【文献】
「ARC THE LAD III PLAYING MANUAL」,日本,株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント,1999年12月 3日,p.31,工業所有権総合情報館受入
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレイヤーが所有する複数の所有ゲーム媒体と、複数の所有ゲーム媒体のうちの、対戦相手との対戦に用いられる対戦ゲーム媒体、及び、対戦相手との対戦で敗北した際に犠牲となって奪われる犠牲ゲーム媒体とが、複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けて設定されたプレイヤー情報を記憶する記憶部と、
互いに対戦相手となる各プレイヤーが所有する前記対戦ゲーム媒体に設定された対戦パラメーターに、互いに対戦相手となる各プレイヤーが所有する前記犠牲ゲーム媒体に設定された影響に関するデータを加味して、修正後の前記対戦パラメーターをそれぞれ算出する処理、
それぞれ算出された修正後の前記対戦パラメーターに基づき、互いに対戦相手となる各プレイヤーが行う対戦についての勝敗を決定する処理、及び、
決定された勝敗結果に基づき、互いに対戦相手となる各プレイヤーのうち、敗北したプレイヤーの所有する前記犠牲ゲーム媒体が、勝利したプレイヤーの所有ゲーム媒体となるように、前記プレイヤー情報を更新する処理を、実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
プレイヤーが所有する複数の所有ゲーム媒体と、複数の所有ゲーム媒体のうちの、対戦相手との対戦に用いられる対戦ゲーム媒体、及び、対戦相手との対戦で敗北した際に犠牲となって奪われる犠牲ゲーム媒体とが、複数のプレイヤーのそれぞれに対応付けて設定されたプレイヤー情報を記憶する記憶部を備えたコンピューターに、
互いに対戦相手となる各プレイヤーが所有する前記対戦ゲーム媒体に設定された対戦パラメーターに、互いに対戦相手となる各プレイヤーが所有する前記犠牲ゲーム媒体に設定された影響に関するデータを加味して、修正後の前記対戦パラメーターをそれぞれ算出する処理と、
それぞれ算出された修正後の前記対戦パラメーターに基づき、互いに対戦相手となる各プレイヤーが行う対戦についての勝敗を決定する処理と、
決定された勝敗結果に基づき、互いに対戦相手となる各プレイヤーのうち、敗北したプレイヤーの所有する前記犠牲ゲーム媒体が、勝利したプレイヤーの所有ゲーム媒体となるように、前記プレイヤー情報を更新する処理を、
実行させることを特徴とするゲームプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
ネットワークを介して情報処理端末に接続され、プレイヤーが当該情報処理端末から前記ネットワークを介して他のプレイヤーと対戦するゲームを制御するサーバー装置であって、前記プレイヤーが所有するゲーム媒体と、前記プレイヤーが他のプレイヤーと対戦を行なう際に用いる一又は複数のゲーム媒体を含む対戦用ゲーム媒体と、当該対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターと、を記憶するプレイヤー情報記憶部と、前記プレイヤーが他のプレイヤーとの対戦に敗北した際に犠牲となる犠牲媒体と、当該犠牲媒体が前記対戦に与える影響と、を記憶する犠牲媒体情報記憶部と、前記対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターと前記影響とに基づいて、前記プレイヤーと他のプレイヤーとの対戦を行なう対戦処理部と、前記対戦の結果に関する情報を、前記対戦を行ったプレイヤーの情報処理端末へ送信する送信部と、前記対戦の結果、敗北したプレイヤーの犠牲媒体を当該プレイヤーの非所有とし、勝利したプレイヤーの所有として、前記プレイヤー情報記憶部に記憶されている情報を変更して記憶させる情報変更部と、を備えることを特徴とするサーバー装置。
このような情報処理装置によれば、敵キャラクターを捕獲することが可能なゲームにおいて、敵キャラクターを捕獲するための利便性が高い方法を提供することが可能となる。
【0010】
また、かかるサーバー装置であって、前記プレイヤー情報記憶部は、前記対戦を行なう際に前記プレイヤーの情報処理端末からの要求に基づき、前記対戦用ゲーム媒体を記憶し、前記犠牲媒体情報記憶部は、前記対戦を行なう際に前記プレイヤーの情報処理端末からの要求に基づき、前記犠牲媒体を記憶し、前記送信部は、前記対戦を行なう際に記憶された前記対戦用ゲーム媒体および前記犠牲媒体の情報の一部について、前記対戦が開始される前に前記プレイヤーの情報処理端末に表示させるため、前記情報の全部または一部を前記情報処理端末に送信する、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、対戦相手の情報の一部を非表示とすることができるため、プレイヤーは対戦相手を選択する際に非表示部分の情報を予想しながら対戦相手の強さを判断する必要が生じる。これにより、戦略性に富んだ対戦ゲームを提供し、プレイヤーの興趣を高めることができる。
【0011】
また、かかるサーバー装置であって、前記影響は、前記プレイヤーの対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターまたは前記プレイヤーと対戦する他のプレイヤーの対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーター、もしくはその両方の対戦パラメーターを変動させる、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、設定される犠牲媒体の影響によって対戦が有利になったり不利になったりするため、対戦ゲームを活性化させることができる。
【0012】
