(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶媒体は、入室、退室、入館および退館の少なくとも一つの場合において、対応する機器と通信して、当該記憶媒体を所有する前記登録者の入室、退室、入館および退館の少なくとも一つを、前記サーバーに送信し、
前記記憶媒体は、前記特定施設における購入現場での、対応する機器と通信して、当該記憶媒体による決済処理を、前記サーバーに送信する、請求項1又は2記載の自動精算システム。
前記記憶媒体は、前記自動販売機での商品の購入、前記施設内食堂での食券購入又は料金精算、前記施設内売店での料金精算、前記オフィス用機器での費用精算および前記ネットワーク接続機器での費用精算の少なくとも一つにおいて、電子金銭媒体によって、決済処理を行う、請求項4記載の自動精算システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、POSシステムの中にICカードでの決済を組み込む技術の一態様を開示する。具体的には、ICカードで決済を行う際に、商品側の合計金額の算出をPOSシステムが行い、支払い側の決済を電子マネーとサービスポイントで行う技術を開示している。
【0009】
しかしながら、ICカードで決済を行う際に、電子マネーとサービスポイントの合計での購入を可能にするシステムを、特許文献1は、開示するが、ICカードそのものは、社員証や職員証と関連性がなく、社員証や職員証が本来目的とする、出勤や退勤管理(入室管理や退室管理)と商品の購入とを組み合わせる概念は開示されていない。このため、社員証や職員証を用いた商品購入や決済処理についての技術の開示が成されていない。
【0010】
特許文献2は、調剤薬局におけるICカードを用いた処方と精算とを、POSシステムを介して行うシステムを開示する。例えば、診察券がICカードで作られている場合には、特許文献2に開示される技術を用いて、処方と精算とを同時かつ効率的に処理できる。
【0011】
しかしながら、あくまでも診察券を用いて人力で行っていた処方と精算とを、自動化しただけに過ぎない。加えて、病院に来院する患者の全てがこのICカードタイプの診察券を所有しているわけではなく(例えば、保険証によって初診を受ける患者は有していない)、ICカードで構成される診察券を有効活用しているとは言いがたい。
【0012】
特許文献3は、顧客が所有するICカードとの通信を介して、顧客の移動情報や嗜好情報を分析するシステムを開示する。
【0013】
しかしながら、ICカードとの通信を介するだけで、顧客の移動情報や嗜好情報を分析するには、情報収集範囲や量に不十分さが残る。また、顧客の移動情報や嗜好情報を分析するための特別なICカードを発行する必要があり(例えば、電子マネーカードや交通電子マネーカードなど)、特定の共通項を有した顧客群の移動情報や嗜好情報を分析するのには不適である。
【0014】
特許文献4は、POSシステムのレジにおいて、ICカードの個人情報、属性、プロモーションなどの情報を連動させて、個人への提案を行ったり、精算処理を行ったりする連動型のカード処理システムを開示する。
【0015】
しかしながら、特許文献4の技術は、レジでの精算においてのみ顧客の嗜好情報等を把握できるに過ぎず、特定の購買行動のみを把握できるに過ぎない。また、対象者も、ばらばらであり、特定の共通項で括られる集団の嗜好や購買決済を行うことができるわけではない。もちろん、ICカードを所有していない購買者の動向を把握することは難しい。
【0016】
近年では、不特定多数の購買動向(嗜好、購入実績、購入力、属性情報)を、インターネットを介した通信販売などによって、把握することが行われている。インターネット上での仮想ショッピングモールを運営する企業やクレジットカード企業にとっては、このような不特定多数の購買動向を把握することが必要である。
【0017】
一方で、上述したように、特定の施設(工場、事業所、オフィスビル、会社敷地、特定施設など)においては、特定の共通項を有する特定集団が存在する。例えば、社員、職員、入院患者、登録入場者などである。このような特定集団が、このような特定の施設での入室や退室の管理(すなわち、セキュリティ管理)のために、個人を特定する識別子を含んだ記憶媒体を所有することが多い。このような記憶媒体は、社員証、職員証、登録証などの形態をもって、特定多数である特定の人物に所有される。
【0018】
このような、記憶媒体は、入室管理や退室管理に加えて、社員や職員の勤怠管理にも適用できる。すなわち、会社の管理部門は、この記憶媒体を通じて、社員の勤怠管理や業務管理を行うことができる(勤務時間、出張、休暇など)。社員は、記憶媒体のみによって、セキュリティ管理の手順を踏むことができる上、勤怠管理を管理部門に行わせることができる。このため、社員にとっては、コンプライアンスを遵守しつつ、手間をかけずに勤怠管理(自身の給与など)を、管理部門に行ってもらうことができる。
【0019】
インターネットでの通信販売のように、不特定多数を管理するのではなく、共通項により定義される特定多数を管理することは、管理側からみても、被管理側から見ても効率がよいことが多い。加えて、近年の半導体技術や電子技術の進歩に伴って、特定多数が所有する記憶媒体は、決済処理機能を有することができるようになってきている。
【0020】
すなわち、共通項で定義される特定多数を、記憶媒体によって管理すると共に決済処理機能によって、様々な決済処理を行うことが、特定施設においては求められている。従来技術においては、決済処理機能のみに着目した技術もしくは、決済処理機能に基づく分析機能のみに着目した技術しか開示されていなかった。
【0021】
記憶媒体によって、特定多数を管理すると共に、特定多数の所有者のそれぞれの便宜を図ることの両立が求められている。
【0022】
本発明は、共通項により定義される特定多数を、記憶媒体によって特定施設内部で管理すると共に所有者の便宜を図ることの両立を行う自動精算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題に鑑み、本発明の自動精算システムは、
