(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸着部移動装置によって前記吸着部を移動させた際に、前記加速度取得部によって取得された加速度に基づいて、前記吸着部の移動によって発生した振動を解析する振動解析部と、
前記振動解析部によって解析された解析結果に基づいて、前記吸着部移動装置を制御して、前記振動を抑制する振動抑制部と、を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の部品装着装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(部品装着装置)
以下に
図1を用いて、部品装着装置100について説明する。
図1に示すように、部品装着装置100は、基板搬送装置10と、部品供給装置20、部品装着部40、制御部50、及びノズル収容部材70を有する。なお、以下の説明において、基板の搬送方向を、X軸方向とする。そして、水平面において、X軸方向と直交する方向を、Y軸方向とする。また、X軸方向及びY軸方向と直交する鉛直方向をZ軸方向とする。
【0021】
部品装着装置100の前部には、スロット22がX軸方向に複数に並設されている。部品供給装置20は、各スロット22に着脱可能に装着される複数のフィーダ21から構成されている。フィーダ21には、リール23が着脱可能に保持されている。リール23は、多数の部品を一列に収容したテープが巻回されている。
【0022】
フィーダ21の内部には、スプロケット(不図示)が回転可能に支承されている。スプロケットの外周部は、テープに形成された送り穴と係合する。フィーダ21には、スプロケットを回転する駆動源であるサーボモータ(不図示)が設けられている。
【0023】
リール23に巻回されたテープは、スプロケットの回転によって1ピッチずつ送り出される。すると、テープに収容された部品が、フィーダ21の先端部に設けられた部品供給部21aに順次供給される。
【0024】
基板搬送装置10は、基板をX軸方向に順次下流側の部品装着装置100に搬送するとともに、搬送された部品装着装置100内における装着位置において、位置決め固定(クランプ)するものである。本実施形態では、基板搬送装置10は、部品装着部40の基台41上に、Y軸方向に2つ並設されている。基板搬送装置10は、一対のガイドレール11a、11bと、一対のコンベアベルト(不図示)を有している。
【0025】
ガイドレール11a、11bは、基台41上に互い平行に対向させてそれぞれ水平に並設されている。一対のコンベアベルトは、一対のガイドレール11a、11b内側に配置されている。一対のコンベアベルトによって、ガイドレール11a、11bによりそれぞれ案内される基板が支持されて搬送される。
【0026】
各部品装着装置100は、基板搬送装置10がX方向に連続されるように互いに隣接して配置されている。そして、各部品装着装置100の基板搬送装置10は互いに連動して作動され、各基板を下流側の基板搬送装置10上に順次送り込んで、所定位置に位置決め保持するようになっている。
【0027】
基板搬送装置10には、取付部12が取り付けられている。取付部12は、その上端に水平面を有する板状又はブロック状であり、透磁力が大きい鉄等の軟磁性材料で構成されている。
【0028】
部品装着部40は、ガイドレール42、Y軸スライド43、Yサーボモータ44、X軸スライド45、Xサーボモータ46(
図8示)、Xサーボアンプ48(
図8示)、Yサーボアンプ49(
図8示)、吸着ノズル65、吸着ヘッド60を有している。
【0029】
ガイドレール42、Y軸スライド43、Yサーボモータ44、及びYサーボアンプ49とから、Yロボットが構成されている。ガイドレール42は、基台41上にY軸方向に装架されて基板搬送装置10の上方に配設されている。Y軸スライド43は、ガイドレール42に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド43は、Yサーボモータ44の出力軸に連結されたボールねじを有するボールねじ機構によってY軸方向に移動される。
【0030】
X軸スライド45、Xサーボモータ46、及びXサーボアンプ48から、Xロボットが構成されている。X軸スライド45は、Y軸スライド43に、X軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド43にはXサーボモータ46が設けられている。このXサーボモータ46の出力軸に連結された図略のボールねじ機構によって、X軸スライド45がX軸方向に移動される。上述のXロボット及びYロボットによって、特許請求の範囲に記載「吸着部移動装置」が構成されている。
【0031】
X軸スライド45には、吸着ヘッド60が着脱可能に取り付けられている。以下に、
図1及び
