特許第6138034号(P6138034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住江織物株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000002
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000003
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000004
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000005
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000006
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000007
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000008
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000009
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000010
  • 特許6138034-折り畳み可能な三次元立体マット 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138034
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】折り畳み可能な三次元立体マット
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/12 20060101AFI20170522BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20170522BHJP
   D04B 21/10 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   A47C27/12 H
   D04B21/14 Z
   D04B21/10
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-245838(P2013-245838)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-100666(P2015-100666A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年3月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 防犯防災総合展 in KANSAI 2013,インテックス大阪,平成25年10月17日,平成25年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】高治 重彦
(72)【発明者】
【氏名】宇野 誠一
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−131008(JP,A)
【文献】 特開2007−224441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/12
D04B 21/10
D04B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地および前記第二編地のうちのいずれか一方の編地は、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなり、該一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が1条ないし複数条設けられ、
前記他方の編地における、前記一方の編地の非連結部に対応する位置に、編地が連続しない非連続部位が設けられ、
前記非連結部において立体編物が折り畳み可能となされていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項2】
前記他方の編地の非連続部位の幅が6mm〜80mmである請求項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項3】
互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地および前記第二編地のうちのいずれか一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が複数条設けられ、
前記一方の編地における隣り合う非連結部において、該隣り合う一方の非連結部に、編地が連続しない非連続部位が設けられ、前記隣り合う他方の非連結部では、編地が連続するように構成され、
前記他方の編地は、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続している非連結部に対応する位置に、編地が連続しない非連続部位が設けられると共に、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続していない非連結部に対応する部位で、連続するように構成されていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項4】
前記両編地における非連続部位の幅が80mm以下である請求項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項5】
前記非連結部の幅が6mm〜80mmに設定されている請求項のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項6】
