(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
このスプリンクラヘッド1は、ヘッド本体10、フレーム20、弁体30、散水部40及び弁体支持機構50(ボール保持機構60)を備えている。
【0009】
ヘッド本体10は、中心部が開口されている。この開口部11は、後述の放水筒16とともに放水口12を形成する。ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の上側のヘッド本体10の外周部には給水管に接続されるねじ部14が形成されており、また、フランジ13の下側の外周部には、後述するフレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。
【0010】
ヘッド本体10の内側には円筒状の放水筒16が下方に突出して形成されている。また、放水筒16の下端部には、例えば、平らに形成された弁座17が形成されており、弁体30によって塞がれている。この放水筒16の下端部に、弁体30の外周が嵌るような段部を設けるようにしてもよい。なお、ヘッド本体10は、フランジ13の下側の内周部と放水筒16との間に略穴状または略リング状の空間18が形成されており、この空間18には後述のガイドロッド42が収納される。
【0011】
フレーム20は、円筒状に形成されている。フレーム20の上部の内周部にはねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
【0012】
弁体30は、凸状に形成されており、下部にフランジ部31を有し、このフランジ部31で、ヘッド本体10の弁座17を塞いでいる。なお弁座17にはテフロン(登録商標)シートが設けられるか、テフロン(登録商標)コーティングが施される。弁体30の下部中央には凹部32が形成され、後述のセットスクリュー65の頭部が挿入される。弁体30は、後述する弁体支持機構50によって支えられている。
【0013】
散水部40は、デフレクタ41、ガイドロッド42、ストッパリング43(及び弁体30)を備えている。
【0014】
デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されており、その開口部に弁体30の下部が挿入された状態で、弁体30のフランジ部31下面に取り付けられている(固定されている)。また、デフレクタ41には、ガイドロッド42(例えば3本)が挿入される挿入穴41a(例えば3個)が設けられており、ガイドロッド42の下端は、その挿入穴41aから突出した状態でデフレクタ41に固着されている。したがって、これらの弁体30、デフレクタ41及びガイドロッド42は一体的に構成されている。
【0015】
ここで、弁体30へのデフレクタ41の取付状態について詳述する。
弁体30は弁座17と接触し、止水を保つためのフランジ部31と、フランジ部31の下側に突出した、円筒状の脚部とを有しており、この脚部は、その上部がデフレクタ41の中央開口部(穴)よりわずかに小径の溝部となっており、溝部の下側がデフレクタ41の中央開口部の穴径よりもわずかに大径の円筒形状となっている。このため、デフレクタ41は、弁体30への接続箇所(溝部)で、回動可能な状態となっている。
【0016】
ガイドロッド42の上端にはストッパ用の拡径された段部42aが形成されており、ガイドロッド42にはドーナツ状に形成されたストッパリング43が上下動可能なように取り付けられる(
図5参照)。
【0017】
ストッパリング43には、ガイドロッド42を挿通させるための挿通穴(例えば3つ)が設けられており、この挿通穴により、ストッパリング43は、放水動作時に、ガイドロッド42に摺動して係止段部22まで移動可能となるようにガイドロッド42に取り付けられている。見方をかえると、ガイドロッド42は、放水動作時に、ストッパリング43の挿通穴に沿って下方に移動可能となるようにストッパリング43に取り付けられている。なお、この挿通穴は、段部42aより小さく形成されている。このストッパリング43は、通常時は、デフレクタ41上に設置され、フレーム20の高さ方向のほぼ中間であって、フレーム20に設けたスリットに対向する位置に設けられている。なお、このスリットは、必ずしもストッパリング43と対向する位置に設けなくてもよい。
【0018】
通常時は、ストッパリング43の下面は、コイルばね44に押圧されてデフレクタ41の上面にほぼ重なる位置にあるが、放水動作時には、デフレクタ41とガイドロッド42が下降し、ガイドロッド42の上端の段部42aは、ストッパリング43にあたるまで下降する(
