特許第6138051号(P6138051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138051
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】エロージョン保護コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20170522BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20170522BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20170522BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20170522BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20170522BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C08G18/10
   C08G18/32 006
   C08G18/38 019
   C08G18/38 063
   C08G18/42 069
   C09D175/04
   C09D5/08
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-545432(P2013-545432)
(86)(22)【出願日】2011年12月23日
(65)【公表番号】特表2014-505759(P2014-505759A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】EP2011073965
(87)【国際公開番号】WO2012085276
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】102010055780.3
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン カウネ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンカ ホルタース
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−131672(JP,A)
【文献】 特開平09−286835(JP,A)
【文献】 特開昭60−133020(JP,A)
【文献】 特開昭63−043967(JP,A)
【文献】 特表2010−503750(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0097068(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0067701(US,A1)
【文献】 特開昭61−038662(JP,A)
【文献】 米国特許第3730927(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
C08L 75/00− 75/16
C09D175/00−175/16
C09J175/00−175/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1のOH基含有ポリウレタン−プレポリマー(OHプレポリマー)を少なくとも50質量%含む少なくとも1のポリオール成分、前記プレポリマーは次のものから製造されており、前記ポリオール成分は前記ポリオール成分の全質量に対してヒドロキシル基含有量3〜15質量%を有する、
a1.一般式(I)
【化1】
[式中、
1、R2は、相互に独立して、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状のアルキレン基を意味する、
Xは、S、S−S、NR3又はOを意味する、
3は、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状のアルキル基又はH原子を意味する]
の少なくとも1の化合物、及び
a2.少なくとも1のジイソシアナート又はポリイソシアナート、及び
b.イソシアナート成分の全質量に対してイソシアナート基含有量5〜15質量%を有する少なくとも1のイソシアナート成分、前記イソシアナート成分は少なくとも1のジイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマー又はポリイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマーを少なくとも50質量%含む、
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
式(I)のXがS、NR3又はOであることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
1及びR2が、非分枝状のアルキレン基であることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ポリオール成分のOH基及び前記イソシアナート成分のイソシアナート基が当量比1:0.9〜1:1.5で使用されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記硬化性組成物の全質量に対して、10〜50質量%の割合でもって前記ポリオール成分及び/又は70質量%までの割合でもって前記イソシアナート成分が含まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記ポリオール成分及び前記イソシアナート成分からの生成物として最高15000g/molの質量平均分子量を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記ポリオール成分を前記イソシアナート成分と混合し、かつこれら成分を場合によって均質化することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項8】
コーティング剤としての請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の使用。
【請求項9】