工場、事業所、オフィスビル、会社敷地の少なくとも一つである特定施設での購入現場で使用される決済機能と入退室機能を有する記憶媒体と通信可能なサーバーを備える自動精算システムであって、
サーバーは、
記憶媒体の入退室機能に基づく、入室、退室、入館および退館の少なくとも一つを確認して入退室情報を生成する管理手段と、
記憶媒体の決済機能に基づく、特定施設における購入現場での決済処理を行って決済情報を生成する決済処理手段と、
特定施設の社員もしくは職員であって記憶媒体に登録された登録者を特定する識別子を検出する検出手段と、
識別子に対応する登録者について、入退室情報と決済情報とを連動させる連動手段と、
連動手段での結果を通知する通知手段と、を備え、
管理手段は、入退室情報に基づいて、給与額の計算期間における登録者の勤務時間を計算し、勤務時間および給与要素に基づいて、登録者の給与額を決定し、
決裁処理手段は、給与額の計算期間における、登録者による購入現場での合計の決済額を計算し、
管理手段は、決定された給与額を、連動手段に出力し、決裁処理手段は、計算された決済額を、連動手段に出力し、
連動手段は、給与額から決済額を差し引いた最終給与額を決定し、
連動手段は、最終給与額が少なくなりすぎるレベルでの所定値を超える決済額となる場合に、決済処理手段での決済機能を停止させて、最終給与額が少なくなりすぎることを防止し、
通知手段は、登録者に決済額を通知して、登録者に最終給与額を想定させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の自動精算システムは、社員証や職員証などが有する記憶媒体を用いて、特定施設内部での種々の決済処理を必要とする購入を可能とする。加えて、この社員証や職員証が有する記憶媒体は、入室、退室、出勤、退勤などのセキュリティ管理および勤怠管理を行うことも可能であるので、記憶媒体の所有者は、業務やその他で必要な記憶媒体を必ず持ち歩くことになる。この結果、所有者は、記憶媒体によって、種々の購入を行うようになる。
【0025】
これらの結果、社員や職員の勤怠管理と個別の購入の決済処理とが連動し、社員や職員の給与精算などに、個別の購入の決済処理を連動させることができる。連動できることで、社員や職員は、個々に費用精算する手間から開放される。同様に、社員や職員を管理する(勤怠管理する)管理部門や、個々の購入活動が行われる部門(例えば食堂など)も、個々の購入において金銭による決済を行う必要から開放される。
【0026】
また、記憶媒体は決済処理機能を有していることで、特定施設内部の様々な購入行動が行われる場面で、この記憶媒体が決済処理機能を発揮できる。この結果、社員や職員など、記憶媒体を含む登録証の所有者は、特定施設の様々な場面で、一つの記憶媒体のみで決済処理を行える。これらの複数の決済処理が、勤怠管理と連動して、給与精算等されることになり、社員等の使用者にとっても管理者にとっても、非常に簡便となる。
【0027】
また、社員や職員の有する記憶媒体は、当該社員や職員を特定する識別子を有しているので、ある期間における当該社員や職員の購入動向や購入嗜好を図ることができる。この動向や嗜好に基づいて、管理部門は、社員や職員に様々な提案を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の発明に係る自動精算システムは、特定施設での購入現場で使用される決済機能と入退室機能を有する記憶媒体と通信可能なサーバーを備える自動精算システムであって、サーバーは、記憶媒体の入退室機能に基づく、入室、退室、入館および退館の少なくとも一つを確認して入退室情報を生成する管理手段と、記憶媒体の決済機能に基づく、特定施設における購入現場での決済処理を行って決済情報を生成する決済処理手段と、記憶媒体に登録された登録者を特定する識別子を検出する検出手段と、識別子に対応する登録者について、入退室情報と決済情報とを連動させる連動手段と、を備え、連動手段は、登録者の所定期間における費用処理において、入退室情報と決済情報との差分もしくは合算によって、登録者の費用精算を行う。
【0030】
この構成により、自動精算システムは、入退室情報を前提とする勤怠管理や時間管理に基づく費用(給与や利用代金など)と、個々の購入現場での決済情報に基づく費用とを連動させて、費用精算を行うことができる。
【0031】
本発明の第2の発明に係る自動精算システムでは、第1の発明に加えて、記憶媒体は、特定施設において登録された登録者が所有する登録証に収納される。
【0032】
この構成により、記憶媒体は、登録者と共に移動して、種々の場所で確実に用いられるようになる。加えて、登録証と一体化されることで、登録者の識別と識別に基づく入退室とを確実に管理できる。
【0033】
本発明の第3の発明に係る自動精算システムでは、第1又は第2記載の発明に加えて、記憶媒体は、入室、退室、入館および退館の少なくとも一つの場合において、対応する機器と通信して、当該記憶媒体を所有する登録者の入室、退室、入館および退館の少なくとも一つを、サーバーに送信し、記憶媒体は、特定施設における購入現場での、対応する機器と通信して、当該記憶媒体による決済処理を、サーバーに送信する。
【0034】
この構成により、サーバーは、入退室に関する情報と、購入現場での決済に関する情報の全てを受け取ることができる。
【0035】
本発明の第4の発明に係る自動精算システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、特定施設は、工場、事業所、オフィスビル、会社敷地、病院および公共施設の少なくとも一つである。
【0036】
この構成により、自動精算システムは、様々な場所で活用できる。特に、オフィスや企業、あるいは施設で、人事管理、勤怠管理、購入決済などを一括して管理して精算できるので、管理部門での効率化が図られる。
【0037】
本発明の第5の発明に係る自動精算システムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、購入現場は、自動販売機、施設内食堂、施設内売店、オフィス用機器およびネットワーク接続機器の少なくとも一つである。
