特許第6138163号(P6138163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138163
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】マイクロ流体ベースのフローアナライザ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20170522BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20170522BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20170522BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20170522BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20170522BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170522BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C12M1/00 Z
   C12M1/34 B
   G01N15/14 C
   G01N15/14 D
   G01N15/14 G
   G01N21/64 Z
   G01N33/483 C
   G01N37/00 101
   C12Q1/04
【請求項の数】26
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-555375(P2014-555375)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公表番号】特表2015-512615(P2015-512615A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】IB2013050871
(87)【国際公開番号】WO2013114333
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】4067/CHE/2011
(32)【優先日】2012年2月4日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】514197359
【氏名又は名称】センター フォー セルラー アンド モレキュラー プラットフォームズ(シー−シーエーエムピー)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE FOR CELLULAR AND MOLECULAR PLATFORMS(C−CAMP)
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】サイード,タスリマリフ
(72)【発明者】
【氏名】モンダール,スディープ
(72)【発明者】
【氏名】プラバーカル,アニール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルティ,エイチ.
【審査官】 福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−505272(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/099118(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/036083(WO,A1)
【文献】 特開2010−286341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C12Q 1/00−3/00
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザであって、
複数のバッファチャネルのそれぞれがバッファ溶液を運ぶ複数のバッファチャネル、
サンプル溶液を運ぶためのサンプルチャネル、
バッファ溶液およびサンプル溶液を受け取るように構成される、中央流路、ここで、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルが中央流路の入口側で合流して中央流路内に狭い通路を形成して、サンプル溶液が中央流路内を流れる
中央流路に対して直角に配置される、複数の第1励起光チャネル、ここで、複数の第1励起光チャネルのそれぞれがファイバ連結レーザ光源の第1セットに連結されて、サンプル溶液中の細胞を励起し、中央流路を流れて、1または2以上の第1光信号を生成し、ここで、ファイバ連結レーザ光源の第1セットは複数の第1励起光チャネルのそれぞれに結合して、レンズドファイバにおいて終端となっている、
複数の第1受信光チャネル、ここで、複数の第1受信光チャネルのそれぞれがレンズドファイバにおいて終端となっており、複数の第1励起光チャネルのそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置されて、1または2以上の第1光信号の1つを受信しここで、制御フィードバックが複数の第1受信光チャネルから受け取られて、バッファ溶液およびサンプル溶液の流速を、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルが配置される所定の角度に基づいて制御する、
複数の第1検出器、ここで、複数の第1検出器のそれぞれが、第1受信光チャネルのそれぞれに配置され1または2以上の第1光信号の少なくとも1つを検出する、
1または2以上の第2励起光チャネル、ここで、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれが、中央流路に対して所定の角度で配置され、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれが、中央流路を流れるサンプル溶液中の細胞を励起するためのファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結され1または2以上の第2光信号を生成する、
1または2以上の第2受信光チャネル、ここで、1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれがレンズドファイバにおいて終端となっており、中央流路に対して所定の角度で配置されて、1または2以上の第2光信号の1つを受信しここで、1または2以上の第2受信光チャネルの1つは、ファイバブラッググレーティングで構成されて、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれから放出されたレーザ光をフィルタリングする、および
1または2以上の第2検出器、ここで、1または2以上の第2検出器のそれぞれが、1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれに配置され1または2以上の第2光信号の少なくとも1つを検出する、
を含む、前記マイクロ流体フローアナライザ。
【請求項2】
複数のバッファチャンネルおよびサンプルチャネルのそれぞれに連結される少なくとも1つの注入ポンプをさらに含み、少なくとも1つの注入ポンプが、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャンネルの各々を流れるバッファ溶液およびサンプル溶液の流量を制御する、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項3】
複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルが、マイクロ流体チップで構成される、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザであって、複数の第3検出器をさらに含み、複数の第3検出器のそれぞれが、
励起された細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する1または2以上の第1光信号の1つを検出するために中央流路の中心軸および複数の第1励起光チャネルの1つの光軸の交点、および
励起された細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する1または2以上の第2光信号の1つを検出するために中央流路の中心軸および1または2以上の第2励起光チャネルの1つの光軸の交点
に配置される、前記マイクロ流体フローアナライザ。
