特許第6137972号(P6137972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137972原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137972
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置
(51)【国際特許分類】
   G21D 1/00 20060101AFI20170522BHJP
   C23F 11/18 20060101ALI20170522BHJP
   G21F 9/10 20060101ALI20170522BHJP
   G21C 19/30 20060101ALI20170522BHJP
   G21C 19/307 20060101ALI20170522BHJP
   G21C 9/004 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G21D1/00 W
   C23F11/18
   C23F11/18 102
   G21F9/10 F
   G21C19/30 Z
   G21C19/30 D
   G21C9/00 E
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-150322(P2013-150322)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-21850(P2015-21850A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 和美
(72)【発明者】
【氏名】石岡 真一
(72)【発明者】
【氏名】岩波 勝
【審査官】 長谷川 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−092392(JP,A)
【文献】 特開2013−007107(JP,A)
【文献】 特開平05−168951(JP,A)
【文献】 特開2003−048716(JP,A)
【文献】 特開2004−346410(JP,A)
【文献】 特開2012−206868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0250813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/00
C23F 11/18
G21C 9/004
G21C 19/30
G21C 19/307
G21F 9/10
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む海水が滞留している原子炉構造物に対し、腐食抑制剤を含む水を供給する腐食抑制剤含有水供給ステップと、
前記原子炉構造物から排出された、前記腐食抑制剤及び前記放射性物質を含む海水に対して沈殿生成剤を添加し、水に対して再溶解可能な、前記腐食抑制剤の沈殿物を生成させる沈殿物生成ステップと、
当該沈殿物生成ステップにおいて生成した沈殿物を上清から分離する分離ステップと、
当該分離ステップにおいて分離された沈殿物をイオン化し、前記腐食抑制剤が溶解した水を得るイオン化ステップと、
当該イオン化ステップにおいて得られた、前記腐食抑制剤が溶解した水を、前記腐食抑制剤含有水供給ステップにおける前記原子炉構造物に供給する水に添加する腐食抑制剤添加ステップと、を有することを特徴とする、原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項2】
前記腐食抑制剤は、オキソ酸塩及び前記オキソ酸塩を構成するイオンのうちの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項3】
前記オキソ酸塩は、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩及びバナジン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2に記載の原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項4】
前記沈殿物生成ステップにおいて前記腐食抑制剤が回収された後の海水から前記放射性物質を除去し、当該放射性物質が除去された後の海水が淡水化されて得られた淡水が、前記腐食抑制剤含有水供給ステップにおける前記原子炉構造物に供給する水として使用されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項5】