【0038】
この構成により、特定施設において記憶媒体で購入決済されうる様々な購入現場での、自動精算システムの活用が実現される。
【0039】
本発明の第6の発明に係る自動精算システムでは、第5の発明に加えて、記憶媒体は、自動販売機での商品の購入、施設内食堂での食券購入又は料金精算、施設内売店での料金精算、オフィス用機器での費用精算およびネットワーク接続機器での費用精算の少なくとも一つにおいて、電子金銭媒体によって、決済処理を行う。
【0040】
この構成により、記憶媒体は、種々の規格によって決済を可能とする金銭媒体での決済を可能とする。
【0041】
本発明の第7の発明に係る自動精算システムでは、第6の発明に加えて、記憶媒体は、登録者の識別子に対応して、決済処理の結果を、サーバーに送信する。
【0042】
この構成により、自動精算システムは、登録者個人を識別した上で、全ての合算精算を行える。
【0043】
本発明の第8の発明に係る自動精算システムでは、第1から第7のいずれかの発明に加えて、入退室管理が、登録者の勤怠管理である場合には、記憶媒体は、入退室情報として送信し、管理手段は、登録者の識別子に対応する勤怠管理情報を、サーバーに送信する。
【0044】
この構成により、自動精算システムは、勤怠管理に基づく給与計算等を行える。
【0045】
本発明の第9の発明に係る自動精算システムでは、第8の発明に加えて、管理手段は、勤怠管理情報にもとづいて、登録者の所定期間における給与額を決定する。
【0046】
この構成により、管理部門における給与計算処理の手間が大幅に削減される。
【0047】
本発明の第10の発明に係る自動精算システムでは、第7の発明に加えて、決済処理手段は、決済処理の結果に基づいて、登録者の所定期間における決済額を決定する。
【0048】
この構成により、自動精算システムは、所定期間での、登録者の購入全体の金額を計算できる。
【0049】
本発明の第11の発明に係る自動精算システムでは、第10の発明に加えて、連動手段は、給与額から決済額を差し引いた最終給与額を決定する。
【0050】
本発明の第12の発明に係る自動精算システムでは、第11の発明に加えて、登録者が、特定施設に勤務する社員および職員のいずれかである場合には、最終給与額を受け取る。
【0051】
この構成により、自動精算システムは、登録者の給与と、特定施設での購入決済とを全て一括管理および一括合算して、支払い・精算処理を行える。結果として、管理部門の効率化が大幅に図られる。
【0052】
本発明の第13の発明に係る自動精算システムでは、第10から第12のいずれかの発明に加えて、連動手段は、決済額が所定値を超える場合には、記憶媒体での決済機能を停止させられる。
【0053】
この構成により、登録者の最終給与額の著しい低下を防止したり、登録者の購入の行き過ぎを防止したりできる。
【0054】
本発明の第14の発明に係る自動精算システムでは、第13の発明に加えて、所定値は、サーバーの管理者および記憶媒体を所有する登録者のいずれかが決定可能である。
【0055】
この構成により、より柔軟性にとんだシステムが実現できる。
【0056】
本発明の第15の発明に係る自動精算システムでは、第10から第14のいずれかの発明に加えて、決済額を、記憶媒体を所有する登録者に通知する通知手段を更に備える。
【0057】
この構成により、登録者にとっての便宜が図られる。
【0058】
本発明の第16の発明に係る自動精算システムでは、第1から第15のいずれかの発明に加えて、個人の決済情報に基づいて、登録者の購入商品動向、購入時期動向および購入量動向を分析する分析手段を更に備え、分析手段は、購入商品動向、購入時期動向および購入量動向の少なくともひとつに基づいて、登録者の嗜好を推測する。
【0059】
この構成により、自動精算システムは、登録者の管理や登録者への提案を通じた、商品展開などを図ることができる。
【0060】
本発明の第17の発明に係る自動精算システムでは、第16の発明に加えて、通知手段は、登録者の嗜好に基づいて、健康管理提案、商品宣伝提案および行動管理提案の少なくとも一つを、登録者に通知する。
【0061】
この構成により、登録者にとっての便宜が図られる。
【0064】
(全体概要)
まず、実施の形態1における自動精算システムの全体概要を説明する。
図1は、自動精算システムを備える特定施設を説明する模式図である。特定施設100は、工場、事業所、オフィスビル、会社敷地、病院および公共施設の少なくとも一つである。もちろん、これらに限られるものではなく、共通項を有する一定の特定多数(特定少数でもよい)が集まる場所や領域(建造物のみ、建造物と敷地のいずれでもありえる)が、
図1に示される特定施設100である。この特定施設100には、共通項で括られる人が出入りしたり、一定期間滞在したりする。また、この共通項で括られる人は、特定施設100において、管理部門110によって所定の登録がなされて登録者となる。
【0065】
例えば、特定施設100が工場、事業所、オフィスビルおよび会社敷地のいずれかである場合には、社員や職員が、共通項で括られる人となる。これら社員や職員は、工場、事業所、オフィスビルおよび会社敷地のいずれかに出勤して業務を行い、退勤する。もちろん、場合によっては泊り込むこともあるが、ある時刻に出勤して仕事を行い、ある時刻に退勤する。このような社員や職員は、管理部門110によって、特定施設100に入室することが登録されている。すなわち、特定施設100が、工場、事業所、オフィスビルおよび会社敷地のいずれかである場合には、社員や職員は、管理部門110によって登録された登録者である。
【0066】
この登録者である証明のために、管理部門110は、登録者の個人個人を識別する識別子を含んだ記憶媒体を、登録証として登録者に付与する。識別子は、例えば、登録者である社員や職員の社員番号、氏名、所属部署、入社年度などを含んでいる。要は、社員や職員の個人を特定できる情報を、識別子が含んでいればよい。
