特許第6138330号(P6138330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6138330端末装置、端末装置のゲーム実行方法、プログラム、及びプログラム記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6138330
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】端末装置、端末装置のゲーム実行方法、プログラム、及びプログラム記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/18 20060101AFI20170522BHJP
   A63F 13/814 20140101ALI20170522BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20170522BHJP
【FI】
   G10H1/18 Z
   A63F13/814
   A63F13/79 500
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-222055(P2016-222055)
(22)【出願日】2016年11月15日
【審査請求日】2016年11月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511202425
【氏名又は名称】株式会社gloops
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(74)【代理人】
【識別番号】100201374
【弁理士】
【氏名又は名称】福澤 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】長友 俊介
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−192619(JP,A)
【文献】 特開2013−057844(JP,A)
【文献】 特開平11−085153(JP,A)
【文献】 特開平10−124061(JP,A)
【文献】 特開2001−145777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00− 7/12
A63F 13/00−13/98
G09B 15/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを提供する端末装置において、
新たな演奏音データの再生要求を受け付ける再生要求受付部と、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏データを再生する演奏音再生部と、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングに対して前記新たな演奏音データの再生要求タイミングがズレ許容時間を超えて遅い場合に、前記再生開始位置を、前記新たな演奏音データの演奏開始位置から、前記再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更する再生制御部と、
を備える端末装置。
【請求項2】
操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを提供する端末装置において、
新たな演奏音データの再生要求を受け付ける再生要求受付部と、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏音データを再生する演奏音再生部と、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと前記新たな演奏音データの再生要求タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、前記再生開始時刻または前記再生開始位置を変更する再生制御部と、
前記演奏ゲームの操作履歴および進行内容の少なくとも一方に応じて、前記ズレ許容時間を設定するズレ許容時間設定部と、を備える端末装置。
【請求項3】
前記ズレ許容時間設定部は、前記演奏ゲームに対する習熟度が高いほど、前記ズレ許容時間を短く設定する、請求項記載の端末装置。
【請求項4】
前記演奏ゲームで演奏可能な各々の演奏音データには、他の演奏音データとの音合せ難度が設定されており、
前記ズレ許容時間設定部は、前記再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度が高いほど、前記ズレ許容時間を長く設定する、請求項2又は3記載の端末装置。
【請求項5】
前記ズレ許容時間設定部は、前記再生中の演奏音データの数が多いほど、前記ズレ許容時間を短く設定する、請求項2乃至4のうちいずれか1項記載の端末装置。
【請求項6】
通信ネットワークを介して、前記演奏ゲームを提供可能な他の端末装置が過去に演奏した演奏結果データを受信する演奏結果データ受信部と、
前記他の端末装置によって前記演奏ゲームで操作される仮想ユーザとの親密度を取得する親密度取得部と、
を更に備え、
前記演奏音再生部は、前記演奏結果データを演奏音データとして再生し、
前記ズレ許容時間設定部は、前記親密度が高いほど、前記ズレ許容時間を長く設定する、請求項2乃至5のうちいずれか1項記載の端末装置。
【請求項7】
端末装置が、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを実行する端末装置のゲーム実行方法において、
新たな演奏音データの再生要求を受け付けることと、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏データを再生することと、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングに対して前記新たな演奏音データの再生要求タイミングがズレ許容時間を超えて遅い場合に、前記再生開始位置を、前記新たな演奏音データの演奏開始位置から、前記再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更することと、
を含む端末装置のゲーム実行方法。
【請求項8】
端末装置が、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを実行する端末装置のゲーム実行方法において、
新たな演奏音データの再生要求を受け付けることと、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏音データを再生することと、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと前記新たな演奏音データの再生要求タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、前記再生開始時刻または前記再生開始位置を変更することと、
前記演奏ゲームの操作履歴および進行内容の少なくとも一方に応じて、前記ズレ許容時間を設定することと、を含む端末装置のゲーム実行方法。
【請求項9】
コンピュータに、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを実行させるためのゲーム実行プログラムにおいて、
新たな演奏音データの再生要求を受け付けることと、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏データを再生することと、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングに対して前記新たな演奏音データの再生要求タイミングがズレ許容時間を超えて遅い場合に、前記再生開始位置を、前記新たな演奏音データの演奏開始位置から、前記再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更することと、
