【実施例】
【0084】
測定方法
別途指摘しない限り、本発明で挙げるパラメータは後述する測定方法に従って測定する。
【0085】
重量中央粒径d
50値
本発明を通じて、d
50は重量による重量中央粒径であり、粒子の50重量%がより粗くまたはより細かくなるような様式で粒子を表している。
【0086】
重量中央粒径は沈降法によって測定した。沈降法は重量測定分野における沈降挙動の分析である。測定は、Micromeritics Instrument Corporation製のSedigraph(商標)5100を用いて行う。方法および機器は当業者に公知であり、充填剤および顔料の粒径を日常的に決定するためによく使用されている。測定は0.1重量%Na4P2O7水溶液中で行う。高速撹拌機および超音波を使用して試料を分散させた。
【0087】
比表面積(BET)
比表面積は、ISO 9277に従って窒素およびBET法を使用して測定した。
【0088】
シャルピー衝撃強さ
シャルピーノッチ付き衝撃強さは、縦方向の押出物から切り出したVノッチ押出試料に対して、179−1:2000に従い、条件1fCおよび1eAによって測定した。測定条件:23℃±2℃および50%±10%相対湿度。試験片は、ISO 3167 Typ Aに記載されているように押出によって作製した。
【0089】
含水率
無機鉱物材料中の含水率は、熱重量分析(TGA)によって決定する。TGA分析方法によって、質量の損失に関する情報が高い精度で提供されるが、TGA分析方法は周知であり、「Principles of Instrumental analysis」,fifth edition,Skoog,Holler,Nieman,1998(first Ed.1992)in Chapter 31,pages 798−800および当業者に公知の他の多くの一般に公知の参考文献に記載されている。本発明において、熱重量分析は、Mettler Toledo TGA 851を使用して、500mg±50mgの試料に基づいて、105℃から400℃の走査温度で、70ml/分の気流中20℃/分の速度にて行った。
【0090】
PVCのK値:PVC溶液の粘度の測定値に基づくPVCの分子量の尺度。K値は通例、35から80の範囲に及ぶ。低いK値は分子量が低いことを示し(加工が容易であるが、特性が劣っている。)、高いK値は分子量が高いことを示す(加工が難しいが、優れた特性を有する。)。概して、特定のPVC樹脂のK値は、樹脂製造者によって、パッケージまたは添付技術データシートのどちらかによって提供されている。
【0091】
Brookfield(商標)粘度
混合物の粘度は、No.5スピンドルを備えたBrookfield(商標)(モデルDV−II+)粘度計を使用して、30℃にて10rpmおよび100rpmで測定した。
【0092】
表面光沢
表面光沢は、ISO 2813:1994に従って、Byk Spectro Guide Sphere Glossを使用して、平面から60°の角度にて測定した。光沢値は、n回の測定の平均値を計算することによって決定する。現在の構成では、n=10である。
【0093】
試験1:試料の作製および試験(剛性PVC)
【0094】
【表2】
【0095】
試験2における比較例の構成要素C1、C1’、C2ならびに本発明の実施例E1およびE2は、当業者に公知の通例の熱間/冷間混合方法を使用して先に混合し、Krauss−Maffei可塑化ユニットL/D 32を装備したGottfert押出ラインにて、スクリュー直径がそれぞれ30mmの異方向回転平行二軸押出機によって押出を行った。
【0096】
試験2:試料の作製および試験
【0097】
【表3】
【0098】
試験1における比較例の構成要素C1、C1’、C2ならびに本発明の実施例E1およびE2は、当業者に公知の通例の熱間/冷間混合方法を使用して先に混合し、Krauss−Maffei KMD 2−90形材押出ラインL/D 22にて、スクリュー直径がそれぞれ90mmの異方向回転平行二軸押出機によって押出を行った。
【0099】
比較例C1、C1’およびC2のCaCO
3は、以下の特徴を有する従来技術のCaCO
3である。CaCO
3は天然起源である。BET表面積は7.9m
2/gであり、平均粒径d
50は0.94μmである。CaCO
3は、当業者に公知であり、US5,533,678またはUS5,873,935に記載されているような粉砕法に従って、湿式粉砕工程中に分散剤を使用して調製し、50重量%/50重量%の量のC
18/C
16の工業用脂肪酸混合物を1重量%用いて処理した。このような工業用脂肪酸混合物は、これのC
18/C
16量を約30重量%−70重量%/70重量%−30重量%まで、ならびにこれの炭素鎖長をC
14からC
20までを変化させることができる。
【0100】
本発明の実施例E1およびE2のCaCO
3は、本発明の方法に従って、ゆえに湿式粉砕中に関連する加工助剤を用いずに調製して、乾燥後に50重量%/50重量%の量のC
18/C
16の工業用脂肪酸混合物を1重量%用いて表面処理した。
【0101】
試験1
E1は、比較例C1と同じ量(8phr)の本発明のCaCO
3によってシャルピー耐衝撃性(ISO 179/1fC)を10%上昇させる。本発明のCaCO