前記他方の編地は、その全領域において、前記一方の編地と連結糸でつながれている請求項のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【請求項7】
前記立体編物は、6〜18ゲージの二列針床を有する編機によりコース密度が8〜30本/2.54cmで編成されたものである請求項1〜のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震、台風、水害等の災害発生時等における避難所等において、被災者等が寝るためのベッドマットとして好適に使用できる、折り畳み可能な三次元立体マットに関する。
【背景技術】
【0002】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された三次元立体編物は、軽量であり、良好なクッション性を備えていることから、各種クッション材として使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された、厚みが2.5〜25mmの三次元立体編物であって、連結糸の15重量%以上が潜在捲縮発現性繊維である三次元立体編物は、反発感のある良好なクッション性を備えていて、ベッドパッド、マットレス等として好適であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−113310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震、台風、水害等の災害発生時における避難所においては、被災者等が寝るためのマットが必要となるが、従来では、被災者自身が自宅から持ち込んだ布団やマットレスを使用したり、或いは自治体が準備した布団やマットレスを使用していた。
【0006】
しかるに、布団やマットレスは、軽量性に乏しいことから、お年寄りや子供らが取り扱う際の運搬や敷設作業が軽減され得る軽量性に優れたものが好ましいと考えられる。
【0007】
そこで、本発明者らは、上記三次元立体編物をこのような布団やマットレスの代替として使用することを着想した。
【0008】
しかしながら、使用を終えて収納する際には、三次元立体編物のベッドマットは、厚さがあって、且つ表裏編地間が連結糸で連結されているので、折り畳むことができず、そのままの大きさ(ベッドサイズ)で収納しなければならず、収納スペースが嵩張る等、収納性に劣るという問題があった。
【0009】
また、折り畳むことができないので、運搬や収納作業の際の作業性に劣るという難点もあった。
【0010】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、軽量性、クッション性、体圧分散性に優れると共に、非使用時には折り畳むことができて収納性に優れ、使用時には直ちに展開状態にすることのできる折り畳み可能な三次元立体マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0012】
[1]互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地と前記第二編地とが連結糸でつながれていない領域がコース方向に沿って延ばされた非連結領域が1条ないし複数条設けられ、該非連結領域において立体編物が折り畳み可能となされていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【0013】
[2]互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地と前記第二編地とが連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結領域が1条ないし複数条設けられ、該非連結領域において立体編物が折り畳み可能となされていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【0014】
[3]前記非連結領域の幅が6mm〜80mmに設定されている前項1または2に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0015】
[4]前記第一編地および前記第二編地は、いずれも、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなる前項1〜3のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0016】
[5]互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地および前記第二編地のうちのいずれか一方の編地は、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなり、該一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が1条ないし複数条設けられ、
前記他方の編地における、前記一方の編地の非連結部に対応する位置に、編地が連続しない非連続部位が設けられ、
前記非連結部において立体編物が折り畳み可能となされていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【0017】
[6]前記他方の編地の非連続部位の幅が6mm〜80mmである前項5に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0018】
[7]互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなり、
前記第一編地および前記第二編地のうちのいずれか一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が複数条設けられ、
前記一方の編地における隣り合う非連結部において、該隣り合う一方の非連結部に、編地が連続しない非連続部位が設けられ、前記隣り合う他方の非連結部では、編地が連続するように構成され、