前記沈殿生成剤は、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム及び亜硝酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項6】
前記イオン化ステップにおいて、前記沈殿物のイオン化は、前記沈殿物を水素型強酸性イオン交換樹脂及び酸性水溶液のうちの少なくとも一方と接触させることにより行われることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の原子炉構造物の腐食抑制方法。
【請求項7】
腐食抑制剤を含む水が供給された原子炉構造物から排出され、前記腐食抑制剤及び放射性物質を含む海水に沈殿生成剤を添加することにより、前記腐食抑制剤の沈殿物を生成させる反応装置と、
前記反応装置において生成した前記沈殿物を上清から分離するとともに、分離された上清を前記原子炉構造物に供給する分離装置と、
前記分離装置において分離された沈殿物をイオン化させることで前記腐食抑制剤が溶解した水を得て、得られた水を前記原子炉構造物に供給されるに添加するイオン化装置と、を備えることを特徴とする、原子炉構造物の腐食抑制装置。
【請求項8】
前記腐食抑制剤は、オキソ酸塩及び前記オキソ酸塩を構成するイオンのうちの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項7に記載の原子炉構造物の腐食抑制装置。
【請求項9】
前記オキソ酸塩は、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩及びバナジン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項8に記載の原子炉構造物の腐食抑制装置。
【請求項10】
前記沈殿生成剤は、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム及び亜硝酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項7〜9の何れか1項に記載の原子炉構造物の腐食抑制装置。
【請求項11】
前記イオン化装置は、水素型強酸性イオン交換樹脂及び前記沈殿物を強酸と接触させる強酸接触装置のうちの少なくとも一方を備えて構成されていることを特徴とする、請求項7〜9の何れか1項に記載の原子炉構造物の腐食抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントにおいて、例えば原子炉(原子炉構造物)を冷却する水(冷却水)としては、原子炉の腐食を抑制するために、含有するイオンの種類や濃度等が制御された水(純水等)が用いられる。しかしながら、不測の事故により、このような制御された水を用いることができず、代わりに河川水や海水等を使用せざるを得ない場合や、機器の故障等により他の機器で冷却水としている海水等が流入する場合がある。また、発電プラントの運転を中止した後、原子炉の廃止処置や大規模修繕工事までの期間、原子炉の冷却水に何らかの要因で腐食性物質が混入することもある。
【0003】
そして、これらの場合には、原子炉に対して所定の冷却水以外の水が供給されることになるため、供給される水に含まれるイオンによっては、原子炉の腐食が懸念されることがある。特に、塩化物イオンを大量に含む水(海水等)が原子炉に供給された場合、原子炉の腐食への懸念が深刻なものになる。
【0004】
そこで、金属の腐食を抑制する腐食抑制剤を用い、腐食抑制剤を含む水が原子炉等の原子炉構造物に供給されるようにすることが考えられる。このような技術として、例えば特許文献1には、原子力プラントにおける放射性物質を含む流体が接する構造物に付着した放射性腐食生成物を除去する原子力プラント内化学除染処理システムによる原子力プラント内化学除染処理工程と、原子炉格納容器の圧力抑制室に貯留されたサプレッションプール水中の不溶解性不純物をろ過処理して前記プール水を浄化するサプレッションプール水浄化処理システムによるサプレッションプール水浄化処理工程と、放射性廃液中に含有された腐食抑制剤を分解処理して無害化する腐食抑制剤含有廃液処理システムによる腐食抑制剤含有廃液処理工程とを略同時期に順次実施する場合に、前記各工程において使用される装置・機器を共用化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−223739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、サプレッションプール(圧力抑制室、原子炉構造物)内の水に腐食抑制剤が含まれている。これにより、サプレッションプール内やそれに接続される機器や配管等の腐食が抑制されるようになっている。この水は腐食抑制剤とともに適宜抜き出された後、新たな腐食抑制剤がサプレッションプール内に供給されるようになっている。抜き出された水に含まれる腐食抑制剤は、当該自ら除去された後に濃縮され、廃棄物として処理されている。