3の量がより多い(16phr)E2では、押出形材のシャルピー衝撃強さ(ISO 179/1fC)は、C1またはC1’のシャルピー衝撃強さよりもなお約10%高く、CaCO
3が同量の16phrである比較例C2より20%も高い。本発明によって提供されるCaCO
3含有率が上昇するにつれトルクが低下するので、プラスの影響を及ぼす押出機のトルクにさらなる変化を見出すことができる。トルクがより低いということは第一に、エネルギー消費がより低いが、押出中のポリマーマトリクスに付与される応力も低いことを意味する。
【0102】
E1(8phr)およびE2(16phr)の60°光沢度[−]は、比較例C1(8phr)およびC2(16phr)よりも、8phrにて約35%、16phrにて約60%と、著しく改善している。さらなる光学特性、例えば白色度(L
*値を参照のこと)は負になるほど影響を受けず、赤色度/黄色度値(a
*/b
*値を参照のこと)は許容範囲内にとどまっているため、本発明によって与えられる全体的な利益が示されている。注目に値するのは、本発明の鉱物充填剤を含む熱可塑性PVC樹脂によって光沢度およびシャルピー衝撃強さが改善されると共に、窓用形材などの最終生成物を形成するときに必要なトルクが低下するように、加工性がより良好になることである。
【0103】
試験2
E1は、比較例C1と同じ量(8phr)の本発明のCaCO
3によって、シャルピー耐衝撃性(ISO 179/1eA)を約100%上昇させる。本発明のCaCO
3の量がより多いと(16phr)、押出形材に対するシャルピー衝撃強さ(ISO 179/1eA)は、C1、C1’およびC2のシャルピー衝撃強さよりもなお100%以上高い。本発明によって提供されるCaCO
3含有率が上昇するにつれトルクが低下するので、プラスの影響を及ぼす押出機のトルクにさらなる変化を見出すことができる。トルクがより低いということは第一に、エネルギー消費がより低いが、押出中のポリマーマトリクスに付与される応力も低いことを意味する。最終的な光学特性、例えば光沢度および黄色度は許容範囲内であるため、本発明によって与えられる全体的な利益が示され、注目に値するのは、物理的特性および光学特性に負の影響を及ぼすことなく、PVCポリマーの少なくとも8phrが充填剤によって置換されることである。
【0104】
E1(8phr)およびE2(16phr)の60°光沢度[−]は、比較例C1(8phr)およびC2(16phr)よりも、8phrにて約30%、16phrにて約10%と、著しく改善している。さらなる光学特性、例えば白色度(L
*値を参照のこと)は負になるほど影響を受けず、赤色度/黄色度値(a
*/b
*値を参照のこと)は許容範囲内にとどまっているため、本発明によって与えられる全体的な利益が示されている。注目に値するのは、本発明の鉱物充填剤を含む熱可塑性PVC樹脂によって光沢度およびシャルピー衝撃強さが改善されると共に、窓用形材などの最終生成物を形成するときに必要なトルクが低下するように、加工性がより良好になることである。
【0105】
本発明の鉱物材料を、1phrから20phrの、好ましくは約5phrから約19phrの、なおさらに好ましくは約6phrから約18phrの、およびなおさらに好ましくは約7phrから約17phrの量で含み、さらに添加剤、例えば安定剤、衝撃改質剤、潤滑剤、加工助剤、顔料およびこれの組合せを先に記載した量で含む熱可塑性PVC樹脂組成物を含む熱可塑性PVCポリマー生成物は、ISO 179/1eAに従って押出試料で測定した80kJ/m
2から150kJ/m
2の、好ましくは100kJ/m
2から140kJ/m
2の23℃におけるシャルピー衝撃強さを有する。
【0106】
本発明の鉱物材料を、1phrから20phrの、好ましくは約5phrから約19phrの、なおさらに好ましくは約6phrから約18phrの、およびなおさらに好ましくは約7phrから約17phrの量で含み、さらに添加剤、例えば安定剤、衝撃改質剤、潤滑剤、加工助剤、顔料およびこれの組合せを先に記載した量で含む熱可塑性PVC樹脂組成物を含む熱可塑性PVCポリマー生成物は、ISO 179/1fCに従って押出試料で測定した50kJ/m
2から80kJ/m
2の、好ましくは50kJ/m
2から70kJ/m
2の23℃におけるシャルピー衝撃強さを有する。
【0107】
「シャルピー衝撃強さ」という用語は、本発明の意味の範囲内で、曲げ衝撃下で試験片を破壊するために必要な単位面積当たりの運動エネルギーを指す。試験片は単純支持ばりとして保持され、振子によって衝撃を受ける。振子によるエネルギー損失は、試験片によって吸収されたエネルギーと等しくなる。
【0108】
本発明による鉱物質を含むさらなる実施形態をここで示す。
【0109】
不飽和ポリエステル樹脂での使用
本発明の鉱物材料は、圧縮成形で主に使用する成形繊維強化ポリエステル材料である、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)またはバルク・モールディング・コンパウンド(BMC)を提供するために、不飽和ポリエステル樹脂に加工される。SMCの製造には、概して2つのステップが必要である。第1のステップは熱硬化性樹脂を提供することより成り、第2のステップ(変換操作)はSMC圧縮として公知であり、熱間プレス成形である。前記変換操作の間に、温度の上昇と機械的圧力との組合せが作用して、金型にSMCが充填され、熱硬化性樹脂が架橋される。