を前記コンピュータに実行させるためのゲーム実行プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを実行させるためのゲーム実行プログラムにおいて、
新たな演奏音データの再生要求を受け付けることと、
前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏音データを再生することと、
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと前記新たな演奏音データの再生要求タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、前記再生開始時刻または前記再生開始位置を変更することと、
前記演奏ゲームの操作履歴および進行内容の少なくとも一方に応じて、前記ズレ許容時間を設定することと、を前記コンピュータに実行させるためのゲーム実行プログラム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載されたゲーム実行プログラムコンピュータに読み取り可能に記録された非一時的なゲーム実行プログラム記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザからの操作入力に応じて演奏を行う演奏ゲームを実行可能な端末装置、当該端末装置のゲーム実行方法、プログラム、及びプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、あらかじめ設定されたタイミングに合わせて、ユーザ操作に応じて楽曲を演奏可能な音楽ゲームがある。具体的に、音楽ゲームは、表示部に提示された操作タイミングのパターンに合わせてプレイヤが操作部を操作すると、この操作部の操作タイミングに合致した楽曲の部分的なフレーズである楽曲データが再生されて楽曲が再生されるとともに、提示された操作タイミングのパターンと実際にプレイヤが操作部を操作した操作タイミングとの時間差に基づいて点数が計算される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−218056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の音楽ゲームは、適切なタイミングで押せたか否かを採点することが主眼ある。このため、従来の音楽ゲームは、例えばギター、ドラム、ベースなど種々の演奏音を自由に組み合わせて音楽制作を行うような体験を提供するにあたり、演奏意欲を掻き立てるような施策について考慮されていなかった。
【0005】
例えば、ギターの演奏中にユーザ操作に応じてドラムの演奏を開始する際に、ギターのリズムにのったタイミングでドラムの演奏を開始できないと、ちぐはぐな演奏となる。すなわち音合せできないタイミングで音が鳴ってしまう。このような音の違和感は、タイミング重視の音楽ゲームであれば、違和感が大きいほど採点結果が悪くなり、採点結果をあげようとする動機づけになる。
【0006】
しかしながら、演奏音を自由に組み合わせて演奏を楽しむタイプ、言い換えれば音楽制作を主眼においた演奏ゲームにおいてはストレスとなり、演奏意欲の低下を招いてしまった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、任意の演奏音を自由に組み合わせて演奏を行う演奏ゲームにおいて、よりいっそう演奏体験を楽しめる環境を提供可能な端末装置、当該端末装置のゲーム実行方法、プログラム、及びプログラム記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来の課題を解決するため、本発明は、以下の手段を有する。
【0009】
(1)本発明の第1態様は、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを提供する端末装置であって、新たな演奏音データの再生要求を受け付ける再生要求受付部と、前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏データを再生する演奏音再生部と、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングに対して前記新たな演奏音データの再生要求タイミングがズレ許容時間を超えて遅い場合に、前記再生開始位置を、前記新たな演奏音データの演奏開始位置から、前記再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更する再生制御部と、を備える。
【0010】
上記態様において、演奏音データとは、例えば、ギター、ドラム、ベースなどの種々の楽器が、楽譜における演奏開始位置から演奏終了位置に亘って演奏可能な音データである。具体的に、端末装置は、楽器、楽曲などが異なる種々の演奏音データを予め記憶しており、ユーザ操作に応じて組み合わされることで、あたかも演奏音を自由に組み合わせて演奏しているような体験を提供することができる。
【0011】
上記態様において、新たな演奏音データの再生要求とは、例えばユーザがタッチパネル式ディスプレイを操作して、新たな演奏音データの再生を要求することである。また、再生要求タイミングとは、上述したようにユーザがタッチパネル式ディスプレイをタッチした時刻である。また、再生開始位置は、例えば、楽譜であれば第1小節目第1番目の音符に当たる演奏開始位置など、演奏音データの再生を開始する演奏位置である。また、演奏音データを再生するとは、端末装置に設けられたスピーカなどの音声出力手段から、演奏音データを音出力することである。
【0012】
上記態様において、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングとは、具体的には、人にとってリズムやメロディに違和感なく、再生中の演奏に新たな演奏を合わせることが可能なタイミングである。また、ズレ許容時間とは、例えば音合せタイミングから128分音符相当ずれるまでの間隔など、タイミングのズレによる音の違和感があまり気にならない時間間隔、言い換えれば音の違和感を許容できる時間間隔である。
【0013】
上記態様によれば、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと新たな音データの再生要求タイミングとの時間差がズレ許容時間を超える場合には、リズム、メロディの違和感を許容できず、十分に演奏を楽しむことができないものとして、新たな演奏音データの再生開始位置を変更する。
【0014】
このようにして新たな演奏データの再生開始位置を変更することにより、再生中の演奏音に上手くタイミングが合うように新たな演奏データの開始要求ができなくても、自然とタイミングが合うように演奏を行うことができる。つまり、上記態様によれば、操作ミス(ミスタッチ)などに起因して演奏に違和感が生じることを防止でき、演奏意欲を高めることができる。
【0020】
上記態様によれば、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングに対して、新たな演奏音データの再生要求タイミングがズレ許容時間を超えて遅い場合に、例えば、音合せタイミングから64分音符相当遅れたタイミングで再生要求があった場合には、違和感が発生するのを防止するため次のような処理を行う。
【0021】
まず、比較対象として、再生制御部が再生開始時刻を変更しないと、すなわち再生要求タイミングから新たな演奏データの再生が開始すると、音合せタイミングから64分音符相当遅いタイミングで、新たな演奏データの再生が開始してしまい、リズムに違和感が生じる。このため、新たな演奏音データの再生開始位置を、演奏音再生部が設定した演奏開始位置(第1小節目で第1番目の音符)から、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更する。再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置とは、具体的には、演奏開始位置を基準とした場合に、音合せタイミングと再生要求の受付タイミングとの時間差に相当する時間分進んだ演奏位置に当たる。
