(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベルト本体の内周面から突出する複数の駆動用突出部を周方向に一定ピッチで整列配備したゴム製のクローラベルトと、外周側に複数の駆動用押圧部を周方向に一定ピッチで整列配備した駆動輪とを備えて、前記駆動用押圧部により前記駆動用突出部を前記クローラベルトの回動方向に押圧して前記クローラベルトを駆動するように構成しており、
前記クローラベルトは、前記ベルト本体と前記駆動用突出部のそれぞれとに個別にわたる複数の補強芯材を内蔵しており、
前記補強芯材のそれぞれは、それらのベルト本体側の端部を、前記補強芯材とは別体に構成して前記ベルト本体に埋設する補強部材に連結しており、
前記補強芯材のそれぞれは、前記補強部材から前記駆動用突出部に向けて延出する左右の延出部と、左右の前記延出部を連結する横向きの連結部とを備えており、
前記補強芯材のそれぞれは、左右の前記延出部と前記連結部により構成されるH形状を呈しており、
前記補強芯材のそれぞれは、前記駆動用押圧部との対向箇所にくびれ部を有し、
前記補強芯材のうち前記補強部材に対向する側の部分に、左右の前記延出部と前記連結部とにわたって前記補強部材とは反対側に凹入する凹入部が形成されているクローラ走行装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、作業効率の向上を図る上においてクローラ走行装置の高馬力化が望まれている。しかしながら、前述した前者の構成では、クローラ走行装置の駆動時には、ゴム製のクローラベルトに備えた複数の駆動用突出部に対して駆動輪の各駆動用押圧部が押圧作用することになる。そのため、クローラ走行装置の高馬力化を図ると、各駆動用突出部の強度不足によって、各駆動用突出部がベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる不都合を招く虞があり、クローラ走行装置の高馬力化を図り難くなっていた。
【0005】
一方、前述した後者の構成では、クローラ走行装置の駆動時には、ベルト本体に埋設した各芯金の突起部分とゴム製の山形突起部とから構成した複数の駆動用突出部に対して、駆動輪の各駆動用押圧部が押圧作用することになる。そのため、クローラ走行装置の高馬力化を図るようにしても、各駆動用突出部の強度不足によって各駆動用突出部がベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞を効果的に防止することができる。その反面、ベルト本体に埋没させる面積の大きい帯板状の芯金本体と左右一対の突起部分とを備えることによって重量や製造コストが嵩む複数の芯金をクローラベルトに埋設することにより、又、面積の大きい芯金本体を埋没させることによって発生し易くなる虫食い現象(転輪通過面のゴムの部分に傷・割れが発生し、ぼろぼろにむしれる劣化現象)を抑制するためにベルト本体などのゴム厚を厚くすることにより、クローラベルトの重量が重くなるとともにクローラベルトの製造コストが嵩むようになる。
【0006】
本発明の目的は、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰を防止しながら、クローラ走行装置の高馬力化を図れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題解決手段は、
ベルト本体の内周面から突出する複数の駆動用突出部を周方向に一定ピッチで整列配備したゴム製のクローラベルトと、外周側に複数の駆動用押圧部を周方向に一定ピッチで整列配備した駆動輪とを備えて、前記駆動用押圧部により前記駆動用突出部を前記クローラベルトの回動方向に押圧して前記クローラベルトを駆動するように構成しており、
前記クローラベルトは、前記ベルト本体と前記駆動用突出部のそれぞれとに個別にわたる複数の補強芯材を内蔵しており、
前記補強芯材のそれぞれは、それらのベルト本体側の端部を、前記補強芯材とは別体に構成して前記ベルト本体に埋設する補強部材に連結しており、
前記補強芯材のそれぞれは、前記補強部材から前記駆動用突出部に向けて延出する左右の延出部と、左右の前記延出部を連結する横向きの連結部とを備えており、
前記補強芯材のそれぞれは、左右の前記延出部と前記連結部により構成されるH形状を呈しており、
前記補強芯材のそれぞれは、前記駆動用押圧部との対向箇所にくびれ部を有し、
前記補強芯材のうち前記補強部材に対向する側の部分に、左右の前記延出部
と前記連結部とにわたって前記補強部材とは反対側に凹入する凹入部が形成されている。
【0008】