【0110】
長さ2から3cm、直径約100μmのチョップドガラス繊維を含む不飽和ポリエステル樹脂を本発明の鉱物材料と混合すると、シート状延性非粘着性SMCが得られる。充填熱硬化性樹脂の品質は主に、組成物のレオロジーに強く影響を受ける、ガラス繊維と充填不飽和ポリエステル樹脂との接触に依存し、従って本発明の鉱物充填剤の良好な分散能力に依存している。
【0111】
本発明による前記鉱物材料は、好ましくは約0.1μmから約1.5μmの、好ましくは約0.4μmから約1.1μmの、より好ましくは約0.6μmから約0.9μmの、最も好ましくは0.8μmの中央粒径を有する未処理CaCO
3であり、BET/N
2比表面積は該未処理鉱物材料で測定され、3m
2/gから13m
2/gの、好ましくは6m
2/gから10m
2/gの、より好ましくは7m
2/gから8m
2/gの量である。
【0112】
本発明による鉱物材料は、6μm以下の、例えば約5.9μmから約1.8μmの、好ましくは約5μmから約1.8μmの、より好ましくは約4μmから約2.5μmのトップカットd
98を有する。
【0113】
本発明によるCaCO
3の使用量は、約10重量%から約75重量%、好ましくは約15重量%から約60重量%、より好ましくは約20重量%から約50重量%である。ガラス繊維の量は、約5重量%から約45重量%、好ましくは約10重量%から約40重量%、より好ましくは約15重量%から約35重量%含まれる。不飽和ポリエステル樹脂は、約5重量%から約35重量%、好ましくは約10重量%から約30重量%、より好ましくは約10重量%から約20重量%に達する。
【0114】
SMCは、他の化合物、例えば収縮を防止するための添加剤、難燃剤、架橋促進剤、例えば過酸化物、着色料、顔料、導電性材料およびその他多数を通常の量でさらに含んでよい。
【0115】
一実施形態により、不飽和ポリエステル樹脂75kg(Palapreg P18−03、DSM製)、低収縮添加剤50kg(Parapleg H 852−03、DSM製)および本発明による未処理CaCO
3 250kgを混合し、該CaCO
3は1.5μmの平均粒径d
50および6μmのトップカットd
98および3.8m
2/gのBET比表面積を有していた。該配合物のBrookfield(商標)粘度を2時間後、30℃にて10rpm(回転/分)および100rpmでNo.5スピンドルを使用して測定し、表3にまとめる。
【0116】
【表4】
【0117】
本発明のCaCO
3を含む充填不飽和ポリエステル樹脂のBrookfield(商標)粘度は、ペーストの非常に良好な品質を示し、結果として、不飽和ポリエステルペーストによるガラス繊維の良好な濡れ効果をもたらした。前記ガラス繊維充填不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形後に得られたSMCおよびBMCは、高い表面品質および良好な機械特性を与えた。
【0118】
可撓性ポリウレタンフォームでの使用
本発明の鉱物材料で可撓性ポリウレタンフォームを作製した。
【0119】
ポリウレタンフォームは概して、水の存在下でポリオールをイソシアネートと反応させて可撓性ポリウレタンフォームを形成するステップを含む方法によって調製される。ポリオールとしては、例えばプロピレンオキシドまたはエチレオキシドをグリセリン、トリメチロールプロパンまたはジエチレングリコールに添加することによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられるが、ベースとなるポリオールの種類は重要ではない。ポリオールは好ましくは10から100の、好ましくは20から80の、より好ましくは30から55のOH値を有する。
【0120】
可撓性ポリウレタンフォームにおける本発明による鉱物材料を良好に分散させるために、本発明の鉱物材料を他の成分と混合する前にポリオールマトリクス中に導入する。
【0121】
上述の方法で使用される鉱物材料は、いずれかの天然もしくは合成炭酸カルシウムまたは大理石、チョーク、ドロマイト、カルサイト、石灰石、マグネシウムヒドロキシド、タルク、石膏、チタン(IV)ジオキシドまたはこれの混合物を含む群より選択される材料を構成する炭酸カルシウムであることができる。
【0122】
本発明による前記鉱物材料は、好ましくは約0.1μmから約1.5μmの、好ましくは約0.4μmから約1.1μmの、より好ましくは約0.6μmから約0.9μmの、最も好ましくは0.8μmの中央粒径を有する未処理CaCO
3であり、BET/N
2比表面積は未処理鉱物材料で測定され、3m
2/gから13m
2/gの、好ましくは4m
2/gから12m
2/gの、より好ましくは5m
2/gから10m
2/gの、なおさらに好ましくは6m
2/gから9m
2/gの、なおさらに好ましくは7m
2/gから8m
2/gの量に達する。本発明の方法によって得た前記未処理鉱物材料は、6μm以下の、例えば約5.9μmから約1.8μmの、好ましくは約5μmから約1.8μmの、より好ましくは約4μmから約2.5μmのトップカットd