【0022】
このように新たな演奏音データの再生開始位置を、演奏開始位置から、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更することで、ユーザ操作によりタッチミスが生じても音の違和感がなく、再生中の演奏音に新たな演奏音を重ねることができる。
【0023】
)本態様の第態様に係る端末装置は、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを提供する端末装置において、新たな演奏音データの再生要求を受け付ける再生要求受付部と、前記再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、前記新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、前記新たな演奏音データを再生する演奏音再生部と、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと前記新たな演奏音データの再生要求タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、前記再生開始時刻または前記再生開始位置を変更する再生制御部と、前記演奏ゲームの操作履歴および進行内容の少なくとも一方に応じて、前記ズレ許容時間を設定するズレ許容時間設定部と、を備える。
上記態様によれば、演奏回数、レベルなどの演奏ゲームの操作履歴、又は、再生中の演奏音のテンポ、メロディなどの演奏ゲームの進行内容に応じて、ズレ許容時間を設定する。
【0024】
ここで、ズレ許容時間が長ければ長いほど、音の違和感を確実に防止できる反面、アシスト(補助)されているという感覚が強くなり、言い換えれば主体的に演奏しているという感覚が弱くなるため、演奏意欲が低下してしまう。
【0025】
そこで、上記態様によれば、ゲーム環境に応じてズレ許容時間を適切に設定し、設定したズレ許容時間に基づいて、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することで、音の違和感を確実に防止しながら主体的に演奏しているという感覚を維持することができる。
【0026】
)本発明の第態様に係る端末装置は、第2態様において、前記ズレ許容時間設定部は、前記演奏ゲームに対する習熟度が高いほど、前記ズレ許容時間を短く設定する。
【0027】
上記態様において、習熟度とは、ゲーム操作の慣れを定量化した値である。例えば演奏回数が多いほど、若しくは、音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えて再生要求タイミングがあった頻度(音合せミス率)が小さいほど、習熟度が高いとみなすことができる。
【0028】
ここで、習熟度が低い初心者の視点で考えると、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することにより、音の違和感を防止することができる。一方、習熟度が高い上級者の視点で考えると、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することは、音の違和感を防ぐというよりも、むしろ意図しないタイミングで演奏音を重ねてしまうことで、音の違和感を与えてしまうことになる。
【0029】
そこで、上記態様によれば、習熟度が高いほどズレ許容時間を短く設定することで、初心者から上級者に亘っていずれのユーザに対しても、演奏音を重ね合わせたときに生じうる音の違和感を確実に防止することができる。
【0030】
)本発明の第6態様に係る端末装置は、第2又は第3態様において、前記演奏ゲームで演奏可能な各々の演奏音データには、他の演奏音データとの音合せ難度が設定されており、前記ズレ許容時間設定部は、前記再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度が高いほど、前記ズレ許容時間を長く設定する。
【0031】
上記態様において、音合せ難度とは、他の演奏音データとの音合せの難しさを定量化した値である。例えば、演奏音のテンポが早いほど、演奏音として使われる音符の最小音価が小さいほど、タイミングを取りにくく再生中の演奏結果データに音合せすることが難しいものとして、音合せ難度を高く設定する。
【0032】
上記態様によれば、再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度が高いほど、ズレ許容時間を長く設定する。このようにして音合せ難度に応じてズレ許容時間を設定することで、音合せが難しい演奏音同士を重ね合わせるような状況においても、音の違和感を確実に防止することができる。
【0033】
)本発明の第態様に係る端末装置は、第2乃至第4態様において、前記ズレ許容時間設定部は、前記再生中の演奏音データの数が多いほど、前記ズレ許容時間を短く設定する。
【0034】
上記態様において、再生中の演奏音データの数とは、同時に再生している演奏音データの数である。一例として、ドラム、ギターの2つの楽器の演奏音データが再生中の場合、再生中の演奏音データの数は2である。他の例として、異なる2つのギターの演奏音データが再生中の場合も、再生中の演奏音データの数は2である。
【0035】
ここで、再生中の演奏音データのうち、少なくとも1つの演奏音データの音合せタイミングと合えば、ユーザにとって違和感が生じないので、再生中の演奏音データの数が多いほど、新たな演奏音を重ね合わせやすい傾向にある。このような傾向により、再生中の演奏音データの数が多い場合に新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することは、音の違和感を防ぐというよりも、むしろ意図しないタイミングで演奏音を重ねてしまうことで、音の違和感を与えてしまうことになる。
【0036】
このような傾向を利用して、再生中の演奏音データの数が多いほど、ズレ許容時間を短く設定することで、再生中の演奏音データの数によらず、新たな演奏音データを重ね合わせたときに生じうる音の違和感を確実に防止することができる。
【0037】
)本発明の第態様に係る端末装置は、第2乃至第5態様において、通信ネットワークを介して、前記演奏ゲームを提供可能な他の端末装置が過去に演奏した演奏結果データを受信する演奏結果データ受信部と、前記他の端末装置によって前記演奏ゲームで操作される仮想ユーザとの親密度を取得する親密度取得部と、更に備え、前記演奏音再生部は、前記演奏結果データを演奏音データとして再生し、前記ズレ許容時間設定部は、前記親密度が高いほど、前記ズレ許容時間を長く設定する。
【0038】
上記態様において、演奏結果データ受信部は、例えば端末装置同士が直接通信するアドホックモード、またはアプリケーションサーバを介して端末装置同士が通信するインフラストラクチャモードで、他の端末装置が過去に演奏した演奏結果データを受信する。取得した演奏結果データが再生されている状態で、新たな演奏音データの再生要求を受け付けることで、あたかも他の端末装置とセッション(合奏)しているような体験を与えることができる。
【0039】
さらに、親密度とは、仮想世界において、他の端末装置によって操作される仮想ユーザとの親密度合いを定量化した値である。例えば、他の端末装置とのメッセージ交換回数が多い、若しくは頻度が高いほど、親密度が高いものとする。親密度取得部は、例えばメッセージ交換の履歴情報を用いて親密度を算出することにより取得する。なお、親密度取得部は、アプリケーションサーバにアクセスすることにより親密度に関する情報を取得してもよい。