【0007】
このような廃棄物は、通常は放射性廃棄物として処理される。従って、廃棄物の量が多くなればなるほど、処理に手間がかかる。特に、原子炉構造物からの排出水に放射性物質が何らかの理由により混入した場合、この廃棄物には多量の放射性物質が含まれることがある。そのため、放射性廃棄物の処理にあたって、よりいっそうの手間を要することがある。また、使用済みの腐食抑制剤は前記のように抜き出されて除去されるため、サプレッションプールに供給する水には、新たに腐食抑制剤を添加しなければならないことがある。従って、使用済みの腐食抑制剤は増加し続け、それに伴って、放射性廃棄物の量も増加し続けることになる。
【0008】
本発明は前記課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決する課題は、放射性廃棄物をできるだけ削減可能な原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下のようにすることにより前記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明の要旨は、放射性物質を含む海水が滞留している原子炉構造物に対し、腐食抑制剤を含む水を供給する腐食抑制剤含有水供給ステップと、前記原子炉構造物から排出された、前記腐食抑制剤及び前記放射性物質を含む海水に対して沈殿生成剤を添加し、水に対して再溶解可能な、前記腐食抑制剤の沈殿物を生成させる沈殿物生成ステップと、当該沈殿物生成ステップにおいて生成した沈殿物を上清から分離する分離ステップと、当該分離ステップにおいて分離された沈殿物をイオン化し、前記腐食抑制剤が溶解した水を得るイオン化ステップと、当該イオン化ステップにおいて得られた、前記腐食抑制剤が溶解した水を、前記腐食抑制剤含有水供給ステップにおける前記原子炉構造物に供給する水に添加する腐食抑制剤添加ステップと、を有することを特徴とする、原子炉構造物の腐食抑制方法に関する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放射性廃棄物をできるだけ削減可能な原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における、原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。
図2】腐食抑制剤を再利用するときのフローチャートである。
図3】第2実施形態における、別の原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。
図4】第3実施形態における、さらに別の原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態における、原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。第1実施形態では、原子力プラント50、具体的には原子炉建屋51及びタービン建屋54(タービン建屋54に格納される蒸気タービンは図示の都合上図示していない)には、海水が浸水している。そして、原子炉圧力容器53及び原子炉格納容器52は破損している。そのため、原子炉圧力容器53に供給された冷却水は原子炉圧力容器53及び原子炉格納容器52から漏出し、原子力プラント50の床に海水とともに滞留している。また、これらが破損しているため、これらからセシウム等の放射性物質が漏出し、放射性物質が前記の海水に含まれている。
【0014】
このような状況の下、第1実施形態における水処理においては、原子力プラント50に浸水して滞留している海水(滞留水)が、図示しないポンプにより、汲み上げられている。そして、汲み上げられた海水は、含まれる腐食抑制剤(詳細は後記する)が除去された後、淡水化される。その後、得られた淡水に腐食抑制剤が添加され、腐食抑制剤を含む淡水が原子炉を冷却するための水として、原子炉格納容器52内の原子炉圧力容器53(原子炉構造物)に供給されるようになっている。即ち、後記する腐食抑制装置100は、放射性物質、特にはセシウムを含む海水からセシウムを除去するとともに淡水化し、得られた淡水が、再び原子炉圧力容器53に供給されるようになっている。
【0015】
このように、原子力プラント50と後記する腐食抑制装置100との間では、水(海水及び淡水)が循環していることになる。そして、原子力プラント50に供給する冷却水(淡水)に腐食抑制剤が添加され、原子力プラント50から排出された水(海水)からは腐食抑制剤が回収されるようにもなっている。これにより、腐食抑制剤の再利用が行われ、放射性廃棄物の排出量が削減されるようになっている。