エロージョン保護コーティング剤としての請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の使用。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の少なくとも1の塗装物を含む多層塗装物。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の前記塗装物又はカバー塗料がカバー塗装(最外塗装)として機能することを特徴とする請求項10記載の多層塗装物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物の少なくとも1を基材に設けることを特徴とする請求項10又は11記載の多層塗装物の製造方法。
【請求項13】
エロージョン保護コーティングとして、基材をコーティングするための、請求項10又は11記載の多層塗装物の使用。
【請求項14】
基材として、ローターブレード、空中ビークル又は陸上ビークル、船舶、建築物又はパイプラインをコーティングすることを特徴とする請求項13記載の多層塗装物の使用。
【請求項15】
請求項1から6のいずれか1項記載の硬化性組成物でコーティングした基材。
【請求項16】
請求項10又は11記載の多層塗装物でコーティングした基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、組成物、その製造方法、コーティング剤としてのその使用、前記組成物を含む多層塗装物、前記多層塗装物の製造方法並びにその使用に関する。さらに、本発明は、前記組成物で又は前記多層塗装物でコーティングした基材に関する。
【0002】
先行技術
エロージョン抵抗性表面は、相応する物品の特殊な機能のために増大する規模において必要とされる。ここでは例示的に、浸食性物質、例えば固形物質又は液体による同時の負荷の際に、周囲条件に対して高い速度に曝されている表面を挙げることができる。一方で、自身が運動する物品、例えば、ローターブレード(風力エネルギー設備又はヘリコプター或いは船舶プロペラ)、空中ビークル及び陸上ビークル(例えば、飛行機、軌条ビークル、自動車)及び船舶は、基本的に、エロージョン負荷を経験する。他方で、その周囲に又はそれを通じて運動が発生する物品、例えば建築物(例えば、ファサード要素、電柱又は風力エネルギー設備或いは送信塔)又はパイプラインが考えられる。
【0003】
基本的に、エロージョンは、それ自体で又は他のガス状若しくは液体状の媒体(例えば空気又は水)中に分散若しくは溶解して存在し、かつそれら媒体によって運動される、液体又は固形の物質(例えば、飛砂、雨)によって引き起こされ得る。対象物に衝突すると、それらに浸食力が及ぼされる。そのための例は、ローターブレードでの又は飛行機のスラットの範囲内の雨又は飛砂によるエロージョンである。
【0004】
一般には、以下の根本的に異なる処置によって、コーティングの摩耗保護、例えばエロージョン抵抗性を制御する可能性が存在する。
【0005】
例えば、コーティングの層厚が高められる。しかし、これは、質量の理由から、多くの適用において、例えば飛行機建造又は風力エネルギー設備のローターブレード建造において、追求に値しない。
【0006】
さらに、芳香族樹脂成分を有する樹脂、例えばエポキシド樹脂がコーティング剤中で使用できる。芳香族分子成分のために、生じるコーティングは高い摩耗強度を提供するが、しかし著しく制限された耐UV性を提供する。
【0007】
さらに、光誘発又は温度誘発によって、高い架橋密度を達成できる樹脂を含むコーティング剤が使用できる。例えば、UV樹脂(ラジカル重合又はイオン重合を介して)又は所定の高反応性重付加樹脂が使用できる。この結合剤クラスによって、同様に摩耗抵抗性が改善されることができるが、しかし、大きな部材、例えばローターブレード又は航空機部材への使用の場合には、制限する因子が存在する。そして、例えばUV樹脂からの処方物では限定された顔料選択が存在し、それというのも、これらは硬化波長中に吸収極大を有することがあり、そして、層厚が顔料レベルに依存して制限されているからである。さらに、UV開始剤の酸素抑制の設備技術的な挑戦が生じる。温度誘発塗料(例えば、ポリウレタンベースの焼き付け塗料)の使用では、特に、大きな部材での設備寸法に関して、焼き付け温度に関する制限が存在する。
【0008】
今日、ローターブレード建造又は飛行機建造において使用されるコーティングは、例えば風力エネルギー設備のローターブレード建造において、特に風の多い位置(オフショア)に関して、又は、飛行機建造において、将来的な挑戦のためのエロージョン保護を提供しない(同じか又はより良好な性能での質量減少)。したがって、顕著な改善をエロージョン抵抗性において提供し、それによって、コスト集約的な整備間隔及び補修間隔を最小限にすることができる、コーティングに関する要求を満たすことにかかわっている。
【0009】
Hontek Corporation社の国際特許出願WO 2006/055038A1からは、ポリアスパラタートと組み合わせてイソシアナート−プレポリマーから製造されるエロージョン抵抗性ポリウレタンコーティングが知られている。このコーティングは不十分な程度でエロージョン保護の期間に関する要請を満たす。さらに、この材料は非常に低い空気湿分では、その硬化において問題になることがある。
【0010】
エロージョン保護コーティングとしてのコーティングの他に、エロージョン保護剤としてシートも知られている。その場合に、これは例えば、接着剤としてアクリラートと共に構成されているポリウレタン−エラストマー−フィルムである。しかし、前記シートは、特に比較的大きいか又は複数回曲げた部材、例えば飛行機部材又は風力エネルギー設備のローターブレード部材では、加工が困難である。そのような部材には、均一にシートを備えられない。同様に、シートの接着剤はしばしば、コーティングに比較して不十分な耐久性を有する。このことは、エロージョン安定性の減少を生じることがある。
【0011】
課題
したがって、本発明は、先行技術の前記した欠点を取り除くという課題を基礎とした。エロージョン保護コーティングとして、先行技術のエロージョン保護コーティングに比較して顕著に改善したエロージョン抵抗性を有する組成物が提供されることが望ましい。
【0012】
上記した適用領域のための獲得に尽力されるコーティング材料エロージョン抵抗性の他に、その組成物は、一般的な気候影響(例えばUV線、湿分等)に対して良好な抵抗性を提供することが望ましい。さらに、前記コーティングは、駆動媒体、例えばトランスミッションオイルに対して抵抗性があることが望ましい。同様に、コーティング剤は、簡易に製造可能であり、かつ、大きい部材、例えば風力エネルギー設備又は飛行機のローターブレードにも簡易に加工可能であることが望ましい。
【0013】
課題解決策
意外なことに、先行技術の欠点を有しない組成物が見出された。特に、コーティング中で高いエロージョン安定性を有する組成物が見出された。それに応じて、少なくとも1のポリオール成分及び少なくとも1のイソシアナート成分を含む組成物が見出された。