この手段によると、クローラ走行装置の高馬力化を図るようにしても、ベルト本体と駆動用突出部のそれぞれとに個別にわたる各補強芯材により、各駆動用押圧部からの押圧力を受ける各駆動用突出部が、その押圧力によってベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞を効果的に防止することができる。
【0009】
又、各補強芯材におけるベルト本体側の端部をベルト本体に埋設した補強部材に連結することにより、前述した芯金本体のようなベルト本体に対する埋没面積の大きい部分を各補強芯材に形成しなくても、各駆動用突出部が各補強芯材とともにベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞を効果的に防止することができる。
【0010】
そして、各補強芯材に埋没面積の大きい部分を形成する必要がないことから、各補強芯材の最大左右幅を各駆動用突出部の最大左右幅よりも狭くすることができ、これにより、各補強芯材を、埋没面積の大きい芯金本体を備えることによって最大左右幅が各駆動用突出部の最大左右幅よりも広くなる芯金に比較して、小型で軽量の安価なものに構成することができる。その上、面積の大きい芯金本体を埋没させることによって発生し易くなる前述した虫食い現象を抑制するためにベルト本体などのゴム厚を厚くする必要もないことから、ゴム材使用量の増加によるクローラベルトの重量化や製造コストの高騰を回避することができる。
又、この手段によると、各補強芯材のくびれ部に位置する各駆動用突出部のゴム厚を厚くす
ることができ、これにより、ベルト本体と各駆動用突出部とにわたる補強芯材をクローラ
ベルトに内蔵しながらも、各駆動用押圧部が各駆動用突出部に押圧作用する際の衝撃音の
発生を効果的に抑制することができる。
又、各駆動用突出部を形成するゴム材が各補強芯材のくびれ部に入り込むことにより、
各駆動用突出部を形成するゴム材と各補強芯材との接合を強固にすることができ、各駆動
用突出部の耐久性を向上させることができる。
【0011】
従って、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰を防止しながら、クローラ走行装置の高馬力化を図ることができる。
また、この手段によると、例えば、各補強芯材を、駆動用突出部の左右幅の略全域にわたる左右幅を有する幅広に形成する場合に比較して、軽量で安価なものに構成することができる。
従って、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰をより効果的に防止することができる。
【0012】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記補強部材は、前記クローラベルトの周方向に沿わせた状態で前記ベルト本体に埋設した補強コードである。
【0013】
この手段によると、クローラベルトの周方向での補強を行うために、本来よりクローラベルトの周方向に沿わせた状態でベルト本体に埋設している補強コードに、各補強芯材におけるベルト本体側の端部を連結することになる。そのため、例えば、補強コードとは別の補強部材をベルト本体に埋設してこの補強部材に各補強芯材を連結する場合に比較して、クローラベルトの軽量化及び構成の簡素化を図りながら、各駆動用押圧部からの押圧力を受ける各駆動用突出部が各補強芯材とともにベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞をより効果的に防止することができる。
【0014】
従って、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰をより効果的に防止しながら、クローラ走行装置の高馬力化を図ることができる。
【0015】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記補強部材は、前記クローラベルトの周方向に対して傾斜させた状態で前記ベルト本体に埋設した補強コードである。
【0016】
この手段によると、クローラベルトの横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行うために、本来よりクローラベルトの周方向に対して傾斜させた状態でベルト本体に埋設している補強コードに、各補強芯材におけるベルト本体側の端部を連結することになる。そのため、例えば、補強コードとは別の補強部材をベルト本体に埋設してこの補強部材に各補強芯材を連結する場合に比較して、クローラベルトの軽量化及び構成の簡素化を図りながら、各駆動用押圧部からの押圧力を受ける各駆動用突出部が各補強芯材とともにベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞をより効果的に防止することができる。
【0017】