【0067】
記憶媒体は、例えばICカード、IDカード、RF−IDカードなどの形態をもって、社員証や職員証として使用される。すなわち、記憶媒体を含んだ登録証をもって、社員や職員などの登録者は、特定施設100に入室したり、特定施設100内部での移動を行ったりする。
【0068】
図1には、管理部門110が、入退室管理を行うことを示している。例えば、特定施設100の入り口であったり、特定施設100内部の居室(部門ごとに分けられた部屋)毎に設けられた入り口であったりには、登録者は記憶媒体を含む登録証に対応する機器が備えられている。これらの機器は、登録証と接触あるいは非接触によって、記憶媒体の識別子を読み取り、管理部門110にもうけられるサーバー10に送信する。サーバー10は、この識別子を読み取って、登録者の入室や退室を許可したり、入室時刻や退室時刻を管理したりする。
図1の入退室管理は、このような入室や退室の管理を示す。
【0069】
また、入室や退室時刻の確認ができれば、当然ながら、サーバー10は、登録者が特定施設100内部に滞在していた時間やある居室に在室していた時間を管理することもできる。
図1は、サーバー10によって、管理部門110が、登録者の特定施設100や特定の居室での時間管理を行うことを示している。管理部門110が、サーバー10によって時間管理を行うということは、管理部門110は、サーバー10によって、記憶媒体を所有する社員や職員などの登録者の勤怠を管理できる。
【0070】
このように、特定施設100が工場、事業所、オフィスビルおよび会社敷地のいずれかである場合には、社員や職員が登録者となって識別子を含む記憶媒体を有する。この記憶媒体によって、登録者は、入退室でのセキュリティ対応を手間なく行うことができる。一方、管理部門110は、登録者が記憶媒体を用いて入退室を行うだけで、セキュリティ管理はもちろんのこと、入退室管理、入退室管理に基づく時間管理、時間管理に基づく勤怠管理を行うことができる。いずれにとっても、便宜が図られる上、正確な勤怠管理および適切なセキュリティ管理が両立される。
【0071】
また、別の例として、特定施設100が、病院である場合には、登録者は医師、看護師、事務員などの職員である。加えて、入院患者も登録者として記憶媒体をもって入退室などのセキュリティ管理や時間管理の対象である登録者とされてもよい。
【0072】
更に別の例として、特定施設100が公共施設である場合には、登録者は当該公共施設に勤務する職員である。これに加えて、公共施設を利用する利用者も、記憶媒体をもって入退室などのセキュリティ管理や時間管理の対象である登録者とされてもよい。
【0073】
このように、記憶媒体は、登録者の個人を識別する識別子を記憶しており、当該登録者が、特定施設100そのものに入館したり退館したり、あるいは特定施設100の内部の居室に入室したり退室したりする、入退室機能を有している。例えば、記憶媒体は、識別子に対応する入退室可能な範囲を記憶しており、登録者は記憶媒体によって入退室可能な居室(あるいは時間帯)のみに入室できるようになっていることもよい。記憶媒体の有する入退室機能は、登録者の入退室を管理しつつ、この管理を通じて、登録者の時間管理や勤怠管理を行うことができる。
【0074】
(登録者の時間管理)
登録者が、特定施設100に勤務する社員や職員である場合でも、上述のように入院患者や施設の利用者である場合にも、当該登録者が、特定施設100に在室していた時間を管理できる。もちろん、登録者が、特定施設100を一時的に退室していた時間も管理できる。このように、登録者が、特定施設100に在室していた時間(入室時刻、退室時刻)を、サーバー10が記憶媒体との通信によって管理できることで、社員や職員の勤務動向を把握できる。あるいは、サーバー10は、入院患者や利用者の、特定施設100での行動動向や利用動向を、記憶媒体との通信によって把握できる。
【0075】
(登録者の勤怠管理)
また、登録者の時間管理に基づいて、管理部門110のサーバー10は、社員や職員である登録者の勤怠管理を行える。すなわち、入室時刻、退室時刻などを把握できれば、社員や職員の勤務時間(途中退室などを確認できれば、実勤務時間を把握できる)を把握できる。この結果、管理部門110のサーバー10は、記憶媒体との通信とその履歴によって、社員や職員の勤怠管理を行うことができ、給与計算などと連動する勤怠管理を、正確かつ簡便に行うことができる。
【0076】
もちろん社員や職員も、実際に在室していた時間に基づいて勤怠管理が成されることになるので、勤怠の改ざんなどを管理部門110から受ける心配がなくなり、安心して勤務することができる。もちろん、勤怠管理のための社員や職員自身の手間も削減されるメリットがある。
【0077】
以上のように、
図1の特定施設100においては、登録者の有する記憶媒体によって、管理部門110が、サーバー10と記憶媒体との通信に基づいて、登録者の時間管理や勤怠管理を行うことができる。これは、記憶媒体の有する入退室機能に基づくものである。
【0078】
(購入現場での決済機能)
また、特定施設100には、入室や退室の対象となる居室だけでなく、商品の購入やサービスの提供を受ける購入現場120が様々に存在する。
図1では、購入現場120の例として、レジ精算121、自動販売機122、コピー機123が示されている。
【0079】
例えば、レジ精算121は、社員食堂、喫茶室、売店などでの商品の購入の際に用いられる。自動販売機122は、飲料を販売したり、食品を販売したり、文具品などを販売したりする。コピー機123は、コピーだけでなく例えばプリントアウトやスキャナなどのオフィス用途を様々に含むものである。このように、オフィス機器は、コピー機、プリンタ、スキャナ、電話、FAXなど、費用精算されたり、セキュリティを要求されたりする、様々な機器を含む。
【0080】
これら購入現場120のそれぞれにおいては、通常は現金やクレジットカードで支払い(決済)が行われる。実施の形態1の自動精算システムで用いられる記憶媒体は、決済機能を有しており、購入現場120のそれぞれにおいて、登録者(記憶媒体の所有者)は、記憶媒体によって、商品の購入を行ったり、商品の決済を行ったりできる。
