特許第6138021号(P6138021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138021
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】持続可能なトナー
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/133 20060101AFI20170522BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20170522BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C08G63/133
   G03G9/08 331
   G03G9/08 311
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-225350(P2013-225350)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-98149(P2014-98149A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2016年10月27日
(31)【優先権主張番号】13/678,341
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲリノ・ジー・サクリパンテ
(72)【発明者】
【氏名】シガン・チウ
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ・フォーシェ
(72)【発明者】
【氏名】ケ・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アバテ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・カロ
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−307583(JP,A)
【文献】 特開2004−323664(JP,A)
【文献】 特表2005−513531(JP,A)
【文献】 特表2005−517050(JP,A)
【文献】 特開2009−192856(JP,A)
【文献】 特開2009−301026(JP,A)
【文献】 特開2010−248345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00 − 63/91
G03G 9/00 − 9/10, 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱重合されたポリエチレンテレフタレート(PET)ポリオールモノマーと、二酸モノマー又はその無水物と、トリメリト酸無水物と、任意のジオールと、を含むアモルファスポリエステルトナー樹脂であって、前記二酸は、生物分解可能な二酸、生物分解可能ではない二酸、またはこれら双方を含み;前記PETポリオールは、2つ以上のヒドロキシル基を含むエチレンテレフタレート及び2つ以上のヒドロキシル基を含むPETオリゴマーを含み;二酸モノマー又はその無水物はコハク酸無水物を含み;前記任意のジオールは、生物分解可能なジオール、生物分解可能ではないジオール、またはこれら双方を含み;前記トナー樹脂はさらに、任意のポリオール、任意のポリ酸またはこれら双方を含み;前記任意のポリオールおよび前記任意のポリ酸は、少なくとも3つの官能基を含み;前記トナー樹脂は、少なくとも約70%の持続性内容物を含む、トナー樹脂。
【請求項2】
少なくとも約80%の持続性内容物を含む、請求項1に記載のトナー樹脂。
【請求項3】
前記PETポリオールが、約200から約5000g/モルの分子量を含む、請求項1に記載のトナー樹脂。
【請求項4】
前記PETポリオールが、約600から約2000g/モルの分子量を含む、請求項1に記載のトナー樹脂。
【請求項5】
前記トナー樹脂は、ロジンポリ酸を含む、請求項1に記載のトナー樹脂。
【請求項6】
請求項1に記載のアモルファスポリエステルトナー樹脂と、任意の第2アモルファス樹脂と、任意の結晶性樹脂と、を含むトナー粒子。
【請求項7】
前記第2アモルファス樹脂が、脱重合された再生PETポリオールと、バイオベースのポリエステルまたはポリ酸とを含み、少なくとも約70%の持続性内容物を含む、請求項6に記載のトナー粒子。
【請求項8】
前記PETポリオールが、約200から約5000g/モルの分子量を含む、請求項7に記載のトナー粒子。
【請求項9】
前記PETポリオールが、約600から約2000g/モルの分子量を含む、請求項7に記載のトナー粒子。
【請求項10】
前記第2アモルファスポリエステル樹脂は、ロジンポリ酸を含む、請求項7に記載のトナー粒子。
【請求項11】
前記結晶性樹脂を含み、前記結晶性樹脂が、脱重合された再生PETポリオールと、二酸と、任意のジオールとを含む、請求項6に記載のトナー粒子であって、前記二酸は、生物分解可能な二酸、生物分解可能ではない二酸、またはこれら双方を含み;前記任意のジオールは、生物分解可能なジオール、生物分解可能ではないジオール、またはこれら双方を含み;前記結晶性樹脂はさらに、任意のポリオール、任意のポリ酸またはこれら双方を含み;前記任意のポリオールおよび前記任意のポリ酸は、少なくとも3つの官能基を含む、トナー粒子。
【請求項12】
前記PETポリオールは、約200から約5000g/モルの分子量を含む、請求項11に記載のトナー粒子。
【請求項13】
前記PETポリオールは、約600から約2000g/モルの分子量を含む、請求項11に記載のトナー粒子。
【請求項14】
前記結晶性樹脂は、ロジンポリ酸を含む、請求項11に記載のトナー粒子。
【請求項15】
コアシェル構造化粒子であって、
前記コアが、請求項6に記載のトナー粒子であり、
前記シェルが、脱重合された再生ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリオールと、二酸と、任意のジオールとを含、前記二酸は、生物分解可能な二酸、生物分解可能ではない二酸、またはこれら双方を含み;前記任意のジオールは、生物分解可能なジオール、生物分解可能ではないジオール、またはこれら双方を含み;前記シェルはさらに、任意のポリオール、任意のポリ酸またはこれら双方を含み;前記任意のポリオールおよび前記任意のポリ酸は、少なくとも3つの官能基を含む、コアシェル構造化粒子。
