特許第6138243号(P6138243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6138243置換ピペリジノアセトアミドおよびその使用
この文献は図面が300枚以上あるため,図面を表示できません.
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138243
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】置換ピペリジノアセトアミドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/14 20060101AFI20170522BHJP
   C07D 295/15 20060101ALI20170522BHJP
   C07D 211/18 20060101ALI20170522BHJP
   C07D 221/20 20060101ALI20170522BHJP
   C07D 211/46 20060101ALI20170522BHJP
   C07D 217/04 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/451 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C07D211/14CSP
   C07D295/15
   C07D211/18
   C07D221/20
   C07D211/46
   C07D217/04
   A61K31/445
   A61K31/438
   A61K31/472
   A61K31/4453
   A61K31/451
   A61P9/04
   A61P9/10
   A61P9/12
   A61P9/00
   A61P13/12
   A61P9/10 101
   A61K45/00
【請求項の数】9
【全頁数】142
(21)【出願番号】特願2015-513112(P2015-513112)
(86)(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公表番号】特表2015-517544(P2015-517544A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2013060222
(87)【国際公開番号】WO2013174736
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】102012208530.0
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ランペ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス−ペーター・シュタッシュ
(72)【発明者】
【氏名】カール−ハインツ・シュレマー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヴンダー
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ・エル・シェイク
(72)【発明者】
【氏名】フォルクハート・ミン−ジエン・リー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・マリア・ベッカー−ペルスター
(72)【発明者】
【氏名】フリーデリーケ・シュトール
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・クノール
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−521868(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/051165(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/016311(WO,A1)
【文献】 国際公開第2001/062708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 211/14〜46
C07D 217/04
C07D 221/20
C07D 295/15
A61K 31/438〜472
A61K 45/00
A61P 9/00〜12
A61P 13/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R1AおよびR1Bは互いに独立に、水素、メチル、エチルまたはn−プロピルを表す、または互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R2Aは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシまたはシクロプロピルオキシを表し、
R2Bは水素またはメチルを表す、
またはR2AおよびR2Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R3は水素、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し、
R4AおよびR4Bは互いに独立に、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表す、または互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル環を形成し、これらの環はフッ素によって最大で2回置換されていてもよく、
Aは式
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいまたは縮合していてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、(C1〜C4)−アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、メトキシ、エトキシまたはフェニルを表し、その一部について(C1〜C4)−アルキルはフッ素によって最大で3回置換されていてもよく、
R5Bは水素またはメチルを表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R6は水素、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルを表す)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)
(式中、
R1Aは水素またはメチルを表し、
R1Bは水素を表す、
またはR1AおよびR1Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R2Aは水素、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを表し、
R2Bは水素を表す、
またはR2AおよびR2Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R3はフッ素、塩素またはメチルを表し、
R4Aはメチルを表し、
R4Bはトリフルオロメチルを表す、
またはR4AおよびR4Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロペンチル環を形成し、この環はフッ素によって最大で2回置換されていてもよく、
Aは式
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいまたは縮合していてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを表し、
R5Bは水素を表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R6は水素またはフッ素を表す)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の式(I)
(式中、
R1Aは水素またはメチルを表し、
R1Bは水素を表す、
またはR1AおよびR1Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R2Aは水素またはメチルを表し、
R2Bは水素を表し、
R3はフッ素または塩素を表し、
R4Aはメチルを表し、
R4Bはトリフルオロメチルを表し、
Aは式
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し、
R5Bは水素を表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成する)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および前記塩の溶媒和物。
【請求項4】
式(II)
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは請求項1から3に示される意味を有し、
PG1は適当なアミノ保護基、例えば、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)を表す)
の保護α−アミノカルボン酸を、塩基の存在下、縮合剤を用いて不活性溶媒中で式(III)
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2BおよびR3は請求項1から3に示される意味を有し、
T1は(C1〜C4)−アルキルまたはベンジルを表す)
のアミンとカップリングして式(IV)
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG1、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4BおよびT1は上に示される意味を有する)
のカルボキサミドを得て、次いで、保護基PG1を除去することによって、アミン化合物(V)
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4BおよびT1は上に示される意味を有する)
を遊離して、次いで、これを適当な還元剤の存在下で式(VI)
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R5AおよびR5Bは請求項1から3に示される意味を有する)
のジアルデヒドと反応させて2つの環化物(VII)および(VIII)
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5A、R5BおよびT1は上に示される意味を有する)
の混合物(種々の割合を有する)を得て、次いで、この混合物を、前記「間違った」環化物(VIII)も前記所望の標的化合物(VII)に変換されるようにトリフルオロ酢酸中過剰のトリエチルシランで処理し、塩基性もしくは酸性加溶媒分解によってまたはT1がベンジルを表す場合には水素化分解によって前記エステル基T1を最後に除去して、式(I−A)
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のカルボン酸を得て、本発明による前記得られた式(I−A)の化合物を場合によりエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離するならびに/あるいは適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いてその前記溶媒和物、塩および/または前記塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に定義される式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項5】
疾患を治療および/または予防するための請求項1から3のいずれか一項に定義される化合物。
【請求項6】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、血栓塞栓性障害、虚血、血管障害、微小循環障害、腎機能不全、線維性障害および動脈硬化を治療および/または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から3のいずれか一項に定義される化合物の使用。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に定義される化合物を、1種または複数の不活性で非毒性の薬学的に適した賦形剤と組み合わせて含む、医薬品。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に定義される化合物を、有機硝酸塩、NOドナー、cGMP−PDE阻害剤、グアニル酸シクラーゼの刺激物質、抗血栓剤、降圧剤および脂質代謝修飾剤からなる群から選択される1種または複数のさらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬品。
【請求項9】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、血栓塞栓性障害、虚血、血管障害、微小循環障害、腎機能不全、線維性障害および動脈硬化を治療および/または予防するための、請求項7または8に記載の医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新規な置換2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミド誘導体、その調製法、疾患を治療および/または予防するためのその使用、ならびに疾患を治療および/または予防する、特に心血管疾患を治療および/または予防するための医薬品を製造するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞の最も重要な細胞伝達システムの1つは環状グアノシン一リン酸(cGMP)である。これは、内皮から放出され、ホルモンおよび機械的シグナルを送る一酸化窒素(NO)と共にNO/cGMP系を形成する。グアニル酸シクラーゼは、グアノシン三リン酸(GTP)からのcGMPの生合成を触媒する。現在までに知られているこのファミリーの代表例は、構造的特徴またはリガンドの種類によって、ナトリウム利尿ペプチドによって刺激され得る顆粒グアニル酸シクラーゼ、およびNOによって刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼの2つのグループに分類することができる。可溶性グアニル酸シクラーゼは、2つのサブユニットからなり、制御中心の一部である、ヘテロ二量体1個当たり1個のヘムを含有する。ヘムは活性化機構にとって非常に重要である。NOはヘムの鉄原子に結合することができるので、酵素の活性を著しく増加させることができる。対照的に、ヘムを含まない調製物はNOによって刺激され得ない。一酸化炭素(CO)もヘムの中心鉄原子に到達することができるが、COによる刺激はNOによる刺激よりずっと小さい。
【0003】
cGMPを形成することによって、かつ結果として生じるホスホジエステラーゼ、イオンチャネルおよびプロテインキナーゼの制御のために、グアニル酸シクラーゼは、種々の生理学的過程、特に平滑筋細胞の弛緩および増殖、血小板凝集および血小板粘着ならびに神経シグナル伝達、ならびに上記過程の破壊に基づく障害においても重要な役割を果たす。例えば、高血圧、血小板活性化、細胞増殖増加、内皮機能障害、粥状動脈硬化、狭心症、心不全、血栓症、脳卒中および心筋梗塞につながり得る病態生理学的状態において、NO/cGMP系は抑制され得る。
【0004】
予想される高い効率および低い副作用レベルのために、生物のcGMPシグナル経路の影響を標的化することによるこのような障害の考えられるNO非依存性治療は有望な手法である。
【0005】
今までに、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療上の刺激のために、その効果がNOに基づく有機硝酸塩などの化合物がもっぱら使用されてきた。後者は生物変換によって形成され、ヘムの中心鉄原子に到達することによって可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。副作用に加えて、耐容性を発展させることがこの治療様式の重大な欠点の1つである[O. V. Evgenov等、Nature Rev. Drug Disc. 5(2006)、755]。
【0006】
可溶性グアニル酸シクラーゼを直接、すなわち、NOの事前の放出なしに刺激する物質が近年同定されている。インダゾール誘導体YC−1が、記載されている最初のNO非依存性であるがヘム依存性のsGC刺激物質であった[Evgenov等、同書より]。YC−1に基づいて、YC−1よりも強力であり、かつホスホジエステラーゼ(PDE)の関連する阻害を示さないさらなる物質が発見された。これにより、ピラゾロピリジン誘導体BAY41−2272、BAY41−8543およびBAY63−2521が同定された。近年公開されている構造的に異なる物質CMF−1571およびA−350619と共に、これらの化合物はsGC刺激物質の新たなクラスを形成している[Evgenov等、同書より]。この物質のクラスの共通の特徴は、ヘム含有sGCのNO非依存性かつ選択的な活性化である。さらに、sGC刺激物質は、NOと組み合わせて、ニトロシル−ヘム複合体の安定化に基づいてsGC活性化に相乗効果をもたらす。sGCにおけるsGC刺激物質の正確な結合部位はまだ議論されている。ヘム基が可溶性グアニル酸シクラーゼから除去されても、酵素はまだ、すなわち、cGMPが形成される前のように検出可能な触媒基礎活性を有する。ヘムを含まない酵素の残りの触媒基礎活性は、上記刺激物質のいずれによっても刺激することができない[Evgenov等、同書より]。
【0007】
さらに、NO−およびヘム−非依存性sGC活性化物質が同定され、BAY58−2667がこのクラスの原型である。これらの物質の共通の特徴は、これらの物質が、NOと組みわせて、酵素活性化に相加効果しか与えないこと、および酸化されたまたはヘムを含まない酵素の活性化がヘム含有酵素の活性化よりも著しく強いことである[Evgenov等、同書より;J. P. Stasch等、Br. J. Pharmacol. 136(2002)、773;J. P. Stasch等、J. Clin. Invest. 116(2006)、2552]。BAY58−2667が、弱まった鉄−ヒスチジン結合の結果としてsGCに弱くしか結合していない酸化ヘム基に置き換わることが分光学的調査から明らかである。特徴的なsGCヘム結合モチーフTyr−x−Ser−x−Argが、ヘム基の負に帯電したプロピオン酸の相互作用と、BAY58−2667の活性の両方にとって不可避であることも示されている。この背景に反して、BAY58−2667のsGCとの結合部位が、ヘム基の結合部位と同一であると仮定されている。[J. P. Stasch等、J. Clin. Invest. 116(2006)、2552]。
【0008】
本発明で記載される化合物も同様に可溶性グアニル酸シクラーゼのヘムを含まない型を活性化することができる。このことは、第1に、これらの新規な活性化物質がヘム含有酵素でNOによる相乗効果を示さないという事実、および第2に、その作用が可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム依存性阻害剤、1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)によって遮断され得ずに、この阻害剤によって増強すらされるという事実によっても確認される[O. V. Evgenov等、Nature Rev. Drug Disc. 5(2006)、755;J. P. Stasch等、J. Clin. Invest. 116(2006)、2552参照]。
【0009】
したがって、上記の様式で可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化物質として作用し、特に、心血管障害を治療および予防するためにそれ自体を使用することができる新規な化合物を提供することが本発明の目的であった。
【0010】
国際公開第94/12181号パンフレットは血栓症および塞栓症を予防するためのフィブリノーゲン受容体拮抗剤として置換アリール化合物を開示しており、欧州特許第0638553号明細書は抗血栓活性化合物として末端カルボキシル基を有するカルボキサミドを記載している。国際公開第02/36553号パンフレットは、細胞接着の阻害剤として置換フェニルアルカンカルボン酸を開示している。国際公開第2006/066948号パンフレットは、抗炎症作用を有するピペリジン誘導体を記載している。欧州特許第1939189号明細書は、脂質代謝の障害を治療するためのPPARアゴニスト活性を有する多環式化合物を請求している。国際公開第2011/051165号パンフレットは、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化物質として作用するフェニルアセトアミド置換3−フェニルプロピオン酸を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第94/12181号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第0638553号明細書
【特許文献3】国際公開第02/36553号パンフレット
【特許文献4】国際公開第06/066948号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第1939189号明細書
【特許文献6】国際公開第11/051165号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】O. V. Evgenov等、Nature Rev. Drug Disc. 5(2006)、755
【非特許文献2】J. P. Stasch等、Br. J. Pharmacol. 136(2002)、773
【非特許文献3】J. P. Stasch等、J. Clin. Invest. 116(2006)、2552
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般式(I)
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R1AおよびR1Bは互いに独立に、水素、メチル、エチルまたはn−プロピルを表す、または互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R2Aは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシまたはシクロプロピルオキシを表し、
R2Bは水素またはメチルを表す、
またはR2AおよびR2Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R3は水素、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し、
R4AおよびR4Bは互いに独立に、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表す、または互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル環を形成し、これらの環はフッ素によって最大で2回置換されていてもよく、
Aは式
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいまたは縮合していてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、(C1〜C4)−アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、メトキシ、エトキシまたはフェニルを表し、その一部について(C1〜C4)−アルキルはフッ素によって最大で3回置換されていてもよく、
R5Bは水素またはメチルを表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R6は水素、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルを表す)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による化合物は、式(I)に包含されかつ以下で言及される化合物が既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合、式(I)の化合物とその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、以下で言及される式の式(I)に包含される化合物とその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、ならびに式(I)に包含されかつ実施例として以下で言及される化合物とその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0015】
本発明の文脈における好ましい塩は、本発明による化合物の生理学的に許容される塩である。それ自体は医薬用途に適していないが、例えば、本発明による化合物の単離、精製または貯蔵のために使用することができる塩も包含される。
【0016】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0017】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩には、従来の塩基の塩、例としておよび好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)ならびにアンモニアまたは1〜16個の炭素原子を有する有機アミン、例としておよび好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、プロカイン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、アルギニン、リジンおよび1,2−エチレンジアミンから得られるアンモニウム塩も含まれる。
【0018】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子との配位によって固体または液体状態で複合体を形成する本発明による化合物の形態として記載される。水和物は、配位が水とのものである溶媒和物の特定の形態である。本発明の文脈において好まれる溶媒和物は水和物である。
【0019】
本発明による化合物は、その構造に応じて、異なる立体異性体型で、すなわち、立体配置異性体型でまたは場合により配座異性体(エナンチオマーおよび/またはジアステレオマー、アトロプ異性体の場合のものを含む)として存在し得る。そのため、本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにこれらのそれぞれの混合物を包含する。立体異性的に均一な構成要素を、既知の様式でエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーのこのような混合物から単離することができ、好ましくはクロマトグラフィー法、特にアキラルまたはキラル相のHPLCクロマトグラフィーがこの目的のために使用される。
【0020】
本発明による化合物が互変異性体型で生じ得る場合、本発明は全ての互変異性体型を包含する。
【0021】
本発明はまた、本発明による化合物の全ての適当な同位体変種も包含する。本発明による化合物の同位体変種は、本発明による化合物内の少なくとも1個の原子が同じ原子番号であるが、自然状態で通常または主に見られる原子質量とは異なる原子質量を有する別の原子に交換された化合物を意味するものとしてここでは理解される。本発明による化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の同位体、例えば、2H(重水素)、3H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、32P、33P、33S、34S、35S、36S、18F、36Cl、82Br、123I、124I、129Iおよび131Iがある。本発明による化合物の特定の同位体変種、特に、1種または複数の放射性同位体が組み込まれたものは、比較的容易な調製性および検出性のために、例えば、作用機序または体内の活性化合物分布の調査に有用となり得、特に、3Hまたは14C同位体で標識された化合物がこの目的に適している。さらに、同位体、例えば、重水素の組み込みは、化合物の大きな代謝安定性の結果としての特定の治療利点、例えば、体内での半減期の延長または必要とされる活性用量の減少を与え得るので、本発明による化合物のこのような修飾はまた、いくつかの場合で本発明の好ましい実施形態を構成する。本発明による化合物の同位体変種は一般的に、当業者により知られている一般的に慣用的な方法によって、例えば、下記の方法および実施例で報告されている手順により、その中の特定の試薬および/または出発物質の対応するの同位体修飾を使用することによって調製することができる。
【0022】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。「プロドラッグ」という用語は、ここでは、それ自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、体内に存在している間に例えば、代謝または加水分解経路によって本発明による化合物に変換される化合物を指す。
【0023】
本発明は、プロドラッグとして、特に本発明による式(I)のカルボン酸の加水分解性エステル誘導体を含む。これらは、下記の生物学的試験の条件下で、および特にインビボでの酵素または化学経路によって、生理学的媒体中で、主要な生物活性化合物として遊離カルボン酸に加水分解され得るエステルを意味するものとして理解されるべきである。アルキル基が直鎖であっても分岐であってもよい(C1〜C4)−アルキルエステルがこのようなエステルとして好まれる。メチル、エチルまたはtert−ブチルエステルが特に好ましい。
【0024】
本発明の文脈において、特段の指定がない限り、置換基は以下の通り定義される:
本発明の文脈において、(C1〜C4)−アルキルは1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表す。好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0025】
本発明の文脈において、2回以上生じる全ての基について、その意味は互いに独立しているというのが事実である。本発明による化合物中の基が置換されている場合、特段の指定がない限り、基は一置換されていても多置換されていてもよい。1個のあるいは2個もしくは3個の同一のまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個のあるいは2個の同一のまたは異なる置換基による置換が特に好ましい。
【0026】
本発明の文脈において、式(I)
(式中、
R1Aは水素またはメチルを表し、
R1Bは水素を表す、
またはR1AおよびR1Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
R2Aは水素、メチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを表し、
R2Bは水素を表す、
またはR2AおよびR2Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R3はフッ素、塩素またはメチルを表し、
R4Aはメチルを表し、
R4Bはトリフルオロメチルを表す、
またはR4AおよびR4Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロペンチル環を形成し、この環はフッ素によって最大で2回置換されていてもよく、
Aは式
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいまたは縮合していてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルを表し、
R5Bは水素を表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R6は水素またはフッ素を表す)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が好ましい。
【0027】
本発明の特定の実施形態は、
R1A、R1B、R2AおよびR2Bがそれぞれ水素を表す
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0028】
本発明のさらなる特定の実施形態は、
R1Aがメチルを表し、
R1Bが水素を表す、
またはR1AおよびR1Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R2AおよびR2Bがそれぞれ水素を表す
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0029】
本発明のさらなる特定の実施形態は、
R2Aがメチルを表し、
R1A、R1BおよびR2Bがそれぞれ水素を表す
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0030】
本発明のさらなる特定の実施形態は、
R4Aがメチルを表し、
R4Bがトリフルオロメチルを表す
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0031】
本発明のさらなる特定の実施形態は、
R4AおよびR4Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロペンチル環を形成する
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0032】
本発明のさらなる特定の実施形態は、
Aが式
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいピペリジン環を表し、
R5Aが水素、メチル、トリフルオロメチル、エチルまたはシクロプロピルを表し、
R5Bが水素を表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成する
式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含む。
【0033】
本発明の文脈において、式(I)
(式中、
R1Aは水素またはメチルを表し、
R1Bは水素を表す、
またはR1AおよびR1Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成し、
R2Aは水素またはメチルを表し、
R2Bは水素を表し、
R3はフッ素または塩素を表し、
R4Aはメチルを表し、
R4Bはトリフルオロメチルを表し、
Aは式
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、*は分子の残りとの結合点を表す)
の置換されいてもよいピペリジン環を表し、
R5Aは水素、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し、
R5Bは水素を表す、
またはR5AおよびR5Bが互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成する)
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物が特に好ましい。
【0034】
基の特定の組み合わせまたは好ましい組み合わせで指定される個々の基の定義は、指定されている基の特定の組み合わせと独立に、他の組み合わせの基の定義により望まれるようにも置き換えられる。上記好ましい範囲の2つ以上の組み合わせが極めて特に好ましい。
【0035】
本発明はさらに、式(II)
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは上に示される意味を有し、
PG1は適当なアミノ保護基、例えば、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)を表す)
の保護α−アミノカルボン酸を、塩基の存在下、縮合剤を用いて不活性溶媒中で式(III)
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2BおよびR3は上に示される意味を有し、