図2を用いて、吸着ヘッド60及び吸着ノズル65について説明する。
図1に示すように、吸着ヘッド60には、下方に突出する単数又は複数のノズルホルダー61及び撮像装置67が設けられている。ノズルホルダー61に吸着ノズル65が着脱可能に取り付けられる。
【0032】
図2に示すように、ノズルホルダー61は、支持本体部611とノズル装着部615から構成されている。支持本体部611は、内管618と、内管618の外側に内管618と同軸に配置された外管619とから構成されている。内管618と外管619の間は、負圧エアが供給される負圧エア流路612となっている。内管618の内側は、負圧エアが供給されるエア流路613となっている。
【0033】
ノズル装着部615は、支持本体部611の下側に結合されて、下面が平面状である。負圧エア流路612は、ノズル装着部615の下面周辺から下向きに開口するノズル吸着穴616と連通している。また、内側のエア流路613は、ノズル装着部615の下面中央から下向きに開口する供給穴617と連通している。
【0034】
吸着ノズル65は、装着台651、連結部654、吸引部657とから構成されている。装着台651は、円盤状である。装着台651の中央には、上下方向に貫通する供給穴652が形成されている。装着台651は、ノズルホルダー61のノズル装着部615と対向配置される。そして、装着台651の上面がノズル装着部615のノズル吸着穴616に吸着され、装着台651の供給穴652がノズル装着部615の供給穴617と連通するようになっている。
【0035】
連結部654は、筒状である。連結部654は、装着台651の下方に結合され、下向きに延在している。連結部654の内周側には、装着台651の供給穴652と連通するエア流路655が形成されている。
【0036】
吸引部657は、連結部654の下側に、連結部654に対し相対的に上下動するように配置されている。吸引部657の中央には上下方向に貫通する吸着穴658が形成されており、吸着穴658は連結部654のエア流路655と連通している。また、連結部654の内周側には、螺旋状のばね部材659が保持されている。ばね部材659は、装着台651に対して吸引部657を下方に離間する側に付勢している。ばね部材659により、吸引部657が部品に当接しながら吸着する際に連結部654に対して相対的に上昇し、部品に加わる衝撃力が緩和されるようになっている。
【0037】
圧力源80は、吸着ノズル65が部品を吸着及び装着するときの駆動源である。
図2に例示される圧力源80は、真空ポンプ81、及び2個の電磁弁82、83から構成されている。
【0038】
真空ポンプ81の吸入側は負圧となる。この負圧のエアは、連通状態の電磁弁82を介して、ノズルホルダー61の支持本体部611の負圧エア流路612に供給され、さらに、ノズル装着部615のノズル吸着穴616まで供給される。これにより、ノズルホルダー61は、ノズル装着部615に吸着ノズル65を吸着して取り付けることができる。また、電磁弁82により負圧が閉止されると、負圧エア流路612及びノズル吸着穴616は大気に開放される。これにより、吸着ノズル65は、ノズル装着部615からを外れる。
【0039】
さらに、負圧のエアは、連通状態の電磁弁83を介し、固定絞り87を経由して、ノズルホルダー61の支持本体部611のエア流路613に供給される。この負圧のエアは、ノズル装着部615の供給穴617から吸着ノズル65の装着台651の供給穴652及び連結部654のエア流路655を介して、吸引部657の吸着穴658まで供給される。これにより、吸着ノズル65は、吸引部657で部品を吸着することができる。
【0040】
撮像装置67は、吸着ヘッド60の下方を撮像するものであり、制御部50に撮像画像を出力する。
【0041】
制御部50は、部品装着装置100の統括制御を行うものである。制御部50は、CPU、RAM、ROMや不揮発性メモリー等で構成された「記憶部」(いずれも不図示)を有している。CPUは、プログラムを実行する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものである。「記憶部」は上記プログラムを記憶している。制御部50は、フィーダ21、基板搬送装置10、及び部品装着部40の各サーボモータや、真空ポンプ81、電磁弁82、83に指令を出力することにより、これらを制御する。
【0042】
ノズル収容部材70は、部品供給装置20と基板搬送装置10の間に設けられている。本実施形態では、ノズル収容部材70は、着脱可能となっている。ノズル収容部材70の上面には、複数の収容部70aが形成されている。この収容部70aに、複数種類の吸着ノズル65が収容される。Xロボット及びYロボットによって、吸着ヘッド60をノズル収容部材70に移動させることにより、吸着ヘッド60に取り付けられている吸着ノズル65を取り外して収容部70aに収容するとともに、収容部70aに収容された吸着ノズル65を吸着ヘッド60に装着して交換することができる。