前記他方の編地は、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続している非連結部に対応する位置に、編地が連続しない非連続部位が設けられると共に、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続していない非連結部に対応する部位で、連続するように構成されていることを特徴とする折り畳み可能な三次元立体マット。
【0019】
[8]前記両編地における非連続部位の幅が80mm以下である前項7に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0020】
[9]前記非連結部の幅が6mm〜80mmに設定されている前項5〜8のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0021】
[10]前記他方の編地は、その全領域において、前記一方の編地と連結糸でつながれている前項5〜9のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【0022】
[11]前記立体編物は、6〜18ゲージの二列針床を有する編機によりコース密度が8〜30本/2.54cmで編成されたものである前項1〜10のいずれか1項に記載の折り畳み可能な三次元立体マット。
【発明の効果】
【0023】
[1]の発明では、互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量で、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、第一編地と第二編地とが連結糸でつながれていない非連結領域がコース方向に沿って1条ないし複数条設けられた構成であるから、該非連結領域において三次元立体マットを折り畳むことができる。従って、この三次元立体マットは、非使用時には折り畳んで収納できるので、収納性に優れているし、運搬や収納作業の際の作業性も良好であり、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0024】
[2]の発明では、互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量で、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、第一編地と第二編地とが連結糸でつながれていない非連結領域がウェール方向に沿って1条ないし複数条設けられた構成であるから、該非連結領域において三次元立体マットを折り畳むことができる。従って、この三次元立体マットは、非使用時には折り畳んで収納できるので、収納性に優れているし、運搬や収納作業の際の作業性も良好であり、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0025】
[3]の発明では、非連結領域の幅が6mm〜80mmに設定されており、6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。
【0026】
[4]の発明では、第一編地および第二編地は、いずれも、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなる構成(図1、2参照)であるから、第一編地と第二編地の間の空間に比較的大きい異物(ゴミ等)が入り込むのを十分に防止できる。
【0027】
[5]の発明では、互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量で、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、両編地のうちのいずれか一方の編地は、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなり、該一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が1条ないし複数条設けられ、他方の編地は、一方の編地の非連結部に対応する部位で連続しないように構成されているから、該非連結部において三次元立体マットを折り畳むことができる。従って、この三次元立体マットは、非使用時には折り畳んで収納できるので、収納性に優れているし、運搬や収納作業の際の作業性も良好であり、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0028】
[6]の発明では、前記他方の編地の非連続部位の幅が6mm〜80mmであり、6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。
【0029】
[7]の発明では、互いに離間して配置された第一編地と第二編地とを、モノフィラメント糸からなる連結糸でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量で、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、両編地のうちのいずれか一方の編地において、他方の編地と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部が複数条設けられ、前記一方の編地における隣り合う非連結部において、該隣り合う一方の非連結部では、編地が連続しないように構成され、前記隣り合う他方の非連結部では、編地が連続するように構成され、前記他方の編地は、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続している非連結部に対応する部位で、連続しないように構成されると共に、前記一方の編地の複数の非連結部のうち編地が連続していない非連結部に対応する部位で、連続するように構成されているから、図9に示すように三次元立体マットを折り畳むことができる。即ち、編地における非連続部位が、両編地に関して交互配置になっているので、図9に示すような折り畳み状態とすることにより(編地における非連続部位を折り返し部の外側に位置させることができて)、折り畳み操作をより一層容易化できる(折り畳みし易くできる)と共に、この折り畳み状態をより安定化させることができる。従って、この三次元立体マットは、非使用時には折り畳んで収納できるので、収納性に優れているし、運搬や収納作業の際の作業性も良好であり、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0030】
