特許第6138517号(P6138517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138517
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】オイルセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/04 20060101AFI20170522BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20170522BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20170522BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F04B39/04 G
   B01D45/08 Z
   B60T17/00 B
   F04B39/16 F
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-36394(P2013-36394)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-163326(P2014-163326A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 卓也
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−83382(JP,U)
【文献】 実開平3−115028(JP,U)
【文献】 特開平10−323529(JP,A)
【文献】 特開2000−282839(JP,A)
【文献】 特開平9−177532(JP,A)
【文献】 特開平7−269326(JP,A)
【文献】 特開平6−330720(JP,A)
【文献】 実開平4−70970(JP,U)
【文献】 実開昭63−157234(JP,U)
【文献】 特開平3−246149(JP,A)
【文献】 実開平4−59321(JP,U)
【文献】 実開平2−106526(JP,U)
【文献】 特開2010−270743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/04
F04B 39/16
F01M 13/00−13/02
B01D 45/08
B60T 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアドライヤの乾燥剤を再生させる際に前記エアドライヤのパージエア排出口から排出されて筐体内に流入したパージエアを衝突材に衝突させることで油分を分離して油分を含むドレンを回収し、清浄エアを排出するオイルセパレータにおいて、
前記筐体を暖める暖房装置を備えた
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルセパレータにおいて、
前記暖房装置は、前記筐体の外周に設けられる
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項3】
請求項1に記載のオイルセパレータにおいて、
前記暖房装置は、前記筐体の内部に設けられる
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオイルセパレータにおいて、
前記暖房装置は、前記エアドライヤに圧縮空気を供給するコンプレッサの圧縮空気を引き込むことで前記筐体を暖める
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のオイルセパレータにおいて、
前記コンプレッサの圧縮空気は、前記暖房装置を経由してから前記エアドライヤに供給される
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のオイルセパレータにおいて、
前記暖房装置は、内燃機関の排気を引き込むことで前記筐体を暖める
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のオイルセパレータにおいて、
前記暖房装置は、電熱を設けることで前記筐体を暖める