【0043】
Yロボット及びXロボットによって、吸着ノズル65が部品供給部21a上に移動され、当該吸着ノズル65が部品供給部21aに供給された部品を吸着する。そして、Yロボット及びXロボットによって、吸着ノズル65が基板搬送装置10上に移動され、吸着ノズル65が基板に部品を装着する。
【0044】
(加速度取得部材)
以下に、
図3を用いて加速度取得部材90について説明する。加速度取得部材90は、本体部91、加速度センサ92、通信部93、バッテリ94、マグネット95から構成されている。本体部91は、ブロック状である。本実施形態では、本体部91は、略円柱形状である。本体部91の上部には、平面である装着面96が形成されている。
【0045】
加速度センサ92は、本体部91に取り付けられ、通信部93と接続している。通信部93は、制御部50と無線又は有線により通信可能に接続され、加速度センサ92で検出された加速度の検出信号を制御部50に送信する。バッテリ94は、通信部93と接続し、通信部93に電力を供給する。
【0046】
図2に示す吸着ノズル65の代わりに、加速度取得部材90がノズルホルダー61に装着される。具体的には、加速度取得部材90の装着面96が、ノズルホルダー61のノズル装着部615と対向配置され、装着面96がノズル装着部615のノズル吸着穴616に吸着され、加速度取得部材90がノズルホルダー61に装着される。加速度取得部材90は、ノズル収容部材70の収容部70aに収容されるようになっている。
【0047】
(第一実施形態の第一固有振動数取得処理)
以下に、
図4に示すフローチャートを用いて、「第一実施形態の第一固有振動数取得処理」について説明する。「第一固有振動数取得処理」は、XYロボットを稼働させた際に発生する、吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65)の固有振動数である「第一固有振動数」を取得する処理である。なお、ノズル収容部材70の収容部70aには、加速度取得部材90が収容されている。「第一実施形態の第一固有振動数取得処理」が開始すると、プログラムは、S11に進む。
【0048】
S11において、制御部50は、X、Yロボットを稼働させて、吸着ヘッド60をノズル収容部材70上に移動させる。次に、制御部50は、撮像装置67でノズル収容部材70の収容部70aのうち吸着ノズル65や加速度取得部材90が収容されてない収容部70aを認識して、当該収容部70aにノズルホルダー61に装着されている吸着ノズル65を取り外したうえで収容する。次に、制御部50は、撮像装置67で収容部70aに収容されている加速度取得部材90を認識し、ノズルホルダー61に加速度取得部材90を装着する。S11が終了すると、プログラムはS12に進む。
【0049】
制御部50は、S12において、X、Yロボットを稼働させて、吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)を加振させとともに、S13において、加速度センサ92からの検出信号に基づいて、吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)の加速度を取得する。S13が終了すると、プログラムはS14に進む。
【0050】
S14において、制御部50は、S13において取得した吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)の加速度に基づいて、吸着ヘッド60の移動に伴う反力によって発生した吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)の振動を解析して、吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)の固有振動数である「第一固有振動数」を演算する。S14が終了すると、プログラムはS15に進む。
【0051】
S15において、制御部50は、S14で演算した「第一固有振動数」を「記憶部」に記憶する。S15が終了すると、プログラムは、S16に進む。
【0052】
S16において、制御部50は、X、Yロボットを稼働させて、吸着ヘッド60をノズル収容部材70上に移動させる。次に、制御部50は、撮像装置67でノズル収容部材70の収容部70aのうち吸着ノズル65や加速度取得部材90が収容されてない収容部70aを認識して、当該収容部70aにノズルホルダー61に装着されている加速度取得部材90を取り外したうえで収容する。次に、制御部50は、撮像装置67で収容部70aに収容されている吸着ノズル65を認識し、ノズルホルダー61に吸着ノズル65を装着する。S16が終了すると、「第一固有振動数取得処理」が終了する。
【0053】
(第二実施形態の第一固有振動数取得処理)
