL)及び水(10 mL)中の(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(4.27 g, 8.64 mmol)、2−(3−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.6 g, 4.32 mmol)、Pd(PPh
3)(0.100 g, 0.086 mmol)、及びK
2CO
3(1.792 g, 12.96 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(4/1から3/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシラン(1.3 g, 45%)を白色固体として得た。
【0155】
化合物2の合成
トルエン(100 mL)及び水(2 mL)中の(5−ジブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシラン(2.17 g, 3.31 mmol)、9−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(1.35 g, 3.65 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.061g, 0.066 mmol)、SPhos(0.054 g, 0.132 mmol)、及びK
3PO
4(2.11 g, 9.94 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(3/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物2(2.4 g, 88%)を白色固体として得た。
【0156】
〔化合物5〕
【化35】
【0157】
9−(3′−ブロモ−5′−(トリフェニルシリル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)−9H−カルバゾールの合成
トルエン(100 mL)及び水(20 mL)中の(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(4.02 g, 8.12 mmol)、9−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(1.500 g, 4.06 mmol)、Pd(PPh
3)
4(100 mg, 0.086 mmol)、K
2CO
3(1.123 g, 8.12 mmol)の溶液を窒素下で24時間還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(9/1から4/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン/DCM(9/1, v/v)から再結晶して、9−(3′−ブロモ−5′−(トリフェニルシリル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)−9H−カルバゾール(2.1 g, 79%)を白色結晶として得た。
【0158】
化合物5の合成
トルエン(120 mL)及び水(5 mL)中の9−(3′−ブロモ−5′−(トリフェニルシリル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)−9H−カルバゾール(2.97 g, 4.52 mmol)、ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イルボロン酸(1.032 g, 4.52 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.20 g, 0.021 mmol)、SPhos(0.20 g, 0.049 mmol)、及びK
3PO
4(2.88 g, 13.57 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温まで冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(4/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物5(2.5 g, 72.5%)を白色固体として得た。
【0159】
〔化合物8〕
【化36】
【化37】
【0160】
(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシランの合成
トルエン(100 mL)及び水(20 mL)中の2−(3−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2.00 g, 5.18 mmol)、(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(5.12 g, 10.35 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.120 g, 0.104 mmol)、K
2CO
3(2.147 g, 15.53 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(2/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシラン(2.8 g, 80%)を白色固体として得た。
【0161】
化合物8の合成
m−キシレン(100 mL)中の(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシラン(1.80 g, 2.67 mmol)、9H−3,9′−ビカルバゾール(0.89 g, 2.67 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.049 g, 0.053 mmol)、SPhos(0.044 g, 0.107 mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(0.77 g, 8.02 mmol)の混合物を150℃で夜通し還流させた。室温に冷やした後、それをセライト(登録商標)の短い詰め物を通した。溶媒を蒸発させて、残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(3/1から2/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物8(2.2 g, 89%)を白色粉末として得た。
【0162】
〔化合物9〕
【化38】
【化39】
【0163】
化合物9の合成
トルエン(100 mL)及び水(2 mL)中の(5−ブロモ−3′−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−[1,1′−ビフェニル]−3−イル)トリフェニルシラン(2.180 g, 3.31 mmol)、9−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(1.346 g, 3.65 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.061 g, 0.066 mmol)、SPhos(0.054 g, 0.132 mmol)、K
3PO
4(2.290 g, 9.94 mmol)の混合物を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(3/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物9(2.1 g, 77%)を白色固体として得た。
【0164】
〔化合物10〕
【化40】
【0165】
ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルトリフェニルシランの合成
ジベンゾ[b,d]フラン(5.00 g, 29.7 mmol)をTHF(150 mL)に溶かし、CO
2/i−PrOH浴中で冷やした。ヘキサン中のn−ブチルリチウム溶液(2.5 M, 12.49 mL, 31.2 mmol)をシリンジによる滴下により添加した。添加後、それを室温で2時間撹拌し、再びCO
2/i−PrOH浴中で冷やした。エーテル(50 mL)中のクロロトリフェニルシラン(8.77 g, 29.7 mmol)をその反応溶液に滴下により添加した。反応物をしだいに室温まで温め、夜通し撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を、溶離液としてDCM/ヘキサン(1/9, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルトリフェニルシラン(8.2 g, 65%)を白色固体として得た。