98を有する。
【0123】
本発明によるCaCO
3の使用量は、約10重量%から約75重量%、好ましくは約15重量%から約60重量%、より好ましくは約20重量%から約45重量%である。
【0124】
一実施形態により、可撓性ポリウレタンフォームは、表4に示す成分を混合することによって調製した。
【0125】
【表5】
【0126】
可撓性ポリウレタンフォームの調製は以下の手順に従って行った:
220ml密閉式ガラス瓶中に、トルエンジイソシアネート(TDI)を最低6時間にわたって室温で保管した後に秤量した。秤量後、瓶を閉め、室温にて保管した。
【0127】
800mlポリエチレン瓶中に、以下の成分、界面活性剤、ポリオール、水、アミン触媒、スズベース触媒を記載順に秤量した。これらの試薬はすべて、取扱う少なくとも6時間前に室温にて保管したことに留意されたい。
【0128】
高剪断ディスクを装備したGRENIER−CHARVETミキサを用いてポリエチレン瓶を撹拌した。撹拌は渦が生じるのに十分な速度で行った。
【0129】
ガラス瓶中で先に調製したTDIを次にポリエチレン瓶中にすべて空けて、同時にストップウォッチを作動させた(t=実験の0)。反応媒体を20秒間激しく混合した後、ポリエチレン瓶の中身を正方形(辺20cm)の形の紙箱中に速やかに、また完全に加えた。膨張開始のクリームタイムと、可撓性ポリウレタンフォームの膨張終了時に対応するライズタイムとを測定した。
【0130】
立ち上り終了時に、このように調製したポリウレタンフォーム試料を100℃の通風式オーブンに15分間導入した。硬化終了時に、ポリウレタンフォーム試料を少なくとも24時間保管してから、各種の物理化学および機械特性を測定するために切断した。表5に示す値は、可撓性ポリウレタンフォーム試料5個の測定値の平均である。
【0131】
試験を行って300から500gの間のポリウレタンフォームを得た。フォームの組成物に炭酸カルシウムを導入した場合、炭酸カルシウムはポリオールの後および水の前にポリエチレン瓶に導入されている。本発明のCaCO
3は、組成物への導入前に、組成物で使用するポリオールの一部に分散させた。ポリオール中の炭酸カルシウムの濃度は、40から50重量%の間であった。本実施例で使用した本発明のCaCO
3は、平均粒径d
50=1.4μm、5μmに等しいトップカットd
98および5m
2/gに等しいBET比表面積を有していた。
【0132】
分散物(CaCO
3 45重量%)の粘度をBrookfield(商標)粘度計を用いて23℃に測定すると、3800mPa.sに等しかった。
【0133】
【表6】
【0134】
LLDPEマスターバッチでの使用
本発明の鉱物材料でポリオレフィンのマスターバッチを作製する。特に、処理した形の本発明の鉱物材料を直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)に配合する。LLDPEは約10重量%から約80重量%の量で存在し、本発明の処理済み鉱物材料は約90重量%から約20重量%の量で存在する。好ましくは、LLDPEは20重量%から約50重量%の量で存在し、本発明による処理済み鉱物材料は80重量%から約50重量%の量で存在する。より好ましくは、LLDPEは25重量%から約45重量%の量で存在し、本発明による処理済み鉱物材料は85重量%から約60重量%の量で存在し、最も好ましくは、マスターバッチは30重量%から40重量%のLLDPEおよび70重量%から約60重量%の本発明による処理済み鉱物材料で構成され、中央粒径d
50は未処理鉱物材料で決定されたが、約0.1μmから約1.5μm、好ましくは約0.4μmから約1.1μm、より好ましくは約0.6μmから約0.9μm、最も好ましくは0.8μmの値を有し、BET/N
2比表面積は未処理鉱物材料で測定され、3m
2/gから13m
2/g、好ましくは6m
2/gから10m
2/g、より好ましくは7m
2/gから8m
2/gに達する。
【0135】
鉱物材料は、いずれかの天然もしくは合成炭酸カルシウムまたは大理石、チョーク、ドロマイト、カルサイト、石灰石、マグネシウムヒドロキシド、タルク、石膏、チタン(IV)ジオキシドまたはこれの混合物を含む群より選択される材料を構成する炭酸カルシウムであることができる。
【0136】
上記のようなLLDPEマスターバッチのフィルタ圧値FPVを決定するためにフィルタ圧試験を行い、従来技術の鉱物材料を含むマスターバッチのFPVと比較した。30重量%のLLDPEをキャリア樹脂として使用したマスターバッチの例を表6に示す。
【0137】
本明細書に記載するようなフィルタ圧試験によって、LLDPE中に分散した鉱物材料の本事例におけるフィルタ圧値が得られる。フィルタ圧値FPVは、フィルタ1グラム当たりの圧力の上昇として定義される。この試験は、マスターバッチ中の鉱物材料の分散品質および/または過度に粗い粒子もしくは凝集体の存在を決定するために行う。低いフィルタ圧値は分散が良好で材料が微細であることを示し、高いフィルタ圧値は分散が不良で材料が粗粒または凝集していることを示す。
【0138】
フィルタ圧試験は市販のCollin Pressure Filter Test,Teach−Line FT−E20T−ISで、標準EN 13900−5に従って行った。使用したフィルタタイプは14μmおよび25μmであり、押出を200℃にて行った。