従って、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰をより効果的に防止しながら、クローラ走行装置の高馬力化を図ることができる。
【0018】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記補強部材は、前記ベルト本体に網状に埋設した補強コードであり、
前記補強芯材のそれぞれは、それらのベルト本体側の端部に、前記補強コードの網目に係入する複数の係合ピンを備えている。
【0019】
この手段によると、クローラベルトの横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行うために、本来よりベルト本体に網状に埋設している補強コードに、各補強芯材におけるベルト本体側の端部に備えた各係合ピンを係合連結することになる。そのため、例えば、補強コードとは別の補強部材をベルト本体に埋設してこの補強部材に各補強芯材を連結する場合に比較して、クローラベルトの軽量化及び構成の簡素化を図りながら、各駆動用押圧部からの押圧力を受ける各駆動用突出部が各補強芯材とともにベルト本体からクローラベルトの回動方向にもぎ取られる虞をより効果的に防止することができる。
【0020】
従って、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰をより効果的に防止しながら、クローラ走行装置の高馬力化を図ることができる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記連結部のそれぞれは、前記駆動用押圧部にて押圧される前記駆動用突出部の被押圧部位に配備し
、且つ、前記連結部は、前記延出部の高さ方向において、前記くびれ部と同じ長さ又は略同じ長さの直径を有している。
【0025】
この手段によると、クローラベルトの駆動時には、駆動輪の各駆動用押圧部からの押圧力が、各駆動用突出部の被押圧部位に位置する補強芯材の連結部に対して適切に作用することになる。これにより、駆動輪からの駆動力を、クローラベルトに内蔵した各補強芯材を介してクローラベルトのベルト本体に効率良く伝えることができる。
【0026】
従って、クローラ走行装置の高馬力化を伝動効率良く行うことができる。
【0027】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記連結部が丸棒状又は管状を呈している。
【0029】
又、各駆動用突出部を形成するゴム材が各補強芯材のくびれ部に入り込むことにより、各駆動用突出部を形成するゴム材と各補強芯材との接合を強固にすることができ、各駆動用突出部の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係るクローラ走行装置を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム1の前半部に原動部2を備え、車体フレーム1の後半部に運転用の搭乗空間を形成するキャビン3を配備している。そして、車体フレーム1における前部側の左右両側部に駆動可能で操舵可能な前輪4を配備し、車体フレーム1における後部側の左右両側部に駆動可能なクローラ走行装置5を配備することにより、4輪駆動型のセミクローラ仕様に構成している。
【0033】
図1及び
図2に示すように、車体フレーム1は、その後部側をトランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)6によって構成している。T/Mケース6は、その後部の左右両側部に、T/Mケース6の内部から左右に延出する左右の後車軸7を支持する後車軸ケース8を装備している。
【0034】
図示は省略するが、車体フレーム1の後部には、ロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置の連結装備を可能にするリンク機構、リンク機構を介した作業装置の昇降操作を可能にする油圧式の昇降機構、及び、車体フレーム1の後部にロータリ耕耘装置などの駆動型の作業装置を連結した場合に作業装置への作業用動力の取り出しを可能にするPTO軸、などを装備している。
【0035】
図1及び
図2に示すように、左右のクローラ走行装置5は、前後向きのトラックフレーム10、ゴム製のクローラベルト11、クローラベルト11を駆動する駆動輪12、駆動輪12の前下方にてクローラベルト11を回動案内する前側遊輪13、駆動輪12の後下方にてクローラベルト11を回動案内する後側遊輪14、及び、前側遊輪13と後側遊輪14との間にてクローラベルト11を回動案内する4つの転輪15、などを備えている。
【0036】
左右のトラックフレーム10は、その前後中間部から車体フレーム1に向けて延出する連結部材16を装備している。連結部材16は、後車軸ケース8にボルト連結した支持部材17に、左右向きの支軸18を介して連結している。