以下に、
図5に示すフローチャートを用いて、「第二実施形態の第一固有振動数取得処理」について説明する。「第二実施形態の第一固有振動数取得処理」は、基板搬送装置10で、ノズル収容部材70の収容部70aに収容されている加速度取得部材90を順次、部品装着装置100内における装着位置に搬送し、各部品装着装置100の「第一固有振動数」を取得する処理である。「第二実施形態の第一固有振動数取得処理」が開始すると、プログラムは、
S110に進む。
【0054】
S110において、制御部50は、基板搬送装置10を稼働させて、ノズル収容部材70を部品装着装置100内における装着位置に搬送して停止する。
S110が終了すると、プログラムは
S111に進む。
【0055】
S111、S112、S113、S114、S115、S116の処理は、それぞれ、
図4に示す「第一実施形態の第一固有振動数取得処理」の
S11、S12、S13、S14、S15、S16の処理と同一である。S116が終了すると、プログラムはS117に進む。
【0056】
S117において、制御部50が、全ての部品装着装置100の「第一固有振動数」を取得したと判断した場合には(S117:YES)、「第一実施形態の第二固有振動数取得処理」を終了させて、全ての部品装着装置100の「第一固有振動数」を取得していないと判断した場合には(S117:NO)、プログラムをS110に戻す。
【0057】
(第一の実施形態の第二固有振動数取得処理)
以下に、
図6に示すフローチャートを用いて、「第一実施形態の第二固有振動数取得処理」について説明する。「第二固有振動数取得処理」は、XYロボットを稼働させた際に発生する、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の固有振動数、つまり、基台41側の固有振動数である「第二固有振動数」を取得する処理である。「第一実施形態の第二固有振動数取得処理」が開始すると、プログラムはS20に進む。S20の処理は、
図4に示す「第一固有振動数取得処理」のS11と同一である。S20が終了すると、プログラムはS21に進む。
【0058】
S21において、制御部50は、X、Yロボットを稼働させて、撮像装置67で取付部12の位置を確認して、吸着ヘッド60を取付部12上に移動させ、ノズルホルダー61に装着されている加速度取得部材90を取付部12に載置する。取付部12は軟磁性材料であるので、加速度取得部材90のマグネット95が取付部12に吸着して、加速度取得部材90が取付部12に取り付けられる。S21が終了すると、プログラムはS22に進む。
【0059】
制御部50は、S22において、X、Yロボットを稼働させて、吸着ヘッド60を加振させることにより、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)を加振させ、S23において、加速度センサ92からの検出信号に基づいて、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の加速度を取得する。S23が終了すると、プログラムはS24に進む。
【0060】
S24において、制御部50は、S23において取得した基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の加速度に基づいて、吸着ヘッド60の移動に伴う反力によって発生した基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の振動を解析して、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の固有振動数である「第二固有振動数」を演算する。S24が終了すると、プログラムはS25に進む。
【0061】
S25において、制御部50は、S24で演算した「第二固有振動数」を「記憶部」に記憶する。S25が終了すると、プログラムは、S26に進む。
【0062】
S26の処理は、
図4に示す「第一固有振動数取得処理」のS16と同一の処理である。S26が終了すると、「第一実施形態の第二固有振動数取得処理」が終了する。
【0063】
(第二の実施形態の第二固有振動数取得処理)
以下に、
図7に示すフローチャートを用いて、「第二実施形態の第二固有振動数取得処理」について説明する。「第二実施形態の第二固有振動数取得処理」は、基板搬送装置10で、ノズル収容部材70の収容部70aに収容されている加速度取得部材90を順次、部品装着装置100内における装着位置に搬送し、各部品装着装置100の「第二固有振動数」を取得する処理である。なお、図示しない搬送板上に加速度取得部材90が収容されたノズル収容部材70が載置され、基板搬送装置10によって搬送板が順次部品装着装置100内における装着位置に搬送される。「第二実施形態の第二固有振動数取得処理」が開始すると、プログラムはS31に進む。
