特許第6138295号(P6138295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6138295
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20170522BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20170522BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170522BHJP
【FI】
   F21S8/12 271
   F21V5/00 320
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-9189(P2016-9189)
(22)【出願日】2016年1月20日
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356997
【氏名又は名称】堤維西交通工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】林 明峰
(72)【発明者】
【氏名】施 明智
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−060671(JP,A)
【文献】 特開2002−343108(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/033834(WO,A1)
【文献】 特開2015−204199(JP,A)
【文献】 特開2008−251243(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101725877(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21V 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光できる発光手段と、
前記発光手段から発する光を受けて前方斜め下方へ反射させる反射面を有する反射手段と、
前記発光手段の前方に、前記反射手段からの反射光を通過させて前記反射光を集光することができるように設置されている第1のレンズと、
前記発光手段と前記第1のレンズとの間に介入して前記反射光を屈折させて上方へ持ち上げる第1の位置と、前記発光手段と前記第1のレンズとの間から離脱して、前記反射光が直接に前記第1のレンズに到達できる第2の位置と、の間を移動できるように配置構成されている第2のレンズと、を有しており、
前記第2のレンズが前記第1の位置にある際、前記第1のレンズから射出する光が、前方に向くハイビームになり、
前記第2のレンズが前記第2の位置にある際、前記第1のレンズから射出する光が、前記ハイビームより下方に向くロービームになるように構成されており、
前記第1のレンズは、第1の光射入面と、第1の光射出面と、を有し、左右両側から前に延伸しながら互いに向き合うように湾曲する上、中央部分の厚さが上下両側の厚さより厚くなるように前記第1の光射出面が突起して凸面になっており、
前記第2のレンズは、前記第1の位置にある場合、前記反射光を受け、平面に構成されている第2の光射入面と、前記第2の光射入面の反対側にあって前記第2のレンズを通過する前記反射光を前記第1のレンズへ射出する第2の光射出面と、を有し、中央部分の厚さが左右両側の厚さより厚くなるように前記第2の光射出面が突起して凸面になっており、
前記第2の光射入面及び前記第2の光射出面は、いずれも、下から前記第1の光射入面に向いて、前方斜め上方に延伸すると共に、前記第2の光射入面と水平面とが成す鋭角の角度が15度〜75度になるように形成されていることを特徴とするヘッドライト。
【請求項2】
前記第2のレンズの厚さは、上から下へ段々に薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドライト。
【請求項3】
上面と前面とを有するベースを有しており、
前記発光手段と前記反射手段とは前記ベースの前記上面に設置されており、
前記ベースの前記前面に左右2つの案内バーが上下方向に延伸するように設置されており、