【0014】
前記ポリオール成分は、一般式(I)
【化1】
[式中、
1、R2は、相互に独立して、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状のアルキレン基を意味する、
Xは、S、S−S、NR3又はOを意味する、
3は、1〜10個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状のアルキル基又はH原子を意味する]
の少なくとも1の化合物
、及び
少なくとも1のジイソシアナート又はポリイソシアナート
から製造可能である、少なくとも1のOH基含有ポリウレタン−プレポリマー(OH−プレポリマー)
を含み、前記ポリオール成分は前記ポリオール成分の全質量に対してヒドロキシル基含有量3〜15質量%を有する。式(I)に記載の化合物のOH基は、ジイソシアナート又はポリイソシアナートのイソシアナート基と相互に反応して、ウレタン基を形成する。
【0015】
プレポリマーは、ポリマー合成の際にポリマーの最終構造に関与する中間生成物である。
【0016】
イソシアナート成分は、イソシアナート成分の全質量に対して5〜15質量%のイソシアナート基含有量を有し、前記イソシアナート成分は少なくとも1のジイソシアナート末端又はポリイソシアナート末端のポリラクトン−プレポリマー(NCO−プレポリマー)を含む。
【0017】
ポリオール成分のOH基及びイソシアナート成分のイソシアナート基は反応して、ウレタン形成して、ポリウレタンになる。
【0018】
ポリオール成分のOH基及びイソシアナート成分のイソシアナート基は、好ましくは1:0.9〜1:1.5の当量比で使用される。好ましくは、当量比は1:0.95〜1:1.3である。ポリオール成分のOH基がイソシアナート成分のイソシアナート基に対して過剰でなく存在することが特に好ましい。特にとりわけ好ましくは1:1〜1:1.2、特に1:1の比である。
【0019】
ポリオール成分及びイソシアナート成分からの生成物は好ましくは最高15000g/molの質量平均分子量を有する。
【0020】
全ての記載の化合物の分子量決定は、他のことが挙げられていない限り、スチレン−ジビニルベンゼン−カラム組み合わせに対して、溶出物として(1mL/分)THF(+0.1質量%の酢酸、THF質量に対して)を用いたGPC分析により、行われる。校正は、ポリスチレン−標準を用いて実施される。
【0021】
本発明の更なる好ましい実施態様は、下位請求項によって記載される。
【0022】
組成物中には、更なる結合剤、顔料、溶媒、モレキュラーシーブ、充填剤、染料、触媒並び添加剤及び助剤が含まれていることができる。これらは、ポリオール成分及びイソシアナート成分の構成要素とは異なる。これらは、ポリオール成分ともイソシアナート成分とも混合されてよいが、しかし好ましくは、ポリオール成分と混合される。
【0023】
ポリオール成分
ポリオール成分は、少なくとも1のOH基含有ポリウレタン−プレポリマー(OH−プレポリマー)を含む。OH−プレポリマーは、少なくとも1の一般式(I)の化合物と、少なくとも1のジイソシアナート又はポリイソシアナートとから製造可能である。
【0024】
一般式(I)の化合物のアルキレン基R1及びR2は、好ましくは非分枝である。アルキレン基は、相互に独立して好ましくは1〜6、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。
【0025】
一般式(I)の化合物の好ましい基R3は、H原子又は1〜6、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル基R3は、好ましくは非分枝である。
【0026】
式(I)に応じた化合物の可変部Xは、好ましくはS、NR3又はOであり、好ましくはS又はNR3、特に好ましくはSである。
【0027】
OH−プレポリマーの製造のためのジイソシアナート又はポリイソシアナートとしては、好ましくは、塗料産業の範囲において通常使用される、芳香族及び脂肪族のイソシアナート化合物が考慮される。ポリイソシアナートは、二量体化及び三量体化イソシアナート(ウレトジオン、イソシアヌラート)も含む。
【0028】
好ましくは、脂肪族のジイソシアナート又はポリイソシアナートが使用される。特に好ましくは脂肪族のジイソシアナートである。前記化合物のイソシアナート基は、完全に、部分的にブロック化されているか、又は全くブロック化されていなくてよい。好ましくは、ブロック化されていない。
【0029】
ブロック化イソシアナート化合物は、イソシアナートから、ブロック化剤との反応によって得られることができる。イソシアナートのためのブロック化剤は、全ての通常使用されるブロック化剤、例えば相応するアルコール、アミン、ケトン、ピラゾール及び他のものが考慮され、好ましくは脱ブロック化温度100℃未満、特に好ましくは80℃未満、特にとりわけ好ましくは60℃未満を有するブロック化剤である。
【0030】
OHプレポリマーの製造のためのジイソシアナート又はポリイソシアナートのNCO基の割合は、OH−プレポリマーの製造に使用されるジイソシアナート又はポリイソシアナートの全質量に対して好ましくは15〜30質量%である。好ましくはこの割合は20〜25質量%である。
【0031】
可能性のある芳香族ジイソシアナートは、例えば、2,4−トルイレンジイソシアナート及び2,6−トルイレンジイソシアナート(TDI)、4,4−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(PPDI)、テトラメチレンキシリレン−ジイソシアナート(TMXDI)又はm−キシリレンジイソシアナート(XDI)であってよい。好ましくはMDIが芳香族ジイソシアナートとして使用される。
【0032】
適した脂肪族ジイソシアナートは、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,3−シクロヘキシルジイソシアナート、1,4−シクロヘキシルジイソシアナート(CHDI)、4,4′−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン(H(12)MDI)、2,2,4−及び/又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ドデカメチレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−3−イソシアナト−メチルシクロヘキサン(IPDI)である。好ましくは、脂肪族ジイソシアナートは、HDI、H(12)MDI及びTMDIからなる群から選択される。TMDIは、OH−プレポリマーの製造のための特に好ましいジイソシアナートである。