ことを特徴とするオイルセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を通過した空気に含まれるオイルを分離するオイルセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バス、建機等の車両は、エンジンと直結したコンプレッサから送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。この圧縮空気には、大気中に含まれる水分やコンプレッサ内を潤滑する油分が含まれている。この水分や油分を含む圧縮空気が各システム内に侵入すると、錆やゴム部材(Oリング等)の膨潤を招き作動不良の原因となる。このため、エア系統のコンプレッサの下流には、圧縮空気中の水分や油分を除去するためのエアドライヤが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エアドライヤ内には、フィルタ、シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤が設けられている。そして、エアドライヤは、水分を除去する除湿作用と、乾燥剤に吸着させた水分を取り除き外部に放出する再生作用とを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−296038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乾燥剤の再生時にエアドライヤから放出される空気には水分とともに油分も含まれるため、環境負荷を考慮してエア系統のコンプレッサの下流にオイルセパレータを設けることが考えられている。このオイルセパレータは、油分を含んだ空気が衝突する衝突材を筐体内に設け、油分を分離して回収し、油分を除去した清浄エアを排出する装置である。
【0006】
ここで、オイルセパレータを寒冷地で使用する際には、エアドライヤから放出される空気に含まれる水分が筐体内で凍結するおそれがあり、所望の油分の分離が得られないおそれがある。そこで、筐体内における水分の凍結を抑制したオイルセパレータが求められている。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体内における水分の凍結を抑制したオイルセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決するオイルセパレータは、エアドライヤの乾燥剤を再生させる際に前記エアドライヤのパージエア排出口から排出されて筐体内に流入したパージエアを衝突材に衝突させることで油分を分離して油分を含むドレンを回収し、清浄エアを排出するオイルセパレータであって、前記筐体を暖める暖房装置を備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、筐体を暖める暖房装置を備えたので、暖房装置によって筐体が暖められて、寒冷地等において筐体内における水分の凍結を抑制できる。また、暖房装置によって筐体が暖められて、筐体内に溜まったドレンに含まれる水分が蒸発し易くなるので、ドレンが最大許容量まで溜まる期間を延ばして、ドレンの排出間隔を延ばすことができる。
【0010】
上記オイルセパレータについて、前記暖房装置は、前記筐体の外周に設けられることが好ましい。
同構成によれば、暖房装置が筐体の外周に設けられるので、複雑な構成を採用する必要がなく、オイルセパレータに対する暖房装置の設置が容易である。
【0011】
上記オイルセパレータについて、前記暖房装置は、前記筐体の内部に設けられることが好ましい。
同構成によれば、暖房装置が筐体の内部に設けられるので、暖房装置が外気に晒されることなく、筐体を効率良く暖めることができる。
【0012】
上記オイルセパレータについて、前記暖房装置は、前記エアドライヤに圧縮空気を供給するコンプレッサの圧縮空気を引き込むことで前記筐体を暖めることが好ましい。
同構成によれば、コンプレッサの圧縮熱によって暖められた圧縮空気によって暖房装置が筐体を暖めるので、暖気等を生成する必要がなく、暖気等を別途引き込む必要もなく、エアドライヤに供給する圧縮空気を引き込むことで容易に実現できる。
【0013】
上記オイルセパレータについて、前記コンプレッサの圧縮空気は、前記暖房装置を経由してから前記エアドライヤに供給されることが好ましい。
同構成によれば、エアドライヤに供給する圧縮空気が暖房装置を経由される。このため、コンプレッサから供給された圧縮空気が暖房装置によって適度に冷却されるので、エアドライヤの性能を最適とする温度に冷却する必要がなくなる。
【0014】
上記オイルセパレータについて、前記暖房装置は、内燃機関の排気を引き込むことで前記筐体を暖めることが好ましい。
同構成によれば、内燃機関の排気によって暖房装置が筐体を暖めるので、暖気等を生成する必要がなく実現できる。
【0015】
上記オイルセパレータについて、前記暖房装置は、電熱を設けることで前記筐体を暖めることが好ましい。
