【文献】
細胞力健康法 細胞力維持で健康に!! - Cell Power (セルパワー),2015年 7月 2日,URL,https://web.archive.org/web/20150702123718/http://www.cellpower.jp/about
【文献】
人を健康にする発想が生んだ神経波磁力線発生器,2015年 1月 7日,URL,http://ameblo.jp/koji-kitano/entry-11970148523.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、経頭蓋磁気刺激法には、磁気刺激によって活動電位を引き起こし、強い不快感を生じさせるという問題点が指摘されている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不快感を抑制した磁気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、パルス磁場を発生する磁気治療器において、磁場を発生するためのコイルリングと、前記コイルリングに電流を流して磁場を発生させる磁場発生回路と、を備え、前記磁場発生回路は、
前記コイルリングと直列に接続されたコンデンサ、第1サイリスタ、並びに、前記コンデンサに蓄積された残留電荷を放電させる第2サイリスタおよび抵抗を有する放電回路を備え、パルス幅が0.5ミリ秒以上5ミリ秒以下のパルス電流を前記コイルリングに流して磁束密度が50ミリテスラ以上300ミリテスラ以下の磁場を発生させることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る磁気治療器において、前記磁場発生回路が前記コイルリングに流す電流の周波数は1Hz以上30Hz以下であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る磁気治療器において、前記磁場発生回路が前記コイルリングに流す電流の周波数は1Hz以上10Hz以下の範囲内の所定周波数帯で変動することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る磁気治療器において、前記磁場発生回路が前記コイルリングに流す電流の周波数は3Hz以上5Hz以下の周波数帯で変動することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る磁気治療器において、前記磁場発生回路が前記コイルリングに流す電流の周波数は1/fゆらぎのパターンで変動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1から請求項
5の発明によれば、パルス幅が0.5ミリ秒以上5ミリ秒以下のパルス電流をコイルリングに流して磁束密度が50ミリテスラ以上300ミリテスラ以下の磁場を発生させるため、その磁場を体内組織に与えると、体内組織に活動電位と類似する波形の起電力が生じ、不快感を抑制しつつ磁気による治療効果を得ることができる。
【0013】
特に、請求項5の発明によれば、コイルリングに流す電流の周波数が1/fゆらぎのパターンで変動するため、磁場による不快感をより少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る磁気治療器1の全体外観を示す斜視図である。磁気治療器1は、リング10と本体部20とをケーブル15にて接続した構成を有している。なお、
図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0017】
図2は、リング10の構造を示す図である。リング10は、例えば樹脂製の円環状ケースにコイルリング11を内蔵した構造を有する。コイルリング11は、巻き数が1のコイルである。コイルリング11がケーブル15によって本体部20と接続されている。なお、コイルリング11の巻き数は2以上であっても良い。
【0018】
本体部20は、コイルリング11にパルス電流を流してパルス磁場を発生させるための磁場発生回路30を内蔵する。
図3は、磁場発生回路30を示す図である。
図3に示す回路図のうちコイルリング11を除く部分が本体部20に内蔵されている。
【0019】
本体部20に設けられた磁場発生回路30は、直流電源31、第1サイリスタ32、コンデンサ33、第2サイリスタ34、抵抗35、および、ゲート制御装置36を備える。直流電源31は、直流の電気を供給する装置である。典型的には、直流電源31は、交流電源(例えば、家庭用電源)に接続されて降圧するための変圧器と、交流を整流する整流回路と、整流された電流を平滑化する平滑回路とを備える。