【0081】
特定施設100が、工場、事業所、オフィスビル、会社施設など、社員や職員のような業務従事者のみが登録者となる場合には、これら社員や職員の登録者は、社員食堂、喫茶室、売店などで商品を購入したり食事をしたりする場合の支払いを、記憶媒体によって実行できる。
図2は、本発明の実施の形態1におけるレジ精算での記憶媒体による決済を示す模式図である。レジ精算用の機器121Aは、社員食堂、喫茶室、売店など様々な場所に設置されている。
図2に示されるように、記憶媒体20を所有する登録者は、機器121Aに記憶媒体20を接触あるいは非接触させることで、記憶媒体20を機器121Aと通信させる。
【0082】
機器121Aは、サーバー10と通信可能であり、記憶媒体20の有する決済機能の信号を受け取った上で、サーバー10と通信を行なう。サーバー10は、記憶媒体20の決済機能を受けて、記憶媒体20を用いて商品等を購入しようとする登録者の購入の決済処理を行う。この結果、記憶媒体20を有する登録者は、機器121Aの置いてあるレジ精算120の購入現場において、記憶媒体20を用いて決済を行って商品等の支払いを行える。
【0083】
あるいは、購入現場が自動販売機122であることもある。
図3は、本発明の実施の形態1における自動販売機での購入を説明する模式図である。自動販売機122は、飲料、食品、日用品、文房具などを販売する。商品表示部126は、自動販売機122が販売する商品を表示している。自動販売機122は、現金での購入を可能とする現金投入口127を有しているが、決済機能を有する記憶媒体によって購入を可能とする媒体対応部材125を備えている。記憶媒体20を有する登録者は、媒体対応部材125に記憶媒体20を接触あるいは非接触であてがうことで、購入を希望する商品を購入する。このとき、媒体対応部材125と記憶媒体20とが通信を行ない商品の決済処理が完了する。
【0084】
特定施設100には、様々な場所に多くの自動販売機122が設置されている。これらの設置されている多くの自動販売機122が、このような記憶媒体20での決済を可能とすることで、記憶媒体20を所有する登録者が、現金などの所持に煩わされることなく、自動販売機122での商品を購入できる。
【0085】
もちろん、管理部門110が、サーバー10を管理している。このため、管理部門110にとっても、設置されている多数の自動販売機122での現金回収などの手間が削減される。もちろん、管理部門110ではなく、自動販売機122を設置している飲料メーカーなどが自動販売機122を管理している場合には、このような飲料メーカーの手間が削減される。
【0086】
また、購入現場120が学校や病院などの場合は、コピー機123に代表される有料のオフィス機器であることもある。登録者は、コピー、データスキャン、プリントアウトなどを行う際に、記憶媒体20を用いて決済処理を行うことができる。特に、例えば特定施設100が、会社や工場などではなく、一般の人の出入りのある公共施設である場合には有用である。このような特定施設100では、オフィス機器を使用する場合には、有料となることが多いからである。
【0087】
購入現場120の例として、レジ精算121、自動販売機122、オフィス機器などでも、入退室機能を有する記憶媒体20を兼用して、決済処理が行われることを説明した。すなわち、実施の形態1における自動精算システムは、登録者の時間管理や勤怠管理といった人事管理と、登録者の特定施設100内での種々の購入の決済処理とを、共に処理できる。この結果、自動精算システムは、入退室情報(時間管理や勤怠管理の基礎情報となる)と決済情報を連動させることができる。この結果、管理部門110は、人事管理と購入決済管理とを、同時平行に行うことができる。この結果、人事管理と購入決済管理とが連動でき、給与計算と購入費用計算とを連動させることができるなどの、種々のメリットが生じる。
【0088】
(自動精算システム)
特定施設100における自動精算システムの全体像は、上述に説明した通りである。次に、自動精算システムそのものを説明する。
【0089】
図4は、本発明の実施の形態1における自動精算システムのブロック図である。自動精算システム1は、特定施設100での購入現場120での購入と入退室現場130での双方の記憶媒体20による処理を管理した上で、双方を連動させて費用処理を行う。
【0090】
入退室現場130では、登録者が記憶媒体20を用いて、入室や退室を行う。入室や退室を行う場所のゲートやドアに、記憶媒体20と媒体対応部材125が通信を行なうことで、記憶媒体20は、入退室機能を発揮する。この際に、媒体対応部材125は、サーバー10と通信を行なう。サーバー10は、管理手段2を備えている。もちろん、媒体対応部材125が管理手段2を備えていてもよい。管理手段2は、記憶媒体20の入退室機能に基づく、入室、退室、入館および退館の少なくとも一つを確認して入退室情報を生成する。入退室は、上述で説明したように、特定施設100そのものへの入館や退館であったり、所定の居室への入室や退室であったりする。
【0091】
同様に、購入現場120では、登録者が記憶媒体20を用いて種々の商品の購入を行う。自動販売機122、レジ精算121などで記憶媒体20を用いた決済において、記憶媒体20は、決済機能を用いる。この決済機能によって、記憶媒体20は、決済に必要な信号をサーバー10に送信する。サーバー10は、この信号を受けて、決済処理手段3において、特定施設100での種々の購入現場120での決済処理を行う。また、決済処理手段3は、決済処理において、決済情報を生成する。このように、自動精算システム1は、管理手段2で入退室などの時間(勤怠)管理を実行することに加えて、記憶媒体20の決済機能を元に、特定施設100での種々の購入現場120での決済処理も実行する。
【0092】