【請求項16】
前記PETポリオールが、約200から約5000g/モルの分子量を含む、請求項15に記載のコアシェル構造化粒子。
【請求項17】
前記PETポリオールが、約600から約2000g/モルの分子量を含む、請求項15に記載のコアシェル構造化粒子。
【請求項18】
前記シェルは、ロジンポリ酸を含む、請求項15に記載のコアシェル構造化粒子。
【請求項19】
乳化凝集トナーを含む、請求項6に記載のトナー粒子。
【請求項20】
ワックスを含む、請求項6に記載のトナー粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
脱重合した再生プラスチックおよびバイオベースの材料等の持続可能な材料または試薬を含むトナー;前記トナーを含む現像剤;前記トナーおよび現像剤を含む装置;前記トナーおよび現像剤を含む画像形成装置コンポーネント;前記現像剤を含む画像形成装置;等を記載する。
【背景技術】
【0002】
現在のトナーは一般に、石油系試薬を含む。
【0003】
植物ベース/動物ベースであるもの、または容易に生物分解可能であるもの等、再生可能または生物分解可能な試薬および材料が、現在のトナー試薬の代替物として研究されている。
【0004】
再生材料がトナーに用いられ得るかどうかを決定する別のアプローチがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、持続可能なトナー樹脂であって、バイオベースのポリ酸またはポリエステル試薬を含むポリエステルと、脱重合された再生プラスチック(オリゴマーポリエチレンテレフタレート(PET)を含む)を含むポリオールと、任意のワックスと、任意の着色剤とを含むトナー樹脂を記載する。オリゴマーPETは、ポリエチレンテレフタレートプラスチック(例えばプラスチックボトル等で、これはペレット化されて脱重合、すなわち消化されている)のグリコールによる糖分解(ポリオール化合物であるエチレンテレフタレート(ET)および低分子PETオリゴマーを形成する)によって得ることができる。該トナーは、約70%の持続性内容物を有してよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、量、状態等を表わす全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「約」は、述べられている値から20%以下の変化量を示すことを意図している。また、本明細書中において使用される用語「等しい」、「類似の」、「本質的に」、「実質的に」、「近い」および「合致する」、またはこれらの文法的な変形もまた、一般的に許容可能な規定を有し、または少なくとも「約」と同じ意味を有するものであると理解されるべきである。
【0007】
本明細書中で用いられる「バイオベース」は、全体または実質的な部分(例えば、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも90重量%)が、生物学的製品または再生可能な農業的材料(植物、動物および海洋の材料を含む)、林業材料または他の天然資源で構成される商業製品または工業製品(食物または飼料以外)を意味するものである。生物分解可能な試薬とは、100%バイオベースである。上記試薬または製品は、生物分解可能なものであり、すなわち、製品が自然のプロセスによって(例えば、微生物によって)、数日、数ケ月またはことによると1、2年の年数(ただし、過度の年数ではなく、例えば約5年以下)を含む一定期間にわたって分解され得るものである。トナーに使用可能なバイオベースの樹脂は市販されており(例えば、Entropy Resins、Gardena、CAおよびChimar Hellas、S.A.、Thessaloniki、GR)、トナー樹脂に使用可能なバイオベースの試薬は、例えばSigma−Aldrich、St.Louis、MOから入手可能である。例えば、ロジン酸(荒川化学工業株式会社(日本、大阪)から入手可能な不均化ロジン酸、またはハリマ化成グループ株式会社、Duluth、GAから入手可能なロジン−フマレート付加物等)が使用可能である。バイオベースの材料から一部構成されるトナーが、例えば、Ink4Less、Tigard、ORおよびPrintService GmbH、Eschweiber、DEから入手可能である。
【0008】
本明細書中で用いられる「PETオリゴマー」(またはその文法的な活用形)は、エチレンテレフタレートのオリゴマー(約400(ETダイマーのおよその量)から約5,000g/モルの分子量を有し得る)を含む。オリゴマーPETは、既存のPET(ポリ(エチレンテレフタレート))材料(ボトル(炭酸飲料、ジュース、水等を入れるもの)等)の糖分解によって得ることができる。脱重合前の消費者向けPET材料は一般に約5,000から約500,000g/モルの数平均分子量を有する。PETオリゴマー(2つ以上のET残基を含む)およびモノマーは、トナー用のポリエステル樹脂を形成するのに使用され得るポリオールである。PETオリゴマーはまた、脱重合反応において得られるETモノマーを含む。
【0009】
本明細書中で用いられる「持続性」(またはその文法的な活用形)は、バイオベースであり、かつ以前の他の目的製品から再利用され、かつトナー用に再生されたトナー中の、コンポーネントの量、割合、内容物または他の測定値について言及するものである。それゆえに、本開示は、部分的に、液体容器に一般的に見られる使い終った再生ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の再利用に関するものである。例えば、目的とする持続可能なトナーは少なくとも約25%の本明細書中で教示されるような再生材料から構成されてよい。それゆえに、重量またはモル基準で、トナー粒子は約25%の再生材料を含み、25%の持続性内容物を有することとなる。トナーがまた50%のバイオベースの試薬(植物源から得られる、樹脂を形成するために使用されるポリオールまたはポリ酸/ポリエステル等)を含む樹脂を含む場合、該トナーは75%の持続性内容物を有することとなる。目的とするトナーは、少なくとも約70%の持続可能な内容物、少なくとも約80%の持続可能な内容物、少なくとも約90%の持続可能な内容物、少なくとも約95%またはそれ以上の持続可能な内容物を含む。一般に、トナーの持続性レベルの計算は、表面添加剤および担体なしのトナー粒子それ自体に対してなされる。それゆえに、エマルジョン/凝集トナーでは、計算は、あらゆる凝集および合体の後のトナー粒子を基準とすることになろう。持続可能な樹脂またはポリマーは、少なくとも約50%の持続可能な内容物、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれ以上の持続可能な内容物を含む。