【0040】
上記態様によれば、他の端末装置によって操作される仮想ユーザとの親密度が高いほど、ズレ許容時間を長く設定することにより、上述したセッション(合奏)での音の違和感をなくすことができる。このようにしてズレ許容時間を設定することにより、他の端末装置との交流するほど、他の端末装置とセッションを楽しめるというメリットを、実ユーザに与えることができ、演奏ゲームを通じて端末装置同士の交流を活性化することができる。
【0041】
)以上のような本発明は、いずれの態様においても、上記端末装置の発明を、その端末装置のゲーム実行方法、ゲーム実行プログラム、及びゲーム実行プログラム記録媒体として捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、演奏音を自由に組み合わせて演奏を行う演奏ゲームにおいて、よりいっそう楽しめる環境を提供可能な端末装置、当該端末装置のゲーム実行方法、プログラム、及びプログラム記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、演奏ゲームのゲーム画面の一例を示す図である。
図2図2は、本発明が適用された端末装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る端末装置で実現される各処理部の構成について説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に係る演奏音データテーブルの具体例について説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る仮想ユーザデータテーブルの具体例について説明するための図である。
図6図6(A)は再生中の演奏音データの時間波形であり、図6(B)は再生開始時刻の変更前の新たな演奏音データの時間波形であり、図6(C)は再生開始時刻の変更後の新たな演奏音データの時間波形である。
図7図7(A)は再生中の演奏音データの時間波形であり、図7(B)は再生開始位置の変更前の新たな演奏音データの時間波形であり、図7(C)は再生開始位置の変更後の新たな演奏音データの時間波形である。
図8図8は、第1実施形態のゲーム処理部で行われる処理の全体的なフローについて説明するための図である。
図9図9は、第2実施形態に係る端末装置で実現される各処理部の構成について説明するための図である。
図10図10は、第2実施形態の第1実施例で用いられる仮想ユーザデータテーブルの具体例について説明するための図である。
図11図11は、第2実施形態の第1実施例で行われる処理の全体的なフローについて説明するための図である。
図12図12は、第2実施形態の第2実施例で用いられる演奏音データテーブルの具体例について説明するための図である。
図13図13は、第2実施形態の第2実施例で行われる処理の全体的なフローについて説明するための図である。
図14図14は、第2実施形態の第3実施例で行われる処理の全体的なフローについて説明するための図である。
図15図15は、第3実施形態に係る端末装置で実現される各処理部の構成について説明するための図である。
図16図16は、第3実施形態のゲーム処理部で行われる処理の全体的なフローについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について具体例を示して説明する。本実施形態は、操作入力に応じて複数の演奏音データを再生することにより演奏を行う演奏ゲームを提供する端末装置に関する。
【0045】
以下では、実施形態の説明に先立って、実施形態において用いる用語の定義と端末装置に提供されるゲーム内容とを明確にし、さらに本実施形態において扱う演奏ゲームの概要について説明した後、具体的な端末装置の構成及び処理内容について説明する。
【0046】
(1)用語の定義
「実ユーザ」とは、端末を操作する実体、すなわち人に当たるものをいう。一方、この実体である「実ユーザ」の端末におけるボタンやタッチ操作によって、演奏ゲームで展開される仮想空間において、実ユーザに成り代わった、または実ユーザの趣向や好みに応じて形成された仮想実体を「仮想ユーザ」という。この「仮想ユーザ」には、ゲーム上視認できない仮想実体、例えば、「実ユーザ」に成り代わった存在として楽器を仮想空間内で操作する仮想実体も含まれる。「仮想ユーザ」には、視認可能な特定のキャラクタも含まれる。さらに「仮想ユーザ」には、SNSにおけるアバターとして表示される仮想実体も含まれる。
【0047】
(2)演奏ゲームの概要
続いて、端末装置に提供される演奏ゲームの概要について、図1を用いて説明する。
【0048】
図1は、演奏ゲームのゲーム画面20の一例を示す図である。ゲーム画面20は、例えば、各々の演奏音の再生要求を受け付ける10個のアイコンが配置された操作用表示領域21と、再生中の演奏音の振幅波形を表示する波形表示領域22と、から構成される。このようなゲーム画面20を見た実ユーザによって、例えば操作用表示領域21に配置されている2つのアイコン(図1の斜線部)がタッチ操作されることで、波形表示領域22に示すように、楽器、楽曲などが異なる2つの演奏音がスピーカから出力される。演奏ゲームは、種々の演奏音データをユーザ操作に応じて自由に組み合わせて再生することにより、あたかも演奏音を自由に組み合わせて演奏しているような体験を実ユーザに提供することができる。
【0049】
(3)基本的なハードウェア構成
以上のような演奏ゲームを実現するためのハードウェア構成を、図2を参照して説明する。
【0050】
図2に示すように、端末装置1は、汎用的なコンピュータのハードウェア構成を有する携帯型無線通信端末により実現される。すなわち、端末装置1は、図2に示すように、インターネットなどの通信ネットワークを介してゲームアプリケーション提供サーバ等と通信を行う通信インタフェース部11と、タッチパネルなどの実ユーザからの操作入力を受ける操作入力部12と、を備える。また、端末装置1は、各種演算処理を行うCPUなどの演算処理部13と、演算処理データを一時的に記憶するSRAMやDRAMなどのメインメモリ14と、アプリケーションプログラム及び各種データが記憶されたフラッシュメモリなどの記憶装置15と、演算結果を表示するタッチパネルと一体化された表示部16とを備える。
【0051】
このようなハードウェア構成を有する端末装置1は、演奏ゲームを実行するゲーム進行用アプリケーションプログラムがインストールされる。ここで、ゲーム進行用アプリケーションプログラムは、インターネット経由でアプリケーション提供サーバからダウンロードしたり、記録媒体からデータを読み出したりするなどして取得することができる。
【0052】
(4)第1実施形態
次に、図3等を参照して、第1実施形態にかかる端末装置1(以下、他の実施形態と区別するため、端末装置1aという。)を説明する。端末装置1aは、上述した演奏ゲームのゲーム進行用プログラムを記憶装置15にインストールすることで、図3に示すような機能ブロックが実現される。すなわち、ゲーム処理部100(他の実施形態と区別するためゲーム処理部100aと呼ぶ。)と、ゲームデータを管理するゲームデータ記憶部200(他の実施形態と区別するためゲームデータ記憶部200aと呼ぶ。)と、を含む機能が、端末装置1aに実現される。
【0053】
(4−1)ゲームデータ記憶部の構成
ゲーム処理部100aにおける処理を実現するための記憶領域となるゲームデータ記憶部200aの具体的な構成について説明する。ゲーム処理部100aで用いるデータとして、ゲームデータ記憶部200aは、図3に示すように、演奏音データテーブル210と、仮想ユーザデータテーブル220と、を有する。
【0054】
(演奏音データテーブル210:図4
