【実施例1】
【0029】
以下本発明の一実施例としての液体燃料燃焼装置を図面により説明する。
【0030】
図1は液体燃料燃焼装置の一例であるファンヒーターの内部構成図であり、本体1内には、灯油等の液体燃料を加熱気化する気化器2と、気化器2で発生した気化ガスを燃焼するバーナ3と、本体1に着脱自在な給油タンク4と、給油タンク4から供給された燃料を貯留する油受皿5と、油受皿5上に載置され気化器2へ燃料を汲み上げる電磁ポンプ6を備えている。
【0031】
また、本体1の背面には本体1内部に空気を供給する送風機7が取付けられていて、バーナ3での燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機7から供給される空気と混合されて温風となり本体1の前面から排出されることで室内の暖房が行われる。
【0032】
図2は、燃焼装置の動作を制御する制御部の構成を示すブロック図である。マイコンからなる制御部8の入力側には、室温を検知する室温検知手段9、バーナ3での燃焼状態を検知する炎検知手段10、給油タンク4が本体1に装着されているかを検知するタンク検知手段11、使用者がボタンの操作を行う操作部12が接続されており、操作部12には運転の開始および停止を指示する運転ボタン13や温度を設定する温度設定ボタン14などが設けられている。
【0033】
そして制御部8は、室温検知手段9が検知した室温と温度設定ボタン14の操作によって設定された設定温度との差から燃焼量を決定してバーナ3での燃焼を制御する燃焼制御手段15、送風機7の駆動を制御する送風機制御手段16を備えており、送風機制御手段16はバーナ3の燃焼が停止した後も送風機7の駆動を継続するアフターランを行うためのアフターラン制御手段17を有している。
【0034】
アフターラン制御手段17は、アフターランにおける送風機7の回転数を設定する回転数設定手段18と、アフターランを行う時間を設定するアフターラン時間設定手段19と、アフターランの開始とともに起動し経過時間を計時するタイマ手段20を備えている。
【0035】
また、制御部8の出力側には、点火手段21、電磁ポンプ6、気化器2、送風機7が接続されており、燃焼制御手段15が決定した燃焼量に基づき、これらの部品の動作が制御されて室温が設定温度になるように燃焼が行われる。
【0036】
次に、上述の構成におけるファンヒーターの動作について説明する。
【0037】
操作部12に設けられた運転ボタン13の操作により運転開始が指示されると、気化器2のヒータへ通電が行われ気化器2の加熱が開始される。気化器2が加熱されて液体燃料を気化することのできる温度まで上昇すると、電磁ポンプ6が始動して油受皿5内の液体燃料を汲み上げ、液体燃料が気化器2に供給される。
【0038】
気化器2に供給された液体燃料は、加熱気化されて気化ガスとなり、気化器2の先端に設けられた噴出口からバーナ3に向けて噴出される。バーナ3に向けて噴出された気化ガスは、噴出された際のエジェクタ効果により周囲の空気を一次空気として取り込むため、バーナ3内部で気化ガスと一次空気とが混合されて混合ガスとなる。この混合ガスはバーナ3から噴出して、点火手段21により点火され燃焼が開始される。
【0039】
燃焼開始に伴い、送風機7の駆動も開始される。送風機7の回転によって本体1内に取り込まれた空気は一部が二次空気として火炎に供給されて火炎が完全燃焼し、燃焼によって発生した排ガスは、本体1内に取り込まれた空気と混合されて温風となり本体1前面より排出される。
【0040】
燃焼が開始されると、炎検知手段10により燃焼状態が監視され、また燃焼制御手段15は室温検知手段9が検知する室温と設定温度との差から燃焼量を決定し、この燃焼量に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる燃料の量が制御され、送風機7は送風機制御手段16により回転数が制御されて燃焼が継続される。
【0041】
また、運転ボタン13の操作により運転停止が指示されると、電磁ポンプ6の駆動が停止して気化器2への燃料の供給が停止する。そして、気化器2はヒータへの通電が停止されると同時に噴出口が閉塞されるので気化ガスの噴出が停止し、これによりバーナ3の燃焼が停止する。
【0042】
このようにしてバーナ3の燃焼が停止すると、送風機制御手段16は所定時間送風機7の駆動を継続して本体1内部を冷却するアフターラン(第1アフターラン)を行う。第1アフターランにおいて、アフターラン制御手段17は、回転数設定手段18により送風機7の回転数を第1回転数R1に設定し、アフターラン時間設定手段19はアフターランを継続する時間を第1所定時間T1に設定する。そして、送風機7が回転数R1で駆動開始されると同時にタイマ手段20が起動して計時を開始する。
【0043】
図3は第1アフターランのタイムチャートであって、運転ボタン13の指示により燃焼が停止すると同時に、送風機7の回転数を燃焼停止直前よりも低いR1に変更してアフターランが開始される。本実施例では、運転ボタン13の操作により運転停止が指示された際には、アフターランにおける送風機7の回転数R1を小火力燃焼時の回転数よりさらに低い回転数に設定するようになっており、これによりアフターラン時のモーター音を小さくして騒音として感じられないようにするとともに、冷風感も与えにくくするようになっている。
【0044】
そしてタイマ手段20で計時される時間が第1所定時間T1に達すると、送風機制御手段16は送風機7の駆動を停止させてアフターランが終了する。このようにアフターランを行うことにより、本体1内部を冷却し内部部品の熱による損傷を防止することができる。
【0045】
以上が、運転ボタン13の指示により燃焼が停止した際のアフターラン制御であるが、ファンヒーターにおいては、給油のために給油タンク4を本体1から取り外した際にも燃焼が停止されるようになっている。