図2(c)参照)。ストッパリング43の外径は、フレーム20の係止段部22の内径よりも大きく形成され、放水動作時に、弁体支持機構50が落下すると、ストッパリング43は、コイルばね44に押されてフレーム20の係止段部22まで下降する。
【0019】
なお、コイルばね44は、フレーム20の内周面に接するような大きさ(外径)を有しており、ヘッド本体10の外周部の下方とストッパリング43の外周部との間に設けられており、コイルばね44の設置には大きなスペースがいらないようになっている。
【0020】
ストッパリング43の中央に設けられた穴の内径は、放水筒16の外径よりわずかに大きく形成されている。そしてストッパリング43は、切欠溝を介して内周の一部を上方に折り曲げることで、断面L字形状のガイド部材43aが内周側の例えば3カ所に設けられている。ストッパリング43は降下する際には、このガイド部材43aにより、ヘッド本体10の下部に形成された放水筒16の外周にガイドされる。ストッパリング43がバランスよく降下できるように、ガイド部材43aの数やピッチは適宜設定される。
【0021】
弁体支持機構50は、感熱部51、ボール保持機構60、皿ばね64及びセットスクリュー65を備えている。
感熱部51は、プランジャー52、感熱板53及び断熱材54を備えている。
【0022】
プランジャー52は、円筒状に形成され、下部にフランジ部52aが形成されている。また、フランジ部52aは、その下面が感熱板53下面より突出して形成されている。プランジャー52の内部には、雌ねじ52bが形成され、セットスクリュー65の脚部にある雄ねじがねじ込まれ両者は結合している。プランジャー52の上部からドーナツ状の感熱体(例えば半田等)55が挿入され、プランジャー52のフランジ部52a上に載っている。この感熱体55の上部に、円板状であって、断面クランク型の感熱板53が設けられている。即ち、この感熱板53は、プランジャー52のフランジ部52aに設けられた感熱体55を覆う突部53aと、この突部53aに連続し、ヘッド本体10の軸芯に対して直交する方向に延びた円板部53bとを備えている。そして、感熱板53には、後述するボール保持機構60によって感熱体55を圧縮するように力がかかっている。
【0023】
感熱板53の上部には、ドーナツ状の断熱材54が設けられ、感熱板53で受熱した熱が後述するバランサー63側に逃げないようにしてある。なお、
図1に示されるように、断熱材54と感熱板53との間には、径の大きい別の感熱板71を必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0024】
ボール保持機構60は、ボール61、スライダー62、バランサー63及び皿ばね64を備えている。なお、バランサー63は感熱体55を圧縮する機能を有することからピストンに相当する機能を果たす。
【0025】
ボール61の外周下部は、フレーム20の係止段部22に係止されている。この状態で、ボール61を上から押さえるのがスライダー62であり、スライダー62からボール61に力がかかることで、ボール61には内側に入り込む方向に力が作用する。
【0026】
バランサー63は、ボール61の内側に設けられ、この内側に入りこもうとするボール61の動きを規制する。スライダー62及びバランサー63は、ともに円板状に形成され、中央には貫通穴があり、バランサー63の貫通穴にはプランジャー52が貫通している。プランジャー52の外径は、バランサー63の貫通穴の内径よりもわずかに小さく、両者は結合していない。またスライダー62の貫通穴の内径は、セットスクリュー65の脚部の外径よりもわずかに大きく形成され、両者は結合していない。
【0027】
バランサー63は、貫通穴を有する筒部と、その筒部の上方に設けられた円板部とを組み合わせた形状となっている。バランサー63の外周下部には段部が形成されている。この外周下部の段部は、フレーム20の係止段部22の内周下部にある段部に、当接するように構成されており、バランサー63の下側から外力がかかった場合には、この部分で衝撃を吸収する。また、バランサー63の筒部の下部であって中央の貫通穴の周りには、断熱材54がはまる段部63aが突出し、バランサー63の円板部の上部には、ボール61があたるボール受け用の段部63bが突出して形成されている。
【0028】
スライダー62の外周側下部には凹部62aが形成され、その凹部62aのボール61が接する面は、下方に向かって内側に傾斜するようにテーパー状(傾斜部)に形成されている。
【0029】
