特許第6138265号(P6138265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138265
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】シールドクロスを備えた絶縁体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6599 20110101AFI20170522BHJP
   H01R 13/6585 20110101ALI20170522BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
   H01R13/6599
   H01R13/6585
   !H05K9/00 F
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-541009(P2015-541009)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公表番号】特表2016-504710(P2016-504710A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】DE2013100366
(87)【国際公開番号】WO2014071921
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2015年7月8日
(31)【優先権主張番号】102012022004.9
(32)【優先日】2012年11月12日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513022232
【氏名又は名称】ハルティング エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HARTING Electronics GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュライアー
(72)【発明者】
【氏名】メラニー ゲナウ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ペーター ポスト
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/041310(WO,A1)
【文献】 特開平09−063703(JP,A)
【文献】 特表2009−503804(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0034809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648〜13/6599
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体(1)であって、当該絶縁体(1)は、プラグインコネクタハウジングの、該絶縁体(1)のために設けられた室内に導入可能であり、
当該絶縁体(1)は、少なくとも1つのコンタクトエレメント(13)のための少なくとも1つの(11)を有していて、前記コンタクトエレメント(13)は、接続されるケーブルの導体又はプリント配線板の導体路に接続可能であり、
さらに当該絶縁体(1)は、シールドエレメント(20)を有していて、これによって前記コンタクトエレメント(13)は電磁的に遮蔽されている、絶縁体(1)において、
当該絶縁体(1)は、少なくとも1つの第1のコンポーネント(2)と少なくとも1つの第2のコンポーネント(10)とから形成されており、
当該絶縁体(1)は、中空室(3)を有していて、該中空室(3)の表面は前記第1のコンポーネント(2)によって形成されており、
前記第2のコンポーネント(10)は前記少なくとも1つの孔(11)を有しており、
さらに前記第1のコンポーネント(2)は、前記第1のコンポーネント(2)の前記表面に無電流式の化学的な方法で導電性の被覆を設けることができるドーピングを含んでおり、
しかも前記シールドエレメント(20)は、前記第1のコンポーネント(2)の導電性の被覆(6)から形成されている
ことを特徴とする、絶縁体。
【請求項2】
前記第1及び第2のコンポーネント(2,10)から形成された絶縁体(1)は、前記導電性の被覆(6)を含めて一体の構成部材として形成されている、請求項1記載の絶縁体。
【請求項3】
前記第1のコンポーネント(2)の前記表面には、前記ドーピングに固着した金属粒子によって形成された、少なくとも第1の導電性の被覆が設けられており、
かつ前記第1の導電性の被覆に被着された第2の導電性の被覆が設けられており、
このとき前記両導電性の被覆は一緒に、前記シールドエレメント(20)を形成している、請求項1又は2記載の絶縁体。
【請求項4】