前記第2のレンズは、前記左右2つの案内バーの間に上下摺動できるように取り付けられている取付け部に設置されていて前記第1の位置と前記第1の位置の下方にある前記第2の位置との間を移動でき、前記発光手段は、光源となるLED素子と、表面が光を反射できる材料で作成され、前記LED素子が設置されている設置部と、前記反射手段からの前記反射光の一部を遮断できるように前記設置部から前方へ突出している遮光部と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドライトに関し、特に、車用のヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般のヘッドライトは、発光手段と、該発光手段から発する光を所定の方向に照射するように反射できる反射手段と、該発光手段及び該反射手段を覆うレンズと、ハイビームとロービームとを互いに切り替える切替手段と、により構成されている。発光手段としてハロゲンランプやHIDランプを使用する際には、切替手段として一般に遮光プレートが使用されており、該遮光プレートの角度または位置を調整することによって切り替える。また、発光手段としてLEDを使用する際には、特許文献1に開示されているように、ハイビーム発光モジュールとロービーム発光モジュールとの2つの発光モジュールを具え、これらを切り替えることを切替手段とするヘッドライトが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8287163号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているヘッドライトは、ハイビームとロービームとを互いに切り替えるために、2つの相異する発光モジュールを構成しなければならず、構造が複雑な上、製造の手間とコストも増える欠点がある。
【0005】
上記問題点に鑑みて、本発明は、簡単な構造でハイビームとロービームとを互いに切り替えることができるヘッドライトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は、発光できる発光手段と、前記発光手段から発する光を受けて前方斜め下方へ反射させる反射面を有する反射手段と、前記発光手段の前方に、前記反射手段からの反射光を通過させて前記反射光を集光することができるように設置されている第1のレンズと、前記発光手段と前記第1のレンズとの間に介入して前記反射光を屈折させて上方へ持ち上げる第1の位置と、前記発光手段と前記第1のレンズとの間から離脱して、前記反射光が直接に前記第1のレンズに到達できる第2の位置と、の間を移動できるように配置構成されている第2のレンズと、を有しており、前記第2のレンズが前記第1の位置にある際、前記第1のレンズから射出する光が、前方に向くハイビームになり、前記第2のレンズが前記第2の位置にある際、前記第1のレンズから射出する光が、前記ハイビームより下方に向くロービームになるように構成されており、前記第1のレンズは、第1の光射入面と、第1の光射出面と、を有し、左右両側から前に延伸しながら互いに向き合うように湾曲する上、中央部分の厚さが上下両側の厚さより厚くなるように前記第1の光射出面が突起して凸面になっており、前記第2のレンズは、前記第1の位置にある場合、前記反射光を受け、平面に構成されている第2の光射入面と、前記第2の光射入面の反対側にあって前記第2のレンズを通過する前記反射光を前記第1のレンズへ射出する第2の光射出面と、を有し、中央部分の厚さが左右両側の厚さより厚くなるように前記第2の光射出面が突起して凸面になっており、前記第2の光射入面及び前記第2の光射出面は、いずれも、下から前記第1の光射入面に向いて、前方斜め上方に延伸すると共に、前記第2の光射入面と水平面とが成す鋭角の角度が15度〜75度になるように形成されていることを特徴とするヘッドライトを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、本発明は、発光手段と第1のレンズとの間に介入して反射光を屈折させて上方へ持ち上げる第1の位置と、発光手段と前記第1のレンズとの間から離脱して、反射光が直接に前記第1のレンズに到達できる第2の位置と、の間を移動できるように配置構成されている第2のレンズを有するので、該第2のレンズを移動するだけで、ハイビームとロービームとを互いに切り替えることができ、従来の2つの相異する発光モジュールで切り替えるヘッドライトより簡単な構造を有して、製造の手間とコストを大幅に減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のヘッドライトの部品分解図である。
図2】第1実施形態のヘッドライトの正面図である。
図3】第1実施形態のヘッドライトのロービームを発する状態を示す断面図である。
図4】第1実施形態のヘッドライトのハイビームを発する状態を示す断面図である。
図5】第1実施形態のヘッドライトのロービームを発する状態を示す上面図である。
図6】第1実施形態のヘッドライトのハイビームを発する状態を示す上面図である。
図7】第2実施形態のヘッドライトの断面図である。
図8】第3実施形態のヘッドライトの上面図である。
図9】第4実施形態のヘッドライトの断面図である。
図10】第4実施形態のヘッドライトの第2のレンズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では各図面を参照しながら、本発明の各実施形態について詳しく説明する。