同構成によれば、電熱によって暖房装置が筐体を暖めるので、暖気等を生成する必要がなく、暖気等を別途引き込む必要もなく実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筐体内における水分の凍結を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】エア系統におけるオイルセパレータの設置位置を示すブロック図。
図2】オイルセパレータの取付状態及びオイルセパレータとエアドライヤとの接続状態を示す図。
図3】オイルセパレータの暖房装置の構造を示す部分破断図。
図4】オイルセパレータの内部構造を示す断面図。
図5】オイルセパレータの内部構造を示す断面図。
図6】別例のエア系統におけるオイルセパレータの設置位置を示すブロック図。
図7】別例のオイルセパレータの暖房装置の構造を示す部分破断図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図5を参照して、オイルセパレータの一実施形態について説明する。
図1に示されるように、トラック、バス、建機等の車両は、コンプレッサ1から送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。このため、エア系統のコンプレッサ1の下流には、圧縮空気中の油水分を除去し、乾燥空気を提供するためのエアドライヤ2が設けられている。エアドライヤ2内には、乾燥剤が設けられている。そして、エアドライヤ2は、油水分を除去する除湿作用と、乾燥剤に吸着させた油水分を取り除き外部に放出する再生作用とを行う。
【0019】
そこで、乾燥剤の再生時にエアドライヤ2から放出される空気(パージエア)には水分とともに油分も含まれるため、環境負荷を考慮してエア系統のコンプレッサ1の下流にオイルセパレータ3を設ける。特に、オイルセパレータ3は、エアドライヤ2の排気系統に設けられ、エアドライヤ2を再生する際に排出されるパージエアから油水分を分離して回収する。
【0020】
オイルセパレータ3は、油水分を含んだ空気が衝突する複数の衝突材を筐体内に設けた衝突方式である。この衝突方式のオイルセパレータ3は、油水分を含んだ空気を衝突材に衝突させて気液分離を行うことで油分を回収し、清浄エアを排出する。分離された油水分を以下ではドレンと記載する。
【0021】
オイルセパレータ3には、暖房装置80が設けられている。暖房装置80は、コンプレッサ1から供給される高温の圧縮空気をオイルセパレータ3の外周を通過させることによってオイルセパレータ3を暖める。すなわち、コンプレッサ1の圧縮空気は、オイルセパレータ3の外周を経由してエアドライヤ2に供給される。コンプレッサ1から供給される圧縮空気の温度は160℃ほどの高温である。
【0022】
図2に示されるように、エアドライヤ2は、鉛直上方が閉じた有底円筒状のケース21と、当該ケース21の開口部を閉蓋するとともにケース21を支持する支持部材22とを備えている。支持部材22の下部には、乾燥剤の再生時にパージエアを排出するパージエア排出口23が形成されている。パージエア排出口23には、接続ホース25が接続されるパージエア排出カバー24が取り付けられている。接続ホース25は、オイルセパレータ3に接続されている。なお、エアドライヤ2の支持部材22には、コンプレッサ1で圧縮された圧縮空気を導入する導入口28が設けられるとともに、乾燥圧縮空気を排出する排出口29が設けられている。
【0023】
オイルセパレータ3は、鉛直方向に延出した有底円筒状の筐体としてのケース31と、当該ケース31の開口部を閉蓋する蓋32とを備えている。ケース31の底部31aには、溜まったドレンを排出するためのドレン排出口33が設けられている。ドレン排出口33には、ドレンを取り出す際に使用するドレンホース34が接続されている。蓋32には、接続ホース25を介してエアドライヤ2からパージエアを導入する導入口35と、油分を分離した清浄エアを排出する排出口40とが別々に形成されている。導入口35と接続ホース25とは、連結部材27によって接続されている。
【0024】
オイルセパレータ3の蓋32には、取付部材37が一体に蓋32に対して立設されている。取付部材37は、ボルトによってシャーシ38に固定されている。
また、ドレンホース34の先端部は、車両のシャーシ38等に固定された支持部材60に着脱可能に取り付けられている。すなわち、支持部材60には、固定部材61が固定されている。この固定部材61の下端部には、ドレンホース34の先端部をワンタッチで取り付けるワンタッチカプラ62が固定されている。ドレンホース34の先端部は、ワンタッチカプラ62に挿入することで固定部材61に固定され、ワンタッチカプラ62を操作することで固定部材61から取り外せる。ドレンホース34の先端部は、鉛直方向上向きに固定部材61に装着される。ドレンホース34の先端は、オイルセパレータ3の蓋32よりも上方に位置している。このため、ドレンホース34の先端からドレンが漏れることを抑制できる。
