(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138013
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 7/00 20060101AFI20170522BHJP
F25B 19/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F25D7/00 A
F25B19/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-202804(P2013-202804)
(22)【出願日】2013年9月28日
(65)【公開番号】特開2015-68556(P2015-68556A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
(72)【発明者】
【氏名】野口 直希
【審査官】
庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−032473(JP,U)
【文献】
実開平06−069675(JP,U)
【文献】
特開平09−280712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 7/00
F25B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物を収容する処理槽、処理槽と真空配管によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空発生装置、真空発生装置が吸引している気体を冷却して蒸気の凝縮を行う熱交換器、熱交換器で発生したドレンをためるドレンタンクを持ち、処理槽内を真空化することで処理槽内に収容した処理物の冷却を行う真空冷却装置において、
前記熱交換器と前記ドレンタンクの間はドレン移送管と空気流通管でつないでおり、ドレン移送管のドレンタンク側先端はドレンタンクにためたドレンに水没する位置とし、
前記空気流通管はドレンに水没しない位置に設けていることを特徴とする真空冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空冷却装置において、前記空気流通管には途中に通気用弁を設けておき、前記通気用弁は、真空冷却工程の序盤では開いておき、真空冷却工程の終盤では閉じる操作を行うものであること特徴とする真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理物を収容した処理槽内を真空化し、処理物から水分を蒸発させることによって発生する気化熱を利用して処理物から熱を奪い、冷却するようにしている真空冷却装置に関するものである。さらに詳しくは、真空冷却での冷却速度を向上させ、冷却を短時間で行うことのできる真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2012−102956号公報に記載があるように、処理槽内に加熱調理した食品などの処理物を収容しておき、処理槽内を真空化することで処理物を冷却する真空冷却装置がある。処理物を収容している処理槽内を減圧し、処理槽内での飽和蒸気温度を処理物の温度まで低下させると、処理物中の水分が蒸発し、その際に処理物から気化熱を奪う。この場合、処理物の中心部分からも熱を奪うことができ、気化熱による冷却効果は大きなものであるため、処理物を短時間で冷却することができる。真空冷却装置に使用する真空発生装置としては、水又は蒸気によるエジェクタや水封式又はドライ式の真空ポンプを使用している。真空発生装置にて処理槽内の気体を吸引する場合、処理物からは水分が多く蒸発するため、処理槽内の気体とともに処理物から発生した蒸気も吸引することになる。しかし、水は液体から気体に変わると体積が大幅に増大するため、蒸気をそのまま真空発生装置に吸引させたのでは、真空発生装置で排出しなければならない気体量が多くなる。そしてその場合には、処理槽内の減圧に要する時間が長くなるため、冷却工程時間が長くなる。
【0003】