また、かかるサーバー装置であって、前記犠牲媒体情報記憶部は、前記プレイヤーの情報処理端末からの要求に基づき、複数の前記犠牲媒体を記憶する、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、あらかじめ複数の犠牲媒体を設定しておくことができるため、対戦に敗北して犠牲媒体を奪われた場合でもプレイヤーが犠牲媒体を新たに設定し直す手間を省くことができる。
【0013】
また、かかるサーバー装置であって、前記プレイヤー情報記憶部は、前記プレイヤーの所有するゲーム内ポイントを記憶し、前記情報変更部は、前記プレイヤーが前記対戦で敗北した場合に、当該プレイヤーの所有する前記ゲーム内ポイントを減少させる、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、対戦に敗北するとゲーム内ポイントが減少するため、対戦で勝利するためのさらなる努力をプレイヤーに促し、対戦ゲームを活性化させることができる。
【0014】
また、かかるサーバー装置であって、前記対戦処理部は、前記プレイヤーが対戦を行なった後で、前記対戦の次の対戦が行われることを所定の条件に基づいて制限する制限情報を設定し、前記プレイヤー情報記憶部は、設定された前記制限情報を記憶する、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、同一プレイヤーによって連続的に対戦が行なわれることを抑制することができる。
【0015】
また、かかるサーバー装置であって、前記対戦処理部は、前記プレイヤーと対戦する他のプレイヤーの対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターおよび前記影響のうち、少なくとも一つについて比較を行ない、前記比較の結果が所定の条件を満たす場合には、通常とは異なる対戦結果とする、こととしてもよい。
このようなサーバー装置によれば、力の差が大きい一方的な対戦が発生しにくくなり、プレイヤーに不公平感を与えるのを抑制することができる。
【0016】
また、プレイヤーが情報処理端末からネットワークを介して他のプレイヤーと対戦するゲームをサーバー装置に実現させるプログラムであって、前記プレイヤーが所有するゲーム媒体と、前記プレイヤーが他のプレイヤーと対戦を行なう際に用いる一又は複数のゲーム媒体を含む対戦用ゲーム媒体と、当該対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターと、をプレイヤー情報記憶部に記憶する機能と、前記プレイヤーが他のプレイヤーとの対戦に敗北した際に犠牲となる犠牲媒体と、当該犠牲媒体が前記対戦に与える影響と、を犠牲媒体情報記憶部に記憶する機能と、対戦処理部によって、前記対戦用ゲーム媒体の対戦パラメーターと前記影響とに基づいて、前記プレイヤーと他のプレイヤーとの対戦を行なう機能と、送信部によって、前記対戦の結果に関する情報を、前記対戦を行ったプレイヤーの情報処理端末へ送信する機能と、情報変更部によって、前記対戦の結果、敗北したプレイヤーの犠牲媒体を当該プレイヤーの非所有とし、勝利したプレイヤーの所有として、前記プレイヤー情報記憶部に記憶されている情報を変更して記憶させる機能と、を前記サーバー装置に実現させるゲームプログラムが明らかとなる。
【0017】
===実施形態===
<<ゲームシステム1の構成について>>
図1は、本実施形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例を示す図である。
【0018】
ゲームシステム1は、ユーザー(以下、「プレイヤー」とも呼ぶ)に対して、ゲーム(ソーシャルゲーム等)に関する各種サービスを、ネットワーク2を介して提供するものである。ゲームシステム1は、それぞれネットワーク2に対して通信可能に接続されたサーバー装置10と、複数のプレイヤー端末20と、を含んで構成される。
【0019】
プレイヤーは、プレイヤー端末20からゲームシステム1にアクセスすることにより、ネットワーク2を介して送信されたゲームをプレイすることができる。また、プレイヤーは、ゲームシステム1にアクセスすることにより、他の複数のプレイヤー間でコミュニケーションを図ることができる。
【0020】
本実施形態のゲームシステム1では、プレイヤーが他のプレイヤーと対戦を行なうことができるゲームを提供する。
【0021】
<サーバー装置10>
図2は、サーバー装置10の機能上の構成を示すブロック図である。サーバー装置10は、システム管理者等がゲームサービスを運営・管理する際に利用する情報処理装置(例えば、ワークステーションやパーソナルコンピューター等)であり、プレイヤー端末20から各種のコマンド(リクエスト)を受信すると、プレイヤー端末20上で動作可能なゲームプログラムや、プレイヤー端末20の規格に合わせたマークアップ言語(HTML等)で作成されたWebページ等を配信することができる。本実施形態のサーバー装置10は、制御部11と、データ記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、を有している。
【0022】
制御部11は、各部間のデータの受け渡しを行うととともに、サーバー装置10全体の制御を行うものである。制御部11は、対戦処理部111、情報変更部112、及び、画面生成部115を有している。各部の具体的動作については後で説明する。
【0023】
データ記憶部12は、システムプログラムが記憶された読み取り専用の記憶領域であるROM(Read Only Memory)と、制御部11による演算処理のワーク領域として使用される書き換え可能な記憶領域であるRAM(Random Access Memory)とを有しており、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶装置によって実現される。本実施形態のデータ記憶部12には、ゲーム中で使用されるゲーム媒体(例えばゲームカード)やアイテムに関する情報が記憶される。また、データ記憶部12には、ゲーム中でプレイヤーが所有するゲーム媒体や当該ゲーム媒体によって構成される対戦用ゲーム媒体に関する情報であるプレイヤー情報、及び、対戦の際に使用される犠牲媒体に関する情報等もが記憶される。すなわち、データ記憶部12は、プレイヤー情報記憶部でもあり、犠牲媒体情報記憶部でもある。これら各情報のデータ構造については後で説明する。