上述のように、ボール61には常に内側に移動するように力がかかるので、バランサー63を下方に、またスライダー62を上方に移動させるように力が作用する。従って、感熱体55である半田が溶融して流出すれば、バランサー63が下方に移動し、それに伴って、ボール61が内側に入り込み、フレーム20の係止段部22との係止状態が解除されるので、ボール保持機構60は感熱部51と共に落下する。ボール保持機構60が落下すれば、それに伴って、散水部40を構成する弁体30、ストッパリング43等が落下して、放水が行われることになる。
【0030】
セットスクリュー65は、拡径された頭部と細径の脚部とからなるボルトであって、その脚部の下部がプランジャー52の上部と結合することで、ボール保持機構60としてのバランサー63、スライダー62及び感熱部51を一体化している。
【0031】
皿ばね64は、
図4に示されるように、中央に貫通穴64aのあるものが使用される。そして、中央の貫通穴64aから均等に60°の間隔で放射状にスリット64bが設けられている。またスリット64b間には、貫通穴64cが設けられている。この皿ばね64は、例えば3枚上下方向に組み合わせ、弁体30とスライダー62との間に配置される。なお、この皿ばね64の詳細は後述する。
【0032】
皿ばね64は、貫通穴64a内にセットスクリュー65が挿通されて、弁体30とスライダー62との間に設けられる。つまり、皿ばね64の貫通穴64aは、セットスクリュー65の頭部の外径とほぼ同じか、それより少し大きく形成されている。また、セットスクリュー65の頭部の高さは、積層された複数枚の皿ばね64の自由高さよりも大きく形成されており、皿ばね64を重ね合わせた際にガイドの役割を果たす。セットスクリュー65の頭部の高さが低いと、組立て時に、皿ばね64を必要以上に潰すと機能しなくなることから、そのようなことがない程度にセットスクリュー65の頭部の高さを設定することで、安定した状態で皿ばね64を保持することが可能となる。
【0033】
上記のようなスプリンクラヘッド1には、
図1の状態においては、放水口12の消火水の水圧や部品の組立荷重がボール61に作用し、ボール61は内側(中心側)に移動しようとするが、ボール61は、バランサー63によってその移動が阻止されており、ボール保持機構60はボールを保持している。そして、この状態においては、皿ばね64が弁体30を上方に押圧しており、弁体30がヘッド本体10の放水口12を封止している。このため、スプリンクラヘッド1には、加圧された消火水が供給されるが、消火水は漏れない。また、散水部40は、弁体30にデフレクタ41が固定され、デフレクタ41にガイドロッド42が固定されており、弁体30が放水口12を封止している状態では、ガイドロッド42がヘッド本体10の空間18に収納された状態になっている。
【0034】
次に、
図1のスプリンクラヘッド1の動作を説明する。
図2(a)〜(d)は、スプリンクラヘッド1の動作過程を示した図である。
【0035】
(a)スプリンクラヘッド1の監視状態においては、ヘッド本体10の放水口12には加圧された消火水が供給されており、弁体30には消火水の圧力が加えられている(
図1参照)。火災が発生し、その熱気流が感熱板53に当たると加熱され、感熱板53の熱は感熱体55へ伝播する。そして、感熱体55が周囲から加熱されて溶融し始めると、溶融した感熱体55はプランジャー52と感熱板53(突部53a)との間に形成された隙間から流出してその体積が減少する(
図2(a))。
【0036】
このときバランサー63によって上方から押されたボール61が内側に移動することになるが、ボール61が移動しても弁体30は弁座17に圧接されて、放水口12を塞いだ状態を維持する。これは、皿ばね64の作用によるもので、皿ばね64を複数枚重ねることで、皿ばね64が弁体30によるシールを維持できるだけの所定量のストロークを有するためである。こうしてボール保持機構60が完全に落下するまで弁体30が弁座17から離れるのを防止して、確実に動作できるようにしている。
【0037】
(b)感熱体55が溶融して外部に流出すると、感熱板53は感熱体55の流出量に対応して降下する。感熱板53が降下すると、感熱板53の上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の段部63bを越えて内側に移動し、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれる。それによって、弁体30及び弁体支持機構50は降下する(
図2(b))。
【0038】
