特許第6137939号(P6137939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6137939-模型飛行機および模型飛行機の車輪装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137939
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】模型飛行機および模型飛行機の車輪装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 27/32 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A63H27/32
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-103580(P2013-103580)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-223159(P2014-223159A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正徳
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貢司
(72)【発明者】
【氏名】森田 典明
(72)【発明者】
【氏名】音田 哲男
【審査官】 奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−109293(JP,U)
【文献】 実開昭50−095093(JP,U)
【文献】 実開昭53−070993(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3030955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型飛行機本体と車輪装置を備えた模型飛行機において、
前記車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、前記車輪装置本体と前記模型飛行機本体を接続する間接取付部材とを備え、
前記模型飛行機本体は下面の機体表面に凹部を有しており、
前記間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片は前記凹部に対向し、前記車輪装置本体が取り付けられ、他方の片は前記模型飛行機本体の下面に対して垂直になるように前記模型飛行機本体に固定されていることを特徴とする模型飛行機。
【請求項2】
模型飛行機本体と車輪装置を備えた模型飛行機において、
前記車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、前記車輪装置本体と前記模型飛行機本体を接続する間接取付部材とを備え、
前記間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片の内側の面は前記模型飛行機の下面の機体表面と所定の間隔をあけて対向し、前記車輪装置本体が取り付けられ、他方の片は前記模型飛行機の下面に対して垂直になるように前記模型飛行機本体に固定されていることを特徴とする模型飛行機。
【請求項3】
前記支持体は平板からなり、
前記支持体の一方の面が前記模型飛行機の側面方向を向くように、取り付けられていることを特徴とする請求項1または2いずれかひとつに記載の模型飛行機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信で操縦をおこなう模型飛行機の模型飛行機本体に装着される車輪装置およびこの車輪装置を備えた模型飛行機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信で操縦をおこなう模型飛行機、模型グライダー、模型ヘリコプターなどの模型飛行体(以下、単に模型飛行機という)は離着陸に使用するための車輪装置を備えているものがある。車輪装置には車輪が回動可能に取り付けられている。
この車輪装置は模型飛行機本体の胴体部分や翼部分の下面に装着されており、模型飛行機の種類に応じて車輪装置が折りたたまれて飛行中は格納されるものと、飛行中も車輪装置が格納されないものがある。
【0003】
車輪装置を飛行中格納しない構成は、胴体部分や翼部分に車輪装置を格納するためのスペースや車輪装置を折りたたむための構成を設ける必要が無いため、多くの模型飛行機で採用されている。
特許文献1には模型用飛行機の主翼の内部に設けた矩形板に車輪装置の支柱を連結する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には従来からの例として図3に示すように模型飛行機11において、模型飛行機本体の胴体部分にコイル状部を有する車輪装置12を装着する構成が記載されている。さらに特許文献2では、フレームやアーム、捩りばね等を組み合わせて使用した衝撃吸収機構を有する車輪装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭28−3517号
【特許文献2】実登3030955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
模型飛行機は着陸時に車輪装置に衝撃が加わるため、衝撃によって車輪装置そのものや車輪装置が装着されている模型飛行機本体の胴体部分や翼部分を破損してしまうことがあった。特に模型飛行機の着陸地点が平坦でない場合や、着陸動作が粗くなってしまう場合にこのような問題が顕著であった。
【0007】
このような問題に対して、特許文献1に記載されている構成では車輪装置にかかる衝撃を十分に軽減することができなかった。
また、特許文献2に記載されている構成は、衝撃を吸収することはできたが、複雑な構成の車輪装置を使用する必要があった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決して簡易な構成で模型飛行機が着陸するときに車輪装置にかかる衝撃を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の模型飛行機は、模型飛行機本体と車輪装置を備えた模型飛行機において、車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、車輪装置本体と模型飛行機本体を接続する間接取付部材とを備え、模型飛行機本体は下面の機体表面に凹部を有しており、間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片は前記凹部に対向し、車輪装置本体が取り付けられ、他方の片は模型飛行機本体の下面に対して垂直になるように模型飛行機本体に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の模型飛行機は、模型飛行機本体と車輪装置を備えた模型飛行機において、車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、車輪装置本体と模型飛行機本体を接続する間接取付部材とを備え、間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片の内側の面は模型飛行機の下面の機体表面と所定の間隔をあけて対向し、車輪装置本体が取り付けられ、他方の片は模型飛行機の下面に対して垂直になるように模型飛行機本体に固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の模型飛