また、サーバー10は、購入現場120から送信される情報を、リアルタイムに受信して処理してもよいし、1日毎、1週間毎、1ヶ月毎などのように、一定期間毎にまとめて受信して処理する(受信はリアルタイムで処理はまとめてでもよい)ことを行っても良い。また、サーバー10は、1台だけでなくとも複数台でもよく、設置されている場所を選ぶものではない。あるいは、サーバー10として、専用に設置された装置ではなく、クラウドのように広い意味でのネットワーク上に存在するコンピューター機器やデータ機器が、サーバー10の役割を果しても良い。
【0093】
また、サーバー10は、検出手段4を備えている。検出手段4は、サーバー10と通信された記憶媒体20に登録された登録者の個人を特定する識別子を検出する。検出手段4が、識別子を検出することで、サーバー10が通信している記憶媒体20を使用している登録者を特定できる。媒体対応部材が、検出手段4の機能を有していることでもよい。
【0094】
登録者は、様々な場所で記憶媒体20を用いる。入退室現場130も、建物の門であったり、居室の出入り口であったり様々である。もちろん、購入現場120も様々である。
図1〜
図3を用いて説明したように、購入現場120は、自動販売機122、レジ精算121が設置されている施設内食堂、施設内売店、コピー機123に代表されるオフィス用機器、ネットワーク接続機器など、様々である。
【0095】
また、記憶媒体20は、いわゆるICカード、IDカード、RF−IDカードなどの態様と仕様を有することで、電子金銭媒体としての決済機能を有している。この電子金銭媒体による決済機能は、自動販売機122での商品購入、施設内食堂での食券購入又は料金精算、施設内売店での料金精算、オフィス用機器での費用精算、ネットワーク接続機器での費用精算を実行する。
【0096】
登録者は、1日の間、あるいは一定期間の間に、複数の入退室現場130や複数の購入現場120で、記憶媒体20を用いる。このため、自動精算システム1の中核であるサーバー10は、検出手段4によって、複数回の使用がされる記憶媒体20の所有者(登録者)を識別する必要がある。どの登録者による入退室であるのか、どの登録者による購入決済であるのかを、特定施設100は、区別する必要があるからである。
【0097】
サーバー10は、更に連動手段5を備える。連動手段5は、検出手段4で検出された登録者の識別子に合わせて、入退室情報(管理手段2から出力される)と決済情報(決済処理手段3から出力される)とを連動させる。この連動によって、特定施設100内で、ある登録者が自身の記憶媒体20を用いた全てを、特定施設100が、管理・把握できるようになる。
【0098】
この連動手段5は、識別子で特定される登録者個人の所定期間における費用処理において、入退室情報と決済情報との差分によって、登録者個人の費用精算を行う。この費用精算によって、例えば、1週間単位、1ヶ月単位での、当該登録者個人の費用処理を、記憶媒体20の使用に基づく情報のみで、サーバー10は、精算することができる。
【0099】
(登録者が社員や職員である場合)
特定施設100が工場、事業所、オフィスビルなど、登録者が特定施設100に勤務している社員や職員の場合には、管理手段2は、入退室情報に基づいて、登録者の勤怠管理を行う。例えば、入退室機能の目的が、社員や職員などの勤務者である登録者の勤怠管理を行う場合には、記憶媒体20は、識別子と合わせて入退室時刻を管理手段2に送信する。この入退室時刻を基にして、管理手段2は、識別子に対応する登録者の勤怠管理情報を生成する。入退室時刻やその他の情報(出張、休暇、途中退室など)も含めれば、管理手段2は、勤怠管理情報を作成できるからである。
【0100】
管理手段2は、この勤怠管理情報に基づいて、識別子で特定される登録者の給与計算を行う。すなわち、給与額を決定できる。例えば、ある1ヶ月の期間の勤怠管理情報に基づいて、登録者の給与要素(基本給、残業、その他)を計算し、給与額を決定できる。管理手段2は、この給与額を給与情報として、連動手段5に出力する。
【0101】
なお、勤怠管理情報や給与情報は、管理手段2ではなく連動手段5において生成されてもよい。
【0102】
一方で、決済処理手段3からは、識別子で特定される登録者の購入現場120での様々な決済情報が出力される。例えば、給与額の計算期間と同じ期間における購入現場120での決済情報が、決済処理手段3より連動手段5に出力される。このとき、決済処理手段3は、この給与額の計算期間と同じ期間における決済額を算出・決定する。例えば、ある識別子で特定される登録者の、計算期間における自動販売機122での購入額の総額、食堂における購入額の総額およびオフィス機器利用の総額などを計算することで、決済処理手段3は、決済額を算出・決定する。決済処理手段3は、この決済額を、連動手段5に出力する。
【0103】
なお、勤怠管理情報や給与情報と同様に、決済額は、決済処理手段3ではなく連動手段5において算出・決定されてもよい。
【0104】
以上のように、連動手段5には、管理手段2を経由する給与額と、決済処理手段3を経由する決済額の両方の情報が揃う(連動手段5自身で算出する場合であっても同様)。この両方の情報に基づいて、連動手段5は、給与額から決済額を差し引いた最終給与額を決定できる。登録者である社員や職員は、この最終給与額の支払いを受けることになる。
【0105】
このように、記憶媒体20を用いて決済処理手段3が、購入現場120の様々な場面での決済を処理することで、登録者である社員や職員は、給与からの自動引き落としと同じ感覚で、所定期間の決済額の支払いを済ませることができる。給与処理に、様々な購入決済が連動することで、登録者は、個々の支払いを現金で行ったり、一つ一つを管理したりする手間が省けて、非常に便利である。
【0106】
また、所定期間毎に受け取る最終給与額を確認することで、所定期間における自身の購入行動を把握することができる。例えば、登録者である社員や職員は、ある月においては、自動販売機122での飲料の購入が非常に多いことを把握したり、社員食堂で使用した金額が大きいことを把握したりできる。このような状況を把握できることで、例えば、タバコの自動販売機122での購入が多いことを把握して、健康を考慮して購入を減らすなどを決断することもできる。
【0107】