【0010】
少なくとも3つの官能基を含む1つまたは複数の試薬が、ポリマーまたは分枝内に組み込まれて、分岐、さらなる分岐および/または架橋を可能にしてよい。ある種の樹脂を、例えば、低融点温度が必要な用途に用いることができる。
【0011】
1つ、または2つ以上のポリマーを、トナーの形成に用いてよい。2つ以上のポリマーを用いる場合、該ポリマーは任意の適切な比率(例えば、重量比)であってよく、例えば2つの異なるポリマーでは、約1%(第1ポリマー)/99%(第2ポリマー)から約99%(第1ポリマー)/1%(第2ポリマー)、約10%(第1ポリマー)/90%(第2ポリマー)から約90%(第1ポリマー)/10%(第2ポリマー)等である。
【0012】
ポリマーは、固体基準で、トナー粒子の約65から約95重量%、約75から約85重量%の量で存在してよい。ポリマーは、約5から約70重量%、約7から約60重量%、約10から約50重量%のPETオリゴマーを含んでよい。
【0013】
PET源は、例えばフィルム(材料、布等)を含み、より一般的に入手可能な源として、使い終った液体容器がある。例えば、空きボトル(ボトル着色剤を使っていない透明または無色のボトル等)を洗浄および乾燥し、粒状またはペレット状(例えば、約3mm×約3mm×約1mmのサイズのペレット)に細かく粉砕してよい。該ペレットを、脱重合反応(例えば、触媒を用いた、有機ジオール(例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等))中での窒素下での加熱による部分的な糖分解等)にて処理してよい。適切な触媒として、リン酸チタン、酢酸金属(酢酸亜鉛等)、固体強酸、イオン性液体等が知られている。反応後に得られる産物は、ET、PETオリゴマーおよびアルキレングリコールモノマーである(オリゴマーPETの数平均分子量は、モルあたり約200(ETのおよその量)から約5000グラム、約400(ETダイマーのおよその量)から約3500g/m、約600(ETトリマーのおよその量)から約2000g/モルであり得る)。
【0014】
PETオリゴマーを、当該技術分野において知られており、本明細書中で教示されるような、二酸またはジエステルモノマー(その無水物等)と(任意の触媒と共に)反応させて、トナーにおいて一般的に見られる樹脂の一部の代わりとなるように用いられ得るポリエステルポリマーを作成し得る。該二酸またはジエステルは、バイオベースであってよい。残りの樹脂は、当該技術分野において知られ、本明細書中で教示されているものを含む。
【0015】
適切なポリエステル樹脂として、例えば、スルホン化されたもの、スルホン化されていないもの、結晶性のもの、アモルファスなもの、およびこれらの組合せ等が挙げられる。ポリエステル樹脂は、線状のもの、分岐したもの、架橋されたもの、およびこれらの組合せ等であってよい。
【0016】
バイオベースの試薬として、植物油脂類、多糖類、糖酸類、脂肪酸類、および脂肪アルコール類等に由来する試薬を挙げることができ、これらは市販されているか、または植物、動物または微生物源から、当該技術分野において知られている方法を用いて得ることができる。
【0017】
利用できるバイオベースの高分子樹脂の例として、大豆油の脂肪質のダイマー酸またはジオール、D−イソソルビド、アミノ酸、イソソルビド、ポリヒドロキシアルカノエートを含むモノマー由来のポリエステル類、コポリエステル類(3−ヒドロキシ酪酸塩、3−ヒドロキシ吉草酸塩およびこれらの組合せのランダムに配置された単位を含む)、クエン酸、クエン酸無水物、樹脂酸(アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸またはこれらの混合物等)、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸またはこれらの混合物、ロジン酸から生成されたロジンジオールおよびグリセリンカーボネート等が挙げられる。
【0018】
混合物(アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物等)を用いる場合、結晶性ポリエステル樹脂とアモルファスポリエステル樹脂との比率は、約1:99から約30:70の範囲内であってよい。
【0019】
ポリエステル樹脂は、例えば、カルボン酸基を含む多官能性試薬およびアルコール基を含む別の多官能性試薬(PETオリゴマー等)を伴うエステル化反応において、合成的に得ることができる。アルコール試薬(ポリオール)は、2つ以上のヒドロキシル基、3つ以上のヒドロキシル基を含む。酸(ポリ酸またはポリエステル)は、2つ以上のカルボン酸基、3つ以上のカルボン酸基を含む。
【0020】
アモルファスポリエステル樹脂を調製するのに使用可能なポリ酸またはポリエステルの例として、ロジン酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリト酸、ジエチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、シクロヘキサン酸、コハク酸無水物、ドデシルコハク酸、ドデシルコハク酸無水物、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ジメチルナフタレンジカルボキシレート、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、ジエチルフタレート、ジメチルスクシネート、ナフタレンジカルボン酸、二酸ダイマー、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルスクシネートおよびこれらの組合せ等のバイオベースの酸が挙げられる。ポリ酸またはポリエステル試薬は、例えば、樹脂の約40から約60モルパーセント、約42から約52モルパーセント、約45から約50モルパーセントの量で存在してよく、必要に応じて第2のポリ酸を、樹脂の約0.1から約10モルパーセントの量で使用してよい。