【請求項5】
複数の第3検出器のそれぞれが、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである、請求項4に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項6】
複数の第1受信光チャネルのそれぞれが配置される所定の角度が、複数の各第1励起光チャネルのそれぞれの光軸に対して±5度である、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項7】
1または2以上の第1光信号および1または2以上の第2光信号が、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項8】
複数の第1検出器のそれぞれによって検出される1または2以上の第1光学信号の1つが、励起される細胞から前方方向に散乱する信号である、請求項7に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項9】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが中央流路に対して直角に配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、1または2以上の第2光信号からの蛍光信号を検出する、請求項7に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項10】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが中央流路に対して45度の角度で配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出する、請求項7に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項11】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが中央流路に対して±45度の角度で配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出する、請求項7に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項12】
複数の第1検出器のそれぞれが、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項13】
1または2以上の第2検出器のそれぞれが、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項14】
1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれおよび1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれが配置される所定の角度が、40度〜90度の範囲である、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項15】
1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれが配置される所定の角度が、40度〜90度の範囲である、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項16】
中央流路から分析後の廃棄サンプルを収集するために少なくとも1つの廃棄物容器(W)をさらに含む、請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザ。
【請求項17】
請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザであって、
複数の第1光検出器のそれぞれおよび複数の第3光検出器のそれぞれによって検出される1または2以上の第1光信号を受信すること、
複数の第2光検出器のそれぞれおよび複数の第3光検出器のそれぞれによって検出される1または2以上の第2光信号を受信すること、および
病理学的検出のために受信した1または2以上の第1光信号および1または2以上の第2光信号を分析すること
が可能な演算器をさらに含む、前記マイクロ流体フローアナライザ。
【請求項18】
請求項1に記載のマイクロ流体フローアナライザであって、バッファ溶液およびサンプル溶液の流速が制御されて、1または2以上の第1および第2光信号の散乱の強度を最大化し、ここで、バッファ溶液が、水、フルオレセイン溶液、血清、リン酸生理食塩水(PBS)および他の生理食塩水バッファから選択される、前記前記マイクロ流体フローアナライザ。
【請求項19】
マイクロ流体フローアナライザを使用する病理学的検出のための方法であって、
複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルの各々を介して、中央流路によってバッファ溶液およびサンプル溶液を受け取ること、ここで、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルが、サンプル溶液が中央流路内を流れるように中央流路内に狭い通路を形成するために中央流路の入口側で合流する、
1または2以上の第1光信号を生成するために複数のファイバ連結レーザ光源の第1セットによって中央流路を流れるサンプル溶液中の細胞を励起すること、ここで、複数のファイバ連結レーザ光源の第1セットが、複数の第1励起光チャネルに各々連結され、ここで、ファイバ連結レーザ光源の第1セットは複数の第1励起光チャネルのそれぞれに結合して、レンズドファイバにおいて終端となっている、
複数の第1検出器によって1または2以上の第1光信号の1つを検出すること、ここで、複数の第1検出器のそれぞれが、複数の第1受信光チャネルのそれぞれに各々配置され、ここで複数の第1受信光チャネルのそれぞれがレンズドファイバにおいて終端となっている、
病理学的検出のために演算器によって検出される1または2以上の第1光信号の1つを受信すること、
1または2以上の第2光信号を生成するために複数のファイバ連結レーザ光源の第2セットによってサンプル溶液中の細胞を励起すること、ここで、レーザ光源に連結される複数の各第2ファイバセットが、1または2以上の第2励起光チャネルに各々連結される、
1または2以上の第2検出器によって1または2以上の第2光信号の少なくとも1つを検出すること、ここで、1または2以上の第2検出器のそれぞれが、1または2以上の各第2受信光チャネルに各々配置され、ここで、1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれがレンズドファイバにおいて終端となっており、ここで、1または2以上の第2受信光チャネルの1つは、ファイバブラッググレーティングで構成されて、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれから放出されたレーザ光をフィルタリングする、および
病理学的検出のために演算器によって検出される1または2以上の第2光信号の少なくとも1つを受信すること
を含む、前記方法。
【請求項20】
バッファ溶液が、水、フルオレセイン溶液、血清、リン酸バッファ生理食塩水(PBS)および他の生理食塩水バッファを含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
サンプル溶液が、血液細胞、培養細胞株からの単一細胞、血清、バクテリア、純粋な液体中の汚染物質および蛍光標識された細胞を含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
1または2以上の第1光信号および1または2以上の第2光信号が、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが、中央流路に対して直角に配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、1または2以上の第2光信号からの蛍光信号を検出する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが中央流路に対して45度の角度で配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
1または2以上の第2受信光チャネルの1つが中央流路に対して±40度の角度で配置されるとき、1または2以上の第2検出器の1つが、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