【0024】
入力部13は、システム管理者等が各種データやゲームに関する設定(例えば後述する犠牲媒体の設定等)を入力するためのものであり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。
【0025】
表示部14は、制御部11からの指令に基づいてシステム管理者用の操作画面を表示するためのものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。
【0026】
通信部15は、プレイヤー端末20と通信を行うためのものであり、プレイヤー端末20から送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能、及び、制御部11の指令に応じて各種データや信号をプレイヤー端末20へ送信する送信部としての機能を有している。通信部15は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0027】
<プレイヤー端末20>
図3は、プレイヤー端末20の機能上の構成を示すブロック図である。プレイヤー端末20は、ゲームをプレイする際にプレイヤー(ユーザー)が操作する情報処理端末である。このプレイヤー端末20は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、パーソナルコンピューター、ゲーム機などであって、ネットワーク2を介してアクセス可能なサーバー装置10と情報の送受信を行う。本実施形態のプレイヤー端末20は、端末制御部21と、端末記憶部22と、端末入力部23と、端末表示部24と、端末通信部25と、を有している。
【0028】
端末制御部21は、各部間のデータの受け渡しを行うととともに、プレイヤー端末20全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、本実施形態の端末制御部21は、端末表示部24に表示されるゲーム画面の表示態様を制御する画面表示制御部としても機能する。
【0029】
端末記憶部22は、バスを介して端末制御部21に接続され、端末制御部21からの指令に応じて記憶されているデータを参照、読み出し、書き換える処理が行われる。この端末記憶部22は、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等によって実現される。
【0030】
端末入力部23は、プレイヤーが各種操作(ゲーム操作やテキスト入力操作など)を行うためのものであり、例えば、操作ボタン、タッチパネル等によって実現される。
【0031】
端末表示部24は、端末制御部21からの指令によりゲーム情報に基づいて生成されたゲームの画面(例えば、後述する対戦選択画面等)を表示するためのものであり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。
【0032】
端末通信部25は、サーバー装置10と通信を行うためのものであり、サーバー装置10から送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能と、端末制御部21の指令に応じて各種データや信号をサーバー装置10へ送信する送信部として機能とを有している。端末通信部25は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0033】
===ゲームの概要について===
ゲームシステム1によって提供されるゲームの概要について説明する。
本実施形態のゲームシステム1は、ゲーム媒体を用いて行う対戦ゲームをプレイヤー(ユーザー)に提供することができる。以下では、ゲーム媒体の一例としてゲームカードを用いて行う対戦型カードゲームについて説明する。なお、このゲームカードは、デジタルコンテンツとしてのゲームカードであるため、ゲーム上の仮想空間において使用される仮想カードとなる。
【0034】
<対戦型カードゲーム>
本実施形態に係るゲームシステム1は、プレイヤーによって選択されたキャラクターを対戦相手のプレイヤーのキャラクターと戦わせることにより勝敗を決定する対戦型カードゲームを提供することができる。
【0035】
この対戦型カードゲームでは、まず、プレイヤーは対戦を行なうためのキャラクターを選択する。本実施形態においては、プレイヤーは複数のゲームカード(ゲーム上の仮想空間において使用される仮想カード)を所有することができ、このゲームカードのそれぞれにはゲームキャラクターが対応付けられている。そのため、プレイヤーが所有する複数のゲームカードのうちから対戦に用いる一または複数のゲームカードを選択すると、選択されたゲームカードに対応するキャラクターが、対戦を行なうためのキャラクター(対戦用ゲーム媒体)として設定されることになる。
【0036】
ここで、対戦用ゲーム媒体には、対戦時において相手を攻撃する際に用いる攻撃型の対戦用ゲーム媒体と、対戦時において相手からの攻撃を防御する際に用いる防御型の対戦用ゲーム媒体とが設定される。
【0037】