T1は(C1〜C4)−アルキルまたはベンジルを表す)
のアミンとカップリングして式(IV)
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG1、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4BおよびT1は上に示される意味を有する)
のカルボキサミドを得て、次いで、保護基PG1を除去することによって、アミン化合物(V)
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4BおよびT1は上に示される意味を有する)
を遊離して、次いで、これを適当な還元剤の存在下で式(VI)
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のジアルデヒドと反応させて2つの環化物(VII)および(VIII)
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5A、R5BおよびT1は上に示される意味を有する) の混合物(種々の割合を有する)を得て、次いで、この混合物を、「間違った」環化物(VIII)も所望の標的化合物(VII)に変換されるようにトリフルオロ酢酸中過剰のトリエチルシランで処理し、塩基性もしくは酸性加溶媒分解によってまたはT1がベンジルを表す場合には水素化分解によってエステル基T1を最後に除去して、式(I−A)
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のカルボン酸を得て、得られた式(I−A)の化合物を場合により慣用的方法によってエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離するならびに/あるいは適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いてその溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、本発明による式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
【0036】
プロセスステップ(II)+(III)→(IV)[アミドカップリング]のための不活性溶媒は、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフランもしくは1,4−ジオキサンなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンもしくは鉱物油留分など)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンもしくはクロロベンゼンなど)、または双極性非プロトン溶媒(アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)もしくはN,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)など)である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。ジメチルホルムアミドまたはジメチルホルムアミドとピリジンの混合物を使用することが好ましい。
【0037】
このカップリング反応に適した縮合剤は、例えば、場合によりさらなる補助剤(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくはN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)など)および塩基としてのアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム)または三級アミン塩基(トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンもしくは4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)など)と組み合わせた、カルボジイミド(N,N’−ジエチル−、N,N’−ジプロピル−、N,N’−ジイソプロピル−、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)など)、ホスゲン誘導体(N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)もしくはイソブチルクロロホルメートなど)、1,2−オキサゾリウム化合物(2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウム過塩素酸塩など)、アシルアミノ化合物(2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなど)、α−クロロエナミン(1−クロロ−2−メチル−1−ジメチルアミノ−1−プロペンなど)、リン化合物(無水プロパンホスホン酸、ジエチルシアノホスホネート、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、ベンゾロリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートもしくはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)など)、またはウロニウム化合物(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)もしくはO−(
1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)など)である。O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)をピリジンと組み合わせて使用することが好ましい。
【0038】
反応(II)+(III)→(IV)は、一般的に0℃〜+60℃、好ましくは+10℃〜+40℃の温度範囲で行う。
【0039】
化合物(II)中の適当な保護基PG1は、慣用的なアミノ保護基、例えば、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)であり、保護基PG1はプロセスステップ(IV)→(V)におけるその除去の条件が化合物(III)の使用されるそれぞれのエステル基T1と適合性であるように選択する[例えば、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、Wiley、ニューヨーク、1999参照]。アリルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニル基を使用することが好ましい。アリルオキシカルボニル基の除去は、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)触媒の存在下でジメドン(5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン)を用いて行うが、ベンジルオキシカルボニル基は、一般的に5〜10%パラジウム活性炭の存在下で水素化(水素化分解)によって除去する。
【0040】
プロセスステップ(V)+(VI)→(VII)[+(VIII)]に適した還元剤は、慣用的なアルカリ金属ボロヒドリド、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用することが好ましい。反応は、一般的に酸/塩基混合物、例えば塩酸およびトリエチルアミンの存在下、アルコール溶媒(メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなど)中で行う。使用されるそれぞれの成分の反応性に応じて、反応は一般的に−20℃〜+60℃の温度範囲で行う。
【0041】
アミン(V)とジアルデヒド(VI)の水素化ホウ素媒介反応中に種々の割合で形成される式(VIII)の「間違った」環化物も、溶媒としてトリフルオロ酢酸中トリエチルシランを用いたその後の還元によって式(VII)の所望の環化物に変換することができ[例えば、D. N. Kursanov等、Synthesis 1974、633〜651;U. Rosentreter、Synthesis 1985、210〜212参照]、結果として高収率の(VII)を実現することが可能になる。この変換は、2種の環化物(VII)および(VIII)の分離前後に行ってもよいし、あるいは有利には過剰のトリエチルシランを用いて行い、精製された生成物混合物を環化反応から直接得てもよい。
【0042】
プロセスステップ(VII)→(I−A)中のエステル基T1の除去は、酸または塩基によって不活性溶媒中でエステルを処理することによって慣用的方法により行い、後者の変形では、最初に形成された塩を、酸を用いたその後の処理によって遊離カルボン酸に変換する。tert−ブチルエステルの場合、エステル開裂を好ましくは酸を用いて行う。ベンジルエステルは、好ましくは適当な触媒、例えばパラジウム活性炭の存在下で水素化(水素化分解)によって開裂する。
【0043】
これらの反応に適した不活性溶媒は、水またはエステル開裂に慣用的な有機溶媒である。これらには、好ましくはアルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなど)、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンもしくは1,2−ジメトキシエタンなど)、または他の溶媒(アセトン、酢酸、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドなど)が含まれる。これらの溶媒の混合物を使用することが等しく可能である。塩基性エステル加水分解の場合、水とジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび/またはエタノールの混合物を使用することが好ましい。トリフルオロ酢酸を用いる反応の場合、ジクロロメタンを使用することが、また塩酸を用いる反応の場合、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸および/または水を用いることが好ましい。
【0044】
適当な塩基は慣用的な無機塩基である。これらには、特に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化バリウム、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸カルシウムが含まれる。水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
【0045】
エステル開裂に適した酸は、一般的に水を添加してもよい、硫酸、塩化水素/塩酸、臭化水素/臭化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸もしくはトリフルオロメタンスルホン酸、またはこれらの混合物である。tert−ブチルエステルの場合には塩化水素またはトリフルオロ酢酸、またメチルまたはエチルエステルの場合には塩酸または硫酸が好ましい。
【0046】
エステル開裂は、一般的に−20℃〜+100℃、好ましくは0℃〜+60℃の温度範囲で行う。
【0047】
トリエチルシランおよびトリフルオロ酢酸による(VIII)または(VII)と(VIII)の混合物の上記処理の条件下で、(VII)または(VIII)中のエステル基T1がtert−ブチルを表す場合、このエステル基の同時除去が起こり、結果として本発明による式(I−A)の化合物が直接得られる。
【0048】
適当であれば、本発明による式(I)の化合物はまた、式(IX)
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは上に示される意味を有する)
のα−アミノカルボン酸を不活性溶媒中、塩基の存在下で式(X)
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有し、
Xは適当な脱離基、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物を用いてアルキル化して式(XI)
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4A、R4B、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、これを不活性溶媒中、塩基の存在下で、縮合剤を用いて式(III)
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2BおよびR3は上に示される意味を有し、
T1は(C1〜C4)−アルキルまたはベンジルを表す)
のアミンとカップリングして式(VII)
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5A、R5BおよびT1は上に示される意味を有する)のカルボキサミドを得て、次いで、上記のエステル基T1を除去して式(I−A)
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R4A、R4B、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のカルボン酸を得ることによって調製することもできる。
【0049】
アルキル化反応(IX)+(X)→(XI)は、好ましくは水中または水と水混和性有機溶媒(メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドなど)の混合物中で行う。適当な塩基は、特に、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたは炭酸セシウムである。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いることが好ましい。反応は、一般的に+50℃〜+150℃、好ましくは+80℃〜+120℃の温度範囲で行う。
【0050】
カップリング反応(XI)+(III)→(VII)は、反応(II)+(III)→(IV)について上記の条件と類似の条件下で行う。
【0051】
本発明による式(I)の化合物(式中、R4AおよびR4Bは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と一緒にシクロブチルまたはシクロペンチル環を形成する)はまた、式(XII)
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、nは数字0または1を表し、
R7は水素または(C1〜C4)−アルキルを表す、または2個の基R7が互いに結合しておよび一緒に−(CH22−、−C(CH32−C(CH32−、−(CH23−または−CH2−C(CH32−CH2−架橋を形成する)
のシクロアルケニルボロン酸またはエステルを塩基の存在下でグリオキサル酸[OHC−COOH]および式(XIII)
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のピペリジン誘導体と反応させて、式(XIV)
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のα−ピペリジノカルボン酸を得て、次いで、これを不活性溶媒中、塩基の存在下で、縮合剤を用いて式(III)
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R2BおよびR3は上に示される意味を有し、T1は(C1〜C4)−アルキルまたはベンジルを表す)
のアミンとカップリングして式(XV)
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R5A、R5BおよびT1は上に示される意味を有する)
のカルボキサミドを得て、次いで、適当なパラジウムまたは白金触媒の存在下で水素化して式(XVI)
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R5A、R5BおよびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、最後に塩基性または酸性加溶媒分解によってエステル基T1を開裂して式(I−B)
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n、R1A、R1B、R2A、R2B、R3、R5AおよびR5Bは上に示される意味を有する)
のカルボン酸を得ることによって調製することもできる。
【0052】
シクロアルケニルボロネート(XII)、グリオキサル酸およびピペリジン誘導体(XIII)からのα−ピペリジノカルボン酸(XIV)の調製は、文献に記載されている方法と同様に行う[N. A. PetasisおよびI. A. Zavialov、J. Am. Chem. Soc. 119、445〜446(1997)参照]。ここでは、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミン塩基を添加することが有利である。
【0053】
水素化(XV)→(XVI)は、一般的に標準圧力またはわずかに高圧で、静止水素雰囲気下で行う。適当な触媒は特にパラジウムもしくは白金活性炭(担体材料)または酸化白金(IV)である。反応は、このような目的で慣用的な不活性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランまたは酢酸エチル中で行う。
【0054】
水素化条件下で、(XV)中のエステル基T1がベンジルを表す場合、このエステル基の同時除去が起こり、結果としてここでは本発明による式(I−B)の化合物が直接得られる。
【0055】
カップリング反応(XIV)+(III)→(XV)およびエステル開裂(XVI)→(I−B)は、反応(II)+(III)→(IV)および(VII)→(I−A)について上記の条件と類似の条件下で行う。
【0056】
本発明による式(I−C)の化合物
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n、R1A、R1B、R2A、R2B、R3およびR6は上に示される意味を有する)
は、上記反応順序において、ピペリジン誘導体(XIII)の代わりに式(XVII)
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R6は上に示される意味を有する)
の1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを使用することによって類似の様式で調製することができる。
【0057】
上記方法によって調製することができる式(I−A)、(I−B)および(I−C)の化合物は、各場合で、本発明による一般式(I)の化合物の部分集合である。
【0058】
式(IX)
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは上に示される意味を有する)
のα−アミノカルボン酸中間体のいくつかは商業的に入手可能であるもしくは文献にそれ自体として記載されている、またはこれらは既知の方法によって、例えば、式(XVIII)
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは上に示される意味を有し、T2は(C1〜C4)−アルキルまたはベンジルを表す)
のβ,β−二置換カルボン酸エステルを不活性溶媒中で塩基を用いてα位で脱プロトン化して、生成物を対応するシリルエノールエステル(ケテンアセタール)に変換し、次いで、N−ブロモスクシンイミドを用いて臭素付加して式(XIX)
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4A、R4BおよびT2は上に示される意味を有する)
のα−ブロモ誘導体を得て、その後アジ化ナトリウムと反応させて式(XX)
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4A、R4BおよびT2は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、これを接触水素化によって式(XXI)
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4A、R4BおよびT2は上に示される意味を有する)
のα−アミノ酸エステルに還元し、最後に塩基性もしくは酸性加溶媒分解によって、またはT2がベンジルを表す場合には、水素化分解によってエステル基T2を除去してα−アミノカルボン酸(IX)を得ることによって調製することができる。
【0059】
式(II)
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R4AおよびR4Bは上に示される意味を有し、PG1はアミノ保護基、例えば、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)を表す)
の保護α−アミノカルボン酸中間体は、α−アミノカルボン酸(IX)または対応するエステル(XXI)(T2基のその後の除去により)の段階でそれぞれの保護基PG1を導入することによって容易に入手可能である。
【0060】
カルボン酸エステル(XVIII)のα−脱プロトン化に適しているのは、特に非求核性強塩基、例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドであり、リチウムイソプロピルアミドを用いることが好ましい。使用される不活性溶媒は通常、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたはビス(2−メトキシエチル)エーテルである。
【0061】
塩化トリメチルシリルの添加による脱プロトン化エステルのシリルエノールへのその場変換後、(XIX)への臭素付加を好ましくはN−ブトモスクシンイミド(NBS)を用いて行う。反応順序は有利にはワンポットプロセスとして行い、一般的には−80℃〜+25℃の温度範囲で行われる。
【0062】
アジド化合物(XX)を得るための置換反応は、標準的方法によって、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどの双極性非プロトン溶媒中でのアジ化ナトリウムによる処理によって行う。α−アミノ酸エステル(XXI)へのその後の反応は、好ましくはアルコール溶媒(メタノールまたはエタノールなど)中でのパラジウム活性炭触媒の存在下での水素化によって行う。
【0063】
プロセスステップ(XXI)→(IX)中のエステル基T2の除去は、エステル基T1について上記の様式と類似の様式で行う。ここでは、水素化(XX)→(XXI)の条件下で、(XX)中のエステル基T2がベンジルを表す場合、このエステル基の同時除去が同様に起こり、結果として標的化合物(IX)が直接得られる。
【0064】
α−アミノカルボン酸(IX)または対応するエステル(XXI)の段階での保護基PG1の導入は、一般的に慣用的な方法によって行う[例えば、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、Wiley、ニューヨーク、1999参照]。
【0065】
その置換パターンに応じて、式(III)の中間体を、例えば、以下のいずれかによって調製することができる:
[A−1]式(XXII)
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1AおよびT1は上に示される意味を有し、
R8は(C1〜C4)−アルキルを表す)
のホスホノ酢酸エステルを不活性溶媒中、塩基誘導オレフィン化反応で、式(XXIII)
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R2AおよびR3は上に示される意味を有する)
の3−ニトロベンゾイル化合物と反応させて式(XXIV)
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、これを適当なパラジウムまたは白金触媒の存在下で水素化して式(III−A)
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る、または
[A−2]式(XXII)
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1AおよびT1は上に示される意味を有し、
R8は(C1〜C4)−アルキルを表す)
のホスホノ酢酸エステルを不活性溶媒中、塩基誘導オレフィン化反応で、式(XXV)
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R2AおよびR3は上に示される意味をし、
PG2は不活性アミノ保護基としてのベンジルまたは4−メトキシベンジルを表す)
の保護3−アミノベンゾイル化合物と反応させて式(XXVI)
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG2、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで(i)メタノール中マグネシウムにより還元して式(XXVII)
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG2、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、水素化分解によりまたは酸化的に慣用的方法によってアミノ保護基PG2を除去して式(III−A)
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る、または
(ii)式(XXVI)の化合物を適当なパラジウムまたは白金触媒の存在下で水素化によってワンステッププロセスで式(III−A)の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルに変換する、または
[B]式(XXVIII)
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2AおよびT1は上に示される意味を有する)
のアクリル酸エステル誘導体を不活性溶媒中、パラジウム触媒作用下で式(XXIX)
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R3は上に示される意味を有し、
R9はアミノまたはニトロを表す)
の3−アミノ−または3−ニトロフェニルブロミドとカップリングして式(XXX)
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R3、R9およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、これを適当なパラジウムまたは白金触媒の存在下で水素によって、またはR9がアミノを表す場合には、メタノール中マグネシウムによって還元して式(III−A)
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る、または
[C]式(XXXI)
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1BおよびT1は上に示される意味を有する)
のカルボン酸エステルを、式(XXXII)
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R2AおよびR3は上に示される意味を有し、
Yは適当な脱離基、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、メシレート、トリフレートまたはトシレートを表す)
の3−ブロモベンジル化合物によるα脱プロトン化後に不活性溶媒中でアルキル化して式(XXXIII)
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、その後塩基およびパラジウム触媒の存在下でベンジルアミンと反応させて式(XXXIV)
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、水素化分解によってN−ベンジル基を除去して式(III−B)
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R1B、R2A、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る、または
[D]式(XXXV)
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R2BおよびT1は上に示される意味を有する)
のアクリル酸エステルを不活性溶媒中で(i)ロジウム(I)触媒作用により不活性アミノ保護基としての式(XXXVI)
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R3は上に示される意味を有し、
PG2は不活性アミノ保護基としてのベンジルまたは4−メトキシベンジルを表す)
のフェニルボロン酸と、または
(ii)銅(I)触媒作用により式(XXXVII)
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG2およびR3は上に示される意味を有し、
Halは塩素または臭素を表す)
のフェニルマグネシウム化合物と反応させて、
式(XXXVIII)
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、PG2、R1A、R2A、R2B、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の化合物を得て、次いで、水素化分解によりまたは酸化的に慣用的方法によってアミノ保護基PG2を除去して式(III−C)
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R1A、R2A、R2B、R3およびT1は上に示される意味を有する)
の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る。
【0066】
オレフィン化反応(XXII)+(XXIII)→(XXIV)および(XXII)+(XXV)→(XXVI)[Horner−Wittig反応]のホスホノエステル(XXII)の脱プロトン化に適しているのは、特に非求核性強塩基、例えば、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドであり、水素化ナトリウムを用いることが好ましい。この反応に使用される好ましい不活性溶媒は、場合によりN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドとの混合物としてのエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンもしくはビス(2−メトキシエチル)エーテルなど)、または炭化水素(ペンタン、ヘキサンもしくはヘプタンなど)である。反応は、一般的に−20℃〜+40℃の温度範囲で行う。
【0067】
プロセスステップ(XXIV)→(III−A)、(XXVI)→(III−A)および(XXX)→(III−A)の水素化は、一般的に標準圧力または高圧で、静止水素雰囲気下で行う。ここでは、好ましい触媒はパラジウムまたは白金活性炭(担体材料として)である。変換(XXVII)→(III−A)、(XXXIV)→(III−B)および(XXXVIII)→(III−C)中のアミノ保護基の除去は通常、同じ手順による水素化分解によって行い;(XXVII)または(XXXVIII)中のPG2が4−メトキシベンジルを表す場合、これを例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)または硝酸アンモニウムセリウム(IV)を用いて酸化的に行ってもよい。
【0068】
反応(XXVIII)+(XXIX)→(XXX)[Heck反応]に使用されるパラジウム触媒は、好ましくは各場合でホスフィン配位子、例えば、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィまたはトリ−2−トリルホスフィンと組み合わせた酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)である。
【0069】
アルキル化反応(XXXI)+(XXXII)→(XXXIII)中のカルボン酸エステル(XXXI)のα−脱プロトン化に適しているのは、特に非求核性強塩基、例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはn−、sec−もしくはtert−ブチルリチウムであり、リチウムジイソプロピルアミンまたはn−ブチルリチウムを用いることが好ましい。この反応に使用される好ましい不活性溶媒は、場合によりN,N−ジメチルホルムアミドとの混合物としてのエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンもしくはビス(2−メトキシエチル)エーテルなど)、または炭化水素(ペンタン、ヘキサンもしくはヘプタンなど)である。反応は、通常−80℃〜+25℃の温度範囲で行う。
【0070】
変換(XXXIII)→(XXXIV)[ベンジルアミンを用いたBuchwald−Hartwigカップリング]のために、ホスフィン配位子としての(±)−2,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ジナフチルおよび塩基としてのナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドと組み合わせて触媒としてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を用いることが好ましい[例えば、J. P. WolfeおよびS. L. Buchwald、Organic Syntheses、Coll. Vol. 10、423(2004)、第78巻、23(2002)参照]。
【0071】
カップリング反応(XXXV)+(XXXVI)→(XXXVIII)および(XXXV)+(XXXVII)→(XXXVIII)は、文献に記載されている方法と同様に行う[例えば、N. Miyaura等、Organometallics 16、4229(1997);T. Hayashi、Synlett、Special Issue 2001、879〜887;P. Knochel等、Tetrahedron 56、2727〜2731(2000)、Angew. Chem. 120、6907〜6911(2008)参照]。
【0072】
上記反応は大気圧、高圧または減圧(例えば、0.5〜5barの範囲)で行うことができるが、一般的に、反応はそれぞれ大気圧で行う。
【0073】
本発明による化合物の対応するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーへの分離は、好都合な場合、化合物(II)、(III)、(IV)、(V)、(VII)、(IX)、(XI)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XXI)、(XXVII)、(XXXIII)、(XXXIV)および/または(XXXVIII)の段階でさえ行うこともでき、次いで、これらを分離型で、上記の方法順序にしたがってさらに反応させる。立体異性体のこのような分離は、当業者に知られている慣用的方法によって行うことができる。本発明の文脈においては、アキラルまたはキラル相でのクロマトグラフィー法を用いることが好ましく、中間体または最終生成物としてのカルボン酸の場合には、分離をジアステレオマー塩を介して行ってもよい。
【0074】
式(VI)、(X)、(XII)、(XIII)、(XVII)、(XVIII)、(XXII)、(XXIII)、(XXV)、(XXVIII)、(XXIX)、(XXXI)、(XXXII)、(XXXV)、(XXXVI)および(XXXVII)の化合物は商業的に入手可能であるもしくは文献にそれ自体として記載されている、またはこれらは文献に公開されている方法と同様に当業者に明らかな経路によって調製することができる。出発材料の調製についての多数の詳細な方法および文献情報は、出発化合物および中間体の調製についての節の実験部にも見出すことができる。
【0075】
本発明による化合物の調製を例として以下の反応スキームによって示すことができる:
スキーム1
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム2a
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム2b