【0139】
試験を行ったマスターバッチは、密度が0.919g/cm
3、190℃におけるMFR
2.16が6.0g/10分の、Dow製のLLDPE(Dowlex 2035 G)30重量%および従来技術による処理済みCaCO
3または本発明の方法に従って作製した処理済みCaCO
3 70重量%で構成されていた。
【0140】
【表7】
【0141】
本発明によるCaCO
3は、マスターバッチを作製した場合に、従来技術1から3のCaCO
3に勝る有益な特性を明らかに示している。孔径14μmのフィルタに対する圧力は、従来技術のCaCO
3によって分散が不良であるためおよび/またはCaCO
3粒子が粗いためにフィルタの目詰まりが起きることを示しているのに対して、本発明によるCaCO
3は目詰まりを起こさないため、該孔径のフィルタによって圧力が著しく蓄積されることもなく、ゆえに好都合な特性である、ポリマーマトリクス中のCaCO
3粒子の分散の改善が良好に示されている。
【0142】
これに加えてさらに、前記充填LLDPEマスターバッチから、当業者に公知の手段によってインフレーションフィルムを作製した。本発明によるCaCO
3を含む前記インフレーションフィルムの試料および従来技術のCaCO
3を含むインフレーションフィルムの試料を以下の表7で比較する。各種量の充填マスターバッチをさらにLLDPE(Dowlex 5056G)と混合して、これらの混合物からインフレーションフィルムを作製した。
【0143】
【表8】
【0144】
70%MB発明は、LLDPE Dowlex 2035G 30重量%および本発明によるCaCO3 70重量%の70重量%マスターバッチを示し、処理済みCaCO
3は0.8μmの中央粒径d
50、3μmのトップカットd
98および6m
2/gのBET比表面積を有する。
【0145】
70%MA PA1は、LLDPE Dowlex 2035 30重量%および従来技術の粉砕表面処理CaCO
3 70重量%の、アクリル系分散剤を含む70重量%マスターバッチを示し、該表面処理剤はステアリン酸であり、該CaCO
3は1.6μmの中央粒径d
50および6μmのトップカットd
98を有する。
【0146】
70%MA PA2は、LLDPE Dowlex 2035 30重量%および従来技術の粉砕表面処理CaCO
3 70重量%の、アクリル系分散剤を含む70重量%マスターバッチを示し、該表面処理剤はステアリン酸であり、該CaCO
3は0.8μmの中央粒径d
50、5μmのトップカットd
98および10m
2/gのBET比表面積を有する。
【0147】
表7の本発明の実施例2、3および6からわかるように、破断時引張強度ならびに落槍衝撃は著しく改善され、同時にフィルム厚は従来技術の比較例4、5および7と比べて低減された。実施例1は非充填のLLDPE Dowlex 5056Gである。
【0148】
言及したLLDPEが唯一のLLDPEというわけではなく、他のLLDPEポリマー同様に、本発明のCaCO
3を含むマスターバッチの製造への使用に好適であることは、本発明の範囲に含まれる。
【0149】
従って本発明のCaCO
3を含むマスターバッチは、インフレーションフィルムだけでなく、パイプ、管またはホースの押出に、シート押出に、次に熱形成するためのキャストフィルムおよび当業者に公知の他の加工品にも使用できる。
【0150】
PPマスターバッチでの使用
本発明による鉱物質のまた別の実施形態をここで示す。本発明の鉱物材料でポリオレフィンのマスターバッチを作製する。特に、処理された形の本発明の鉱物材料は、ポリプロピレン(PP)に配合される。PPは約10重量%から約80重量%の量で存在し、本発明の処理済み鉱物材料は約90重量%から約20重量%の量で存在する。好ましくは、PPは20重量%から約50重量%の量で存在し、本発明による処理済み鉱物材料は80重量%から約50重量%の量で存在する。より好ましくは、PPは25重量%から約45重量%の量で存在し、本発明による処理済み鉱物材料は85重量%から約60重量%の量で存在し、最も好ましくは、マスターバッチはPP 30重量%から40重量%および本発明による処理済み鉱物材料70重量%から約60重量%で構成され、中央粒径d
50は未処理鉱物材料で決定されたが、約0.1μmから約1.5μm、好ましくは約0.4μmから約1.1μm、より好ましくは約0.6μmから約0.9μm、最も好ましくは0.8μmの値を有し、BET/N
2比表面積は未処理鉱物材料で測定され、4m
2/gから15m
2/g、好ましくは6m
2/gから10m
2/g、より好ましくは7m
2/gから8m
2/gの量に達する。
【0151】