【0016】
以下、図1に示す各装置について説明する。
【0017】
〔構成〕
腐食抑制装置100は、反応槽101と、沈降槽102と、イオン交換樹脂103とを備えている。さらに、第1実施形態の腐食抑制装置100は、セシウム除去装置104と、淡水化装置105と、淡水タンク106と、濃縮水タンク107と、蒸発濃縮装置108と濃縮廃液貯槽109とを備えている。また、詳細は後記するが、第1実施形態では、使用する腐食抑制剤としてモリブデン酸ナトリウム(オキソ酸塩;水中ではモリブデン酸イオン(前記のオキソ酸塩を構成するイオン)に解離する)が用いられている。さらに、水中の腐食抑制剤(モリブデン酸イオン)を沈殿させて回収するための沈殿生成剤として、塩化カルシウム(水中ではカルシウムイオンに解離する)が用いられている。
【0018】
反応槽101は、原子力プラント50から汲み上げた滞留水に塩化カルシウム又はカルシウムイオンを投入して、腐食抑制剤の沈殿物を生成させるものである。第1実施形態では、腐食抑制剤として水溶性のモリブデン酸ナトリウムを用いているため、この沈殿は、難溶性のモリブデン酸カルシウム(腐食抑制剤のカルシウム塩)である。
【0019】
沈降槽102は、反応槽101において発生した沈殿物を沈降分離するものである。分離された、スラリー状の沈殿物(モリブデン酸カルシウム)は、後記するイオン交換樹脂103に供給されるようになっている。また、腐食抑制剤が除去された後の上清(セシウム等を含む)は、後記するセシウム除去装置104に供給されるようになっている。
【0020】
イオン交換樹脂103は、水素型強酸性イオン交換樹脂により構成されている。イオン交換樹脂103に沈殿物を接触させることで、モリブデン酸カルシウムに含まれるカルシウムイオンと水素イオンとをイオン交換し、可溶性のモリブデン酸イオンが生成するようになっている。生成したモリブデン酸イオンは、詳細は後記するが、淡水タンク106の後段において、腐食抑制剤としてのモリブデン酸ナトリウムに代えて、又はモリブデン酸ナトリウムとともに、淡水に添加されるようになっている。これにより、腐食抑制剤を含む淡水(冷却水)が原子炉格納容器53に供給され、原子炉格納容器53内等の原子力プラント50の腐食が抑制されるようになっている。
【0021】
なお、モリブデン酸カルシウムを構成していたカルシウムは、イオン交換樹脂103に吸着される。従って、イオン交換樹脂103は、硫酸や硝酸等の強酸により定期的に洗浄され、これにより、強酸中の水素イオンとカルシウムイオンとがイオン交換され、イオン交換樹脂103の再生が行われるようになっている。また、再生により得られたカルシウムイオンは、詳細は後記するが、反応槽101において、塩化カルシウムに代えて、又は塩化カルシウムとともに、原子力プラント50から汲み上げられた滞留水に添加されるようになっている。
【0022】
セシウム除去装置104は、沈降槽102において沈殿物が除去された後の上清、即ちセシウムを含む海水が供給され、海水中のセシウムが除去されるものである。セシウム除去装置104は、具体的にはゼオライト等の吸着剤が海水に添加され、吸着剤にセシウムを吸着させることで、セシウムが除去されるようになっている。なお、ゼオライト等の吸着剤により、他の放射性物質の吸着も可能になっている。
【0023】
淡水化装置105は、セシウムが除去された後の海水を淡水化するものである。具体的には、淡水化装置105は逆浸透膜等により構成され、図示しない高圧ポンプを用いて逆浸透膜を透化させることで、淡水と、イオンを含む濃縮水とに分離することができるようになっている。淡水化装置105において得られた淡水は淡水タンク106に貯留されるようになっている。また、濃縮水は、濃縮水タンク107に貯留されるようになっている。なお、淡水タンク106に貯留された淡水が、原子炉圧力容器53に供給されるようになっている。
【0024】
蒸発濃縮装置108は、淡水化装置105において濃縮された濃縮水を加熱し、さらに濃縮するものである。即ち、濃縮水を加熱沸騰させることで水蒸気(水)を分離し、イオン等を含む濃縮水がさらに濃縮されるようになっている。さらに濃縮されたイオン等は、濃縮液として、濃縮廃液貯槽109に貯留される。また、得られた水蒸気は、冷却後、前記の淡水タンク106に貯留されるようになっている。
【0025】
〔作用〕
次に、腐食抑制装置100を用いた、原子力プラント50に滞留している海水を処理する方法(腐食抑制方法)を説明する。
【0026】