前記シールドエレメント(20)は、当該絶縁体(1)を軸方向において十字形に貫通している、請求項1から3までのいずれか1項記載の絶縁体。
【請求項5】
前記シールドエレメントは、当該絶縁体(1)を軸方向において星形に貫通している、請求項1から4までのいずれか1項記載の絶縁体。
【請求項6】
充填剤をドーピングされた前記第1のコンポーネント(2)は、パラジウムシードを含んでいる、請求項1記載の絶縁体。
【請求項7】
前記導電性の被覆(6)は、銅又は銅合金から成っている、請求項1記載の絶縁体。
【請求項8】
前記少なくとも2つの異なったコンポーネント(2,10)のうちの少なくとも1つが、プラスチックから形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の絶縁体。
【請求項9】
シールドコンタクトエレメント(7)は前記シールドエレメント(20)に一体成形されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の絶縁体。
【請求項10】
絶縁体(1)の製造方法であって、当該絶縁体(1)は、プラグインコネクタハウジングの、該絶縁体(1)のために設けられた室内に導入可能であり、
当該絶縁体(1)は、少なくとも1つのコンタクトエレメント(13)のための少なくとも1つの(11)を有していて、前記コンタクトエレメント(13)は、接続されるケーブルの導体又はプリント配線板の導体路に接続可能であり、
さらに当該絶縁体(1)は、シールドエレメント(20)を有していて、これによって前記コンタクトエレメント(13)は電磁的に遮蔽されており、
当該絶縁体(1)は、少なくとも1つの第1のコンポーネント(2)と少なくとも1つの第2のコンポーネント(10)とから形成されており、
当該絶縁体(1)は、中空室(3)を有していて、該中空室(3)の表面は前記第1のコンポーネント(2)によって形成されており、
前記第2のコンポーネント(10)は前記少なくとも1つの孔(11)を有しており、
前記方法は、
ドーピングを含む前記第1のコンポーネント(2)を、射出成形法を用いて形成し、
前記第2のコンポーネント(10)を、射出成形法を用いて形成し、部分的に前記第1のコンポーネント(2)を取り囲み、これによって前記絶縁体(1)の最終的な形状に形成し、
前記第1のコンポーネント(2)の被覆されていない表面に、無電流式の化学的な方法を用いて、前記ドーピングに固着した金属粒子によって形成される第1の導電性の被覆を形成するステップを含み、
前記第1のコンポーネント(2)の導電性の被覆(6)が前記シールドエレメント(20)を形成している、
ことを特徴とする、絶縁体(1)の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記第1の導電性の被覆上に、電気めっき法を用いて第2の導電性の被覆を形成するステップを含み、
前記第1および前記第2の導電性の被覆は一緒に、前記シールドエレメント(20)を形成している、
ことを特徴とする、請求項10記載の絶縁体(1)の製造方法。
【請求項12】
最初に、前記無電流式の化学的な方法において、まず銅又は銅合金を被着し、
続く無電流式の化学的な方法において、ニッケル又はニッケル合金を被着し、
電気めっき法を用いて、金層又は金合金層を被着するステップを含み、
前記個々の層は一緒に、前記シールドエレメント(20)を形成している、
請求項10記載の絶縁体(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載された絶縁体に関する。
【0002】
絶縁体は、プラグインコネクタハウジングの、当該絶縁体のために設けられた室内に挿入される。通常、絶縁体は、プラグインコネクタに接続されるケーブルの導体が接続される、コンタクトエレメントのための収容部を有している。択一的に、コンタクトエレメントはプリント配線板に差し嵌められてろう接されてもよい。
【0003】
データ伝送技術において、いわゆるシールド領域を備えた絶縁体が使用される。シールド領域は、接続されるケーブルの少なくとも2つの導体及び/又は所属のコンタクトエレメントを、互いに電磁的に遮蔽するために用いられる。
【0004】
このような絶縁体は、アナログ式又はデジタル式のデータ伝送のための多極のプラグインコネクタであって、遮蔽された構成において600MHz又はそれを超える周波数において使用可能であるプラグインコネクタを形成するために必要になる。
【0005】
独国特許発明第4341104号明細書には、多極のプリント配線板用プラグインコネクタが記載されている。プラグインコネクタを外界に対して電磁的に遮蔽するために、プラグインコネクタの絶縁体に電気メッキ層を設けることが提案されている。プラグインコネクタを比較的高いデータ伝送速度においても使用できるようにするために、さらに、絶縁体においてコンタクトエレメントを金属めっきされたキャップで覆うことが提案されている。