複数の第1検出器のそれぞれによって検出される1または2以上の第1光信号の1つが、励起される細胞から前方方向に散乱する光信号である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年2月4日に出願されたインド特許出願番号4067/CHE/2011に対して優先権を主張するものであり、その内容全体は、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、マイクロ流体フローアナライザに関する。特に、本開示は、病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は2009年には世界全体で3330万人近くの感染者を有する最も深刻な感染症の1つである。これらの感染者のうち250万人は15歳未満であり、1460万人が抗レトロウイルス療法(ART)を必要としていると推定される。350よりも少ない細胞数を持つ人々は通常ARTを施される。
【0004】
後天性免疫不全症候群(AIDS)患者において、HIVは、CD4細胞の有意な減少を引き起こす。CD4細胞は、体の免疫応答を開始する。ゆえに、AIDSを監視する有効な方法は、HIVの治療の間、患者の血液サンプル中のCD4細胞の割合を測定することである。患者は、疾患の進行を確認するために3〜6ヶ月ごとに監視される必要がある。
【0005】
現在、HIV診断は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)または従来のフローサイトメトリ技術を使用して行われる。ELISAは、HIVを診断するために使用される一般的で定性的な手法であり、それはHIV検出の有効な方法である。従来、フローサイトメータは、免疫応答の間に増加するCD4細胞数によってHIV感染のレベルを測定するために使用される。これらの大きい装置は、それらがメンテナンスの際に高価な化学物質を必要とし、経験豊富な医療専門家が操作し、それらを効果的に維持することが必要とされる点において不利である。このことは、現時点において、エイズ診断を非常に高価で面倒なものにする。
ゆえに、病理学的検出のための費用効果的なシステムおよび技術の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
明細書に記載の方法およびシステムの提供によって従来技術の欠点が克服され、追加の利点が提供される。
【0007】
一態様において、本開示は、病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザを提供する。マイクロ流体フローアナライザは、複数のバッファチャネル、サンプルチャネル、中央流路、複数の第1励起光チャネル、複数の第1受信光チャネル、複数の第1検出器、1または2以上の第2励起光チャネル、1または2以上の第2受信光チャネルおよび1または2以上の第2検出器を含む。複数のバッファチャネルは、バッファ溶液を運ぶように構成され、サンプルチャネルは、サンプル溶液を運ぶように構成される。中央流路は、バッファ溶液およびサンプル溶液を受け取るように構成され、ここで、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルが、サンプル溶液が中央流路内に流れるように中央流路内に狭い通路を形成するために中央流路の入口側で合流する。複数の第1励起光チャネルは、中央流路に対して直角に配置される。複数の第1励起光チャネルのそれぞれは、1または2以上の第1光信号を生成するために、中央流路を流れるサンプル溶液中の細胞を励起するレーザ光源に連結した第1ファイバセットに連結される。複数の第1受信光チャネルのそれぞれは、1または2以上の第1光信号を受信するために、複数の第1励起光チャネルのそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置される。複数の第1受信光チャネルのそれぞれに配置される複数の第1検出器のそれぞれは、1または2以上の第1光信号の少なくとも1つを検出する。
【0008】
1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれは、中央流路に対して所定の角度で配置される。1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれは、1または2以上の第2光信号を生成するために、中央流路を流れるサンプル溶液中の細胞を励起するファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。中央流路に対して所定の角度で配置される1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれは、1または2以上の第2光信号を受信するように構成される。1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の少なくとも1つを検出するために、1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれに配置される。
【0009】
一態様において、本開示は、マイクロ流体フローアナライザを使用する病理学的検出のための方法を提供する。該方法は、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルを各々介してバッファ溶液およびサンプル溶液を中央流路で受け取ることを含み、ここで、複数のバッファチャネルおよびサンプルチャネルは、サンプル溶液が中央流路内に流れるように中央流路内に狭い通路を形成するために中央流路の入口側で合流する。バッファ溶液およびサンプル溶液を中央流路で受け取る際に、中央流路を流れるサンプル溶液中の細胞は、1または2以上の第1光信号を生成するために複数のファイバ連結レーザ光源の第1セットにより励起される。複数のファイバ連結レーザ光源の第1セットは、複数の第1励起光チャネルに各々連結される。1または2以上の第1光信号は、複数の第1受信光チャネルにより受信される。1または2以上の第1光信号を受信する際に、複数の第1受信光チャネルのそれぞれに配置される複数の第1検出器のそれぞれは、1または2以上の第1光信号の1つを各々検出する。検出される1または2以上の第1光信号の1つは、病理学的検出のために演算器に受け取られる。該方法はまた、1または2以上の第2光信号を生成するために複数のファイバ連結レーザ光源の第2セットによりサンプル溶液中の細胞を励起することを含み、ここで、複数のファイバ連結レーザ光源の第2セットは、1または2以上の第2励起光チャネルに各々連結される。1または2以上の第2光信号は、複数の第2受信光チャネルにより受信される。1または2以上の第2信号を受信する際に、複数の第2受信光チャネルのそれぞれに各々配置される複数の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の1つを検出する。検出される1または2以上の第2光信号の1つは、病理学的検出のために演算器に受け取られる。
【0010】
前述の概要は、単なる例示であり、決して限定を意図するものではない。上述の例示的な側面、態様および特徴に加えて、さらなる側面、態様および特徴が、図面および以下の詳細な説明を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の新規な特徴および特性は、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら開示自体、ならびに好ましい使用形態、さらなる目的および利点は、添付の図面と併せて読む場合に以下の例示的な態様の詳細な説明を参照することにより最も良く理解されるであろう。以下、単に例として、1または2以上の態様が、同種の参照番号が同種の要素を表す添付の図面を参照しながら記載される:
【0012】
図1図1は、本開示の一態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの概略設計を示す図である。
図2図2は、本開示の別の態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの例示的な概略設計を示す図である。
図3図3は、本開示の別の態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの例示的な概略設計を示す図である。
図4図4は、本開示の別の態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの例示的な概略設計を示す図である。
図5図5は、本開示の別の態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの例示的な概略設計を示す図である。