【0037】
図1〜3に示すように、左右のクローラベルト11は、硬度の高いゴム材からなる無端帯状のベルト本体19、ベルト本体19よりも硬度の低いゴム材からなる複数のラグ20、及び、ベルト本体19よりも硬度の高いゴム材からなる複数の駆動用突出部22、などを備えるように成形している。複数のラグ20は、ベルト本体19の外周面から突出する状態で、ベルト本体19の外周側に左右2列で周方向に一定ピッチで並ぶように整列形成している。複数の駆動用突出部22は、ベルト本体19の内周面から突出する状態で、ベルト本体19における内周面の左右中央側箇所にてベルト本体19の周方向に一定ピッチで並ぶように整列形成している。
【0038】
図2〜7に示すように、ベルト本体19には、クローラベルト11を補強する補強部材Aとして、クローラベルト11の周方向での補強を行う第1補強コードAa、及び、クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う網状の第2補強コードAbを埋設している。第1補強コードAaは、クローラベルト11の周方向に沿わせた状態で、クローラベルト11の横幅方向に一定ピッチで並ぶように螺旋状に配索した単一のスチールコード30により構成して、ベルト本体19の外周側に埋設している。第2補強コードAbは、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で傾斜させたスチール製の第1バイアスコード31と、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で第1バイアスコード31と逆向きに傾斜させたスチール製の第2バイアスコード32とを、網状に織り込んだ状態に構成して、ベルト本体19の内周側に埋設している。
【0039】
左右の駆動輪12は、対応する後車軸7にボルト連結した鋼板製で大径の回転ディスク23、及び、回転ディスク23の外周部にリング状に並ぶようにボルト連結した鋳造製の4つの分割駆動体24、によって構成している。各分割駆動体24は、回転ディスク23に対するボルト連結を可能にする板状の連結部24A、連結部24Aよりも左右幅の広い外周部24B、及び、外周部24Bから外向きに突出する複数の突出部24C、を有するように形成している。そして、各突出部24Cを、外周部24Bから左右に張り出す幅広に形成することにより、突出部形成箇所の断面形状がT字状になるように構成している。各突出部24Cは、駆動輪12を構成した場合に、クローラベルト11において隣接する2つの駆動用突出部22の間に入り込むことが可能な一定ピッチで、駆動輪12の周方向に整列配備した状態となるように配置設定している。そして、駆動輪12の回転駆動に伴って、その回転方向上手側に位置する駆動用突出部22を押圧することにより、駆動輪12の回転方向にクローラベルト11を回動させるように構成している。
【0040】
つまり、左右の駆動輪12は、各分割駆動体24に形成した複数の突出部24Cにより、駆動輪12の外周縁から外向きに突出する状態で、駆動輪12の周方向に一定ピッチで整列形成した状態となる複数の駆動用押圧部25を構成している。そして、これらの駆動用押圧部25が、駆動輪12の回転駆動に伴って、クローラベルト11の各駆動用突出部22を駆動輪12の回転方向に押圧してクローラベルト11を駆動するように構成している。
【0041】
この構成から、左右の後車軸7とともに左右の駆動輪12を前進方向に回転駆動すると、この回転駆動に伴って、左右の駆動輪12の各駆動用押圧部25が対応するクローラベルト11の各駆動用突出部22を前進方向に押圧する。これにより、左右のクローラベルト11を前進方向に回動させることができ、車体を前進させることができる。逆に、左右の後車軸7とともに左右の駆動輪12を後進方向に回転駆動すると、この駆動に伴って、左右の駆動輪12の各駆動用押圧部25が対応するクローラベルト11の各駆動用突出部22を後進方向に押圧する。これにより、左右のクローラベルト11を後進方向に回動させることができ、車体を後進させることができる。
【0042】
図1に示すように、左右の前側遊輪13は、前側遊輪13を前下方に突出付勢する付勢機構26を介してトラックフレーム10の前端部に装備することにより、駆動輪12の前下方に配置している。又、クローラベルト11に形成した各駆動用突出部22の左右に隣接する左右の輪体27を備えた外転輪型に構成している。この構成により、クローラベルト11を緊張状態に維持するとともに、前側遊輪13に対するクローラベルト11の左右方向への位置ズレを防止している。
【0043】