【0033】
好ましい一実施態様において、OH−プレポリマーは、一般式(I)の化合物を装入かつ加熱することによって製造可能である。ここで、60〜100℃の温度範囲が好ましい。特に75〜85℃の温度範囲が適する。引き続き、一定の加熱でかつ常時の撹拌下で、OH−プレポリマーの製造に適したジイソシアナート又はポリイソシアナートが添加される。その後、この温度は常時の撹拌下で、完全な架橋まで維持されることが望ましい。架橋は通常は60〜120分間の期間の間に終了している。
【0034】
式(I)に応じた化合物のOH基及びジイソシアナート又はポリイソシアナートのイソシアナート基は好ましくは当量比3:1〜1.1:1で使用される。好ましい当量比は2.5:1〜1.3:1、特に好ましくは2.1:1〜1.5:1の範囲にある。
【0035】
OH−プレポリマーは、好ましくは300〜2500g/molの質量平均分子量を有する。好ましくは、分子量は400〜2000g/mol、特に好ましくは400〜1500g/molである。
【0036】
更に、前記ポリオール成分は少なくとも1のポリオールを、OH−プレポリマーの他に含んでよい。適しているのは、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテルポリエステル、ポリラクトン、ポリアクリラート、ポリエポキシド、ポリアミン及びポリチオールである。ポリオールとしてのポリエーテルポリエステルは、ポリエステル構造もポリエーテル構造も含む。
【0037】
ポリオール成分は、好ましくは、ポリオール成分の全質量に対して少なくとも50質量%のOH−プレポリマーを含む。好ましくは、80質量%、特に好ましくは90質量%、特にとりわけ好ましくは100質量%である。その点で、ポリオール成分が、OH−プレポリマーの他に、特にとりわけ好ましくは更なるポリオールを含まない。
【0038】
組成物の全質量に対するポリオール成分の割合は、好ましくは10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。本発明の組成物の全構成要素の合計は、100質量%である。
【0039】
ポリオール成分は、好ましくは、ポリオール成分の全質量に対して4〜10質量%の割合でもってOH基を含む。ヒドロキシル含有量はヒドロキシル価によって算出できる。この場合に、ヒドロキシル価はDIN 53240によって決定される。
【0040】
OH−プレポリマー中のOH基の割合は、OHプレポリマーの全質量に対して、好ましくは3〜15質量%、好ましくは4〜10質量%である。
【0041】
ポリオール成分並びにOH−プレポリマーは、固形物質に対して、好ましくは酸価1〜10mg KOH/gを有する。酸価は、ISO 660によって決定される。
【0042】
ポリオール成分並びにOH−プレポリマーは、好ましくは固形物質含有量95〜100質量%を有する。組成物及びその構成要素の固形物質含有量は、DIN ISO 3251によれば試験期間60分で温度125℃で、秤量1.0gでもって実施される。
【0043】
ポリオール−プレポリマーは、固形でも液状でも存在できる。20℃かつ1013hPaで好ましくは液状である。
【0044】
イソシアナート成分
イソシアナート成分は、少なくとも1のジイソシアナート末端又はポリイソシアナート末端のポリラクトン−プレポリマー(NCO−プレポリマー)を含む。その中で、少なくとも1のジイソシアナート又は少なくとも1のポリイソシアナートでNCO−プレポリマーは末端化されていることを理解すべきである。好ましくは、NCO−プレポリマーはジイソシアナート−末端化されている。末端NCO基は、完全に、部分的にブロック化されているか、又は全くブロック化されていなくてよい。好ましくは、全くブロック化されていない。
【0045】
「ジイソシアナート−末端化」との概念には、末端で共有結合したジイソシアナートを有するNCO−プレポリマーが理解される。このジイソシアナートの1のNCO基は遊離しているか又はブロック化されており、そして、ジイソシアナートの他のNCO基は、プレポリマーのOH基でウレタン結合している。
【0046】
ブロック化剤として、例えば既に挙げた剤が考慮される。
【0047】
NCO−プレポリマーは、質量平均分子量500〜4000g/mol、好ましくは1000〜3000g/mol、特に好ましくは1800〜2200g/molを有する。これは、出発分子としてラクトンと少なくとも1のジオール又はポリオールから製造される。好ましくは、ジオール、特に末端OH基を有するジオールである。適したジオール又はポリオールは、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン及び一般式(I)に応じた化合物である。適したラクトンは、オキシラン−2−オン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン又はメチル−ε−カプロラクトン、好ましくはγ−ブチロラクトン及びε−カプロラクトン、好ましくはε−カプロラクトンである。それに応じて、ポリブチロラクトン−及びポリカプロラクトン−NCO−プレポリマーが好ましいポリラクトン−NCO−プレポリマーである。特にとりわけ好ましくは、ポリカプロラクトン−NCO−プレポリマーである。
【0048】
NCO−プレポリマーは、鎖状又は分枝状であってよい。好ましくは、NCO−プレポリマーは鎖状である。さらに、NCO−プレポリマーは飽和又は不飽和であってよく、その際飽和NCO−プレポリマーが好ましい。
【0049】
NCO−プレポリマーは20℃及び1013hPaで好ましくは液状である。
【0050】
ジイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマー又はポリイソシアナート−末端ポリラクトン−プレポリマーの割合は、イソシアナート成分の全質量に対して好ましくは少なくとも50質量%である。好ましくはこの割合は50〜100質量%、特に好ましくは70〜100質量%である。特にとりわけ好ましくは、イソシアナート成分は少なくとも95質量%、特に100質量%のジイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマー又はポリイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマーを含む。
【0051】
好ましくは、NCO−プレポリマーは、質量平均分子量500〜4000g/molを有する。好ましくは、質量平均分子量100〜3000g/mol、特に好ましくは1250〜2500g/molである。
【0052】