(c)弁体30の下に配置されている皿ばね64を含む弁体支持機構50は落下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下する。ガイドロッド42が降下すると、その上部にある段部42aがストッパリング43に係止され、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22に係止され、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる(
図2(c))。なお、この動作の際、ストッパリング43は係止段部22に係止するまではガイドロッド42と共に下降し、ストッパリング43が係止した後にガイドロッド42のみが更に下降する場合もある。
本実施の形態では、放水動作時において、デフレクタ41は、ガイド部材43aによりガイドされながらガイドロッド42と共に下降するので、デフレクタ41の下降動作が円滑に行われる。またストッパリング43をフレーム20の高さ方向のほぼ中間に設けることで、ストッパリング43自体の下降量も減らせるので、放水時の動作がスムーズになる。
【0039】
ところで、ストッパリング43のガイド部材43aは、上方に折り曲げられており、このため、放水時の散水障害となりにくい。この点について説明すると、従来のガイド部材は、下方に折り曲げられていたものがあるが、この場合、ガイド部材の長さが長かったり、太かったりすると、放水時、弁体にあたった水が反射する際など、ガイド部材に水があたって、ガイド部材が散水の障害となっていた。つまり、ガイド部材43aを上方に折り曲げ、放水時における弁体30との距離を離すことで、ガイド部材43aが散水障害となるのを防止できる。
【0040】
(d)以上のようにして弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する(
図2(d))。
【0041】
次に、本発明のスプリンクラヘッドを構成する部品であるプランジャー52、スライダー62及び皿ばね64の特徴部分について、それぞれ詳細に説明する。
【0042】
(プランジャー52)
図3は、プランジャー52の詳細を示した断面図である。
図1のプランジャー52は、上記のように、その先端部が感熱板53よりも下方に突出して設けられている。
図1からその該当部分を抽出すると、
図3に示されるようになるが、何らかの物がスプリンクラヘッド1にぶつかった場合(特に下方から)には、プランジャー52がこのように突出しているので、その物がプランジャー52に当たり、感熱板53に、その物が当たるのが避けられる。プランジャー52は、感熱板53に比べてその剛性が高くなるような部材で構成されているので、変形するおそれがない。このため、プランジャー52が感熱板53に食い込むようなおそれがなく、作動不良が起きない。
【0043】
また、プランジャー52は、その上端部がバランサー63の上端までの長さを有し(
図1参照)、セットスクリュー65がプランジャー52と結合しており、剛性が高くなっている。このため、スプリンクラヘッド1に対して横方向からの外力が加わったとしても、プランジャー52又はセットスクリュー65が変形するおそれがなく、作動不良が起きない。特に、バランサー63の外周下部にある段部は、係止段部22の内周下部にある段部と係止しているので、横方向や下方向からの外力に強く、受けた外力はフレーム20へと伝わる。
【0044】
(スライダー62)
まず、スライダー62、ボール61などからなるボール保持機構60を有するスプリンクラヘッド1に求められる構成について説明する。ボール61がフレーム20の係止段部22から完全に外れる前に、弁体30が弁座17から離れると、作動途中の漏水によって不作動を生じるおそれがあることから、スプリンクラヘッド1には、弁体を支える残存荷重が必要となる。また、残存荷重を確保するためには、スライダー62の下降量(作動ストロークという)を抑える必要がある。このため、従来では、コイルばねのような変位量の大きいばねを使用することで、スライダー62の作動ストロークよりもコイルばねの変位量を大きくして、作動途中の水漏れを防止している。
【0045】
本発明では、スライダー62の形状を変更することで、スライダー62の作動ストロークを小さくし、かつ、皿ばね64の形状を工夫することで、皿ばね自体の変位量を大きくして、嵩張るコイルばねを使わずに済むようにした。
【0046】
ここで、
図1に戻ってスライダー62の形状に着目すると、スライダー62の外周部側の凹部62aのボール61と接する面はテーパーが形成されており、このテーパー面がボール61と接触している。
【0047】