好適なPP材料は、これに限定されるわけではないが:Total Petrochemicalsより入手可能な、25g/10分のメルト・フロー・レートを有するPPH 9099ホモポリマーポリプロピレン;Total Petrochemicalsより入手可能な、35g/10分のメルト・フロー・レートを有するPPH 10099ホモポリマーポリプロピレン;Total Petrochemicalsより入手可能な、25g/10分のメルト・フロー・レートを有するLumicene MR 2001ホモポリマーポリプロピレン;LyondellBasellから入手可能な、25g/10分のメルト・フロー・レートを有するMoplen HP462R ポリプロピレン;LyondellBasellから入手可能な、34g/10分のメルト・フロー・レートを有するMoplen HP561R ポリプロピレン;Borealisから入手可能な27g/10分のメルト・フロー・レートを有するHG455FBホモポリマーポリプロピレンを含む市販製品である。
【0152】
鉱物材料は、いずれかの天然もしくは合成炭酸カルシウムまたは大理石、チョーク、ドロマイト、カルサイト、石灰石、マグネシウムヒドロキシド、タルク、石膏、チタン(IV)ジオキシドまたはこれの混合物を含む群より選択される材料を構成する炭酸カルシウムであることができる。
【0153】
上記のようなPPマスターバッチのフィルタ圧値FPVを決定するためにフィルタ圧試験を行い、従来技術の鉱物材料を含むマスターバッチのFPVと比較した。
【0154】
本明細書に記載するようなフィルタ圧試験によって、20g/10分のMFRを有するポリプロピレンホモポリマーであるBorealis HF 136 MOを用いて試験した、分散した鉱物材料の本事例におけるフィルタ圧値が得られる。フィルタ圧値FPVは、フィルタ1グラム当たりの圧力の上昇として定義される。この試験は、マスターバッチ中の鉱物材料の分散品質および/または過度に粗い粒子もしくは凝集体の存在を決定するために行う。低いフィルタ圧値は分散が良好で材料が微細であることを示し、高いフィルタ圧値は分散が不良で材料が粗粒または凝集していることを示す。
【0155】
フィルタ圧試験は市販のCollin Pressure Filter Test,Teach−Line FT−E20T−ISで、標準EN 13900−5に従って行った。使用したフィルタタイプは14μmであり、押出を230℃にて行った。試験したマスターバッチは、25重量%の、25g/10分の230℃におけるMFR 2.16を有するPPで構成されていた。
【0156】
これに加えてさらに、前記充填PPマスターバッチを溶融押出法で使用して、当業者に公知の手段によって繊維およびフィラメントおよび連続フィラメント不織布を形成した。
【0157】
公知の技術、例えば紡糸またはステープルファイバのための連続フィラメント紡績および不織法、例えばスパンボンド製造およびメルトブロー製造により、繊維およびフィラメントは溶融ポリマーを小型オリフィスを通じて押出すことによって形成される。概して、このように形成された繊維またはフィラメントは、次に延伸または伸長されて、分子配向が誘発され、結晶性に影響を及ぼし、結果として直径が縮小され、物性が改善される。
【0158】
スパンメルトは、熱可塑性ポリマーから直接不織ウェブ(布)を製造することの総称である。スパンメルトは2つの工程(スパンレイドおよびメルトインフレーション)および両方の組合せを含む。この方法において、ポリマー細粒が溶融され、溶融したポリマーは、複数の連続ポリマーフィラメントを生成する紡糸口金アセンブリを通じて押出される。次にフィラメントは急冷および延伸され、収集されて不織ウェブを形成する。多少の残存温度によってフィラメントが相互に付着することがあるが、このような付着は結合の主な方法と見なすことはできない。結合ステップによって収集された連続フィラメントのウェブから有用な生成物を形成するために利用できる方法が幾つかあり、該結合ステップとしては、これに限定されるわけではないが、カレンダ加工、水流交絡、ニードリングおよび/または化学薬品もしくは接着剤による結合が挙げられる。スパンレイド法(スパンボンドとしても公知)は、より強度の高い不織布を与えるという利点を有する。第2の成分の同時押出は、通例、追加の特性または結合能力を与えるために、幾つかのスパンレイド法で使用されている。
【0159】
メルトインフレーションウェブ形成において、低粘度ポリマーが紡糸口金を出るときに、高速気流中に押出される。これにより溶融物が散乱され、これを固化して、分解して繊維状ウェブとする。
【0160】
当業者には、方法または異なる方法による布を組合せてある所望の特徴を持つ複合布を製造することが公知である。この例は、SMSとして最も知られている積層布を製造するために、スパンボンドおよびメルトインフレーションを組合せることであり、SMSはスパンボンド布の2枚の外層およびメルトインフレーション布の内層を表すものである。加えて、これらの方法のどちらかまたは両方を、ステープル・ファイバ・カーディング法または不織ステープル・ファイバ・カーディング法から得た接着布と、いずれの構成においても組合せてよい。記載したこのような積層布において、層は概して、上に挙げた結合ステップの1つによって、少なくとも部分的に固化される。
【0161】
ポリプロピレンポリマー樹脂のスパンボンド布を製造するための方法は、当分野において周知であり、市販されている。2つの代表的な方法は、Lurgi法およびReifenhauser法として公知である。
【0162】
Lurgi法は、紡糸口金オリフィスを通じた溶融ポリマーの押出、これに続く新たに形成された押出フィラメントの空気による急冷、ベンチュリ管を通じた吸引による延伸に基づいている。形成の後に、フィラメントをコンベヤベルト上に分配して不織ウェブを形成する。