演奏音データテーブル210は、図4に示すように、演奏ゲーム内でユーザ操作に応じて再生可能な演奏音データについて一覧で管理したものである。ここで、演奏音データは、例えば、ギター、ドラム、ベースなどの種々の楽器が、楽譜における演奏開始位置から演奏終了位置に亘って演奏可能なデータであり、演奏音データテーブル210により、演奏音ID41と、楽器ID42と、音符数43と、最小音価44と、BPM45の項目に分けて管理される。
【0055】
演奏音ID41は、端末装置1aが演奏データを識別するための固有番号などの識別情報である。楽器ID42は、対応する演奏音データで演奏される楽器の識別子である。例えば、「1」はギター、「2」はドラム、「3」はベース、「4」はピアノなど、楽器ごとに対応付けられている。音符数43は、対応する演奏音データの全演奏区間に配置されている音符の総数である。最小音価44は、対応する演奏音データにおいて使用されている最も短い音価である。例えば「1」は4分音符、「2」は8分音符、「3」は16分音符、「4」は32分音符など、音価ごとに対応付けられている。BPM45は、演奏のテンポを示す単位であり、値が大きいほどテンポが速いことを表している。
【0056】
例えば図4では、演奏音ID41が「101」で識別可能な演奏音データについて、楽器ID42が「1:ギター」であり、音符数3が「32」であり、最小音価44が「2:8分音符」であり、BPM45が「120」であることを示している。
【0057】
(仮想ユーザデータテーブル220:図5
仮想ユーザデータテーブル220は、端末装置1aの仮想ユーザに関する情報を管理するテーブルであって、例えば演奏回数51と、最大重ね合せ数52と、レベル53とを管理している。
【0058】
演奏回数51は、例えば、演奏ゲームを実行するゲーム進行用アプリケーションプログラムをインストール時など、ゲームプレイを始めてから現在までの演奏回数(プレイ回数)である。最大重ね合せ数52は、1回の演奏で重ね合わせた演奏音データの最大数である。レベル53は、ゲーム内での仮想ユーザの進行度合いを表す数値であって、例えば演奏回数51、最大重ね合せ数52が所定の条件を満たしたときに増加する値である。
【0059】
図5に示す具体例では、演奏回数51が「67」であり、最大重ね合せ数52が「4」であり、レベル53が「10」であることを示している。
【0060】
(4−2)ゲーム処理部100a
ゲーム処理部100aは、再生要求受付部110と、演奏音再生部120と、再生制御部130と、を有する。
【0061】
再生要求受付部110は、操作入力部12を操作する実ユーザから、新たな演奏音データの再生要求を受け付ける。ここで、新たな演奏音データの再生要求とは、例えば実ユーザがタッチパネル式ディスプレイ(操作入力部12)をタッチ操作して、新たな演奏音データの再生を要求することである。図1に示した例では、操作用表示領域21に配置されているアイコンがタッチ操作されると、再生要求受付部110は、タッチ操作されたアイコンに対応付けられた演奏音データ(新たな演奏データ)の再生要求を受け付けることになる。
【0062】
演奏音再生部120は、再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、新たな演奏データを再生する。ここで、演奏音データを再生するとは、端末装置1aに設けられたスピーカなどの音声出力手段から演奏音データを音出力することである。
【0063】
具体的に、演奏音再生部120は、再生要求タイミングがあると遅滞なく演奏音データを演奏開始位置から再生し、再生位置が演奏終了位置まで到達すると、再生位置を演奏開始位置に戻してループ再生を行う。ここで、再生要求タイミングとは、具体的には実ユーザがタッチパネル式ディスプレイ(操作入力部12)をタッチ操作した時刻である。なお、ハードウェアに起因する遅延時間については、非常に短い時間であるため、本明細書では考慮しないものとする。また、再生開始位置は、例えば、楽譜であれば第1小節目第1番目の音符に当たる演奏開始位置など、演奏音データの再生を開始する演奏位置である。また、演奏音データを再生するとは、端末装置1aに設けられたスピーカなどの音声出力手段から、演奏音データを音出力することである。
【0064】
再生制御部130は、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと新たな音データの再生要求の入力タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、新たな演奏音データの再生開始時刻、または新たな演奏音データの再生開始位置を変更する。
【0065】
図6及び図7を参照して、再生制御部130の処理を具体的に説明する。
【0066】
図6(A)は再生中の演奏音データの時間波形であり、図6(B)は再生開始時刻の変更前の新たな演奏音データの時間波形であり、図6(C)は再生開始時刻の変更後の新たな演奏音データの時間波形である。また、図7(A)は再生中の演奏音データの時間波形であり、図7(B)は再生開始位置の変更前の新たな演奏音データの時間波形であり、図7(C)は再生開始位置の変更後の新たな演奏音データの時間波形である。
【0067】
再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングとは、人にとってリズムやメロディに違和感なく、再生中の演奏に新たな演奏を合わせることが可能なタイミングである。図6(A)、図7(A)の例では、時刻t1が、再生中の演奏音データの音合せタイミングに当たる。また、ズレ許容時間とは、例えば音合せタイミングから128分音符相当ずれるまでの間隔など、タイミングのズレによる音の違和感があまり気にならない時間間隔、言い換えれば音の違和感を許容できる時間間隔である。図6(A)、図7(A)の例では、時刻t1を中心として前後均等な2つの時間幅dが、ズレ許容時間に当たる。
【0068】
再生制御部130は、図6(B)に示すように、再生中の演奏音データの音合せタイミング(時刻t1)に対して、新たな演奏音データの再生要求タイミング(時刻tf)がズレ許容時間(時間幅d)を超えて早い場合、例えば、音合せタイミングから64分音符相当早いタイミングで再生要求があった場合には、違和感が発生するのを防止するため次のような処理を行う。
【0069】
まず、比較対象として、図6(B)に示すように、再生制御部130が再生開始時刻を変更しないと、すなわち再生要求タイミングから新たな演奏データの再生が開始すると、音合せタイミングから64分音符相当早いタイミングで、新たな演奏データの再生が開始してしまい、リズム、メロディなどに違和感が生じる。
【0070】
そこで、再生制御部130は、新たな演奏データの再生開始時刻を、演奏音再生部120が設定した再生要求タイミングから、例えば64分音符または128分音符相当遅延させるなど、音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えない時刻に変更する。具体例として、図6(C)に示す例では、再生制御部130は、新たな演奏音データの再生開始時刻を、図6(C)に示すように時刻tfから時刻t1に変更する。なお、変更後の再生開始時刻は、音合せタイミングに正確に重ね合わせることが可能な時刻t1に限定されず、上述したように音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えない時刻であってよい。
【0071】
また、再生制御部130は、図7(B)に示すように、再生中の演奏音データの音合せタイミング(時刻t1)に対して、新たな演奏音データの再生要求タイミング(時刻td)がズレ許容時間(時間幅d)を超えて遅い場合、例えば、音合せタイミングから64分音符相当遅いタイミングで再生要求があった場合には、違和感が発生するのを防止するため次のような処理を行う。
【0072】
まず、比較対象として、図7(B)に示すように、再生制御部130が再生開始時刻を変更しないと、すなわち再生要求タイミングから新たな演奏データの再生が開始すると、音合せタイミングから64分音符相当遅いタイミングで、新たな演奏データの再生が開始してしまい、リズムに違和感が生じる。
