(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食器洗浄機において、食器洗浄運転の乾燥工程の実行時間は、食器の乾燥が不十分になることを防止するために、余裕を持たせて長めに設定されている。しかしながら本願発明者らは、食器洗浄運転の実行回数に応じて食器の乾燥に必要な時間が変化することを知見した。
【0006】
このため、乾燥工程の実行時間を一律に長くしたのでは、食器の乾燥が過剰となってエネルギーが無駄に消費されることがある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、食器の十分な乾燥を確保しつつ乾燥工程における無駄なエネルギー消費を抑制した食器洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、食器洗浄運転の実行回数に応じて食器の乾燥に必要な時間が変化する理由について鋭意検討した結果、洗浄槽に付着した石灰質成分が食器の乾燥のし易さに関与していることを見出した。
【0009】
すなわち、洗浄槽の内面や食器を保持する食器カゴ等は、はっ水性を有する材料(例えば、樹脂材料)を用いて形成されることが一般的であるが、食器洗浄運転の実行に伴って、水道水に含まれる石灰質成分が洗浄槽の内面等に付着する。この場合、石灰質成分は親水性であるため、石灰質成分の付着が進行するに従って洗浄槽の内面等の特性がはっ水性から親水性に変化する。
【0010】
そして、洗浄槽の内面等がはっ水性を有しているときは、洗浄槽の内面等に付着した水滴が広がり難く水滴の表面積が小さくなるため、水滴が蒸発し難い。その結果、乾燥工程において、洗浄槽内の湿度の低下が妨げられて、洗浄槽内の食器が乾燥し難くなる。それに対して、洗浄槽の内面等が親水性を有しているときには、洗浄槽の内面等に付着した水滴が広がり易く水滴の表面積が大きくなるため、水滴が蒸発し易い。その結果、乾燥工程において、洗浄槽内の湿度の低下が促進されて、洗浄槽内の食器が乾燥し易くなる。
【0011】
したがって、乾燥工程による食器の乾燥に必要な時間は、食器洗浄機が新品の状態であるときのように洗浄槽の内面等がはっ水性を有しているときよりも、食器洗浄運転の実行による石灰質成分の付着によって、洗浄槽の内面等が親水性を有するようになったときの方が短くなる。
【0012】
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、前記目的を達成するために、
洗浄槽に収容された食器を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄槽に収容された食器を乾燥させる乾燥手段と、
前記洗浄手段により食器を洗浄する洗浄工程と、前記乾燥手段により食器を乾燥させる乾燥工程とを含む食器洗浄運転を実行する制御手段とを備えた食器洗浄機において、
前記乾燥工程の実行時間を、新品である状態からの前記食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定する乾燥時間設定部を備えることを特徴とする(第1発明)。
【0013】
第1発明において、乾燥時間設定部は、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数が少ないとき、すなわち、石灰質成分の洗浄槽への付着量が少なく洗浄槽内が乾燥し難いときには、食器洗浄運転の乾燥工程の実行時間を長く設定する。また、乾燥時間設定部は、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数が多いとき、すなわち、前記付着量が多く洗浄槽内が乾燥し易いときには、食器洗浄運転の乾燥工程の実行時間を短く設定する。
【0014】
従って、本発明の食器洗浄機によれば、食器の十分な乾燥を確保しつつ乾燥工程における無駄なエネルギー消費を抑制することができる。
【0015】
また、第1発明において、
前記洗浄槽内に付着した石灰質成分を除去する槽内洗浄手段を備え、
前記制御手段は、前記槽内洗浄手段により前記石灰質成分を除去する槽内洗浄運転を実行し、