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム3
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム4
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム5
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム6
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム7
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム8
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム9
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
本発明による化合物は有用な薬理学的特性を有し、ヒトおよび動物の疾患を予防および治療するために使用することができる。
【0077】
本発明による化合物は可溶性グアニル酸シクラーゼの強力な活性化物質である。これらは血管弛緩、血小板凝集の阻害および血圧の低下をもたらし、これらはまた冠血流量を増加させる。これらの効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼの直接的ヘム非依存性活性化およびcGMPの細胞内上昇によって媒介される。
【0078】
さらに、本発明による化合物は、特にその生物学的利用能および/または静脈内もしくは経口投与後の作用持続時間に関して有利な薬物動態特性を有する。
【0079】
本発明による化合物は、心血管、肺、血栓塞栓性および線維性障害を治療および/または予防するのに特に適している。
【0080】
したがって、本発明による化合物を、心血管障害、例えば高血圧(高血圧)、心不全、冠動脈心疾患、安定および不安定狭心症、肺動脈高血圧(PAH)および他の型の肺高血圧(PH)、腎性高血圧、末梢および心血管障害、不整脈、心房性および心室性不整脈、ならびに伝導障害、例えば房室ブロックI〜III度、上室性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、心室性頻脈性不整脈、多形性心室頻拍、心房性および心室性期外収縮、房室接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、房室結節性リエントリー性頻拍、Wolff−Parkinson−White症候群、急性冠症候群(ACS)、自己免疫心臓障害(心膜炎、心内膜炎、弁膜炎、大動脈炎、心筋症)、ボクサー心筋症、動脈瘤、ショック(心原性ショック、敗血症性ショックおよびアナフィラキシーショックなど)を治療および/または予防するため、さらには血栓塞栓性障害および虚血、例えば心筋虚血、心筋梗塞、脳卒中、心肥大、一過性虚血発作、子癇前症、炎症性心血管障害、冠動脈および末梢血管の攣縮、浮腫形成(例えば、肺浮腫、脳浮腫、腎性浮腫または心不全により引き起こされる浮腫)、末梢循環障害、再灌流障害、動脈および静脈血栓症、微量アルブミン尿、心筋不全、内皮障害、微小血管性および大血管性損傷(脈管炎)を治療および/または予防するため、ならびに例えば、血栓溶解治療、経皮的血管形成(PTA)、経皮的冠動脈形成(PTCA)、心臓移植およびバイパス手術後の再狭窄を予防するための医薬品に使用することができる。
【0081】
本発明の文脈において、「心不全」という用語は、心不全の急性と慢性型の両方、およびその特異または関連疾患型、例えば、急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的心不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、突発性心筋症、先天性心疾患、心臓弁欠損、心臓弁欠損に伴う心不全、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、混合型心臓弁欠損、心筋の炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓貯蔵症ならびに拡張期および収縮期心不全を包含する。
【0082】
さらに、本発明による化合物を、動脈硬化、脂質代謝障害、低リポ蛋白血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高脂血症、混合型高脂血症、高コレステロール血症、無βリポ蛋白血症、シトステロール血症、黄色腫症、タンジール病、脂肪症、肥満およびメタボリックシンドロームを治療および/または予防するために使用することもできる。
【0083】
本発明による化合物をさらに、一次性および二次性レイノー現象、微小循環障害、跛行、耳鳴り、末梢および自律神経ニューロパチー、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、四肢の糖尿病性潰瘍、壊疽、CREST症候群、エリテマトーデス、爪真菌症およびリウマチ障害を治療および/または予防するために使用することができる。
【0084】
さらに、本発明の化合物を器官または組織への虚血−および/または再灌流−関連損傷を予防するために、ならびに特に外科的介入のためまたは移植医療の分野における、ヒトまたは動物起源の器官、器官の部分、組織または組織の部分のための灌流および保存液のための添加剤として使用することができる。
【0085】
本発明による化合物はまた、腎障害、特に腎機能不全および腎不全を治療および/または予防するのにも適している。本発明の文脈において、「腎機能不全」および「腎不全」という用語は、その急性と慢性の徴候の両方、および根底にあるまたは関連する腎障害、例えば腎低灌流、透析低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球体症、糸球体腎炎、球性糸球体腎炎、糸球体硬化、尿細管間質疾患、腎障害(一次性および先天性腎臓病など)、腎炎、免疫学的腎障害(腎移植拒絶および免疫複合体誘導腎障害など)、有害物質によって誘発される腎障害、造影剤によって誘発される腎障害、糖尿病性および非糖尿病性腎障害、腎盂腎炎、腎嚢胞、腎硬化症、高血圧性腎硬化症、ならびに例えばクレアチニンおよび/または水分排泄の異常な減少、尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの血中濃度の異常な上昇、腎臓酵素、例えば、グルタミル合成酵素の活性変化、尿浸透圧または尿量の変化、微量アルブミン尿の上昇、マクロアルブミン量、糸球体および細動脈の病変、尿細管膨張、高リン酸塩結晶および/または透析の必要性によって診断的に特徴づけられ得るネフローゼ症候群を包含する。本発明はまた、腎機能不全の続発症、例えば、高血圧、肺浮腫、心不全、尿毒症、貧血、電解質異常(例えば、高カリウム血症、低ナトリウム血症)ならびに骨および炭水化物代謝の障害を治療および/または予防するための本発明による化合物の使用も含む。
【0086】
さらに、本発明による化合物は、泌尿生殖器系の障害、例えば、良性前立腺症候群(BPS)、前立腺肥大症(BPH)、良性前立腺腫脹(BPE)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、下部尿路症候群(LUTS)、神経性過活動膀胱(OAB)、失禁(混合型尿失禁、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁または溢流性尿失禁(MUI、UUI、SUI、OUI)など)、骨盤痛ならびに勃起不全および女性性機能不全を治療および/または予防するのに適している。
【0087】
本発明による化合物はまた、喘息障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)および急性肺傷害(ALI)、α1アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺線維症、肺気腫(例えば、タバコ煙誘発性肺気腫)および嚢胞性線維症(CF)ならびに肺動脈高血圧(PAH)および他の型の肺高血圧(PH)(左心不全、HIV、鎌状赤血球貧血、血栓塞栓性サルコイドーシス、COPDもしくは肺線維症に伴う肺高血圧を含む)を治療および/または予防するのにも適している。
【0088】
本発明に記載される化合物はまた、NO/cGMP系の障害を特徴とする中枢神経系障害を制御するための活性化合物でもある。これらは、特に軽度認知障害、加齢性学習および記憶障害、加齢性記憶喪失、血管性認知症、頭蓋脳損傷、脳卒中、脳卒中後に生じる認知症(脳卒中後認知症)、外傷後頭蓋脳損傷、一般的集中障害、学習および記憶の問題を有する小児における集中障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、ピック症候群を含む前頭葉の変性を伴う認知症、パーキンソン病、進行性核性麻痺、皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、脱髄、多発性硬化症、視床性認知症、クロイツフェルト−ヤコブ認知症、HIV認知症、認知症を伴う精神分裂病またはコルサコフ精神病などの状態/疾患/症候群に伴って生じるもののような認知障害後の知覚、集中、学習または記憶を改善するのに特に適している。これらはまた、中枢神経系障害、例えば、不安状態、緊張およびうつ病、CNS関連性機能障害および睡眠障害を治療および/または予防する、ならびに食物、刺激薬および嗜癖性物質の摂取の病理学的障害を制御するのにも適している。
【0089】
本発明による化合物はさらに、脳血流量を制御するのにも適しているので、偏頭痛を制御するための有効な薬剤となる。これらはまた、脳梗塞(脳溢血)の続発症、例えば、脳卒中、脳虚血および頭蓋脳損傷を予防および制御するのにも適している。本発明による化合物を疼痛の状態を制御するためにも使用することができる。
【0090】
さらに、本発明による化合物は抗炎症作用を有するので、敗血症(SIRS)、多臓器不全(MODS、MOF)、腎臓の炎症性障害、慢性腸炎症(IBD、クローン病、潰瘍性大腸炎)、膵炎、腹膜炎、リウマチ障害、炎症性皮膚障害および炎症性目障害を治療および/予防するための抗炎症剤として使用することができる。
【0091】
さらに、本発明による化合物は、内臓、例えば、肺、心臓、腎臓、骨髄および特に肝臓の線維性障害、ならびに皮膚科学的線維症および線維性目障害も治療および/または予防するのに適している。本発明の文脈において、「線維性障害」という用語は特に、肝線維症、肝硬変、肺線維症、心内膜心筋線維症、腎障害、糸球体腎炎、間質性腎線維症、糖尿病から生じる線維化損傷、骨髄線維症および同様の線維性障害、強皮症、限局性強皮症、ケロイド、肥厚性瘢痕、母斑、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症および結合組織の障害(例えば、サルコイドーシス)などの障害を含む。本発明による化合物を、創傷治癒を促進するため、例えば、緑内障手術の結果としての術後瘢痕を制御するため、および加齢または角質化皮膚のために美容的にも使用することができる。
【0092】
その特性プロファイルのために、本発明による化合物は、心血管障害、例えば、心不全、狭心症、高血圧および肺高血圧、ならびに血栓塞栓性障害、虚血、血管障害、微小循環障害、腎機能不全、線維性障害および動脈硬化を治療および/または予防するのに特に適している。
【0093】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための本発明の化合物の使用を提供する。
【0094】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための医薬品を製造するための本発明による化合物の使用を提供する。
【0095】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法への本発明による化合物の使用を提供する。
【0096】
本発明はさらに、有効量の本発明による化合物の少なくとも1種を使用して、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法を提供する。
【0097】
本発明による化合物は、単独で、または必要に応じて他の活性化合物と組み合わせて使用することができる。そのため、本発明はさらに、特に上記障害を治療および/または予防するための、本発明の化合物の少なくとも1種と、1種または複数のさらなる有効成分とを含む医薬品を提供する。組み合わせに適した活性化合物の好ましい例には以下が含まれる:
有機硝酸塩およびNOドナー、例えばニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NO;
環状グアノシン一リン酸(cGMP)の破壊を抑制する化合物、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)1、2および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えばシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル;
グアニル酸シクラーゼのNO非依存性であるがヘム依存性の刺激物質、例えば特にリオシグアトならびに国際公開第00/06568号パンフレット、国際公開第00/06569号パンフレット、国際公開第02/42301号パンフレットおよび国際公開第03/095451号パンフレットに記載されている化合物;
例としておよび好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝固剤または線維溶解促進物質からなる群から選択される抗血栓剤;
例としておよび好ましくはカルシウム拮抗剤、アンジオテンシンAII拮抗剤、ACE阻害剤、エンドセリン拮抗剤、レニン阻害剤、α受容体遮断剤、β受容体遮断剤、ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤および利尿剤からなる群から選択される降圧有効成分;および/または
例としておよび好ましくは甲状腺受容体作動薬、コレステロール合成阻害剤(好ましい例はHMG−CoA還元酵素阻害剤またはスクアレン合成阻害剤である)、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δ作動薬、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、重合胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質拮抗剤からなる群から選択される脂質代謝を変える活性化合物。
【0098】
抗血栓剤は、好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝固剤または線維溶解促進物質からなる群から選択される化合物を意味すると理解される。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を血小板凝集阻害剤、例としておよび好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与する。
【0100】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をトロンビン阻害剤、例としておよび好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ダビガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンと組み合わせて投与する。
【0101】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をGPIIb/IIIa拮抗剤、例えば例としておよび好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与する。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を第Xa因子阻害剤、例としておよび好ましくはリバロキサバン、アピキサバン、フィデキサバン、ラザキサバン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、DU−176b、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与する。
【0103】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与する。
【0104】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をビタミンK拮抗剤、例としておよび好ましくはクマリンと組み合わせて投与する。
【0105】
降圧剤は、好ましくはカルシウム拮抗剤、アンジオテンシンAII拮抗剤、ACE阻害剤、エンドセリン拮抗剤、レニン阻害剤、α受容体遮断剤、β受容体遮断剤、ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤および利尿剤からなる群から選択される化合物を意味すると理解される。
【0106】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をカルシウム拮抗剤、例としておよび好ましくはニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0107】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をα1受容体遮断剤、例としておよび好ましくはとプラゾシン組み合わせて投与する。
【0108】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をβ受容体遮断剤、例としておよび好ましくはプロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0109】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をアンジオテンシンAII拮抗剤、例としておよび好ましくはロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエムブサルタンと組み合わせて投与する。
【0110】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をACE阻害剤、例としておよび好ましくは、エナラプリル、カプロプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル、ペリンドプリルまたはトランドプリルと組み合わせて投与する。
【0111】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をエンドセリン拮抗剤、例としておよび好ましくはボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタンまたはシタクスセンタンと組み合わせて投与する。
【0112】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をレニン阻害剤、例としておよび好ましくはアリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与する。
【0113】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をミネラルコルチコイド受容体拮抗剤、例としておよび好ましくはスピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与する。
【0114】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を利尿剤、例としておよび好ましくはフロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロロメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンと組み合わせて投与する。
【0115】
脂質代謝修飾剤は、好ましくはCETP阻害剤、甲状腺受容体作動薬、コレステロール合成阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤またはスクアレン合成阻害剤など)、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δ作動薬、コレステロール吸収阻害剤、重合胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質拮抗剤からなる群から選択される化合物を意味すると理解される。
【0116】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をCETP阻害剤、例としておよび好ましくはトルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与する。
【0117】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を甲状腺受容体作動薬、例としておよび好ましくはD−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(CGS26214)と組み合わせて投与する。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をスタチンのクラスのHMG−CoA還元酵素阻害剤、例としておよび好ましくはロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をスクアレン合成阻害剤、例としておよび好ましくはBMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与する。
【0120】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をACAT阻害剤、例としておよび好ましくはアバシミベ、メリナミド、パクチミベ、エフルシミベまたはSMP−797と組み合わせて投与する。
【0121】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をMTP阻害剤、例としておよび好ましくはインプリタピド、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与する。
【0122】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をPPAR−γ作動薬、例としておよび好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与する。
【0123】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をPPAR−δ作動薬、例としておよび好ましくはGW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与する。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をコレステロール吸収阻害剤、例としておよび好ましくはエゼチミベ、チクエシドまたはパマクエシドと組み合わせて投与する。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をリパーゼ阻害剤、例としておよび好ましくはオーリスタットと組み合わせて投与する。
【0126】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を重合胆汁酸吸着剤、例としておよび好ましくはコレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム、CholestaGelまたはコレスチミドと組み合わせて投与する。
【0127】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物を胆汁酸再吸収阻害剤、例としておよび好ましくはASBT(=IBAT)阻害剤、例えばAZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与する。
【0128】
本発明の好ましい実施形態では、本発明による化合物をリポタンパク質拮抗剤、例としておよび好ましくはゲムカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
【0129】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、典型的には1種または複数の不活性で非毒性の薬学的に適した賦形剤と共に含む医薬品、および上記目的のためのその使用を提供する。
【0130】
本発明による化合物は全身的におよび/または局所的に作用することができる。この目的のために、化合物を適当な様式で、例えば、経口、非経口、肺、経鼻、舌下、舌、頬側、直腸、真皮、経皮、結膜もしくは耳経路によって、またはインプラントもしくはステントとして投与することができる。
【0131】
本発明による化合物はこれらの投与経路に適した投与形態で投与することができる。
【0132】
経口投与に適した投与形態は、迅速におよび/または修正された様式で先行技術にしたがって作用し、本発明による化合物を放出し、結晶および/または非晶質および/または溶解型の本発明による化合物を含むもの、例えば、錠剤(非コーティング錠、または例えば本発明による化合物の放出を制御する胃液耐性もしくは遅延溶解もしくは不溶性コーティングによるコーティング錠)、口腔内で迅速に崩壊する錠剤またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば、硬または軟ゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤あるいは液剤である。
【0133】
非経口投与は、(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内もしくは腰椎内経路による)吸収ステップを回避して、または(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮もしくは腹腔内経路による)吸収を含めて達成することができる。非経口投与に適した投与形態には、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥物または滅菌散剤の形態での注射および注入製剤が含まれる。
【0134】
経口投与経路については、適当な例に吸入可能な医薬品形態(粉末吸入器、ネブライザー)、点鼻薬、液剤もしくはスプレー、錠剤、舌用のフィルム/オブラートもしくはカプセル剤、舌下もしくは頬側投与、坐剤、耳もしくは目製剤、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振り混ぜ混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、泡、まぶし粉、インプラントまたはステントがある。
【0135】
経口および非経口投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0136】
本発明による化合物を言及する投与形態に変換することができる。これは、不活性で非毒性の薬学的に適した賦形剤と混合することによってそれ自体は既知の様式で達成することができる。これらの賦形剤には、担体(例えば、微結晶セルロース、乳糖、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ポリオキシソルビタン)、バインダー(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄)、ならびに香味剤および/または矯味剤(odour correctant)が含まれる。
【0137】
一般に、非経口投与の場合、約0.001〜1mg/kg、好ましくは約0.01〜0.5mg/kg体重の量を投与して有効な結果を達成することが有利であることが分かった。経口投与の場合、投与量は約0.01〜100mg/kg、好ましくは約0.01〜20mg/kg、最も好ましくは0.1〜10mg/kg体重である。
【0138】
それにもかかわらず、適当な場合には、特に体重、投与経路、活性化合物に対する個々の応答、製剤の性質および投与が行われる期間または間隔の関数として言及量から逸脱することが必要となり得る。したがって、上記最小量未満で十分となる場合がある一方で、言及した上限を超えなけらばならない場合もある。より多量を投与する場合、これらを日にわたって数回の個々の用量に分けることが賢明となり得る。
【0139】
以下の実施例が本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0140】
特段の指定がない限り、以下の試験および実施例中の百分率は重量百分率であり、部は重量部である。液体/液体溶液についての溶媒比、希釈率および濃度データは各場合で体積基準である。
【0141】
A.実施例
略語および頭字語
abs. 無水
Ac アセチル
Alloc アリルオキシカルボニル
aq. 水性、水溶液
ATP アデノシン−5’−三リン酸
Bn ベンジル
Boc tert−ブトキシカルボニル
Brij(登録商標) ポリエチレングリコールドデシルエーテル
BSA ウシ血清アルブミン
Ex. 実施例
Bu ブチル
c 濃度
cat. 触媒
CI 化学イオン化(MSにおける)
d 日
TLC 薄層クロマトグラフィー
DCI 直接化学イオン化(MSにおける)
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
de ジアステレオマー過剰
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
ee エナンチオマー過剰
EI 電子衝撃イオン化(MSにおける)
ent エナンチオマー的に純粋な、エナンチオマー
eq. 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化(MSにおける)
Et エチル
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
GC ガスクロマトグラフィー
sat. 飽和
GTP グアノシン−5’−三リン酸
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAc 酢酸
HOSu N−ヒドロキシスクシンイミド
HPLC 高圧高速液体クロマトグラフィー
iPr イソプロピル
conc. 濃縮
LC-MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
LDA リチウムジイソプロピルアミド
Me メチル
min 分
MS 質量分析
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴分光法
p パラ
Pd/C パラジウム活性炭
Ph フェニル
PMB p−メトキシベンジル(4−メトキシベンジル)
Pr プロピル
rac ラセミ、ラセミ体
Rt 保持指標(TLCにおける)
RP 逆相(HPLCにおける)
RT 室温
Rt 保持時間(HPLCまたはGCにおける)
tBu tert−ブチル
TEA トリエタノールアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシリル
UV 紫外分光法
v/v (溶液の)体積比
Z ベンジルオキシカルボニル
tog. 一緒に
GC−MSおよびLC−MS法:
【0142】
方法1(GC−MS):
装置:Micromass GCT、GC6890;カラム:Restek RTX−35、15m×200μm×0.33μm;一定ヘリウム流量:0.88ml/分;オーブン:70℃;入口:250℃;勾配:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)。
【0143】
方法2(LC−MS):
装置:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ、50mm×1mm;移動相A:水1l+99%ギ酸0.25ml、溶離液B:アセトニトリル1l+99%ギ酸0.25ml;勾配:0.0分90%A→1.2分5%A→2.0分5%A;流量:0.40ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210〜400nm。
【0144】
方法3(LC−MS):
装置:Micromass Quattro Premier with Waters UPLC Acquity;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ、50mm×1mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;勾配:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;流量:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0145】
方法4(LC−MS):
MS装置型:Waters ZQ;HPLC装置型:Agilent 1100シリーズ;UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ、20mm×4mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;勾配:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.1分100%A(流量2.5ml/分);オーブン:55℃;流量:2ml/分;UV検出:210nm。
【0146】
方法5(LC−MS):
MS装置型:Waters(Micromass) Quattro Micro;HPLC装置型:Agilent 1100シリーズ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ、20mm×4mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;勾配:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流量2.5ml/分)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流量:2ml/分;UV検出:210nm。
【0147】
出発材料および中間体:
実施例1A
tert−ブチル1−(3−ブロモ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
アルゴン下、ジイソプロピルアミン199.5ml(1.42mol)を最初に乾燥THF1300mlに装入し、−50℃に冷却した。n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M)569.1ml(1.42mol)をゆっくり滴加した。得られた混合物を0℃に加温し、次いで、−70℃に冷却した。tert−ブチルシクロプロパンカルボキシレート161.9g(1.14mol)のTHF380ml中溶液を反応溶液に添加し、温度を−60℃未満に保った。−78℃で4時間攪拌した後、2−ブロモ−4−(ブロモメチル)−1−フルオロベンゼン262g(0.95mol)のTHF480ml中溶液を添加し、温度を再び−60℃未満に保った。次いで、反応混合物を一晩ゆっくり室温に加温し、その後飽和塩化アンモニウム水溶液1.5lおよび酢酸エチル3.0lを慎重に添加した。相分離後、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル3kg上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/ジクロロメタン9:1、次いで5:1)によって精製した。こうして、標記化合物189.9g(理論値の50.4%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.86-0.92 (m, 2H)、1.06-1.12 (m, 2H)、1.30 (s, 9H)、2.81 (s, 2H)、7.27-7.33 (m, 2H)、7.55-7.60 (m, 1H).