【0046】
もし、給油タンク4のキャップの取り付けが不完全であった場合には、給油タンク4を本体1に着脱する際にキャップが外れてしまうおそれがある。また、給油タンク4を取り外して本体1のすぐ傍で燃料を補給するようなことも考えられる。このような場合には燃料が本体にふりかかる可能性があり、燃焼中のバーナ3に燃料がふりかかると火災を発生させる危険性がある。そこで、給油タンク4が本体1に収容されているかどうかをタンク検知手段11で検知し、タンク検知手段11が給油タンク4が本体に収容されていないことを検知した場合には燃焼を停止させる。
【0047】
タンク検知手段11の作動によって燃焼が停止した場合にも、送風機7の駆動を継続するアフターランを行うが、この場合は前述の第1アフターランとは異なる第2アフターランを行う。
【0048】
給油タンク4が取り外されたときには、燃焼装置内部の高温となっている部分に燃料が付着する可能性があり、高温部分に燃料が付着すると発火するおそれがあるため、快適性よりも安全性を重視する制御が要求される。そこで、第2アフターランの送風機7の回転数を第1アフターランの回転数よりも高く設定する。第1アフターランの回転数よりも高い回転数とすることで本体1内部の冷却を早めて、速やかに発火を回避することのできる温度まで低下させるとともに、気化ガスが充満していた場合には素早く気化ガスを本体外に排出する。
【0049】
第2アフターランにおいて、アフターラン制御手段17は、回転数設定手段18により送風機7の回転数を第1アフターランの回転数R1よりも高い第2回転数R2に設定し、アフターラン時間設定手段19は第2所定時間T2を設定する。送風機7の回転数が高ければ冷却に要する時間は短くなるため、第2所定時間T2は第1所定時間T1よりも短い時間を設定することができる。そして、送風機7が回転数R2で駆動開始されると同時にタイマ手段20が起動して計時を開始する。
【0050】
図4は第2アフターランのタイムチャートであり、タンク検知手段11が作動して燃焼が停止すると同時に、送風機7の回転数をR2に変更してアフターランが開始される。そして、タイマ手段20で計時される時間が第2所定時間T2に達するまでアフターランを継続する。
【0051】
本実施例では、第2アフターランの間は回転数を一定にして送風機7の駆動を行っているが、第1アフターランの回転数よりも高い回転数であれば、
図5のように徐々に低下するようにしてもよい。その場合も第2所定時間T2は第1所定時間T1よりも短い時間に設定することができる。
【0052】
このように、給油タンク4が取り外されたため燃焼が停止した場合には、燃焼装置内部の高温となっている部分に燃料が付着する可能性があり、高温部分に燃料が付着すると発火するおそれがある。そのため、タンク検知手段11が作動して燃焼が停止したときは、送風機7の回転数を高く設定したアフターラン(第2アフターラン)を行うことで、発火の危険を確実に回避して安全性を向上させることができる。一方、運転ボタン13による運転停止指示に基づき燃焼を停止させる場合には、送風機7の回転数を低く設定したアフターラン(第1アフターラン)を行うことで使用者の快適性を損なわない運転を行うことができる。
【0053】
また、燃焼停止後もタンク検知手段11は給油タンク4が本体1に装着されているかを検知している。運転ボタン13の操作により運転停止が指示されると、燃焼が停止して第1アフターランを行うが、第1アフターランでは送風機7の回転数が低く設定されているため本体1内部の温度が低下するまでには時間が必要となる。そのため第1アフターランの途中で給油タンク4が取り外されてしまうと、タンク検知手段11が作動して燃焼が停止したときと同様に火災が発生する危険性がある。そこで、バーナ3での燃焼が停止してからタンク検知手段11が作動した場合にも送風機7の回転数を上げるようになっている。
【0054】
図6はこのときの動作を示すタイムチャートであって、運転ボタン13の指示により燃焼が停止すると、送風機7の回転数をR1に変更して第1アフターランが開始されるが、この第1アフターランの実施中にタンク検知手段11が作動すると送風機4の回転数がR2に変更される。回転数をR2に上げることにより、本体1内部の冷却を早めて、速やかに発火を回避することのできる温度まで低下させる。図では送風機7を回転数R2で駆動する時間をT2’としているが、この時間は一定でもよいし、第1アフターランを開始してからタンク検知手段11が作動するまでの時間によって可変するものであってもよい。また、第1アフターランを開始してからある程度の時間が経過し、すでに本体1の温度が発火を回避できる温度まで低下している場合には、タンク検知手段11が作動しても回転数を上げずに第1アフターランを継続することとしてもよい。
【0055】
ところで、第2アフターラン実施中に運転開始操作が行われることもあるが、高い回転数R2で送風機7が駆動されているときに着火動作を行うと着火ミスが起こり易くなってしまう。そこで、回転数R2で送風機7が駆動されている間、すなわち第2アフターランを開始してから第2所定時間T2が経過する前に運転開始が指示されたときには送風機7は回転数を下げるように制御される。なお、送風機7の回転数を下げるように指示しても送風機7は惰性で回転を続けるため、実際の回転が設定した回転数になるまでにはある程度の時間を必要とする。そのため、送風機7の回転数を下げてから所定時間経過した後に点火動作を開始する。
【0056】
また、第2アフターランを開始してから第2所定時間経過した後は送風機7の駆動を停止させているが、実際に送風機7が回転を停止するまでにはやはりある程度の時間が必要となる。そこで、第2所定時間経過後に運転開始が指示された場合には、送風機7の回転が着火ミスを起こさない回転数に下がるのを待ってから着火動作を行う。