(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138488
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】熱交換器のファンユニット
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20170522BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F04D29/70 N
F04D29/08 E
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-289349(P2012-289349)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2013-124670(P2013-124670A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2015年12月16日
(31)【優先権主張番号】TO2011U000140
(32)【優先日】2011年12月15日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ スペレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ ダル コッレ
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−040935(JP,A)
【文献】
特開2004−274994(JP,A)
【文献】
特開2000−032700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を通気する空気流の通路を定める主開口を有するプレート状の支持構造体又はシュラウドと、
前記通路の領域において、前記支持構造体又はシュラウドに固定される電気駆動モータと、前記主開口の内側に配置され前記駆動モータに結合されるブレードを有するインペラとを含む電気ファンと、
前記モータのインペラから離れた側に使用され、使用時に、実質的に垂直で、運転時にモータを冷却する空気流が通って流れるのに適する少なくとも1つの吸入開口を底部に定めるように、支持構造体に固定される、水しぶき保護スクリーンと、
を備える、熱交換器のファンユニットであって、
前記水しぶき保護スクリーンは、運転時、前記スクリーンの外面を流れる可能性がある水を前記吸入開口の外側に偏向させるように設計された、外向き突出偏向形成部を有することを特徴とするファンユニット。
【請求項2】
前記偏向形成部は、基本的に水路又は雨樋形状を有する、請求項1に記載のファンユニット。
【請求項3】
前記溝形状の偏向形成部は、上向きの凸状である湾曲経路に沿って延びる、請求項2に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記偏向形成部は、単一部材のモノリシック構造として、水しぶき保護スクリーンと一体的に形成される、請求項1又は2に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの吸入開口の数は1つであり、前記吸入開口は、前記水しぶき保護スクリーンの中心の下の位置に置かれ、前記水しぶき保護スクリーンの端部まで延び、前記外向き突出偏向形成部は、前記吸入開口の上部境界を形成し、前記水しぶき保護スクリーンの端部にわたって延びる、請求項1から4の何れか1つに記載のファンユニット。
【請求項6】
前記外向き突出偏向形成部の、前記水しぶき保護スクリーンの表面に実質的に平行した平面に沿った断面は、下向きに閉じられていない孤状形状である、請求項5に記載のファンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器のファンユニットに関し、詳細には、自動車用ラジエータの熱交換器のファンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、詳細には、熱交換器を換気する空気流の通路を定める主開口を有するプレート状の支持構造体又はシュラウドと、通路領域で支持構造体又はシュラウドに固定された電気駆動モータ及び主開口の内側に配置され駆動モータに結合されるブレードを有するインペラを含む、電気ファンとを備える形式のファンユニットに関する。水しぶき保護スクリーンは、モータのインペラから離れた側に使用され、使用時に、実質的に垂直で、開口を底部に区画して運転時にモータを冷却する空気流が通って流れるのに適する少なくとも1つの吸入開口を底部に定めるように、支持構造体に固定される。
【0003】
従来型のファンユニットにおいて、雨天時の運転時に、水流が水しぶき保護スクリーンの表面を流れて吸引される場合あるので、水流がインペラを駆動する電気モータを通り過ぎる可能性がある。勿論、このことは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来技術のファンユニットの前述の問題点を解消できる改良された前記特定の形式のファンユニットに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このことは、本発明において、運転時に、スクリーンの外面を流れる水を吸入開口の外側に偏向させるように設計された、外向き突出偏向形成部の使用により達成される。