【0148】
実施例2A
tert−ブチル1−[3−(ベンジルアミノ)−4−フルオロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
アルゴン下および乾燥条件下、tert−ブチル1−(3−ブロモ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート174.0g(528.5mmol)、ベンジルアミン69.2ml(634.2mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム4.84g(5.29mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド60.95g(634.2mmol)および(+/−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル3.29g(5.29mmol)をトルエン1218mlに懸濁した。次いで、反応混合物を110℃で2.0時間攪拌した。冷却後、酢酸エチル2.1lおよび半飽和塩化アンモニウム水溶液1.7lを反応混合物に添加した。相分離後、有機相を飽和塩化アンモニウムおよび飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル3.7kg上クロマトグラフィー(移動相石油エーテル/酢酸エチル20:1)によって精製した。こうして、標記化合物145.0g(理論値の68.7%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.51-0.66 (m, 2H)、0.86-0.99 (m, 2H)、1.25 (m, 9H)、2.65 (s, 2H)、4.30 (d, 2H)、6.07 (t, 1H)、6.29-6.54 (m, 2H)、6.88 (dd, 1H)、7.15-7.25 (m, 1H)、7.25-7.42 (m, 4H).
【0149】
実施例3A
tert−ブチル1−(3−アミノ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル1−[3−(ベンジルアミノ)−4−フルオロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート145.0g(407.9mmol)をエタノール1450mlに溶解し、水酸化パラジウム(炭素上20%)9.67gを添加した。懸濁液を標準圧力で水素雰囲気下、室温で18時間攪拌した。次いで、反応混合物を、珪藻土を通して吸引することによって濾別し、濾液を濃縮した。高真空下での乾燥後、ペンタン500mlを残渣に添加すると、生成物の沈殿が得られた。懸濁液を氷浴中で1時間攪拌した。次いで、固体を吸引により濾別し、ペンタンで2回洗浄し、高真空下で乾燥させた。こうして、標記化合物88.5g(理論値の73.6%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.70-0.80 (m, 2H)、1.00-1.10 (m, 2H)、1.30 (s, 9H)、2.68 (s, 2H)、4.98 (s, 2H)、6.28-6.45 (m, 1H)、6.63 (dd, 1H)、6.84 (dd, 1H).
【0150】
実施例4A
tert−ブチル(2E)−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)アクリレート
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
室温でおよびわずかに冷却しながら、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート99.23g(394mmol)を水素化ナトリウム(鉱物油中60%)15.74g(394mmol)のTHF540ml中懸濁液に滴加した。添加が完了した後、混合物を室温で30分間攪拌し、0℃に冷却した後、4−フルオロ−3−ニトロベンズアルデヒド60.5g(358mmol)のTHF324ml中溶液を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、10%濃度塩化ナトリウム水溶液に添加した。混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相石油エーテル/酢酸エチル9:1)によって(2回)精製した。これにより標的生成物82.0g(理論値の84.9%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=6.47分;m/z=211(M−C4H8
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.49 (s, 9H)、6.70 (d, 1H)、7.60-7.75 (m, 2H)、8.20 (ddd, 1H)、8.51 (dd, 1H).
【0151】
実施例5A
tert−ブチル3−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)プロパノエート
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(2E)−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)アクリレート81.0g(303mmol)のTHF810mlおよびエタノール810mlの混合物中溶液をアルゴンで不活性化し、10%パラジウム炭素8.1gを添加した。懸濁液を標準圧力で水素雰囲気下、室温で9時間攪拌した。次いで、反応混合物を、珪藻土を通して吸引することによって濾別し、濾液を濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相石油エーテル/酢酸エチル4:1)によって精製した。これにより標的生成物66.0g(理論値の91%)が得られた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.36 (s, 9H)、2.42 (t, 2H)、2.64 (t, 2H)、5.00 (s, 2H)、6.33 (ddd, 1H)、6.59 (dd, 1H)、6.84 (dd, 1H).
【0152】
実施例6A
tert−ブチル(2E)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)アクリレート
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
0℃でおよびわずかに冷却しながら、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート156.32g(620mmol)を水素化ナトリウム(鉱物油中60%)23.71g(593mmol)のTHF1.0l中懸濁液に滴加した。添加が完了した後、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで、4−クロロ−3−ニトロベンズアルデヒド100.0g(539mmol)のTHF200ml中溶液を添加した。反応混合物を室温で一晩加熱し、次いで、水および酢酸エチルを添加した。有機相を除去し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をイソプロパノールから再結晶した。高真空下で乾燥させると標的生成物144.0g(理論値の94.2%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.28分;m/z=269(M−14)
【0153】
実施例7A
tert−ブチル3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)プロパノエート
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
アルゴン下、10%パラジウム炭素5.4gをtert−ブチル(2E)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)アクリレート72.0g(254mmol)の酢酸エチル1.0l中溶液に添加した。懸濁液を標準圧力で水素雰囲気下、室温で7時間攪拌した。次いで、反応混合物を、珪藻土を通して吸引することによって濾別し、濾液を濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル9:1)によって精製した。これにより標記化合物38g(理論値の58%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.14分;m/z=256(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.36 (s, 9H)、2.43 (t, 2H)、2.65 (t, 2H)、5.21 (br. s, 2H)、6.39 (dd, 1H)、6.62 (d, 1H)、7.05 (d, 1H).
【0154】
実施例8A
エチル(E/Z)−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパ−2−エノエート
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
水素化ナトリウム(鉱物油中60%懸濁液、79.36mmol)3.17gをTHF/DMF混合物(2:1)90mlに懸濁した。混合物を0℃に冷却し、トリエチル2−ホスホノプロピオネート19.76g(82.96mmol)のTHF/DMF(2:1)60ml中溶液を滴加した。30分後、4−フルオロ−3−ニトロベンズアルデヒド12.2g(72.14mmol)のTHF/DMF(2:1)60ml中溶液を0℃で滴加した。添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に加温し、この温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1)によって精製した。これにより標的生成物15.2g(理論値の83.2%)がE/Z異性体混合物(E/Z91:9)として得られた。
LC−MS(方法2):Z異性体:Rt=1.11分;m/z=254(M+H);E異性体:Rt=1.14分;m/z=254(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): E isomer: δ [ppm] = 1.28 (t, 3H)、4.22 (q, 2H)、7.59-7.73 (m, 2H)、7.92 (ddd, 1H)、8.24 (dd, 1H).
【0155】
実施例9A
エチル(+/−)−3−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
パラジウム炭素(10%)をエタノール100mlおよびTHF100mlの混合物中のエチル(E/Z)−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパ−2−エノエート(E/Z91:9)15.2g(60.02mmol)に添加し、混合物を標準圧力で水素雰囲気下、一晩激しく攪拌した。次いで、反応混合物をCeliteを通して濾過し、残渣をエタノール/ジクロロメタンで洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。生成物を高真空下で乾燥させた。これにより標的生成物13.34g(理論値の98.7%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.98分;m/z=226(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.46-2.50 (m, 1H)、2.55-2.66 (m, 1H)、2.66-2.78 (m, 1H)、4.01 (q, 2H)、5.00 (s, 2H)、6.18-6.35 (m, 1H)、6.55 (dd, 1H)、6.84 (dd, 1H).
【0156】
上で得られたラセミ体を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.15ml;温度:30℃;移動相:90%イソヘキサン/10%エタノール;流量:15ml/分;検出:220nm]によってエナンチオマーに分離した。ラセミ体7.25gによりエナンチオマー1(実施例10A)3.43gおよびエナンチオマー2(実施例11A)3.35gが得られた。
【0157】
実施例10A
エチル(+)−(2S)−3−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
収率:3.43g
LC−MS(方法2):Rt=0.97分;m/z=226(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.46-2.50 (m, 1H)、2.55-2.66 (m, 1H)、2.66-2.78 (m, 1H)、4.01 (q, 2H)、5.00 (s, 2H)、6.18-6.35 (m, 1H)、6.55 (dd, 1H)、6.84 (dd, 1H).
[α]D20=+18.3°、c=0.465、クロロホルム。
【0158】
実施例11A
エチル(−)−(2R)−3−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
収率:3.35g
LC−MS(方法2):Rt=0.97分;m/z=226(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.46-2.50 (m, 1H)、2.55-2.66 (m, 1H)、2.68-2.79 (m, 1H)、4.01 (q, 2H)、5.00 (br. s, 2H)、6.30 (dd, 1H)、6.55 (dd, 1H)、6.84 (dd, 1H).
[α]D20=−31.4°、c=0.520、クロロホルム。
【0159】
実施例12A
エチル(E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパ−2−エノエート
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
水素化ナトリウム(鉱物油中60%懸濁液、118.56mmol)4.74gをTHF/DMF混合物(1:1)93mlに懸濁した。混合物を0℃に冷却し、トリエチル2−ホスホノプロピオネート26.6ml(123.95mmol)を滴加した。30分後、4−クロロ−3−ニトロベンズアルデヒド20.0g(107.78mmol)を0℃で添加した。添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に加温し、この温度でさらに3時間攪拌した。次いで、反応混合物を水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル70:1→50:1)によって精製した。これにより標的生成物26.7g(理論値の91.9%)がE/Z異性体混合物(E/Z91:9)として得られた。
LC−MS(方法3):Z異性体:Rt=1.32分;m/z=255;E異性体:Rt=1.36分;m/z=270(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): E isomer: δ [ppm] = 1.28 (t, 3H)、2.06 (d, 3H)、4.22 (q, 2H)、7.56-7.67 (m, 1H)、7.75-7.87 (m, 2H)、8.17 (d, 1H).
【0160】
実施例13A
エチル(+/−)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−2−メチルプロパ−2−エノエート(E/Z91:9)10.0g(37.08mmol)を酢酸エチル25mlおよび酢酸25mlに溶解し、パラジウム炭素(10%)を添加した。反応混合物を標準圧力で水素雰囲気下、計6時間激しく攪拌し、2時間後に酢酸さらに25mlおよび10%パラジウム炭素のさらなる部分を添加した。次いで、混合物をCeliteを通して濾過し、残渣をエタノール/ジクロロメタンで洗浄した。合わせた濾液を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル30:1→10:1)によって精製した。これにより標的生成物4.01g(理論値の44.7%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.06分;m/z=242(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.47-2.50 (m, 1H)、2.56-2.67 (m, 1H)、2.67-2.78 (m, 1H)、4.02 (q, 2H)、5.23 (s, 2H)、6.35 (dd, 1H)、6.58 (d, 1H)、7.05 (d, 1H).
【0161】
上で得られたラセミ体を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak OJ−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.15ml;温度:35℃;移動相:50%イソヘキサン/50%イソプロパノール;流量:15ml/分;検出:220nm]によってエナンチオマーに分離した。ラセミ体10.3gによりエナンチオマー1(実施例14A)4.0gおよびエナンチオマー2(実施例15A)3.7gが得られた。
【0162】
実施例14A
エチル(−)−(2R)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
収率:4.0g
LC−MS(方法4):Rt=2.27分;m/z=196/198。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.47-2.50 (m, 1H)、2.54-2.66 (m, 2H)、2.68-2.80 (m, 1H)、4.02 (q, 2H)、5.23 (s, 2H)、6.35 (dd, 1H)、6.58 (d, 1H)、7.05 (d, 1H).
[α]D20=−35.8°、c=0.560、クロロホルム。
【0163】
実施例15A
エチル(+)−(2S)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパノエート
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
収率:3.7g
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.12 (t, 3H)、2.47-2.50 (m, 1H)、2.56-2.67 (m, 1H)、2.67-2.81 (m, 1H)、4.02 (q, 2H)、5.23 (br. s, 2H)、6.35 (dd, 1H)、6.58 (d, 1H)、7.05 (d, 1H).
[α]D20=+35.1°、c=0.525、クロロホルム。
【0164】
実施例16A
tert−ブチル(2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)ブタ−2−エノエート
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
水素化ナトリウム(鉱物油中60%懸濁液、71.65mmol)2.87gをTHF80mlに懸濁した。混合物を0℃に冷却し、tert−ブチル(ジエトキシホスホリル)アセテート17.6ml(74.9mmol)を滴加した。30分後、4−クロロ−3−ニトロアセトフェノン13.0g(65.1mmol)を0℃で添加した。添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に加温し、室温でさらに1.5時間攪拌し、次いで、混合物を水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1→10:1)によって精製した。これにより標的生成物17.03g(理論値の87.8%)がE/Z異性体混合物(E/Z約1:1)として得られた。
LC−MS(方法5):異性体1:Rt=2.61分;m/z=255;異性体2:Rt=2.77分;m/z=224。
【0165】
実施例17A
tert−ブチル(+/−)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)ブタノエート
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)ブタ−2−エノエート(E/Z約1:1)11.5g(38.62mmol)を酢酸エチル60mlおよび酢酸60mlに溶解し、パラジウム炭素(10%)を添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で6時間激しく攪拌した。混合物をCeliteを通して濾過し、残渣を酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル30:1)によって精製した。これにより標的生成物3.90g(理論値の37.4%)が得られた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.14 (d, 3H)、1.31 (s, 9H)、2.38 (dd, 2H)、2.95 (q, 1H)、5.21 (br. s, 2H)、6.42 (dd, 1H)、6.65 (d, 1H)、7.06 (d, 1H).
【0166】
上で得られたラセミ体を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.15ml;温度:30℃;移動相:90%イソヘキサン/10%エタノール;流量:15ml/分;検出:220nm]によってエナンチオマーに分離した。ラセミ体5.0gによりエナンチオマー1(実施例18A)2.1gおよびエナンチオマー2(実施例19A)1.8gが得られた。
【0167】
実施例18A
(+)−tert−ブチル(3R)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)ブタノエート
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法3):Rt=1.34分;m/z=270(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.14 (d, 3H)、1.31 (s, 9H)、2.19-2.45 (m, 2H)、2.95 (q, 1H)、5.20 (s, 2H)、6.42 (dd, 1H)、6.65 (d, 1H)、7.06 (d, 1H).
[α]D20=+20.9°、c=0.670、クロロホルム。
【0168】
実施例19A
(−)−tert−ブチル(3S)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)ブタノエート
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法3):Rt=1.34分;m/z=214(M+H−C4H8
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.14 (d, 3H)、1.31 (s, 9H)、2.38 (dd, 2H)、2.95 (q, 1H)、5.20 (br. s, 2H)、6.42 (dd, 1H)、6.65 (d, 1H)、7.06 (d, 1H).
[α]D20=−24.1°、c=0.570、クロロホルム。
【0169】
実施例20A
2−ブロモ−4−(ブロモメチル)−1−クロロベンゼン
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ1:
3−ブロモ−4−クロロ安息香酸199.0g(0.845mol)をTHF2.5lに溶解し、溶液を−10℃に冷却し、ボランのTHF中1M溶液1.69l(1.69mol)をこの温度で添加した。反応混合物を一晩室温に加温し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。水を添加した後、混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより(3−ブロモ−4−クロロフェニル)メタノール206gが粗製生成物として得られ、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0170】
ステップ2:
粗製(3−ブロモ−4−クロロフェニル)メタノール260g(約1.05mol)をジクロロメタン2.86lに溶解し、溶液を−5℃に冷却し、三臭化リン127.1g(44.6ml、460mmol)をゆっくり添加した。添加が完了した後、混合物を−5℃でさらに1時間攪拌し、次いで、ジクロロメタンおよび水で希釈した。有機相を除去し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、2−ブロモ−4−(ブロモメチル)−1−クロロベンゼン280.5g(理論値の約84%)が粗製生成物として得られた。
GC−MS(方法1):Rt=5.36分;m/z=281/283/285(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 4.71 (s, 2H)、7.49 (dd, 1H)、7.63 (d, 1H)、7.89 (d, 1H).
【0171】
実施例21A
tert−ブチル1−(3−ブロモ−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
アルゴン下、ジイソプロピルアミン140.2ml(1.0mol)を乾燥THF1200mlに溶解し、−30℃に冷却した。n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M)400ml(1.0mol)を滴加した。得られた混合物を0℃に加温し、次いで、−70℃に冷却した。tert−ブチルシクロプロパンカルボキシレート94.8g(0.667mol)のTHF750ml中溶液を反応溶液に添加し、温度を−60℃未満に保った。−60℃で4時間攪拌した後、2−ブロモ−4−(ブロモメチル)−1−クロロベンゼン208.6g(0.733mol)のTHF550ml中溶液を添加し、温度を再び−60℃未満に保った。反応混合物を一晩室温にゆっくり加温し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液を慎重に添加した。相分離後、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/ジクロロメタン4:1)によって精製した。これにより標記化合物95.5g(理論値の41.4%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=6.54分;m/z=288/290(M−C4H8
LC−MS(方法3):Rt=1.65分;m/z=288/290(M−C4H8
【0172】
実施例22A
tert−ブチル1−[3−(ベンジルアミノ)−4−クロロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
アルゴン下、tert−ブチル1−(3−ブロモ−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート95.0g(274.8mmol)、ベンジルアミン36.0ml(330.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム12.58g(13.7mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド31.69g(329.8mmol)および(+/−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル6.85g(5.29mmol)を乾燥トルエン633mlに連続的に添加した。反応混合物を110℃で3.0時間、次いで、室温で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を珪藻土を通して吸引することにより濾別し、残渣をトルエンおよび酢酸エチルで完全に洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相石油エーテル/酢酸エチル10:1)によって精製した。これにより標記化合物50.0g(理論値の48.9%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.48分;m/z=372(M+H)
【0173】
実施例23A
tert−ブチル1−(3−アミノ−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル1−[3−(ベンジルアミノ)−4−クロロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート50.0g(134.4mmol)を酢酸エチル1.5lに溶解し、パラジウム(炭素上10%)1.43g(1.34mmol)を添加した。反応混合物を標準圧力で水素雰囲気下、室温で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を、珪藻土を通して吸引することによって濾別し、濾液を濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相石油エーテル/酢酸エチル10:1)によって精製した。得られた生成物をメタノール/水混合物(70:30)中で攪拌し、固体を単離した。標的化合物24.3g(理論値の64.1%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.22分;m/z=282(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.74-0.82 (m, 2H)、1.02-1.09 (m, 2H)、1.30 (s, 9H)、2.69 (s, 2H)、5.21 (br. s, 2H)、6.42 (dd, 1H)、6.67 (d, 1H)、7.05 (d, 1H).
【0174】
実施例24A
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ラセミジアステレオマー混合物)
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
D,L−4,4,4−トリフルオロバリン塩酸塩15.0g(72mmol)を飽和重炭酸ナトリウム水溶液160mlに少しずつ導入した。室温で、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド19.8g(79mmol)のジオキサン150ml中溶液を混合物に添加した。得られた反応混合物を2時間激しく攪拌した。次いで、ジオキサンのほとんどを減圧下で除去した。混合物を、1N塩酸を用いてpH約2に酸性化し、次いで、ジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物を高真空下で乾燥させ、さらに精製することなくその後の反応に使用した。これにより標的生成物26.0g(純度約80%、理論値の約95%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=1.96分;m/z=306(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.09/1.12 ((in each case d, tog. 3H)、2.82-3.05 (m, 1H)、4.30/4.59 (in each case dd, tog. 1H)、5.06/5.07 (in each case s, tog. 2H)、7.31-7.39 (m, 5H)、7.77/7.83 (in each case d, tog. 1H).
【0175】
実施例25A
N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ラセミジアステレオマー混合物)
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
スクシンイミド6.63g(57.8mmol)を最初にTHF100mlに装入し、トリエチルアミン10.1ml(72.6mmol)を室温で添加した。0℃に冷却した後、クロロギ酸アリル6.98g(57.8mmol)のTHF10ml中溶液を混合物に滴加した。混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで、トリエチルアミン10.1ml(72.6mmol)およびD,L−4,4,4−トリフルオロバリン塩酸塩10.0g(48.2mmol)を添加した。添加が完了した後、反応混合物を激しく攪拌しながら室温にゆっくり加温し、2時間後に水を添加した。水相を、1N塩酸を用いてpH約2に酸性化し、次いで、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル4:1+1%酢酸)によって精製した。これにより標的生成物9.15g(理論値の74.4%)が得られた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.09/1.12 ((in each case d, tog. 3H)、2.83-3.06 (m, 1H)、4.28/4.57 ((in each case dd, tog. 1H)、4.45-4.53 (m, 2H)、5.14-5.23 (m, 1H)、5.25-5.34 (m, 1H)、5.79-5.96 (m, 1H)、7.70/7.77 (in each case d, tog. 1H)、13.16 (br. s, 1H).