図2は、腐食抑制剤を再利用するときのフローチャートである。なお、図2においては、説明の簡略化のために、腐食抑制剤であるモリブデン酸ナトリウムやモリブデン酸イオンの添加及び回収に関する工程を主に示し、水の循環に関する工程については示していない。
【0027】
はじめに、原子炉圧力容器53への冷却水に、腐食抑制剤としてのモリブデン酸ナトリウムが添加される(ステップS101)。そして、モリブデン酸ナトリウムが添加された冷却水が原子炉圧力容器53に供給される。前記のように、原子炉格納容器52及び原子炉圧力容器53は破損し、腐食抑制剤を含む冷却水は、原子炉建屋51及びタービン建屋54の床面に滞留し、浸水した海水とともに滞留水となる。そこで、図示しないポンプによりこの滞留水が汲み上げられて反応槽101に供給され、汲み上げられた滞留水に対し、塩化カルシウムが添加される(ステップS102)。これにより、滞留水中のモリブデン酸イオンと添加されたカルシウムイオンとが結合して難溶性のモリブデン酸カルシウムとなり、モリブデン酸カルシウムの沈殿物が発生する(ステップS103、沈殿物生成ステップ)。これらの工程により、原子力プラント50の滞留水に含まれる腐食抑制剤が、沈殿物に変化して、滞留水中から除去される。
【0028】
次いで、沈殿物を含む滞留水は沈降槽102に供給され、沈降槽102において、上清と沈殿物とに分離される(ステップS104、分離ステップ)。分離された沈殿物は、モリブデン酸カルシウムのスラリーとしてイオン交換樹脂103に供給される。そうすると、イオン交換樹脂103において、モリブデン酸カルシウムを構成するカルシウムイオンとイオン交換樹脂103の水素イオンとがイオン交換され、モリブデン酸カルシウム(沈殿物)が可溶化する(ステップS105、イオン化ステップ)。即ち、初めに添加した腐食抑制剤は、モリブデン酸イオンの形態に再び戻り、水中で存在することになる。
【0029】
そして、イオン交換樹脂103において得られたモリブデン酸イオンは、ステップS101において添加したモリブデン酸ナトリウムの代わりに、腐食抑制剤として、原子炉圧力容器53への冷却水(淡水)に添加される(ステップS106)。これにより、新たなモリブデン酸ナトリウムを外部から添加することなく、モリブデン酸イオンが添加された冷却水が原子炉圧力容器53に再び供給されることになる。
【0030】
一方で、イオン交換樹脂103において、担持されるカルシウムイオンの量には限界がある。そこで、例えば硫酸や硝酸をイオン交換樹脂103と接触させることで担持されているカルシウムイオンを脱離させ、イオン交換樹脂103の再生が適宜行われる。脱離されたカルシウムイオンは、図示しないタンクにいったん貯蔵される。そして、ステップS102において添加した塩化カルシウムの代わりに、当該タンクに貯蔵されたカルシウムイオンを含む水が、汲み上げられた原子力プラント50の滞留水に添加される(ステップ107)。これにより、塩化カルシウムを添加した場合と同様に、滞留水中のモリブデン酸イオンがモリブデン酸カルシウムとなって沈殿物を形成する(前記のステップS103)。そして、その後は、前記のステップS104〜ステップS107が行われる。従って、初めに腐食抑制剤としてのモリブデン酸ナトリウムを添加し(ステップS101)、さらに、塩化カルシウムを添加すれば(ステップS102)、その後はこれらの成分を殆ど添加せずに、腐食抑制剤を循環させて、再利用することができる。
【0031】
〔効果〕
以上説明した、本実施形態の腐食抑制方法及び腐食抑制装置によれば、放射性廃棄物をできるだけ削減可能な原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置を提供することができる。これにより、腐食抑制剤の使用による原子炉構造物の腐食を抑制するとともに、腐食抑制剤を効率よく使用することができる。
【0032】
また、腐食抑制装置100においては、海水を含む滞留水を淡水化装置105により淡水化する前に、モリブデン酸イオンを選択的に回収している。従って、淡水化装置105において除去され、濃縮水として廃棄されるモリブデン酸イオンの量を大幅に削減することができる。そのため、腐食抑制装置100において新たに使用されるモリブデン酸ナトリウムの量を大幅に削減することができるとともに、廃棄される濃縮液(即ち放射性廃棄物)の量も大幅に削減することができる。
【0033】
さらには、モリブデン酸イオンの回収は、セシウム除去装置104においてセシウムが除去される前にも行われている。これにより、セシウムとともにモリブデン酸イオンが除去されることを防止することができ、モリブデン酸イオンのより効率的な使用が可能となる。また、例えば吸着剤を用いてセシウムを除去する場合には、モリブデン酸イオンが含まれていないため、吸着剤に吸着されるセシウムの量を増加させることができる。そのため、滞留水中のセシウムを効率的に除去し、セシウムを吸着させた使用済み吸着剤(即ち、放射性廃棄物)の量を削減することができる。