【0013】
図6a図6aは、励起される細胞から生成される1または2以上の光信号を示す図である。
図6b図6bは、所定の角度で配置される1または2以上の励起光チャネルを介して細胞が励起されるときに生成される1または2以上の光信号の強度のグラフを示す。
図7図7は、本開示の一態様による病理学的検出のためのシステム図を示す。
図8図8は、励起される細胞から生成される光信号を検出および分析するためのハードウェアシステムのブロック図である。
図9a図9aは、サンプル溶液の入射レーザパルスのグラフを示す。
図9b図9bは、検出されるパルスの振幅が減少している検出されるパルスのグラフを示す。
図10図10は、本開示の例示的な態様に従って検出されるデータのバブル表示のためのユーザインタフェースを示す。
【0014】
図面は、例示のみを目的として、本開示の態様を示す。当業者は、本明細書に示す構造および方法の代替の態様が、本明細書に記載の開示の原理から逸脱することなく採用され得ることを以下の説明から直ちに認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
上記は、以下の開示の詳細な説明をより良く理解できるようにするために本開示の特徴および技術的利点を広く概説した。本開示の特許請求の範囲の主題を形成する本開示の追加の特徴および利点は、以下に説明する。開示された概念および特定の態様は、本開示と同じ目的を実行するために他の構造に変更および設計するための基礎として直ちに利用できることが当業者には理解されるべきである。また、かかる同等の構成が、添付の特許請求の範囲に記載されたようなとおりの開示の精神および範囲から逸脱しないことも、当業者によって理解されるべきである。その機構および操作方法の両方に関し、本開示の特性であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的および利点とともに、添付の図面と関連して考慮すると、以下の記載からより良く理解されるだろう。しかしながら、図面のそれぞれは例示および説明のみを目的として提供され、本開示を制限する定義として意図していないことが明確に理解されるべきである。
一態様において、本開示は、病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザを提供する。
【0016】
図1は、本開示の一態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの概略設計を示す。マイクロ流体フローアナライザは、複数のバッファチャネル(B1、B2)、サンプルチャネル(S)、中央流路(C)、廃棄物容器(W)、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)、複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)、複数の第1検出器(図示せず)、1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F4a)、1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F4b)および1または2以上の第2検出器(図示せず)を含む。複数のバッファチャネル(B1およびB2)のそれぞれは、バッファ溶液を運ぶように構成され、およびサンプルチャネル(C)は、サンプル溶液を運ぶように構成される。バッファ溶液は、限定されないが、水、フルオレセイン溶液、血清、リン酸生理食塩水(PBS)および他の生理食塩水バッファを含む。サンプル溶液は、限定されないが、血液細胞、培養細胞株からの単一細胞、血清、バクテリア、純粋な液体における汚染物質および蛍光標識された細胞を含んでもよい。中央流路(C)は、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)各々からバッファ溶液およびサンプル溶液を受け取るように構成される。複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、サンプル溶液が中央流路(C)内に流れるように中央流路(C)内に狭い通路を形成するため中央流路(C)の入口側で合流する。サンプルチャネル(S)のための狭い通路は、サンプル溶液中の各細胞に直線的な動きをさせる。一態様において、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、マイクロ流体チップ中に構成される。廃棄物容器(W)は、中央流路から分析後のサンプルを収集するために中央流路(C)の出口側に構成される。
【0017】
一態様において、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)各々を通って流れるバッファ溶液およびサンプル溶液の流れを制御するために注入ポンプに連結される。複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)それぞれに連結される注入ポンプは、演算装置に接続される。複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれは、中央流路に対して直角に配置される。複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれは、ファイバ連結レーザ光源の第1セットに連結される。ファイバ連結レーザ光源の第1セットは、レンズドファイバで終端となる。複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)のそれぞれは、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置される。一態様において、複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)のそれぞれが配置される所定の角度は、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれの光軸に対して±5度の角度である。
【0018】
複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第1セットは、中央流路(C)を流れるサンプル溶液(S)中の細胞を励起する。励起される細胞は、1または2以上の第1光信号を生成する。1または2以上の第1光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである。複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)のそれぞれは、励起される細胞によって生成される1または2以上の第1光信号を受信する。
【0019】
一態様において、複数の第1検出器のそれぞれは、複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)のそれぞれに配置される。複数の第1検出器は、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである。FR3に配置される第1検出器は、1または2以上の第1光信号の1つを検出する。第1光検出器によって検出される1または2以上の第1光学信号の1つは、励起される細胞から前方方向に散乱する信号である。FR3に配置される第1検出器は、検出される1または2以上の第1光信号の1つを演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために励起される細胞から前方方向に散乱する信号を分析する。励起される細胞から前方方向に散乱する信号の強度は、細胞サイズまたは直径にほぼ比例する。FR4に配置される第1検出器は、1または2以上の第1光信号の1つを検出する。第1光検出器によって検出される1または2以上の第1光信号の1つは、励起される細胞から前方方向に散乱する信号である。FR4に配置される第1検出器は、検出される1または2以上の第1光信号の1つを演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために励起される細胞から前方方向に散乱する信号を分析する。複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)からの制御フィードバックは、順に、バッファ溶液およびサンプル溶液の流量を制御するシリンジポンプを制御するために使用される。
【0020】