そのため、処理槽内の気体を真空発生装置へ送る真空配管の途中に、真空発生装置が吸引している気体を冷却する熱交換器を設けることを行っている。真空配管の途中で吸引気体の冷却を行うと、気体の体積が縮小する。特に蒸気を冷却することで液体に戻すと、体積は大幅に小さくなる。真空発生装置が吸引しなければならない気体の体積を小さくすることで、減圧の効率を高めることができる。蒸気の冷却によって発生したドレンは、熱交換器の下方に設置しているドレンタンクにためるようにしている。真空冷却の運転中は、処理槽と通じている部分では負圧になっており、この場合にはドレンを排出する排水弁を開いても、ドレンを排出することはできない。そのため、ドレンは真空冷却運転終了までためておき、真空冷却運転を終了して処理槽内を大気圧に戻した後に排出を行っている。
【0004】
真空冷却装置では、処理槽内の圧力が高い真空冷却工程序盤の場合、真空発生装置で排出することのできる気体量が多くなるため、処理槽内の圧力は急激に低下していく。そして冷却序盤の場合、処理物の温度が高いため、処理物内から蒸発する水分量も多くなり、処理物の温度は急激に低下していく。真空冷却の工程が進み、処理槽内の真空度が高くなってくると、真空発生装置を作動していても排出することのできる気体量が減少し、処理槽内の減圧速度は遅くなっていく。また処理物の温度が低くなってくるため、蒸発の発生量も少なくなり、処理物温度の低下速度は遅くなる。
【0005】
真空冷却装置は、処理槽内の圧力から定まる飽和蒸気温度を、処理槽内の圧力を低下させることで低くし、処理物の温度まで低下させることで処理物内の水分を蒸発させて、処理物の温度を低下させるものである。そのため、処理物の温度が高い間は、真空度が低くても処理物の温度を低下させることができるが、処理物をより低い温度まで低下させるには、処理槽内の圧力をさらに低下させることが必要となる。そこで低温仕様の真空冷却装置では、処理槽内が高真空になるまで減圧を行うことができるようにしている。
【0006】
ところで、ドレンタンクにためているドレンは、蒸気を冷却して凝縮させたものであるが、処理槽内を高真空まで減圧する真空冷却装置では、ドレンタンク内も高真空状態になると、ドレンが再び蒸発することがある。ドレンタンクで発生した蒸気が真空発生装置へ送られることになると、真空発生装置での減圧速度が低下するため、冷却時間が長くなることになっていた。また、ドレンがドレンタンクに流れずに熱交換器内に残った場合には、熱交換器内の圧力はドレンタンク内の圧力よりも低くなるため、熱交換器内でドレンの蒸発が発生する。その場合も冷却時間が長くなる。そのためドレンタンクは、熱交換器からのドレンの取り込みを行いやすいものであり、かつドレンタンクでドレンが再蒸発しにくいものであることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−102956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、真空冷却装置において、冷却速度を向上させ、冷却を短時間で行うことのできる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、処理物を収容する処理槽、処理槽と真空配管によって接続しており処理槽内の気体を吸引する真空発生装置、真空発生装置が吸引している気体を冷却して蒸気の凝縮を行う熱交換器、熱交換器で発生したドレンをためるドレンタンクを持ち、処理槽内を真空化することで処理槽内に収容した処理物の冷却を行う真空冷却装置において、前記熱交換器と前記ドレンタンクの間はドレン移送管と空気流通管でつないでおり、ドレン移送管のドレンタンク側先端はドレンタンクにためたドレンに水没する位置とし、前記空気流通管はドレンに水没しない位置に設けていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、前記空気流通管には途中に通気用弁を設けておき、前記通気用弁は、真空冷却工程の序盤では開いておき、真空冷却工程の終盤では閉じる操作を行うものであること特徴とする。
【0011】