【0064】
S31において、制御部50は、基板搬送装置10を稼働させて、ノズル収容部材70を部品装着装置100内における装着位置に搬送して停止する。S31が終了すると、プログラムはS32に進む。
【0065】
制御部50は、S32において、X、Yロボットを稼働させて、吸着ヘッド60を加振させることにより、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)を加振させ、S33において、加速度センサ92からの検出信号に基づいて、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の加速度を取得する。S33が終了すると、プログラムはS34に進む。
【0066】
S34において、制御部50は、S33において取得した基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の加速度に基づいて、吸着ヘッド60の移動に伴う反力によって発生した基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の振動を解析して、基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の固有振動数である「第二固有振動数」を演算する。S34が終了すると、プログラムはS35に進む。
【0067】
S35において、制御部50は、S34で演算した「第二固有振動数」を「記憶部」に記憶する。S35が終了すると、プログラムは、S36に進む。
【0068】
S36において、制御部50が、全ての部品装着装置100の「第二固有振動数」を取得したと判断した場合には(S36:YES)、「第二実施形態の第二固有振動数取得処理」を終了させて、全ての部品装着装置100の「第二固有振動数」を取得していないと判断した場合には(S36:NO)、プログラムをS31に戻す。
【0069】
(振動抑制部)
次に、
図8に示す振動抑制部200のブロック図を用いて、「振動抑制制御」について説明する。「振動抑制制御」は、X、Yロボットの稼働による吸着ヘッド60の移動に伴う反力によって発生した振動を抑制する制御である。
図8に示すように、振動抑制部200は、位置指令部51、制振制御部52、フィードバック制御部53を有している。位置指令部51、制振制御部52、及びフィードバック制御部53は、制御部50のCPUや「記憶部」に記憶されたプログラムによって構成されているが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成されていても差し支え無い。
【0070】
位置指令部51は、X、Yロボットを稼働させるための「位置指令」を出力する。制振制御部52は、トルク制御部52aと位置制御部52bとから構成されている。トルク制御部52aは、「位置指令」、「第一固有振動数」及び「第二固有振動数」に基づいて、吸着ヘッド60の部位(吸着ノズル65の部位)の振動である「第一固有振動」及び基板搬送装置10の部位(基台41の部位)の振動である「第二固有振動」を低減させるような「フィードフォワードトルク指令」をXサーボアンプ48及びYサーボアンプ49に出力する。
【0071】
位置制御部52bは、「位置指令」、「第一固有振動数」及び「第二固有振動数」に基づいて、「第一固有振動」及び「第二固有振動」を低減させるような「フィードフォワード位置指令」をフィードバック制御部53に出力する。
【0072】
フィードバック制御部53は、「フィードフォワード位置指令」及びXサーボモータ46、Yサーボモータ44から出力された「フィードバック信号」(位置信号)に基づいて、Xサーボモータ46及びYサーボモータ44の位置が「フィードフォワード位置指令」の位置となるような「フィードバックトルク指令」をXサーボアンプ48及びYサーボアンプ49にそれぞれ出力する。
【0073】
Xサーボアンプ48及びYサーボアンプ49は、「フィードフォワードトルク指令」及び「フィードバックトルク指令」からなる「トルク指令」に基づいて、Xサーボモータ46及びYサーボモータ44に供給する駆動電流を生成する。
【0074】
Xサーボモータ46及びYサーボモータ44は、Xサーボアンプ48及びYサーボアンプ49から供給された駆動電流に従って動作する。また、Xサーボモータ46及びYサーボモータ44は、フィードバック制御部53へ「フィードバック信号」を出力する。
【0075】
(本実施形態の効果)
上述した説明から明らかなように、
図3に示す加速度取得部材90(加速度取得部)は、X、Yロボット(吸着部移動装置)によって吸着ヘッド60(吸着部)を移動させた際における、吸着ヘッド60の部位の加速度を取得する(
図4のS13)。これにより、