【0006】
独国特許出願公開第102009021594号明細書には、プラグインコネクタハウジング用の絶縁体が開示されている。この絶縁体は、コンタクトエレメント用の凹部とコンタクトエレメントを電磁的に遮蔽するシールドエレメントとを有している。このシールドコンタクトエレメントは、金属から形成されている。金属製のシールドエレメントを絶縁体に接続するために、絶縁体は複数の個別部材から成っていて、これらの個別部材は互いに係止されねばならない。
【0007】
独国実用新案第9210551号明細書に開示されたプラグインコネクタは、導電性の領域を有していて、これらの領域は、電着された金属粒子を備えたドーピングされたプラスチックベース材料から成っている。
【0008】
米国特許第6494743号明細書には、プラグインコネクタ取付けハウジングと、プラスチック材料から成る所属の絶縁体とが開示されている。絶縁体は複数の絶縁体部分から成っており、これらの絶縁体はそれぞれ、金属製のシールドクロス(断面十字形のシールド部材)のセグメント内にそれぞれ導入される。このシールドクロスは、プラグインコネクタハウジングの構成部分である。
【0009】
上に述べたプラグインコネクタは、極めて多くの個別部材から成っていて、従って組立てに手間がかかる。
【0010】
ゆえに本発明の課題は、簡単に組立て可能でかつ同時に多様に使用可能なプラグインコネクタを提案することである。
【0011】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0012】
本発明の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明に係る絶縁体においては、後でプラグインコネクタのいわゆるコネクタフェースを形成するコンタクトエレメントを取り付けることができる。それぞれのコンタクトエレメントには、プラグインコネクタに接続されるケーブルの個々の導体が接続される。この接続は、例えばクリンプ結合によって行うことができる。しかしながらまた他の接触接続方式も同様に可能である。本発明に係る絶縁体が完成したプラグインコネクタとしてプリント配線板に取り付けられる場合、個々のコンタクトエレメントは通常、プリント配線板に不動にろう接される。他の接触接続法、例えばプレスインピンもまた可能である。
【0014】
以下においては、1つのケーブルの個々の導体との、絶縁体のコンタクトエレメントの接続について、複数回述べられる。しかしながら本発明に係る絶縁体は、このような接続形態に制限されるものではない。プリント配線板へのコンタクトエレメントの接触接続も同等に行うことが可能である。
【0015】
絶縁体は、プラグインコネクタハウジングの、該絶縁体のために設けられた室内に挿入される。プラグインコネクタハウジングには、通常、ケーブル出口が設けられている。ケーブル出口の開口を通して、接続されるケーブルはプラグインコネクタハウジングの内部に進入する。
【0016】
絶縁体の内部においては、個々のコンタクトエレメント又はコンタクトエレメント対が、シールドエレメントによって互いに電磁的に遮蔽される。通常、各2つのコンタクトエレメントが1対として、他の2対に対して遮蔽される。
【0017】
通常、絶縁体は中空室を有しており、この中空室内に、金属製のいわゆるシールドクロスが挿入される。このときシールドクロスの表面は、中空室の表面に接触している。この金属製のシールドクロスは、上に述べたように2つのコンタクトエレメントを互いに電磁的に遮蔽する。
【0018】
従来公知の絶縁体は、通常、金属製のシールドクロスと導電接続している金属製のコンタクトリングによって取り囲まれている。このコンタクトリングはまた、プラグインコネクタハウジングの室の内壁と導電(接触)接続している。
【0019】
絶縁体は、通常、非導電材料(プラスチック)から成っている。通常、絶縁体は射出成形法で製造される。このときプラスチック材料が、射出成形型内に噴射される。射出成形型は、このとき絶縁体の形状及び表面構造を決定する。本発明に係る絶縁体は、いわゆる「2成分射出成形法」において製造される。
【0020】
絶縁体は、少なくとも2つの異なったコンポーネント、つまり第1のコンポーネントと第2のコンポーネントから成っている。
【0021】
これらのコンポーネントのうちの少なくとも1つ、通常、第1のコンポーネントは、ドーピングを施されている。ドーピングは、理想的には、表面を金属化するための触媒としても用いられる。
【0022】
好ましい態様では、ドーピングは、プラスチックに混入されているパラジウムシード(Palladiumkeim)である。
【0023】
上に述べた射出成形法において製造された絶縁体が完成すると、シールド領域とも呼ばれる、第1のコンポーネントの表面の少なくとも一部には、無電流式の化学的な方法において、導電性の被覆が設けられる。このときドーピングには、金属製の材料、好ましくは銅又は銅合金が固着する。銅表面には、さらなる作業ステップにおいて、例えば金属めっき法において、他の金属化合物を被着させることができる。この導電性の被覆は、本発明に係る絶縁体のシールドエレメントを形成する。