一態様において、1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F4a)のそれぞれは、中央流路(C)に対して所定の角度で配置される。例えば、F1は、中央流路(C)に対して直角に配置され、F4aは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置される。1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F4a)のそれぞれは、サンプル溶液中の細胞を励起するためにファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結される。ファイバ連結レーザ光源の第2セットは、レンズドファイバで終端となる。第2励起光チャネルF1は、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結され、第2励起光チャネルF4aは、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結される。1または2以上の第2励起光チャネルF1およびF4aのそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第2セットは、1または2以上の第2光信号を生成するためにサンプル溶液中の細胞を励起する。1または2以上の第2光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである。
【0021】
1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F4b)のそれぞれは、1または2以上の第2光信号を受信する。1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F4b)のそれぞれは、中央流路(C)に対して所定の角度で配置される。F2は、中央流路(C)に対して直角に配置され、F4bは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置される。F1およびF2の両方の光軸は同一である。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2検出器をさらに含み、1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F4b)のそれぞれに配置される。複数の第2検出器は、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである。1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の1つを検出する。F2に配置される第2検出器は、励起される細胞から放出される蛍光信号を検出し、検出される蛍光信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために蛍光信号を分析する。F4bに配置される第2検出器は、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出し、検出される信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を分析する。一態様において、1または2以上の第2受信光チャネルの1つは、1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F4a)のそれぞれから放出されたレーザ光をフィルタリングするために、ファイバブラッググレーティングで構成される。例として、F2はファイバブラッググレーティングで構成される。
【0022】
図2は、本開示の別の態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの概略設計を示す。マイクロ流体フローアナライザは、2つのバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)を含む。バッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、中央流路(C)の入口側で合流する。マイクロ流体フローアナライザは、中央流路(C)に対して直角に配置される複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)を含む。複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第1セットは、1または2以上の第1光信号を生成するために、中央流路(C)を流れるサンプル溶液中の細胞を励起する。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第1光信号を受信するために、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置される複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)を含む。光チャネルFR1、FR2、FR3およびFR4を使用するマイクロ流体フローアナライザによる病理学的検出の方法は、図1に示すとおりである。
【0023】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2励起光チャネルを含む。この態様において、マイクロ流体フローアナライザは、中央流路に対して所定の角度で配置される単一の第2励起光チャネル(F1)を含む。例えば、F1は、中央流路(C)に対して直角に配置される。また、F1は、サンプル溶液中の細胞を励起するためにファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結される。ファイバ連結レーザ光源の第2セットは、レンズドファイバで終端となる。F1に連結されるファイバ連結レーザ光源の第2セットは、1または2以上の第2光信号を生成するために、サンプル溶液中の細胞を励起する。1または2以上の第2光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである。
【0024】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2光信号を受信するための1または2以上の第2受信光チャネルを含む。この態様において、マイクロ流体フローアナライザは、中央流路(C)に対して直角に配置される単一の第2受信光チャネル(F2)を含む。さらに、F1およびF2の両方の光軸は同一である。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2検出器を含み、1または2以上の第2検出器のそれぞれは、第2受信光チャネル(F2)に配置される。複数の第2検出器は、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである。1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の1つを検出する。F2に配置される第2検出器は、励起される細胞から放出される蛍光信号を検出し、検出される蛍光信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために蛍光信号を分析する。一態様において、F2は、第2励起光チャネル(F1)から放出されるレーザ光をフィルタリングするために、ファイバブラッググレーティングで構成される。
【0025】
マイクロ流体フローアナライザはまた、複数の第3検出器を含む。複数の第3検出器のそれぞれは、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する1または2以上の第1光信号の1つを検出するために、中央流路(C)の中心軸および複数の第1励起光チャネルの1つの光軸の交点に配置される。第3検出器は、中央流路の中心軸およびFR2の光軸の交点に配置される。第3検出器は、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する光信号を検出する。第3検出器は、検出される光信号を演算器へ送信し、演算器は、病理学的検出のために励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を分析する。第3検出器のそれぞれは、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する1または2以上の第2光信号の1つを検出するために、中央流路の中心軸および1または2以上の第2励起光チャネルの1つの光軸の交点に配置される。
【0026】