[8]の発明では、非連続部位の幅が80mm以下であるから、十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。
【0031】
[9]の発明では、非連結部の幅が6mm〜80mmに設定されており、6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。
【0032】
[10]の発明では、前記他方の編地は、その全領域において、前記一方の編地と連結糸でつながれている構成であるから、マットのクッション性及び体圧分散性をさらに向上させることができる(特に非連結部に対応する領域でマットのクッション性及び体圧分散性が低下するのを十分に防止できる)。
【0033】
[11]の発明では、形態安定性に優れると共に、硬さ感のない、折り畳み可能な三次元立体マットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マットの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1におけるX−X線の断面図である。
図3図1の三次元立体マットの表編地の平面図である。
図4図1の三次元立体マットの裏編地の平面図である。
図5図1の三次元立体マットを折り畳んだ状態を示す断面図である。
図6】本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マットの他の実施形態を示す斜視図である。
図7図6の三次元立体マットの断面図(マットのコース方向bに平行に切断した断面図)である。
図8】本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マットのさらに他の実施形態を示す断面図である。
図9図8の三次元立体マットを折り畳んだ状態を示す断面図である。
図10参考例1に係る三次元立体マットの編組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マット(三次元立体編物マット)1の一実施形態を図1〜5に示す。この三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地(表編地)11と第二編地(裏編地)12とが、モノフィラメント糸からなる連結糸13で連結された厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる。前記三次元立体編物は、平面視矩形状である。前記三次元立体マット1では、前記第一編地11と前記第二編地12とが連結糸13でつながれていない領域がコース方向(緯方向)bに沿って延ばされた非連結領域20が複数条(複数列)設けられている(図1、2参照)。隣り合う非連結領域20は、互いに離間して配置されている。前記非連結領域20は、1条(1列)設けられた構成であってもよい。また、前記非連結領域20がウェール方向(経方向)aに沿って1条(1列)ないし複数条(複数列)延ばされた構成を採用してもよい。
【0036】
本実施形態では、前記非連結領域20では、連結糸13が前記両編地11、12間を往復しておらず、第一編地11および第二編地12に対してこれら編地から突出しないように編成された構成(即ち非連結領域20では、連結糸13が存在しないわけではなく、前記両編地11、12間を往復しないように編成されている構成)が採用されているが、特にこのような態様に限定されるものではない。なお、前記非連結領域20では、連結糸13が前記両編地11、12間を往復していないので、図1、2に示すように、前記非連結領域20では、前記両編地11、12間に、コース方向bに沿って延ばされた中空部21が形成されたものとなっている。
【0037】
また、本実施形態では、前記第一編地11および前記第二編地12は、いずれも、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続した(非連結領域20に対応する部位でも連続した)フラットな編地組織からなる(図1〜4参照)。
【0038】
また、本実施形態では、前記第一編地11は、図3に示すように、メッシュ組織による多数の透孔30を規則的配置に備えた編組織、即ち透孔組織からなり、前記第二編地12は、図4に示すように、緻密な組織形態に編成されている。
【0039】
前記三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地11と第二編地12とを、モノフィラメント糸からなる連結糸13でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量であると共に、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、第一編地11と第二編地12とが連結糸でつながれていない非連結領域20がコース方向に沿って又はウェール方向に沿って1条ないし複数条設けられた構成であるから、該非連結領域20において三次元立体マットを略180度折り返して折り畳むことができる(図5参照)。従って、この三次元立体マット1は、非使用時には図5に示すように折り畳んで収納できて収納性に優れているし、使用時には直ちに図1に示すような展開状態にすることができる。
【0040】
上記実施形態では、隣り合う非連結領域20、20の間隔が等間隔になるように設定されている(図1参照)。
【0041】
なお、上記実施形態では、第一編地11及び第二編地12のいずれもが、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続した(非連結領域20に対応する部位でも連続した)フラットな編地組織からなる構成(図1、2参照)であるが、特にこのような構成に限定されるものではない。
【0042】