前記乾燥時間設定部は、前記乾燥工程の実行時間を、前記槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定することを特徴とする(第2発明)。
【0016】
第2発明によれば、乾燥時間設定部は、槽内洗浄運転の実行により洗浄槽に付着した石灰質成分が除去されて、洗浄槽の内面等のはっ水性が回復したときに、その後の食器洗浄運転の実行回数に応じて、食器洗浄運転の実行回数が少なく石灰質成分の洗浄槽への付着量が少ないときには、食器洗浄運転の乾燥工程の実行時間を長く設定し、食器洗浄運転の実行回数が多く前記付着量が多いときには、乾燥工程の実行時間を短く設定する。
【0017】
従って、槽内洗浄運転の実行後においても、食器の十分な乾燥を確保しつつ乾燥工程における無駄なエネルギー消費を抑制することができる。
【0018】
また、第2発明において、
前記乾燥時間設定部は、前記槽内洗浄運転が実行される前は、前記乾燥工程の実行時間を、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定し、前記槽内洗浄運転が実行された後は、前記乾燥工程の実行時間を、前記槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定することを特徴とする(第3発明)。
【0019】
第3発明によれば、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数をカウントするための構成と、槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数をカウントするための構成とを兼用することができるため、食器洗浄機の構成を簡素化することができる。
【0020】
また、前記目的を達成するために、本発明は、
洗浄槽に収容された食器を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄槽に収容された食器を乾燥させる乾燥手段と、
前記洗浄槽内に付着した石灰質成分を除去する槽内洗浄手段と、
前記洗浄手段により食器を洗浄する洗浄工程と、前記乾燥手段により食器を乾燥させる乾燥工程とを含む食器洗浄運転を実行し、前記槽内洗浄手段により前記石灰質成分を除去する槽内洗浄運転を実行する制御手段とを備えた食器洗浄機において、
前記乾燥工程の実行時間を、前記槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定する乾燥時間設定部を備えることを特徴とする(第4発明)。
【0021】
第4発明によれば、前記第2発明と同様に、槽内洗浄運転を実行した後の乾燥運転の実行時間を適切に設定して、食器の十分な乾燥を確保しつつ乾燥工程における無駄なエネルギー消費を抑制することができる。
【0022】
また、第2発明〜第4発明において、
前記槽内洗浄手段は、前記食器洗浄運転とは異なる洗剤を用いて前記洗浄手段を作動させることにより前記洗浄槽内に付着した石灰質成分を除去し、
前記槽内洗浄運転は、前記食器洗浄運転のうち、前記洗浄工程を、前記槽内洗浄手段により前記洗浄槽内に付着した石灰質成分を除去する工程に置き換えたものとすることができる(第5発明)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1.食器洗浄機の構成]
図1に示すように、本実施形態の食器洗浄機1は、食器類Wを収容した洗浄槽2を外装ケース3に内装する前面引き出し式の構成となっている。洗浄槽2は、上部が開口した箱型形状をしており、洗浄槽2の前面に扉が設けられている。
【0025】
食器洗浄機1において、外装ケース3の内部には、洗浄槽2に水を供給する給水管4、洗浄槽2の排水を行なう排水ホース5、洗浄槽2内に乾燥用の空気を送風する乾燥ファン6、洗浄槽2と連通管7bを介して連通する水位検出槽7、及び、洗浄槽2の運転を制御するコントローラ10が設けられている。
【0026】
給水管4には、給水管4を開閉する給水用電磁弁4aが設けられている。排水ホース5には、逆流防止のための逆U字状の立上り部5aと、エア抜き部5bと、排水トラップ部5cと、逆止弁5dとが設けられている。