【0024】
上に述べた化学的な方法は、明らかに、電解浴において実施される電気めっき法ではない。むしろドーピングには、無電流で金属粒子が固着し、これらの金属粒子は、表面において金属製の層に成長する。この方法は、化学浴において、電極の存在なしに実施される。従ってこの方法は、いわゆる無電流式の化学的な方法である。第1の金属製の被覆には、次いで金属めっき法において別の金属製の被覆を被着させることができる。電気めっき法は、電解浴において実施されるが、無電流式とは見なされない。
【0025】
このとき第1のコンポーネントのドーピングの量は、電気めっきプロセスのためには適していないほどに僅かであってよい。しかしながら僅かなドーピング量には、ドーピング剤が高価であるので、このような方法が安価であるという利点がある。
【0026】
特に好適な態様では、第1の(ドーピングされた)コンポーネントには、無電流式の化学的な(電気めっきではない)方法において、第1の導電性の被覆が設けられる。次に、この導電性の第1の被覆には、次いで電気めっき法において、少なくとも第2の導電性の被覆が設けられる。さらに別の電気めっきによる被覆法を実施し、かつ第3及び第4の導電性の被覆を形成することができる。このようにすると、互いに上下に重なって位置する導電性の被覆が、全体として導電性の被覆を形成し、この被覆は次いでシールドエレメントを形成する。
【0027】
好適な態様では、絶縁体は、外方に向かって突出するばねアームを有しており、これらのばねアームは、(ドーピングを備えた)第1のコンポーネントによって形成される。化学的な方法において、これらのばねアームには、好ましくは導電性の被覆が設けられてもよい。この場合においても電気めっき浴におけるさらなる被覆が好適である。導電性に被覆されたばねアームは、シールドエレメントと導電接触している。プラグインコネクタハウジングの室内への絶縁体の導入時に、これらのばねアームは、プラグインコネクタのハウジングとも導電接触しており、以前から公知の絶縁体における上述の金属製のコンタクトリングと同じ働きを果たす。
【0028】
本発明に係る絶縁体は、(導電性の被覆の)シールドエレメントを含めて、一体の部材として形成されている。コンタクトエレメントは、直に取り付けることが可能である。シールドエレメント又は金属製のコンタクトエレメントのための追加的な取付けステップは、省かれる。
【0029】
本発明の好適な態様では、中空室は絶縁体を軸方向において十字形に貫通している。これによって絶縁体における十字形の金属被覆も得られる。これは、特に8極のプラグインコネクタのための有利である。このときコンタクトエレメントの各2対を互いに遮蔽することができる。
【0030】
12極のプラグインコネクタでは、中空室の軸方向における貫通部を絶縁体によって星形に形成すると好適である。星形の個々のアームが対称的に分配配置されていると、この態様においてもそれぞれ2つのコンタクトエレメントが相互に遮蔽される。
【0031】
また別の好適な態様では、互いに平行に方向付けられた複数の中空室が、絶縁体内に設けられている。この態様によって、互いに平行に方向付けられた複数のシールドエレメントが得られる。このことは特に、直方体形状の絶縁体において好適である。
【0032】
コンタクトエレメントの数及び技術的に必要な遮蔽形態に関連して、本発明に係るシールドエレメントの形状は可変に形成されてよい。絶縁体におけるそれぞれの形状及び貫通部は、技術的に実現可能である。
【0033】
以下においては、本発明に係る絶縁体の製造方法について記載する:
既に述べたように、絶縁体は2成分射出成形法において、少なくとも1つの第1のコンポーネントと少なくとも1つの第2のコンポーネントとから製造される。これらのコンポーネントのうちの少なくとも1つに、ドーピングが加えられている。このときドーピングは、好ましくはパラジウムシードである。次いで行われる金属による被覆と一緒に、このような方法は、いわゆるMID法としても公知である。
【0034】
第1の作業ステップにおいて、第1のコンポーネントは射出成形型内に射出される。通常、第1のコンポーネントに、上に述べたパラジウムドーピングが加えられている。この場合、第1のコンポーネントは、後でシールドエレメントを形成することが望まれている表面領域を形成する。
【0035】
第2の作業ステップにおいて第2のコンポーネントが、射出成形型内に噴射され、部分的に第1のコンポーネントを取り囲み、これによって絶縁体の最終的な形状が形成される。シールドエレメント用の表面領域は、既に第1の作業ステップにおいて、第1のコンポーネントに加工成形されていて、第2の作業ステップでは、第2のコンポーネントによって覆われない。
【0036】
