(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138001
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機及びこれを用いた空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/02 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
F24F11/02 103A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-184599(P2013-184599)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-52410(P2015-52410A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】515294031
【氏名又は名称】ジョンソンコントロールズ ヒタチ エア コンディショニング テクノロジー(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 将行
(72)【発明者】
【氏名】矢萩 健一
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−072781(JP,A)
【文献】
特開2007−032887(JP,A)
【文献】
特開2009−058145(JP,A)
【文献】
特開2012−042183(JP,A)
【文献】
特開2012−112547(JP,A)
【文献】
特開2013−040709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーを有するセンサー基板と、
前記センサー基板を保持するセンサーホルダと、
前記センサーホルダに接続された中空形状の中空形状ギヤと、
前記中空形状ギヤを駆動するモーターとを有する回転型センサー機構を備え、
前記センサー基板の一部が前記中空形状ギヤの内部に位置し、
前記中空形状ギヤは、ギヤ部と、前記ギヤ部の上方に位置する接合部とを有し、
前記センサーは前記中空形状ギヤの下方に位置し、
前記センサーホルダは前記中空形状ギヤの前記接合部に接続されることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前面に設けられた前面空気吸込口と、
前記前面空気吸込口から吸い込んだ空気が流れる室内熱交換器と、
前記室内熱交換器を通過した空気が流れる空気吹出口と、
前記室内熱交換器の下方に位置する露受皿とを備え、
前記回転型センサー機構は前記前面空気吸込口の下方であって前記空気吐出口の上方に位置し、且つ、前記露受皿の前面側に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気調和機の室内機と、
圧縮機、膨張機構、室外熱交換器とを有する空気調和機の室外機とを備えることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
モーターとセンサーを含む構造体の各々にギヤを設け、ギヤが回転することでセンサーを任意の方向に回転させる機構を有する空気調和機がある。特許文献1には、上側にステッピングモーターが配置され、下側にセンサーが配置された回転構造体を備えた空気調和機の室内機を開示されている。室内機前面の下方中央に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−37129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機は、回転構造体が縦方向に大きいため、室内熱交換器の前面の吸気を妨げ、熱交換効率が下がる課題がある。回転型センサー機構が小型であるほど、室内機への配設および室内熱交換器の吸気に対して有利であり、消費電力の削減に有効である。
【0005】
本発明の目的は、回転型センサー機構を小型にし、消費電力を削減した空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為、本発明の空気調和機の室内機は、センサーを有するセンサー基板と、センサー基板を保持するセンサーホルダと、センサーホルダに接続された中空形状の中空形状ギヤと、中空形状ギヤを駆動するモーターとを有する回転型センサー機構を備え、センサー基板の一部が中空形状ギヤの内部に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転型センサー機構を小型にし、消費電力を削減した空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1実施形態に係る空気調和機の室内機の断面図