【0163】
Reifenhauser法は、フィラメントの急冷区域が密閉され、急冷気流が加速されているため、気流中へのフィラメントの連行がより効率的に行われるという点で、Lurgi法とは異なる。
【0164】
上記のシステムにおいて、不織布は概して、約25から40グラム/10分のメルト・フロー・インデックスを有するポリプロピレン樹脂を使用して製造する。Lurgiラインを使用してポリプロピレン不織布を製造した。押出機温度は、230℃から250℃の間である。4個のスピンビームには、溶融ポンプと、それぞれ直径0.8ミリメートルのオリフィス600個を含む紡糸口金が装備されている。押出されたフィラメントから不織布が形成される。コンベヤベルト速度を20メートル/分に調整して、水流交絡を用いて不織ウェブを接合した。水流交絡はスピンレースとしても公知であり、高圧水ジェットを用いて繊維を緩いウェブへと交絡させることにより、前記繊維間の摩擦力によってまとめた布を生成する方法である。幅100cmの最終的な接合不織ウェブは、385g/m
2の布重量を有する。
【0165】
本発明によるCaCO
3を含む前記不織布の試料および従来技術のCaCO
3を含む不織布の試料を以下の表8および9で比較する。各種量の充填マスターバッチをさらなるポリプロピレン(PP HF420FB、Borealis製のMFR 19g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)のホモポリプロピレン)と混合して、これらの混合物から不織布を作製した。
【0166】
測定方法
別段の指示がない限り、本発明で挙げるパラメータは後述する測定方法に従って測定する。
【0167】
フィラメント試料で行った測定
タイター、即ち線密度[dtex]はEN ISO 2062に従って測定してよく、10,000m紡糸1グラムの重量に相当する。25または100メートルの試料を0.5cN/texの予張力で標準リールに巻き付け、分析用天秤で秤量する。次に10,000m紡糸長当たりのグラム数を計算する。
【0168】
靭性は、破断荷重および線密度から計算して、tex(テックス)当たりのセンチニュートン[cN/tex]で表す。試験は動力計で一定の引張速度で行い、本試験に適用可能な規格はEN ISO 5079およびASTM D 3822である。
【0169】
破断荷重および破断時伸び:破断荷重は、紡糸を破断させるために印加が必要とされる力である。これはニュートン[N]で表される。破断時伸びは、紡糸をこれの破断点まで引っ張ることによって生じた長さの増加である。これは紡糸の最初の長さのパーセンテージ[%]として表される。
【0170】
比引張強さは、靭性[cN/tex]と破断時伸び[%]の平方根の積である。
【0171】
不織試料で行った測定
単位面積当たりの布重量または質量[g/m
2]は、EN ISO 9864に従って測定する。
【0172】
ジオテキスタイルの引張特性は、EN ISO 10319に従って、幅200mmおよび長さ100mmの広幅ストリップを引張試験機で使用して測定する。引張強度[kN/m]および最大荷重伸び[%]は縦方向(MD)および横方向(CD)で測定する。EN ISO 10319によるエネルギー値は、引張強度(MD+CD)/2によって計算する。
【0173】
静的貫入抵抗(CBR試験)[kN]は、EN ISO 12236に従って測定する。本方法は、ジオシンセティックスに平端プランジャを押し通すために必要な力を測定することによる貫入抵抗の決定を規定している。
【0174】
【表9】
【0175】
【表10】
【0176】
70%MB発明1は、25g/10分のMFR(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するメタロセンホモポリプロピレンである、Total Petrochemicals製のPP Lumicene MR 2001 28重量%、加工・熱安定剤である、BASF製のIrgastab FS 301 2重量%および本発明によるCaCO
3 70重量%の、70重量%マスターバッチを示し、処理済みCaCO
3は0.8μmの中央粒径d
50、3μmのトップカットd
98および6m
2/gのBET比表面積を有する。
【0177】
70%MB発明2は、MFR 19g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するホモプロピレンである、Borealis製のPP HF420FB 28重量%、加工・熱安定剤である、BASF製のIrgastab FS 301 2重量%および本発明によるCaCO
3 70重量%の、70重量%マスターバッチを示し、処理済みCaCO
3は0.8μmの中央粒径d
50、3μmのトップカットd
98および6m
2/gのBET比表面積を有する。
【0178】
70%MA PA1は、MFR 25g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するメタロセンホモポリプロピレンである、Total Petrochemicals製のPP Lumicene MR 2001 28重量%、加工・熱安定剤である、BASF製のIrgastab FS 301 2重量%および従来技術の湿式粉砕表面処理CaCO