【0010】
図1及び図2は、第1実施形態のヘッドライトを示す図である。図3及び図5は、第1実施形態のヘッドライトのロービームを発する状態を示す図である。図4及び図6は、第1実施形態のヘッドライトのハイビームを発する状態を示す図である。
【0011】
第1実施形態のヘッドライトは、図1に示されるように、上方に面する上面111と前方に面する前面112とを有するベース1と、ベース1の上面111に設置され、上方に向いて発光する発光手段2と、ベース1の上面111に設置され、発光手段2を覆いながら、図3に示されるように、発光手段2から発する光を受けて前方斜め下方へ反射させる反射面121を有する反射手段12と、発光手段2の前方で、反射手段12からの反射光を通過させて該反射光を集光することができるようにベース1に設置されている第1のレンズ3と、図4に示されるように、発光手段2と第1のレンズ3との間に介入して前記反射光を屈折させて上方へ持ち上げて、第1のレンズ3から射出する光が、前方に向くハイビームになれる第1の位置と、図3に示されるように、前記第1の位置の下方にあり、発光手段2と第1のレンズ3との間から離脱して、前記反射光が直接に第1のレンズ3に到達できて、第1のレンズ3から射出する光が、前記ハイビームより下方に向くロービームになれる第2の位置と、の間を移動できるようにベース1の前面に配置構成されている第2のレンズ4と、により構成されている。
【0012】
ベース1は、図2に示されるように、ベース1の前面112に左右2つの案内バー13が互いに平行に上下方向に延伸するように設置されている。
【0013】
発光手段2は、図1及び図3に示されるように、表面が光を反射できる材料で作成されている設置部24と、設置部24の表面に設置されている回路基板21と、回路基板21に電気的に接続され、光源となるLED素子22と、反射手段12からの反射光の一部を遮断できるように設置部24から前方へ突出している遮光部23と、を有するように構成されている。
【0014】
なお、発光手段2の発光方向は、上方に向くことに限らず、反射手段12の反射面121の反射角度等を調整することにより、発光した光が前方斜め下方へ反射されることができれば、任意の方向に向いて発光することができる。
【0015】
反射手段12の反射面121は、図3に示されるように、略楕円面に形成されている。
【0016】
第1のレンズ3は、図1に示されるように、反射手段12の左右両側から前に延伸しながら互いに向き合うように湾曲する上、図3に示されるように、中央部分の厚さが上下両側の厚さより厚くなるように前方側に突起して凸面になっている第1の光射出面322と、第1の光射出面322の反対側にあり、上下方向において直線であり且つ左右方向において前記湾曲と同じ曲率の円弧になっている第1の光射入面321と、ベース1の上面における反射手段12の左右両側に例えば螺設により固定できる固定部31と、を有し、固定部31がベース1の上面における反射手段12の左右両側に螺設されることにより、ベース1に設置される。
【0017】
第2のレンズ4は、図1に示されるように、半円柱状に形成されているレンズ部42と、レンズ部42に接続され、ベース1の左右2つの案内バー13の間に上下摺動できるように取り付けられている取付け部41と、により構成されている。
【0018】
取付け部41は、中央に上下方向に延伸する案内孔411が開けられている。案内孔411に、頭部が案内孔411の幅より広いねじ5を通すと共に、ねじ5をベース1に開けられたねじ孔にきつく締めて固定すると、取付け部41が上下摺動できなくなる。一方、ねじ5をベース1に螺合しているままで緩めると、取付け部41が左右2つの案内バー13の間で上下摺動できるようにベース1の前面に螺設されるようになる。
【0019】
レンズ部42は、図3及び図4に示されるように、ねじ5が案内孔411の下端に位置するように取付け部41を上方に摺動すると、前記第1の位置(図4:ハイビーム)にあり、また、ねじ5が案内孔411の上端に位置するように取付け部41を下方に摺動すると、前記第2の位置(図3:ロービーム)にあるように取付け部41に接続されている。レンズ部42はまた、平坦面に形成され、前記第1の位置にある場合、前記反射光を受ける第2の光射入面421と、第2の光射入面421の反対側にあって第2のレンズ4を通過する前記反射光を第1のレンズ3へ射出するべく、中央部分の厚さが左右両側の厚さより厚くなるように突起して凸面になっている第2の光射出面422とを有する凸レンズになっている。
【0020】
第2の光射入面421及び第2の光射出面422はいずれも、図4に示されるように、下から第1の光射入面321に向いて前方斜め上方に延伸すると共に、第2の光射入面421と水平面Lとが成す鋭角の角度θが15度〜75度(15度以上75度以下)になるように形成されている。