【0021】
アモルファスポリエステル樹脂を生成する際に使用可能なポリオールの例として、PETオリゴマー、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびこれらの組合せが挙げられる。ポリオールの量は、樹脂の約40から約60モルパーセント、約42から約55モルパーセント、約45から約53モルパーセントの量であってよく、第2ポリオールを、樹脂の約0.1から約10モルパーセント、約1から約4モルパーセントの量で使用してよい。
【0022】
重縮合触媒を、アモルファス(または結晶性)ポリエステル樹脂を形成する際に用いてよく、テトラアルキルチタネート、ジアルキルスズ酸化物、テトラアルキルスズ、ジアルキルスズ酸化水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、亜鉛酸化物、第一スズ酸化物またはこれらの組合せが挙げられる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発ポリ酸またはポリエステル試薬に基づいて、約0.01から約5モルパーセントの量で使用されてよい。
【0023】
不飽和アモルファスポリエステル樹脂を、ラテックス樹脂として用いてよい。
【0024】
結晶性ポリエステル樹脂を形成するのに適切なポリオールとして、PETオリゴマー類、約2から約36の炭素原子数の脂肪族ポリオール類(1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等)、アルカリスルホ脂肪族ジオール類(ソディオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、リチオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、ポタシオ2−スルホ−1,2−エタンジオール、ソディオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール、リチオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール、ポタシオ2−スルホ−1,3−プロパンジオール等)、およびこれらの混合物等(構造異性体を含む)が挙げられる。脂肪族ポリオールは、樹脂の約40から約60モル%、約42から約55モル%、約45から約53モル%の量で選択されてよく、第2ポリオールが、樹脂の約0.1から約10モル%、約1から約4モル%の量で使用されてよい。
【0025】
結晶性樹脂を調製するためのポリ酸またはポリエステル試薬の例として、バイオベースの試薬(ロジン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス,1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸(場合によっては本明細書中でシクロヘキサン二酸と称する)、マロン酸およびメサコン酸、これらのポリエステルまたは無水物等)、およびアルカリスルホ有機ポリ酸(ジメチル−5−スルホ−イソフタレート、ジアルキル−5−スルホ−イソフタレート−4−スルホ−1,8−ナフタール酸無水物、4−スルホ−フタル酸、ジメチル−4−スルホ−フタレート、ジアルキル−4−スルホ−フタレート、4−スルホフェニル−3,5−ジカルボメトキシベンゼン、6−スルホ−2−ナフチル−3,5−ジカルボメトキシベンゼン、スルホ−テレフタル酸、ジメチル−スルホ−テレフタレート、5−スルホ−イソフタル酸、ジアルキル−スルホ−テレフタレート、スルホ−p−ヒドロキシ安息香酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホネートのソディオ、リチオまたはポタシオ塩等)またはこれらの混合物が挙げられる。ポリ酸は、例えば、樹脂の約40から約60モルパーセント、約42から約52モルパーセント、約45から約50モルパーセントの量で選択されてよく、必要に応じて、第2ポリ酸が、樹脂の約0.1から約10モルパーセントの量で選択されてよい。
【0026】
適切な結晶性樹脂として、エチレングリコール、およびドデカン二酸とフマル酸のコモノマーの混合物で形成される樹脂を挙げてよい。
【0027】
結晶性樹脂は、例えば、トナーコンポーネントの約1から約85重量%、約2から約50重量%、約5から約15重量%の量で存在してよい。結晶性樹脂は、種々の融点、例えば、約30℃から約120℃、約50℃から約90℃、約60℃から約80℃の融点を有してよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合に、例えば、約1,000から約50,000グラム/モル、約2,000から約25,000g/モルであってよく、重量平均分子量(M)が、GPCで求めた場合に、例えば、約2,000から約100,000g/m、約3,000から約80,000g/モルであってよい。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2から約6、約3から約4であってよい。
【0028】
生じたトナーの光沢を上げるために(例えば約5guずつ)、少なくとも2つのアモルファス樹脂の比率を変えてよい。
【0029】
一般に、当該技術分野において知られているように、ポリ酸/ポリエステルおよびポリオール試薬は、必要に応じて触媒と共に、一緒に混合され、昇温状態(例えば約180℃からそれ以上、約190℃からそれ以上、約200℃からそれ以上等)でインキュベートされる等して(嫌気的に行われてよい)、エステル化を平衡まで起こすことができ、これにより一般に、エステル化反応でエステル結合を形成することから生じる水またはアルコール(メタノール等)が産出される。反応は、重合を促進するために、真空下で行われてよい。産物は、既知の方法を用いて集められ、乾燥されてよく、ここでも既知の方法によって微粒子が産出される。