【0176】
実施例26A
エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
室温で、塩化チオニル133ml(1.82mol)を、エタノール580ml中(3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸[A. GerlachおよびU. Schulz、Speciality Chemicals Magazine 24(4)、37〜38(2004);CAS登録番号142:179196]287g(1.65mol)にゆっくり添加した。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、水250mlをゆっくり添加し、混合物を毎回tert−ブチルメチルエーテル150mlで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下30℃および300mbar圧力で除去した。次いで、粗製生成物を100mbarおよびヘッド温度65℃で蒸留した。これにより標記化合物225.8g(113mol、理論値の74%)が無色液体として得られた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 4.10 (2H, q)、2.88-2.72 (1H, m)、2.66-2.57 (1H, m)、2.46-2.36 (1H, m)、1.19 (3H, t)、1.11 (3H, d).
GC−MS(方法1):Rt=1.19分;m/z=184(M)
[α]D20=+16.1°、c=0.41、メタノール。
【0177】
実施例27A
エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ1:エチル(3S)−2−ブロモ−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
n−ブチルリチウム溶液のヘキサン中2.5M溶液91.2ml(228mmol)を、−40℃に冷却したジイソプロピルアミン32.0ml(228mmol)の無水THF160ml中溶液に添加した。得られたLDA溶液を−40℃で30分間攪拌し、次いで、−78℃に冷却し、その後、クロロトリメチルシラン52.4ml(413mmol)を滴加した。5分後、(+)−エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート40.0g(217.2mmol)を無水THF40mlに溶解し、1時間の期間にわたって滴加した。−78℃でN−ブロモスクシンイミド計40.59g(228mmol)を3回に分けて得られた懸濁液に添加し、次いで、混合物を一晩室温にゆっくり加温した。水を慎重に添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、加熱することなく減圧下で濃縮した。ジエチルエーテル130mlを得られた懸濁液に添加し、混合物を一晩4℃に保った。次いで、形成した未溶解固体を濾別し、捨てた。濾液を加熱することなく減圧下で濃縮し、残渣を高真空下で短時間乾燥させた。これによりエチル(3S)−2−ブロモ−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)48.5gが粗製生成物として得られた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.18-1.29 (m, 6H)、3.15-3.29 (m, 1H)、4.15-4.25 (m, 2H)、4.84-4.90 (m, 1H).
【0178】
ステップ2:エチル(3R)−2−アジド−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
粗製エチル(3S)−2−ブロモ−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)48.5gをDMF130mlに溶解し、アジ化ナトリウム17.98g(276.55mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩激しく攪拌した。次いで、混合物を酢酸エチル600mlで希釈し、pH8に調整した飽和塩化ナトリウム溶液と水の1:1混合物で洗浄した。相分離後、水相を酢酸エチル200mlで再抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液と水の1:1混合物によって毎回100mlで2回および毎回50mlで2回連続的に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、加熱することなく減圧下で濃縮した。残渣を高真空下で短時間乾燥させた(ガス抜き時注意)。これによりエチル(3R)−2−アジド−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)32.8gが粗製生成物として得られ、これをさらに直接反応させた。
【0179】
ステップ3:エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
粗製(3R)−2−アジド−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)32.8gをエタノール110mlに溶解し、アルゴンによる不活性化後、パラジウム炭素(5%)6.98gを添加した。混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩攪拌し、反応容器を繰り返しガス抜きし、新鮮な水素を充填した。次いで、反応混合物をCeliteを通して濾過し、濾過残渣をエタノール50mlで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した(最大約20mmHg)。残っていたわずかに黄色がかった液体を高真空下で残留溶媒から短時間取り除いた。これにより標的化合物23.5gが約70%純度の粗製生成物として得られ、これをさらには精製しなかった(3ステップにわたる収率は理論値の約38%)。
GC−MS(方法1):Rt=1.92分および2.01分;各場合でm/z=126(M−C3H5O2
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 0.99-1.10 (m, 3H)、1.10-1.24 (m, 3H)、2.75-2.82 (m, 1H)、3.61/3.66 (in each case d, tog. 1H)、4.04-4.18 (m, 2H).
【0180】
実施例28A
エチル(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物、粗製生成物約70%)23.5gおよびトリエチルアミン18.1ml(130mmol)をTHF235mlに溶解し、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド32.3g(130mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル6:1)によって精製した。これにより標的生成物22.1g(理論値の約80%、ジアステレオマー比約2:1)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=6.02分および6.10分;各場合でm/z=333(M)
LC−MS(方法2):Rt=1.13分;m/z=334(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.10 (2d, tog. 3H)、1.15-1.23 (m, 3H)、2.80-3.07 (m, 1H)、4.08-4.21 (m, 2H)、4.38/4.62 (in each case dd, tog. 1H)、5.03-5.10 (m, 2H)、7.21-7.44 (m, 5H)、7.99 (2d, tog. 1H).
【0181】
実施例29A
(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ジアステレオマー混合物)
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)2.15g(6.45mmol)をそれぞれ8mlのTHF、メタノールおよび水の混合物に溶解し、水酸化ナトリウム3.87g(96.8mmol)を0℃で添加した。氷冷を除去し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、混合物を水に添加し、半濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより標的生成物1.95gが得られ、これをさらには精製しなかった(理論値の約99%、ジアステレオマー比約2.8:1)。
LC−MS(方法5):Rt=2.01分;m/z=306(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.09/1.11 (in each case d, tog. 3H)、2.79-3.06 (m, 1H)、4.31/4.61 (in each case dd, tog. 1H)、5.05-5.09 (m, 2H)、7.26-7.40 (m, about 5H)、7.76/7.83 (in each case d, tog. 1H)、12.63 (br. s, 1H).
【0182】
実施例30A
エチル(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
トリエチルアミン9.7ml(69.3mmol)を、スクシンイミド6.38g(55.4mmol)の無水THF90ml中溶液に滴加した。得られた懸濁液を0℃に冷却し、クロロギ酸アリル6.68g(55.4mmol)の無水THF10ml中溶液を滴加した。混合物を0℃で1時間攪拌し、エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物、粗製生成物)計9.2g(約46mmol)を3回に分けて添加した。反応混合物を一晩室温に加温し、次いで、酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1→4:1)によって精製した。これにより標的生成物6.50g(理論値の約50%、ジアステレオマー比約2:1)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=3.96分および4.06分;各場合でm/z=210(M−C3H5O2
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.07-1.13 (m, 3H)、1.17-1.23 (m, 3H)、2.82-3.05 (m, 1H)、4.10-4.18 (m, 2H)、4.36/4.60 (in each case dd, tog. 1H)、4.48-4.54 (m, 2H)、5.19 (d, 1H)、5.30 (d, 1H)、5.82-5.98 (m, 1H)、7.84-7.96 (m, 1H).
【0183】
実施例31A
(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ジアステレオマー混合物)
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリネート(ジアステレオマー混合物)6.50g(22.9mmol)をそれぞれ28mlのTHF、メタノールおよび水の混合物に溶解し、水酸化ナトリウム13.77g(344mmol)を0℃で添加した。氷冷を除去し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を水に添加し、半濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより標的生成物4.39gが得られ、これをさらには精製しなかった(理論値の75%、ジアステレオマー比約2.5:1)。
MS(DCI):m/z=186(M−CF3
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.07-1.11 (m, 3H)、2.83-3.03 (m, 1H)、4.28/4.57 (in each case dd, tog. 1H)、4.47-4.53 (m, 2H)、5.19 (d, 1H)、5.30 (d, 1H)、5.83-5.98 (m, 1H)、7.70/7.78 (in each case d, tog. 1H).
【0184】
実施例32A
tert−ブチル1−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート(ラセミジアステレオマー混合物)
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ラセミジアステレオマー混合物)4.80g(15.7mmol)およびtert−ブチル1−(3−アミノ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート5.01g(18.9mmol)を、DMF40mlとピリジン10mlの混合物に溶解し、HATU6.58g(17.3mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、次いで、合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1→10:1)によって精製した。これにより標的生成物5.34g(理論値の61.5%、ジアステレオマー比約2.5:1)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=2.84分;m/z=497(M−C4H7
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 0.80-0.86 (m, 2H)、1.03-1.09 (m, 2H)、1.12 (d, 3H)、1.28/1.29 (in each case s, tog. 9H)、2.78-2.83 (m, 2H)、2.97-3.07 (m, 1H)、4.67/4.84 (t and dd, tog. 1H)、5.07/5.08 (in each case s, tog. 2H)、7.02-7.10 (m, 1H)、7.17 (dd, 1H)、7.28-7.40 (m, 5H)、7.62/ 7.67 (in each case dd, tog. 1H)、7.80-7.89 (m, 1H)、9.98/10.12 (in each case s, tog. 1H).
【0185】
実施例33A
tert−ブチル3−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]プロパノエート(ラセミジアステレオマー混合物)
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ラセミジアステレオマー混合物)10.30g(33.7mmol)およびtert−ブチル3−(3−アミノ−4−フルオロベンジル)プロパノエート9.69g(40.5mmol)を、DMF40mlとピリジン10mlの混合物に溶解し、HATU16.68g(43.9mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)によって予備精製した。生成物を含有する分画を減圧下で濃縮し、残渣をシクロヘキサン/ジエチルエーテル5:1と共に攪拌した。得られた固体を吸引して濾別し、高真空下で乾燥させた。これにより標的生成物12.29g(理論値の69%、ジアステレオマー比約2.5:1)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.29分;m/z=471(M−C4H7
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.12 (d, 3H)、1.30-1.37 (m, 9H)、2.48 (t, about 2H)、2.78 (t, 2H)、2.95-3.08 (m, 1H)、4.67/4.84 (t and dd, tog. 1H)、5.07/5.08 (in each case s, tog. 2H)、7.00-7.08 (m, 1H)、7.16 (dd, 1H)、7.26-7.44 (m, 5H)、7.55-7.63 (m, 1H)、7.77-7.88 (m, 1H)、9.96/10.10 (in each case s, tog. 1H).
【0186】
一般的手順1:N−保護4,4,4−トリフルオロバリン誘導体とアニリンのHATU媒介アミドカップリング
室温で、HATU(1.0〜2.0当量)を、当該N−保護4,4,4−トリフルオロバリン誘導体(約0.8〜1.5当量、0.15〜1.5mol/l)およびアニリン(約0.8〜1.5当量、0.15〜1.5mol/l)のDMFとピリジンの混合物(混合比約3:1〜1.5:1)中溶液に添加する。あるいは、ピリジンの代わりにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.0〜5.0当量)を用いることも可能である。得られた混合物を室温〜60℃の温度で4時間〜48時間攪拌する。適当であれば、24時間後に、さらなる部分のアニリン成分またはトリフルオロバリン誘導体およびHATUを添加する。反応が完了した後、粗製生成物を、減圧下での溶媒の除去後に、分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水勾配)によって、あるいは反応混合物の水性後処理後にシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/ジエチルエーテル、石油エーテル/酢酸エチル、シクロヘキサン/酢酸エチルまたはジクロロメタン/メタノール混合物)によって精製することができる。
【0187】
以下の実施例を一般的手順1にしたがって調製した:
【0188】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
実施例43A
エチル(2S)−3−[3−({(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物)
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ジアステレオマー混合物)0.87g(2.85mmol)および(+)−エチル(2S)−3−(3−アミノ−4−フルオロフェニル)−2−メチルプロパノエート0.77g(3.42mmol)を、DMF5mlとピリジン2.5mlの混合物に溶解し、HATU1.41g(3.71mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。混合物を、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル6:1)によって精製した。これにより標的生成物1.27g(理論値の約87.2%、ジアステレオマー比約4.8:1)が得られた。
LC−MS(方法3):Rt=1.41分;m/z=513(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.04-1.15 (m, 9H)、2.62-2.72 (m, about 2H)、2.76-2.86 (m, 1H)、2.96-3.06 (m, 1H)、3.96-4.05 (m, 2H)、4.84 (dd, 1H)、5.07/5.08 (in each case s, tog. 2H)、7.01 (td, 1H)、7.17 (dd, 1H)、7.27-7.41 (m, 5H)、7.50-7.59 (m, 1H)、7.82-7.88 (m, 1H)、9.99/10.13 (in each case s, tog. 1H).
【0190】
実施例44A
エチル(2S)−3−[3−({(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物)
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ジアステレオマー混合物)1.26g(純度76%、約3.14mmol)および(+)−エチル(2S)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパノエート0.91g(3.76mmol)を、DMF10mlとピリジン4mlの混合物に溶解し、HATU1.55g(4.08mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、次いで、合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた固体をシクロヘキサンとジエチルエーテルの混合物(約3:1)中で攪拌し、吸引して濾別し、高真空下で乾燥させた。これにより標的生成物0.99g(理論値の59.9%、ジアステレオマー比約7:1)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.32分;m/z=529(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): main diastereomer δ [ppm] = 1.03-1.18 (m, 9H)、2.62-2.75 (m, 2H)、2.80-2.90 (m, 1H)、3.03-3.13 (m, 1H)、4.01 (q, 2H)、4.85 (dd, 1H)、5.04-5.16 (m, 2H)、7.06 (dd, 1H)、7.25-7.49 (m, about 7H)、7.89 (d, 1H)、9.75 (s, 1H).
【0191】
実施例45A
tert−ブチル1−[3−({(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート(ジアステレオマー混合物)
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリン(ジアステレオマー混合物)398.5mg(1.56mmol)およびtert−ブチル1−(3−アミノ−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート400mg(1.42mmol)を、DMF4.7mlとピリジン1.6mlの混合物に溶解し、HATU647.8mg(1.70mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。さらにtert−ブチル1−(3−アミノ−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート400mg(1.42mmol)およびHATU647.8mg(1.70mmol)を添加し、反応混合物を50℃でさらに4時間攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液、1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物を分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水)によって精製した。これにより標的生成物453mg(理論値の55.9%、ジアステレオマー比>8:1)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.31分;m/z=519(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.84 (q, 2H)、1.04-1.09 (m, 2H)、1.15 (d, 3H)、1.30 (s, 9H)、2.83 (s, 2H)、3.02-3.11 (m, 1H)、4.54 (d, 2H)、4.79-4.86 (m, 1H)、5.19 (d, 1H)、5.28-5.35 (m, 1H)、5.84-5.99 (m, 1H)、7.12 (dd, 1H)、7.40-7.45 (m, 1H)、7.49-7.56 (m, 1H)、7.84 (d, 1H)、9.78 (s, 1H).
【0192】
実施例46Aおよび実施例47A
(+/−)−tert−ブチル1−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]ベンジル}シクロプロパンカルボキシレート(ジアステレオマー1および2)
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル1−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート(実施例32A、ラセミジアステレオマー混合物)5.31g(9.61mmol)を、エタノール100mlとTHF20mlの混合物に溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(10%)511mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過し、エタノール/THFで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル50:1→4:1)によって精製し、ジアステレオマーを分離した:
【0193】
実施例46A(ジアステレオマー1):
収率:3.03g(理論値の75.4%)
LC−MS(方法2):Rt=1.05分;m/z=419(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.80-0.86 (m, 2H)、1.00-1.10 (m, 5H)、1.30 (s, 9H)、2.75-2.87 (m, 2H)、2.92-3.04 (m, 1H)、3.80 (br. s, 1H)、6.95-7.07 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.99 (dd, 1H)、10.01 (br. s, about 1H).
【0194】
実施例47A(ジアステレオマー2):
収率:0.88g(理論値の21.9%)
LC−MS(方法2):Rt=0.96分;m/z=419(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.79-0.85 (m, 2H)、1.04-1.10 (m, 2H)、1.18 (d, 3H)、1.30 (s, 9H)、2.81 (s, 2H)、2.86-2.97 (m, 1H)、3.61 (br. s, 1H)、6.93-7.04 (m, 1H)、7.17 (dd, 1H)、7.93 (dd, 1H)、9.89 (br. s, about 1H).
【0195】
実施例48Aおよび実施例49A
(+/−)−tert−ブチル3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}プロパノエート(ジアステレオマー1および2)
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル3−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]プロパノエート(実施例33A、ラセミジアステレオマー混合物)12.29g(23.3mmol)を、エタノール80mlとTHF20mlの混合物に溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(10%)745mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過し、エタノール/THFで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1→4:1)によって精製し、ジアステレオマーを分離した:
【0196】
実施例48A(ジアステレオマー1):
収率:5.72g(理論値の62.5%)
LC−MS(方法2):Rt=0.92分;m/z=393(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.49 (t, about 2H, obscured)、2.78 (t, 2H)、2.92-3.04 (m, 1H)、3.80 (br. s, 1H)、6.85-7.04 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.92 (dd, 1H).
実施例49A(ジアステレオマー2):
収率:2.61g(理論値の28.5%)
LC−MS(方法2):Rt=0.87分;m/z=393(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.18 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.49 (t, about 2H, obscured)、2.78 (t, 2H)、2.84-2.97 (m, 1H)、3.55-3.66 (m, 1H)、7.00 (td, 1H)、7.17 (dd, 1H)、7.86 (dd, 1H).
【0197】
実施例50A
(+)−tert−ブチル3−(4−フルオロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られたtert−ブチル3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}プロパノエート(実施例48A)のラセミジアステレオマー1を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.25ml;温度:45℃;移動相:80%イソヘキサン/20%エタノール(+0.2%ジエチルアミン);流量:15ml/分;検出:220nm]によってエナンチオマーに分離した。ラセミ体5.70gにより標記化合物2.59g(エナンチオマー2として)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.93分;m/z=393(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.49 (t, about 2H, obscured)、2.78 (t, 2H)、2.92-3.04 (m, 1H)、3.80 (br. s, 1H)、6.95-7.03 (m, 1H)、7.19 (dd, 1H)、7.92 (dd, 1H).
[α]D20=+24.2°、c=0.500、クロロホルム。
【0198】
実施例51Aおよび実施例52A
(+/−)−tert−ブチル3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}プロパノエート(ジアステレオマー1および2)
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル3−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]プロパノエート(実施例34A、ラセミジアステレオマー混合物)3.19g(5.87mmol)を、酢酸エチル50mlに溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(5%)125mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で3時間激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル50:1→3:1)によって精製し、ジアステレオマーを分離した:
【0199】
実施例51A(ジアステレオマー1):
収率:1.73g(理論値の72.1%)
LC−MS(方法2):Rt=1.09分;m/z=409(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.48-2.53 (m, about 2H, obscured)、2.74-2.83 (m, 2H)、2.96-3.17 (m, 1H)、3.82 (br. s, 1H)、7.02 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.00-8.16 (m, 1H).
【0200】
実施例52A(ジアステレオマー2):
収率:0.193g(理論値の8.0%)
LC−MS(方法2):Rt=0.99分;m/z=409(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.22 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.48-2.52 (m, about 2H, obscured)、2.76-2.85 (m, 2H)、2.95-3.12 (m, 1H)、3.61 (br. s, 1H)、7.01 (dd, 1H)、7.41 (d, 1H)、8.05 (d, 1H).
【0201】
実施例53A
(+)−tert−ブチル3−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)プロパノエート
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル3−[3−({(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]プロパノエート(実施例35A、ジアステレオマー混合物)1.17g(2.16mmol)を、酢酸エチル20mlに溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(5%)229mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で8時間激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル50mlに再溶解した。溶液をアルゴンで不活性化した後、パラジウム炭素(5%)さらに230mgを添加し、反応混合物を標準水素圧力下でさらに4時間激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をTHF20mlに再溶解した。溶液をアルゴンで不活性化した後、パラジウム炭素(5%)さらに230mgを添加し、反応混合物を標準水素圧力下でさらに3時間激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル40:1→5:1)によって精製し、ジアステレオマーに分離した。これにより標記化合物197mg(理論値の22.4%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.08分;m/z=409(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.35 (s, 9H)、2.48-2.52 (m, about 2H, obscured)、2.76-2.84 (m, 2H)、3.02-3.12 (m, 1H)、3.80-3.86 (m, 1H)、7.02 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.10-8.14 (m, 1H).
[α]D20=+15.6°、c=0.625、クロロホルム。
【0202】
実施例54A
エチル(2S)−3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(2S)−3−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例36A、4つの異性体の混合物)2.60g(5.07mmol)を、エタノール10.7mlとTHF10.7mlの混合物に溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(10%)322mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過し、ジクロロメタン/メタノールで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1→4:1)によって精製し、分離した。これにより標記化合物1.39gがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の72.4%)。
LC−MS(方法5):Rt=1.60分;m/z=379(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.01-1.15 (m, 9H)、2.62-2.72 (m, 2H)、2.78-2.88 (m, 1H)、2.90-3.06 (m, 1H)、3.81 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.90-7.00 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.88 (d, 1H).