NCO−プレポリマー中のNCO基の割合は、NCO−プレポリマーの全質量に対して好ましくは5〜15質量%、好ましくは6〜12質量%である。特に好ましくはこの割合は、7〜10質量%、特にとりわけ好ましくは8〜9質量%である。
【0053】
さらに、イソシアナート成分は、NCO−プレポリマーとは異なる少なくとも1の更なるイソシアナート化合物を含むことができる。この化合物のイソシアナート基は、完全に、部分的にブロック化されているか、又は全くブロック化されていなくてよい。好ましくは全くブロック化されていない。
【0054】
更なるイソシアナート化合物として、塗料産業の範囲において通常使用される、芳香族及び脂肪族のイソシアナート化合物が考慮される。好ましくは、脂肪族のジイソシアナート又はポリイソシアナート化合物が使用される。特に好ましくは脂肪族のジイソシアナート並びに相応するウレトジオン及びイソシアヌラートである。特にとりわけ好ましくは相応するウレトジオン及びイソシアヌラートである。
【0055】
更なるイソシアナート化合物のNCO基の割合は、好ましくは、更なるイソシアナート化合物の全質量に対して15〜30質量%である。好ましくは、この割合は20〜25質量%である。
【0056】
適した芳香族及び脂肪族ジイソシアナートは、例えば2,4−トルイレンジイソシアナート及び2,6−トルイレンジイソシアナート(TDI)、4,4−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(PPDI)、テトラメチレンキシリレン−ジイソシアナート(TMXDI)、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,3−シクロヘキシルジイソシアナート、1,4−シクロヘキシルジイソシアナート(CHDI)、4,4′−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン(H(12)MDI)、2,2,4−及び/又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(TMDI)、ドデカメチレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−3−イソシアナト−メチルシクロヘキサン(IPDI)である。
【0057】
更なるイソシアナート化合物は、イソシアナート成分の全質量に対して、好ましくは0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%の割合でもって含まれている。特に好ましくは更なるイソシアナート化合物に関するこの割合は0〜5質量%である。特にとりわけ好ましくは、更なるイソシアナート化合物は含まれていない。
【0058】
イソシアナート成分は、好ましくは、イソシアナート成分の全質量に対して6〜12質量%、好ましくは7〜10質量%、特に好ましくは8〜9質量%の含有量でもってイソシアナート基を含む。
【0059】
本発明の組成物中のイソシアナート成分の割合は、組成物の全質量に対して、好ましくは70質量%までである。好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜65質量%である。特にとりわけ好ましくは55〜65質量%の割合である。
【0060】
本発明の特に好ましい組成物は、そのつど組成物の全質量に対して20〜40質量%のポリオール成分及び55〜65質量%のイソシアナート成分を含む。この実施態様において、ポリオール成分は100質量%がOH−プレポリマーからなる。ポリオール成分中のOH基の割合は、ポリオール成分の全質量に対して4〜10質量%である。イソシアナート成分は、イソシアナート成分の全質量に対して、100質量%が、ジイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマー又はポリイソシアナート末端ポリラクトン−プレポリマーからなる。イソシアナート成分の全質量に対するNCO基の割合は、7〜10質量%である。ポリオール成分のOH基対イソシアナート成分のNCO基の化学量論比は1:1である。
【0061】
更なる結合剤
本発明の組成物は、官能基を有する更なる結合剤並びに前記結合剤の官能基と相補性の官能性を有する少なくとも1の架橋剤を含むことができる。そのような相補性の官能性のための例は、特に(カルボキシル/エポキシ)、(アミン又はチオール/アルコキシル化アミノ基又はエステル交換可能な基)、((メタ)アクリルオイル/CH酸性又はアミン又はチオール)、(カルバマート/アルコキシル化アミノ基)、及び、((メタ)アクリロイル/(メタ)アクリロイル)である。
【0062】
さらに、結合剤は、エチレン性不飽和二重結合を有してよい。例えば、アクリラートポリマー、スチレンポリマー又はポリウレタンポリマーは、エチレン性不飽和二重結合を含む。
【0063】
さらに、アルコキシシラン基を含むポリマーが、更なる結合剤として含まれていてよい。好ましくは、エポキシ変性又はアミノ変性したアルコキシシラン基を含むポリマーである。特に好ましくは、前記ポリマーは、ジアルコキシシラン基及び/又はトリアルコキシシラン基を含む。
【0064】
好ましい更なる結合剤はエチレン性不飽和二重結合を含む。
【0065】
架橋剤、例えばアミノプラスト樹脂又はトリス(アルコキシカルボニルアミノ)−1,3,5−トリアジン(TACT)が組成物中に、そのつど組成物の全質量に対して、2質量%未満、好ましくは1質量%含まれていること、特にとりわけ好ましくは全く含まれていないこと、が好ましい。
【0066】
更なる結合剤は、本発明の組成物中に、組成物の全質量に対して、5〜30質量%の割合でもって含まれていてよい。
【0067】
顔料
本発明の組成物は顔料を含むことができる。好ましくは、組成物は、組成物の全質量に対して、2〜20質量%の少なくとも1の顔料を含む。好ましくは、1〜10質量%の顔料を含む組成物である。
【0068】
顔料は、粉末又は平板形状の着色剤であり、これは染料とは対照的に周囲媒体中に不溶性である(Roempp Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag Stuttgart / New York 1998, 451頁、見だし"Pigmente"を参照のこと)。
【0069】
好ましくは、顔料は、有機及び無機の、着色付与する、効果付与する、着色及び効果付与する、磁性遮蔽する、導電性の、腐食防止する、蛍光性の、及び、りん光を発する顔料からなる群から選択される。好ましくは、着色及び/又は効果付与する顔料が使用される。
【0070】
溶媒
組成物は、溶媒として水又は有機溶媒を含んでよい。好ましくは、組成物の全質量に対して最高5質量%、好ましくは最高2質量%の溶媒が含まれている。特に好ましくは、溶媒不含の組成物である。