行機は、請求項1または2いずれかひとつに記載の模型飛行機であって、支持体は平板からなり、支持体の一方の面が模型飛行機の側面方向を向くように取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の車輪装置は、模型飛行機本体に取り付けられる車輪装置において、車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、車輪装置本体と模型飛行機本体を接続するための間接取付部材とを備え、間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片には車輪装置本体が取り付けられ、他方の片には模型飛行機本体に取り付けるための取付部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の車輪装置は、請求項4記載の車輪装置であって、支持体は平板からなり、支持体の一方の面が、間接取付部材の一方の片と他方の片からそれぞれ垂直になるように、支持体が一方の片の外側の面に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の車輪装置は、模型飛行機本体に取り付けられた車輪装置において、車輪装置は車輪と支持体からなる車輪装置本体と、車輪装置本体と模型飛行機を接続するための間接取付部材とを備え、間接取付部材は板状部材を折り曲げた略L字形状を有し、一方の片には支持体が一体に成形されており、他方の片には模型飛行機本体に取り付けるための取付部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は間接取付部材を介して模型飛行機本体に車輪装置本体が装着されているので、着陸時に車輪装置にかかる衝撃を間接取付部材が撓んで吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】模型飛行機の車輪装置周辺を示した断面図
図2】車輪装置本体と間接取付部材の一部を示した図
図3】従来の模型飛行機の車輪装置を示した図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を引用して発明を実施するための実施形態を説明する。
図1は本発明の模型飛行機1の車輪装置2の周辺を模式的に示した断面図である。
車輪装置2は車輪装置本体2aと間接取付部材5を備えている。また、車輪装置本体2aは支持体3と車輪4を備えている。
車輪装置本体2aは間接取付部材5を介して模型飛行機本体1aに装着されている。図2は間接取付部材5に車輪装置本体2aの支持体3を装着している部分を拡大した図面である。
【0018】
車輪装置2は離陸までの間に地上を走行するためと、着陸時に地上を走行するために使用する。支持体3は一端が間接取付部材5に固定され、他端に車輪4が回動可能に取り付けられている。
【0019】
図1の例では車輪装置本体2aは間接取付部材5を介して模型飛行機本体1aの胴体前部の下面に装着されている。車輪装置2は模型飛行機本体1aの主翼の下面に装着されるような構成となっていてもよい。
【0020】
間接取付部材5は板状の部材を折り曲げた形状を有している。具体的にはアルミニウムなどの金属板を略L字状になるように折り曲げた部材を使用している。折り曲げられた部分の角度は何度でもよいが、特に角度が90度となっているアングルといわれる部材がよく使用される。
【0021】
間接取付部材5の2つの板部分をそれぞれ一方の片5a、他方の片5bとする。そして、一方の片5aと他方の片5bが向き合っている面を間接取付部材5の内側の面、内側の面の反対側の面を外側の面とする。
【0022】
間接取付部材5の一方の片5aの長さは模型飛行機本体1aの下面の機体表面に設けられた凹部7の機体前後方向の長さよりも短い。また、間接取付部材5の幅は凹部7の機体の幅方向の長さよりも短い。
凹部7の機体表面に表れる面積に対して、関節取り付け部材5の一方の片5aの面積の方が小さい。
【0023】
一方の片5aは凹部7に対向している。一方の片5aの外側の面には支持体3がボルトとナットを用いて固定されている。
また、他方の片5bは模型飛行機本体1aに取り付けるための取付部8として孔などが設けられており、木ねじを用いて模型飛行機本体1aの枠体6に固定されている。他方の片5bが取り付けられる枠体6は模型飛行機の前後方向に対して垂直となるように設けられている。
【0024】
一方の片5aに支持体3を固定するための支持体固定手段には接着剤など他の手段を用いてもよい。また、他方の片5bと模型飛行機本体1aを固定するための関節取付部材固定手段にはボルトとナットなど他の手段を用いてもよい。
【0025】
間接取付部材5は、金属を使用しているために弾性を有し、撓むことができる。このため、間接取付部材5は模型飛行機1の着陸時など車輪装置本体2が図2に示した矢印A方向からの衝撃を受けたときに撓んで、衝撃を緩和する緩衝の効果を得ることができる。
さらに、車輪装置2が衝撃を受けたときに一方の片5aは凹部7の内部に入り込む形となる。凹部7があるので、模型飛行機本体1aと一方の片5aが接触して模型飛行機1および車輪装置2が破損してしまうことを防ぐことができる。
【0026】
支持体3は板状や棒状など、どのような形状であってもよいが、特に板状の部材からなることが望ましい。図2のように支持体3が平板からなるとき、一方の面が模型飛行機1の側面方向を向くように間接取付部材5に固定することが望ましい。
【0027】
支持体3が弾性を有する平板であるとき、間接取付部材5への固定をボルトとナットなどを用いて容易におこなうことができる。さらに、模型飛行機1の着陸時の上下方向の衝撃を支持体3が撓むことで吸収する効果が得られる。
【0028】
以上のように本実施形態では、間接取付部材5によって衝撃を吸収することで車輪装置2や模型飛行機本体1aにかかる負荷を低減して破損を防ぐことができる。
また、本実施形態は簡易な構成で衝撃を吸収することができることから、車輪装置が複雑な構造を有さなくてもよい。また、補強部材として多数の部材を使用しなくてよいことから模型飛行機の軽量化についても効果を得ることができる。
【0029】
本実施形態以外の他の実施形態として以下のような構成の実施形態も考えられる。
本実施形態では一つの間接取付部材に車輪装置本体を二つ装着する構成として説明をおこなったが、一つの間接取付部材に車輪装置本体を一つ装着する構成でもよい。また、模型飛行機本体に装着される車輪装置本体が一つまたは三つ以上となるような構成であってもよい。
【0030】
また、本実施形態では模型飛行機に凹部があるものとして説明をおこなったが、本発明の車輪装置を用いれば模型飛行機に凹部がない場合でも同じ効果を実現することができる。
模型飛行機に凹部がない場合は模型飛行機本体の下面と間接取付部材の一方の片の内側の面を対向させて、間接取付部材が撓んでも模型飛行機本体と一方の片が接触しない間隔をあけて間接取付部材を模型飛行機に固定すればよい。
【0031】
また、本実施形態では車輪装置本体の支持体が間接取付部材とは別部材であり、支持体固定手段によって固定されている構成としたが、プレス加工技術等によって一枚の金属板から間接取付部材と支持体を形成し、同一部材となるような構成としてもよい。
【0032】
さらに、本実施形態では一体となっている板状部材からなる間接取付部材を、2つの板上部材を接合したものとしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…模型飛行機
1a…模型飛行機本体
2…車輪装置
3…支持体
2a…車輪装置本体
5…間接取付部材
6…枠体
7…凹部
図1
図2
図3