【0006】
従って、1つの態様において、本発明は、熱交換器用のファンユニットを提供し、ファンユニットは、熱交換器を通気する空気流の通路を定める主開口を有するプレート状の支持構造体又はシュラウドと、通路領域において、支持構造体又はシュラウドに固定される電気駆動モータと、主開口の内側に配置され駆動モータに結合されるブレードを有するインペラとを含む電気ファンと、モータのインペラから離れた側に使用され、使用時に、実質的に垂直で、運転時にモータを冷却する空気流が通って流れるのに適する少なくとも1つの吸入開口を底部に定めるように、支持構造体に固定される、水しぶき保護スクリーンと、を備え、水しぶき保護スクリーンは、運転時、スクリーンの外面を流れる可能性のある水を吸入開口の外側に偏向させるように設計された外向き突出偏向形成部を有する。
【0007】
好ましくは、偏向形成部は、基本的に水路又は雨樋形状を有する。
好ましくは、溝形状の偏向形成部は、上向きの凸状である湾曲経路に沿って延びる。
好ましくは、偏向形成部は、単一部材のモノリシック構造として、水しぶき保護スクリーンと一体的に形成される。
【0008】
好ましくは、車両のラジエータを冷却する冷却ファンモジュールとして使用される。
任意的に、冷却ファンモジュールは、自動車のエンジン室内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態を、例示的に添付の図面を参照して説明する。図面において、2つ以上の図面に登場する同一の構造、要素、又は部品は、登場する全ての図面において、一般に同じ参照番号は付与される。図示の構成要素の寸法及び特徴は、一般に開示の便宜及び明確化のために選択されており、必ずしもスケール調整されていない。図面は以下の通りである。
【0010】
【
図1】本発明の好適な実施形態による熱交換器のファンユニットの背面図である。
【
図3】
図2のラインIII−IIIに沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2において、参照番号1は、自動車ラジエータ等の熱交換器(図示せず)のファンユニット全体を示す。公知のように、ファンユニット1は、成型プッラスチックで作られたプレート状の支持構造体又はシュラウド2を備える。支持構造体又はシュラウド2は、空気の流れ通路を定める主開口3を有する。
【0012】
例示的に示された実施形態において、複数のスポーク4は、主開口3の端部から延び、中心の環状支持要素5に結合される。全体を参照番号6で示す電気ファンは、環状支持要素5に結合される。ファン6は、環状支持要素5に結合される電気駆動モータ7と、遠位端が外側リング10に結合された、複数の所定形状のブレード9を有するインペラ8とを備える(
図1参照)。
【0013】
水しぶき保護レスクリーン11は、モータ7の後側、すなわちインペラ8とは反対側に使用され、構造体又はシュラウド2の環状支持要素5に固定される。水しぶき保護レスクリーン11は、使用時に垂直となるように配置される。スクリーン11の底部には、運転時、モータ7を冷却する空気流を通過させるための(少なくとも)1つの吸入開口12が設けられており、この空気流は、モータの後方部分から前方部分に向かう。
【0014】
本発明によれば、水しぶき保護レスクリーン11は、運転時、スクリーン11の外面を流れる場合がある水を吸入開口12の外側に偏向させるように設計された、外向き突出偏向形成部13を有している。偏向形成部13は、基本的に水路又は雨樋形状を有することが好都合である。
【0015】
図2から明らかなように、水路状の偏向形成部13は、上向きの凸状である湾曲経路に沿って延びることが好都合である。
【0016】
この形成部により、運転時にスクリーン11の外面を流れる水は、基本的に吸入開口11の外側で偏向される2つの流れ、すなわち
図2で見ると開口12の右側及び左側に分流される。
【0017】
突出偏向形成部13は、例えば、成型プラスチック材料又は金属で作られた、単一部材のモノリシック構造として、水しぶき保護スクリーン11と一体的に形成することが好都合である。
【0018】
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、用語「備える」、「含む」、「包含する」、「有する」、及びこれらの変形語は包括的な意味で使用され、記載した項目の存在を特定するが追加的項目の存在を排除するものではない。
【0019】
本発明は、1つ又はそれ以上の好適な実施形態を参照して記載したが、当業者であれば種々の変形が可能であることを理解されたい。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されることになる。
【符号の説明】
【0020】
1:ファンユニット
2:支持構造体又はシュラウド
3:主開口
4:スポーク
5:環状支持要素
6:電気ファン
7:電気駆動モータ
8:インペラ
9:ブレード
10:外側リング
11:水しぶき保護スクリーン
12:吸入開口
13:偏向形成部