【0073】
そこで、再生制御部130は、新たな演奏音データの再生開始位置を、演奏音再生部120が設定した演奏開始位置(P0)から、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置(P1)に変更する。ここで、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置とは、具体的には、演奏開始位置(P0)を基準とした場合に、音合せタイミング(時刻t1)と再生要求の受付タイミング(時刻td)との時間差(td−t1)に相当する時間分進んだ演奏位置(P1)に当たる。
【0074】
(4−3)端末装置1aにおける処理
本実施形態の端末装置1aにおける処理の一例として、図8に示すようなゲーム処理部100aの処理について説明する。なお、本処理の前提として、演奏音再生部120は、既に再生要求に応じて1以上の演奏音データを再生しているものとする。
【0075】
ステップS801において、再生要求受付部110は、再生中の演奏音データとは異なる新たな演奏音データの再生要求を受け付ける。その後、ステップS802に進む。
【0076】
ステップS802において、再生制御部130は、再生中の演奏音データの音合せタイミングと、新たな演奏データの再生要求タイミングとの時間差を算出する。その後、ステップS803に進む。
【0077】
ステップS803において、再生制御部130は、ステップS802で算出した時間差が、ズレ許容時間を超えているか否かを判断する。当該時間差がズレ許容時間を超えている場合(S803:Yes)には、ステップS804に進む。一方、当該時間差がズレ許容時間を超えていない場合(S803:NO)には、ステップS804〜S806に進むことなく、言い換えれば、再生制御部130が再生開始時刻および再生開始位置の両方とも変更せずに、ステップS807に進む。
【0078】
ステップS804において、再生制御部130は、再生要求の受付タイミングの方が、再生中の音合せタイミングよりも早いか否かを判断する。再生要求の受付タイミングの方が早い場合(S804:Yes)には、ステップS805に進む。一方、再生要求の受付タイミングの方が早くない場合(S804:No)、言い換えれば再生要求タイミングの方が音合せタイミングよりも遅い場合には、ステップS806に進む。
【0079】
ステップS805において、再生制御部130は、新たな演奏データの再生開始時刻を変更する。具体的に、本ステップにおいて、再生制御部130は、新たな演奏音データの再生開始時刻を、再生要求タイミングから、音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えない時刻に変更する。その後、ステップS807に進む。
【0080】
ステップS806において、再生制御部130は、新たな演奏データの再生開始位置を変更する。具体的に、本ステップにおいて、再生制御部130は、新たな演奏音データの再生開始位置を、新たな演奏音データの演奏開始位置から、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更する。その後、ステップS807に進む。
【0081】
ステップS807において、演奏音再生部120は、再生開始時刻と再生開始位置に従って、新たな演奏データの再生を行う。その後、図8に示す処理を終了する。
【0082】
上記図8に示す処理によれば、ステップS805に従って、新たな演奏データの再生開始時刻を、音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えない時刻に変更することで、ユーザ操作によってタッチミスが生じても音の違和感がなく、再生中の演奏音データに新たな演奏音データを重ねることができる。
【0083】
また、上記図8に示す処理によれば、ステップS806に従って、新たな演奏音データの再生開始位置を、演奏開始位置から、再生中の演奏音データの音合せ可能な演奏位置に変更することで、ユーザ操作によりタッチミスが生じても音の違和感がなく、再生中の演奏音に新たな演奏音を重ねることができる。
【0084】
(5)第2実施形態
次に、図9等を参照して、第2実施形態に係る端末装置1(以下、他の実施形態と区別するため、端末装置1bという。)を説明する。具体的には、ゲーム処理部100(以下、他の実施形態と区別するためゲーム処理部100bという。)と、このゲーム処理部100bにおける処理を実現するための記憶領域となるゲームデータ記憶部200(以下、他の実施形態と区別するためゲームデータ記憶部200bという。)の具体的な構成について図12等を参照して説明する。
【0085】
(5−1)ゲーム処理部100bの構成
ゲーム処理部100bは、図9に示すように、第1実施形態に係るゲーム処理部100aと同様に、再生要求受付部110と、演奏音再生部120と、再生制御部130と、を有し、これに加えて、ズレ許容時間設定部140を有する。ここで、再生要求受付部110、演奏音再生部120および再生制御部130については、上述した第1実施形態に係るゲーム処理部100bと同様なので、その説明を省略する。
【0086】
ズレ許容時間設定部140は、演奏ゲームの操作履歴、又は演奏ゲームの進行内容に応じて、ズレ許容時間を設定する。演奏ゲームの操作履歴とは、例えば演奏回数、レベルなどである。ここで、演奏ゲームの進行内容とは、再生中の演奏音のテンポ、メロディなどである。また、ズレ許容時間を設定するとは、上述した図6及び図7の時間幅dを設定することである。
【0087】
ズレ許容時間は、長ければ長いほど、音の違和感を確実に防止できる反面、アシスト(補助)されているという感覚が強くなり、言い換えれば主体的に演奏しているという感覚が弱くなるため、演奏意欲が低下してしまう。
【0088】
そこで、ズレ許容時間設定部140は、ゲーム環境に応じてズレ許容時間を適切に設定し、設定したズレ許容時間に基づいて、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することで、音の違和感を確実に防止しながら、主体的に演奏しているという感覚を維持することができる。
【0089】
以下では、複数の実施例に分けて、ズレ許容時間の具体的な設定処理について説明する。
【0090】
(第1実施例)
第1実施例において、ズレ許容時間設定部140は、演奏ゲームに対する習熟度に応じてズレ許容時間を設定する。ここで、習熟度とは、ゲーム操作の慣れを定量化した値である。ズレ許容時間設定部140が習熟度を取得できるようにするため、例えば図10に示すように、仮想ユーザデータテーブル220は、第1実施形態と同様に、演奏回数51と、最大重ね合せ数52と、レベル53とを管理し、これらに加えて音合せミス率54を管理する。ここで、音合せミス率54とは、過去1週間など所定期間に行われた演奏履歴に基づいた統計情報であって、具体的には、音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えて再生要求タイミングが行われた頻度である。例えば図10に示すように、音合せミス率54が「0.25」であった場合には、例えば過去1週間の演奏において、4回再生要求をしたうちの1回が、その受付タイミングが音合せタイミングに対してズレ許容時間を超えてしまったことを表している。
【0091】
上述した仮想ユーザデータテーブル220で管理される値を用いることで、例えば演奏回数51が多いほど、若しくは、音合せミス率54が小さいほど、習熟度が高いとみなすことができる。
【0092】
ここで、習熟度が低いユーザ(初心者)の視点で考えると、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することにより、音の違和感を防止することができる。一方、習熟度が高いユーザ(上級者)の視点で考えると、新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することは、音の違和感を防ぐというよりも、むしろ意図しないタイミングで演奏音を重ねてしまうことで、音の違和感を実ユーザに与えてしまうことになる。