また、もう1つの第3検出器は、中央流路(C)の中心軸およびF1の光軸の交点に配置される。第3検出器は、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する光信号を検出する。第3検出器は、検出される光信号を演算器へ送信し、演算器は、病理学的検出のために励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を分析する。
【0027】
図3は、本開示の一例による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの概略設計を示す。マイクロ流体フローアナライザは、2つのバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)を含む。バッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、中央流路(C)の入口側で合流する。マイクロ流体フローアナライザは、中央流路(C)に対して直角に配置される複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)を含む。複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第1セットは、1または2以上の第1光信号を生成するために、中央流路(C)を流れるサンプル溶液中の細胞を励起する。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第1光信号を受信するために、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置される複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)を含む。光チャネルFR1、FR2、FR3およびFR4を使用するマイクロ流体フローアナライザを用いた病理学的検出の方法は、図1に示すとおりである。
【0028】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F3a、およびF4a)を含む。1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F3aおよびF4a)のそれぞれは、中央流路(C)に対して所定の角度で配置される。F1は、中央流路(C)に対して直角に配置され、F3aおよびF4aは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置される。F1、F3aおよびF4aは、サンプル溶液中の細胞を励起するために、ファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。F1は、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結される。F3aは、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。F4aは、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。複数の第2励起光チャネルF1、F3aおよびF4aのそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第2セットのそれぞれは、1または2以上の第2光信号を生成するために、サンプル溶液中の細胞を励起する。1または2以上の第2光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである。
【0029】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2光信号を受信するために、1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F3b、およびF4b)を含む。例えば、F2は、中央流路(C)に対して直角に配置される。F3bは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置され、F4bは、中央流路(C)に対して±40度の角度で配置される。代替の態様において、図4に示すように、F4bは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置される。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2検出器を含み、1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2受信光チャネル(F2、F3bおよびF4b)のそれぞれに配置される。複数の第2検出器は、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである。1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の1つを検出する。F2に配置される第2検出器は、励起される細胞から放出される蛍光信号を検出し、検出される蛍光信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために蛍光信号を分析する。一態様において、F2は、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれから放出されるレーザ光をフィルタリングするために、ファイバブラッググレーティングで構成される。F3bに配置される第2検出器は、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出し、検出される信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を分析する。F4bに配置される第2検出器は、励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を検出し、検出される信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために励起される細胞からの前方方向以外のすべての方向に散乱する信号を分析する。
【0030】
図5は、本開示の一例示的態様による病理学的検出のためのマイクロ流体フローアナライザの概略設計を示す。マイクロ流体フローアナライザは、2つのバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)を含む。バッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)は、中央流路(C)の入口側で合流する。マイクロ流体フローアナライザは、中央流路(C)に対して直角に配置される複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)を含む。複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第1セットは、1または2以上の第1光信号を生成するために、中央流路(C)を流れるサンプル溶液中の細胞を励起する。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第1光信号を受信するために、複数の第1励起光チャネル(FR1、FR2)のそれぞれの光軸に対して所定の角度で各々配置される複数の第1受信光チャネル(FR3、FR4)を含む。光チャネルFR1、FR2、FR3およびFR4を使用するマイクロ流体フローアナライザによる病理学的検出の方法は、図1に示すとおりである。
【0031】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F3aおよびF4a)を含む。1または2以上の第2励起光チャネル(F1、F3aおよびF4a)のそれぞれは、中央流路(C)に対して所定の角度で配置される。F1は、中央流路(C)に対して直角に配置され、F3aおよびF4aは、中央流路(C)に対して45度の角度で配置される。F1、F3aおよびF4aは、サンプル溶液中の細胞を励起するために、ファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。F1は、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットと連結される。F3aは、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。F4aは、レンズドファイバで終端となるファイバ連結レーザ光源の第2セットに連結される。複数の第2励起光チャネル(F1、F3aおよびF4a)のそれぞれに連結されるファイバ連結レーザ光源の第2セットのそれぞれは、1または2以上の第2光信号を生成するために、サンプル溶液中の細胞を励起する。1または2以上の第2光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および励起される細胞から放出される蛍光信号の少なくとも1つである。