スライダー62はこのような形状が採用されたことにより、ボール61がスライダー62の内側に入り込んでバランサー63に乗り上げるときの、スライダー62の軸方向の移動量(作動ストローク)が、スライダー62の内側に凹部が設けられずに平らになっている場合(従来例)に比べて少なくて済み、このため、皿ばね64に必要な変位量、つまりボール61が係止段部22から完全に外れるまで弁体30を弁座17に圧接しておくために必要なストロークを少なくすることが可能になっている。
【0048】
(皿ばね64)
次に、
図1の皿ばね64について説明する。
図4(a)(b)(c)(d)(e)は、皿ばねの平面図、正面図、側面図、斜視図、及びE−E断面図である。
【0049】
この皿ばね64は、中央に貫通穴64aが設けられており、この貫通穴に連続するように放射状の6本のスリット64bが設けられている。スリット間には、扇型状(三角形状で角が円弧状になった)貫通穴64cが設けられている。
【0050】
この皿ばね64は、上記のように、6本のスリット64bが設けられているが、このスリット64bの個数が例えば4本のように少ないと(従来例)、応力が高くなり皿ばねが割れる、バックリングを起こす、経年変化を起こしやすいという不具合がある。また、スリット64bが10本以上あると(従来例)、荷重不足、撓み量の不足、皿ばねが元の形状に戻らない、という不具合がある。このようなことから、本実施の形態においては、スリット64bの個数を例えば6個にしている。
【0051】
また、スリット64bの間に貫通穴64cが設けられているが、これは、皿ばね64にかかる応力を減らすためである。スリット64bの間に貫通穴64cが無いと、高い応力が発生して皿ばねが割れ、クラックが発生したりするという不具合がある。
【0052】
また、スリット間の貫通穴64cの形状は、三角形で角を円弧状(扇型状)にしているが、これは各部にかかる応力を分散するためである。なお、この貫通穴の形状が、従来のように、長穴や四角であると応力が分散せず、大きな荷重がかかった際、皿ばねが割れることになる。
【0053】
また、上記の皿ばね64の利点を別の観点から説明する。
この皿ばね64は、荷重を受ける部分と、内周部(中心側)に形成される撓む部分とに分けられる。荷重を受ける部分は、皿ばねの外周部(周縁部)が相当し、撓む部分はスリット部の形状が相当する。これらの2つの部分をバランス良く変化させることで、皿ばねを任意の荷重と撓み量にすることが可能になっている。更に、応力を分散させるため、割れたりバックリングが発生したりすることはない。このため、従来の皿ばねでは達成できなかった高荷重と高変位量の2つを両立している。
【0054】
本実施形態においては、皿ばねを、放射状のスリットと、スリット間に設けられる貫通穴とからなる断面形状が蓮根型となるものを使用して、組立荷重と、止水に必要なストロークを確保するようしたが、スプリンクラヘッドに使用される皿ばねの形状は、この形状に限定されない。例えば、組立荷重と止水に必要なストロークを有するもので、かつ耐食性を考慮したものであれば、適時1枚から複数枚の類似の皿ばねを組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0055】
[実施形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係るスプリンクラヘッドの縦断面図であり、
図7は、
図6のスプリンクラヘッドの分解斜視図である。これらの図において、
図1と同一図面符号はその名称及び機能が同一であり、上記の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、
図7はコイルばね44の図示が省略されている。
【0056】
(ヘッド本体10)
ヘッド本体10とフレーム20との結合関係は、ヘッド本体10に雌ねじが設けられ、フレーム20に雄ねじが設けられており、フレーム20の雄ねじがヘッド本体10の雌ねじに係合して両者が結合されている。このため、ヘッド本体10とフレーム20との結合関係において、
図1の実施の形態とは、雄ねじと雌ねじの関係が逆になっている。
【0057】
(弁体30)
スプリンクラヘッドの弁体30は、弁体30の下方にセットスクリュー65の上部が収まる凹部がある点では同じであるが、セットスクリュー65内に挿通された皿ばね64と、弁体30との間には、ワッシャーBが設けられる。ワッシャーBは、所定の厚みを有するドーナツ状の円板である。散水部40のデフレクタ41の下面には、
図5に示すように、ガイドロッド42の下端、及びガイドロッド42と対向する部分の下方に折り曲げられたデフレクタ41の羽(爪)等が出っ張り部分として形成されることから、このワッシャーBを設けることでデフレクタ41の下面の出っ張り部分をワッシャーBの上面でうけて、皿ばね64に均等な力をかけるようにしてある。