図4のS14において、制御部50が吸着ヘッド60の部位の加速度を解析することにより、吸着ヘッド60の部位の固有振動数である「第一固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を得ることができる。
【0076】
従来から、X、YロボットのXサーボモータ46、Yサーボモータ47は、フィードバック制御による位置制御が行われている。そして、Xサーボモータ46及びYサーボモータ47のサーボ制御の「フィードバック信号」に応答する振動成分は、フィードバック制御によって、その振動抑制が可能である。しかし、Xサーボモータ46のYサーボモータ47のエンコーダにフィードバックされない振動成分によって、Xサーボモータ46のYサーボモータ47の位置制御が劣化してしまう。そこで、従来では、吸着ヘッド60の振動を確認しながら、X、Yロボットを稼働させた際に吸着ヘッド60が振動しないように部品装着装置100の調整を行っていたため、調整作業に多大な時間を要していた。
【0077】
本実施形態では、上述のように、加速度取得部材90により、「第一固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を容易に得ることができる。このため、当該情報に基づいて、吸着ヘッド60の振動を抑制することができる。
【0078】
また、加速度取得部材90は、吸着ノズル65と交換可能に吸着ヘッド60に取り付けられる。これにより、吸着ノズル65に替えて、加速度取得部材90を吸着ヘッド60に取り付けることにより、容易に吸着ヘッド60の部位の加速度を取得することができる。
【0079】
近年では、多種多様な電子部品を一台の部品装着装置100で基板に装着するニーズがある。そこで、部品装着装置100は、部品種に対応する吸着ヘッド60や吸着ノズル65に替えることにより、多種多様な電子部品に対応している。ここで、上述した「フィードバック信号」に応答しない振動成分は、吸着ヘッド60の種類ごとに異なる。また、部品装着装置100が装着される床や、部品装着装置100の高さによって、振動成分が異なる。このため、部品装着装置100の調整時に、考え得る振動成分を想定して、部品装着装置100の調整を行っていたため、調整作業に多大な時間を要していた。
【0080】
本実施形態では、吸着ヘッド60の種類や、部品装着装置100が装着される床、部品装着装置100の高さが変わったとしても、上述のように、吸着ノズル65に替えて、加速度取得部材90を吸着ヘッド60に取り付けることにより、容易に吸着ヘッド60の部位の加速度を取得することができる。そして、吸着ヘッド60の部位の加速度に基づいて、「第一固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を得て、当該情報に基づいて、吸着ヘッド60の振動を抑制することができる。このため、調整作業に多大な時間を要しない。
【0081】
なお、振動成分が部品装着装置100の稼働期間によって変化する場合には、定期的に、吸着ノズル65に替えて、加速度取得部材90を吸着ヘッド60に取り付けることにより、「第一固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を得ることができ、当該情報に基づいて、吸着ヘッド60の振動を抑制することができる。
【0082】
また、加速度取得部材90は、基台41に一体的に取り付けられた部材である取付部12に着脱可能に取り付けられる。これにより、X、Yロボットを稼働させることにより、加速度取得部材90を容易に取付部12に取り付けることができる(
図6のS21)。このため、吸着ヘッド60が移動された際における基台41側の加速度を容易に取得することがきる(
図6のS23)。そして、制御部50は、
図6のS24において、基台41側の加速度を解析することにより、基台41側の固有振動数である「第二固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を得ることができる。そして、振動抑制部200(
図8示)は、「第一固有振動数」と併せて、「第二固有振動数」に基づいて、吸着ヘッド60の振動をより抑制する制御を行うことができる。
【0083】
また、基板搬送装置10は、加速度取得部材90を搬送可能である。これにより、基板搬送装置10によって加速度取得部材90を搬送して部品装着装置100内の装着位置で停止させ(
図7のS31)、X、Yロボットによって吸着ヘッド60を移動させることにより(
図7のS32)、容易に吸着ヘッド60が移動された際における基台41側の加速度を取得することがきる(
図7の33)。そして、制御部50は、
図7のS34において、基台41側の加速度を解析することにより、基台41側の固有振動数である「第二固有振動数」等の吸着ヘッド60の振動抑制に役立つ情報を得ることができる。そして、振動抑制部200(
図8示)は、「第一固有振動数」と併せて、「第二固有振動数」に基づいて、吸着ヘッド60の振動をより抑制する制御を行うことができる。