【0032】
マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2光信号を受信するために、1または2以上の第2受信光チャネルを含む。この態様において、マイクロ流体フローアナライザは、中央流路(C)に対して直角に配置される単一の第2受信光チャネル(F2)を含む。マイクロ流体フローアナライザは、1または2以上の第2検出器を含み、1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2受信光チャネルのそれぞれに配置される。1または2以上の第2検出器は、ファイバ連結インジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器、シリコン−光電子増倍管(Si−PMT)ベースの光検出器、シリコンベースの光検出器およびシリコンアバランシェフォトダイオードの少なくとも1つである。1または2以上の第2検出器のそれぞれは、1または2以上の第2光信号の1つを検出する。F2に配置される第2検出器は、励起される細胞から放出される蛍光信号を検出し、検出される蛍光信号を演算器へ送信する。演算器は、病理学的検出のために蛍光信号を分析する。一態様において、F2は、1または2以上の第2励起光チャネルのそれぞれから放出されるレーザ光をフィルタリングするために、ファイバブラッググレーティングで構成される。
【0033】
一態様において、励起される細胞から前方方向に散乱する信号は、サンプル溶液中の細胞の大きさおよび生存率に関する情報を提供する。励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号は、粒度などの細胞の表面の粗さおよび内部構造に関する情報を提供する。蛍光信号は、細胞に染色される特異的マーカーを定量化するためのものである。
【0034】
図6aは、励起される細胞から生成される1または2以上の光信号を示す。サンプル溶液中の細胞がファイバ連結レーザ光源によって励起されると、細胞は、1または2以上の光信号を生成する。1または2以上の光信号は、励起される細胞から前方方向に散乱する信号および励起される細胞から前方方向以外のすべての方向(直角方向)に散乱する信号である。生成される1または2以上の光信号は、ファイバ連結レーザ光源と同じ波長を有することになる。図6bに示すように、生成される1または2以上の光信号の強度は、低角度で高く、高角度で低くなる。励起される細胞から前方方向に散乱する信号の強度は、細胞の大きさまたは直径にほぼ比例し、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号の強度は、細胞内の粒状構造の量または細胞表面の複雑性にほぼ比例する。
【0035】
一態様において、励起される細胞から前方方向に散乱する信号(FS)、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号(LS)が、血液試料中のヒトリンパ球、単球および顆粒球を区別するために使用される。リンパ球はより小さく粒状で、低いFSおよびLSを示す。好中球は大きく粒状で、高いFSおよびLSを示す。単球はリンパ球および好中球の中間を示す。
【0036】
図7は、本開示の一態様による病理学的検出のためのシステム図を示す。システムは、マイクロ流体フローアナライザ、レーザ電子機器、演算装置、検出器およびポンプ電子機器および複数の注入ポンプを含む。マイクロ流体フローアナライザは、複数のバッファチャネル(B1、B2)、サンプルチャネル(S)、中央流路(C)、廃棄物容器(W)および中央流路(C)に対して所定の角度で配置される複数の光チャネル(FR1、FR2、FR3、FR4、F1、F2、F4aおよびF4b)を含む。複数の注入ポンプのそれぞれは、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)のそれぞれに連結される。注入ポンプは、複数のバッファチャネル(B1、B2)およびサンプルチャネル(S)各々を通って流れるバッファ液およびサンプル溶液の流れを制御する。
【0037】
複数の注入ポンプのそれぞれは、検出器およびポンプ電子機器によって制御され、検出器とポンプ電子機器は、分析のための必要なバッファ溶液およびサンプル溶液を提供する。FR1およびFR2は、中央流路(C)を流れるサンプル溶液中の細胞を励起するために使用され、励起される細胞は、1または2以上の第1光信号を生成する。FR3およびFR4は、励起される細胞によって生成される1または2以上の第1光信号を受信するために使用される。F1およびF4aは、中央流路(C)を流れるサンプル溶液中の細胞を励起するために使用され、励起された細胞は、1または2以上の第2光信号を生成する。F2およびF4bは、励起される細胞によって生成される1または2以上の第2光信号を受信するために使用される。レーザ電子機器は、ファイバ連結レーザ光源の第1セットおよびファイバ連結レーザ光源の第2セットを含む。ファイバ連結レーザ光源の第1セットは、レンズドファイバで終端となり、FR1およびFR2に連結され、ファイバ連結レーザ光源の第2セットは、レンズドファイバで終端となり、F1およびF4aに連結される。
【0038】
レーザ電子機器は、サンプル溶液中の細胞を励起するために使用されるレーザの波長を制御する。少なくとも1つの第1光検出器は、1または2以上の第1光信号の少なくとも1つを検出するためにFR3およびFR4に配置される。検出される1または2以上の光信号の少なくとも1つは、演算装置へ送信される。演算装置は、病理学的検出のために、受信され、検出される信号を分析する。少なくとも1つの第2光検出器は、1または2以上の第2光信号の少なくとも1つを検出するためにF2およびF4bに配置される。検出される1または2以上の第2光信号の少なくとも1つは、演算装置へ送信される。演算装置は、病理学的検出のために、受信され、検出される信号を分析する。検出器およびポンプ電子機器は、第1および第2光検出器を制御する。
【0039】
図8は、励起される細胞から生成される光信号を検出および分析するためのハードウェアシステムのブロック図を示す。一例として、マイクロ流体フローアナライザは、励起される細胞から生成される1または2以上の光信号の1つを検出するために光検出器としてアバランシェフォトダイオード(APD)を使用する。検出される光信号がアナログであることから、検出される光信号は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を介して分析するためにフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または演算装置に提供される。APDからの検出されるアナログ光信号は、ADCによってデジタルデータに変換され、FPGAに提供される。アナログ−デジタル変換器(ADC)のサンプリングレートは、FPGAによって制御可能であり、72MHzに設定される。FPGAは、レーザドライバおよびAPDへのバイアス電圧の供給を制御する。APDは、デジタル−アナログ変換器(DAC)を介してFPGAに接続される。APDのバイアス電圧は、典型的には、30V〜70Vの範囲であり、誤検出を最小にしながら、検出器の感度を最大にするためにFPGAによって制御される。レーザドライバは、レーザ光源の波長をサンプル溶液に入射するように制御する。5ボルトの電力供給がADCに提供され、3.3ボルトの電力供給がDACおよびAPDバイアスに提供される。
【0040】
APDは、より良好な感度を得るために、検出器として使用される。トランスインピーダンス増幅器は、入射電力を電圧に変換するために使用される。レーザドライバは、2つのチャネルを有し、それぞれがパルス動作中に適切な電流を供給する能力があり、比較的低い電流での2つの異なるレーザか、または高電力での単一レーザの動作を可能にする。レーザドライバチップを組み込むことによってオペレーティングレーザの数をさらに増加させることができる。レーザ光源からの入射光が散乱し、細胞に付着した分析物が蛍光を発する。散乱する信号は、受信光チャネルによって拾われ、その後、1または2以上の検出器に供給される。検出器に到達する光は、APDにおいて比例的な電流の流れを引き起こす。トランスインピーダンス増幅器は、電流を比例的な電圧に変換する。アナログ−デジタル変換器(ADC)のサンプリングレートは、FPGAによって制御可能であり、本態様において72MHzに設定される。APDのバイアス電圧は、典型的には30V〜70Vの範囲であり、それが誤検出を最小にしながら、検出器の感度を最大にするためにFPGAによって制御される。