左右の後側遊輪14は、トラックフレーム10の後端部に装備することにより、駆動輪12の後下方に配置している。又、クローラベルト11に形成した各駆動用突出部22の左右に隣接する左右の輪体28を備えた外転輪型に構成することにより、後側遊輪14に対するクローラベルト11の左右方向への位置ズレを防止している。
【0044】
図1及び
図2に示すように、左右の各転輪15は、トラックフレーム10の下部に前後方向に所定ピッチで装備することにより、前側遊輪13と後側遊輪14との間に配置している。又、クローラベルト11に形成した各駆動用突出部22の左右に隣接する左右の輪体29を備えた外転輪型に構成することにより、各転輪15に対するクローラベルト11の左右方向への位置ズレを防止している。
【0045】
図2〜6に示すように、左右のクローラベルト11は、ベルト本体19の内周面側における各駆動用突出部22の間に、対応する駆動輪12に備えた各駆動用押圧部25の係入を許容する係入部11Aを形成している。各係入部11Aは、クローラベルト11の左右方向視での形状が底窄まりの台形状になるように形成している。そして、それらの底壁部分11aに各駆動用押圧部25の突出端部分25aが接合するように形成している。
【0046】
左右のクローラベルト11において、各駆動用突出部22は、それらの突出長さを、前側遊輪13を支持する付勢機構26の遊輪支持部(図示せず)と、後側遊輪14を支持するトラックフレーム10の遊輪支持部(図示せず)と、各転輪15を支持するトラックフレーム10の各転輪支持部10Aとのそれぞれに接触しない範囲で極力長くしている。そして、それらの突出端部位の左右中央箇所に凹入部分22Aを備えることにより、それらのクローラベルト11の回動方向視での形状が略U字状になるように形成している。又、それらの突出端側ほど隣り合う駆動用突出部22との離間距離が長くなるように設定することにより、クローラベルト11の左右方向視での形状が略三角形状になるように形成している。
【0047】
そして、クローラベルト11の駆動時には、突出長さを極力長くした各駆動用突出部22の左右両側端が、前側遊輪13と後側遊輪14と各転輪15とのそれぞれにおける左右の対応する輪体27〜29に隣接するように構成している。これにより、クローラベルト11の前後の遊輪13,14及び転輪15に対する左右方向への位置ズレをより確実に防止することができる。又、駆動輪12を構成した状態においてリング状になる各分割駆動体24の外周部24Bが、各駆動用突出部22の凹入部分22Aに係入して、外周部24Bの左右両側端が凹入部分22Aの左右両側壁に隣接するように構成している。これにより、各駆動用突出部22に凹入部分22Aを形成することによるクローラベルト11の軽量化を図りながら、駆動輪12に対するクローラベルト11の左右方向への位置ズレを防止することができる。更に、各駆動用突出部22におけるクローラベルト11の左右方向視での形状が略三角形状であることにより、各駆動用突出部22の間に形成した係入部11Aに対する各駆動用押圧部25の係入を円滑にすることができる。
【0048】
左右の駆動輪12において、各駆動用押圧部25は、広い押圧面積を確保しながらクローラベルト11の各係入部11Aへの係入がスムーズに行われるように、駆動輪12の回転方向視での形状が幅広で先窄まりの台形状になり、かつ、左右方向視での形状が幅狭で先窄まりの台形状になるように形成している。
【0049】
図2〜7に示すように、左右のクローラベルト11には、ベルト本体19と駆動用突出部22のそれぞれとに個別にわたる金属製の複数の補強芯材21を内蔵している。各補強芯材21は、ベルト本体19に埋設した第2補強コードAbから駆動用突出部22に向けて延出する左右の延出部21Aと、左右の延出部21Aを連結する横向きの連結部21Bとを備えて、それらのクローラベルト11の回動方向視での形状が略H字状になるように形成している。又、それらの最大左右幅が、駆動用突出部22の最大左右幅よりも狭くなる幅狭に形成している。そして、左右の延出部21Aにおけるベルト本体側の端部には、上部側の横断面積よりも広い接合面積を有する矩形状の接合面21Cを形成してあり、これらの接合面21Cを第2補強コードAbに接着ゴムを介して接着することにより、左右の延出部21Aにおけるベルト本体側の端部を、広い接合面積により接着力を高めた状態で第2補強コードAbに連結している。
【0050】
左右の駆動輪12において、各駆動用押圧部25は、それらの駆動輪12の回転方向に面する前後両面に、クローラベルト11の各駆動用突出部22に対してクローラベルト11の回動方向(以下、ベルト回動方向と称する)に押圧作用する台形状の押圧面25Aを備えるように形成している。各押圧面25Aは、各駆動用突出部22に内蔵した補強芯材21における左右の延出部21Aにわたる幅広の左右幅を有するように形成している。
【0051】