【
図3】第1実施形態に係る空気調和機の室内機の正面図
【
図4】第1実施形態に係る回転型センサー機の全体分解図
【
図5】第1実施形態に係るセンサー機構保持ベースの下面図
【
図10】第1実施形態に係るセンサー機構カバー図の上面図
【
図11】第1実施形態に係るセンサー機構カバー図の下面図
【
図12】第1実施形態に係るセンサー機構カバーと回転型センサーの正面図
【
図13】第1実施形態に係るセンサー機構カバーと回転型センサーの左下面図
【
図14】第2実施形態に係る回転型センサーの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一な部分には同一符号を付して、一度説明したものについては、その説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。
図2は、第1実施形態に係る空気調和機の室内機の断面図である。
図3は、第1実施形態に係る空気調和機の室内機の正面図である。
【0011】
図1に示すように、空気調和機1は室内機2と室外機3とを接続配管4で繋いで構成される。室内機2は別体のリモートコントローラ5にて遠隔操作されることを可能とする。室内機2は室内熱交換器7(ここで図示せず)を有し、室外機3は、圧縮機(図示せず)、膨張機構(図示せず)、室外熱交換器(図示せず)を有する。
【0012】
図2に示すように、室内機2は筐体ベース6の内部に室内熱交換器7を備える。室内熱交換器7の空気流下流には室内熱交換器7の幅と略等しい長さの横流ファン方式の室内送風機8が配置されている。また、室内熱交換器7の下方には露受皿9が配置されている。室内熱交換器7および室内送風機8等はゴミ侵入防止用のフィルターおよびフィルターの掃除機構が配設された化粧枠10で覆われるとともに化粧枠10の前面にはフロントパネル11が取り付けられる。室内熱交換器7の上面には室内空気を吸込む上面空気吸込口12a、前面には室内空気を吸込む前面空気吸込口12bを備える。上面空気吸込口12a及び前面空気吸込口12bから吸い込んだ空気が流れる室内熱交換器7に流れる。室内機2の下方には温湿度が調整された空気を吹出す空気吹出口13を備える。室内送風機8により空気吸込口12から吸込まれた室内空気は室内熱交換器7および室内送風機8を通って室内送風機8の長さに略等しい幅の吹出風路8aに流れ込む。その後、吹出風路8aの空気は、吹出風路8aに位置する左右風向板14により左右方向が偏向され、空気吹出口13に位置する上下風向板15により上下方向が偏向されて空気吹出口13から室内に吹出される。室内熱交換器7を通過して調和された空気が空気吹出口13に流れ、吹き出される。
【0013】
そして、室内機1には、室内空間を走査して室内の温度分布の測定や在室者を感知する機能等を有する回転型センサー機構16が配置されている。回転型センサー機構16は、前面空気吸込口12bの下方であって空気吐出口13の上方に位置し、且つ、露受皿9の前面側に位置する。
【0014】
図3に示すように、回転型センサー機構16は、室内空間の広範囲を走査するために、室内機2の長手方向(以下「X方向」という。)の中央付近であって、室内機2の短手方向の下方に配置されている。さらに、回転型センサー機構16をフロントパネル11の下方に配置してもよい。
【0015】
図4は、第1実施形態に係る回転型センサー機構の全体分解図である。また、
図5は、第1実施形態に係るセンサー機構保持ベースの底面図である。
【0016】
回転型センサー機構16は、前面空気吸込口12bと空気吹出口13の間の空間39に配置され、室内機2に固定されるセンサー機構保持ベース17と、センサー機構保持ベース17内でX方向に回転可能となるよう収納された回転型センサー18と、回転型センサー18内に配設されるセンサー基板(ここでは図示せず)に接続されたリード線(図示せず)と、リード線を上方に案内する筒形状の壁面ガイド36を有するセンサー機構カバー21と、回転型センサー18を回転させるためのギヤ37に接続されたモーター22を有する。モーター22が駆動することで、ギヤ37を介して、回転型センサー機構16を回転させている。