【0041】
一態様において、APDバイアス電圧は、第2ゲートパルス電圧の印加によりさらに引き上げられる。一態様において、ゲートパルス電圧は、励起レーザ光源から誘導される。別の態様において、ゲートパルス電圧は、FPGAによって生成される。励起信号およびゲート検出の変調は、ジグナル・ノイズ比を増加させるのに役立つ。
【0042】
一態様において、マイクロ流体フローアナライザは、サンプルおよびシース液の速度を調整することにより、サンプルの流量を監視および制御する。マイクロ流体フローアナライザは、低電力の赤外線レーザを作動させ、レーザを変調するために正弦波信号を生成する。光は、励起光チャネルから直線に配置される受信光チャネルによって検出される。また、検出される光は、正弦波的に変調される。電子ローパスフィルタは、光学ノイズを除去し、得られた正弦波信号は混合器に送られる。混合器では、正弦波信号は、DC電圧を生成するために別の正弦波信号と掛け合わされる。励起光が細胞によって収集ファイバから遮断されるとき、DC電圧が低下する。DC電圧は、比較器を使用して閾値電圧と比較され、比較器の出力がマイクロコントローラに送られる。光ファイバの二組目は、流体チャネルのさらに下流に配置され、また、その回路からのDC電圧は、マイクロコントローラに送られる。マイクロコントローラは、2つの比較器信号の間の時間差を測定し、細胞の速度を計算するクロックを有している。マイクロコントローラは、細胞の速度が一定になるように、バッファおよびサンプル溶液の流量を変化させる。
【0043】
一態様において、マイクロ流体フローアナライザは、励起レーザをオン/オフし、励起される細胞から前方方向に散乱する信号、励起される細胞から前方方向以外のすべての方向に散乱する信号および蛍光信号を検出する。マイクロ流体フローアナライザは、高出力パルスレーザに適した高電流ドライバで構成される。マイクロ流体フローアナライザ内のマイクロコントローラは、光パルスを生成するためにレーザを脈打たせる電流のパルスを生成するために高電流ドライバに送信されるデジタルパルスを発生する。同時に、マイクロ流体フローアナライザは、別のパルスの3つのコピーを生成する。各コピーは、3つの検出器のゲートパルスとして機能する。各検出器のゲートパルスは、光パルスが検出器に当たると同時に検出器に送られる。各検出器の出力は、比較器に供給され、電圧は閾値電圧と比較される。比較器の出力は、各検出器における信号の存在を記録するマイクロコントローラに送られる。マイクロコントローラは、演算装置へさらなる処理のために情報を送信し、グラフィカル・ユーザ・インタフェースにおいてユーザに提示される。
【0044】
一態様において、パルス発生器、比較器およびアナログ−デジタル変換器は、マイクロコントローラの内部構成要素である。FPGAにおける適用は、APDによって検出されるmVでの出力を計算およびプロットするために、入力としてレーザ出力および平均値を使用する。ファイバに連結されるレーザ光源からの変調された光は、研究中のサンプルおよびバッファ溶液が通過する中央流路(C)に対する入射である。レーザは、図9aに示すようにレーザ駆動回路を使用し、デジタル回路によって制御されて非常に短い時間(〜10nS、1MHzの繰返し率)電力供給される。検出器信号は、アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用してデジタル化される。ADCのサンプリングレートは、FPGAによって設定される。さらに、ノイズの低減が1μsごとにサンプリングされた信号を平均化することによって達成される。パルス幅、電力、および繰り返し時間などのレーザパラメータ、APDバイアス電圧、平均の数は、ユーザインタフェースを介してユーザにより設定される。すべてのサイクルの最大値が出力として送信される。サンプルがレーザビームを通過するとき、光の検出器への到達が遮られ、パルスの振幅が減少し、図9bのユーザインタフェースキャンバスにパターンが示される。
【0045】
一態様において、ファイバブラッググレーティングフィルタは、励起光チャネルおよび受信光チャネルが比較的高い連続的な平均出力のレーザ空洞を形成するために、受信光チャネルに追加される。細胞に付着する分析物は、受信光チャネルにおいて収集された光信号の低下によって検出される。
【0046】
連続的なデータ取得を可能にするために、開始および停止ボタンが図10に示されるユーザインタフェースにおいて提供される。プロットに示したデータは、水をシースと、空気をサンプルと解釈する。レーザが気泡を通過するとき、飽和値からの光の強度の低下がある。図10は、赤外線パルスレーザおよび前方散乱の減少のための単一アバランシェフォトダイオード検出器を使用するマイクロ流体フローアナライザから検出される気泡のデータ表示のためのユーザインタフェースを示す。
【0047】
検出速度および角度は、比較的小さいサイズのサンプルからの高速で散乱する信号を拾うために最適化される。赤外線レーザは、散乱信号と共に蛍光信号を収集するために可視光励起源に置き換えられる。
【0048】
背景で述べた欠点を克服するために、本開示は、蛍光標識された免疫細胞を検出するのみならず、感染のレベルなどの定量的情報を与えるマイクロ流体フローアナライザを提供する。図1に示す本開示のマイクロ流体フローアナライザは、大幅にHIVスクリーニングセンターの設立のためのインフラストラクチャ費用を低減する。本ミニチュアフローアナライザのコストは、おおよそ20〜40万ルピーになるのに対し、従来のフローサイトメータは、500〜1000万の範囲である。今度は、新しいHIVスクリーニングセンターの設立をサポートするインセンティブを政府に提供するであろう。
【0049】
マイクロ流体フローアナライザは、HIV監視のみに使用されるものではなく、非蛍光性の細胞集団のバックグランドから細胞を数える細胞計数のための大学モデルなどの他の多種多様な用途に利用することができ、それゆえ、細胞培養アッセイ、水汚染カウンタなどの環境制御、血球計算および細胞増殖を検出するための腫瘍学的用途に有用である。
【0050】
マイクロ流体フローアナライザは、低コスト、可搬性、必要なサンプルの量が少ない、使いやすさ、メンテナンスの容易さ、改変およびアップグレードの容易さなどの利点を有する。
【0051】
マイクロ流体フローアナライザは、PINフォトダイオードを使用するより安価な検出器技術と共に使用することができる。非線形振動分光法は、細胞の大きさを検出するためにマイクロ流体デバイスと一体化される。
【0052】
現在の技術は、HIV検査で使用するための従来のフローサイトメータの高コストおよび可搬性の欠如の問題に対処しようとするものである。現在の定量的HIV検出技術と比較して、本開示によって得られる実質的な利点がある。
【0053】
最後に、本明細書で使用される言語は、主として読みやすさおよび説明目的のために選択され、本発明の主題を線引きまたは限定するために選択されたものではない。したがって、本発明の範囲はこの詳細な説明によって限定されるものではなく、むしろ、本明細書に基づく本願についての特許請求の範囲すべてによって限定されることが意図される。したがって、本発明の態様の開示は、例示することを意図しているが、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
本明細書中、実質的にあらゆる複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または出願に適切なように、複数形から単数形へおよび/または単数形から複数形へ置き換えることができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明確性の便宜上、本明細書に明示的に記載されてもよい。
【0055】
さらに、本開示の特徴または側面がマーカッシュグループで記載される場合、当業者は、本開示がそれらによってマーカッシュグループのすべての個別のメンバーまたはサブグループのメンバーという意味においても記載していることを認識するであろう。
【0056】
様々な側面および態様が本明細書に開示されるが、他の側面および態様が当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な側面および態様は例示の目的のためであり、限定を意図するものではなく、以下の特許請求の範囲によって示される真の範囲および精神を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b
図10