【0030】
分岐剤(例えば多価ポリ酸を含む)を、樹脂の約0.01から約10モルパーセント、約0.05から約8モルパーセント、約0.1から約5モルパーセントの量で用いてもよい。
【0031】
ポリマーを架橋することが望ましい場合がある。架橋に貢献する適切な樹脂は、反応性基(C=C結合等)を有するもの、またはペンダント基もしくは側基(カルボン酸基等)を有するものである。樹脂は、開始剤を用いてフリーラジカル重合を通して架橋され得る。適切な開始剤として、過酸化物(有機過酸化物等)またはアゾ化合物が挙げられる。使用される開始剤の量は、例えば、ポリエステル樹脂の約0.01から約10重量パーセント、約0.1から約5重量パーセントの範囲であり得る。架橋は高温で行われてよく、従って、反応は例えば、10分未満(約20秒から約2分の滞留時間等)であってよい。
【0032】
トナーを形成する際に他の適切な樹脂またはポリマーを利用してよい。
【0033】
シアン、マゼンタ、オレンジ、紫、茶、青またはこれらの混合物等の着色顔料を用いてよい。これらの着色顔料は、約400から約700nmのフルスペクトル領域にわたって、R=0.20以下のスペクトル応答反射率を示す。さらなる顔料(または複数の顔料)を、水性顔料分散系として用いてよい。
【0034】
着色剤は、固体基準で、トナー粒子の6重量%を超える量(例えば、約7から約17重量%の範囲の量)で用いられてよい。
【0035】
トナー組成物、着色剤等は、界面活性剤を含む分散系であってよい。トナーのポリマーおよび他の成分が組み合わされるエマルジョン凝集法により、1つまたは複数の界面活性剤を用いて、エマルジョンを形成し得る。
【0036】
1つ、または2つ以上の界面活性剤を用いてよい。界面活性剤は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、またはこれらの組合せから選択されてよい。陰イオン界面活性剤および陽イオン界面活性剤が、用語「イオン性界面活性剤」に包含される。
【0037】
界面活性剤または界面活性剤の総量は、トナー形成組成物の約0.01重量%から約5重量%の量で用いられてよい。
【0038】
本開示のトナーは、必要に応じてワックスを含んでよく、当該ワックスは、1種類のワックス、または2種類以上の異なるワックスの混合物(以下、「ワックス」と同一に扱う)のどちらであってもよい。代わりに、ワックスの組合せを加えて、トナーまたは現像剤組成物に複数の特性を付与してよい。
【0039】
ワックスは、含まれる場合には、トナー粒子の約1重量%から約25重量%、約5重量%から約20重量%の量で存在してよい。
【0040】
選択され得るワックスとして、重量平均分子量が約500から約20,000、約1,000から約10,000のワックスが挙げられる。
【0041】
凝集因子は、無機陽イオン凝固剤、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリスルホケイ酸アルミニウム(PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、マグネシウムの塩化物、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、アルミニウム、ナトリウム、一価および二価のハロゲン化物を含む他の金属ハロゲン化物等であってよい。
【0042】
該凝集因子は、エマルジョンにおいて、トナーの総固体基準で、約0.01から約10重量%、約0.05から約5重量%の量で存在してよい。
【0043】
金属イオン封鎖剤またはキレート剤を、凝集完了後に導入して、凝集プロセスから金属錯イオン(アルミニウム等)を封鎖または抽出してよい。従って、凝集完了後に用いられる金属イオン封鎖剤、キレート剤または錯体形成剤は、錯体形成コンポーネント(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グルコナール(gluconal)、ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸(HIDS)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(GLDA)、メチルグリシジル二酢酸(MGDA)、ヒドロキシジエチルイミノ二酢酸(HIDA)、グルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、フルボ酸;EDTAの塩類(EDTAのアルカリ金属塩類等)、およびこれらの混合物等)を含み得る。
【0044】
トナー粒子を、1つまたは複数の二酸化ケイ素もしくはシリカ(SiO)、チタニアもしくは二酸化チタン(TiO)および/または酸化セリウムと混合してよい。第2シリカは、第1シリカよりも大きな平均サイズ(直径)を有してよい。チタニアは、約5nmから約50nm、約5nmから約20nm、約10nmから約50nmの範囲の平均一次粒子径を有してよい。酸化セリウムは、例えば、約5nmから約50nm、約5nmから約20nm、約10nmから約50nmの範囲の平均一次粒子径を有してよい。
【0045】
ステアリン酸亜鉛もまた、外部添加剤として用いられてよい。ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムが、同様に機能し得る。
【0046】
表面添加剤を、トナーの約0.1から約10重量%、または約0.5から約7重量%の量で使用してよい。
【0047】
他の表面添加剤として、潤滑剤(脂肪酸の金属塩(例えばステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウム)または長鎖アルコール類等)が挙げられる。
【0048】
シリカは、例えば、トナー流、摩擦制御、混合制御、現像および転写安定性の向上、ならびにより高いトナーブロッキング温度を改良し得る。ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムもまた、現像剤導電性、摩擦増進、より高いトナー荷電および荷電安定性をもたらし得る。外部表面添加剤は、コーティングまたはシェルがあってもなくても用いられてよい。