【0027】
洗浄槽2の内部には、食器類Wを保持する食器カゴ2aと、洗浄槽2に溜められた水を、食器カゴ2aに保持された食器類Wに向けて噴射する洗浄ノズル2bと、洗浄槽2に溜められた水を加熱するヒータ2cと、洗浄槽2内部の温度を測定する温度センサ2dが設けられている。
【0028】
温度センサ2dは、例えばサーミスターによって構成される。温度センサ2dは、洗浄槽2に水が貯められている場合には、その水温の検出信号を出力し、洗浄槽2に水が貯められていない場合には、洗浄槽2内の雰囲気温度の検出信号を出力する。
【0029】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ2eを介して接続される洗浄・排水ポンプ2fが設けられている。洗浄・排水ポンプ2fは、正転することにより洗浄槽2内の水を洗浄ノズル2bから食器類Wに向けて噴射し、逆転することにより洗浄槽2内の水を排水ホース5を介して排水する。尚、各電装品(洗浄・排水ポンプ2f、給水用電磁弁4a、乾燥ファン6、及びコントローラ10等)は、図示しない電源コードを介して家庭用電源から供給される電力により駆動される。
【0030】
洗浄槽2の前端部3aには、電源スイッチ10a、スタート/一時停止スイッチ10b、槽内洗浄剤投入ボタン10c、ブザー3b、表示器3c及び槽内洗浄要求ランプ3dが設けられている。電源スイッチ10a及びスタート/一時停止スイッチ10bの後方には、洗浄槽2が外装ケース3内の収納位置に収納されているときに信号をコントローラ10に出力する位置スイッチ10d及び槽内洗浄剤投入器10eが設けられている。槽内洗浄剤投入器10eには槽内洗浄剤(例えばクエン酸)が収容される。前記槽内洗浄剤は、水道水に含まれる石灰質成分を除去する作用を有する洗剤であり、後述する食器用洗剤とは異なる。
【0031】
また、扉には、乾燥ファン6により、洗浄槽2内の空気を排出するための排気通路8が設けられている。排気通路8は、洗浄槽2の前方(
図1の左側)に開口8aを備えるとともに、扉の前端部に排気口8bを備える。
【0032】
水位検出槽7の内部には、フロート式の水位スイッチ7aが設けられている。水位スイッチ7aは、水位検出槽7の水位が所定の水位である場合に、検出信号をコントローラ10に出力するように構成されている。
【0033】
次に、
図2を参照して、本実施形態の制御系の構成を説明する。
【0034】
コントローラ10は、メモリ13、図示しないCPU、インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。コントローラ10は、メモリ13に保持された食器洗浄機1の制御用プログラムをCPUで実行することにより、一連の食器洗浄運転と一連の槽内洗浄運転とを実行する運転制御部11と、食器洗浄運転における乾燥工程の実行時間を設定する乾燥時間設定部12として機能する。
【0035】
運転制御部11は、メモリ13に、データとして、食器洗浄運転のカウント値13aと、槽内洗浄運転実行フラグ13bを格納する。食器洗浄運転のカウント値13aとは、槽内洗浄運転が実行される前は、食器洗浄機1が新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数であり、槽内洗浄運転が実行された後は、直近の槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数である。
【0036】
運転制御部11は、食器洗浄運転のカウント値13aが所定値を上回ると、槽内洗浄要求ランプ3dを点灯して、使用者に槽内洗浄運転の実行を促す。また、運転制御部11は、食器洗浄機1が新品である状態から槽内洗浄運転を一度も実行していないときは、槽内洗浄運転実行フラグ13bをOFFにし、槽内洗浄運転を一度でも実行した後は、槽内洗浄運転実行フラグ13bをONにする。
【0037】
コントローラ10には、各種操作キー3e、温度センサ2d、水位スイッチ7a、電源スイッチ10a、スタート/一時停止スイッチ10b、槽内洗浄剤投入ボタン10c及び位置スイッチ10dからの信号が入力される。