具体的には、プレイヤーは、攻撃時に用いる対戦用ゲーム媒体として、当該プレイヤーが所有するゲームカードの中から10枚のゲームカード(10体のキャラクター)を選択して攻撃型の対戦用ゲーム媒体を編成する。以下、攻撃型の対戦用ゲーム媒体のことを「攻撃デッキ」とも呼ぶ。攻撃デッキの強さは、選択された10枚分のゲームカードのそれぞれに設定されたパラメーター(例えば、攻撃力)に基づいて総合的に決定される。例えば、10枚のゲームカードのそれぞれに設定されている攻撃力の合計値が、当該攻撃デッキの対戦パラメーターとしてデータ記憶部12に記憶される。そして、攻撃デッキの対戦パラメーターに基づいて対戦時におけるプレイヤーの実際の攻撃力が決定される。同様に、プレイヤーは、防御時に用いる対戦用ゲーム媒体として、当該プレイヤーが所有するゲームカードの中から10枚のゲームカード(10体のキャラクター)を選択して防御型の対戦用ゲーム媒体を構成する。以下、防御型の対戦用ゲーム媒体のことを「防御デッキ」とも呼ぶ。防御デッキの強さは、選択された10枚分のゲームカードのそれぞれに設定されたパラメーター(例えば、防御力)に基づいて総合的に決定され、当該防御デッキの対戦パラメーターとしてデータ記憶部12に記憶される。そして、防御デッキの対戦パラメーターに基づいて対戦時におけるプレイヤーの実際の防御力が決定される。ただし、各デッキを構成するゲームカードの枚数やデッキの強さの決定方法はこの限りではない。
【0038】
なお、各ゲームカード(ゲームカードに対応付けられたキャラクター)にはレベルが設けられており、レベルが上昇するのに応じて当該ゲームカードに設定されているパラメーター(例えば、攻撃力や防御力)の値が上昇する。したがって、レベルの高いゲームカードを用いてデッキを編成すれば、より強力な対戦用ゲーム媒体が構築されるため、他のプレイヤーとの対戦を有利に進めることができるようになる。
【0039】
攻撃デッキ及び防御デッキが編成された後、プレイヤーが対戦相手のプレイヤーを選択して対戦を仕掛けることにより、対戦が開始される。対戦が開始されると、制御部11は、プレイヤーが編成した攻撃デッキに基づく攻撃力と、対戦相手として選択されたプレイヤーの防御デッキに基づく防御力とを比較する。そして、プレイヤーの攻撃力が相手プレイヤーの防御力よりも大きければプレイヤーの勝利と判定し、プレイヤーの攻撃力が相手プレイヤーの防御力以下であればプレイヤーの敗北と判定する。逆に、プレイヤーが、他のプレイヤーから対戦相手として選択された場合(すなわち、対戦を仕掛けられた場合)は、プレイヤーの防御力と、他のプレイヤーの攻撃力とを比較することで、勝敗が判定される。
【0040】
なお、対戦時における勝敗の判定方法はこの限りではなく、相手に与えたダメージが大きい方を勝利としたり、先に相手の体力をゼロにした方を勝利としたりする判定方法であってもよい。
【0041】
対戦に勝利したプレイヤーは、勝利報酬としてゲーム内で使用可能なゲーム内通貨や経験値等のゲーム内ポイントや、ゲーム内で使用されるアイテム等を獲得できる。また、その対戦で使用されたゲームカードには、獲得した経験値が加算され、経験値が一定以上になると当該ゲームカードのレベルが上昇する。さらに、対戦相手が賭けていた「犠牲媒体」を獲得することができる。
【0042】
<犠牲媒体について>
ゲームシステム1では、上述の攻撃デッキ及び防御デッキのそれぞれについて「犠牲媒体」が設定される。本実施形態において、犠牲媒体は、プレイヤーが所有する複数のゲームカードのうち、攻撃デッキ及び防御デッキとは別個に設定されるゲームカードである。そして、犠牲媒体は、プレイヤー同士の対戦に何らかの影響を与える機能を有する。本実施形態では、プレイヤーの攻撃デッキの対戦パラメーター(攻撃力)または防御デッキの対戦パラメーター(防御力)若しくはその両方を変動させる機能を有する。例えば、あるゲームカードZが犠牲媒体として攻撃デッキに設定された場合、当該ゲームカードZの最大レベル時におけるパラメーター(攻撃力)の10%の値が攻撃デッキの攻撃力に加算される。この場合、犠牲媒体として設定するゲームカードのパラメーターが強ければ強いほど、攻撃デッキの攻撃力を強く変動させることができる。犠牲媒体を設定することによるその他の影響としては、対戦相手の防御デッキの防御力を低く変動させたり、自分の攻撃デッキに特殊効果(例えば、必殺技の発動)を生じさせたりすることによって対戦が有利になるようにしてもよい。
【0043】
なお、対戦用ゲーム媒体(デッキ)に犠牲媒体を設定しない状態で対戦を行うことも可能である。ただし、犠牲媒体を設定しない場合は、上述のような有利な影響(効果)を受けることができないため、犠牲媒体を設定している他のプレイヤーとの対戦では不利になる可能性が高い。
【0044】
また、犠牲媒体は、プレイヤー同士の対戦の際に賭けられる掛け金のような機能を有する。ゲームシステム1では、犠牲媒体が設定された攻撃デッキ(防御デッキ)を用いて他のプレイヤーと対戦を行なって敗北した場合には、当該デッキに設定されていた犠牲媒体が対戦相手のプレイヤーに奪われてしまう。逆に、対戦に勝利した場合には、対戦相手のプレイヤーのデッキに設定されていた犠牲媒体を奪うことができる。つまり、犠牲媒体は、対戦に勝利した際の報酬の一種としても扱われる。
【0045】
なお、詳細は後述するが、プレイヤーが対戦相手のプレイヤーを選択する際には、対戦相手候補の防御デッキの一部と当該防御デッキに設定された犠牲媒体とが表示された画面を見ながら対戦相手の選択を行なう(
図9参照)。したがって、対戦に勝利した際に得られる報酬をプレイヤー自身で選ぶことが可能となり、対戦の際に賭けられる犠牲媒体の不均衡等の問題は生じにくい。
【0046】
===データ構造について===
上述したように、サーバー装置10のデータ記憶部12には、ゲーム媒体としてのゲームカードやアイテムに関する情報、プレイヤー情報、犠牲媒体情報等の各種情報が記憶される。本実施形態のゲームシステム1において利用される各種情報について、
図4乃至
図7を用いて説明する。
【0047】
図4は、カード情報のデータ構造例を示す図である。
図5は、プレイヤー情報のうち、プレイヤーが所有するカードについてのデータ構造例を示す図である。
図6は、プレイヤー情報のうち、プレイヤーが設定したデッキについてのデータ構造例を示す図である。
図7は、犠牲媒体情報のデータ構造例を示す図である。
【0048】
<カード情報>
カード情報は、ゲームカードを識別する識別情報の一例としてのカードIDと、このカードIDに関連付けられた当該ゲームカードに関する各種情報と、を含んで構成されている。例えば、