登録者である社員や職員は、購入現場120で都度精算する場合よりも、1ヶ月などの一定の所定期間単位での購入履歴を決済額より把握できるほうが、便利である。
【0108】
逆に、特定施設100の管理部門110は、勤怠管理情報を自動で把握して、給与額を自動計算できる。また、特定施設100内部での購入現場120で、個別に現金精算を行う手間も削減でき、最終的に給与からの処理を行えることで、購入現場120のそれぞれにおける手間や人件費を削減できるメリットもある。もちろん、給与額から決済額を処理することで、購入現場での精算ミスを防止することもできる。
【0109】
このように、連動手段5において、勤怠管理情報と決済情報との連動が可能になることで、登録者である社員や職員にとってもメリットが生じる。加えて、特定施設100の管理部門にとっても様々なメリットが生じる。自動精算システム1は、このように、勤怠管理を必要とする勤務者を登録者とする場合に、給与に連動した決済額の処理を行うと共に、勤務者の動向管理もできる。
【0110】
(登録者が勤務者以外である場合)
また、特定施設100が、病院や公共施設である場合もある。この場合には、当然登録者としては勤務者である職員であることもあるが、入院患者、通院患者、施設利用者が、登録者となることもある。入院患者、通院患者、施設利用者(以下、「施設利用者」という)が、識別子によって識別される記憶媒体を有する登録者となることは、様々な購入現場120や入退室現場130での管理が、容易になる。もちろん、入退室においては、入室および退室の両方がセキュリティなどの観点から制限ができる。
【0111】
サーバー10は、このような給与を受け取る勤務者以外の施設利用者にも、記憶媒体20を介した入退室情報と決済情報とで、最終的な精算を実行できる。
【0112】
施設利用者は、記憶媒体20を用いて、病院や公共施設である特定施設100に入室したり退室したりする。管理手段2は、この入室や退室の際の、記憶媒体20とサーバー10との通信によって、施設利用者の入退室情報を生成する。例えば施設利用者が入院患者であれば、入院期間をこの入退室情報によって管理手段2は、把握する。この把握に基づいて、管理手段2は、入院費用などを管理できる。
【0113】
同様に、施設利用者は、記憶媒体20を用いて、特定施設100の様々な購入現場120で、購入を行う。この購入の際に、記憶媒体20は、サーバー10と通信を行う。この通信によって、決済処理手段3は、購入現場120での決済処理を実行して、決済処理情報を生成する。
【0114】
また、通信媒体20は、施設利用者を識別する識別子を有しており、検出手段4が、識別子を検出して施設利用者を特定する。識別子による特定により、入退室情報と決済処理情報とが、特定の施設利用者に対応付けられる。施設利用者への対応付けに合わせて、入退室情報と決済処理情報とが、連動手段5に出力される。
【0115】
連動手段5は、入退室情報によって計算される基本費用(例えば、入院費、診察費、施設利用料)と、決済処理情報によって計算される購入現場120での決済額とを合算することで、施設利用者の費用全体を算出する。このとき、連動手段5は、1日を単位として費用全体を算出してもよいし、1週間や1ヶ月などの所定期間で費用全体を算出してもよいし、入院期間を単位として費用全体を算出してもよい。
【0116】
いずれにしても、連動手段5は、入退室情報による基本費用と、様々な購入現場120での決済額とを合算した費用全体を、記憶媒体20の識別子に対応する施設利用者ごとに、算出できる。管理部門110は、施設利用者の登録の際に設定した施設利用者の口座から、当該費用全体を決済することで、費用全体の精算を実行できる。
【0117】
このように、サーバー10は、勤務者による給与額と決済額との差分による費用精算だけでなく、施設利用者の費用精算もまとめておこなうことができる。
【0118】
以上のように、実施の形態1におけるサーバー10は、記憶媒体20による、入退室現場130での入退室機能および購入現場120における決済機能を全て一括的に管理して、費用精算を行うことができる。結果として、登録者および管理部門110の双方にとっての手間とコストを削減できる。加えて、登録者の購入動向や勤務動向を把握することができ、登録者の購買行動改善や健康改善への提案も可能となる。
【0120】
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、連動手段5での追加的な対応や、記憶媒体20を使用する登録者へのサービスを行う自動清算システム1について説明する。
【0121】
(決済機能の停止)
連動手段5は、所定期間での登録者による購入現場120での購入による決済額(複数の購入での決済処理の総額)が、所定値以上を越えた場合には、記憶媒体20による決済機能を停止させることも好適である。記憶媒体20は、サーバー10との通信によって、決済処理手段3を介して、購入現場120での決済機能を発揮する。この決済機能と決済処理手段3との対応によって、登録者は、記憶媒体20を用いて、自動販売機122やレジ精算121などの購入現場120での購入処理を行うことができる。
【0122】
実施の形態1で説明した通り、連動手段5は、勤怠管理情報から算出される給与額から、決済処理情報より算出される決済額を差し引いた最終給与額を算出する。登録者は、この最終給与額に従った給与を受け取る。
【0123】
このとき、決済額が余りにも大きくなりすぎると、最終給与額が非常に少なくなってしまうこともある。場合によっては、最終給与額がマイナスになることもある(登録者が、購入現場120で、非常に大きな購入を行う場合など)。マイナスにならないまでも、最終給与額が非常に少なくなることは、登録者である社員や職員のモチベーションの低下になったり、家族の生活維持への悪影響を生じさせたりすることになりかねない。
【0124】
このような問題を未然防止するために、連動手段5は、決済額が所定値を超える場合には、予め記憶媒体20の決済機能を停止させる(言い換えれば、決済処理手段3の決済処理を停止させる)。こうすることで、登録者である社員や職員が、知らぬ間に想定以上の購入を行って最終給与額が想定以上に低くなってしまうことを未然防止できる。