【0084】
また、
図5に示す「第二実施形態の第一固有振動数取得処理」では、基板搬送装置10によって加速度取得部材90が順次下流側の部品装着装置100に搬送され(
図5のS110)、各部品装着装置100で加速度取得部材90が吸着ヘッド60に装着され(
図5のS111)、各部品装着装置100の「第一固有振動数」が取得される(
図5のS114)。
【0085】
このように、加速度取得部材90が基板搬送装置10によって順次下流側の部品装着装置100に搬送されるので、短時間で、部品装着装置100の「第一固有振動数」や「第二固有振動数」を取得することができる。
【0086】
また、
図4のS14において、制御部50(振動解析部)は、吸着ヘッド60を移動させた際に、加速度取得部材90によって取得された加速度に基づいて、吸着ヘッド60の移動に伴う反力によって発生した振動を解析して、「第一固有振動数」を演算する。そして、
図8に示す振動抑制部200は、「第一固有振動数」に基づいて、X、Yロボット(吸着部移動装置)を制御する。これにより、吸着ヘッド60の移動に伴う吸着ヘッド60の振動を抑制することができる。
【0087】
また、
図4のS15において、「第一固有振動数」が「記憶部」に記憶される。これにより、部品装着装置100の再起動の度に、加速度取得部材90が検出した加速度に基づいて、「第一固有振動数」を演算する必要が無い。同様に、
図6のS25、
図7のS35において、「第二固有振動数」が「記憶部」に記憶される。これにより、部品装着装置100の再起動の度に、加速度取得部材90が検出した加速度に基づいて、「第二固有振動数」を演算する必要が無い。
【0088】
(別の実施形態)
以上説明した実施形態では、「第一固有振動数」や「第二固有振動数」を演算している。しかし、「第一固有振動数」や「第二固有振動数」を演算すること無く、X、Yロボットによる吸着ヘッド60の位置決め動作を繰り返して、加速度取得部材90によって検出された吸着ヘッド60の部位の加速度に基づいて、制御部50のプログラムの調整を行い、吸着ヘッド60の振動を抑制する実施形態であっても差し支え無い。
【0089】
以上説明した実施形態では、吸着ヘッド60の部位の加速度を取得する「加速度取得部」は、吸着ノズル65と交換可能に吸着ヘッド60のノズルホルダー61に取り付けられる加速度取得部材90である。しかし、前記「加速度取得部」は、吸着ヘッド60と交換可能にX軸スライド45(吸着部移動装置)に取り付けられる加速度取得部材190であっても差し支え無い。
【0090】
図9に示すように、加速度取得部材190は、本体部191、加速度センサ192、通信部
193、バッテリ194から構成されている。本体部191は、ブロック状であり、X軸スライド45にネジ等により着脱可能に取り付けられる着脱取付部191aが形成されている。加速度センサ192、通信部
193、バッテリ194は、それぞれ、
図3に示す加速度取得部材90の加速度センサ92、通信部93、バッテリ94と同様である。
【0091】
このように、吸着ヘッド60に替えて、加速度取得部材190(加速度取得部)をX軸スライド45(吸着部移動装置)に取り付けることにより、容易に吸着ヘッド60の部位の加速度を取得することができる。
【0092】
以上説明した実施形態では、加速度取得部材90は、吸着ノズル65としての機能を有さない。しかし、吸着ノズル65に、加速度センサ92や、通信部93、バッテリ94を取り付けた実施形態であっても差し支え無い。同様に、吸着ヘッド60に、加速度センサ192や、通信部193、バッテリ194を取り付けた実施形態であっても差し支え無い。
【0093】
以上説明した実施形態では、
図8に示す振動抑制部200は、「第一固有振動数」及び「第二固有振動数」に基づいて、「第一固有振動」及び「第二固有振動」が低減するようにフィードフォワード制御している。しかし、振動抑制部200が、「第一固有振動数」のみに基づいて、「第一固有振動」が低減するようにフィードフォワード制御する実施形態であっても差し支え無い。
【0094】
以上説明した実施形態では、
図6のS21において、加速度取得部材90のマグネット95が取付部12に吸着して、加速度取得部材90が取付部12に取り付けられる。しかし、取付部12の上面に、加速度取得部材90の下部が係合する係合凹部が形成され、加速度取得部材90が取付部12に取り付けられる実施形態であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、加速度取得部材90にマグネット95は不要である。
【0095】
以上説明した実施形態では、取付部12は基板搬送装置10に取り付けられている。しかし、取付部12は、基台41や基台41に一体的に取り付けられた部材に取り付けられている実施形態であっても差し支え無い。