【0020】
第1サイリスタ32のアノードは直流電源31の正極に接続され、カソードはコイルリング11の正極側端に接続される。そして、コイルリング11の負極側端はコンデンサ33の正極側端に接続され、コンデンサ33の負極側端は直流電源31の負極に接続される。すなわち、第1サイリスタ32、コイルリング11、および、コンデンサ33は直列に接続されている。
【0021】
また、コンデンサ33と並列に第2サイリスタ34および抵抗35が接続されている。第2サイリスタ32のアノードはコンデンサ33の正極側端に接続され、カソードは抵抗35を介して直流電源31の負極に接続される。
【0022】
第1サイリスタ32および第2サイリスタ34のゲートにはゲート制御装置36が接続されている。ゲート制御装置36は、予め設定されたタイミングで第1サイリスタ32および第2サイリスタ34のゲートにゲート電流(トリガー電流)を流して第1サイリスタ32および第2サイリスタ34の導通を制御する。ゲート制御装置36は、第1サイリスタ32および第2サイリスタ34に対して個別にゲート電流を供給する。ゲート制御装置36としては、例えばワンチップマイコン等を採用することができる。
【0023】
本体部20のスイッチ21(
図1参照)がオンとされることによって直流電源31が磁場発生回路30に所定の電圧を印加する。第1サイリスタ32はゲートに電流が流れない限り、順方向または逆方向のどちら向きに電圧がかかっていても常にオフで導通状態とならない。直流電源31がオン状態となって第1サイリスタ32のアノード側がカソード側より高圧になった状態において、ゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込むと第1サイリスタ32の導通が開始される。導通状態の第1サイリスタ32は順方向、すなわちアノード側からカソード側に向けて電流を流す。
【0024】
第1サイリスタ32が導通を開始すると、直流電源31から第1サイリスタ32を介してコイルリング11に電流が流れる。コイルリング11に電流が流れることによってリング10の周囲に磁場が発生する。コイルリング11を流れた電流はコンデンサ33に流れ込み、コンデンサ33に電荷として蓄積される。コンデンサ33に電荷が蓄積されるにつれてコンデンサ33の両電極間に起電力が生じ、やがてコンデンサ33に蓄積された電荷による電圧と直流電源31の印加電圧とが等しくなったときに電流の流れが停止する。電流の流れが停止すると第1サイリスタ32がオフとなり、以降再びゲートに信号が印加されない限り、第1サイリスタ32は導通状態とはならない。従って、コイルリング11に電流は流れなくなる。
【0025】
このようにしてコイルリング11にパルス電流が1回流れることとなる。
図4は、コイルリング11に流れるパルス電流の波形を示す図である。直流電源31がオンとなっている状態にて、時刻t0にゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込むと第1サイリスタ32の導通が開始されてコイルリング11に電流が流れ始める。コイルリング11に電流が流れることによって磁束が生じる。コイルリング11に電流が流れたときに発生するコイルリング11の内側の磁束Φ(Wb)は次の式(1)で表される。式(1)において、Lはコイルリング11の自己インダクタンスであり、Iはコイルリング11に流れる電流の電流値(つまり、
図4の縦軸)である。
【0027】
式(1)に示されるように、コイルリング11に電流が流れたときに発生する磁束Φはコイルリング11に流れる電流Iに比例する。
図4に示すように、時刻t0にてコイルリング11に電流が流れ始めてから経過時間とともに流れる電流Iも大きくなる。コイルリング11に流れる電流Iが大きくなると、それに比例して磁束Φも大きくなり、磁束Φの変化による電磁誘導によってコイルリング11に流れる電流の変化を妨害する方向に誘導起電力が発生する(いわゆる自己誘導)。従って、時刻t0の直後における、コイルリング11に流れる電流の増大はある程度緩やかなものとなる。
【0028】