【0058】
(散水部40)
スプリンクラヘッドの散水部40は、その基本構成は
図1の実施の形態と同じであるが、コイルばね44が、ヘッド本体10の空間18の上部とストッパリング43との間に装着されており、この点が
図1の例とは相違している。
【0059】
(プランジャー52)
図8は、弁体支持機構50のプランジャー52の断面図である。
弁体支持機構50のプランジャー52は、その先端部が感熱板カバー80よりも下方に突出して設けられている。何らかの物がスプリンクラヘッド1にぶつかった場合(特に下方から)には、プランジャー52がこのように突出しているので、その物がプランジャー52に当たり、感熱板カバー80に、その物が当たるのが避けられる。プランジャー52は、感熱板カバー80に比べてその剛性が高くなるような部材で構成されているので、変形するおそれがない。このため、プランジャー52が感熱板カバー80に食い込むようなおそれがなく、作動不良が起きない。
【0060】
また、プランジャー52は、その上端部がバランサー63の上端までの長さを有し(
図6参照)、セットスクリュー65がプランジャー52と結合しており、剛性が高くなっている。このため、スプリンクラヘッド1に対して横方向からの外力が加わったとしても、プランジャー52又はセットスクリュー65が変形するおそれがなく、作動不良が起きない。特に、バランサー63の外周下部にある段部は、係止段部22の内周下部にある段部と係止しているので、横方向や下方向からの外力に強く、受けた外力はフレーム20へと伝わる。
【0061】
また、プランジャー52は、そのフランジ部52aの下端にテーパー(面取りC面)52fが設けられている。プランジャー52は、フランジ部52aのその下端を、このようなフランジ部52aの上部よりも細径となる形状にしたことにより、下方及び斜め下方からの外力により下端部が仮に変形したとしても、その変形部分が隙間52dを塞いだり、変形によりプランジャー52と感熱板カバー80がかみ合い、結合するおそれがなく、作動性に影響を与えない。
【0062】
(感熱板カバー80)
図9(a)(b)(c)は、感熱板カバー80の平面図、正面図及びC−C断面図である。
感熱板カバー80は、実施形態1の感熱板53をお椀状に形成して、上側にある感熱板71を覆えるようにした点で、実施形態1と異なる。つまり、感熱板カバー80は、下側がお椀状に形成されており、上部が開口し、その中央部にはプランジャーが挿通する開口部80aが形成されている。更に、その周壁には、外気を感熱板71側に取り込むためのスリット状の開口部80bが形成されている。感熱板カバー80は、感熱板71を収納し、その開口部80bはその高さ方向の中央部に感熱板71の周縁部が位置するようにして感熱板71の周縁部が露出するようにし(
図6参照)、熱気流が感熱板71の周縁部に直接触れるように構成されている。このように開口部80bを通過した熱気流が直接当たるように、感熱板71の外径は、フレーム20の係止段部22の内周側の径とほぼ等しい大きなものが使用されている。
【0063】
なお、感熱板71は、
図6及び
図7に示されるように、平板状に形成され、金属製の感熱板カバー80の開口部80aの外側部分を介して感熱体55と熱的に接続されている。そして、感熱板71は、上記のように、感熱板カバー80に収納されている。なお、感熱板71は、感熱体55に熱を伝達することができれば良いので、それが可能であれば、感熱板71が感熱体55に接するのは直接又間接の何れでも良い。
【0064】
感熱板カバー80は、金属部材から構成され、その下部は
図1の感熱板71と同様に感熱体55を包み込むように形成されて感熱体55と接しており(
図6、
図8参照)、感熱板としても機能する。感熱板カバー80は、感熱板71を外力から保護する役割を果たしており、感熱板71と同じ材料を用いた場合にはその厚さを厚くする。例えば、感熱板71の板厚さが0.05mm〜0.1mmの場合には、感熱板カバー80の板厚を0.2mm〜0.3mmにする。
【0065】
なお感熱板カバー80の開口部80bの高さは、開口部80bの下辺が、感熱体55の上面とほぼ同じ高さかまたは、それよりも下側に位置するように設計されており、更に、開口部80bの幅は、ドーナツ状の感熱体55の外径(即ちプランジャー52の外径)より大きく形成されている。これにより、開口部80bを通過した熱気流が感熱体55の加熱を促進するようにしてある。
【0066】