【0025】
オイルセパレータ3のケース31の外周には、暖房装置80を構成する円筒状のジャケット81が装着されている。ジャケット81は、ケース31に対して着脱可能である。ジャケット81の側面上部には、コンプレッサ1と接続して、コンプレッサ1から圧縮空気を導入する導入接続管82が接続されている。また、ジャケット81の側面下部には、エアドライヤ2と接続して、エアドライヤ2に圧縮空気を排出する排出接続管83が接続されている。排出接続管83は、エアドライヤ2の導入口28に接続されている。暖房装置80は、コンプレッサ1の圧縮空気をジャケット81内に引き込むことでケース31を暖める。また、暖房装置80は、ジャケット81を介してコンプレッサ1から供給される圧縮空気の熱量をケース31に移動させることで、コンプレッサ1から供給された圧縮空気を冷却してエアドライヤ2に排出する。ジャケット81を通過して冷却された圧縮空気の温度は60℃ほどである。
【0026】
図3に示されるように、ジャケット81には、導入接続管82と排出接続管83とを繋ぎ、ケース31の外周に沿って螺旋状の誘導管84が設けられている。蓋32には、導入口35と排出口40とが同一方向(図中右側)に開口している。そして、導入口35には、連結部材27を介して接続ホース25が接続されている。また、排出口40には、水平方向から鉛直下方へ曲がった接続部材41を介して排出ホース42が接続されている。つまり、連結部材27と接続部材41とが併設されている。排出ホース42の先端開口部は、ケース31側が短く斜めに形成されている。排出ホース42からの清浄エアの排出を容易にしながら、防水性を高めている。
【0027】
図4に示されるように、蓋32は、鉛直上方が閉じた有底円筒状である。蓋32の導入口35の近傍内壁には、導入口35から導入されたパージエアの進行方向に対して直交するよう2枚の邪魔板46が立設されている。蓋32の内部空間は、導入口35から導入されたパージエアを膨張させる第1膨張室45として機能する。蓋32には、ケース31内から排出口40に連通する連通部32aが形成されている。
【0028】
図4及び図5に示されるように、ケース31と蓋32との間には、ケース31を閉蓋するとともに、蓋32を閉蓋する円盤状のカバー47が設けられている。カバー47は、ケース31と一緒に蓋32にボルト36によって締結されている。すなわち、蓋32に設けられたフランジ部32bに形成されたねじ孔にボルト36が締結される。また、ケース31に設けられたフランジ部31bに形成された貫通孔にボルト36の螺子部が貫通される。カバー47には、ボルト36のねじ部が貫通する貫通孔が形成されている。よって、ケース31のフランジ部31bの貫通孔とカバー47のフランジ部47aの貫通孔とにボルト36のねじ部を貫通して、蓋32のフランジ部32bのねじ孔にボルト36を螺着することで、蓋32とカバー47とケース31とが締結されている。カバー47には、ケース31内から排出口40へ連通する連通孔47cが形成されている。
【0029】
また、蓋32とカバー47とによって形成された空間が第1膨張室45として機能する。カバー47には、スポンジ等のウレタンフォーム50を収容する鉛直上方が閉じた有底円筒状の収容部材48がボルト39によって固定されている。なお、ウレタンフォーム50が衝突材として機能する。収容部材48の上端縁部と下端縁部とには、フランジ部48aとフランジ部48bとが形成されている。収容部材48の上端縁部に形成されたフランジ部48aにボルト39が貫通されて、収容部材48がカバー47に締結されている。カバー47と収容部材48の上面とによって形成された空間が第2膨張室51として機能する。カバー47には、第1膨張室45と第2膨張室51とを連通する複数の貫通孔47bが形成されている。収容部材48の上底部49の中央部分には、複数の貫通孔49aが形成されている。カバー47の貫通孔47bと収容部材48の上底部49の貫通孔49aとは対向しない位置に形成されている。収容部材48の側面の下端部側には、複数の貫通孔48cが径方向に間隔をおいて形成されている。
【0030】
収容部材48の下端縁部に形成されたフランジ部48bには、収容したウレタンフォーム50を支持する円盤状の支持蓋52がねじ53によって固定されている。支持蓋52は、ケース31の内径とほぼ同径に形成されている。なお、収容部材48の上底部49と支持蓋52とによって形成された空間が第3膨張室59として機能する。支持蓋52には、ウレタンフォーム50によって除去された油水分を落下させる複数の貫通孔52aが形成されている。よって、ケース31内の下部がドレン溜め部54として機能する。