図4に示すように、カードIDと、ゲームカードに対応付けられたキャラクターの種族や、ロール(役割)、当該キャラクターの最大レベル、初期レベルにおける攻撃力、防御力、体力などの各種パラメーターが、カード情報に含まれている。これらの他に、ゲームカードのレアリティ(希少価値)や、スキル(特殊能力)等の情報を備えていてもよい。
【0049】
<プレイヤー情報>
プレイヤー情報のうち、所有カード情報は、各プレイヤーが所有するゲームカード(以下、所有カードともいう)を示す情報である。なお、各ゲームカードはそれぞれ固有のパラメーターを有し、当該パラメーターは各ゲームカードのIDと対応付けられてデータ記憶部12に記憶されている。例えば、
図5に示すように、所有カードIDと、当該ゲームカードに対応するキャラクターのレベル、そのレベルにおける攻撃力、防御力、体力などの各種パラメーターが含まれる。攻撃力等の各種パラメーターは、カード情報として記録されているゲームカードの初期パラメーター(
図4参照)と現時点におけるそのゲームカードのレベルから算出することができる。また、これらの情報の他にプレイヤーがその所有カードを獲得した日時等の情報が含まれていてもよい。
【0050】
プレイヤー情報のうち、デッキ情報は、各プレイヤーが編成した攻撃デッキ及び防御デッキに関する情報である。なお、ゲームシステム1では、対戦以外(例えば、ゲーム内イベント等)に用いられる「通常デッキ」も編成されるが、通常デッキのデータ構造は攻撃デッキまたは防御デッキとほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
図6に示されるデッキ情報には、攻撃デッキ及び防御デッキの各デッキを構成する複数(例えば10枚)の所有カードID、各々の所有カードのレベルに応じた攻撃力または防御力等のパラメーター、及び、対戦時に用いられるデッキ全体のパラメーターである対戦パラメーター(例えば、攻撃デッキ全体としての攻撃力)等のデータが含まれる。
【0051】
なお、プレイヤー情報として、所有カード情報やデッキ情報の他に、プレイヤーのID、経験値、プレイヤーが所有するアイテムやゲーム内通貨に関する情報が記憶される。
【0052】
<犠牲媒体情報>
犠牲媒体情報は、プレイヤーが犠牲媒体として設定した所有カードのID、そのカードの最大攻撃力等の各種パラメーター、設定対象のデッキ、及び対戦に与える影響に関するデータを含んで構成されている。例えば
図7では、プレイヤーの所有カードのうち、カードID0101のゲームカードが攻撃デッキの犠牲媒体として設定されている。この場合、対戦時に攻撃デッキに与える影響として、当該ゲームカードの最大攻撃力の10%の値(+560)が攻撃デッキの攻撃力に加算されるよう設定されている。同様に、プレイヤーの所有カードのうち、カードID0105のゲームカードが防御デッキの犠牲媒体として設定されている。そして、対戦時に防御デッキに与える影響として、当該ゲームカードの最大防御力の10%の値(+820)が防御デッキの防御力に加算されるよう設定されている。なお、攻撃デッキのある犠牲媒体が対戦時に攻撃デッキに与える影響として、例えば総攻撃力の15%の値が、攻撃デッキの攻撃力に加算されるよう設定することもできる。同様に、防御デッキのある犠牲媒体が対戦時に防御デッキに与える影響として、例えば総防御力の15%の値が、防御デッキの防御力に加算されるよう設定することもできる。このほかにも、犠牲媒体そのものに設定されているパラメーターをそのまま対戦パラメーターに加算し、犠牲媒体をエクストラカードとして扱ってもよい。これらにより、より強力な(レアリティの高い)犠牲媒体を設定したプレイヤーは、犠牲媒体を設定しないプレイヤー又は弱い(レアリティの低い)犠牲媒体を設定したプレイヤーと比較して、有利に対戦を行うことができる。
【0053】
===対戦の動作===
次に、ゲームシステム1で行なわれる対戦動作について具体的に説明する。
【0054】
図8は、本実施形態の対戦動作の流れについて説明する図である。なお、対戦を行なう際に用いる攻撃デッキ及び防御デッキの編成は既に完了しているものとする。また、攻撃側プレイヤーの攻撃力と防御側プレイヤーの防御力とに基づいて勝敗の判定が行われるものとして説明を行う。
【0055】
はじめに、他のプレイヤーとの対戦を望むプレイヤー(プレイヤーAとする)が、プレイヤー端末20から対戦の要求を行なう(S101)。対戦の要求は、プレイヤー端末20の端末表示部24に表示されるゲーム画面上(不図示)から行なわれ、端末通信部25を介してサーバー装置10に送信される。
【0056】
サーバー装置10が、プレイヤーAからの対戦要求を受けつけると(S102)、プレイヤーAに対戦相手を選択させるための対戦リスト画面のデータが生成される(S103)。制御部11は、プレイヤーAの対戦相手の候補として、ゲームシステム1のユーザーの中から複数人の他のプレイヤーを抽出する。そして、抽出された対戦候補プレイヤー、各対戦候補プレイヤーの防御デッキ、及び、防護デッキに設定された犠牲媒体の情報を含む対戦リスト画面のデータが画像生成部115によって生成される。
図9は、対戦リスト画面の一例を示す図である。
図9に示される対戦リスト画面では、対戦候補プレイヤーとしてプレイヤーB〜プレイヤーEの4人のプレイヤーに関する情報が表示されている。例えば、各プレイヤーのアバター、それぞれのプレイヤーが編成した防御デッキ、及び、防御デッキに設定された犠牲媒体の画像が表示される。また、図示されていないが、犠牲媒体や防御デッキを構成する各キャラクターについてのレベルや強さ等を示す情報が表示されていてもよい。
【0057】
なお、これらの情報のうち全てが対戦リスト画面に表示されるのではなく、一部の情報を非表示としてもよい。
図10及び
図11は、一部の情報が非表示となった対戦リスト画面の一例を示す図である。
図10では、対戦候補プレイヤーの防御デッキに編成されているキャラクター(ゲームカード)の一部(又は全部)の情報が非表示となっている。また、