感熱板カバー80は、その開口部80bの面積が大きい程又個数が多い程、感熱板71に対して熱気流を送り込むことができるが、開口部は対向して形成した方が熱気流が流れ易くなることと、開口部と開口部との間に形成される梁(柱)が大きい程外力に耐えられる(強度が強くなる)こととの兼ね合いから、本実施の形態においては、開口部80bは等間隔で4個設けられている。
【0067】
(スライダー62)
図10(a)(b)は、ボール保持機構60のスライダー62の斜視図及び正面図である。?実施の形態1のスライダー62は、平らな板の下面を全周にわたって切削してボール61の接触面である凹部62aを形成したものである。これに対して、本実施形態2のスライダー62は、平らな板をプレス加工したものである。つまりボール61との接触面の部分だけを斜め上方に折り曲げて凹部62aを形成したものである。
【0068】
なお、スライダー62と皿ばね64との間には、ワッシャーAが設けられる。ワッシャーAは、ドーナツ状の薄い円板から構成されている。ワッシャーAを設ける理由は、スライダー62の外周にあるボール61との接触部が上方に折れ曲がっているため、その傾斜に合わせて、皿ばね64とスライダー62との間の距離を保つためのスペーサとして機能させるためである。
【0069】
(皿ばね64)
図11(a)〜(e)は、皿ばね64の平面図、正面図、右側面図、斜視図、E−E断面図である。
この皿ばね64は、外周部64eとそれから中心に向かって突起した突起部64fとから構成されている。外周部64eは荷重を受ける機能を果たし、突起部64fはたわみ(変位量)として機能するように構成されている。突起部64fは、図示のように、ほぼ同じ幅(平行)から成っており、その根元は円弧状に形成されている。突起部64fの先端同士の間隔は、
図4の貫通穴64aの径と同様な長さとなっている。また、この皿ばね64は、中心に向かうに従って高くなるように形成されており、そして、ワッシャーAとワッシャーBとによって挟み込まれるようにして構成されている(
図6参照)。このようにして構成したことにより皿ばね64それ自体の構成と均等な力が加わることにより、従来の皿ばねが例えば3枚必要であったとしても、1枚の皿ばね64で同様な機能を得ることが可能になっている。
【0070】
(セットスクリュー65)
セットスクリュー65の頭部は弁体30の底面の凹部32に収容されている。実施形態1ではセットスクリュー65の頭部外周と弁体30の凹部32の内周の隙間はごく僅かである。しかしながら、本実施形態では大きな隙間32Aが形成されるようにしている(
図6参照)。さらにセットスクリュー65の頭部端面は球面状に形成されており、凹部32の底面とは球面部が接触している。
【0071】
また、セットスクリュー65の頭部に挿通される皿ばね64は外周縁が弁体30側、内周縁がスライダー62側に配置される。
【0072】
これらの構成は、セットスクリュー65が凹部32の内部で傾くことを許容するためのものである。即ち、
図12(b)で示すようにボール保持機構60が傾いて作動した場合に、セットスクリュー65の頭部が球面部であるため、弁体30の凹部32の底面との摩擦抵抗が低減される。またセットスクリュー65の頭部と弁体30の凹部32との間の隙間32Aを設けたことで、凹部32の内部でのセットスクリュー65が傾くことが可能となり、それによりセットスクリュー65がボール保持機構60の傾きに追従しやすくしている。そして皿ばね64が圧縮状態から無荷重状態に復元する際に、ボール保持機構60の傾きを吸収してワッシャーBが傾くことを防止している。これによりセットスクリュー65が傾いても弁体30の閉止状態が維持され、ボール保持機構60がフレーム20から脱落するまでに弁体30が開いて放水筒16からヘッド本体10の水が漏れないようになっている。
【0073】
以上のように構成されたスプリンクラヘッド1は、火災時に熱気流が感熱板71及び感熱板カバー80に当たると、上記の
図2(a)〜(d)と同様に動作して、消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する。
【0074】
次に、実施形態2のスプリンクラヘッド1の動作を説明する。基本的な動作は実施形態1の説明(段落0027〜0030)と同じであるため、実施形態2に固有の構成に基づく動作を中心に説明する。
図12(a)〜(d)はスプリンクラヘッド1の動作過程を示した図である。
【0075】
(a)実施形態1では火災が発生し、その熱気流が感熱板53に当たって加熱されて感熱体55へ伝播する。これに対して本実施形態では、感熱板71及び感熱板カバー80が熱気流に当たって加熱されることで熱を感熱体55に伝播することになる。