【0031】
次に、前述のように構成されたオイルセパレータ3の作用について説明する。
図2に示されるように、コンプレッサ1から導入接続管82を介して供給された圧縮空気は、暖房装置80のジャケット81内の誘導管84に導入され、誘導管84を通過することでジャケット81を介してケース31を暖める。ジャケット81を通過した圧縮空気は、ジャケット81に導入されたときよりも冷却されている。ジャケット81から排出された圧縮空気は、排出接続管83を介してエアドライヤ2に導入される。エアドライヤ2に導入された圧縮空気は、乾燥されて図示しないエアタンクに溜められる。エアドライヤ2は、乾燥剤を再生させるアンロード時にパージエア排出口23からオイルセパレータ3に導入される。パージエアは、油水分が含まれた空気である。
【0032】
図4に示されるように、導入口35から導入されたパージエアは、邪魔板46に衝突して邪魔板46に沿ってオイルセパレータ3内に導入され、第1膨張室45内で膨張する。第1膨張室45内で膨張した空気は、カバー47に形成された貫通孔47bから第2膨張室51に進入する。第2膨張室51内で膨張した空気は、収容部材48の上底部49の貫通孔49aから第3膨張室59内に進入し、ウレタンフォーム50に衝突した油水分が空気から分離される。ウレタンフォーム50によって捕獲された水分と油分とを含むドレンは、ウレタンフォーム50内を伝って支持蓋52の上面に達し、支持蓋52の貫通孔52aからドレン溜め部54に落下して、ドレン溜め部54に溜まる。ドレン溜め部54に溜まったドレンは、ドレン排出口33からドレンホース34内に進入する。
【0033】
一方、図5に示されるように、収容部材48の上底部49の貫通孔49aから収容部材48内に進入して油水分が分離された空気は、収容部材48の側面の貫通孔48cからケース31内に進入する。ケース31内に進入した空気は、カバー47の連通孔47cと蓋32の連通部32aとを通過して排出口40から接続部材41を介して排出ホース42に流入して大気に排出される。よって、ケース31内に進入した空気は、ドレン溜め部54のドレンにほとんど触れることなく、排出口40から排出される。排出口40から排出される空気は、油分を含まない清浄エアとなっている。
【0034】
ドレン溜め部54に溜まったドレンを排出する際には、ワンタッチカプラ62を操作することでドレンホース34の先端部をワンタッチカプラ62から取り外して、ドレンホース34の先端部をドレン溜め部54のドレンの水面よりも低くすることで排出できる。
【0035】
さて、本実施例では、コンプレッサ1から供給される高温の圧縮空気が暖房装置80を構成するジャケット81に引き込まれてオイルセパレータ3のケース31を暖めることで、寒冷地等においてオイルセパレータ3のケース31内の水分の凍結を抑制できる。
【0036】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ケース31を暖める暖房装置80を備えたので、暖房装置80によってケース31が暖められて、寒冷地等においてケース31内における水分の凍結を抑制できる。また、暖房装置80によってケース31が暖められて、ケース31内に溜まったドレンに含まれる水分が蒸発し易くなるので、ドレンが最大許容量まで溜まる期間を延ばして、ドレンの排出間隔を延ばすことができる。
【0037】
(2)暖房装置80がケース31の外周に設けられるので、複雑な構成を採用する必要がなく、オイルセパレータに対する暖房装置80の設置が容易である。
(3)コンプレッサ1の圧縮熱によって暖められた圧縮空気によって暖房装置80がケース31を暖めるので、暖気等を生成する必要がなく、暖気等を別途引き込む必要もなく、エアドライヤ2に供給する圧縮空気を引き込むことで容易に実現できる。
【0038】
(4)エアドライヤ2に供給する圧縮空気が暖房装置80を経由される。このため、コンプレッサ1から供給された圧縮空気が暖房装置80によって適度に冷却されるので、エアドライヤ2の性能を最適とする温度に冷却する必要がなくなる。
【0039】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、ジャケット81は、断熱材であることが望ましい。
・上記実施形態では、コンプレッサ1から供給された圧縮空気を暖房装置80のジャケット81を経由してエアドライヤ2に供給したが、コンプレッサ1から供給される圧縮空気の一部を暖房装置80のジャケット81を経由させてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、コンプレッサ1から供給される高温の圧縮空気を暖房装置80のジャケット81に引き込んでケース31を暖めたが、内燃機関から排出される排気を暖房装置80に供給してもよい。すなわち、図6に示されるように、内燃機関としてのエンジン4から排出される高温の排気を暖房装置80に供給する。暖房装置80に供給されたエンジン4からの排気は、内燃機関の排気系統に排出する。