図11では、犠牲媒体に関する一部又は全部の情報が非表示となっている。ただし、これら以外の情報が非表示となっていてもよい。対戦相手の一部の情報が表示されないため、プレイヤーAは対戦相手を選択する際に非表示部分の情報を予想しながら対戦相手の強さを判断する必要が生じる。特に
図11のように犠牲媒体に関する一部の情報を非表示にした場合、プレイヤーAは、より強力な犠牲媒体を設定しようとする。これにより、対戦時におけるプレイヤーAの興趣を高めることができ、強力な犠牲媒体の流通が活発になる。
【0058】
対戦リスト画面を生成する際には、対戦相手候補として任意のプレイヤーが抽出される。ただし、後述する不公平な対戦を抑制するために、プレイヤーAの攻撃デッキの強さを参照して、なるべく同程度の強さの防御デッキを編成しているプレイヤーが抽出されるようにしてもよい。同程度の強さのプレイヤー間で対戦が発生すると、対戦が接戦になりやすく、よりスリリングな展開をプイレイヤーに期待させることができる。
【0059】
生成された対戦リスト画面のデータは通信部15によって、プレイヤーAのプレイヤー端末20に送信され、
図9乃至
図11に示されるような対戦リスト画面が端末表示部24に表示される(S104)。なお、
図10もしくは
図11のように対戦リスト画面の一部の情報を非表示にする場合は必ずしも全てのデータ(情報)をプレイヤー端末20に送信する必要は無く、一部のデータを送信するのであってもよい。
【0060】
プレイヤーAは、表示された対戦リスト画面を見ながら、対戦を希望するプレイヤーを選択する(S105)。
図9乃至
図11の場合、対戦リスト画面に表示されているプレイヤーB〜プレイヤーEの中からいずれかのプレイヤーが選択される。上述したように、ゲームシステム1では対戦相手の選択に際して、対戦候補プレイヤーが設定している犠牲媒体について十分考慮することが重要である。犠牲媒体は、対戦の勝利報酬であると同時にデッキを強化する等、対戦に影響を与える機能を有するためである。例えば対戦候補プレイヤーの防御デッキに、希少価値が高く強力な犠牲媒体が設定されている場合、対戦に勝利すれば希少価値の高いゲームカードを獲得できる反面、対戦に敗北する可能性も高くなる。また、敢えて弱い犠牲媒体を設定することで相手を油断させる作戦なども考えられる。さらに、
図10や
図11のように対戦候補プレイヤーの一部の情報を非表示とすることで、様々な状況を想定する必要が生じるため、より戦略性の高い対戦ゲームを提供する事ができる。
【0061】
プレイヤーAが対戦相手となるプレイヤーを選択し、サーバー装置10によってプレイヤーAの選択が受け付けられると(S106)、対戦が開始される。以下では、プレイヤーAの対戦相手としてプレイヤーBが選択されたものとして説明を行なう。
【0062】
対戦が開始されると、制御部11の対戦処理部111によって対戦処理が行なわれる(S107)。
図12は、対戦処理において行なわれる各種処理のフロー図である。
【0063】
対戦が開始されると、対戦処理部111は、対戦を要求したプレイヤーAの攻撃力を算出する(S171)。具体的には、データ記憶部12に記憶されているプレイヤーAのプレイヤー情報から攻撃デッキの攻撃力データを参照し、プレイヤーAの犠牲媒体情報から攻撃デッキに設定されている犠牲媒体の影響に関するデータを参照する。そして、攻撃デッキの攻撃力に犠牲媒体の影響を加味した値を、対戦におけるプレイヤーAの修正攻撃力として定義する。すなわち、攻撃デッキの攻撃力(対戦パラメーター)を犠牲媒体の影響によって変動させた値が修正攻撃力となる。なお、上述したように犠牲媒体が対戦に与える影響は様々であるため、設定される犠牲媒体の種類によって攻撃力の変動の仕方も異なる。
【0064】
続いて、対戦処理部111は、対戦相手として選択されたプレイヤーBの防御力を算出する(S172)。具体的には、データ記憶部12に記憶されているプレイヤーBのプレイヤー情報から防御デッキの防御力データを参照し、プレイヤーBの犠牲媒体情報から防御デッキに設定されている犠牲媒体の影響に関するデータを参照する。そして、防御デッキの防御力に犠牲媒体の影響を加味した値を、対戦におけるプレイヤーBの修正防御力として定義する。
【0065】
次に、対戦処理部111は、プレイヤーAの攻撃力とプレイヤーBの防御力とが所定の条件に当てはまるか否かを判定する(S173)。ここで、所定の条件とは、対戦するプレイヤー間の力の差が大きすぎないこと等である。
【0066】
本実施形態のゲームシステム1では、攻撃側のプレイヤーが対戦相手(防御側のプレイヤー)を選択できるが、防御側のプレイヤーは対戦相手(攻撃側のプレイヤー)を選択することができない。そのため、攻撃側のプレイヤーが自分よりもはるかに弱い防御側のプレイヤーを対戦相手に選択して攻撃を仕掛けた場合、ほぼ確実に勝利できるため、一方的に対戦相手の犠牲媒体を奪う事ができる。このような場合、防御側プレイヤーは自分自身では対処する手段がないため、不公平感が大きくなり、ゲームに対する興味を失ってしまうおそれがある。
【0067】
そこで、対戦に際して所定の条件を設け、力の差が大きすぎるプレイヤー同士の対戦が発生しないようにする。例えば、所定の条件として、“プレイヤーBの修正防御力に対してプレイヤーAの修正攻撃力が所定値以上に大きくないこと”を設定する。そして、所定の条件から外れた場合(S173がNo)、不公平な対戦が行なわれたものとして、攻撃側のプレイヤーAの敗北と判定する(S175)。もしくは、引き分けとしたり、対戦自体を不成立としたりしてもよい。通常であれば、プレイヤーAの修正攻撃力とプレイヤーBの修正防御力とを比較した結果、プレイヤーAの修正攻撃力が高ければプレイヤーAの勝利と判定されるが、不公平な対戦が行なわれた場合は、少なくともプレイヤーAの勝利は判定されない。言い換えると、通常とは異なる対戦結果が判定される。
【0068】