【0049】
トナーの光沢は、粒子中に保持された金属イオン(Al3+等)の量によって、影響され得る。保持される金属イオンの量は、キレート剤(EDTA等)の添加によってさらに調整されてよい。本開示のトナー粒子中に保持される触媒(例えばAl3+)の量は、約0.1pphから約1pph、約0.25pphから約0.8pphであってよい。本開示のトナーの光沢度は、ガードナー光沢単位(gu)で測定して、約20guから約100gu、約50guから約95gu、約60guから約90guの光沢であってよい。
【0050】
乳化処理/凝集プロセスに関する実施形態において、複数の樹脂(これらの1つまたは複数が持続可能な樹脂(目的とするPETオリゴマー、バイオベースのポリエステル/ポリ酸またはこれら双方を含むもの等)である)が、溶媒に溶解されてよく、そしてエマルジョン媒体(例えば水(脱イオン水等)(必要に応じて安定化剤および必要に応じて界面活性剤を含む))内に混合されてよい。適切な安定化剤の例として、水溶性アルカリ金属水酸化物またはこれらの混合物が挙げられる。安定化剤が用いられる場合、該安定化剤は、樹脂の約0.1重量%から約5重量%、約0.5重量%から約3重量%の量で存在してよい。
【0051】
必要に応じて、界面活性剤が水性エマルジョン媒体に加えられてよい。
【0052】
乳化処理後、トナー組成物を、樹脂、目的とする第1着色剤および任意の第2着色剤、任意のワックスおよび他の任意の所望される添加剤のエマルジョン中の混合物を(必要に応じて前述の界面活性剤により)凝集させ、その後必要に応じて凝集混合物を合体させることによって調製してよい。混合物が、任意のワックスまたは他の材料(必要に応じて分散系(界面活性剤を含む)であってもよい)を、樹脂形成材料ならびに第1着色剤および第2着色剤を含むエマルジョン(必要な試薬を含む2つ以上のエマルジョンの混合物であってよい)に加えることによって、調製されてよい。生じた混合物のpHは、酸(例えば酢酸、硝酸等)によって調整されてよい。
【0053】
前述の混合物の調製後、しばしば、最初の重合反応由来のより小さな粒子(ナノメートルのサイズであることもよくある)のより大きな粒子または凝集体(マイクロメートルのサイズであることもよくある)を形成することが所望される。凝集因子を該混合物に加えてもよい。
【0054】
凝集因子は、樹脂またはポリマーのガラス転移温度(T)未満の温度で該混合物に加えてよい。
【0055】
凝集因子は、トナーを形成するために、例えば約0.1パーセント(pph)から約1pph、約0.25pphから約0.75pphの量で混合物成分に加えてよい。
【0056】
粒子の凝集を制御するために、凝集因子は、測定されてから経時的に混合物内に加えてよい。例えば、該因子は、約5から約240分、約30から約200分にわたって、混合物内に漸次加えてよい。
【0057】
凝集因子の添加後の粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下で成され得る。
【0058】
粒子は、予め定めた所望の粒子径が得られるまで凝集できるようにされてよい。粒子径は、成長プロセス中に観察できる。例えば、サンプルを成長プロセス中に採って、平均粒子径について、例えばCOULTER COUNTERにより分析できる。従って、凝集は、例えば昇温状態で、またはゆっくり温度を上げることで(例えば約40℃から約100℃)混合物を維持し、かつその温度で混合物を約0.5時間から約6時間、撹拌を維持しながら保つことによって進行し、所望の凝集粒子が提供され得る。
【0059】
トナー粒子または凝集体の所望の最終サイズが達成されれば、混合物のpHを塩基によって約6から約10、約6.2から約7の値に調整し得る。pHの調整を用いて、トナー粒子成長をフリーズ、すなわち停止してよい。トナー粒子成長を停止するために用いられる塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物であってよい。EDTAを、pHを所望の値に調整するのを促進するために加えてもよい。
【0060】
トナー粒子の特徴は、適切な任意の技術および装置によって測定し得る。容積平均粒子径および幾何標準偏差を、Beckman Coulter MULTISIZER3等の機器(メーカーの指示に従って操作される)を用いて測定できる。
【0061】
凝集後、合体前に、樹脂コーティングを凝集粒子に適用して、その上にシェルを形成してよい。本明細書中に記載される、または当該技術分野において知られている任意の樹脂をシェルとして用いてよい。本明細書中に記載される持続可能なポリエステルアモルファス樹脂ラテックス(PETオリゴマー、バイオベースのポリエステル/ポリ酸またはこれら双方を含むもの等)がシェルに含まれてよい。実施形態において、本明細書中に記載されるポリエステルアモルファス樹脂ラテックス(PETオリゴマー、バイオベースのポリ酸/ポリエステルまたはこれら双方を含むもの等)を、異なる樹脂と組み合わせてから、樹脂コーティングとして粒子に加えてシェルを形成してよい。
【0062】
シェル樹脂を、当業者の常識範囲内の任意の方法によって凝集粒子に適用してよい。
【0063】
凝集粒子へのシェルの形成は、約30℃から約80℃、約35℃から約70℃の温度に加熱する間に起こり得る。シェルの形成は、約5分から約10時間、約10分から約5時間の間、起こり得る。
【0064】
該シェルは、トナーコンポーネントの約1重量%から約80重量%、約10重量%から、約20重量%から約35重量%の量で存在してよい。
【0065】
所望の粒子径への凝集、および任意のシェルの適用の後、粒子は、形状およびサイズの不規則性を補正するために、所望の最終形状(例えば円形等)に合体させてよい。この合体は、例えば、混合物を約45℃から約100℃、約55℃から約99℃の温度(トナー粒子を形成するのに用いられる樹脂のTg以上であってよい)に加熱することによって、および/または撹拌を、例えば、約1000rpmから約100rpmへ、約800rpmから約200rpmへ弱めることによって、達成される。合体は、約0.01から約9時間、約0.1から約4時間の間、行われてよい。
【0066】
必要に応じて融合助剤を用いてよい。
【0067】