そして、感熱体55が溶融し始めると、溶融した感熱体55はプランジャー52と感熱板カバー80との間に形成された隙間から流出してその体積が減少する。
【0076】
このときバランサー63とスライダー62によって上方から押されたボール61は内側に移動する力を受けており、後述するようにバランサー63が感熱板カバー80側へ降下してボール61が移動しても弁体30は弁座17に圧接されて、放水口12を塞いだ状態を維持する。これは、皿ばね64の作用によるもので、皿ばね64は中心に向かうに従って高くなるように形成されており、ワッシャーAとワッシャーBとによって挟み込まれるようにして構成することで、皿ばね64が弁体30によるシールを維持できるだけの所定量のストロークを有するためである。こうしてボール保持機構60が完全に落下するまで弁体30が弁座17から離れるのを防止して、確実に動作できるようにしている。
【0077】
(b)感熱体55が溶融して外部に流出すると、感熱板カバー80は感熱体55の流出量に対応して降下する。感熱板カバー80が降下すると、感熱板カバー80の上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の段部63bを越えて内側に移動し、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれる。それによって、弁体30及び弁体支持機構50が降下する(
図12(b))。
【0078】
(c)弁体30の下に配置されているワッシャーB、皿ばね64、ワッシャーAを含む弁体支持機構50が落下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下する(
図12(c))。
【0079】
(d)ガイドロッド42が降下すると、その上部にある段部42aがストッパリング43に係止され、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22に係止され、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる。
【0080】
以上のようにして弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41を介して散水されて火災を消火する(
図12(d))。
【0081】
実施形態の変形例〔
図13〜
図15〕
本発明の各実施形態においては、ボール、スライダー、バランサーによるボール保持機構を備えた弁体支持機構によって弁体を支持するスプリンクラヘッドで実施形態を説明したが、感熱体である半田を圧縮する一般的なピストンを有するフラッシュ型のスプリンクラヘッド、例えば、一対のアームから弁体支持機構を構成したレバー式のスプリンクラヘッドに本発明を適用するようにしてもよい。
【0082】
また、弁体を、放水筒の下端にある弁座に圧接させたが、弁体は、放水筒の内側に設けるようにしてもよい。
【0083】
なお、ガイドロッドに対して、ストッパリングだけを摺動可能な状態に取り付けたが、デフレクタもガイドロッドに対して摺動可能な状態で取り付けるようにしてもよい。
【0084】
実施形態2の感熱板カバー80の周壁にはスリット状の開口部80bを設ける例を示したが、
図13で示すように開口部80bを設けない感熱板53として構成することもできる。なお、
図13では感熱板71がない実施形態を例示しているが、感熱板71を設けるようにしてもよい。
【0085】
また、実施形態2では感熱板71を備える実施形態を示したが、
図14で示すように感熱板71を備えない実施形態として構成することもできる。
【0086】
前記実施形態ではプランジャー52に孔が形成されており、それが外部に対して開口している例を示したが、
図15で示すように孔を塞ぐ断熱部材81を設けることができる。このようにプランジャー52の孔を塞ぐ断熱部材81を設けることで、プランジャー52の肉厚が薄くなった部分を補強することができ、且つ断熱効果を有することから感度性能も確保することができる。
【0087】
また、断熱部材81はプランジャー52の端面から突出するように設置している。このため下方から物がぶつかる際に最も突出している断熱部材81に当てやすくすることができ、消火時の動作に影響するプランジャー52や感熱板53ができるだけ変形しないようにすることができる。
【0088】
なお、実施形態2のプランジャー52にも
図15で示す断熱部材81を設置してもよい。また断熱部材81は硬質材料、例えば硬質樹脂にて形成することができる。またプランジャー52には、感熱板と感熱板カバーのいずれか一方が設けられればよく、感熱板カバーの形状は椀状に形成されていなくてもよい。