なお、所定の条件として、プレイヤーAの攻撃デッキの攻撃力(犠牲媒体の影響によって変動される前の対戦パラメーター)とプレイヤーBの防御デッキの防御力(犠牲媒体の影響によって変動される前の対戦パラメーター)とを比較したり、犠牲媒体が対戦に与える影響自体を比較したりしてもよい。また、対戦する両者のレベルの差を比較してもよい。
【0069】
また、不公平な対戦が発生することをあらかじめ抑制するために、サーバー装置10がプレイヤーAからの対戦相手選択を受け付けた(S106)後で、不公平な対戦が発生するおそれがある旨の警告をプレイヤーAのプレイヤー端末20に表示させるようにしてもよい。
【0070】
S173で所定の条件を満たした場合(S173がYes)は、プレイヤーAの修正攻撃力とプレイヤーBの修正防御力とが比較される(S174)。なお、プレイヤーAの修正攻撃力とプレイヤーBの修正防御力には、さらに乱数に基づく係数を加味してもよい。そして、比較の結果、プレイヤーAの修正攻撃力がプレイヤーBの修正防御力よりも高ければプレイヤーAの勝利と判定され(S176)、プレイヤーAの修正攻撃力がプレイヤーBの修正防御力以下であればレイヤーAの敗北と判定される(S177)。
【0071】
図8に戻り、対戦処理によって勝敗の判定が行なわれた後、当該判定に基づいて情報変更処理が行なわれる(S108)。情報変更処理では、制御部11の情報変更部112によって、プレイヤーの所有するゲームカードやアイテム、ゲーム内ポイント等の所有情報が変更される。特に、ゲームシステム1では対戦の勝敗に応じて犠牲媒体の所有が移転することが特徴である。以下、プレイヤーAとプレイヤーBとの対戦で、プレイヤーAが勝利した場合の例について説明する。
【0072】
情報変更部112は、対戦に敗北したプレイヤーBの所有カード情報にアクセスし(
図5参照)、防御デッキに設定されていた犠牲媒体に対応するゲームカードの所有情報を非所有に変更して記憶する。また、プレイヤーBの犠牲媒体情報にアクセスし(
図7参照)、防御デッキに設定されていた犠牲媒体の設定を解除する。一方、対戦に勝利したプレイヤーAの所有カード情報に、当該犠牲媒体に対応するゲームカードの所有情報を追加する。これにより、敗北したプレイヤーBの犠牲媒体はプレイヤーBの非所有となり、プレイヤーAの所有となる。言い換えると、犠牲媒体の所有が敗者から勝者に移転する。
【0073】
このような情報変更処理が行なわれると、プレイヤーBの防御デッキには犠牲媒体が設定されていない状態となり、他のプレイヤーとの次回以降の対戦が不利になる。そこで、防御デッキに犠牲媒体が設定されていないプレイヤーは、対戦候補プレイヤーとして選択されにくいようにしてもよい。また、後述するように、あらかじめ犠牲媒体を複数設定しておくようにしてもよい。
【0074】
なお、対戦においてプレイヤーAがプレイヤーBに敗北した場合には、プレイヤーAの攻撃デッキに設定されていた犠牲媒体の所有がプレイヤーBに移転する。
【0075】
また、情報変更処理では、犠牲媒体に加えてプレイヤーの所有するゲーム内通貨や経験値(以下、これらをゲーム内ポイントとも呼ぶ)を移転させるようにしてもよい。ゲーム内ポイントの移転も、基本的に犠牲媒体の移転と同様である。すなわち、対戦に敗北したプレイヤーのプレイヤー情報から移転対象となる所定量のゲーム内ポイントを減少させ、当該減少させた分のゲーム内ポイント、またはその一部を対戦に勝利したプレイヤーのプレイヤー情報に加算して記憶させる。対戦に敗北するとゲーム内ポイントが減少するため、対戦で勝利するためのさらなる努力をプレイヤーに促し、対戦ゲームを活性化させることができる。
【0076】
情報変更処理の後、対戦の結果をプレイヤーに通知する対戦結果通知画面のデータが画面生成部115によって生成される(S109)。当該画面データは、通信部15を介してプレイヤーAのプレイヤー端末20に送信され、端末表示部24に表示される(S110)。
図13は、プレイヤーが勝利した場合の対戦結果通知画面の一例である。対戦結果通知画面では、対戦の勝敗、及び勝敗に基づく犠牲媒体やゲーム内ポイントの移転結果が表示される。これにより、プレイヤーAは対戦相手の犠牲媒体を奪うことができたか、若しくは、対戦相手に自分の犠牲媒体が奪われたかを確認することができる。
【0077】
なお、対戦に敗北したプレイヤー(上述の例においてプレイヤーB)のプレイヤー端末20に対しては、対戦に敗北したことにより犠牲媒体やゲーム内ポイント等が奪われてしまったことを通知する敗北結果通知画面(不図示)のデータが送信される。当該敗北結果通知画面は、プレイヤーBがログインした際にすぐに確認できるようにしておくとよい。また、メール等の手段によって敗北結果を通知するようにしてもよい。
【0078】
また、次回以降の対戦が行なわれることを制限する対戦制限処理が行なわれる(S111)。無制限に対戦が繰り返されると、サーバー装置10の負荷が高くなり、ゲームシステム1に関するサービスを円滑に提供することが出来なくなるおそれがある。また、犠牲媒体の奪い合いのような対戦を許すと、プレイヤー間でトラブル等が発生するおそれもある。そこで、ゲームシステム1において連続して対戦を行なう場合には一定の制限が設けられる。例えば、他のプレイヤーに対戦を仕掛ける際に消費されるアイテムやエネルギー値を設け、当該アイテムやエネルギー値の所持数分だけ対戦を行なうことができるようにしたり、一度対戦が行なわれるとその後10分間は他のプレイヤーに対戦を仕掛けることが出来ないようにしたりする。このような条件を制限情報として設定しておき、対戦が行なわれた後で当該制限情報に基づいて対戦制限処理を行なうことで、無制限に対戦が行なわれることを抑制する。
【0079】
このようなゲームシステム1で提供される対戦ゲームでは、プレイヤーは、攻撃デッキまたは防御デッキの犠牲媒体として強力なゲームカードを設定することにより、他のプレイヤーとの対戦を有利に進めることができる。しかし、対戦に敗北した場合には、その犠牲媒体を奪われてしまう。そのため、どの程度の強さの犠牲媒体を自身のデッキに設定するのか、また、どの程度の犠牲媒体を設定しているプレイヤーを対戦相手として選択するのかについて、考慮することになる。これにより、犠牲媒体の設定や対戦相手の選択等について戦略の幅が広がり、プレイヤーの対戦意欲を低減させることなく興趣あるゲームを提供することができる。