【0203】
実施例55A
(+)−エチル(2S)−3−(4−フルオロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパノエート
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
プロセスA:
上で得られたエチル(2S)−3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(実施例54A)のジアステレオマー混合物1を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.25ml;温度:45℃;移動相:30%イソヘキサン/70%エタノール(+0.2%ジエチルアミン);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。ジアステレオマー混合物1.39gにより標記化合物0.626g(エナンチオマー2として)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=1.58分;m/z=379(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.02-1.15 (m, 9H)、2.62-2.72 (m, 2H)、2.76-2.88 (m, 1H)、2.91-3.06 (m, 1H)、3.81 (br. s, 1H)、3.97-4.04 (m, 2H)、6.88-7.00 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.88 (dd, 1H).
[α]D20=+54.1°、c=0.530、クロロホルム。
【0204】
プロセスB:
エチル(2S)−3−[3−({(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例43A、ジアステレオマー混合物)1.274g(2.49mmol)を、エタノール10mlとTHF10mlの混合物に溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(10%)132mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過し、ジクロロメタン/メタノールで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル5:1→2:1)によって精製し、分離した。これにより標記化合物713mg(理論値の75.9%)が得られた。
LC−MS(方法3):Rt=0.93分;m/z=379(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.02-1.14 (m, 9H)、2.63-2.72 (m, 2H)、2.78-2.88 (m, 1H)、2.91-3.07 (m, 1H)、3.81 (br. s, 1H)、3.94-4.05 (m, 2H)、6.91-6.99 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.89 (dd, 1H).
[α]D20=+48.1°、c=0.525、クロロホルム。
【0205】
実施例56A
エチル(2R)−3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(2R)−3−[3−({N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−フルオロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例37A、4つの異性体の混合物)2.36g(4.61mmol)を、エタノール9.8mlとTHF9.8mlの混合物に溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(10%)293mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で一晩激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過し、ジクロロメタン/メタノールで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1→4:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物1.35gがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の77.2%)。
LC−MS(方法5):Rt=1.54分;m/z=379(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.07 (d, 3H)、1.11 (t, 3H)、2.61-2.72 (m, 2H)、2.77-2.88 (m, 1H)、2.91-3.06 (m, 1H)、3.81 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.92-7.00 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.88 (d, 1H).
【0206】
実施例57A
(+)−エチル(2R)−3−(4−フルオロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパノエート
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られたエチル(2R)−3−{4−フルオロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(実施例56A)のジアステレオマー混合物1を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.4ml;温度:45℃;移動相:80%イソヘキサン/20%エタノール(+0.2%ジエチルアミン);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。ジアステレオマー混合物1.35gにより標記化合物0.635g(ジアステレオマー2として)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.85分;m/z=379(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.07 (d, 3H)、1.11 (t, 3H)、2.64-2.70 (m, 2H)、2.77-2.88 (m, 1H)、2.91-3.04 (m, 1H)、3.81 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.89-6.99 (m, 1H)、7.18 (dd, 1H)、7.88 (dd, 1H).
[α]D20=+2.0°、c=0.640、クロロホルム。
【0207】
実施例58A
エチル(2R)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(2R)−3−[3−({N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例38A、4つの異性体の混合物)1.40g(2.92mmol)およびジメドン3.28g(23.4mmol)を無水THF10mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)67.6mg(0.058mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル40:1→20:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物844mgがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の73.1%)。
LC−MS(方法2):Rt=0.99分;m/z=395(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.00-1.15 (m, 9H)、2.62-2.75 (m, 2H)、2.79-2.90 (m, 1H)、2.99-3.13 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.98 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.07 (t, 1H).
【0208】
実施例59A
エチル(2R)−3−{4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパノエート
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られたエチル(2R)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(実施例58A)のジアステレオマー混合物1を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.40ml;温度:45℃;移動相:80%イソヘキサン/20%エタノール(+2%ジエチルアミン);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。ジアステレオマー混合物840mgにより標記化合物382mg(ジアステレオマー2として)が得られた。
LC−MS(方法3):Rt=1.05分;m/z=395(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.07 (d, 3H)、1.11 (t, 3H)、2.62-2.75 (m, 2H)、2.80-2.90 (m, 1H)、3.01-3.13 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.98 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.07 (d, 1H).
[α]D20=−5.9°、c=0.500、クロロホルム。
【0209】
実施例60A
エチル(2S)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(2S)−3−[3−({N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例39A、4つの異性体の混合物)2.24g(4.68mmol)およびジメドン5.25g(37.4mmol)を無水THF25mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)108.1mg(0.094mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル40:1→20:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物1.65gがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の89.4%)。
LC−MS(方法2):Rt=0.99分;m/z=395(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.07 (d, 3H)、1.11 (t, 3H)、2.64-2.75 (m, 2H)、2.80-2.90 (m, 1H)、3.02-3.12 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、4.01 (q, 2H)、6.98 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.07 (d, 1H).
【0210】
実施例61A
(+)−エチル(2S)−3−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)−2−メチルプロパノエート
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
プロセスA:
上で得られたエチル(2S)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}−2−メチルプロパノエート(実施例60A)のジアステレオマー混合物1を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.25ml;温度:45℃;移動相:80%イソヘキサン/20%エタノール(+0.2%ジエチルアミン);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。ジアステレオマー混合物1.65gにより標的化合物0.78gが得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.99分;m/z=395(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.08 (d, 3H)、1.10 (t, 3H)、2.64-2.74 (m, 2H)、2.80-2.88 (m, 1H)、3.01-3.12 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、3.97-4.05 (m, 2H)、6.98 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.07 (d, 1H).
[α]D20=+40.4°、c=0.565、クロロホルム。
【0211】
プロセスB:
エチル(2S)−3−[3−({(3R)−N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]−2−メチルプロパノエート(実施例44A、ジアステレオマー混合物)0.99g(1.87mmol)を、酢酸エチル50mlに溶解した。溶液をアルゴンで不活性化し、パラジウム炭素(5%)40mgを添加した。反応混合物を水素雰囲気下標準圧力で4時間激しく攪拌した。珪藻土を通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1→5:1)によって精製し、分離した。これにより標記化合物444mg(理論値の60.1%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.95分;m/z=395(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.04 (d, 3H)、1.08 (d, 3H)、1.10 (t, 3H)、2.62-2.74 (m, 2H)、2.79-2.89 (m, 1H)、3.03-3.12 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、3.97-4.08 (m, 2H)、6.98 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.08 (d, 1H).
[α]D20=+34.1°、c=0.525、クロロホルム。
【0212】
実施例62A
tert−ブチル(3R)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}ブタノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(3R)−3−[3−({N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]ブタノエート(実施例40A、4つの異性体の混合物)630mg(1.24mmol)およびジメドン1.394g(9.94mmol)を無水THF10mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)28.7mg(0.025mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル40:1→20:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物420mgがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の79.9%)。
LC−MS(方法2):Rt=1.14分;m/z=423(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.04/1.05 (in each case d, tog. 3H)、1.19/ 1.20 (in each case d, tog. 3H)、1.29 (s, 9H)、2.35-2.48 (m, 2H)、2.97-3.16 (m, 2H)、3.83 (br. s, 1H)、7.06 (dt, 1H)、7.43 (dd, 1H)、8.16 (d, 1H).
【0213】
実施例63A
tert−ブチル(3S)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}ブタノエート(ジアステレオマー混合物1)
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(3S)−3−[3−({N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]ブタノエート(実施例41A、4つの異性体の混合物)1.39g(2.74mmol)およびジメドン3.08g(21.9mmol)を無水THF9.4mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)63.4mg(0.055mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル40:1→20:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物950mgがジアステレオマー混合物1として得られた(理論値の81.9%)。
LC−MS(方法2):Rt=1.15分;m/z=423(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 1.04/1.05 (in each case d, tog. 3H)、1.19/ 1.20 (in each case d, tog. 3H)、1.29 (s, 9H)、2.29-2.48 (m, 2H)、2.99-3.16 (m, 2H)、3.83 (br. s, 1H)、7.06 (dt, 1H)、7.43 (dd, 1H)、8.16 (d, 1H).
【0214】
実施例64A
tert−ブチル(3S)−3−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}フェニル)ブタノエート
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(3S)−3−[3−({(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロフェニル]ブタノエート(実施例42A、ジアステレオマー混合物)1.30mg(2.56mmol)およびジメドン2.88g(20.5mmol)を無水THF8.7mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)59.3mg(0.051mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物591mg(理論値の54.5%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.14分;m/z=423(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.05 (d, 3H)、1.19 (d, 3H)、1.29 (s, 9H)、2.38-2.48 (m, 2H)、3.02-3.16 (m, 2H)、3.83 (d, 1H)、7.06 (dd, 1H)、7.43 (d, 1H)、8.16 (d, 1H).
【0215】
実施例65A
(+)−tert−ブチル1−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル1−[3−({(3R)−N−[(アリルオキシ)カルボニル]−4,4,4−トリフルオロバリル}アミノ)−4−クロロベンジル]シクロプロパンカルボキシレート(実施例45A、ジアステレオマー混合物)450mg(0.867mmol)およびジメドン972.4mg(6.94mmol)を無水THF3mlに最初に装入した。室温で、溶液を30分間アルゴンに通過させることによって脱酸素した。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)20.0mg(0.017mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸エチルで希釈した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回および飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル20:1)によって精製し、分離した。これにより標的化合物221.4mg(理論値の58.7%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.15分;m/z=435(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.82-0.87 (m, 2H)、1.04 (d, 3H)、1.06-1.10 (m, 2H)、1.29 (s, 9H)、2.77-2.90 (m, 2H)、3.02-3.12 (m, 1H)、3.83 (br. s, 1H)、7.04 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、8.12-8.23 (m, 1H).
[α]D20=+16.1°、c=0.425、クロロホルム。
【0216】
実施例66A
3−(トリフルオロメチル)ペンタン−1,5−ジオール
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
3−(トリフルオロメチル)ペンタン二酸12.0g(59.97mmol)を無水THF70mlに溶解し、−10℃に冷却した後、水素化アルミニウムリチウムのTHF中1M溶液120ml(120mmol)を滴加した。添加が完了した後、反応混合物を一晩室温に加温した。0℃に冷却した後、最初にイソプロパノール約10ml、次いでイソプロパノール/水混合物(3:1)20mlを慎重に滴加した。得られた懸濁液を、1N塩酸を添加することによって酸性化し、Celiteと混合した。混合物を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。残留水を除去するために、アセトニトリルを得られた油に添加し、混合物をもう一度減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル4:1→1:1)によって精製した。これにより標的生成物4.5g(理論値の43.6%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=2.76分;m/z=153(M−H3O)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.49-1.57 (m, 2H)、1.67-1.75 (m, 2H)、2.30-2.48 (m, 1H)、3.47 (q, 4H)、4.61 (t, 2H).
【0217】
実施例67A
3−フェニルペンタン−1,5−ジオール
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
3−フェニルグルタル酸3.0g(14.4mmol)を無水THF20mlに溶解し、混合物を−10℃に冷却し、水素化アルミニウムリチウムのTHF中1M溶液31.7ml(31.7mmol)を滴加した。添加中、無水THFさらに50mlを添加した。得られた懸濁液をゆっくり室温に加温し、室温で一晩攪拌した。0℃に冷却した後、最初にイソプロパノール、次いでイソプロパノールと水の混合物(3:1)を慎重に滴加した。得られた懸濁液を、1N塩酸を添加することによって酸性化し、Celiteと混合した。混合物をCeliteを通して濾過し、濾過ケークをイソプロパノールで洗浄し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル2:1→1:1)によって精製した。これにより標的生成物1.9g(理論値の73%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=5.53分;m/z=163(M−OH)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.56-1.71 (m, 2H)、1.72-1.83 (m, 2H)、2.68-2.86 (m, 1H)、3.12-3.29 (m, 4H)、4.32 (t, 2H)、7.10-7.21 (m, 3H)、7.23-7.32 (m, 2H).
商業的に入手可能ではないさらなる3−置換ペンタン−1,5−ジオールは、例えば、以下の3ステップ順序68A−69A−70Aと同様に調製することができる。
【0218】
実施例68A
エチル3−シクロプロピルアクリレート
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
0℃で、エチルジエチルホスホノアセテート13.0ml(64.85mmol)を水素化ナトリウム(鉱物油中60%)2.59g(64.85mmol)の無水THF110ml中懸濁液に滴加した。30分後、混合物を室温に加温し、再度0℃に冷却した後、シクロプロパンカルボキシアルデヒド5.3ml(71.34mmol)を滴加した。添加が完了した後、反応混合物を室温に加温し、DMF35mlで希釈した。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を減圧下で濃縮し、粗製生成物をシリカゲルを通す濾過(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1→6:1)によって精製した。これにより標的生成物8.53g(理論値の93.8%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=2.83分;m/z=112(M−C2H4
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.59-0.70 (m, 2H)、0.88-0.95 (m, 2H)、1.19 (t, 3H)、1.54-1.72 (m, 1H)、4.08 (q, 2H)、5.93 (d, 1H)、6.39 (dd, 1H).
【0219】
実施例69A
ジエチル3−シクロプロピルペンタンジオエート
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
n−ブチルリチウムのヘキサン中2.5M溶液29.1ml(72.8mmol)を、−40℃に冷却したジイソプロピルアミン10.2ml(72.8mmol)の無水THF35ml中溶液に滴加した。添加が完了した後、混合物を−40℃でさらに30分間攪拌し、次いで、−78℃に冷却し、酢酸エチル7.1ml(72.8mmol)の無水THF10ml中溶液を滴加した。反応混合物を−78℃で30分間攪拌し、次いで、エチル3−シクロプロピルアクリレート8.50g(60.54mmol)のわずかなTHF中溶液を滴加した。−78℃で1時間後、混合物をゆっくり−40℃に、次いで0℃に加温し、最後に飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。酢酸エチルで抽出した後、有機相を1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル30:1→6:1)によって精製した。これにより標的生成物3.28g(理論値の23.7%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=4.56分;m/z=183(M−C2H5O)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.07-0.13 (m, 2H)、0.32-0.41 (m, 2H)、0.62-0.75 (m, 1H)、1.15-1.22 (m, 6H)、1.41-1.52 (m, 1H)、2.33-2.46 (m, 4H)、4.00-4.10 (m, 4H).
【0220】
実施例70A
3−シクロプロピルペンタン−1,5−ジオール
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
ジエチル3−シクロプロピルペンタンジオエート3.2g(14.02mmol)を無水THF24.7mlに溶解し、−10℃に冷却した後、水素化アルミニウムリチウムのTHF中1M溶液25.2ml(25.2mmol)を滴加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。0℃に冷却した後、イソプロパノール100mlを慎重に滴加した。混合物を、1N塩酸を添加することによって酸性化し、Celiteと混合した。Celiteを通して濾過し、酢酸エチルおよび水で洗浄した後、濾液を塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル10:1→2:1)によって精製した。これにより標的生成物1.35g(理論値の66.8%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=3.98分;m/z=115(M−C2H5
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.01-0.07 (m, 2H)、0.32-0.40 (m, 2H)、0.41-0.52 (m, 1H)、0.69-0.82 (m, 1H)、1.49 (q, 4H)、3.41-3.54 (m, 4H)、4.24 (t, 2H).
【0221】
実施例71A
3−エチルペンタン−1,5−ジオール
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
標記化合物は、上記3ステッププロセス68A−69A−70Aと同様に得ることができる。
GC−MS(方法1):Rt=3.41分;m/z=114(M+H2O)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.81 (t, 3H)、1.16-1.31 (m, 2H)、1.31-1.52 (m, 5H)、3.34-3.48 (m, 4H)、4.29 (t, 2H).
【0222】
一般的手順2:3−置換ペンタン−1,5−ジオールのジアルデヒド(またはその環状アセタール)への酸化
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
塩化オキサリル2.6当量を無水ジクロロメタン(1.0〜2.5mol/l)に溶解し、約−50℃に冷却し、DMSO5当量の無水ジクロロメタン中溶液(約5mol/l)を滴加する。約−50℃で10分後、当該ジオール(1.0当量)の無水ジクロロメタン中溶液(0.5〜1.0mol/l)を滴加する。さらに10分後、反応混合物を−78℃に冷却し、トリエチルアミン(約10.5当量)および無水ジクロロメタンの混合物(体積比1:1〜1:2)を滴加する。添加が完了した後、反応混合物を約−78℃でさらに30分間攪拌し、次いで、ゆっくり(約−20℃、0℃または室温に)加温し、ジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた粗製生成物はさらには精製しないが、その後の反応に直接使用することができる。
【0223】
以下の実施例を一般的手順2により調製し、さらに精製することなく使用した(一般に、ジアルデヒドはアルゴン下−20℃で粗製生成物として貯蔵することができた)。
【0224】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
実施例77A
メチルシクロプロピリデンアセテート
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
[(1−エトキシシクロプロピル)オキシ](トリメチル)シラン240g(1.38mol)、(メトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン598g(1.79mol)および安息香酸21.9g(0.179mol)のトルエン3.94l中懸濁液を85℃で一晩攪拌した。冷却後、反応混合物をシリカゲル4.8kg上クロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/ジクロロメタン混合物1:1→純粋なジクロロメタン)によって直接精製した。生成物分画を合わせ、わずかに減圧下で濃縮した。これにより標的生成物159gが透明な無色油として得られた(粗製生成物はまだ残留溶媒を含有していた)。
GC−MS(方法1):Rt=1.84分;m/z=112(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 1.24-1.31 (m, 2H)、1.38-1.46 (m, 2H)、3.66 (s, 3H)、6.23-6.36 (m, about 1H).
【0226】
実施例78A
エチルメチル2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジアセテート
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
ジイソプロピルアミン240ml(1.70mol)を無水THF700mlに溶解し、混合物を−40℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン中2.5M溶液681ml(1.7mol)をゆっくり添加した。溶液を−40℃で30分間攪拌し、次いで、−78℃に冷却し、酢酸エチルp.a.166.6ml(1.7mol)の無水THF200ml中溶液を添加した。添加が完了した後、混合物を−78℃でさらに30分間攪拌した。次いで、わずかな無水THFに溶解したメチルシクロプロピリデンアセテート159g(粗製生成物、約1.42mol)を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、次いで、−40℃を通って、約0℃にゆっくり加温し、最後に飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を1N塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチル9:1)によって精製した。これにより標的化合物109.5gが得られ、これはジエチルエーテル誘導体によって汚染されていたが、さらには精製しなかった。
GC−MS(方法1):Rt=3.82分;m/z=168(M−CH4O)
【0227】
実施例79A
2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジエタノール
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
エチルメチル2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジアセテート109.5g(粗製生成物、約547mmol)をp.a. THF750mlに溶解し、−20℃で、水素化アルミニウムリチウムのTHF中1M溶液984ml(984mmol)を滴加した。反応混合物を一晩室温に加温し、再度−10℃に冷却した後、イソプロパノール500mlを慎重に添加した。混合物を、1N塩酸で酸性化し、Celiteを通して吸引することによって濾別した。残渣を酢酸エチルおよび水で洗浄した。濾液を塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をアセトニトリルから再結晶した。これにより標的生成物50.4g(理論値の70.8%)が得られた。
GC−MS(方法1):Rt=3.48分;m/z=112(M−H2O)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.21 (s, 4H)、1.37 (t, 4H)、3.46 (q, 4H)、4.28 (t, 2H).