【0021】
反射手段12からの反射光は前方斜め下方へ進行するため、上記角度θが75度を越えて例えば垂直であると、前記反射光がレンズ部42に入射する入射角が大きくなりすぎて、全反射が起こる可能性が高くなる。そこで、第2の光射入面421を水平面Lとが成す鋭角の角度θを上述の15度〜75度にすることにより、前記入射角を減少する。
【0022】
なお、第2のレンズ4の移動には、駆動手段を設けて第2のレンズ4を上下移動することができる。上記駆動手段としては、例えば電磁弁を用いることができる。更に、第2のレンズ4を発光手段2と第1のレンズ3との間に介入させる方法は、本実施例の上下移動に限らず、左右移動または回転することで発光手段2と第1のレンズ3との間に介入させることもできる。このような場合には、案内孔411とねじ5とを省略することも可能である。
【0023】
上記の構成によれば、第2のレンズ4が前記第2の位置にある場合、発光手段2から発する光は、図3及び図5に示されるように、反射手段12の反射面121に前方斜め下方へ向かうように反射されて、一部が遮光部23に遮断され、残余の光が第1のレンズ3に集光されて、明確なカットオフラインを有するロービームになる。
【0024】
そして、第2のレンズ4が前記第1の位置にある場合、図4及び図6に示されるように、発光手段2から発する光は、反射手段12の反射面121に前方斜め下方へ向かうように反射されて、一部が遮光部23に遮断され、残余の光が第2のレンズ4で上方へ持ち上がるように屈折された後、第1のレンズ3に集光されて、前方に向くハイビームになる。
【0025】
すなわち、本発明のヘッドライトは、第2のレンズ4を前記第2の位置から前記第1の位置に移動することにより、ヘッドライトをロービームからハイビームに切り替え、また、第2のレンズ4を前記第1の位置から前記第2の位置に移動することにより、ヘッドライトをハイビームからロービームに切り替えるので、従来の2つの相異する発光モジュールで切り替えるヘッドライトより簡単な構造でハイビームとロービームとを互いに切り替えることができ、ヘッドライトの製造の手間とコストを大幅に減少できる。
【0026】
第2実施形態のヘッドライトは、図7に示されるように、第2のレンズ4のレンズ部42の第2の光射入面421が、上下方向及び左右方向において前方に湾曲する曲面に形成されている以外、上記第1実施形態と類似する構成である。
【0027】
第3実施形態のヘッドライトは、図8に示されるように、第2のレンズ4のレンズ部42の第2の光射出面422が、左右3つの互いに並ぶ円弧面から連続してなっているように形成されている以外、上記第1実施形態と類似する構成である。
【0028】
上記の第2の光射出面422の構成によれば、反射手段12からの反射光を、より均一にレンズ部42から射出できる。
【0029】
第4実施形態のヘッドライトは、図9及び図10に示されるように、第2のレンズ4のレンズ部42の厚さが、上から下へ段々に薄くなるように形成されている以外、上記第1実施形態と類似する構成である。
【0030】
上記のレンズ部42の構成によれば、反射手段12からの反射光を、より上方へ持ち上げて、レンズ部42から射出できるので、ハイビームの照射距離を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のヘッドライトは、ハイビームとロービームとを互いに簡単に切り替える構造を備えるので、バイクや自動車などの車に使用することが好適である。
【符号の説明】
【0032】
1 ベース
111 上面
112 前面
12 反射手段
121 反射面
13 案内バー
2 発光手段
21 回路基板
22 LED素子
23 遮光部
24 設置部
3 第1のレンズ
31 固定部
321 第1の光射入面
322 第1の光射出面
4 第2のレンズ
41 取付け部
411 案内孔
42 レンズ部
421 第2の光射入面
422 第2の光射出面
5 ねじ
L 水平面
【要約】
【課題】簡単な構造でハイビームとロービームとを切り替えるヘッドライトの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のヘッドライトは、発光できる発光手段2と、発光手段2から発する光を受けて前方斜め下方へ反射させる反射面121を有する反射手段12と、発光手段2の前方に、反射手段12からの反射光を通過させて前記反射光を集光することができるように設置されている第1のレンズ3と、発光手段2と第1のレンズ3との間に介入して前記反射光を屈折させて上へ持ち上げる第1の位置と、発光手段2と第1のレンズ3との間から離脱して、前記反射光が直接に第1のレンズ3に到達できる第2の位置と、の間を移動できるように配置構成されている第2のレンズ4と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10