本発明では、熱交換器とドレンタンクの間をドレン移送管と空気流通管でつないでおり、ドレン移送管の先端はドレンタンク内の底部近くとしているため、ドレンタンク内にドレンがたまると、ドレン移送管の先端はドレン内に水没することになる。真空冷却工程の序盤では、処理物の温度が高いため、処理槽内を減圧することで処理槽内での飽和蒸気温度が処理物温度以下になると、処理物内から多量の蒸気が発生する。この蒸気は比較的温度が高く、また量が多いものであり、熱交換器で冷却することで凝縮し、ドレンとしてドレンタンクにためる。
【0012】
真空発生装置による減圧を行っている場合、ドレンタンクよりも熱交換器の方が真空発生装置に近いことより、ドレンタンク内圧力よりも熱交換器内の方が圧力は低くなる。すると、熱交換器とドレンタンクをつないでいるドレン移送管では、先端をドレンタンク内のドレンに水没させているため、ドレン移送管の出口側はふたをされた形となり、熱交換器からドレンタンクへ向かうドレンの流れが妨げられることになる。熱交換器からドレンタンクへのドレンの流れが止まれば、ドレンは熱交換器内で止まることになり、熱交換器内ではドレンの再蒸発が発生することになる。この時、空気流通管によって熱交換器とドレンタンクをつないでおくと、熱交換器とドレンタンクの圧力差はなくなるため、熱交換器で発生したドレンは、ドレン移送管を通してドレンタンクへ流れ、熱交換器内に止まることは防止できる。
【0013】
また、真空冷却の工程が進み、真空ライン内が高真空になることで、飽和蒸気温度がドレン温度以下になれば、ドレンの再蒸発が発生する。この場合には、通気用弁を閉じると、熱交換器とドレンタンクの間はドレン移送管でのみつながることになり、ドレン移送管は先端でドレンに水没しているため、ドレンタンクから熱交換器への空気の流れはなくなる。このことでドレンタンク内の圧力は熱交換器内の圧力より高くなり、ドレンタンク内の飽和蒸気温度をドレンの温度より高くしておくことでドレンタンク内でドレンは再蒸発することを防止できる。ドレンタンクからの蒸発量が少なくなれば、真空発生装置が排出しなければならない蒸気量は少なくなるため、真空発生装置での減圧速度が向上し、真空冷却に要する時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明を実施することで、冷却速度を向上するさせることができ、冷却を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施している真空冷却装置のフロー図
【
図2】本発明の一実施例における槽内圧力と処理物温度の変化を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している真空冷却装置のフロー図、
図2は本発明の一実施例における槽内圧力と処理物温度の変化を示したグラフである。真空冷却装置は、処理槽2、真空発生装置1、熱交換器4、冷水ユニット3、ドレンタンク6などからなっている。真空冷却装置は、処理槽2の内部を真空化することによって、処理槽2に収容した処理物(高温の食品)から水分を蒸発させ、その際に発生する気化熱の作用によって冷却を行う。
【0017】
処理槽2と真空発生装置1の間は、真空配管5によって接続しておき、真空発生装置1を作動すると、処理槽2内の気体は真空配管5を通して排出することになる。このとき、処理槽2内の気体に加えて、処理物から発生した蒸気も真空発生装置1で吸引するようにしていると、真空発生装置1が排出しなければならない気体の体積が大きくなる。特に処理槽2内においては、減圧が進むと収容している処理物から水分が蒸発し、水分は蒸気になると体積が大幅に大きくなるため、この蒸気まで吸引していると、減圧の効率が悪くなってしまう。そのため真空配管5には熱交換器4を設けておき、真空発生装置1が吸引している気体や気体中の蒸気を冷却するようにしている。熱交換器4で気体の冷却を行うと、真空発生装置1で排出しなければならない気体の体積が小さくなるため、真空発生装置1での減圧効率が向上する。
【0018】
熱交換器4は冷水ユニット3と接続しておき、冷水ユニット3で発生させた冷水を内部のタンクにためるようにしている。熱交換器4では、冷水をためているタンクを貫通するようにした複数の伝熱管を設置し、伝熱管内に処理槽2から吸引してきた気体を分散して流すことによって、吸引気体の冷却を行う。熱交換器4の下部には、蒸気を冷却して凝縮させることによって発生したドレンを集合させるドレン集合室9を設け、ドレン集合室9の下方には、熱交換器4で発生したドレンをためておくドレンタンク6を設ける。ドレン集合室9の底部とドレンタンク6内の間はドレン移送管7でつないでおり、熱交換器4で発生したドレンは、ドレン集合室9で集合した後に、ドレン移送管7を通してその下方に設けているドレンタンク6へ流れ落ちる。ドレン移送管7のドレンタンク6側先端は、ドレンタンク6内の底部に近い位置になるように設置しており、ドレンタンク6内にドレンをためた場合には、ドレン移送管7の先端はドレン内に水没するようにしておく。