また、時刻t0からの経過時間とともに、コンデンサ33に蓄積される電荷も増大する。コンデンサ33に蓄積された電荷はコイルリング11に流れる電流を妨げる方向の起電力を生じさせる。よって、コンデンサ33に蓄積される電荷が増大するにつれて、コイルリング11の両端の電位差は小さくなり、コイルリング11に流れる電流は時刻t1に最高値に到達した後減少に転ずる。そして、コンデンサ33に蓄積された電荷による起電力と直流電源31の印加電圧とが等しくなった時刻t2にコイルリング11の両端の電位差がゼロとなって電流の流れが停止する。すなわち、コイルリング11に流れる電流の電流値がゼロとなる。電流の流れが停止すると第1サイリスタ32もオフとなる。
【0029】
このような過程を経て
図4に示す如きパルス電流の波形が形成される。本発明においては、コイルリング11に流れるパルス電流のパルス幅をコイルリング11に電流が流れ始める時刻t0から電流の流れが停止する時刻t2までの時間としている。第1サイリスタ32の導通が開始されてからの上述の現象は極めて短時間に完了するものであり、本実施形態におけるコイルリング11に流れるパルス電流のパルス幅は0.5ミリ秒以上5ミリ秒以下である。
【0030】
また、コイルリング11に上記のパルス電流が流れることによって発生する磁場の磁束密度は50ミリテスラ(500ガウス)以上300ミリテスラ(3000ガウス)以下である。すなわち、磁場発生回路30は、パルス幅が0.5ミリ秒以上5ミリ秒以下のパルス電流をコイルリング11に流して磁束密度が50ミリテスラ以上300ミリテスラ以下の磁場を発生させるのである。
【0031】
式(1)に示したように、コイルリング11から発生する磁束Φはコイルリング11に流れる電流Iに比例する。従って、コイルリング11に流れる電流Iが
図4に示すように変化すると、同じような波形にてコイルリング11から発生する磁束Φも時間変化する。
【0032】
コイルリング11と対向するように測定用コイルが設けられていたとして、コイルリング11から発生する磁束Φが時間変化すると、その測定用コイルに発生する誘導起電力Vは、次に式(2)で表される。式(2)は、ファラデーの電磁誘導の法則を表す式である。式(2)において、Nは測定用コイルの巻き数であり、tは時間である。
【0034】
図5は、コイルリング11から発生する磁束Φの変化によって誘起される誘導起電力Vの変化を示す図である。式(2)に示されるように、誘導起電力Vはコイルリング11から発生する磁束の変化の時間微分であるため、時速Φが経過時間とともに増加しているときと減少しているときでは正負が反転する。磁束Φはコイルリング11に流れる電流Iに比例するため、結局コイルリング11に流れる電流Iが増加しているときと減少しているときとで誘導起電力Vの正負が反転する。従って、
図5に示すように、コイルリング11に上記のパルス電流が流れたときに電流Iが増加する時刻t0から時刻t1までの期間と、電流Iが減少する時刻t1から時刻t2までの期間とでは測定用コイルに発生する誘導起電力Vの正負が反転する。
【0035】
図5は、コイルリング11と対向して設けられた測定用コイルに発生する誘導起電力Vの変化を示したものであったが、磁場を発生させているコイルリング11を人体に近づけた場合には、体内組織に
図5と同様の波形の起電力が誘起されて微弱な電流が流れる。
【0036】
ここで、
図5の波形は、活動電位の変化の波形と類似している。活動電位とは、生物体の細胞や組織が何らかの刺激を受けたときに発生する膜電位である。刺激を受けて興奮した部分が他の部分に対して負の電位を持つことよって活動電位が生じる。活動電位も、
図5に示す波形と同様に、大きく立ち上がった後にアンダーシュートしてからゼロに戻る。また、活動電位が立ち上がってからゼロに戻るまでの時間は、
図5に示す誘導起電力Vが立ち上がってからゼロに戻るまでに時間、つまりコイルリング11に流れるパルス電流のパルス幅(時刻t0から時刻t2までの時間)と同程度である。すなわち、磁場を発生させているコイルリング11によって体内組織に誘起される起電力の波形および起電力が生じている時間は活動電位の波形および活動電位の持続時間と類似しているのである。
【0037】
厳密なメカニズムは未解明であるものの、活動電位の波形および活動電位の持続時間と類似した波形および持続時間の起電力が体内組織に誘起されると、当該体内組織に刺激を与えにくい傾向が認められる。従って、本発明に係る磁気治療器1のコイルリング11から体内組織にパルス磁場を与えれば、不快感を抑制しつつ磁気による治療効果を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態においては、パルス磁場を発生する周波数、つまり磁場発生回路30がコイルリング11に流すパルス電流の周波数は3Hz以上5Hz以下の周波数帯で変動する。すなわち、コイルリング11に流すパルス電流の周波数は1秒間に3回から5回の範囲内で時間とともに変動するのである。パルス電流は第1サイリスタ32のゲートに電気信号が印加されて第1サイリスタ32が導通を開始することによって流れ始めるものであるため、ゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込む周波数がそのままコイルリング11に流れるパルス電流の周波数となる。つまり、コイルリング11に流すパルス電流の周波数はゲート制御装置36によって制御することができる。