また、回転型センサー機構16はセンサー受光素子開口部29が室内の方向を向くように配置されている。以下それぞれについて説明する。
【0017】
センサー機構保持ベース17は、回転型センサー18の挿入用の貫通穴23が上下方向に開口した半箱型の筐体であって、貫通穴23の下面には回転型センサー18を保持するための受け皿構造24を有する。また、センサー機構保持ベース17の下面にはモーター22の挿入用の貫通穴25と、モーター22を取り付けるためのモーターネジ穴26が形成されている。更に、センサー機構保持ベース17の上面にはセンサー機構カバー21を固定するためのセンサー機構カバー固定用ネジ穴28が形成されている。
【0018】
図6は、第1実施形態に係る回転型センサーの分解図である。
図7は、第1実施形態に係る回転型センサーの断面図である。
【0019】
回転型センサー18は、センサー19aを有するセンサー基板19と、センサー基板19に設けられているセンサー19aを保護するための受光素子カバー20と、センサー基板19に接続されたリード線(図示せず)と、センサー基板19を前方から保持する前方センサーホルダ27aと、センサー基板19を後方から保持する後方センサーホルダ27bと、中空形状の中空形状ギヤ31とを備える。なお、センサーホルダ27を前方センサーホルダ27aと後方センサーホルダ27bに分割せずに構成し、センサー基板19を保持する構造としてもよい。
【0020】
中空形状ギヤ31は、前方センサーホルダ27aと後方センサーホルダ27bによって形成される一対のセンサーホルダ27を挿入できるよう中空形状となっている。中空形状ギヤ31は、ギヤ37を介してモーター22によって駆動される。なお、ギヤ37の代わりに、別の機構を介してモーター22によって中空形状ギヤ31を駆動してもよい。また、直接、モーター22によって中空形状ギヤ31を駆動してもよい。
中空形状ギヤ31はセンサーホルダ27に接続(接合)されている。つまり、本実施形態では、センサー基板19の一部が中空形状ギヤ31の内部に位置している。このような本実施形態によれば、縦方向において、中空形状ギヤ31とセンサー基板19の一部を重ねることができ、回転型センサー18の縦方向の高さを低くすることができる。前述したとおり、本実施形態では、回転型センサー18を前面空気吸込口12bの下方であって空気吐出口13の上方に位置させている。そのため、回転型センサー19の縦方向の高さを低くなれば、前面空気吸込口12bのスペースをより確保することができ、室内機2に流す空気の風量を増やし、空気調和機1の効率を高めることができる。
【0021】
なお、ネジ、溶接又は嵌め込みによって中空形状ギヤ31とセンサーホルダ27を接続することができる。中空形状ギヤ31をセンサーホルダ27と一体の部品として構成してもよい。
【0022】
中空形状ギヤ31は、ギヤ部31aと、ギヤ部31aの上方に位置する接合部31bを有する。センサー19aは中空形状ギヤ31の下方に位置している。そして、センサーホルダ27は中空形状ギヤ31の接続部31bに接続されている。このような本実施形態によれば、センサー基板19が中空形状ギヤ31のギヤ部31aを貫通する位置に配置され、回転型センサー18の縦方向の高さを低くすることができる。
【0023】
なお、接合部31bをギヤ部31aの下方に位置させ、センサー19aを中空形状ギヤ31の下方に位置する構成とし、センサーホルダ27を中空形状ギヤ31の接続部31bに接続するようにしてもよい。
【0024】
また、前方センサーホルダ27aには、センサー19aに対応する位置にセンサー受光素子開口部29が形成され、前方センサーホルダ27aの内側にはセンサー基板19を設置するためのセンサー受光素子設置部30が設けられている。センサー基板19はセンサー19aに受光素子カバー20を配した状態で前方センサーホルダ27a及び後方センサーホルダ27bにより保持され、複数のネジで接合される。センサー19aが前面側であって、室内空間を斜め下方に向くように、センサー基板19が前方センサーホルダ27a及び後方センサーホルダ27bにより保持されている。
【0025】
図8は第1実施形態に係る中空形状ギヤである。
図9は、第1実施形態に係る中空形状ギヤ図の断面図である。中空形状ギヤ31はセンサーホルダ27と一体になるようセンサーホルダ27の上方から挿入されたギヤであり、センサーホルダ27がX方向に回転するためのギヤとして作用するのみならず、前方センサーホルダ27a及び後方センサーホルダ27bの勘合組立を補助する機能を兼ねる。
【0026】