モレキュラーシーブ
本発明の組成物は、1又は複数のモレキュラーシーブを含んでよい。モレキュラーシーブは、天然又は合成のゼオライトのための名称である。モレキュラーシーブは、比較的高い内部表面積(約600〜700m2/g)及び一様な孔径を有する。それによって、比較的強い吸着能が明らかになる。好ましくは、組成物は、組成物の全質量に対して、1〜10質量%の少なくとも1のモレキュラーシーブを含む。
【0071】
適したモレキュラーシーブは、0.2〜1.0nm、好ましくは0.3〜0.4nmの孔径を有する。例えば、孔サイズ0.3nmを有する多孔性アルミニウムシリケートが使用できる。
【0072】
充填剤
本発明の組成物は、有機及び無機の充填剤を含むことができる。適した充填剤は、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び二酸化ケイ素である。好ましい充填剤は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び二酸化ケイ素である。
【0073】
好ましくは、組成物は、組成物の全質量に対して、1〜10質量%の少なくとも1の充填剤を含む。
【0074】
染料
本発明の組成物は染料を含むことができる。染料は、有機の、周囲媒体中に溶解性の、黒色又は有彩色の、物質である(Roempp Lacke und Druckfarben, 221頁, 見だし"Farbmittel"参照)。組成物は、組成物の全質量に対して、0.1〜1.0質量%の少なくとも1の染料を含むことができる。
【0075】
触媒
本発明の組成物は、ヒドロキシル基とイソシアナート基の反応のための触媒を含むことができる。好ましくは、組成物は、組成物の全質量に対して、0.05〜2質量%の少なくとも1の触媒を含む。好ましくは、本発明の組成物は、そのつど組成物の全質量に対して、0.08〜1質量%の少なくとも1の触媒を含む。
【0076】
適した触媒は、金属触媒、例えばスズ触媒、モリブデン触媒、ジルコニウム触媒又は亜鉛触媒並びにアミン触媒、例えば2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)エタノールである。
【0077】
助剤及び添加剤
本発明の組成物は、前述の物質とは異なる助剤及び添加剤を含んでよい。好ましくは、組成物は、組成物の全質量に対して、2〜5質量%の少なくとも1の助剤又は添加剤を含む。
【0078】
適した助剤又は添加剤は、通常塗料産業において使用される、知られている助剤及び添加剤である。
【0079】
適した助剤及び添加剤の例は、例えば酸化防止剤、脱気剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、レオロジー助剤、例えばレベリング剤、増粘剤、たるみ防止剤(Antiablaufmittel)及びチクソトロープ剤、ロウ及びロウ状化合物、スリップ添加剤、反応性希釈剤、流動助剤、乾燥剤、殺生物剤、基材湿潤の改善のための添加剤、表面平滑性の改善のための添加剤、艶消し剤、ラジカル捕捉剤、光保護剤、好ましくは吸収極大370nm未満を有するUV吸収剤及び/又は立体障害アミン(HALS)、腐食防止剤、難燃剤又は重合抑制剤であり、例えばJohan Bietemannによる書物"Lackadditive", Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998に詳細に記載されている。好ましい助剤及び添加剤は、レオロジー助剤、脱気剤、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤及びラジカル捕捉剤である。特に好ましい助剤及び添加剤は、UV吸収剤、湿潤剤並びにレオロジー助剤である。
【0080】
助剤及び添加剤の添加によって、本発明のエロージョン保護コーティングのコーティングは、表面効果、例えば汚染回避及び繁茂回避、空力改善(流れを容易にする表面、例えばリブレット)又はイージートゥクリーン特性を備えることができる。
【0081】
本発明の更なる主題
本発明の組成物は、好ましくは、本発明の組成物の製造のための本発明の方法によって製造される。
【0082】
それに従い、本発明の組成物の製造方法は、本発明の更なる主題である。この場合に、前記組成物は、少なくとも1のポリオール成分と少なくとも1のイソシアナート成分との混合及び場合によって均質化によって製造されることができる。好ましくは、それらは既に挙げた混合比において相互に混合され、場合によって均質化される。
【0083】
本発明の更なる主題は、コーティング剤としての組成物の使用である。好ましくは、前記組成物は、エロージョン保護コーティング剤として使用される。コーティング剤は、好ましくは多層塗装物中のエロージョン保護層の製造に使用される。
【0084】
本発明の組成物は、Original Equipment Manufacturer(OEM)塗料として又は補修塗料として使用できる。
【0085】
本発明の更なる主題は、本発明の組成物の少なくとも1の塗装物を含む多層塗装物である。好ましくは、前記多層塗装物は、更に少なくとも1の下塗りを含む。
【0086】
本発明の組成物は、技術的に通常の適用方法、例えば、吹付け塗布、ロール塗布、ローラー塗布又はキャスティング塗布によって、基材上に設けられることができる。
【0087】
本発明の組成物は、いわゆる「積層樹脂」として、湿式積層方法において、並びに、InMouldコーティングとして、引き続く注入プロセスのために、ガラス繊維強化(GFK)、アラミド繊維強化(AFK)、カーボン繊維強化(CFK)したプラスチックの製造のために設けられることができる(Roempp Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag Stuttgart / New York 1998, 299頁, 見だしIMC参照)。
【0088】
本発明の組成物の塗装物の耐熱性、即ち、室温より明らかに高い温度に対する抵抗性は、好ましくは少なくとも60℃、特に好ましくは少なくとも100℃、とりわけ好ましくは少なくとも120℃である。抵抗性は、120分間で60℃、100℃又は120℃の温度で算出される(実施例参照)。
【0089】
本発明の組成物の塗装物は、本発明の多層塗装物中で、それ自体でカバー塗装(最外塗装)として機能できる。さらに、本発明の組成物の塗装物は、少なくとも1の更なる塗料(以下ではカバー塗料と称される)で、被覆塗装されていてよく、その際、更なる塗料の塗装がカバー塗装として機能する。
【0090】
カバー塗料として、全ての通常使用される溶媒含有の又は水性の顔料付与したコーティング剤が適している。使用されるカバー塗料は、熱及び/又は放射線によって、特にIR線によって硬化可能であってよい。