【0125】
この、所定値は、サーバー10の管理者である管理部門110によって設定されても良いし、記憶媒体20を使用する登録者によって設定されても良い。いずれかの都合あるいは好みによって設定されれば、最終給与額が少なくなりすぎることでの種々の問題発生を未然防止できる。
【0126】
(通知)
図5は、本発明の実施の形態2における自動精算システムのブロック図である。
図5でのサーバー10は、通知手段6を備える。通知手段6は、決済額を、記憶媒体20を有する登録者に通知する。決済額を通知することで、例えば、連動手段5が、最終給与額を算出する前に、登録者は、決済額を知ることができる。決済額を知ることで、登録者である社員や職員は、給与支払い前に、最終給与額を想定することができる。
【0127】
もちろん、自動清算システム1が、機械的かつ自動的に給与額を算出することもできるが、本システムでの処理期間に一致しない時期に給与計算をしなければならない場合(途中退職など)には、管理部門110が、人的作業によって、給与額を算出して処理してもよい。本発明の自動清算システム1は、自動で精算できる場合には自動で行うことで、種々の精算に関る作業効率を向上させることを目的としているだけであり、人的作業の全てに取って代わることを絶対目標としているものではない。
【0128】
あるいは、通知手段6は、決済額が一定額を超えた場合や、給与計算の期間よりも短い所定間隔で、決済額を登録者に通知してもよい。一定額や短い間隔で決済額が通知されることで、登録者は、購入現場120での購入を控えたり、節約を考慮したりするなどの対応を図ることができる。このような対応を図ることで、登録者である社員や職員は、自身の最終給与額が、想定よりも低くなってしまったりすることを防止できる。
【0129】
なお、
図5では、通知手段6には、連動手段5から信号が出力される矢印が示されているが、通知手段6は、決済処理手段3からの信号(決済情報)を受けて、登録者に通知しても良い。もちろん、管理手段2により生成される勤怠管理情報を、通知手段6が受けて、登録者に通知しても良い。
【0130】
(分析)
図6は、本発明の実施の形態2における自動精算システムのブロック図である。
図6でのサーバー10は、分析手段7を更に備えている。
【0131】
分析手段7は、決済処理手段3や連動手段5で生成もしくは使用される決済情報に基づいて、登録者である社員や職員の購入商品動向、購入時期動向および購入量動向の少なくとも一つを分析する。このとき、記憶媒体20は、登録者である個人を識別する識別子を含んでおり、検出手段4が、この識別子を検出できる。この識別子で、個人を対応させることで、分析手段7は、特定の個人である登録者の購入商品動向、購入時期動向および購入量動向の少なくとも一つを分析できる。
【0132】
例えば、分析手段7は、決済情報に基づいて、ある登録者が自動販売機122で頻繁に購入する飲料や食品の動向を分析できる。例えば、コーヒー系飲料を多く購入しているとか、スポーツドリンク系飲料を多く購入しているなどを、分析手段7は、購入商品動向として分析する。あるいは、ある登録者が出勤直後に自動販売機122で飲料を多く購入しているとか、午後のある時間帯に集中して自動販売機122で飲料を多く購入しているなどを、分析手段7は、購入時期動向として分析できる。
【0133】
分析手段7は、このような購入商品動向、購入時期動向および購入量動向の少なくとも一つに基づいて、ある登録者個人の嗜好を推測することも好適である。
【0134】
例えば、飲料であれば、コーヒー系飲料をより好んで購入する嗜好傾向があることを推測したり、食堂であれば、麺類を好んで購入したりする嗜好傾向があることを、分析手段7は、推測できる。あるいは、購入時間帯の嗜好も推測することができる。例えば、社員食堂の利用時間帯が、昼休みの前半に偏りがちであるとか、後半に偏りがちであるといったことを、時間的嗜好として、分析手段7は、推測することができる。
【0135】
分析手段7の嗜好推測に基づいて、通知手段6は、当該登録者に、健康管理提案、商品宣伝提案および行動管理提案の少なくとも一つを通知することも適当である。
【0136】
例えば、購入商品動向と購入量動向から、ある登録者が甘味系飲料を多く購入しており、甘味系飲料を好む嗜好を有していると、分析手段7が推測する場合がある。このような場合は、他の飲料の購入を提案したりすることができる。
【0137】
あるいは、登録者が売店であるジャンルの雑誌を定期的に購入している購入商品動向を分析する場合には、分析手段7は、当該登録者の趣味を推測できる。この推測結果に従って、通知手段6は、当該趣味に関する書籍、物品などの商品提案を通知することも適当である。また、内部の売店、食堂、自動販売機122などは、特定施設100の外部の会社による設置や販売が行われていることも多く、これらの商品提案は、外部の会社が行うこともできる。
【0138】
もちろん、外部の会社と特定施設100との提携や取引の増加にもつながり、双方にとってメリットが高まる。当然に、登録者自身の嗜好に応じた商品宣伝提案が行われることは、登録者にとってもメリットが高い。
【0139】
このように、分析手段7での推測に基づいた、種々の提案を、通知手段6が行うことは、高いメリットを有しており、商業活動の活発化に繋がる。
【0140】
以上、実施の形態2は、勤怠管理を始めとする時間管理と購入現場120での決済とを連動させるだけでなく、種々の付加価値を提供できる。この付加価値は、利用する登録者にとっても、特定施設100(およびその管理部門110)にとっても、特定施設100内部の購入現場120における種々の商品販売などを請け負っている(自動販売機122の設置者も含む)者にとっても、作業の手間の削減や一括した管理、適切な動向分析と提案作業を行えるメリットがある。
【0141】
以上、実施の形態1〜2で説明された自動精算システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。