【0019】
また、ドレン集合室9とドレンタンク6の間は、空気流通管8によっても接続しておく。空気流通管8は、ドレン集合室9内の圧力がドレンタンク6内の圧力よりも低くなって、圧力差が発生した場合、ドレンタンク6内からドレン集合室9へ空気を逃がすことで圧力差をなくすためのものである。そのため空気流通管8は、液体であるドレンが入らないようにドレン集合室9の側壁部分とドレンタンク6の上面に接続している。空気流通管8の途中には通気用弁10を設けており、通気用弁10を開閉することで空気流通管8を通じての空気流通を制御することができるようにしている。
【0020】
真空冷却装置での運転は、処理物を処理槽2内に収容し、処理槽2を密閉した状態で開始する。真空発生装置1の作動を行うと、真空発生装置1が真空配管5を通して処理槽2内の気体を吸引する。処理槽2内の圧力が比較的高い真空冷却工程序盤の場合、真空発生装置1で気体の吸引を行うと、真空発生装置1では多量の気体を排出することができるため、処理槽2内の圧力は急激に低下していく。処理槽2内の圧力が低下し、圧力から定まる処理槽内での飽和蒸気温度が、処理槽内に収納している処理物の温度よりも低くなると、処理物内部の水分が蒸発する。水分が蒸発する際には気化熱を奪っていくため、処理物では温度が低下する。
【0021】
また、冷水ユニット3では冷水を製造して熱交換器4へ供給しておき、真空配管5を通して吸引している気体は、熱交換器4で冷却する。熱交換器4で気体を冷却すると、気体の体積が小さくなり、特に蒸気を冷却することによって液体に戻すと、体積は大幅に縮小する。気体の体積が小さくなると、真空発生装置1で排出しなければならない気体量が少なくなるため、より早く処理槽2内の圧力を低下することができ、冷却に要する時間を短縮することができる。
【0022】
熱交換器4で蒸気を冷却したことによって発生したドレンは、熱交換器4の下部に設けているドレン集合室9に集合させた後に、ドレン移送管7を通してドレンタンク6へ送る。ドレン集合室9で集合したドレンは、重力の作用でドレン移送管7内を下向きに流れ、熱交換器4の下方に設けているドレンタンク内に入る。また、真空冷却工程の序盤では通気用弁10は開いておき、空気流通管8によってもドレン集合室9内とドレンタンク6内の間はつながるようにしておく。
【0023】
真空冷却の工程が進むと、熱交換器内での圧力が低下し、ドレンタンクでも圧力が低下する。ドレンタンクの圧力が低下することで、ドレンタンクでの飽和蒸気温度がドレンタンクにためているドレン温度まで低下すると、ドレンタンク内でドレンが再蒸発することになるため、通気用弁10は、ドレンタンク6でドレンの再蒸発が発生するころまでに閉じるようにしておく。例えば、処理物の温度があらかじめ設定しておいたバルブ閉のタイミング温度になると、通気用弁10を閉じるように設定しておく。
図2では、処理物温度が10℃になった時点で通気用弁10を閉じるものとしている。
【0024】
真空発生装置1での空気の排出量は、処理槽内の圧力が高い真空冷却工程の序盤では多く排出し、処理槽内の圧力が低くなると排出量は少なくなっていく。そのため、真空冷却工程時の処理槽内圧力は、
図2に記載しているように真空冷却の序盤では急激に低下し、真空度が高くなると処理槽内の圧力は緩やかに低下していくことになる。処理物の温度は、真空冷却開始直後の処理槽内の飽和蒸気温度が処理物の温度より高い時間帯では低下しておらず、処理槽内の飽和蒸気温度が処理物温度まで低下すると、急激に低下する。この時間帯では、処理物の温度が高いため、処理物内の水分が盛んに蒸発し、水分が蒸発する際には周囲から気化熱を奪っていくため、処理物温度は急激に低下している。真空冷却の工程が進むと、処理槽内圧力の低下が緩やかになり、処理物の温度も低くなることにより、水分の蒸発量が減少し、処理物の温度変化も緩やかとなる。