【0034】
また、腐食抑制装置100においては、腐食抑制剤と同様に、モリブデン酸イオンを沈殿させるためのカルシウムイオンも再利用している。即ち、イオン交換樹脂103の洗浄により脱離させたカルシウムイオンを反応槽101に再添加することで、新たに添加する塩化カルシウムの量を削減することができる。これにより、腐食抑制剤と同様に、淡水化装置105において除去され、濃縮水として廃棄されるカルシウムイオンの量を大幅に削減することができる。そのため、腐食抑制装置100において新たに使用される塩化カルシウムの量を大幅に削減することができるとともに、廃棄される濃縮液(即ち放射性廃棄物)の量も大幅に削減することができる。
【0035】
さらには、腐食抑制装置100においては、塩化カルシウムやカルシウムイオンを添加することにより、腐食抑制剤を選択的に沈殿させて回収している。即ち、含まれる放射性物質は沈殿しないようになっている。そのため、放射性物質を含む滞留水であっても、塩化カルシウム等を添加するだけで簡便に腐食抑制剤を沈殿させて回収することができ、作業員への放射線の影響をよりいっそう抑えることができる。
【0036】
また、淡水化装置105には、モリブデン酸イオン等を含まない(又は殆ど含まない)上清が供給されるため、淡水化のためのろ過圧力を低くすることができる。そのため、淡水化装置105を構成する逆浸透膜の耐久性を向上させることができる。
【0037】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態の腐食抑制装置について、図3を参照しながら説明する。なお、図3において、図1に示した第1実施形態と同様のものについては同様の符号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図3は、第2実施形態における、別の原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。原子炉圧力容器53には、原子炉冷却水浄化装置60が接続され、原子炉冷却水浄化装置60により、原子炉圧力容器53内の冷却水の純度が維持されるようになっている。しかし、原子炉の運転を中止した後、不測の事態により、原子炉の冷却水中に海水等が混入することがある。そうすると、海水中に含まれる塩化物イオン等により、原子炉圧力容器53や冷却水を循環させる機器に使用されている金属材料に腐食が発生することがある。
【0039】
そこで、このような腐食を抑制するために、第2実施形態の腐食抑制装置200が、原子炉圧力容器53と原子炉冷却水浄化装置60との間に設けられている。そして、腐食抑制装置200により、原子炉圧力容器53の冷却水(僅かにではあるが放射性物質が含まれている)中の腐食抑制剤の回収及び供給する水への再添加が行われるようになっている。具体的には、原子炉圧力容器53のすぐ後段において腐食抑制剤が回収され、腐食抑制剤が除去された後の水が原子炉冷却水浄化装置60により浄化されるようになっている。そして、原子炉冷却水浄化装置60において浄化された後の水に回収された腐食抑制剤が再添加され、その後に、原子炉圧力容器53に戻されるようになっている。
【0040】
原子力プラント50Aは、所謂、沸騰水型原子炉(BWR)である。具体的には、原子炉圧力容器53内の原子炉から発せられた熱により原子炉圧力容器53内の水が熱せられ、水蒸気が発生する。そして、発生した水蒸気は、タービン建屋54内の蒸気タービン55を回転させ、蒸気タービン55に接続された発電機(図示しない)により、発電が行われるようになっている。そして、蒸気タービン55を回転させた後の水蒸気は、復水器56により凝縮され、液体の水に変化する。そして、復水ろ過装置57によりろ過後、復水脱塩装置58により脱塩され、給水加熱器59により加熱されて原子炉圧力容器53内に戻されるようになっている。
【0041】
原子炉圧力容器53内の水を処理する腐食抑制装置200の構成及び処理方法は、腐食抑制装置100における処理方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。ただし、腐食抑制装置200においては、腐食抑制剤としてタングステン酸ナトリウムが使用され、沈殿生成時として硝酸カルシウムが使用されている。また、腐食抑制装置200は、反応槽101において生成したタングステン酸カルシウムからタングステン酸イオンを脱離させるため、当該沈殿物を硫酸(強酸)に接触させる強酸接触装置110を備えている。
【0042】