実施形態において、合体剤(または融合助剤もしくは合体促進剤)は、エマルジョン/凝集プロセスの後期ステージ中(第2加熱ステップ中等)(すなわち、一般に樹脂またはポリマーのTgを超える)に蒸発する。
【0068】
合体後、混合物は室温(約20℃から約25℃等)に冷却されてよい。冷却は、所望により、急速に行ってもゆっくり行ってもよい。適切な冷却方法として、リアクターを囲むジャケット内に冷水を導入することが挙げられる。冷却後、トナー粒子は必要に応じて水で洗浄された後に乾燥されてよい。乾燥は、例えば、凍結乾燥を含む任意の適切な乾燥方法によって成し得る。
【0069】
トナーは、任意の既知の電荷添加剤を、トナーの約0.1から約10重量%、約0.5から約7重量%の量で含んでよい。このような電荷添加剤の例として、アルキルピリジニウムハロゲン化物、重硫酸塩、および陰電荷促進添加剤(アルミニウム錯体等)等が挙げられる。
【0070】
電荷促進分子を用いて、トナー粒子に陽電荷または陰電荷を与えてよい。例として、四級アンモニウム化合物、硫酸エステルおよびスルホネート化合物、セチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、アルミニウム塩等が挙げられる。
【0071】
乾燥トナー粒子は、外部表面添加剤を除いて、以下の特徴を有してよい:(1)約2.5から約20μm、約2.75から約10μm、約3から約7.5μmの容積平均直径(「容積平均粒子径」ともいう);(2)約1.18から約1.30、約1.21から約1.24の数平均幾何標準偏差(GSDn)および/または容積平均幾何標準偏差(GSDv);ならびに(3)約0.9から約1.0、約0.95から約0.985、約0.96から約0.98の真円度(例えばSysmex FPIA 2100アナライザーにより測定)、である。
【0072】
このように形成されたトナー粒子は、現像剤組成物に製剤化され得る。例えば、該トナー粒子を、担体粒子と混合して、2成分現像剤組成物を得ることができる。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の総重量の約1重量%から約25重量%、現像剤の総重量の約2重量%から約15重量%であってよく、残りの現像剤組成物は担体である。
【0073】
トナー粒子と混合する担体粒子の例として、トナー粒子とは反対の極性電荷を摩擦電気的に得ることができる粒子が挙げられる。
【0074】
実施形態において、担体粒子として、その上にコーティングを有するコアを挙げることができ、当該コアは、ポリマー、または帯電列において互いに近接していないポリマーの混合物(本明細書中で教示される、または当該技術分野において知られているもの等)から形成され得る。
【0075】
担体粒子は、担体コアをポリマーと、コーティングされた担体粒子の重量基準で、約0.05から約10重量%、約0.01から約3重量%の量で混合(例えば機械的固着および/または静電引力による担体コアに対するポリマーの付着が得られるまで)することによって調製し得る。
【0076】
該トナーまたは現像剤は、静電写真プロセスまたは電子写真プロセスに用いることができ、既知の画像現像システムの任意のタイプを画像現像装置において用いることができる。
【0077】
部およびパーセントは、特に明記しない限り重量によるものである。本明細書中で用いられるRTは、約20℃から約30℃の温度を指す。
【実施例】
【0078】
実施例1
プロピレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレートボトルの脱重合
空きPETボトルを洗浄し、乾燥し、粒体(約3mm×約3mm×約1mmのサイズ)に細かく粉砕した。該粒状のPET(500g)をHoppes 2Lリアクター内に投入し、プロピレングリコール(750g)および酢酸亜鉛触媒(2.5g)をリアクターに加えた。リアクターを閉じ、ジャケット温度を213℃に設定した。続いてリアクターを窒素で200kPaに加圧し、撹拌器を50rpmに設定した。ニードル弁を用いて、リアクター内への窒素の小流を維持し、これによりプロピレングリコール蒸気が還流コンデンサ(ジャケット温度は130℃に設定)にキャリーオーバーされた。圧縮されたプロピレングリコールはその後、還流コンデンサからリアクターへ戻り得る。反応がこれらの条件下で8時間進んで、透明な液体が得られた。リアクタージャケットの温度をRTに下げ、内容物を一晩リアクター内に静置した。
【0079】
実施例2
再生ポリエチレンテレフタレートオリゴマーまたはプレポリマーの製造
リアクターの内容物を、ジャケット温度を213℃に設定して再加熱し、窒素除去とその後の吸引の双方により7時間にわたってプロピレングリコールを蒸留した。リアクターインペラを、3rpmで撹拌するように設定した。プロピレングリコール蒸留液は、次の脱重合反応での再利用のために回収した。その時点では主にオリゴマーPETからなるプレポリマーが、101℃の軟化点(Mettler Toledo軟化点測定装置で測定した)でリアクター内に残っていた。GPC分析により、Mwが3454g/m、Mnが2058g/m、PDIが1.67およびMzが5162g/mであることが明らかとなった。
【0080】
実施例3
トナー樹脂の製造
PETオリゴマー(365.85g)、トリメリト酸無水物(25.9g)、テトラプロペニルコハク酸無水物(72.2g)およびFascat 4100(ブチル(ヒドロキシ)スタンナン(stannanone)、2.8g)を1L Parrリアクター内に投入した。リアクター温度を210℃に設定し、アルゴン除去を行い、これにより水が縮合プロセスからコンデンサ内へキャリーオーバーされた。反応が7時間進行し、121℃の軟化点のポリマーが得られた。リアクター内容物を出し、リアクターを冷却した。
【0081】
樹脂を分析したところ、59.5℃のTg(直ぐの点または開始点(on or onset))、20,800ダルトンのMw;3,000ダルトンのMn;584,000ダルトンのMz;および6.9のPDIを有することがわかり、値は市販のトナーのものと類似していた。
【0082】
実施例4
持続可能な樹脂