【0041】
・上記構成において、ケース31とジャケット81とを一体にしてもよい。
・上記実施形態では、コンプレッサ1の圧縮空気やエンジン4の排気を暖房装置80に供給することでケース31を暖めたが、暖気に頼らず、電熱によってケース31を暖めてもよい。すなわち、図7に示されるように、電熱線85をケース31に巻き付けて、ジャケット81で覆い、ケース31を暖めてもよい。このようにすれば、車両が駆動していないときもオイルセパレータ3を暖めることができる。
【0042】
・上記実施形態では、ケース31の外周を暖房装置80によって暖めたが、ケース31の内部に暖房装置を設けてもよい。例えば、コンプレッサ1の圧縮空気が通過する誘導管をケース31内に設ける。この誘導管にエンジン4の排気を通過させてもよい。
【0043】
・上記実施形態において、加熱手段によってドレン溜め部54に溜まったドレンに含まれる水分をさせてドレンの量を減らしてもよい。このようにすれば、ドレンが容量限度までに溜まる期間を延ばせることで、ドレンの排出間隔を長くして、メンテナンスの負担を低減できる。
【0044】
・上記実施形態では、オイルセパレータ3の導入口35をパージエア排出カバー24の接続口よりも鉛直方向において上方に位置させた。しかしながら、エアドライヤ2とオイルセパレータ3とを含む鉛直方向の高さを抑制する必要がなければ、オイルセパレータ3の導入口35をパージエア排出カバー24の接続口よりも鉛直方向において下方に位置させてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、ドレンホース34の先端をオイルセパレータ3の蓋32よりも上方に位置させた。しかしながら、ドレンホース34の先端からドレンが漏れることを抑制できれば、ドレンホース34の先端をオイルセパレータ3の蓋32よりも下方に位置させてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、ケース31のドレン排出口33にドレンホース34を接続したが、ドレンホース34を省略して、ドレン排出口33に栓を設けて、ドレン排出口33から直接排出してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、第1膨張室45と第2膨張室51と第3膨張室59とをオイルセパレータ3に設けたが、第1膨張室45と第2膨張室51と第3膨張室59との少なくとも1つにしてもよい。また、膨張室を4つ以上設けてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、ウレタンフォーム50の上流や下流、膨張室45,51内に不織布フィルタ等の部材を配置してもよい。このようにすれば、オイル成分の除去率を向上させることができる。さらに、不織布フィルタ等の部材に静電気を帯びさせてもよい。このようにすれば、オイル成分の除去率を更に向上させることができる。
【0049】
・上記実施形態では、衝突材としてウレタンフォーム50を採用したが、クラッシュドアルミ等の他の部材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…コンプレッサ、2…エアドライヤ、3…オイルセパレータ、4…エンジン、21…ケース、22…支持部材、23…パージエア排出口、24…パージエア排出カバー、25…接続ホース、27…連結部材、28…導入口、29…排出口、31…ケース、31a…底部、31b…フランジ部、32…蓋、32a…連通部、32b…フランジ部、33…ドレン排出口、34…ドレンホース、35…導入口、36…ボルト、37…取付部材、38…シャーシ、39…ボルト、40…排出口、41…接続部材、42…排出ホース、45…第1膨張室、46…邪魔板、47…カバー、47a…フランジ部、47b…貫通孔、47c…連通孔、48…収容部材、48a…フランジ部、48b…フランジ部、48c…貫通孔、49…上底部、49a…貫通孔、50…ウレタンフォーム、51…第2膨張室、52…支持蓋、52a…貫通孔、53…ねじ、54…ドレン溜め部、59…第3膨張室、60…支持部材、61…固定部材、62…ワンタッチカプラ、80…暖房装置、81…ジャケット、82…導入接続管、83…排出接続管、84…誘導管、85…電熱線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7