本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マット(三次元立体編物マット)1の他の実施形態を図6、7に示す。
【0043】
この三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地(表編地)11と第二編地(裏編地)12とが、モノフィラメント糸からなる連結糸13で連結された厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる。前記三次元立体編物は、平面視矩形状である。前記三次元立体マット1では、第二編地12は、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織からなり、該第二編地12において、第一編地11と連結糸でつながれていない領域がウェール方向aに沿って延ばされた非連結部40が複数条(複数列)設けられている(図6、7参照)。このような非連結部40が設けられていることにより、図6、7に示すように、前記両編地11、12間に、ウェール方向aに沿って延ばされた中空部21が複数個形成されたものとなっている。図6において、aで示す方向がウェール方向である。前記非連結部40は、1条(1列)設けられた構成であってもよい。
【0044】
前記第一編地11は、第二編地12の非連結部40に対応する部位で連続しないように構成されている。即ち、前記第一編地11における、第二編地12の非連結部40に対応する位置に、編地が連続しない非連続部位50が設けられている(図6、7参照)。前記非連続部位50は、前記第一編地11のウェール方向aに沿って延設されている。
【0045】
また、前記第一編地11は、その全領域において、第二編地12と連結糸13でつながれている(図7参照)。即ち、前記第一編地11には、第二編地12のような非連結部40は設けられていない。
【0046】
上記実施形態では、前記複数条の非連結部40は、隣り合う非連結部40、40の間隔Fが等間隔になるように設定されている(図7参照)。
【0047】
図6の三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地11と第二編地12とを、モノフィラメント糸からなる連結糸13でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量であると共に、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、第二編地12において、第一編地11と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部40が1条ないし複数条設けられると共に、第一編地11は、第二編地12の非連結部40に対応する位置で連続しないように構成されている(非連結部40に対応する位置に非連続部位50が設けられている)から、三次元立体マットを非連結部40において略180度折り返して折り畳むことができる。従って、この三次元立体マット1は、非使用時には折り畳んで収納できて収納性に優れているし、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0048】
次に、本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マット(三次元立体編物マット)1の更に他の実施形態を図8、9に示す。
【0049】
この三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地(表編地)11と第二編地(裏編地)12とが、モノフィラメント糸からなる連結糸13で連結された厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる。前記三次元立体編物は、平面視矩形状である。前記三次元立体マット1では、第二編地12において、第一編地11と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部40が複数条(複数列)設けられている(図8参照)。このような非連結部40が設けられていることにより、図8に示すように、前記両編地11、12間に、ウェール方向に沿って延ばされた中空部21が複数個形成されたものとなっている。前記非連結部40は、1条(1列)設けられた構成であってもよい。
【0050】
前記第二編地12における隣り合う非連結部40A、40Bにおいて、隣り合う一方の非連結部40Aでは、編地が連続しない非連続部位52が設けられ、前記隣り合う他方の非連結部40Bでは、編地が連続するように構成されている(図8参照)。前記非連続部位52は、前記第二編地12のウェール方向に沿って延設されている。
【0051】
前記第一編地11は、前記第二編地12の複数の非連結部40のうち編地が連続している非連結部40Bに対応する部位で連続しないように構成されている。即ち、前記第一編地11における、第二編地12の非連結部40のうち編地が連続している非連結部40Bに対応する位置に、編地が連続しない非連続部位51が設けられている(図8参照)。前記非連続部位51は、前記第一編地11のウェール方向に沿って延設されている。
【0052】
前記第一編地11は、前記第二編地12の複数の非連結部40のうち編地が連続していない非連結部40Aに対応する部位で連続するように構成されている(図8参照)。
【0053】
このように、図8の三次元立体マット1では、編地における非連続部位51、52が、両編地に関して交互配置になっているので、図9に示すような折り畳み状態とすることができて(編地における非連続部位51、52を折り返し部における水平方向の外側に位置させることができて)、折り畳み操作をより一層容易化できる(折り畳みし易くできる)と共に、この折り畳み状態をより安定化させることができる。
【0054】
また、前記第一編地11は、その全領域において、第二編地12と連結糸13でつながれている(図8参照)。即ち、前記第一編地11には、第二編地12のような非連結部40A、40Bは設けられていない。
【0055】