上記の構成から、左右の後車軸7とともに左右の駆動輪12を前進方向又は後進方向に回転駆動すると、左右の駆動輪12の各駆動用押圧部25が、左右のクローラベルト11における各駆動用突出部間の係入部11Aに次々と係入して、対応する駆動用突出部22を駆動輪12の回転方向に押圧する。一方、左右のクローラベルト11の各駆動用突出部22は、左右の駆動輪12の各駆動用押圧部25からの押圧力を、各駆動用突出部22とベルト本体19との連接箇所、及び、各駆動用突出部22とベルト本体19とにわたる補強芯材21を介して、ベルト本体19に伝える。これにより、左右のクローラベルト11を、左右の駆動輪12の回転方向に回動させることができ、左右のクローラ走行装置5を駆動することができる。
【0052】
そして、左右のクローラベルト11に、ベルト本体19と駆動用突出部22のそれぞれとに個別にわたる補強芯材21を内蔵したことにより、重負荷牽引作業時における各駆動用突出部22の変形を抑制することができ、これにより、各駆動用押圧部25を各駆動用突出部22の間に位置する各係入部11Aに円滑に係入させることができる。又、左右のクローラ走行装置5の高馬力化を図るようにしても、各駆動用押圧部25からの押圧力を受ける各駆動用突出部22が、その押圧力によってベルト本体19からベルト回動方向にもぎ取られる虞を効果的に防止することができる。
【0053】
更に、各補強芯材21におけるベルト本体側の端部をベルト本体19に埋設した第2補強コードAbに連結したことにより、左右のクローラ走行装置5の高馬力化を図ることによって各駆動用突出部22が各補強芯材21とともにベルト本体19からベルト回動方向にもぎ取られる虞を効果的に防止することができる。
【0054】
その上、各補強芯材21に代えて、例えば、ベルト本体19に埋没させる面積の大きい帯板状の芯金本体と左右の芯金突起とを備えることによって重量や製造コストが嵩む一般的な芯金の複数をクローラベルト11に埋設する場合に比較して、クローラベルト11の補強に伴うベルト重量の増加や製造コストの高騰を抑制することができる。又、各補強芯材21は、芯金のようにベルト本体19に埋没させる面積の大きい芯金本体を備えていないことから、芯金を埋設する場合のように、転輪通過面のゴムの部分に傷・割れが発生し、ぼろぼろにむしれる劣化現象(いわゆる虫食い現象)を抑制するためにベルト本体19やラグ20のゴム厚を厚くする必要がないことから、クローラベルト11の耐久性の確保に伴うベルト重量の増加や製造コストの高騰をも抑制することができる。
【0055】
つまり、クローラベルトの重量化や製造コストの高騰を防止しながら、クローラ走行装置5の高馬力化を図ることができる。
【0056】
又、上記の構成による各駆動用押圧部25の補強を行うことにより、各駆動用突出部22に採用するゴム材として、ベルト本体19に採用するゴム材と同じ硬度のものを採用しながら、各駆動用突出部22の耐久性を向上させることも可能になる。そして、ベルト本体19と各駆動用突出部22とのそれぞれに同じ硬度のゴム材を採用する場合には、ベルト本体19と各駆動用突出部22との間において硬度差を得るための別加硫を不要にすることができ、これにより、コストの削減や製造の容易化を図りながら、各駆動用突出部22の耐久性を向上させることができる。
【0057】
図2〜7に示すように、左右のクローラベルト11において、各駆動用突出部22は、それらの基部側が、各駆動用押圧部25の押圧面25Aを受け止めて押圧される被押圧部位22Bとなるように構成している。又、各補強芯材21は、左右の延出部21Aにおける各駆動用押圧部25との対向箇所にくびれ部21aを有するように形成している。又、連結部21Bは、くびれ部21aのベルト回動方向での長さと同じ長さ又は略同じ長さを直径とする丸棒状に形成して、各駆動用突出部22の被押圧部位22Bに配備している。
【0058】
上記の構成から、左右の後車軸7とともに左右の駆動輪12を前進方向又は後進方向に回転駆動すると、左右の駆動輪12の各駆動用押圧部25が、左右のクローラベルト11の各駆動用突出部22に対して、それらの内部に備えた補強芯材21の連結部21Bを中心にした適切な状態で押圧作用する。これにより、左右の駆動輪12からの駆動力を、各駆動用突出部22の被押圧部位22Bからクローラベルト11に埋設した各補強芯材21などを介して左右のクローラベルト11に効率良く伝えることができ、左右のクローラ走行装置5による推進力を高めることができる。
【0059】
又、各補強芯材21のくびれ部21a及び連結部21Bに位置する各駆動用突出部22のゴム厚を厚くすることができ、これにより、ベルト本体19と各駆動用突出部22とにわたる補強芯材21をクローラベルト11に内蔵しながらも、各駆動用押圧部25が各駆動用突出部22に押圧作用する際の衝撃音の発生を効果的に抑制することができる。
【0060】