【0038】
また、コントローラ10から出力される制御信号によって、ブザー3b及び表示器3cの作動が制御される。また、コントローラ10から駆動回路10dに出力される制御信号によって、ヒータ2c、洗浄・排水ポンプ2f、給水用電磁弁4a、乾燥ファン6及び槽内洗浄剤投入器10eの作動が制御される。
【0039】
駆動回路10dは、コントローラ10からの制御信号の入力に応じて、所定の電力を供給することにより、ヒータ2c、洗浄・排水ポンプ2f、給水用電磁弁4a、乾燥ファン6及び槽内洗浄剤投入器10eを動作させる。
【0040】
[2.食器洗浄運転]
次に、
図3を参照して、運転制御部11により実行される食器洗浄運転について説明する。
図3に示すグラフにおいて、縦軸は温度センサ2dの検出温度を示し、横軸は時間(食器洗浄運転の開始時からの経過時間)を示す。また、グラフ下のハッチング部分は、洗浄・排水ポンプ2f、ヒータ2c及び乾燥ファン6が作動中であることを示す。
【0041】
運転制御部11は、使用者によってスタート/一時停止スイッチ10bが操作されると、食器洗浄運転を開始する。食器洗浄運転は、例えば、「洗浄工程」→「水すすぎ工程」→「加熱すすぎ工程」→「乾燥工程」という一連の工程により実行される。運転制御部11は、食器洗浄運転の完了時に、食器洗浄運転のカウント値13aを1増加させる。
【0042】
[2−1.洗浄工程]
洗浄工程では、運転制御部11は、まず、給水用電磁弁4を開弁して洗浄槽2に所定量の水を溜め、給水用電磁弁4を閉弁する。このとき、食器カゴ2a内部に設けられた洗剤容器(図示せず)内の食器用洗剤が水に溶け出す。
【0043】
次に、運転制御部11は、ヒータ2cを作動させて洗浄槽2に溜められた水(洗浄水)を加熱するとともに、洗浄・排水ポンプ2fを正転させて洗浄槽2に溜められた洗浄水を洗浄ノズル2bから噴射する。これにより、洗浄水が洗浄槽2内で循環されて食器類Wが洗浄される。
【0044】
次に、運転制御部11は、所定時間T
w(=t
1−t
0)が経過した時点で、洗浄・排水ポンプ2f及びヒータ2cを停止して洗浄工程を終了する。このとき、温度センサ2dの検出温度は70℃付近まで上昇している。尚、洗浄工程において、洗浄・排水ポンプ2f及びヒータ2cを作動させて洗浄槽2に収容された食器類Wを洗浄する構成が、本発明の洗浄手段に相当する。
【0045】
[2−2.水すすぎ工程]
水すすぎ工程では、運転制御部11は、まず、ヒータ2cを停止した状態で、洗浄・排水ポンプ2fを逆転させて洗浄槽2の排水を行う。次に、運転制御部11は、給水用電磁弁4aを開弁して洗浄槽2に所定量の水を溜め、給水用電磁弁4aを閉弁する。
【0046】
次に、運転制御部11は、洗浄・排水ポンプ2fを正転させて洗浄槽2に溜められた水(常温の水)を洗浄ノズル2bから噴射する。これにより、常温の水が洗浄槽2内で循環され、洗浄ノズル2bから噴射される水によって食器類Wがすすがれる。次に、運転制御部11は、常温の水の循環を所定時間行った後、洗浄・排水ポンプ2fを逆転させて排水を行う。
【0047】
そして、運転制御部11は、洗浄槽2に常温の水を溜め、前記水を循環させて食器類Wをすすぐことを所定回数行い、所定時間T
r1(=t
2−t
1)分が経過した時点で、洗浄・排水ポンプ2fを停止して水すすぎ工程を終了する。このとき、温度センサ2dの検出温度は、常温付近まで低下している。
【0048】
[2−3.加熱すすぎ工程]
加熱すすぎ工程では、運転制御部11は、まず、給水用電磁弁4aを開弁して洗浄槽2に所定量の水を溜め、給水用電磁弁4aを閉弁する。
【0049】
次に、運転制御部11は、ヒータ2cを作動させて洗浄槽2に溜められた水を加熱するとともに、洗浄・排水ポンプ2fを正転させて洗浄槽2に溜められた水(温水)を洗浄ノズル2bから噴射する。これにより、温水が洗浄槽2内で循環されて食器類Wがすすがれる。そして、運転制御部11は、所定時間T
r2(=t
3−t
2)分が経過した時点で、洗浄・排水ポンプ2f及びヒータ2cを停止して、加熱すすぎ工程を終了する。このとき、温度センサ2dの検出温度は70℃に到達している。