【0093】
そこで、ズレ許容時間設定部140は、図11に示す処理に従って、ズレ許容時間を短く設定する。
【0094】
ステップS1101において、ズレ許容時間設定部140は、仮想ユーザデータテーブル220にアクセスして、習熟度を算出することで取得して、ステップS1102に進む。
【0095】
ステップS1102において、ズレ許容時間設定部140は、習熟度に応じてズレ許容時間を設定する。具体的に、ズレ許容時間設定部140は、習熟度が高いほどズレ許容時間を短く設定する。その後、ステップS801に進んで、第1実施形態と同様にステップS801〜S807の処理が実行され、図11に示す処理が終了する。
【0096】
上記図11に示す処理によれば、習熟度が高いほどズレ許容時間を短く設定することで、初心者から上級者に亘っていずれのユーザに対しても、演奏音を重ね合わせたときに生じうる音の違和感を確実に防止することができる。
【0097】
(第2実施例)
第2実施例において、ズレ許容時間設定部140は、再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度に応じてズレ許容時間を設定する。ここで、音合せ難度とは、他の演奏音データとの音合せの難しさを定量化した値である。
【0098】
ズレ許容時間設定部140が音合せ難易度を取得できるようにするため、例えば図12に示すように、演奏音データテーブル210は、第1実施形態と同様に、演奏音ID41と、楽器ID42と、音符数43と、最小音価44と、BPM45とを管理し、これらの項目に加えて音合せ難度46を管理する。ここで、音合せ難度46は、上述したように他の演奏音データとの音合せの難しさを定量化した値である。例えば、BPM45が大きく演奏音のテンポが早いため、若しくは、演奏音として使われる音符の最小音価44が小さくリズムの変化が複雑であるため、タイミングが取りにくく再生中の演奏音データに音合せすることが難しいものとして、音合せ難度を高く設定する。
【0099】
ズレ許容時間設定部140は、図13に示す処理に従い、演奏音データテーブル210で設定ないし管理される音合せ難度を用いて、ズレ許容時間を設定する。
【0100】
ステップS1301において、ズレ許容時間設定部140は、演奏音データテーブル210にアクセスして、再生中の演奏音データの音合せ難度を取得して、ステップS1302に進む。なお、再生中の演奏音データが複数ある場合には、演奏音データの音合せ難度の平均値、または最も難度が低い演奏音データの音合せ難度を用いればよい。
【0101】
ステップS1302において、ズレ許容時間設定部140は、取得した音合せ難度に応じて、ズレ許容時間を設定する。具体的には、ズレ許容時間設定部140は、再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度が高いほど、再生中の演奏音に新たな演奏音を乗せることが難しいものとして、ズレ許容時間を長く設定する。その後、ステップS801に進んで、第1実施形態と同様にステップS801〜S807の処理が実行され、図13に示す処理が終了する。
【0102】
上記図13に示す処理によれば、再生中の演奏音データに設定されている音合せ難度が高いほど、ズレ許容時間を長く設定する。このようにして音合せ難度に応じてズレ許容時間を設定することで、音合せが難しい演奏音同士を重ね合わせるような状況においても、音の違和感を確実に防止することができる。
【0103】
(第3実施例)
第3実施例において、ズレ許容時間設定部140は、再生中の演奏音データの数に応じてズレ許容時間を設定する。ここで、再生中の演奏音データの数とは、同時に再生している演奏音データの数である。一例として、ドラム、ギターの2つの楽器の演奏音データが再生中の場合、再生中の演奏音データの数は2である。他の例として、異なる2つのギターの演奏音データが再生中の場合も、再生中の演奏音データの数は2である。
【0104】
ここで、再生中の演奏音データのうち、少なくとも1つの演奏音データの音合せタイミングと合えば、ユーザにとって違和感が生じないので、再生中の演奏音データの数が多いほど、新たな演奏音を重ね合わせやすい傾向にある。このような傾向により、再生中の演奏音データの数が多い場合に新たな演奏音データの再生開始時刻または再生開始位置を変更することは、音の違和感を防ぐというよりも、むしろ意図しないタイミングで演奏音を重ねてしまうことで、音の違和感を与えてしまうことになる。
【0105】
そこで、ズレ許容時間設定部140は、図14に示す処理に従い、再生中の演奏音データの数を用いてズレ許容時間を設定する。
【0106】
ステップS1401において、ズレ許容時間設定部140は、再生中の演奏音データの数を取得して、ステップS1402に進む。
【0107】
ステップS1402において、ズレ許容時間設定部140は、再生中の演奏音データの数が多いほど、ズレ許容時間を短く設定する。その後、ステップS801に進んで、第1実施形態と同様にステップS801〜S807の処理が実行され、図14に示す処理が終了する。
【0108】
上記図14に示す処理によれば、再生中の演奏音データの数が多いほど、ズレ許容時間を短く設定することで、再生中の演奏音データの数によらず、新たな演奏音データを重ね合わせたときに生じうる音の違和感を確実に防止することができる。
【0109】
(変形例)
なお、上述した第1〜3実施例に限らず種々の変形が可能であり、例えば、上述した習熟度、音合せ難度、再生中の演奏音データの数を組み合わせて、ズレ許容時間を設定してもよい。
【0110】
一例として、習熟度と再生中の演奏音データの数とを組み合わせてズレ許容時間を設定してもよい。具体的には、再生中の演奏音データの数が一定数より多ければ、習熟度にかかわらず音合せが容易になる傾向にある。このような傾向を利用して、再生中の演奏音データの数が所定数未満であるか判断し、所定数未満の場合のみ習熟度を用いて習熟度が高いほどズレ許容時間を短く設定する。一方、所定数以上の場合には、習熟度によらず、再生中の演奏音データの数が多いほどズレ許容時間を短く設定する。
【0111】
他の例として、音合せ難度と再生中の演奏音データの数とを組み合わせてズレ許容時間を設定してもよい。具体的には、再生中の演奏音データの数が一定数より多ければ、演奏中の演奏音データの音合せ難度にかかわらず音合せが容易になる傾向にある。このような傾向を利用して、再生中の演奏音データの数が所定数未満であるか判断し、所定数未満の場合のみ音合せ難度を用いて、音合せ難度が高いほどズレ許容時間を長く設定する。また、所定数以上の場合には、音合せ難度によらず、再生中の演奏音データの数が多いほどズレ許容時間を短く設定する。
【0112】
さらに他の例として、習熟度と音合せ難度とを組み合わせて、演奏ゲームに対する習熟度と、再生中の演奏音データの音合せ難度との両方を考慮して、ズレ許容時間を設定してもよい。具体的には、習熟度に反比例し、音合せ難度に比例するような関数を用いて、当該関数の出力値をズレ許容時間に設定してもよい。
【0113】
(6)第3実施形態
次に、図15等を参照して、第3実施形態に係る端末装置1(以下、他の実施形態と区別するため、端末装置1cという。)を説明する。具体的には、ゲーム処理部100(以下、他の実施形態と区別するためゲーム処理部100cという。)と、このゲーム処理部100bにおける処理を実現するための記憶領域となるゲームデータ記憶部200(以下、他の実施形態と区別するためゲームデータ記憶部200cという。)の具体的な構成について図15等を参照して説明する。
【0114】
(6−1)ゲーム処理部100cの構成