更に、各補強芯材21における左右の延出部21Aがくびれ部21aを有することにより、各駆動用突出部22を形成するゴム材が各補強芯材21のくびれ部21aに入り込むようになる。又、前述したように、各補強芯材21を略H字状に形成したことにより、各駆動用突出部22を形成するゴム材が、ベルト本体19と各補強芯材21における左右の延出部21Aと連結部21Bとで囲まれた領域に入り込むようになる。その結果、各駆動用突出部22を形成するゴム材と各補強芯材21との接合を強固にすることができ、各駆動用突出部22の耐久性を向上させることができる。又、ベルト本体19において、左右のラグ20を繋ぐ状態になる左右中央側部位19Aの厚みを大きくすることができる。これにより、前述した一般的な芯金をクローラベルト11に埋設する場合に生じていた、左右中央側部位19Aにて大きい厚みを確保するためにベルト本体19の全体の厚みを大きくすることによる、クローラベルト11の不必要な重量化などを防止することができる。
【0061】
図2〜6に示すように、各補強芯材21において、左右の延出部21Aは、それらの駆動用突出部側の端部が各駆動用突出部22における左右の突出端の近くに位置するように形成している。又、連結部21Bは、各駆動用突出部22における凹入部分22Aの底壁部位の近くに配備している。これにより、クローラベルト11の駆動時に前側遊輪13と後側遊輪14と各転輪15とのそれぞれにおける左右の輪体27〜29に隣接する各駆動用突出部22の左右両側端部位、並びに、クローラベルト11の駆動時に駆動輪12の外周部24Bが隣接する各駆動用突出部22における凹入部分22Aの左右両側壁部位及び底壁部位を、各補強芯材21によって補強することができる。その結果、クローラベルト11の各駆動用突出部22と、駆動輪12、前後の遊輪13,14、及び転輪15との間で行う、それらに対するクローラベルト11の左右方向への位置ズレ防止に関する各駆動用突出部22の耐久性を向上させることができる。
【0063】
〔1〕左右のクローラ走行装置5は、左右の前輪4に代えてトラクタなどの作業車における前部の左右に備えるように構成してもよい。又、左右の前輪4及び左右の後輪に代えてトラクタなどの作業車の前後にわたる状態で作業車の左右に備えるように構成してもよい。
【0064】
〔2〕左右のクローラベルト11は、ベルト本体19の内周面側における各駆動用突出部22の間に、駆動輪12に備えた各駆動用押圧部25の係入を許容する凹入部を備えるように形成してもよい。
【0065】
〔3〕左右のクローラベルト11においては、ベルト本体19と各駆動用突出部22とに同じ硬度のゴム材を採用してもよい。
【0066】
〔4〕左右のクローラベルト11における各駆動用突出部22の形状は種々の変更が可能である。例えば、各駆動用突出部22を、それらのクローラベルト11の回動方向視での形状が、それらの突出端部位の左右中央箇所に凹入部分22Aを備えない台形状又は矩形状になるように形成してもよい。尚、各駆動用突出部22は、駆動輪12の各駆動用押圧部25における押圧面25Aの全域を受け止めて押圧されるように構成することが好ましい。
【0067】
〔5〕左右の駆動輪12の構成は種々の変更が可能である。例えば、左右の駆動輪12を、回転ディスク23と3分割形状又は5分割形状などの分割駆動体24とから構成してもよい。又、対向する左右の回転ディスクに、それらの外周部にわたる左右向きの複数の駆動ピンを駆動輪12の回転方向に一定ピッチで整列配備したかご型に構成してもよい。
【0068】
〔6〕左右の駆動輪12における各駆動用押圧部25の形状は種々の変更が可能である。例えば、各駆動用押圧部25を、それらの左右方向視での形状が、突出方向に長い楕円形、円形、略V字状、又は、略U字状、になるように形成してもよい。又、それらの駆動輪12の回転方向視での形状が、突出端側の左右中央箇所に凹入部分を有する略U字状になるように形成してもよい。
【0069】
〔7〕左右のクローラベルト11に内蔵する各補強芯材21の構成及び形状などは種々の変更が可能であり、以下に、その具体例を列記する。
図8及び
図9に示すように、各補強芯材21において、左右の延出部21Aを連結する連結部21Bを管状に形成して、その内部に各駆動用突出部22を形成するゴム材を充填するように構成してもよい。
各補強芯材21を、左右の延出部21Aと、それらの駆動用突出部側の端部を連結する横向きの連結部21Bとから、それらのクローラベルト11の回動方向視での形状が略U字状になるように形成してもよい。
各補強芯材21を、各駆動用突出部22の左右幅の略全域にわたる幅広の左右幅を有する単一部材により構成してもよい。
各補強芯材21を、複数の延出部21Aにより構成してもよい。
各補強芯材21を、それらのベルト本体側の端部に円形や楕円形などの接合面21Cを備えるように構成してもよい。