上記実施形態では、前記複数条の非連結部は、隣り合う非連結部40A、40Bの間隔Fが等間隔になるように設定されている(図8参照)。
【0056】
図8の三次元立体マット1は、互いに離間して配置された第一編地11と第二編地12とを、モノフィラメント糸からなる連結糸13でつないだ厚さ3mm〜35mmの三次元立体編物からなる構成であるので、軽量であると共に、クッション性、体圧分散性に優れている。更に、第二編地12において、第一編地11と連結糸でつながれていない領域がウェール方向に沿って延ばされた非連結部40が1条ないし複数条設けられると共に、第二編地12における隣り合う非連結部40A、40Bにおいて、該隣り合う一方の非連結部40Aでは、編地が連続しないように構成され(非連続部位52が設けられ)、前記隣り合う他方の非連結部40Bでは、編地が連続するように構成され、第一編地11は、第二編地12の複数の非連結部のうち編地が連続している非連結部40Bに対応する部位で連続しないように構成される(非連続部位51が設けられる)と共に、第二編地12の複数の非連結部のうち編地が連続していない非連結部40Aに対応する部位で連続するように構成されているから(図8参照)、図9に示すように非連結部40A、40Bにおいて三次元立体マットを略180度折り返して折り畳むことができる。従って、この三次元立体マット1は、非使用時には図9に示すように折り畳んで収納できて収納性に優れているし、使用時には直ちに展開状態にすることができる。
【0057】
上記三次元立体マット1の厚さTが3mm未満では、良好なクッション性や良好な体圧分散性を保有せしめることが困難である。一方、厚さTが35mmを超えると、形態安定性に乏しいものになり、寝心地が悪くなる。中でも、三次元立体マット1の厚さTは、5mm〜20mmに設定されるのが好ましく、7mm〜15mmに設定されるのがより好ましい。
【0058】
上記三次元立体マット1は、二列針床を備えた編機、最も一般的にはダブルラッセル機によって編成されるが、本発明の三次元立体マットは特に針列の配置密度が比較的粗い6〜18ゲージ、即ち2.54cm(1インチ)当たりに6〜18の針列を有する編機を用いて、しかも針床頂端からのニードルによる編糸の引き込み量(度目)が1.2〜3.0mm程度で、結果的に8〜30コース/2.54cmのコース密度に編成したものとすることが好ましい。
【0059】
針列密度が6ゲージ未満あるいはコース密度が8コース/2.54cm未満では、形態安定性に優れた立体編地を編成することが困難なものとなる。また、18ゲージを超えると、連結糸の太さを太くすることができず、腰の弱いものとなりやすく、30コース/2.54cmを超えるときは、立体編物の重量及び硬さが増大するし、編成も困難になる。中でも、8〜18ゲージの編機を用い、8〜28コース/2.54cmの編成条件を採用するのがより好ましい。
【0060】
図1〜4に示す形態の三次元立体マットのみならず、図6、7に示す形態の三次元立体マット及び図8に示す形態の三次元立体マットも、ダブルラッセル機によって編成することができる。即ち、一連の編成の過程において、非連続部位50、51、52も形成することができる。
【0061】
本発明において、前記第一編地11としては、例えば透孔組織が採用されても良いし、或いは透孔組織を有しない緻密な組織形態が採用されていても良い。
【0062】
また、前記第二編地12としては、例えば透孔組織が採用されても良いし、或いは透孔組織を有しない緻密な組織形態が採用されていても良い。
【0063】
前記透孔組織としては、前記メッシュ組織以外に、例えば、トリコット組織などを例示できる。
【0064】
本発明において、前記非連結領域20の幅Wは6mm〜80mmに設定されているのが好ましい(図1、2参照)。6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。中でも、前記非連結領域20の幅Wは14mm〜40mmに設定されているのが特に好ましい。
【0065】
また、前記非連結部40の幅Eおよび前記非連続部位50の幅(隙間の幅)Gは、6mm〜80mmに設定されているのが好ましい(図7参照)。6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。中でも、前記非連結部40の幅Eおよび前記非連続部位50の幅Gは、14mm〜40mmに設定されているのが特に好ましい。
【0066】
また、前記非連結部40A、40Bの幅Eは、6mm〜80mmに設定されているのが好ましい(図8参照)。6mm以上であることで折り畳み操作がより容易化されると共に、80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。中でも、前記非連結部40A、40Bの幅Eは、14mm〜40mmに設定されているのが特に好ましい。
【0067】
また、前記非連続部位51、52の幅(隙間の幅)Gは、80mm以下に設定されているのが好ましい(図8参照)。80mm以下であることで十分に良好なクッション性及び体圧分散性を確保できる。中でも、前記非連続部位51、52の幅(隙間の幅)Gは、1mm〜80mmに設定されているのがより好ましく、さらに1mm〜40mmに設定されているのが特に好ましい。
【0068】
本発明において、第一編地11及び第二編地12を編成する地編糸の種類や太さ等は、特に限定されないが、比較的太い280〜2800デシテックスのマルチフィラメント糸を用いるのが好適である。280デシテックス未満の細い糸で編成するときは、立体編地に所要の好ましい腰の強さを具備せしめることが困難になり易いので、好ましくない。一方、2800デシテックスを超える太すぎる編糸を用いるときは、編成作業が困難になることに加えて編地の表面の風合いが低下しやすいので、好ましくない。なお、地編糸にはモノフィラメント糸を用いても良いが、風合い等の観点から、マルチフィラメント糸を用いるのが好ましい。
【0069】