機械式アジテータ、蒸留装置およびボトムドレーン弁を備えた2L hopesリアクターに、336グラムの再生PETE(Reichholdから入手可、Mw=840)、64グラムの1,2プロピレングリコールおよび2グラムのFASCAT 4100(Arkema、Philadelphia、PA)を充填した。該混合物を3時間にわたって185℃に加熱し、さらに1時間維持した。次いでこの混合物に41グラムのコハク酸、623グラムのResinal 830(ロジン−フマレート付加物)、16グラムのグリセロールおよび53グラムの1,2−プロピレングリコールを加えた。その後、該混合物を、2時間にわたって205℃に加熱し、窒素による30KPaの加圧下に置いて、さらに3時間維持した。その後、大気圧に減圧し、温度を225℃に上げた。その後、圧力を1時間にわたって−70KPaに下げ、樹脂の軟化点が138℃になるまで維持した。樹脂を金属皿内に出し、室温に冷えるようそのままにした。該樹脂は、64℃のTgを有し、C14分析で測定して、67%のバイオ再生可能内容物、または持続性内容物を有していた。樹脂の再生PET内容物は32重量%であり、全体で90%を超える持続性内容物が得られた。
【0083】
続いて、100グラムの樹脂を100グラムのメチルエチルケトンおよび3グラムのイソプロパノール中に溶解することによって、バイオベースの持続可能なアモルファスポリエステル樹脂のエマルジョンを調製した。その後、生じた混合物を撹拌しながら40℃に加熱し、該混合物に5.5グラムの水酸化アンモニウム(10%の水溶液)を滴下し、その後200グラムの水を30分間にわたって滴下した。その後、生じた分散系を80℃に加熱し、メチルエチルケトンを蒸留して、持続可能なポリエステルの41.5ミリメートルパーセント固体分散系(水中)が生じた。持続可能なポリエステルエマルジョン粒子を測定すると、直径185nm、水中で16.8重量%であった。
【0084】
実施例5
持続可能な樹脂エマルジョン
機械式アジテータ、蒸留装置およびボトムドレーン弁を備えた2L hopesリアクターに、604.8グラムの不均化ロジン酸(荒川化学工業株式会社、KR−614)、254.9グラムのグリセリンカーボネートおよび1.14グラムの2−メチルイミダゾールを充填した。該混合物を175℃にて6時間加熱し、その後、168グラムの再生PET(Reichhold、Mw=840)、56.8グラムの1,6−ヘキサンジオール、504グラムのイソフタル酸、159.6グラムのドデシルコハク酸および2グラムのFASCAT 4100を加えた。該混合物を、3時間にわたって205℃に加熱し、さらに3時間維持した。その後、該混合物を225℃に加熱し、−70KPaに減圧し、樹脂の軟化点が112℃になるまでさらに3時間維持した。樹脂を金属皿内に出し、室温に冷えるようそのままにした。該樹脂は、Tg57℃、酸価12.1であった。
【0085】
続いて、100グラムの樹脂を100グラムのメチルエチルケトンおよび3グラムのイソプロパノール中に溶解することによって、持続可能なポリエステル樹脂のエマルジョンを調製した。その後、生じた混合物を撹拌しながら40℃に加熱し、該混合物に5.5グラムの水酸化アンモニウム(10%の水溶液)を滴下し、その後200グラムの水を30分間にわたって滴下した。その後、生じた分散系を80℃に加熱し、メチルエチルケトンを蒸留して、バイオベースの持続可能なポリエステルの41.5ミリメートルパーセント固体分散系(水中)が生じた。持続可能なポリエステルエマルジョン粒子を測定すると、直径180nm、水中で16.08重量%であった。
【0086】
実施例6
トナーの製造
磁気攪拌棒を入れた2リットルのガラスビーカー内に、実施例4の146gの持続可能な樹脂エマルジョン(16.08重量パーセント)、9.27gの市販の結晶性樹脂エマルジョン(35.17重量パーセント)、14.49gのIGIワックス分散系(29.93重量パーセント)および16.37gのシアン顔料PB15:3(17.21重量パーセント)を加えた。それとは別に、0.84gのAl(SO(27.85重量パーセント)を凝集剤として均質化中に加えた。該混合物を700rpmで撹拌しながら40.7℃に加熱すると、粒子が凝集した。粒子径を、COULTER COUNTERにより、コア粒子が4.49μmの容積平均粒子径(1.29のGSDv)に達するまで、観察した。その後、81.0gの実施例4の持続可能な樹脂エマルジョンをシェル材料として加え、6.28μmの平均粒子径(1.31のGSDv)のコアシェル構造化粒子が生じた。その後、反応スラリーのpHを、4重量パーセントのNaOH溶液を用いて、7.59に上げてから、3.62gのEDTA(39重量パーセント)を用いてトナー成長をフリーズさせた。フリーズ後、反応混合物を合体のために79.4℃に加熱した。トナーを急冷すると、最終粒子径が7.27μm(1.39のGSDv)となった。トナースラリーを室温に冷やし、篩分け(25μm)、ろ過によって分離し、その後洗浄および凍結乾燥した。
【0087】
実施例7
トナーの製造
磁気攪拌棒を入れた2リットルのガラスビーカー内に、実施例5の152.64gの持続可能な樹脂エマルジョン(16.08重量パーセント)、9.27gの市販の結晶性樹脂エマルジョン(35.17重量パーセント)、14.49gのIGIワックス分散系(29.93重量パーセント)および16.37gのシアン顔料PB15:3(17.21重量パーセント)を加えた。それとは別に、0.84gのAl(SO(27.85重量パーセント)を凝集剤として均質化中に加えた。該混合物を700rpmで撹拌しながら40.7℃に加熱すると、粒子が凝集した。粒子径を、COULTER COUNTERにより、コア粒子が4.51μmの容積平均粒子径(1.28のGSDv)に達するまで、観察した。その後、84.30gの実施例5の持続可能な樹脂エマルジョンをシェル材料として加え、6.28μmの平均粒子径(1.31のGSDv)のコアシェル構造化粒子が生じた。その後、反応スラリーのpHを、4wt%のNaOH溶液を用いて、7.59に上げてから、3.62gのEDTA(39重量パーセント)を用いてトナー成長をフリーズさせた。フリーズ後、反応混合物を合体のために79.4℃に加熱した。トナーを急冷すると、最終粒子径が6.87μm(1.32のGSDv)となった。その後、トナースラリーを室温に冷やし、篩分け(25μm)、ろ過によって分離し、その後洗浄および凍結乾燥した。