【0080】
<変形例>
攻撃デッキ、防御デッキに対してそれぞれ複数の犠牲媒体をあらかじめ登録しておくようにしてもよい。例えば、対戦に敗北することにより、デッキに設定していた犠牲媒体が対戦相手に奪われた場合、新たな犠牲媒体を設定し直す必要がある。しかし、対戦で敗北する度に犠牲媒体を設定するのではプレイヤーの負担が大きくなる。そこで、あらかじめ複数の犠牲媒体を登録しておき、対戦によって犠牲媒体が奪われた場合には、登録された複数の犠牲媒体の中から所定の犠牲媒体が自動的に設定されるようにする。
【0081】
図14は、複数の犠牲媒体を設定する場合の犠牲媒体情報のデータ構造例を示す図である。変形例の犠牲媒体情報では、犠牲媒体として設定する複数のゲームカードについて、カードID、各種パラメーター、設定対象デッキ、対戦に与える影響に関するデータに加えて、優先順位の情報が設定される。優先順位は、複数の犠牲媒体を登録する場合に、どの順番で対戦に用いるかの順番を表す。例えば、カードID0123のゲームカードを防御デッキの犠牲媒体の優先順位1位に登録し、カードID0137のゲームカードを防御デッキの犠牲媒体の優先順位2位に登録しておく。他のプレイヤーから対戦を挑まれた場合、まず、優先順位1位に登録されたカードID0123のゲームカードが犠牲媒体として設定された防御デッキを用いて対戦が行なわれる。対戦に敗北した場合は犠牲媒体(カードID0123のゲームカード)が奪われてしまうため、防御デッキには犠牲媒体が設定されていない状態となる。そこで、制御部11は、優先順位2位に登録されたカードID0137のゲームカードを新たに防御デッキの犠牲媒体として設定する。これにより、プレイヤーが犠牲媒体を新たに設定し直す手間を省くことができる。
【0082】
また、優先順位は必ずしも登録しなくてもよい。優先順位を登録しない場合は、複数のゲームカードの中から制御部11が任意のゲームカードを選択して犠牲媒体として設定する。例えば、
図14でカードID0142やカードID0142のゲームカードは優先順位が登録されていない。この場合、当該2枚のゲームカードの中からどちらかのゲームカードが選択され、犠牲媒体として設定される。
【0083】
===その他の実施の形態===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。また、以下に述べる実施形態も、本発明に含まれるものである。
【0085】
上述の実施形態では、プレイヤーが所有する複数のゲームカードのうち、所定数のゲームカード(上述の例では10枚のゲームカード)により対戦用ゲーム媒体(攻撃デッキ、防御デッキ)が構成されていたが、対戦用ゲーム媒体を構成するゲームカードの中に序列を設けてもよい。例えば、各デッキの中でリーダー格のゲームカードを設定し、当該リーダー格のゲームカードのパラメーターに応じて各デッキの強さが変動する構成や、リーダー格のゲームカードに設定された体力パラメーターに基づいて対戦の勝敗を決定する構成としてもよい。
【0086】
<犠牲媒体について>
上述の実施形態では、対戦用ゲーム媒体を構成するゲームカードとは別個に犠牲媒体が設定されていたが、対戦用ゲーム媒体を構成する複数のゲームカードのうちの1または複数が犠牲媒体として設定されるのであってもよい。この場合、犠牲媒体自体が対戦用ゲーム媒体(攻撃デッキまたは防御デッキ)の対戦パラメーターを決定すると共に、対戦パラメーターを変動させて対戦に影響を与える機能を有する。
【0087】
また、犠牲媒体として設定されるゲーム媒体が通常のゲーム媒体(すなわちゲームカード)とは異なり、犠牲媒体としてのみ設定可能なゲーム媒体であってもよい。例えば、通常のゲームカードとは異なるサクリファイスカードが設けられ、サクリファイスカードを用いて対戦用ゲーム媒体(攻撃デッキまたは防御デッキ)を編成することはできず、また、通常のゲームカードを犠牲媒体として設定することもできない。これにより、プレイヤーは、他のプレイヤーに奪われたサクリファイスカードを取り戻す機会が増加し、対戦ゲームをより活性化させることができる。
【0088】
また、犠牲媒体として設定されるゲーム媒体が、ゲームカードではなくアイテムの一種であってもよい。
【0089】
また、犠牲媒体は、一の対戦に対して複数設定されてもよい。これにより、多くの犠牲媒体が設定されるほど、対戦パラメーターを上昇させることができるが、敗北した場合は犠牲媒体として設定した全てのゲーム媒体が奪われてしまうため、興趣あるゲームを提供することができる。なお、これら複数の犠牲媒体の組み合わせに応じて、対戦パラメーターの値が変更可能であることは言うまでもない。
【0090】
<情報処理装置>
上述の実施形態では、情報処理装置の一例として1台のサーバー装置10を備えたゲームシステム1を例に挙げて説明したが、これに限らず、情報処理装置として複数台のサーバー装置10を備えたゲームシステム1としてもよい。すなわち、複数台のサーバー装置10がネットワーク2を介して接続され、各サーバー装置10が各種処理を分散して行うようにしてもよい。
【0091】
また、情報処理装置としての機能の一部をプレイヤー端末20が担う構成としてもよい。この場合には、サーバー装置10及びプレイヤー端末20が情報処理装置を構成する。
【0092】
<ゲームプログラム>
上述の実施形態におけるゲームシステム1では、サーバー装置10及びプレイヤー端末20を協働させることにより、ゲームフィールド上の所定の位置に特別エリアを設定してゲーム進行に間接的に介入する例について説明したが、本発明には、これらの処理を実行させるためのゲームプログラムも含まれる。すなわち、情報処理装置としてのサーバー装置10やプレイヤー端末20が、ゲームプログラムに基づいて上述の各処理を実行するようにしてもよい。