【0228】
実施例80A
2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジアセトアルデヒド
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
塩化オキサリル7.0ml(79.9mmol)を無水ジクロロメタン45mlに溶解し、混合物を−50℃に冷却し、DMSO10.9ml(163.6mmol)の無水ジクロロメタン45ml中溶液を滴加した。添加が完了した後、混合物を−50℃でさらに10分間攪拌し、次いで、無水ジクロロメタン45mlに溶解した2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジエタノール4.0g(30.7mmol)をゆっくり添加した。得られた懸濁液を−50℃で10分間攪拌し、次いで、−78℃に冷却し、トリエチルアミン44.5ml(320mmol)の無水ジクロロメタン75ml中溶液を滴加した。添加が完了した後、反応混合物を−78℃で30分間攪拌し、次いで、ゆっくり室温に加温し、その後飽和重硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより標的生成物5.10gが橙色油として得られた(純度約70%の粗製生成物、理論値の約92%)。
GC−MS(方法1):Rt=2.72分;m/z=108(M−H2O)、107(M−H3O)
【0229】
実施例81A
tert−ブチル3−(4−クロロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパノエート(ラセミジアステレオマー混合物)
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ1:
1,5−ジブロモ−3−メチルペンタン705mg(2.89mmol)および1N水酸化ナトリウム水溶液7.2mlをエタノール6ml中(+/−)−D,L−4,4,4−トリフルオロバリン塩酸塩300mg(1.45mmol)に添加し、混合物を還流下で一晩攪拌した。さらに1,5−ブロモ−3−メチルペンタン1.0当量および水酸化ナトリウム5.0当量を添加した後、混合物をもう一度還流下で8時間攪拌し、次いで、冷却後、減圧下で濃縮した。残渣をわずかな水に溶解し、1N塩酸で中和した。水相を酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタン酸(ラセミジアステレオマー混合物)270mgが粗製生成物として得られた。
【0230】
ステップ2:
4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタン酸(粗製生成物、ラセミジアステレオマー混合物)270mgをピリジン2.5mlおよびDMF4.9mlに溶解し、tert−ブチル3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)プロパノエート286mg(1.12mmol)およびHATU527mg(1.37mmol)を室温で添加した。混合物を40℃で一晩攪拌した。さらにHATU0.5当量およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン2mlを添加し、反応混合物をもう一度50℃で5時間攪拌し、次いで、水に添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相をわずかな1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製生成物を分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水)によって精製した。これにより標的生成物50mg(理論値の9.6%)がジアステレオマー混合物(約3:2)として得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.53分および1.57分;各場合でm/z=491(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 0.86/0.87 (in each case d, tog. 3H)、0.96-1.05 (m, 1H)、1.07/1.10 (in each case d, tog. 3H)、1.12-1.24 (m, 1H)、1.24-1.34 (m, 1H)、1.35/1.36 (in each case s, tog. 9H)、1.51-1.65 (m, 2H)、2.00-2.17 (m, 1H)、2.43-2.48 (m, 1H)、2.64 (d, 1H)、2.76-2.83 (m, 2H)、2.84-3.10 (m, 3H)、3.52/3.59 (in each case d, tog. 1H)、7.04-7.12 (m, 1H)、7.41 (dd, 1H)、7.47/7.55 (in each case d, tog. 1H)、9.58/9.68 (in each case s, tog. 1H).
【0231】
一般的手順3:以下の反応スキームによるアミノアセトアニリドからの置換ピペリジノアセトアニリドの調製
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ1:
室温で、トリエチルアミン(1.5〜2.0当量)、1N塩酸(約0.25〜0.5当量)、当該ジアルデヒド(またはその環状アセタール型、粗製混合物として、約2.0〜4.0当量)、および約5〜15分後にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.0〜4.0当量)を、当該アミノアセトアニリド成分(1.0当量)のメタノール(約0.05mol/l〜1mol/l)中溶液に添加する。混合物を室温で約12〜72時間攪拌し、この時間の間、さらなる量のトリエチルアミン、1N塩酸、ジアルデヒドおよび/またはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを必要であれば添加する。反応が完了した後、反応混合物を水に添加する。水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮する。得られた粗製生成物を次のステップに直接使用することができる、または(好ましくは)分取RP−HPLC(移動相アセトニトリル/水勾配)によって事前に精製する。
【0232】
ステップ2:
0℃または室温で、ステップ1からのそれぞれの中間体混合物(粗製のまたは精製したもの)をトリフルオロ酢酸(濃度約0.1〜2.0mol/l)に溶解し、次いで、大過剰のトリエチルシラン(6〜15当量)を0℃〜室温で滴加する。混合物を室温で4〜24時間攪拌し、必要であれば、混合物を完全な変換が達成されるまで40℃で加熱する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、ほぼ中性(pH6〜7)になるまで水および重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。減圧下での濃縮後、粗製生成物を、分取RP−HPLC(移動相アセトニトリル/水もしくはメタノール/水)、シリカゲル上クロマトグラフィー(移動相シクロヘキサン/酢酸エチルもしくはジクロロメタン/メタノール混合物)、またはこれらの方法の組み合わせによって精製することができる、あるいはこれをさらに精製することなく直接反応させる。
【0233】
以下の実施例を一般的手順3にしたがって調製した:
【0234】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0235】
実施例91A
rac−シクロペンタ−1−エン−1−イル(4−メトキシピペリジン−1−イル)酢酸
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
シクロペンタ−1−エン−1−イルボロン酸50mg(0.45mmol)、4−メトキシピペリジン51mg(0.45mmol)およびグリオキサル酸一水和物41mg(0.45mmol)を最初にジクロロメタン2mlに装入し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン78μl(57mg、0.45mmol)を添加した。混合物を室温で2日間攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(RP18カラム;0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配、10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。これにより標的生成物31mg(理論値の29%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=0.95分;m/z=240(M+H)
【0236】
実施例92A
rac−シクロペンタ−1−エン−1−イル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)酢酸
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
シクロペンタ−1−エン−1−イルボロン酸50mg(0.45mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン59.5mg(0.45mmol)およびグリオキサル酸一水和物41mg(0.45mmol)を最初にジクロロメタン2mlに装入し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン78μl(57mg、0.45mmol)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(RP18カラム;0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配、10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。標記化合物101mg(91%純度、理論値の80%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=1.22分;m/z=258(M+H)
【0237】
実施例93A
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンタ−1−エン−1−イル(4−メトキシピペリジン−1−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
rac−シクロペンタ−1−エン−1−イル(4−メトキシピペリジン−1−イル)酢酸30.9mg(0.13mmol)を最初にDMF/ピペリジン(3:1)0.87mlに装入し、HATU63.8mg(0.17mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、tert−ブチル1−(3−アミノ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート34.3mg(0.13mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウム溶液で繰り返し洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(RP18カラム;0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配、10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。これにより標記化合物20.7mg(理論値の33%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=1.85分;m/z=487.4(M+H)
【0238】
実施例94A
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンタ−1−エン−1−イル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
rac−シクロペンタ−1−エン−1−イル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)酢酸100mg(0.39mmol)を最初にDMF/ピリジン(3:1)2.6mlに装入し、HATU192mg(0.51mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌した。次いで、tert−ブチル1−(3−アミノ−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート103mg(0.39mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を分取HPLC(RP18カラム;0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配、10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。このようにして得られた生成物を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸で繰り返し洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより標記化合物103mg(純度72%、理論値の37%)が得られ、これをさらに精製することなく反応させた。
LC−MS(方法5):Rt=2.26分;m/z=505.3(M+H)
【0239】
実施例95A
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンチル(4−メトキシピペリジン−1−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンタ−1−エン−1−イル(4−メトキシピペリジン−1−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート20.7mg(0.04mmol)を最初にメタノール3mlに装入し、酸化白金(IV)3mg(0.01mmol)を添加し、混合物を室温および標準圧力で5時間水素化した。次いで、混合物を珪藻土を通して濾過し、残渣をメタノールで完全に洗浄し、減圧下で濃縮した。標記化合物19.5mg(100%純度、理論値の94%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=1.92分;m/z=489.4(M+H)
【0240】
実施例96A
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンチル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンタ−1−エン−1−イル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート102mg(0.2mmol、純度72%)を最初にメタノール14.4mlに装入し、酸化白金(IV)14.4mg(0.06mmol)を添加し、混合物を室温および標準圧力で5時間水素化した。次いで、混合物を珪藻土を通して濾過し、残渣をメタノールで完全に洗浄し、減圧下で濃縮した。これにより標記化合物102mg(純度36%)が得られ、これをさらに精製することなく反応させた。
LC−MS(方法5):Rt=1.34分;m/z=507.2(M+H)
【0241】
実施例:
実施例1
3−(4−クロロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(ラセミジアステレオマー混合物)
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル3−(4−クロロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパノエート(ラセミジアステレオマー混合物)45.0mg(0.092mmol)をジクロロメタン0.1mlに溶解し、トリフルオロ酢酸0.35mlを室温で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。粗製生成物を分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水)によって精製した。これにより標的生成物39.0mgがジアステレオマー混合物として得られた(理論値の97.9%)。
LC−MS(方法2):Rt=1.10分および1.21分;各場合でm/z=435(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): both diastereomers δ [ppm] = 0.86/0.87 (in each case dd, tog. 3H)、0.94-1.05 (m, 1H)、1.07/1.10 (in each case dd, tog. 3H)、1.13-1.35 (m, 2H)、1.49-1.65 (m, 2H)、2.00-2.16 (m, 1H)、2.56-2.68 (m, about 1H)、2.77-2.99 (m, about 5H)、3.51/3.59 (in each case d, tog. 1H)、7.05-7.15 (m, 1H)、7.40/ 7.42 (in each case d, tog. 1H)、7.45/7.54 (in each case d, tog. 1H)、9.61/9.71 (in each case s, tog. 1H)、12.16 (s, 1H).
【0242】
一般的手順4:以下の反応スキームによるアミノアセトアニリドからの置換ピペリジノアセトアニリドの調製
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
ステップ1:
室温で、トリエチルアミン(1.5〜2.0当量)、1N塩酸(約0.25〜0.5当量)、当該ジアルデヒド(またはその環状アセタール型、粗製混合物として、約2.0〜4.0当量)、および約5〜15分後にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.0〜4.0当量)を、当該アミノアセトアニリド成分(1.0当量)のメタノール(約0.05mol/l〜1mol/l)中溶液に添加する。混合物を室温で約12〜72時間攪拌し、この時間の間、さらなる量のトリエチルアミン、1N塩酸、ジアルデヒドおよび/またはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを必要であれば添加する。反応が完了した後、反応混合物を水に添加する。水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮する。得られた粗製生成物を次のステップに直接使用することができる、または(好ましくは)分取RP−HPLC(移動相アセトニトリル/水勾配)によって事前に精製する。
【0243】
ステップ2:
0℃または室温で、ステップ1からのそれぞれの中間体混合物(粗製のまたは精製したもの)をトリフルオロ酢酸(濃度約0.1〜2.0mol/l)に溶解し、次いで、大過剰のトリエチルシラン(10〜20当量)を0℃〜室温で滴加する。混合物を室温で4〜24時間攪拌し、必要であれば、混合物を完全な変換が達成されるまで40℃で加熱する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄する(わずかな飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加することによってほぼ中性(pH6〜7)に調整する)。減圧下での濃縮後、粗製生成物を、分取RP−HPLC(移動相アセトニトリル/水もしくはメタノール/水勾配)、アセトニトリルもしくは水/アセトニトリル混合物からの結晶化、またはこれらの方法の組み合わせによって精製することができる。
【0244】
以下の実施例を一般的手順4にしたがって調製した:
【0245】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
実施例25
1−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロベンジル)シクロプロパンカルボン酸
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
標記化合物を一般的手順4にしたがって(+)−tert−ブチル1−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボキシレートおよび2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルジアセトアルデヒドから得た。収率:111.7mg(理論値の63.8%)
LC−MS(方法2):Rt=1.25分;m/z=473(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.21 (s, 4H)、0.82 (q, 2H)、1.12-1.17 (m, 5H)、1.31 (br. s, 4H)、2.52-2.59 (m, 2H)、2.61-2.70 (m, 2H)、2.80-2.94 (m, 2H)、2.98-3.15 (m, 1H)、3.53 (d, 1H)、7.11 (dd, 1H)、7.39 (d, 1H)、7.50 (d, 1H)、9.61 (s, 1H).
【0247】
実施例26
1−(4−クロロ−3−{[(3R,2R)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
標記化合物を一般的手順4にしたがって(+)−tert−ブチル1−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボキシレートおよび3−エチルペンタンジアールから得た。収率:33mg(理論値の39.7%)
LC−MS(方法2):Rt=1.31分;m/z=475(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.76-0.88 (m, 5H)、0.95-1.26 (m, about 10H)、1.64 (t, 2H)、2.06 (t, 1H)、2.52-2.60 (m, about 1H)、2.63-2.72 (m, 1H)、2.86 (s, 2H)、2.90-2.97 (m, 1H)、2.99-3.10 (m, 1H)、3.50 (d, 1H)、7.11 (dd, 1H)、7.39 (d, 1H)、7.43-7.54 (m, 1H)、9.60 (s, 1H).
【0248】
一般的手順5:塩酸または硫酸と酢酸の混合物を用いたエチルエステルの対応するカルボン酸への開裂
当該エチルエステルの酢酸と濃塩酸または酢酸と10%濃度、20%濃度もしくは半濃硫酸の混合物(約1:1〜3:1)中溶液を、80℃〜140℃の温度で(場合により還流下で)30分〜最大12時間攪拌する。冷却後、反応混合物を減圧下で直接濃縮するか、または水に添加する。次いで、水相を、水酸化ナトリウム水溶液を用いてほぼ中性に調整し、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄する(わずかな飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加することによってほぼ中性(pH6〜7.7)に調整する)。減圧下での濃縮後、粗製生成物を、分取RP−HPLC(移動相アセトニトリル/水もしくはメタノール/水勾配)、アセトニトリルもしくは水/アセトニトリル混合物からの結晶化、またはこれらの方法の組み合わせによって精製することができる。
【0249】
以下の実施例を一般的手順5にしたがって調製した:
【0250】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
実施例35
(+)−1−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(ピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸(エナンチオマー2)
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られた1−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(ピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸(実施例2、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.50ml;温度:40℃;移動相:75%イソヘキサン/25%イソプロパノール(+0.2%TFA+1%H2O);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。混合物290mgにより標記化合物127mgがエナンチオマー2として得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.09分;m/z=431(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.76-0.85 (m, 2H)、1.07-1.14 (m, 5H)、1.33-1.56 (m, 6H)、2.38-2.48 (m, 2H)、2.84 (s, 2H)、2.97-3.13 (m, 1H)、3.45 (d, 1H)、7.02-7.09 (m, 1H)、7.14 (dd, 1H)、7.63 (dd, 1H)、9.70 (s, 1H)、12.14 (br. s, 1H).
[α]D20=+21.2°、c=0.550、クロロホルム。
【0252】
実施例36
(+)−1−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸(エナンチオマー2)
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られた1−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸(実施例4、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.30ml;温度:40℃;移動相:75%イソヘキサン/25%イソプロパノール(+0.2%TFA+1%H2O);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。混合物400mgにより標記化合物271mg(エナンチオマー2として)がトリフルオロ酢酸塩として得られた。次いで、この塩をわずかな水/アセトニトリルに懸濁し、1N水酸化ナトリウム水溶液と攪拌することによって中和し、次いで、分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水勾配)によって再精製した。これにより標記化合物60mgが得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.18分;m/z=445(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.74-0.83 (m, 2H)、0.87 (d, 3H)、0.96-1.36 (m, 7H)、1.57 (t, 2H)、2.02 (t, 1H)、2.35-2.47 (m, 1H)、2.63 (d, 1H)、2.84 (s, 2H)、2.99 (d, 1H)、2.98-3.08 (m, 1H)、3.47 (d, 1H)、7.01-7.09 (m, 1H)、7.09-7.19 (m, 1H)、7.61 (dd, 1H)、9.70 (s, 1H).
[α]D20=+22.7°、c=0.460、クロロホルム。
【0253】
実施例37
(+)−3−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸トリフルオロ酢酸塩(エナンチオマー2)
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られた3−(4−フルオロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(実施例6、ラセミジアステレオマー2)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.40ml;温度:25℃;移動相:80%イソヘキサン/20%エタール(+0.2%TFA+1%H2O);流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。混合物58mgにより標記化合物38mgがエナンチオマー2として得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.95分;m/z=419(M+H)
[α]D20=+15.8°、c=0.490、クロロホルム。
【0254】
実施例38および実施例39
1−(3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸(エナンチオマー1および2)
上で得られた1−(3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸(実施例8、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.5ml;温度:室温;移動相:50%イソヘキサン/50%イソプロパノール;流量:18ml/分;検出:230nm]によってさらに分離した。混合物275mgによりエナンチオマー1(実施例38)125mgおよびエナンチオマー2(実施例39)122mgが得られた。
【0255】
実施例38
(−)−1−(3−{[(2S,3S)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸(エナンチオマー1)
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.25分;m/z=459(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.77-0.88 (m, about 5H)、0.97-1.26 (m, about 10H)、1.63 (t, 2H)、1.97-2.05 (m, 1H)、2.36-2.45 (m, 1H)、2.65 (d, 1H)、2.84 (s, 2H)、2.88-2.96 (m, 1H)、2.96-3.10 (m, 1H)、3.47 (d, 1H)、7.00-7.10 (m, 1H)、7.10-7.22 (m, 1H)、7.61 (dd, 1H)、9.68 (s, 1H)、12.12 (br. s, 1H).
[α]D20=−19.5°、c=0.545、クロロホルム。
【0256】
実施例39
(+)−1−(3−{[(2R,3R)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸(エナンチオマー2)
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.25分;m/z=459(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.80-0.88 (m, about 5H)、0.97-1.26 (m, about 10H)、1.63 (t, 2H)、2.01 (t, 1H)、2.36-2.45 (m, 1H)、2.65 (d, 1H)、2.84 (s, 2H)、2.91 (d, 1H)、2.98-3.08 (m, 1H)、3.47 (d, 1H)、7.00-7.09 (m, 1H)、7.10-7.19 (m, 1H)、7.61 (dd, 1H)、9.68 (s, 1H)、12.12 (br. s, 1H).
[α]D20=+20.3°、c=0.555、クロロホルム。
【0257】
実施例40および実施例41
3−(3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロフェニル)プロパン酸(エナンチオマー1および2)
上で得られた3−(3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロフェニル)プロパン酸(実施例9、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.5ml;温度:室温;移動相:60%イソヘキサン/40%イソプロパノール;流量:18ml/分;検出:230nm]によってさらに分離した。混合物260mgによりエナンチオマー1(実施例40)101mgおよびエナンチオマー2(実施例41)92mgが得られた。
【0258】
実施例40
(−)−3−(3−{[(2S,3S)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロフェニル)プロパン酸(エナンチオマー1)
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.18分;m/z=433(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.83 (t, 3H)、0.96-1.25 (m, about 8H)、1.63 (t, 2H)、1.96-2.09 (m, 1H)、2.35-2.46 (m, 1H)、2.65 (d, 1H)、2.79 (t, 2H)、2.87-2.94 (m, 1H)、2.97-3.08 (m, 1H)、3.49 (d, 1H)、6.95-7.08 (m, 1H)、7.15 (dd, 1H)、7.59 (dd, 1H)、9.70 (s, 1H).
[α]D20=+20.8°、c=0.460、クロロホルム。
【0259】
実施例41
(+)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−フルオロフェニル)プロパン酸(エナンチオマー2)
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.18分;m/z=433(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.83 (t, 3H)、0.96-1.26 (m, about 8H)、1.63 (t, 2H)、1.97-2.06 (m, 1H)、2.36-2.45 (m, 1H)、2.65 (d, 1H)、2.75-2.83 (m, 2H)、2.88-2.95 (m, 1H)、2.97-3.08 (m, 1H)、3.49 (d, 1H)、6.98-7.07 (m, 1H)、7.15 (dd, 1H)、7.59 (dd, 1H)、9.70 (s, 1H)、12.05 (br. s, about 1H).
[α]D20=+22.4°、c=0.575、クロロホルム。
【0260】
実施例42および実施例43
3−(4−クロロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー1および2)
上で得られた3−(4−クロロ−3−{[4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(実施例13、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.0ml;温度:30℃;移動相:70%イソヘキサン/30%イソプロパノール;流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。混合物180mgによりエナンチオマー1(実施例42)77mgおよびエナンチオマー2(実施例43)85mgが得られた。
【0261】
実施例42
3−(4−クロロ−3−{[(2S,3S)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー1)
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法3):Rt=1.33分;m/z=435(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.87 (d, 3H)、0.96-1.08 (m, 1H)、1.10 (d, 3H)、1.12-1.23 (m, 1H)、1.23-1.37 (m, 1H)、1.51-1.68 (m, 2H)、2.07 (t, 1H)、2.26 (t, 2H)、2.55-2.60 (m, about 1H)、2.64 (d, 1H)、2.73 (t, 2H)、2.90 (d, 1H)、2.97-3.12 (m, 1H)、3.50 (d, 1H)、7.06 (dd, 1H)、7.35 (d, 1H)、7.38-7.44 (m, 1H)、9.62 (s, 1H).
【0262】
実施例43
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー2)
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法3):Rt=1.33分;m/z=435(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.87 (d, 3H)、0.96-1.08 (m, 1H)、1.10 (d, 3H)、1.12-1.23 (m, 1H)、1.23-1.37 (m, 1H)、1.51-1.66 (m, 2H)、2.01-2.16 (m, 1H)、2.28 (t, 2H)、2.52-2.60 (m, about 1H)、2.64 (d, 1H)、2.74 (t, 2H)、2.91 (d, 1H)、2.99-3.09 (m, 1H)、3.50 (d, 1H)、7.06 (dd, 1H)、7.36 (d, 1H)、7.39-7.46 (m, 1H)、9.61 (s, 1H).
[α]D20=+6.5°、c=0.400、クロロホルム。
【0263】
実施例44および実施例45
3−(4−クロロ−3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー1および2)
上で得られた3−(4−クロロ−3−{[2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(実施例11、ラセミジアステレオマー1)のラセミ混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.0ml;温度:30℃;移動相:70%イソヘキサン/30%イソプロパノール;流量:15ml/分;検出:220nm]によってさらに分離した。混合物151mgによりエナンチオマー1(実施例44)52.2mgおよびエナンチオマー2(実施例45)72.2mgが得られた。
【0264】
実施例44
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3S)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー1)
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.26分;m/z=449(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.84 (t, 3H)、0.94-1.26 (m, 8H)、1.56-1.71 (m, 2H)、2.05 (t, 1H)、2.39-2.48 (m, 2H)、2.52-2.58 (m, about 1H)、2.66 (d, 1H)、2.78 (t, 2H)、2.94 (d, 1H)、2.98-3.10 (m, 1H)、3.51 (d, 1H)、7.08 (dd, 1H)、7.39 (d, 1H)、7.41-7.49 (m, 1H)、9.61 (s, 1H).