強酸接触装置110においては、反応槽101において生成したタングステン酸カルシウムを含むスラリーに対して硫酸が接触(添加)され、弱酸であるタングステン酸イオンが脱離するようになっている(イオン化ステップ)。これにより、腐食抑制剤としてのタングステン酸イオンが再利用可能になっている。一方で、生成したカルシウムイオンは、硫酸イオンと反応して難溶性の硫酸カルシウムを形成し、沈殿物が形成されるようになっている。従って、腐食抑制装置200においては、第1実施形態の腐食抑制装置100とは異なり、カルシウムイオンの再利用は行われないようになっている。
【0043】
このような腐食抑制装置200を用い、第1実施形態において示した原子力プラント50とは異なる原子力プラント50Aであっても同様に、腐食抑制剤の回収及び再利用を好適に行うことができる。
【0044】
[3.第3実施形態]
次に、本実施形態の腐食抑制装置200を適用可能な原子力プラント50Bについて、図4を参照しながら説明する。なお、図4において、図1に示した第1実施形態と同様のものについては同様の符号を付すものとし、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図4は、第3実施形態における、さらに別の原子力プラントと本実施形態の腐食抑制装置との間で循環する水及び腐食抑制剤の系統図である。図4に示す原子力プラント50Bは、所謂、加圧水型原子炉(PWR)である。具体的には、原子力プラント50Bは、蒸気タービン55を駆動させる水蒸気を発生させるための炉心からの熱を二次冷却水系に伝える一次冷却水系と、一次冷却水系からの熱により発生した水蒸気により蒸気タービン55を駆動させ、発電を行う二次冷却水系とを備えている。一次冷却水系と二次冷却水系とは、蒸気発生器61において熱交換されるようになっている。また、一次冷却水系には、一次冷却水系の温度が変化したときに冷却水の体積を調整するための化学体積制御装置(図示しない)や、冷却水の水質を維持管理するための炉水脱塩器62(浄化装置)及びリチウム除去器63が備えられている。
【0046】
第2実施形態と同様、原子炉の運転を中止した後、不測の事態により、一次冷却水系に海水等が混入することがある。そうすると、海水中に含まれる塩化物イオン等により、原子炉圧力容器53や冷却水を循環させる機器に使用されている金属材料に腐食が発生することがある。特に、一次冷却水系には耐食性に優れる材料が使用されているため、塩化物イオンが混入すると孔食、すき間腐食、応力腐食割れなどの局部腐食により冷却水が漏洩する可能性がある。
【0047】
そこで、一次冷却水系には、腐食を抑制するために水酸化リチウムが添加されているが、第3実施形態では、さらに別の腐食抑制剤が添加され、腐食抑制装置300による腐食抑制剤の回収及び再添加が行われている。第3実施形態では、腐食抑制剤としてモリブデン酸ナトリウムが用いられ、沈殿生成剤として硝酸カルシウムが用いられている。
【0048】
原子炉圧力容器53内の冷却水(第2実施形態と同様、僅かにではあるが放射性物質が含まれている)を処理する腐食抑制装置300の構成及び処理方法は、腐食抑制装置100における処理方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。ただし、腐食抑制装置300は、前記の腐食抑制装置200と同様、反応槽101において生成したモリブデン酸カルシウムからモリブデン酸イオンを脱離させるため、当該沈殿物を硝酸に接触させる強酸接触装置110を備えている。
【0049】
このような原子力プラント50Bであっても、前記の第1実施形態と同様に、腐食抑制装置300を用いて、腐食抑制剤の回収及び再利用を好適に行うことができる。
【0050】
[4.変形例]
以上、本実施形態を3つの実施形態を挙げて説明したが、本実施形態は前記の実施形態に何ら制限されるものではない。
【0051】
例えば、前記の実施形態では、腐食抑制剤としてモリブデン酸ナトリウム等を用いているが、腐食抑制剤はこれらに限られるものではない。ただし、本実施形態においては、腐食抑制剤は、放射線に晒される環境にて使用される。そのため、腐食抑制剤としては、放射線によって分解されにくいという観点から無機化合物であることが好ましく、中でもオキソ酸塩がより好ましい。また、腐食抑制剤としては、金属を含むことが好ましく、金属を含む無機化合物がより好ましく、より安定性の高いという観点から、金属表面に不動態皮膜を形成する酸化型の腐食抑制剤が好ましい。
【0052】
腐食抑制剤の具体例としては、前記のモリブデン酸塩のほか、タングステン酸塩、リン酸塩、バナジン酸塩等が挙げられ、中でも、沈殿のさせ易さの観点から、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩、バナジン酸塩が好ましい。これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。なお、塩の種類は特に制限されないが、水への溶解性の高さから、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0053】