中空形状ギヤ31は上面に貫通穴38が設けられており、貫通穴38の内壁面310aがセンサーホルダ27の上外側面310bに勘合する。この時、センサーホルダ27に対し中空形状ギヤ31が回転しないようセンサーホルダ27の突起と中空形状ギヤ31の貫通穴38の形状を例えばアルファベットのD形状としている。本実施例では、貫通穴38の形状をアルファベットのD形状としたが、センサーホルダ27とキャップギヤ31との回転を防止するものであれば、形状は問わない。
【0027】
図10は、第1実施形態に係るセンサー機構カバー図の上面図である。
図11は、第1実施形態に係るセンサー機構カバー図の下面図である。
【0028】
センサー機構カバー21はセンサー機構保持ベース17上にあり、センサーホルダ27とモーター22に配設されたギヤ37を同時に覆うケースであり、中空形状ギヤ31が上方に抜けるのを防止するほか、回転型センサー18を保持する役割を有する。また、センサー機構カバー21の中空形状ギヤ31上部に相当するカバー内壁には回転型センサー18の過回転を防止するため、および、回転型センサー18の位置を確認するための突起32を備える。
【0029】
図12は、第1実施形態に係るセンサー機構カバーと回転型センサーの正面図である。
図13は、第1実施形態に係るセンサー機構カバーと回転型センサーの左下面図である。
【0030】
回転型センサー18は、空気調和機1の電源投入と同時に過回転防止および回転型センサー18の位置確認のため、センサー機構カバー21に設けられた突起32まで左右方向に回転する。この時、中空形状ギヤ31に設けられた突起33が、センサー機構カバー21に設けられた突起32に接触することで、モーター22はセンサーホルダ27に設けられたセンサー受光素子開口部29の位置を認識する。例えば、突起32が突起33に接触するときにモーター22に流れる電流値が増大するので、その電流値を検出することで、センサー受光素子開口部29の位置を認識することができる。そして、センサー受光素子開口部29が室内機2の正面を向くようモーター22の制御により位置が調整される。以降は制御方法に応じて回転型センサー機構16は左右方向に回転し、室内空間を走査する。
【0031】
(第2実施形態)
第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と重複する部分については説明を省略する。
図14は、第2実施形態に係る回転型センサーの断面図である。
【0032】
第1実施形態において、センサーホルダ27の上端部の形状を中空形状ギヤ抜け防止用にツメ形状34とし、組立時に上部から挿入される中空形状ギヤ31を前記センサーホルダ27の上端部に設けたツメ形状34にて保持する。ツメ形状34は中空形状ギヤ抜け防止用のセンサーホルダの壁面である抜け防止面35により、中空形状ギヤ31の抜けを防止する。本構成をとることによりセンサーホルダ27とセンサー基板19の固定に用いていた複数のネジを削減することが可能となる。
【0033】
以上、本発明に係る空気調和機について各実施形態により説明したが、本発明の実施態様はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更などを行うことができる。
【0034】
本実施形態におけるセンサー19aは、カメラ素子又は赤外線受光素子を想定しているが、音感知素子、ガス感知素子などに用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1:空気調和機、2:室内機、3:室外機、4:接続配管、5:リモートコントラローラ、6:筐体ベース、7:室内熱交換器、8:室内送風機、8a:吹出風路、9:露受皿、10:化粧枠、11:フロントパネル、12a:空気吸込口(上面)、12b:空気吸込口(前面)、13:空気吹出口、14:左右風向板、15:上下風向板、16:回転型センサー機構、17:センサー機構保持ベース、18:回転型センサー、19:センサー基板、19a:センサー、20:受光素子カバー、21:センサー機構カバー、22:モーター、23:回転型センサー挿入用の貫通穴、24:回転型センサーの受け皿構造、25:モーター挿入用の貫通穴、26:モーターネジ穴、27:センサーホルダ、27a:前方センサーホルダ、27b:後方センサーホルダ、28:センサー機構カバー固定用ネジ穴、29:センサー受光素子開口部、30:センサー受光素子設置部、31:中空形状ギヤ、31a:ギヤ部、31b:接続部、32:突起、33:突起、34:ツメ、35:抜け防止面、36:壁面ガイド、37:ギヤ、38:貫通穴、39:空間、310a:内壁面、310b:上外側面