3 70重量%の、70重量%マスターバッチを示し、CaCO
3は1.7μmの中央粒径d
50および6μmのトップカットd
98を有する。
【0179】
70%MA PA2は、MFR 25g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するメタロセンホモポリプロピレンである、Total Petrochemicals製のPP Lumicene MR 2001 28重量%、加工・熱安定剤であるBASF製のIrgastab FS 301 2重量%および従来技術の湿式粉砕表面処理CaCO
3 70重量%の、70重量%マスターバッチを示し、CaCO
3は1.7μmの中央粒径d
50および6μmのトップカットd
98を有する。
【0180】
表8の本発明の実施例2からわかるように、引張特性、とりわけ靭性および比引張強さは、比較例3および5と比べて著しく改善している。表9の本発明の実施例2および4は、比較例5と比べて同じ改善を示している。実施例1は、非充填ポリプロピレンPP HF420FBである。
【0181】
言及したポリプロピレンが唯一のポリプロピレンというわけではなく、他のPPポリマーもしくはPEポリマーまたはPPおよびPEポリマーのミックスが好適であると共に、本発明のCaCO
3を含むマスターバッチの製造に使用されることは、本発明の範囲に含まれる。
【0182】
本発明によるCaCO
3を含むポリプロピレンマスターバッチは、モノフィラメント、テープ、マルチフィラメントの製造に使用できる。このようなフィラメントは、スパンボンド(spundbond)またはメルトインフレーションのどちらかであることが可能であり、下に挙げるような不織物をただちに作製することができる。
【0183】
衛生用品(乳児用紙おむつ、女性用衛生用品、成人失禁用、介護用パッド
拭き取り用品(医療用拭き取り用品、工業用拭き取り用品、家庭用拭き取り用品)
農業用織物(作物保護、キャピラリーマット、温室用遮光材、根用、管理用および種子用ブランケット)
ジオテキスタイル(道路/鉄道建設、ダム/水路ライニング、下水ライニング、土壌安定化、排水施設、ゴルフ場/運動場表面、屋根材、断熱材)
医療用(フェイスマスク、ヘッドウェア、靴カバー、使い捨て衣服、創傷包帯、滅菌補助用具)
濾過(空気フィルタ、液体フィルタ、ティーバッグ、コーヒーフィルタ)
技術用(ケーブルラッピング、フロッピー(登録商標)・ディスク・ライナー)
自動車(ヘッドライナー、断熱ドアパネル、空気フィルタ、バッテリセパレータ、フロア被覆材)
室内装飾材料(人工皮革)
家庭用(壁被覆材、テーブル装飾材、フロア被覆材)
【0184】
コンクリートでの使用
表10は、従来技術の充填剤と比べた標準コンクリート混合物中の各種の量での本発明の鉱物材料の使用を示す。
【0185】
【表11】
【0186】
詳細な実施形態において、本発明のCaCO
3は、0.8μmの中央粒径d
50、3μmのトップカットd
98および6m
2/gのBET表面積を有する未処理天然粉砕CaCO
3であり、EN 196−1規格で定義されているような標準砂SAN099、セメントCEM I 42.5N(CEM099)と、各種量のCaCO
3充填剤と混合したが、CaCO
3充填剤の0重量%、10重量%および15重量%はセメント結合剤の重量に基づいている。コンクリート混合物は、同じ作業性を得るのに適した量の水をさらに含んでいた。本実施例は、添加剤をさらに用いずに調製した。コンクリート混合物は、986mlの同一体積を有する。前記体積は:[砂質量]/[砂密度]+[セメント質量]/[セメント密度]+[水体積]として計算する。
【0187】
もちろん、当分野で周知の他の添加剤を、本発明の範囲を逸脱することなく、コンクリートミックスに添加することができる。例えば水還元剤、遅延剤、加速剤、超可塑剤、腐食阻害剤、顔料、界面活性剤、空気連行剤および当業者に周知の他の添加剤を添加することができる。
【0188】
表10によるコンクリート混合物を調製する方法および結果の評価は、同一出願人の米国特許出願公開US2012/0227632の記載に従って行う。
【0189】
PA1は、1.4μmの中央粒径d
50、5μmのトップカットd
98および5.5m
2/gのBET表面積を有する従来技術の未処理天然粉砕CaCO
3を示す。
【0190】
IN1は、本発明の未処理天然粉砕CaCO3を示し、該CaCO3は0.8μmの中央粒径d
50、3μmのトップカットd
98および6m
2/gのBET表面積を有する。
【0191】
Refは、CaCO
3を全く含まないコンクリート混合物基準を示す。
【0192】
Rcは、同一出願人のUS2012/0227632に記載した方法およびEN 196−1に従って実施した、コンクリート試料の24時間および28日間の養生後の圧縮強度測定値としても公知の、圧縮抵抗を示す。本発明のCaCO
3では、従来技術と比べた安定性は24時間後に、充填剤10重量%では約25%、充填剤15重量%では約270%上昇した。28日後、安定性は、従来技術の充填剤と比べて、充填剤10重量%では約50%、充填剤15重量%では約100%上昇した。