[α]D20=+1.6°、c=0.350、クロロホルム。
【0265】
実施例45
(−)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−2−(4−エチルピペリジン−1−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)プロパン酸(エナンチオマー2)
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
LC−MS(方法2):Rt=1.26分;m/z=449(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.84 (t, 3H)、0.95-1.25 (m, 8H)、1.64 (dd, 2H)、2.00-2.11 (m, 1H)、2.42-2.48 (m, 2H)、2.52-2.58 (m, about 1H)、2.66 (d, 1H)、2.78 (t, 2H)、2.94 (d, 1H)、2.99-3.09 (m, 1H)、3.51 (d, 1H)、7.08 (dd, 1H)、7.39 (d, 1H)、7.44 (d, 1H)、9.61 (s, 1H).
[α]D20=−0.7°、c=0.340、クロロホルム。
【0266】
実施例46
(+)−(2S)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパン酸(ジアステレオマー2)
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
エチル(2S)−3−(3−{[2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)−2−メチルプロパノエート(実施例82A)から、一般的手順5にしたがって、対応するカルボン酸をジアステレオマー混合物として調製した。次いで、ジアステレオマー混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.0ml;温度:室温 ;移動相:60%イソヘキサン/40%イソプロパノール;流量:18ml/分;検出:230nm]によってさらに分離した。ジアステレオマー混合物348mgによりジアステレオマー2 160mgが得られ、これを分取RP−HPLC(移動相:アセトニトリル/水勾配)によってさらに精製した。これにより純粋な標記化合物113mgが得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.27分;m/z=461(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.21 (s, 4H)、1.05 (d, 3H)、1.14 (d, 3H)、1.32 (br. s, 4H)、2.55-2.71 (m, about 6H)、2.83-2.93 (m, 1H)、3.01-3.14 (m, 1H)、3.55 (d, 1H)、7.05 (dd, 1H)、7.36-7.48 (m, 2H)、9.62 (s, 1H)、12.19 (br. s, 1H).
[α]D20=+14.0°、c=0.405、クロロホルム。
【0267】
実施例47
(+)−(3R)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸(ジアステレオマー2)
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(3R)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}ブタノエート(実施例62A)および2,2’−シクロプロパン−1,1−ジイルアセトアルデヒドから一般的手順4にしたがって調製した(3R)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸と(3R)−3−(3−{[(2S,3S)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸のジアステレオマー混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.75ml;温度:室温 ;移動相:70%イソヘキサン/30%イソプロパノール;流量:18ml/分;検出:230nm]によって分離した。ジアステレオマー混合物209mgにより標記化合物76mgがジアステレオマー2として得られた。
LC−MS(方法2):Rt=1.25分;m/z=461(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.21 (s, 4H)、1.14 (d, 3H)、1.20 (d, 3H)、1.24-1.40 (m, 4H)、2.52-2.60 (m, about 4H, obscured)、2.62-2.70 (m, 2H)、3.03-3.19 (m, 2H)、3.56 (d, 1H)、7.12 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、7.49 (d, 1H)、9.63 (s, 1H).
[α]D20=+5.7°、c=0.363、クロロホルム。
【0268】
実施例48
(+)−(3R)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸(ジアステレオマー2)
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
tert−ブチル(3R)−3−{4−クロロ−3−[(4,4,4−トリフルオロバリル)アミノ]フェニル}ブタノエート(実施例62A)および3−メチルペンタンジアールから一般的手順4にしたがって調製した(3R)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸と(3R)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3S)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸のジアステレオマー混合物を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:0.75ml;温度:室温 ;移動相:70%イソヘキサン/30%イソプロパノール;流量:20ml/分;検出:230nm]によって分離した。ジアステレオマー混合物195mgにより標記化合物92mgがジアステレオマー2として得られた。
LC−MS(方法5):Rt=2.47分;m/z=449(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.87 (d, 3H)、0.96-1.08 (m, 1H)、1.11 (d, 3H)、1.15-1.25 (m, 1H)、1.19 (d, 3H)、1.25-1.38 (m, 1H)、1.59 (t, 2H)、2.00-2.13 (m, 1H)、2.53-2.60 (m, about 1H)、2.65 (d, 1H)、2.87-2.95 (m, 1H)、2.99-3.18 (m, 2H)、3.52 (d, 1H)、7.12 (dd, 1H)、7.41 (d, 1H)、7.47 (d, 1H)、9.60 (s, 1H).
[α]D20=+7.8°、c=0.380、クロロホルム。
【0269】
実施例49
(−)−(3S)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸(ジアステレオマー1)
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られた(3S)−3−(4−クロロ−3−{[(2R,3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸と(3S)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3S)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}フェニル)ブタン酸の混合物(実施例20、ジアステレオマー混合物1)を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AS−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.2ml;温度:室温;移動相:70%イソヘキサン/30%イソプロパノール;流量:20ml/分;検出:230nm]によって分離した。ジアステレオマー混合物182mgにより標記化合物77mgがジアステレオマー1として得られた。
LC−MS(方法4):Rt=2.53分;m/z=449(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.87 (d, 3H)、1.03-1.24 (m, 8H)、1.24-1.35 (m, 1H)、1.58 (t, 2H)、2.01-2.11 (m, 1H)、2.54-2.60 (m, about 1H)、2.65 (d, 1H)、2.86-2.96 (m, 1H)、2.98-3.18 (m, 2H)、3.52 (d, 1H)、7.12 (dd, 1H)、7.42 (d, 1H)、7.46 (d, 1H)、9.62 (s, 1H)、12.10 (br. s, 1H).
[α]D20=−22.1°、c=0.360、クロロホルム。
【0270】
実施例50
(−)−(3S)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸(ジアステレオマー1)
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
上で得られた(3S)−3−(3−{[(2R,3R)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸と(3S)−3−(3−{[(2S,3S)−2−(6−アザスピロ[2.5]オクタ−6−イル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−4−クロロフェニル)ブタン酸の混合物(実施例21、ジアステレオマー混合物1)を、キラル相での分取HPLC[カラム:Daicel Chiralpak AS−H、5μm、250mm×20mm;注入体積:1.0ml;温度:室温;移動相:10%イソヘキサン/90%イソプロパノール;流量:20ml/分;検出:230nm]によって分離した。ジアステレオマー混合物252mgにより標記化合物104mgがジアステレオマー1として得られた。
LC−MS(方法4):Rt=2.61分;m/z=461(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.21 (s, 4H)、1.14 (d, 3H)、1.20 (d, 3H)、1.22-1.40 (m, 4H)、2.50-2.58 (m, about 4H, obscured)、2.61-2.72 (m, 2H)、2.99-3.19 (m, 2H)、3.56 (d, 1H)、7.13 (dd, 1H)、7.43 (d, 1H)、7.48 (d, 1H)、9.64 (s, 1H)、12.10 (br. s, 1H).
[α]D20=−17.7°、c=0.440、クロロホルム。
【0271】
実施例51
1−(4−クロロ−3−{[(3R,2R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルピペリジン−1−イル)ブタノイル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボン酸
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
標記化合物を一般的手順4にしたがって(+)−tert−ブチル1−(4−クロロ−3−{[(3R)−4,4,4−トリフルオロ−D−バリル]アミノ}ベンジル)シクロプロパンカルボキシレー(実施例65A)および3−メチルペンタンジアールから得た。
LC−MS(方法2):Rt=1.24分;m/z=461(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.77-0.83 (m, 2H)、0.87 (d, 3H)、0.96-1.34 (m, 6H)、1.10 (d, 3H)、1.59 (t, 2H)、2.06 (t, 1H)、2.60-2.68 (m, 1H)、2.85 (d, 2H)、2.87-2.94 (m, 1H)、2.98-3.11 (m, 1H)、3.49 (d, 1H)、7.11 (dd, 1H)、7.39 (d, 1H)、7.48 (d, 1H)、9.62 (s, 1H)、11.85-12.54 (br. s, 1H).
[α]D20=−4.7°、c=0.325、クロロホルム。
【0272】
実施例52
rac−1−(3−{[シクロペンチル(4−メトキシピペリジン−1−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸トリフルオロ酢酸塩
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
rac−1−(3−{[シクロペンチル(4−メトキシピペリジン−1−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート(実施例95A)20.1mg(0.04mmol)をジクロロメタン中20%濃度トリフルオロ酢酸2.4mlに溶解し、室温で5時間攪拌した。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。これにより標記化合物6.8mg(理論値の30%)が得られた。
LC−MS(方法5):Rt=0.86分;m/z=433.1(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.80-0.86 (m, 2H)、1.10-1.16 (m, 2H)、1.35-1.73 (m, 8H)、1.79-2.07 (m, 4H)、2.08-2.21 (m, 1H)、2.86 (br. s, 2H)、3.26 (s, 3H)、3.29-3.35 (m, 2H)、4.06-4.15 (m, 1H)、7.12-7.27 (m, 2H)、7.67 (t, 1H)、9.61 (br. s, 1H)、10.43-10.51 (m, 1H) [further signals hidden under solvent peaks].
【0273】
実施例53
rac−1−(3−{[シクロペンチル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボン酸トリフルオロ酢酸塩
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
rac−tert−ブチル1−(3−{[シクロペンチル(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)アセチル]アミノ}−4−フルオロベンジル)シクロプロパンカルボキシレート(実施例96A)101mg(0.2mmol)をジクロロメタン中20%濃度トリフルオロ酢酸11.5mlに溶解し、室温で5時間攪拌した。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水勾配10:90→95:5;実行時間38分)によって精製した。これにより標記化合物14.4mg(理論値の13%)が得られた。
LC−MS(方法2):Rt=0.91分;m/z=451.3(M+H)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 0.79-0.87 (m, 2H)、1.07-1.14 (m, 2H)、1.38-1.50 (m, 1H)、1.51-1.69 (m, 5H)、1.70-1.81 (m, 1H)、1.90-2.04 (m, 1H)、2.86 (s, 2H)、3.05-3.21 (m, 2H)、4.20-4.36 (m, 1H)、4.50-4.64 (m, 1H)、7.02-7.37 (m, 6H)、7.63-7.73 (m, 1H) [further signals hidden under solvent peaks].
【0274】
B.薬理学的有効性の評価
本発明の化合物の薬理学的有効性を以下のアッセイで示すことができる:
B−1インビトロでの組換え可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激
ニトロプルシドナトリウムを用いたおよび用いない、ならびにヘム非依存性sGC阻害剤1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)を用いたまたは用いない、本発明による化合物による組換え可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激についての調査を、以下の参考文献に記載されている方法によって行う:M. Hoenicka、E. M. Becker、H. Apeler、T. Sirichoke、H. Schroeder、R. GerzerおよびJ. -P. Stasch、「Purified soluble guanylyl cyclase expressed in a baculovirus/Sf9 system: Stimulation by YC-1, nitric oxide, and carbon oxide」、J. Mol. Med. 77(1999)、14〜23。Tween 20を試料緩衝液(最終濃度0.5%)に添加することにより、ヘムを含まないグアニル酸シクラーゼを得る。
【0275】
試験物質によるsGCの活性化を、基礎活性のx倍の刺激として記述する。実施例25についての結果を表1に示す:
【0276】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0277】
表1から、ヘム含有酵素とヘムを含まない酵素の両方の刺激が得られることが分かる。さらに、実施例25とNOドナーである2−(N,N−ジエチルアミノ)ジアゼノレート2−オキシド(DEA/NO)を組み合わせると相乗効果を示す、すなわち、ヘム依存性機序を介して作用するsGC活性化物質について予測されるようにDEA/NOの活性が増強されない。さらに、本発明によるsGC活性化物質の活性は、可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム依存性阻害剤である1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)によって遮断されず、反対に、増強すらされる。したがって、表1の結果により、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化物質としての本発明による化合物の作用機序が確認される。
【0278】
B−2組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞系への効果
F. Wunder等、Anal. Biochem. 339、104〜112(2005)に記載されているように、組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞系を用いて本発明による化合物の細胞活性を決定する。
【0279】
本発明による化合物についての代表的な結果を表2に列挙する:
【0280】
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0281】
B−3sGC酵素活性の刺激
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、刺激によりGTPをcGMPおよびピロリン酸(PPi)に変換する。PPiを以下に記載されるアッセイを用いて検出する。アッセイで産生されるシグナルは反応が進行するにつれて増加するので、所与の刺激下でのsGC酵素活性の尺度として働く。
【0282】
アッセイを行うために、酵素溶液[50mM TEA、2mM MgCl2、0.1%BSA(分画V)、0.005%Brii(登録商標)中0〜10nM可溶性グアニル酸シクラーゼ(Honicka等、J. Mol. Med. 77、14〜23(1999)にしたがって調製)、pH7.5]29μlを最初にマイクロプレートに導入し、試験する物質1μlを(DMSO中連続希釈溶液として)添加する。混合物を室温で10分間インキュベートする。次いで、検出混合物[50mM TEA、2mM MgCl2、0.1%BSA(分画V)、0.005%Brij(登録商標)中1.2nMホタルルシフェラーゼ(Photinus pyralisルシフェラーゼ、Promega)、29μMデヒドロルシフェリン(Bitler&McElroy, Arch. Biochem. Biophys. 72、358(1957)にしたがって調製)、122μMルシフェリン(Promega)、153μM ATP(Sigma)および0.4mM DTT(Sigma)、pH7.5]20μlを添加する。基質溶液[50mM TEA、2mM MgCl2、0.1%BSA(分画V)、0.005%Brij(登録商標)中1.25mMグアノシン5’三リン酸(Sigma)、pH7.5]20μlを添加することによって酵素反応を開始し、ルミノメーターで連続的に測定する。試験する物質による刺激の程度を、刺激されていない反応のシグナルに対して決定することができる。
【0283】
1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)25μMを酵素溶液に添加し、その後30分間インキュベートし、天然酵素の刺激と比較することによって、ヘムを含まないグアニル酸シクラーゼの活性化を試験する。
【0284】
本発明による化合物についての代表的な結果を表3に列挙する:
【0285】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0286】
B−4インビトロでの血管弛緩効果
ウサギをチオペンタールナトリウムの静脈内注射により麻酔するまたは屠殺して(約50mg/kg)失血させる。動脈伏在静脈を取り出し、3mm幅の輪に分割する。輪を、0.3mmの強力な特別のワイヤー(Remanium(登録商標))でできた端部が開いた1対の三角形フックにそれぞれマウントする。初荷重下、各輪を以下の組成を有する37℃の温かいカーボゲン通気クレブス−ヘンゼライト液を含む5ml臓器浴に移す:NaCl119mM;KCl4.8mM;CaCl2×2H2O1mM;MgSO4×7H2O1.4mM;KH2PO41.2mM;NaHCO325mM;グルコース10mM;ウシ血清アルブミン0.001%。収縮力を、Statham UC2細胞により測定し、A/Dトランスデューサー(DAS−1802HC、Keithley Instruments Munich)を用いて増幅およびデジタル化し、線形レコーダーで並行して記録する。フェニレフリンを添加して収縮を誘導する。
【0287】
数回(一般に4回)のコントロールサイクル後、試験する物質を各々のさらなる導管に増加する投与量で添加し、試験物質の影響下で得られる収縮の高さを、最後の予備導管で得られる収縮の高さと比較する。ここから、50%予備制御(IC50)で得られる収縮を減らすために必要な濃度を計算する。標準的な投与量は5μlである。浴溶液中のDMSOの割合は0.1%に相当する。
【0288】
B−5意識のあるSHラットの血圧および心拍数の無線遠隔測定
Data Sciences International DSI、USA製の商業的に入手可能な遠隔測定システムを以下に記載される意識のあるSHラットの測定に使用する。
【0289】
このシステムは3つの主要な構成要素からなる:(1)埋め込み型送信器、多重化装置を介して(3)データ収集コンピュータに接続した(2)受信器。遠隔測定システムにより、通常の居住地にいる意識のある動物の血圧および心拍数を連続的に記録することが可能になる。
【0290】
試験を体重が200g超の成体雌自然発症高血圧ラット(SHラット)に行う。送信器埋め込み後、実験動物を3型Makrolonケージに1匹ずつ収容する。実験動物は標準的な餌および水を自由に摂取できる。実験用実験室の昼/夜リズムは、午前6:00および午後7:00に室内照明によって変化させる。
【0291】
使用する遠隔測定送信器(TAM PA−C40、DSI)を、少なくとも最初の実験使用の14日前に無菌条件下で実験動物に外科的に埋め込む。このように装着された動物を、創傷が治癒し、埋込装置が定着した後に繰り返し使用することができる。
【0292】
埋め込みのために、絶食動物をペントパルビタール(Nembutal、Sanofi:50mg/kg腹腔内)で麻酔し、腹部の広域にわたって剪毛および消毒する。腹腔を白線に沿って開いた後、システムの液体充填測定カテーテルを、分岐上の頭蓋方向に下行大動脈に挿入し、組織接着剤(VetBonD(商標)、3M)で固定する。送信器ハウジングを腹壁筋に腹腔内固定し、創傷を一層ずつ閉じる。抗生物質(Tardomyocel COMP、Bayer AG、1ml/kg皮下)を感染症予防のために手術後に投与する。
【0293】
試験手順:
試験する物質を各場合で動物の群(n=6)に経管栄養により経口投与する。5ml/kg体重の投与量によると、試験物質を適当な溶媒混合物に溶解させる、または0.5%チロースに懸濁させる。溶媒処理群の動物を対照として使用する。
【0294】
遠隔測定システムを24匹の動物に設定する。各実験を実験番号に基づいて登録する。
【0295】
システムで生きている装着ラットの各々に別々の受信アンテナ(1010 Receiver、DSI)を割り当てる。埋め込まれた送信器は、設置された磁気スイッチを介して外部から活性化することができ、実験の予備実行中に送信に切り替える。発信されるシグナルは、データ収集システム(Windows(登録商標)用Dataquest(商標)A. R. T. 、DSI)によってオンラインで検出し、適宜処理することができる。データを各場合でこの目的のために作成し、実験番号を有するファイルに保存する。
【0296】
標準的手順では、各場合で以下を10秒間測定する:(1)収縮期血圧(SBP)、(2)拡張期血圧(DBP)、(3)平均動脈圧(MAP)および(4)心拍数(HR)。
【0297】
測定値の収集を5分間隔でコンピュータ制御下で繰り返す。絶対値として得られたソースデータを、現在の測定大気圧を用いて図表で補正し、個々のデータとして保存する。さらなる技術的詳細は、製造会社(DSI)の文書に示されている。
【0298】
試験物質の投与を実験日の午前9時に行う。投与後、上記パラメータを24時間にわたって測定する。実験が完了した後、収集した個々のデータを分析ソフトウェア(Dataquest(商標)A. R. T. Analysis)を用いてソートする。ブランク値を投与2時間前の時点でとるので、選択されたデータセットは実験日の午前7:00から翌日の午前9:00までを包含する。
【0299】
データを平均(15分平均、30分平均)の決定により事前定義可能な期間にわたって平滑化し、テキストファイルとして記憶媒体に移す。このようにプレソートし、圧縮した測定値をエクセルテンプレートに移し、作表する。
【0300】
C.医薬組成物についての実施例
本発明による化合物を以下の通り医薬製剤に変換することができる。
【0301】
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、乳糖(一水和物)50mg、コーンスターチ(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF、Ludwigshafen、ドイツ)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
【0302】
製造:
本発明の化合物、乳糖およびスターチの混合物をPVPの水中5%溶液(w/w)を用いて顆粒化する。顆粒を乾燥させ、次いで、5分間ステアリン酸マグネシウムと混合する。この混合物を従来の打錠機で圧縮する(錠剤のフォーマットについては上記参照)。圧縮に使用する案内値は15kNの押圧力とする。
【0303】
経口投与することができる懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMC、ペンシルバニア、米国製のキサンタンガム)400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの1回用量に相当する。
【0304】
製造:
Rhodigelをエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。攪拌しながら水を添加する。Rhodigelの膨潤が完了する前に混合物を約6時間攪拌する。
【0305】
経口投与用の液剤
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの1回用量に相当する。
【0306】
製造:
本発明による化合物を、攪拌しながらポリエチレングリコールとポリソルベートの混合物に懸濁する。本発明による化合物の溶解が完了するまで攪拌操作を続ける。
【0307】
静脈内注射液剤:
本発明による化合物を、生理学的に許容される溶媒(例えば、等張生理食塩水、ブドウ糖液5%および/またはPEG 400溶液30%)に飽和溶解度未満の濃度で溶解する。溶液を滅菌濾過に供し、滅菌およびパイロジェンフリー注射容器に分注する。