【0025】
図2のグラフでは、蒸気発生量の記載はないが、処理物の温度低下が急である部分では、蒸気発生量が多くなっており、真空配管5内を流れる蒸気量が多くなると、熱交換器4で冷却することで発生させているドレンの量も多くなる。熱交換器4で発生したドレンは、熱交換器4の下部に設けているドレン集合室9で集合し、ドレン移送管7を通ってドレンタンク6内にたまる。ドレン移送管7のドレンタンク6側の先端は、ドレンタンク6内で底部に近い位置になるように設置しているため、真空冷却工程序盤のドレン排出量が多い時間のうちにドレン移送管7先端はドレンに水没する。
【0026】
真空冷却工程中は、真空発生装置1の作動によって真空配管内の気体を吸引し、真空配管内の圧力低下によって処理槽内の気体が真空配管内へ吸引されるというものであるため、真空発生装置1に近い側から減圧されていく。熱交換器4とドレンタンク6では、真空発生装置1に近い熱交換器4が先に減圧されるため、熱交換器4はドレンタンク6よりも圧力が低くなる。そのため、熱交換器4とドレンタンク6をつなぐ管がドレン移送管7のみであって、ドレン移送管7の先端がドレンに水没しているということになると、ドレン移送管7の出口がふたをされたような状態になり、ドレン移送管7を通してのドレンタンク6へのドレンの移送が妨げられる。ドレン発生量の多い真空冷却工程の序盤にこのような状態になり、ドレン移送管7を通してドレンタンク6へドレンを送ることができなくなると、ドレンは熱交換器4内に大量にとどまることになってしまう。
【0027】
その状態で真空冷却の工程が進むと、熱交換器内でドレンが再蒸発することになる。真空冷却の工程が進み、熱交換器内での圧力が低くなると、圧力から定まる飽和蒸気温度が低下し、飽和蒸気温度が熱交換器内にあるドレンの温度まで低下すると、ドレンが再蒸発する。ドレンの再蒸発が発生すると、真空発生装置1が排出しなければならない気体量が増加するため、真空冷却に要する時間が長くなってしまう。
【0028】
しかし本発明では、ドレン移送管7のほかに空気流通管8を設けており、熱交換器4内での圧力がドレンタンク6内での圧力よりも低くなれば、空気流通管8を通してドレンタンク6から熱交換器4へ空気が流れるため、圧力差をなくすことができる。そのため、熱交換器4のドレンは、ドレン移送管7を通してドレンタンク6へ送り続けることができ、熱交換器4内にドレンがたまることにはならない。そのことによって、熱交換器4内でのドレンが再蒸発することによる真空冷却工程の遅れは防止できる。
【0029】
また、真空冷却工程の終盤においては、ドレンの発生量は少なくなるために熱交換器4内にドレンがたまるということは発生しにくいが、真空配管5部分での圧力が低くなると、ドレンタンク6内の圧力も低下する。その場合、ドレンタンク6での飽和蒸気温度がドレンの温度まで低下すると、ドレンタンクのドレンからも再蒸発が発生するということになってしまう。しかし本発明では、真空冷却工程の終盤には通気用弁10を閉じ、空気流通管8による熱交換器4とドレンタンク6の間での空気の流通は閉じるようにしており、またドレン移送管7の先端はドレンに水没させているため、ドレンタンク6内の空気が熱交換器4へ送られることがなくなっている。そのため、ドレンタンク6での圧力は熱交換器4と同じように低下することはなくなり、ドレンタンク6内の圧力は真空配管5内での圧力より高くなる。このことにより、ドレンタンク6でのドレンの再蒸発を防止することができる。
【0030】
ただしこの場合でも、ドレン移送管7は真空度の高くなる熱交換器4とつながっているため、ドレン移送管7内のドレン水面では蒸気が発生することになるが、ドレン移送管内にできるドレン水面はごく小さな面積となる。そしてドレン移送管内以外のドレン水面では、真空配管内ほどの低圧に接していないため、ドレンタンクからの再蒸発量は限定された量となり、真空冷却工程が遅れることは防止できる。
【0031】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 真空発生装置
2 処理槽
3 冷水ユニット
4 熱交換器
5 真空配管
6 ドレンタンク
7 ドレン移送管
8 空気流通管
9 ドレン集合室
10 通気用弁