ゲーム処理部100cは、図15に示すように、第2実施形態に係るゲーム処理部100bと同様に、再生要求受付部110と、演奏音再生部120と、再生制御部130と、ズレ許容時間設定部140と、を有し、これらに加えて、演奏結果データ受信部150と、親密度取得部160と、を有する。ここで、再生要求受付部110および再生制御部130については、上述した第1乃至第2実施形態に係るゲーム処理部100a、100bと同様なので、その説明を省略する。また、ズレ許容時間設定部140のうち、上述した第2実施形態に係るゲーム処理部100bと同様の特徴についてはその説明を省略し、本実施形態に特有の特徴については以下で説明する。
【0115】
演奏結果データ受信部150は、例えば、端末装置同士が直接通信するアドホックモード、またはアプリケーションサーバを介して端末装置同士が通信するインフラストラクチャモードで、通信インタフェース部11を介して、他の端末装置が過去に演奏した演奏結果データを受信する。演奏結果データ受信部150により受信した演奏結果データは、ユーザ操作に応じて演奏音再生部120が、演奏音データとして再生する。このようにして演奏結果データが再生されている状態で、新たな演奏音データの再生要求を受け付けることで、あたかも他の端末装置とセッション(合奏)しているような体験を実ユーザに与えることができる。
【0116】
親密度取得部160は、他の端末装置によって演奏ゲームで操作される仮想ユーザとの親密度を取得する。ここで、親密度とは、仮想世界において、他の端末装置によって操作される仮想ユーザとの親密度合いを定量化した値である。例えば、他の端末装置とのメッセージ交換回数が多い、若しくは頻度が高いほど、親密度が高いものとする。
【0117】
具体的に、親密度取得部160は、端末装置1cがメッセージ交換の履歴情報を管理して当該履歴情報を用いて親密度を算出することにより取得する。なお、アプリケーションサーバで親密度を管理していれば、親密度取得部160は、通信インタフェース部11を介してアプリケーションサーバにアクセスすることにより取得してもよい。
【0118】
ズレ許容時間設定部140は、演奏結果データの再生中(セッション中)に、他の端末装置との親密度に応じて、ズレ許容時間を設定する。
【0119】
(6−2)端末装置1cにおける処理
本実施形態の端末装置1cにおける処理の一例として、図16に示すようなゲーム処理部100cの処理について説明する。
【0120】
ステップS1601において、演奏結果データ受信部150は、他の端末装置が過去に演奏した演奏結果データを受信する。その後、ステップS1602に進む。
【0121】
ステップS1602において、演奏音再生部120は、例えばユーザからの再生要求に応じて、ステップS1601により取得した演奏結果データを演奏音データとして再生する。その後、ステップS1603に進む。
【0122】
ステップS1603において、親密度取得部160は、ステップS1602により再生中の演奏結果データの演奏者との親密度、すなわち他の端末装置によって演奏ゲームで操作される仮想ユーザとの親密度を取得する。その後、ステップS1604に進む。
【0123】
ステップS1604において、ズレ許容時間設定部140は、ステップS1603により取得した親密度に応じて、ズレ許容時間を設定する。具体的に、ズレ許容時間設定部140は、演奏結果データの再生中に、他の端末装置との親密度が高いほど、ズレ許容時間を長く設定する。その後、ステップS801に進んで、第1実施形態と同様にステップS801〜S807の処理が実行され、図16に示す処理が終了する。
【0124】
上記図14に示す処理によれば、ステップS1604において、他の端末装置によって操作される仮想ユーザとの親密度が高いほど、ズレ許容時間を長く設定することにより、上述したセッション(合奏)での音の違和感をなくすことができる。このようにしてズレ許容時間を設定することにより、他の端末装置との交流するほど、他の端末装置とセッションを楽しめるというメリットを、実ユーザに与えることができ、演奏ゲームを通じて端末装置同士の交流を活性化することができる。
【0125】
(7)その他
本発明は、上記実施形態に限定されず、上述した実施形態を組み合わせることが可能である。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせることも可能である。すなわち、親密度が所定値未満の場合には、習熟度、音合せ難度、再生中の演奏音データの数の少なくとも1つのパラメータに応じてズレ許容時間を設定する一方、親密度が所定値以上の場合には、親密度のみに応じてズレ許容時間を設定してもよい。
【0126】
また、上述した図8図11図13図16に示したフローチャートの処理は、処理を行う順番を適宜変更してもよい。
【0127】
さらに、本発明は、上記実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムが記録された非一時的な記録媒体を端末装置に提供し、当該端末装置のコンピュータ、すなわちCPU又はMPUに、当該非一時的な記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行させることによって実現してもよい。
【0128】
この場合、当該非一時的な記録媒体から読み出されたプログラムは、上述実施形態の機能を実現する。したがって、当該プログラム及び当該プログラムが記録された非一時的な記録媒体も、本発明の一態様である。
【0129】
当該プログラムを提供する非一時的な記録媒体は、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWなどの光ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリカード、及びROMを含む。或いは、当該プログラムは、通信ネットワークであるインターネットを介してダウンロード可能であってもよい。
【0130】
さらに、上記実施形態の機能は、コンピュータが当該プログラムを読み出して実行するだけではなく、コンピュータ上で動作するOS(operating system)等に、当該プログラムの指示に基づき実際の操作の一部又はすべてを実行させることによって実現してもよい。
【0131】
さらに、上記実施形態の機能は、非一時的な記録媒体から読み出されたプログラムを、コンピュータに挿入された拡張ボードに設けられたメモリ、又は、コンピュータに接続された拡張装置に設けられたメモリに書き込み、拡張ボード又は拡張装置に設けられたCPU等に、プログラムの指示に基づき実際の処理のすべて又は一部を実行させることによって実現されてもよい。
【0132】
典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、ここに開示する典型的な態様に限定されないことはもちろんである。特許請求の範囲は、このような変更と、同等の構造及び機能とをすべてを含むように最も広く解釈することが可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 端末装置
110 再生要求受付部
120 演奏音再生部
130 再生制御部

【要約】
【課題】任意の演奏音を自由に組み合わせて演奏を行う演奏ゲームにおいて、よりいっそう演奏体験を楽しめる環境を提供すること。
【解決手段】新たな演奏音データの再生要求を受け付ける再生要求受付部110と、再生要求を受け付けた再生要求タイミングを再生開始時刻に設定し、新たな演奏音データの演奏開始位置を再生開始位置に設定して、新たな演奏データを再生する演奏音再生部120と、再生中の演奏音データに音合せ可能な音合せタイミングと新たな演奏音データの再生要求タイミングとの時間差が、ズレ許容時間を超える場合に、再生開始時刻または再生開始位置を変更する再生制御部130と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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