【0039】
なお、コイルリング11にパルス電流が1回流れると、コンデンサ33に電荷が蓄積されたまま残留するため、そのまま第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込んで第1サイリスタ32が導通状態となっても新たなパルス電流は流れない。そこで、パルス電流の電流値がゼロなった時刻t2の直後にコンデンサ33に蓄積されている残留電荷を放電するようにしている。具体的には、時刻t2の直後にゲート制御装置36が第2サイリスタ34のゲートに電流を流し込むと第2サイリスタ34が導通状態となる。これにより、コンデンサ33に蓄積されていた残留電荷は抵抗35で消費されて放電されることとなる。換言すれば、第2サイリスタ34および抵抗35によってコンデンサ33の残留電荷を放電するための放電回路が構成されるのである。そして、コンデンサ33に蓄積されていた残留電荷が放電された後に、ゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込むことによって新たなパルス電流がコイルリング11に流れる。
【0040】
また、本実施形態においては、上述の通り、コイルリング11に流れるパルス電流の周波数が3Hz以上5Hz以下の周波数帯で変動するのであるが、その変動のパターンを1/fゆらぎのパターンとしている。1/fゆらぎとは、周波数に反比例するゆらぎである。すなわち、ゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込む周波数を3Hz以上5Hz以下の周波数帯で1/fゆらぎのパターンで変動させることにより、コイルリング11に流れるパルス電流の周波数もそれと同期する。
【0041】
コイルリング11に流れるパルス電流の周波数が3Hz以上5Hz以下の周波数帯にて1/fゆらぎのパターンで変動することにより、パルス磁場による不快感をより少なくすることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、コイルリング11に流すパルス電流の周波数を3Hz以上5Hz以下の周波数帯にて1/fゆらぎのパターンで変動させていたが、これに限定されるものではなく、当該周波数帯にて単純に線形に変動させるようにしても良い。
【0043】
また、コイルリング11に流すパルス電流の周波数を変動させる場合、その変動の周波数帯は3Hz以上5Hz以下に限定されるものではなく、1Hz以上10Hz以下の範囲内の所定周波数帯で変動させる形態であれば良い。例えば、コイルリング11に流すパルス電流の周波数が2Hz以上6Hz以下の周波数帯で変動しても良いし、5Hz以上9Hz以下の周波数帯で変動しても良い。
【0044】
また、コイルリング11に流すパルス電流の周波数は変動せずに固定であっても良い。固定の場合、コイルリング11に流すパルス電流の周波数は1Hz以上30Hz以下であれば良い。
【0045】
また、上記実施形態の磁場発生回路30は、サイリスタとコンデンサとを組み合わせたものであったが、この構成に限定されるものではなく、コイルリング11に30Hz以下の比較的低周波でパルス電流を流すことができる回路構成であれば良い。
【解決手段】直流電源31がオン状態のときにゲート制御装置36が第1サイリスタ32のゲートに電流を流し込むと第1サイリスタ32の導通が開始されてコイルリング11に電流が流れる。流れた電流はコンデンサ33に電荷として蓄積され、コンデンサ33に蓄積された電荷による電圧と直流電源31の印加電圧とが等しくなったときに電流の流れが停止することにより、コイルリング11にパルス電流が1回流れる。パルス電流のパルス幅は0.5ミリ秒以上5ミリ秒以下である。パルス電流は30Hz以下の比較的低周波にてコイルリング11に流される。コイルリング11にパルス電流が流れるとパルス磁場が発生する。コイルリング11から人体の体内組織にパルス磁場を与えると、その体内組織に活動電位と類似する波形の起電力が生じる。