【0091】
カバー塗料は、通常は、官能基を有する少なくとも1の結合剤並びに前記結合剤の官能基に対して相補性の官能性を有する少なくとも1の架橋剤を含む。そのような相補性の官能性のための例は、特に(カルボキシル/エポキシ)、(アミン又はチオール/又はヒドロキシル/ブロック化又は遊離イソシアナート又はアルコキシル化アミノ基又はエステル交換可能な基)、((メタ)アクリロオイル/CH酸性又はアミン又はヒドロキシル又はチオール)、(カルバマート/アルコキシル化アミノ基)、及び、((メタ)アクリロイル/(メタ)アクリロイル)である。
【0092】
特に、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基、カルバマート基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基及び/又はチオール基を有する、ポリウレタン樹脂及び/又はポリアクリラート樹脂及び/又はポリエステル樹脂を基礎とする、相応する架橋剤と組み合わせた、特にイソシアナートと組み合わせた、カバー塗料が使用される。
【0093】
結合剤及び架橋剤の他に、カバー塗料は通常の助剤及び添加剤、例えば架橋のための触媒、消泡剤、付着促進剤、基材湿潤改善のための添加剤、レオロジー剤、ロウ、レベリング剤、光保護剤、好ましくは370nm未満の吸収極大を有する上記のUV吸収剤及び/又はHALS、腐食抑制剤、殺生物剤、難燃剤又は重合抑制剤を含み、例えばこれらはJohan Bielemannによる書物"Lackadditive", Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998に詳細に記載される。適した顔料付与したコーティング剤は、例えばドイツ特許出願DE-A-2006053776に記載されている。
【0094】
本発明の更なる主題は、本発明の多層塗装物の製造方法である。この場合に、少なくとも1の本発明の組成物が基材に設けられる。本発明の組成物の塗装物の上に、カバー塗料の少なくとも1の更なる塗装が設けられてよい。カバー塗料は、ウェットオンウェットで設けられてよい。本発明の組成物の及びカバー塗料の塗装物は、一緒に硬化されることができる。
【0095】
カバー塗料並びに本発明の組成物は、通常の方法、例えば吹付け(例えば、エアーレス、エアーミックス、圧縮空気、加熱吹付け法又は誘導混合)、ローラー、ロール、ハケ塗り又はカートリッジによって設けられることができる。好ましくは、カバー塗料並びに本発明の組成物は、吹き付けられ、ロール塗りされ、又はカートリッジによって設けられる。
【0096】
本発明の組成物の塗装物は、好ましくは100〜1000μmの乾燥膜層厚で設けられる。好ましくは、乾燥膜層厚200〜800μm、特に好ましくは300〜600μmである。
【0097】
更なるカバー塗料の塗装物はそのつど80〜300μm、好ましくは80〜150μmの乾燥膜層厚を有してよい。
【0098】
本発明の組成物の塗装物並びに場合によってカバー塗料の塗装物は熱によって及び/又は化学線によって硬化されることができる。好ましくは、硬化は熱によって、好ましくは60℃までの温度で行われる。特に好ましくは、15〜60℃、特に好ましくは18〜50℃の温度範囲である。
【0099】
熱硬化は、好ましくは30〜90分間の期間にわたり40〜60℃又は4〜6hにわたり15〜25℃で行われる。完全な硬化は通常は20℃で約7日間の後に与えられる。当業者は、そうして、「最終特性の形成」について言及する。
【0100】
湿潤層の乾燥又はコンディショニングのためには、好ましくは熱的方法及び/又は対流方法が使用され、通常かつ知られている装置、例えば、強制循環炉、NIR輻射加熱器及びIR輻射加熱器、送風機及びブロートンネルが使用される。これら装置は、相互に組み合わせられてもよい。
【0101】
本発明の多層塗装物は、任意の基材上に設けられてよい。この場合に、本発明の組成物の層は、エロージョン保護層として機能する。基材は、異なる材料及び材料組み合わせから構築されていてよい。好ましくは、基材は、金属、例えば鋼又はアルミニウム、ガラス繊維強化(GFK)、アラミド繊維強化(AFK)、カーボン繊維強化(CFK)又は例えば麻又はサイザルといった天然繊維強化されていてよいプラスチックからなり、及び/又は、ガラスからなり、特に好ましくは、基材は金属及び/又はプラスチックからなる。
【0102】
適した基材は、例えば、雨エロージョン又は砂エロージョンに特に強く曝されているものである。基材として、ローターブレード、空中ビークル若しくは陸上ビークル、船舶、建築物又はパイプラインが考慮されてよい。好ましい基材は、風力エネルギー設備、ヘリコプター又は船舶プロペラ並びに空中ビークル、例えば飛行機のローターブレードである。特に、風力エネルギー設備及び飛行機のローターブレードが適した基材である。
【0103】
本発明の組成物は、コスト又は質量最小限化のために、好ましくは飛行機ではスラットの領域中、又はローターブレードでは組み立てられたローターブレード部材の継ぎ目に設けられる。
【0104】
通常、基材は、吹付け(例えば、エアーレス、エアーミックス、圧縮空気、加熱吹付け法又は誘導混合)、ローラー、ロール又はハケ塗りといった通常の方法によって設けられる下塗りを備えている。引き続き、少なくとも1の本発明の組成物及び場合によって引き続き少なくとも1のカバー塗料が設けられる前に、サーフェーサー層(Spachtelschicht)及び孔充填剤が設けられてよい。
【0105】
本発明の更なる主題は、基材のコーティングのための本発明の多層塗装物の使用である。コーティングは、この場合に、特にエロージョン保護コーティングとして用いられる。好ましくは、これは上述の基材である。
【0106】
本発明の更なる主題は、本発明の組成物で又は本発明の多層塗装物でコーティングしてある上述の基材である。好ましくは、本発明の組成物は、多層塗装物のエロージョン保護層を形成する。
【0107】
試験方法
試験方法によって、コーティングの雨エロージョン抵抗性及び砂エロージョン抵抗性が試験される。
【0108】
エロージョン抵抗性の実験室技術的決定には、種々の器具一式が使用でき、その際、エロージョンさせるべき物品が、エロージョン媒体を通って運動させられるか、又は、エロージョンさせるべき物品が固定して、エロージョン媒体によって貫流される。固定した試験体は、例えば、高圧−ウォータージェット−技術(例えば、ウォータージェットカットで使用される)によって試験されることができる。エロージョン作用は、水圧、未完成製品への間隔並びにノズルサイズ及びノズル種類によって制御される。砂、コランダム又は炭化ケイ素の併用によって、その作用はさらに強化されることができる。さらに、砂ジェット又は蒸気ジェットが考えられ、その際、同様に、印加する圧力、ノズルサイズ及び未完成製品への間隔によって、エロージョン作用は変動され、そして、実際の条件に適合されることができる。