【0050】
[2−4.乾燥工程]
乾燥工程では、運転制御部11は、まず、洗浄・排水ポンプ2fを逆転させて洗浄槽2の排水を行う。
【0051】
次に、運転制御部11は、乾燥ファン6を作動させて洗浄槽2内を乾燥させることにより、食器類Wを乾燥させる。このとき、運転制御部11は、温度センサ2dの検出温度が乾燥設定温度T
Aを下回らないようにヒータ2cを間欠動作させる。そして、運転制御部11は、所定時間T
d(=t
4−t
3)分が経過した時点で、乾燥ファン6及びヒータ2cを停止して乾燥工程を終了する。乾燥工程の実行時間T
dは、後述する乾燥時間設定部12により設定される。尚、乾燥工程において、乾燥ファン6及びヒータ2cを作動させて洗浄槽2に収容された食器類Wを乾燥させる構成が、本発明の乾燥手段に相当する。
【0052】
[3.槽内洗浄運転]
次に、運転制御部11により実行される槽内洗浄運転について説明する。槽内洗浄運転を実行するときには、食器カゴ2a内部の前記洗剤容器内に食器用洗剤が収容されていない状態とする。
【0053】
運転制御部11は、使用者によって槽内洗浄剤投入ボタン10cが操作され、スタート/一時停止スイッチ10bが操作されると、槽内洗浄剤投入器10eに予め収容された槽内洗浄剤を洗浄槽2に投入し、続いて、槽内洗浄運転を実行する。槽内洗浄運転は、例えば、「槽内洗浄工程」→「水すすぎ工程」→「加熱すすぎ工程」→「乾燥工程」という一連の工程により実行される。
【0054】
槽内洗浄工程は、食器用洗剤に代えて槽内洗浄剤を用いて、洗浄水を70℃まで加温すること以外は、食器洗浄運転の洗浄工程と同一であり、洗浄・排水ポンプ2f及びヒータ2cを作動させて槽内洗浄剤を含む洗浄水を洗浄槽2内で循環させることにより、洗浄槽2内に付着した石灰質成分や汚れ等を除去する。
【0055】
尚、洗浄・排水ポンプ2f及びヒータ2cを作動させて洗浄槽2内に付着した石灰質成分や汚れ等を除去する構成が、本発明の槽内洗浄手段に相当する。
【0056】
槽内洗浄工程において、洗浄槽2に溜める水量を食器洗浄運転の洗浄工程よりも多くすることにより、洗浄槽2に付いた貯水時の水位の跡を消すようにしてもよい。また、槽内洗浄工程において、洗浄・排水ポンプ2fの正転中に乾燥ファン6を間欠作動させることにより、洗浄槽2の隅々まで洗浄水が行き渡るようにしてもよい。
【0057】
水すすぎ工程、加熱すすぎ工程及び乾燥工程は、食器洗浄運転の水すすぎ工程、加熱すすぎ工程及び乾燥工程と同一である。
【0058】
運転制御部11は、槽内洗浄運転を完了時に、食器洗浄運転のカウント値13aを0に戻す。また、運転制御部11は、食器洗浄機1が新品である状態から槽内洗浄運転を初めて実行したとき、槽内洗浄運転を完了時に槽内洗浄運転実行フラグ13bをONにする。
【0059】
本実施形態では、使用者によって槽内洗浄剤投入ボタン10c及びスタート/一時停止スイッチ10bが操作されたときに、槽内洗浄剤投入器10eに予め収容された槽内洗浄剤を洗浄槽2に投入し、続いて、槽内洗浄運転を実行するとしているが、予め、使用者が食器カゴ2a内部の前記洗剤容器に槽内洗浄剤を入れておき、槽内洗浄剤投入ボタン10c及びスタート/一時停止スイッチ10bが操作されたときに、槽内洗浄剤の投入は行わずに槽内洗浄運転のみを実行する構成であってもよい。
【0060】
[4.乾燥工程の実行時間の設定]
次に、
図4に示したフローチャートに従って、乾燥時間設定部12による乾燥工程の実行時間(乾燥時間)T
dの設定処理について説明する。
【0061】
運転制御部11により食器洗浄運転の乾燥工程が実行されるときに、乾燥時間設定部12は、乾燥時間T
dを設定する。
【0062】
乾燥時間設定部12は、STEP1で、食器洗浄機1において過去に槽内洗浄運転が実行されたことがあるか否か、すなわち、槽内洗浄運転実行フラグ13bがONであるか否かを判断し、1度も実行されたことがない場合にはSTEP2に進み、1度でも実行したことがある場合にはSTEP5に進む。
【0063】