【0166】
(6−ヨードジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシランの合成
ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルトリフェニルシラン(9.80 g, 22.97 mmol)を無水THF(100 mL)に溶かし、CO
2/i−PrOH浴中で冷やした。ヘキサン中のn−ブチルリチウム溶液(2.5 M, 12.87 mL, 32.2 mmol)を滴下により添加した。それを室温まで温め、4時間撹拌し、CO
2/i−PrOH浴中で再び冷やし、エーテル(50 mL)中のI
2(8.63 g, 34 mmol)を滴下により添加した。その反応混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、NaHSO
3の水溶液(10 wt%, 100 mL)で反応を止めた。それを飽和NaCl水で希釈し、EtOAc(50 mL x 3回)で抽出した。有機抽出物をあわせ、無水NaSO
4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAc(95/5から90/10, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(6−ヨードジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(7.8 g, 62%)を白色固体として得た。
【0167】
(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシランの合成
トルエン(100 mL)及び水(15 mL)中の(6−ヨードジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(6.60 g, 11.95 mmol)、(3−クロロフェニル)ボロン酸(2.80 g, 17.92 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.138 g, 0.119 mmol)、及びK
2CO
3(3.30 g, 23.89 mmol)の混合溶液を窒素下で24時間還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(4/1, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(3.7 g, 58%)を白色固体として得た。
【0168】
化合物10の合成
トルエン(100 mL)及び水(1 mL)中の(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(2.130 g, 3.97 mmol)、9−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−9H−カルバゾール(1.464 g, 3.97 mmol)、Pd
2(dba)
3(40 mg, 44 mmol)、SPhos(45 mg, 109 mmol)、K
3PO
4(2.283 g, 9.91 mmol)の溶液を窒素下で24時間100℃で撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(7/3, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物10(2.3 g, 78%)を白色固体として得た。
【0169】
〔化合物12〕
【化41】
【0170】
(3−ブロモ−5−(トリフェニレン−2−イル)フェニル)トリフェニルシラン
トルエン(100 mL)及び水(20 mL)中の(3,5−ジブロモフェニル)トリフェニルシラン(2.20g, 4.45 mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(3.15 g, 8.90 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.051 g, 0.045 mmol)、及びK
2CO
3(1.23 g, 8.90 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、有機相を単離し、セライト(登録商標)の短い詰め物を通して濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(7/3, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、(3−ブロモ−5−(トリフェニレン−2−イル)フェニル)トリフェニルシラン(1.50 g, 52%)を白色固体として得た。
【0171】
化合物12の合成
トルエン(100 mL)及び水(1 mL)中の(3−ブロモ−5−(トリフェニレン−2−イル)フェニル)トリフェニルシラン(3.40 g, 5.30 mmol)、ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イルボロン酸(1.33 g, 5.83 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.049 g, 0.053 mmol)、SPhos(0.044 g, 0.106 mmol)、K
3PO
4(3.66 g, 15.90 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。熱い反応溶液を、セライト(登録商標)の短い詰め物を通して濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(7/3, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物12(2.70 g, 68%)を白色固体として得た。
【0172】
〔化合物13〕
【化42】
【0173】
(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシランの合成
トルエン(75 mL)及び水(10 mL)中の(6−ヨードジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(5.00 g, 9.05 mmol)、(3−クロロフェニル)ボロン酸(1.7 g, 11.3 mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.105 g, 0.091 mmol)、及びK
2CO
3(2.502 g, 18.10 mmol)の溶液を窒素下で48時間還流させた。有機層を分離し、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAc(95/5, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、次にそれと同じ溶媒から再結晶して、(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(1.0 g, 21%)を白色固体として得た。
【0174】
【化43】
【0175】
化合物13の合成
トルエン(100 mL)及び水(1 mL)中の(6−(3−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)トリフェニルシラン(1.63 g, 3.03 mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(1.12 g, 3.16 mmol)、Pd
2(dba)
3(0.090 g, mmol)、SPhos(0.10 g, 0.24 mmol)、及びK
3PO
4(2.03 g, 8.8 mmol)の溶液を窒素下で夜通し還流させた。室温に冷やした後、固体を濾別した。溶媒を留去後、残留物を、溶離液としてヘキサン/DCM(7/3, v/v)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、次に溶離液としてアセトニトリルを用いるC18カラム上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物13(1.6 g, 72%)を白色固体として得た。
【0176】
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。