また、前記の腐食抑制剤を沈殿させる際に用いる沈殿生成剤としては、前記の腐食抑制剤を沈殿させることができればどのようなものであってもよい。このような沈殿生成剤としては、例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム等の各種カルシウム化合物が挙げられ、水への溶解性の高さから、これらの化合物が好ましい。なお、これらは1種が単独で用いられてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで用いられてもよい。
【0054】
また、腐食抑制剤の沈殿物と上清との分離方法も、前記の実施形態では沈降槽を用いたが、これに制限されるものではなく、どのようなものであってもよい。例えば、前記の沈降槽のほか、分離膜(ろ過膜)を用いることもできる。ただし、放射性に晒される環境での使用を考慮すると、放射線の影響を受けにくく、耐久性のより高い沈降槽を用いることが好ましい。
【0055】
さらに、前記の実施形態では、腐食抑制剤の沈殿物を可溶化するためにイオン交換樹脂や強酸接触装置を用いているが、可溶化するための方法としては、これらを用いた方法に何ら限定されるものではない。また、強酸接触装置110において用いられる強酸は、前記の硫酸や硝酸に何ら限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意の強酸を用いることができる。
【0056】
また、例えば図1に示す第1実施形態においては、セシウム除去装置104においてセシウムを除去する前に腐食抑制剤が回収され、回収された腐食抑制剤は、淡水タンク106からの淡水に再添加されている。ただし、これらの場所は適宜変更可能であり、腐食抑制剤の回収位置としては、例えば、セシウム除去装置104と淡水化装置105との間や、淡水化装置105と濃縮水タンク107との間、濃縮水タンク107と蒸発濃縮装置108との間、蒸発濃縮装置108と濃縮廃液貯槽109との間等が可能である。また、腐食抑制剤の再添加の位置としては、例えば、淡水化装置105と淡水タンク106との間や、蒸発濃縮装置108と淡水タンク106との間等が可能である。
【0057】
また、例えば図3に示す第2実施形態においては、前記のように、原子炉圧力容器53と原子炉冷却水浄化装置60との間において腐食抑制剤が回収され、腐食抑制剤の再添加位置は、原子炉圧力容器53と原子炉冷却水浄化装置60との間としているが、これに限られるものではない。具体的には、例えば、腐食抑制剤の回収位置として、復水濾過装置や復水脱塩装置の前段とすることもできる。また、腐食抑制剤の再添加の位置は、復水脱塩装置58と給水加熱器59との間や、給水加熱器59と原子炉圧力容器53との間等とすることもできる。ただし、腐食抑制剤の再添加位置は、回収位置よりも下流側にあるものとする。
【0058】
また、例えば図4に示す第3実施形態においては、腐食抑制剤の回収位置は原子炉圧力容器53と炉水脱塩器62との間にし、腐食抑制剤の再添加位置はリチウム除去器63と原子炉圧力容器53との間にしているが、これに限られるものではない。具体的には、腐食抑制剤の回収位置は、例えば炉水脱塩器62とリチウム除去器63との間にすることができる。また、腐食抑制剤の再添加位置も、例えば炉水脱塩器62とリチウム除去器63との間にすることができる。ただし、腐食抑制剤の再添加位置は、回収位置よりも下流側にあるものとする。
【0059】
また、処理される水のある原子炉構造物は、前記の各実施形態において説明したもの(滞留水や冷却水等)に限られるものではない。例えば第1実施形態においては、原子炉圧力容器53に腐食抑制剤を含む水を供給し、原子炉建屋51及びタービン建屋54に滞留した水から腐食抑制剤を回収しているが、放射性物質が含まれる水が存在する原子炉構造物であれば、どのような建物、装置、手段、部材等であっても、本実施形態の腐食抑制装置及び腐食抑制方法は好適である。
【符号の説明】
【0060】
50 原子力プラント(原子炉構造物)
51 原子炉建屋(原子炉構造物)
50A 原子力プラント
50B 原子力プラント
53 原子炉圧力容器(原子炉構造物)
54 タービン建屋(原子炉構造物)
100 腐食抑制装置
101 反応槽(反応装置)
102 沈降槽(分離装置)
103 イオン交換樹脂(イオン化装置)
110 強酸接触装置(イオン化装置)
200 腐食抑制装置
300 腐食抑制装置
図1
図2
図3
図4