このようにして成形された絶縁体には、化学的な方法において、導電性の被覆が設けられる。詳しくは記載しない化学的なプロセスによって、ドーピングされたコンポーネントのなお被覆されていない表面に、銅が析出される。この銅層には、さらなるステップにおいて、例えば電気めっき浴において、別の異なった金属層を被着させることができる。完成した被覆層はシールドエレメントを形成する。
【0037】
本発明によれば、絶縁体は、個々のコンタクトエレメントのためにただ1つの受容部を備えていてもよい。このような場合にはシールド領域は、理想的には、コンタクトエレメント用の受容部を取り囲んでいる。このようになっていると、金属製のハウジングによって、二重にシールドされた単極のプラグインコネクタを製造することができる。
【0038】
次に図面を参照しながら、本発明の1つの実施の形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】絶縁体を示す斜視図である。
図2】絶縁体を示す別の斜視図である。
図3】絶縁体の、ドーピングされたコンポーネントを示す斜視図である。
図4】絶縁体の別の実施の形態を示す斜視図である。
【0040】
図1には、本発明に係る絶縁体1の第1の実施の形態が斜視図で示されている。
【0041】
絶縁体1は、第1のコンポーネント2と第2のコンポーネント10とから成っている。第1のコンポーネント2はパラジウムドーピングを有していて、最初に化学的な方法で第1の金属層が設けられ、次いで金属めっき浴内において別の金属被覆が設けられ、これらの金属層及び金属被覆は、全体として、シールドエレメント20を形成する導電性の被覆6を形成する。
【0042】
絶縁体1は、ほぼ円筒形の形状を有している。絶縁体1の端面には、コンタクトエレメント(ここでは図示せず)の取付けに適した複数の凹部11が設けられている。絶縁体1は、十字形の中空室3によって貫通されている。さらにいわゆるシールドコンタクト7が設けられていて、このシールドコンタクト7は、シールド伝達(Schirmuebergabe)のためのコンタクトを成し、例えばプラグインコネクタのアース接続のために設けられている。シールドコンタクト7はそのために、接続されるケーブルのアースラインに又はプリント配線板のアースラインに接続される。
【0043】
本発明の特に好適な態様では、シールドコンタクト7は、第1の材料コンポーネント2の一部と、この材料コンポーネント2上に位置する導電性の被覆6とから成っている。択一的にシールドコンタクト7は、別体の金属製のコンタクトエレメントから形成されていてもよい。
【0044】
絶縁体1の周面からはばねアーム14が突出しており、このばねアーム14は、プラグインコネクタハウジングの室内への導入時に、該室に接着接続している。金属製のハウジングでは、ばねアーム14はハウジングに導電接触している。第1のコンポーネント2は、互いに導電接触しているエレメントを形成している。全体として、シールドエレメント20とばねアーム14とシールドコンタクト7とは導電接触している。
【0045】
絶縁体1の第1のコンポーネント2はほぼ、空間に押し出された十字の形をしている。第1のコンポーネント2の2つのウイング4は、前記ばねアーム14を形成している。この両ウイング4に対して垂直に配置されたウイング4には、シールドコンタクト7が一体に成形されている。
【0046】
第1のコンポーネント2の周りに第2のコンポーネント10が射出される。第2のコンポーネント10の材料によって覆われていない、第1のコンポーネント2の表面には、次いで電気めっき浴内において導電性の被覆6を設けることができる。
【0047】
図4には、本発明に係る絶縁体1′の別の実施の形態が示されている。この絶縁体1′はほぼ直方体形状を有している。等しいエレメントには同一の符号が付されている。
【0048】
絶縁体1′は、互いに平行な3つの中空室3によって貫通されている。これらの中空室3の表面は、第1のドーピングされたプラスチック成分の材料から形成される。電気めっき浴内において、中空室3の表面には導電性の被覆6が設けられる。
【0049】
互いに平行な3つのシールド面である導電性の被覆6は、互いに導電接続されていて、同様に、シールドコンタクトエレメント(図示せず)と導電接触している。本実施の形態においても、プラグインコネクタハウジングに導電接触しているばねエレメント(図示せず)が設けられていてよい。
【0050】
本明細書において開示された様々な実施の形態のすべての特徴は、根底を成す本発明の思想を逸脱することなしに、互いに任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 絶縁体
2 第1のコンポーネント
3 中空室
4 ウイング
6 導電性の被覆
7 シールドコンタクトエレメント
10 第2のコンポーネント
11 凹部
12 2つの極
14 ばねアーム
20 シールドエレメント
図1
図2
図3
図4