各補強芯材21を、それらのベルト本体側の端部に、左右の延出部にわたる幅広の接合面21Cを備えるように構成して、広い接合面積による接着力の向上を図るようにしてもよい。
各補強芯材21を、それらの網状の第2補強コードAbに対する接合面21Cに、第2補強コードAbに対する接着性能を高めるための微細な凹凸を有するように構成してもよい。
図10に示すように、各補強芯材21を、それらのベルト本体側の端部に網状の第2補強コードAbに対する接合面21Cを備え、それらの接合面21Cに、第2補強コードAbの網目に係入する複数の係合ピン21Dを備えるように構成してもよい。
各補強芯材21を、耐衝撃性や耐熱性などに優れたポリカーボネートなどによる樹脂製に構成してもよい。
【0070】
〔8〕補強部材Aによるクローラベルト11の補強構造は種々の変更が可能であり、以下に、その具体例を列記する。
クローラベルト11の周方向での補強を行う補強部材Aである第1補強コードAaをベルト本体19の内周側に埋設し、クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う補強部材Aである網状の第2補強コードAbをベルト本体19の外周側に埋設してもよい。この構成では、ベルト本体19の内周面側に位置する第1補強コードAaに各補強芯材21を連結することになる。
補強部材Aとして、クローラベルト11の周方向での補強を行う第1補強コードAa、及び、クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う第3補強コードと第4補強コードとを、積層状態でベルト本体19に埋設してもよい。尚、第3補強コードは、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で傾斜させたスチール製のバイアスコードであり、第4補強コードは、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で第3補強コードと逆向きに傾斜させたスチール製のバイアスコードである。この構成では、ベルト本体19の最内周面側に位置する補強コードに各補強芯材21を連結することになる。
補強部材Aとして、スチール製の補強コードに代えて、ナイロンやポリエステルなどの樹脂製の補強コードを採用してもよい。
クローラベルト11の周方向での補強を行う第1補強コードAaを、クローラベルト11の周方向に沿うループ状で、クローラベルト11の横幅方向に一定ピッチで並ぶように整列配備した複数のスチールコード又は樹脂コードより構成してもよい。
クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う網状の第2補強コードAbを、第1補強コードAaと、第1補強コードAaに直交する複数のバイアスコードとを網状に織り込むことによって構成してもよい。
クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う網状の第2補強コードAbを、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で傾斜させたバイアスコードからなる第3補強コードと、クローラベルト11の周方向に対して所定角度で第3補強コードと逆向きに傾斜させたバイアスコードからなる第4補強コードとを、積層状態でベルト本体19に埋設することによって構成してもよい。
図11及び
図12に示すように、クローラベルト11の横幅方向での補強や捩じりに対する補強などを行う補強部材Aとして、バイアスコードに代えて、複数の帯状の補強板33を、それらの長手方向がクローラベルト11の横幅方向に沿う横向き姿勢で、クローラベルト11の周方向に一定ピッチで並ぶように、ベルト本体19に埋設してもよい。この構成では、同図に示すように、各補強芯材21に備えた左右の係合ピン21Eと、各補強板33に形成した左右の係合孔33Aとの係合により、各補強芯材21を各補強板33に連結するように構成してもよい。尚、各補強板33は、各補強芯材21の材質と同じ金属製、又は、各補強芯材21の材質と異なる金属製であってもよく、又、耐衝撃性や耐熱性などに優れたポリカーボネートなどによる樹脂製であってもよい。又、クローラベルト11の軽量化などを図るために、各補強芯材21に複数の貫通孔を形成してもよい。
【0071】
〔9〕各補強芯材21の補強部材Aに対する連結を、各補強芯材21におけるベルト本体側の端部と補強部材Aとの接着剤による接着で行うように構成してもよい。又、各補強芯材21におけるベルト本体側の端部と補強部材Aとの接着ゴム又は接着剤による接着、及び、各補強芯材21に備えた係合ピン21Dなどによる各補強芯材21におけるベルト本体側の端部と補強部材Aとの係合で行うように構成してもよい。