【0109】
運動させる試験体のための雨エロージョン試験では、エロージョンされる物品は、ローター又はディスクに取り付けられ、そして、発生する半径方向の速度によって水滴カーテン又は塩若しくは砂との混合物を通じて運動させられる。現在最も行われている試験シナリオは、例えば風力エネルギーの範囲内で使用され、140m/sの速度でかつ30l/hの雨量で作業される。飛行機産業の範囲内では、220m/sまでの速度は比較可能な雨量で試験される。雨エロージョン抵抗性のための試験は、規格ASTM G 73に応じて行われることができる。この規格に該当する構築物は、個別的であり、そして標準によって相互に比較されることができる。
【0110】
砂エロージョン抵抗性の評価のために、試験体は、予め定義された角度で空気流中に導入される。例えば、試料は45°の角度において変動する空気流(例えばv=110m/s)で、かつ、変動するノズル間隔(例えば20mm)において導入され、それに定義された量のジェット体(例えば、0.05〜0.4mmの粒度の砂、又は50μmの粒度を有するコランダム、飛砂の平均粒度0.05〜0.8mmに相応)が計量供給される(例えば50g/分の変動する材料流)。エロージョン抵抗性は、再度、基材の最初の透過までの時間に相応する。
【0111】
全ての前述の試験手段は、実際の速度、例えば、ローターブレードの周速又は飛行機の巡航速度がシミュレーションされ、そして、ダメージ形成体は実際に発生するダメージ形成体に類似するという点で共通している。
【0112】
ショア硬度は、エラストマー(A)及び熱硬化性樹脂(D)の押込硬度の測定である。ショア硬度は、DIN EN ISO 868に応じて試験されることができる。好ましくは、本発明の組成物の塗装物は、ショア硬度A20〜A80を有する。それによって、柔軟性から靭弾性までのコーティングが得られる。好ましくはショア硬度A25〜A60であり、特に好ましくはA30〜A55である。
【0113】
以下では、本発明は実施例を参照してさらに説明される。
【0114】
実施例
【表1】
【0115】
比較例V4は、特許出願DE 10 2010 044 935に由来する(まだなお公開されていない)。
【0116】
RT=室温(20℃)
【0117】
記載のOH含有量は、質量パーセントの記載であり、かつ、ポリオール成分の全質量に対する。実施例V1〜V3ではこれらはヒドロキシル末端プレポリマーからなり、比較試験V4ではポリオールポリマーからなる。
【0118】
【表2】
【0119】
試験条件
雨エロージョン試験構成
試験を規格ASTM G 73に応じて行った。試験を、インハウスの雨エロージョン試験構成で実施した。試験体を一定の時間間隔(15分)で定義された速度(140m/s)で、液滴カーテンを通じてスピンさせた(schleudern)。雨量を、この場合に、適用された流速によって同様に一定に維持した(30l/h)。適用された「雨」の液滴大きさは、この場合に、平均して5〜6mmであった。試験を、20〜25℃の温度で行った。評価を視覚的に行い、かつ写真を用いて記録した。エロージョン抵抗性は、基材の最初の透過までの時間に相当した。
【0120】
塗装物を、約300μmの乾燥膜層厚でもって、孔充填剤を用いて下塗りしたエポキシド樹脂−試験体へと設け、そして、7日間20〜25℃の温度で貯蔵した。
【0121】
砂エロージョン試験構成
砂エロージョン抵抗性の評価のために、試験プレートは、予め定めた角度(ここでは45℃で)、空気流中に導入された。試験体表面までのノズル間隔は、この場合に、一定して20mmであった。空気流をv=110m/sに調節し、粒度0.05〜0.4mm(飛砂の平均粒度0.05〜0.8mmに相当)の一定の量の砂を計量供給した(質量流50g/分)。試験を20〜25℃の温度で行った。エロージョン抵抗性は、基材の最初の透過までの時間に相当した。
【0122】
塗装物を、約300μmの乾燥膜層厚でもって、孔充填剤を用いて下塗りしたエポキシド樹脂−試験プレートに設け、そして、7日間20〜25℃の温度で貯蔵した。
【0123】
試験を規格ASTM G 76に準拠して行った。規格とは逸脱したのは、予め定めた角度(90°の代わりに)、ジェット体(約50μmのコランダムの代わりに)及び試験速度(28m/sの代わりに)である。
【0124】
ショア硬度
ショア硬度を、DIN EN ISO 868に応じて決定した。
【0125】
耐熱性
そのつどの組成物の固定していないフィルム(約500μmの層厚でもってボックス又はスパイラルブレードを用いてフィルム貼り付け(Filmaufzug)から前もって剥離剤を備えたガラスプレート上に製造、少なくとも7日間20〜25℃でコンディショニング)を、そのつど60℃、100℃又は120℃の予め定めた温度を有する炉中に120分間導入した。引き続き、フィルムを光学的にかつ触覚的に検証した。成形安定性及び表面接着性が尺度である。
【0126】
変動する引張試験
そのつどの組成物の固定していないフィルム(約500μmの層厚でもってボックス又はスパイラルブレードを用いてフィルム貼り付けから前もって剥離剤を備えたガラスプレート上に製造、少なくとも7日間20〜25℃でコンディショニング)を、S2試験ロッド(DIN 53504を参照)に打ち抜き、層厚をノギスを用いて算出し、そして、引張試験機械中に導入し、試験速度200mm/分で検証した。結果は、応力−伸びダイアグラムに示されている。
【0127】
ヒステリシス−引張試験
そのつどの組成物の固定していないフィルム(約500μmの層厚でもってボックス又はスパイラルブレードを用いてフィルム貼り付けから前もって剥離剤を備えたガラスプレート上に製造、少なくとも7日間20〜25℃でコンディショニング)を、S2試験ロッドに打ち抜き、層厚をノギスを用いて算出し、そして、引張試験機械中に導入し、試験速度200mm/分で検証した。この場合に、3つの負荷曲線並びに負荷除去曲線からなる3つのサイクルを実施した。上側の伸び限度は300%であり、下側の反転点は力のゼロ経過として選択された。
【0128】
引裂強さ
そのつどの組成物の固定していないフィルム(約500μmの層厚でもってボックス又はスパイラルブレードを用いてフィルム貼り付けから前もって剥離剤を備えたガラスプレート上に製造、少なくとも7日間20〜25℃でコンディショニング)を、DIN ISO 34-1に応じた引裂強さを決定した。フィルムの層厚を再度ノギスを用いて算出し、引張試験機械中に導入し、かつ、試験速度200mm/分で検証した。