乾燥時間設定部12は、STEP2で、食器洗浄機1が新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数がN回(例えば30回)以下であるか否か、すなわち、食器洗浄運転のカウント値13aがN以下であるか否かを判断し、N回以下である場合にはSTEP3に進み、N回を超える場合にはSTEP4に進む。
【0064】
乾燥時間設定部12は、STEP3で、乾燥時間T
dをT
d_1(T
d_1は例えば80分)に設定し、処理を終了する。
【0065】
乾燥時間設定部12は、STEP4で、乾燥時間T
dをT
d_2(T
d_2<T
d_1であり、T
d_2は例えば60分)に設定し、処理を終了する。
【0066】
乾燥時間設定部12は、STEP5で、食器洗浄機1において直近の槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数がN回(例えば30回)以下であるか否か、すなわち、食器洗浄運転のカウント値13aがN以下であるか否かを判断し、N回以下である場合にはSTEP6に進み、N回を超える場合にはSTEP7に進む。
【0067】
乾燥時間設定部12は、STEP6で、乾燥時間T
dをT
d_1に設定し、処理を終了する。
【0068】
乾燥時間設定部12は、STEP7で、乾燥時間T
dをT
d_2に設定し、処理を終了する。
【0069】
本実施例の食器洗浄機1では、過去に槽内洗浄運転が実行されたことがなく且つ新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数がN回以下であるか、又は、直近の槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数がN回以下である場合には、食器洗浄運転の乾燥工程は、乾燥時間T
d=T
d_1(80分)の間実行される。このため、食器洗浄機1は、石灰質成分の洗浄槽2や食器カゴ2a等への付着量が少なく洗浄槽2内が乾燥し難いときでも、食器類Wを十分に乾燥させることができる。
【0070】
また、食器洗浄機1では、過去に槽内洗浄運転が実行されたことがなく且つ新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数がN回を超えるか、又は、直近の槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数がN回を超える場合には、食器洗浄運転の乾燥工程の実行時間は、T
d=t
d_2(60分)に短縮される。このため、食器洗浄機1は、石灰質成分の前記付着量が多く洗浄槽2内が乾燥し易いときには、食器の十分な乾燥を確保しつつ乾燥工程における無駄なエネルギー消費を抑制することができる。
【0071】
[5.他の実施形態]
本実施形態では、槽内洗浄運転として、食器洗浄運転とは異なる工程を実行する食器洗浄機1について説明しているが、本発明は、槽内洗浄運転として、食器用洗剤に代えて槽内洗浄剤を用いる以外は食器洗浄運転と同一の工程を実行する食器洗浄機についても適用可能である。
【0072】
また、本実施形態では、食器洗浄運転と槽内洗浄運転との両方を実行する食器洗浄機1について説明しているが、本発明は、食器洗浄運転を行うが槽内洗浄運転は行わない食器洗浄機についても適用可能である。この場合には、乾燥時間設定部12は、
図4のSTEP1を行わずに、STEP2〜4の処理によって、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数に応じて乾燥工程の実行時間を設定する。
【0073】
また、本実施形態では、本発明の「乾燥工程の実行時間を、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定する」構成として、
図4に示したように、新品である状態からの食器洗浄運転の実行回数がN回を超えたときに、乾燥工程の実行時間を短くする構成を用いたが、他の構成を用いてもよい。例えば、新品である状態からの食器洗浄回数の実行回数に反比例させて、乾燥工程の実行時間を短縮する構成としてよい。本発明の「槽内洗浄運転が実行されてからの食器洗浄運転の実行回数が多くなるに従って短縮するように設定する」構成についても同様である。