前記連結糸13は、前記両編地11、12の間を往復して編込まれ、両編地間に所定の空間を保持して良好な通気性、クッション性、体圧分散性、更には腰の強さを保有せしめるものである。このために、連結糸13としてはモノフィラメント糸を用いることを必要とし、またその太さは280〜1100デシテックスとするのが好ましい。マルチフィラメント糸では復元力の良好なクッション性を付与することができないし、体圧荷重を受けたときに過度に沈み込む。また、280デシテックス未満のモノフィラメント糸を用いた場合には、腰の強さが十分に得られ難くなるので好ましくないし、1100デシテックスを超えるモノフィラメント糸を用いると、硬くなりすぎて適度のクッション性を得ることが困難となる上に、重量の増大、コストの増大を招来するので好ましくない。
【0070】
上記地編糸、連結糸の素材は、特に限定されるものではない。例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維等が挙げられる。上記素材を単独で用いても良いし、これらのいくつかを併用しても良い。素材としてポリエステル系繊維を用いればリサイクル性に優れ好適である。また、地編糸、連結糸の糸形状としては、特に限定されず、例えば丸断面糸でも異形断面糸等でも良い。
【0071】
また、地編糸、連結糸等の構成糸の色は、例えば、同色であっても良いし、類似色であっても良いし、あるいは相互に補色であっても良く、特に限定されず、意匠性等との兼ね合いで自由な組み合わせを採用することができる。前記同色、類似色、補色は、地編糸同士の関係、連結糸同士の関係、地編糸と連結糸との間の関係のいずれについても採用できる。
【0072】
本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マット1は、図1に示すように第二編地12を下側(床面側)にして第一編地11を上側(人体と接する側)にして使用してもよいし、第一編地11を下側(床面側)にして第二編地12を上側(人体と接する側)にして使用してもよい。また、本発明に係る折り畳み可能な三次元立体マット1は、前記第一編地11及び第二編地12のうちの一方の編地を使用面(人体と接する側)とし、他方の編地を非使用面(床面側)にして使用するように設計されていてもよく、このように使用態様は特に限定されない。例えば、図6、7に示す形態の三次元立体マット及び図8に示す形態の三次元立体マットでは、第一編地11を上側(人体と接する側)にして使用することが推奨されるが、第二編地12を上側(人体と接する側)にして使用することもできるものである。
【0073】
また、図8に示すように、平面視矩形状の三次元立体編物の周縁部が、布製の縁部材31で被覆された構成を採用してもよい。例えば、図8に示すように、三次元立体編物の周縁部の上面、側面及び下面を布製の縁部材31で被覆した態様で該縁部材31が接着剤により前記周縁部に接合された構成を採用してもよい。このような縁部材31を取り付けることにより、三次元立体マット1の耐久性を向上させることができる。
【実施例】
【0074】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0075】
参考例1>
図10に示す編組織により下記仕様による三次元立体マット(図1〜4参照)を編成した。なお、図10の編組織図は、非連結領域20及びこれを挟むその両側の近傍領域に相当する部分の編組織図を示したものであり、図10の編組織図における5F〜21F(5B〜20B)までの領域が非連結領域20に相当する。
【0076】
編機:ダブルラッセル編機(9ゲージ/2.54cm、釜間距離12mm)
ウェール密度:10本/2.54cm
コース密度:13本/2.54cm
仕上がり厚さT:11mm
非連結領域の幅W:30mm
第一編地(表編地)の編糸:660デシテックス/192fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
第二編地(裏編地)の編糸:660デシテックス/192fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
連結糸:660デシテックス/1fポリエステル(モノフィラメント糸)
第一編地(表編地)の組織:1リピート6コースの六角メッシュ
第二編地(裏編地)の組織:1リピート2コースのクインズコード組織
連結糸の組織:1リピート2コースのトラス組織およびタテ鎖組織を任意の回数で組み合わせたもの。
【0077】
上記のようにして編成された三次元立体マット1を非連結領域(コース方向に沿って延ばされた非連結領域)20で折り畳んだところ、図5に示すような折り畳み状態とすることができた。また、前記折り畳み状態から展開したところ、図1に示すような折れ曲がりのない良好な平坦状態で拡げることができた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る、折り畳み可能な三次元立体マットは、地震、台風、水害等の災害発生時等における例えば避難所等において、被災者等が寝るためのベッドマットとして使用することができる。
【0079】
また、避難所等において、スペースを仕切るパーティションとして使用することもできる。また、地震、台風等の災害発生時等において、飛来物が頭に直接に接触するのを避けるための頭巾として使用することもできる(三次元立体マットの大きさが大き過ぎる場合には非連結領域をはさみで切断することにより頭巾に適したサイズにして頭巾として使用することができる)。
【0080】
また、座布団等として使用することができるし、図5、9に示すように折り畳んだ状態でクッション、椅子等として使用することもできる。
【0081】
上記用途は、その一例を示したものに過ぎず、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1…折り畳み可能な三次元立体マット
11…第一編地
12…第二編地
13…連結糸
20…非連結領域
40…非連結部
50、51、52…非連続部位
T…三次元立体マットの厚さ
W…非連結領域の幅
E…非連結部の幅
F…隣り合う非連結部の間隔
G…非連続部位の幅(隙間の幅)
a…ウェール方向
b…コース方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10